JP3756443B2 - 電力託送における発電電力制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定規模電気事業者による自家用発電設備からの電力託送における発電電力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
規制緩和により電力小売部分自由化が始まり、電力系統に連系している自家用発電設備の発電電力を電力会社の送電ネットワークを介して別の場所の需要家に供給する電力託送を行うことが可能となった。(現時点においては、特別高圧需要家との制限あり。)この電力託送によって需要家に電力を供給する事業を特定規模電気事業と言い、この事業を行う者を特定規模電気事業者と言う。特定規模電気事業者は、契約した需要家が必要とする電力を発電あるいは調達することで供給する義務が生じ、送電電力量と需要家受電電力量を一致させることが求められている。具体的には30分間の電力量が一致していれば良いとされている。これを同時同量と言う。また、30分間の電力量の一致は、電力会社と契約する送電サービス電力の±3%相当電力量の範囲に入ることが目標値とされている。
【0003】
現在の系統連系する自家用発電設備の基本的な構成は図8に示すように、発電機1、原動機2、調速機3、発電コントローラ4、自動電圧調整装置(AVR)5から成り、遮断器6,7を介して構内系統に接続され、構内負荷8に電力供給し、さらに遮断器9を介して電力系統と連系されている。また、保護装置として発電機異常を保護する発電機継電装置10、電力系統との連系保護のための連系保護継電装置11が設置されている。この系統連系する自家用発電設備において発電機出力の制御は発電コントローラ4により行われる。電力計12および電力計13による電力計測値は、発電コントローラ4による発電機出力の制御に際してフィードバック信号として用いる。発電コントローラ4は、発電電力指令値に追従させるため調速機3を動作させ、発電機出力が制御される。ここで発電電力制御は、逆潮流あり連系の場合、自家用発電設備の稼働率を考え、発電効率の良いポイントにおける発電電力一定制御が行われることが考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
電力系統へ電力を送り出す逆潮流ありの系統連系において、発電電力一定制御を行った場合、逆潮流となる電力(逆送電力)は構内負荷で消費した残りの電力であり、これは成り行き任せとなる。この逆送電力を託送することを考える場合、現状の成り行き任せでは特定規模電気事業者としての目標とされる±3%の同時同量を満たすことは不可能である。また、±3%の同時同量を達成できたかどうかを管理者(またはオペレータ)に知らせるようにもなっていないため、制御パラメータが不適当である等の不具合がわからない。したがって、発電コントロールを同時同量を満たすための制御に変更するか、そのための制御装置の追加設置が必要となる。さらに、制御状態を監視する機能も必要となる。
【0005】
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、その課題は、発電コントローラに組み入れるか、発電コントローラに対して上位から指令を与えることで同時同量を満たす制御および監視機能を備える電力託送における発電電力制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を達成するために、請求項1記載の発明は、電力系統に連系する複数の発電設備の発電電力を電力系統を介して需要家に供給する電力託送における発電電力制御装置において、
前記発電設備が電力系統に送電した送電電力量と、前記需要家が受電した受電電力量をもとに、所定時間区間における前記受電電力量と、前記送電電力量から所定の送電損失電力量を除いた電力量を一致させるため、前記所定時間区間内を所定のサンプリングで区切るサンプリング設定手段と、
前記サンプリング設定手段にて設定された区間毎に計量される受電電力量と送電電力量と所定の送電損失電力量に基づき、サンプリング毎に所定時間の開始時間を起点とした今回サンプリングまでの受電電力量と今回サンプリングまでの所定の送電損失電力量を除いた送電電力量の間の誤差を誤差補正値として次回のサンプリング区間にて誤差を補う誤差補正手段と、
今回サンプリング区間における受電電力量と前回サンプリング区間における受電電力量の差を変動予測値として次回のサンプリングにおける受電電力量の予測を行う受電電力量予測手段と、
前記誤差補正手段による誤差補正値と前記受電電力量予測手段による受電電力量予測値の加算結果に送電損失電力量相当分を加算する送電損失電力量加算手段と、
前記送電損失電力量加算手段の出力を必要送電電力量とし、これを安価に購入できる発電設備に優先的に配分する第1の電力量配分手段とを設け、
前記第1の電力量配分手段の出力を発電設備の担当分送電電力量とし、次回のサンプリング区間における送電電力指令とすることを特徴とする。
【0007】
請求項1記載の発明によると、電力託送用電力制御装置にて発電所の送電電力指令を決定し、発電所の送電電力出力を制御することで同時同量を達成しつつ、購入電力料金をできるだけ安価にすることができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、電力系統に連系する複数の発電設備の発電電力を電力系統を介して需要家に供給する電力託送における発電電力制御装置において、
前記発電設備が電力系統に送電した送電電力量と、前記需要家が受電した受電電力量をもとに、所定時間区間における前記受電電力量と、前記送電電力量から所定の送電損失電力量を除いた電力量を一致させるため、前記所定時間区間内を所定のサンプリングで区切るサンプリング設定手段と、
前記サンプリング設定手段にて設定された区間毎に計量される受電電力量と送電電力量と所定の送電損失電力量に基づき、サンプリング毎に所定時間の開始時間を起点とした今回サンプリングまでの受電電力量と今回サンプリングまでの所定の送電損失電力量を除いた送電電力量の間の誤差を誤差補正値として次回のサンプリング区間にて誤差を補う誤差補正手段と、
今回サンプリング区間における受電電力量と前回サンプリング区間における受電電力量の差を変動予測値として次回のサンプリングにおける受電電力量の予測を行う受電電力量予測手段と、
前記誤差補正手段による誤差補正値と前記受電電力量予測手段による受電電力量予測値の加算結果に送電損失電力量相当分を加算する送電損失電力量加算手段と、
前記サンプリング設定手段にて設定された区間毎に計量される各発電設備の構内負荷電力量に基づき、今回サンプリング区間における発電設備構内負荷電力量と前回サンプリング区間における発電設備構内負荷電力量の差を変動予測値として次回のサンプリングにおける発電設備構内負荷電力量の予測を行う発電設備構内負荷電力量予測手段と、
前記送電損失電力量加算手段の出力と前記発電設備構内負荷電力量予測手段の出力の加算値を必要発電電力量とし、これを安価に購入できる発電設備を優先的に配分する第1の電力量配分手段と、
前記第1の電力量配分手段で決定される各発電設備に対して割り当てられた各発電設備が担う発電電力量に基づき、各発電設備が有する複数の発電機に割り振る第2の電力量配分手段とを設け、
前記第2の電力量配分手段の出力を各発電設備内の各発電機の発電電力量とし、次回のサンプリング区間における発電電力指令とすることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明によると、電力託送用電力制御装置にて発電所内の各発電機レベルに対する発電指令を決定し、発電所内の各発電機の発電出力を制御することで同時同量を達成しつつ、購入電力料金をできるだけ安価にすることで特定規模電力事業者にとってもコストメリットが得られるだけでなく、発電所にとってもコストメリットが得られる。
【0010】
請求項3記載の発明は、前記請求項1または請求項2記載の電力託送における発電電力制御装置において、前記第1の電力量配分手段は、各発電設備の応答が遅い発電所は出力を常に一定値とし、必要電力量から応答が遅い発電所に設けた一定値を差し引いた電力量を残りの発電所にて配分することを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明によると、応答性の悪い(発電出力が変わりにくい)特性である発電所は、需要家受電電力の変動に追従しきれずに同時同量をなし得ないことが考えられる。したがって、送電指令あるいは発電指令を頻繁に変えずに一定値とする。需要家受電電力の変動に追従させ同時同量をなし得るために送電出力あるいは発電出力を変化させるのは比較的応答性の良好な発電所にその役割を持たせるものである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記請求項1ないし請求項3記載のいずれかの電力託送における発電電力制御装置において、前記発電設備が電力系統に送電した送電電力量から所定の送電損失電力量を除くことにより前記発電設備から前記需要家に供給したとする供給電力量と、前記需要家が受電した受電電力量と、電力会社との間で契約した送電サービス電力の所定時間分相当電力量とを用い、前記供給電力量の前記受電電力量に対する誤差を算出し、この誤差が前記送電サービス電力の所定時間分相当電力量の何パーセントであるかを演算する誤差演算機能と、
メモリ機能と、
表示機能あるいはプリント出力機能とを設け、
所定時間区間毎の前記誤差演算機能による誤差演算値を前記メモリ機能に蓄積し、前記表示機能にて表示、あるいは前記プリント出力機能にてプリント出力することで前記発電設備から前記需要家への供給が所定の誤差に収まっていることの確認が可能となることを特徴とする。
請求項4記載の発明によると、前記自家用発電設備から前記需要家への供給が所定の誤差に収まっていることの確認が可能となる。
【0013】
請求項5記載の発明は、前記請求項4記載の電力託送における発電電力制御装置において、前記誤差演算機能は前記サンプリング設定手段によるサンプリング毎に誤差を演算し、前記表示機能はサンプリング毎の誤差演算機能による誤差演算値を時間に対するグラフとして表示することで所定時間区間にて所定の誤差を逸脱しそうな状態が発生することを早期に察知可能となることを特徴とする。 請求項5記載の発明によると、所定時間区間にて所定の誤差を逸脱しそうな状態が発生することを早期に察知可能である。
【0014】
請求項6記載の発明は、請求項1,請求項2,請求項4及び請求項5記載のいずれかの電力託送における発電電力制御装置において、所定時間は30分であることを特徴とする。
請求項6記載の発明によると、所定時間の30分単位時間での需要家の受電電力量に対して発電所からの供給電力量を追従させる電力量制御機能を提供できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態(請求項1及び請求項6対応)である電力託送システムの基本構成図である。
【0016】
図に示すように、発電所A(自家用発電設備)101および発電所B102から電力系統に電力を逆送し、電力系統300を介して需要家A201および需要家B202に電力供給している。
【0017】
発電所A101は、図8の従来の自家用発電設備に加え、電力系統300へ送電する送電電力量を検知する電力量計14と、電力系統300から受電する需要家A201において受電電力量を検知する電力量計23を設置している。また、発電所B102は発電所A101と同様の構成要素(表記を省略)を有し、需要家B202は需要家A201と同様の構成要素(表記を省略)を有している。
【0018】
電力託送用電力制御装置41は、管理センタ400内に設置されており、発電所A101および発電所B102から電力系統に送電した送電電力量と、需要家A201および需要家B202が受電した受電電力量に基づき、同時同量を満たすために必要とする制御信号を決定し、発電所A101および発電所B102の発電コントローラに対して制御信号(電力指令)を与える。
【0019】
また、発電所Aの送電電力量の信号、発電所Bの送電電力量の信号、需要家Aの受電電力量の信号、需要家Bの受電電力量の信号、発電所Aへの制御信号、発電所Bへの制御信号、それぞれの伝達には、通信手段として電話回線などを活用することが考えられる。図中には通信手段となる構成要素、例えば通信端末となる装置や回線ケーブルの表記は省略している。なお、管理センタ400、発電所A101、発電所B102、需要家A201、需要家B202、それぞれは基本的に離れた場所に立地している。
さらに、本実施形態では、発電所は2ヶ所、需要家も2ヶ所として説明しているが、発電所、需要家は2ヶ所に限定するものではない。
【0020】
図2は、図1における同時同量をなし得るための構成要素と制御フローを示すブロック図である。
図2において、点線枠内が電力託送用電力制御装置41の内部に設けているロジックを表しており、需要家Aおよび需要家Bからの受電電力量の信号を取り込み加算して受電電力量の合計値を得る。同様に、発電所Aおよび発電所Bからの送電電力量の信号を加算して送電電力量の合計値を得る。送電電力合計値から所定の送電損失率に基づき送電損失電力量減算手段46にて送電損失電力量を減ずる。送電損失率をLoss(%)とすると、送電損失電力量減算手段46にゲイン(1−Loss/100)を設定すると送電損失電力量を減じたことになる。
【0021】
送電電力量の合計から送電損失電力量を減じた値を供給電力量とすると、送電電力量合計値と供給電力量を比較して誤差があれば、誤差補正手段42にて誤差補正値を算出する。また、受電電力量合計値の変動から受電電力量予測手段43にて受電電力量変動予測値を算出する。誤差補正手段42からの誤差補正値と受電電力量予測手段43からの受電電力量変動予測値の合計値(必要供給電力量)に送電損失電力量加算手段44で送電損失電力量を加算することで必要送電電力量を得る。送電損失電力量加算手段44は前述の送電損失電力量減算手段46とは逆のゲイン1/(1−Loss/100)を設定することで、送電損失電力量を加算したことになる。第1の電力量配分手段45では、必要送電電力量を複数の発電所に配分する。配分された結果は、各発電所に対する制御信号として伝送される。なお、各部の動作は所定時間の30分の時間区間内の所定のサンプリングのタイミングで行われている。
【0022】
次に、サンプリング毎に行われる誤差補正手段42、受電電力量予測手段43と第1の電力量配分手段による必要送電電力量の算出について、図3を用いて説明する。
【0023】
図3に示すように、30分間の同時同量を満たすため、30分の時間を例えば5分毎に区切り、このサンプリングでもって制御を行う。PLは需要家受電電力(需要家合計値)の推移を表している。今回のサンプリング区間がtn、前回のサンプリング区間がtb、次回のサンプリング区間がtaであるとすると、Pbは前回のサンプリング区間(tbの区間)におけるPLの推移から決まる需要家受電電力の平均値である。同様に、Pnは今回のサンプリング区間(tnの区間)における需要家受電電力の平均値を示す。サンプリング毎に電力量計23での計測値を取得すると、tbおよびtnにおける電力量は、Pb×tb、Pn×tnとして捉えることができる。
【0024】
発電所からの送電電力量(発電所合計値)についても電力量計13の計測値に基づいて、tbおよびtnにおける送電電力量をPrb×tb、Prn×tnと表現できる。PrbおよびPrnは、tbおよびtnにおける送電電力指令を意味している。同様にPra*もtaにおける送電電力指令を意味している。送電電力量から送電損失電力量を差し引くため損失率Loss(%)とすると、需要家に供給した電力量は、それぞれPrb×tb×(1−Loss/100)、Prn×tn×(1−Loss/100)となる。30分の時間区間の最初のサンプリング区間がtbであったとして、今回サンプリングまでの需要側と供給側の電力量の誤差をαとすると、
α=(Pb×tb+Pn×tn)−(Prb×tb+Prn×tn)×(1−Loss/100)
となる。同時同量を実現する上ではこの誤差を埋める必要があるので、誤差に相当する電力量を次回の区間に上乗せすることで誤差補正とする。
【0025】
一方、需要家受電電力がPLに示すように変動(この図では増加傾向)していると前記の誤差補正だけでは必ず1サンプリングの遅れが発生するので、需要家受電電力への追従性が不十分である。このため、前回サンプリング区間における電力量(Pb×tb)から今回サンプリング区間における電力量(Pn×tn)へ受電電力量が変動したと捉え、同じ変動が今回から次回のサンプリングの間でも生じると仮定して、変動分β=(Pn×tn)−(Pb×tb)を予測補正値とする。次回のサンプリング区間の予測値は、β+(Pn×tn)=2(Pn×tn)−(Pb×tb)となる。次回のサンプリング区間における送電電力指令Pra*は、送電損失電力量を含めて、Pra*=((α+β+(Pn×tn))/(1−Loss/100)/taとなる。tb=tn=taであるので、Pra*=(3Pn−(Prb+Prn)×(1−Loss/100)/(1−Loss/100)となる。送電電力指令Pra*から決まる送電電力量を第1の電力量配分手段45で各発電所に配分することになる。
【0026】
第1の電力量配分手段45は、電力の売買に際して取り決めた電気料金を考慮して安価に電力を購入できる発電所を優先的に稼働させるように各発電所に電力量の配分を行う。例えば、発電所Aが8円/kWhで取引を行う。発電所Bが7円/kWhで取引を行う契約になっているならば、比較した結果として発電所Bを優先する。発電所Bで稼働中の発電から出力し得る電力を最大値として、まず発電所Bに送電電力を配分する。こうすることで、発電所から電力を購入する際にコストメリットが得られる。
【0027】
上記のように本実施形態では、電力託送用電力制御装置41にて発電所の送電電力指令を決定し、発電所の送電電力出力を制御することで同時同量を達成しつつ、購入電力料金をできるだけ安価にすることで特定規模電気事業者にとってもコストメリットが得られる電力託送における発電電力制御装置を提供するものである。
【0028】
図4は本発明の第2実施形態(請求項2及び請求項6対応)の電力託送システムの基本構成図であり、図1と同一の構成要素には同一符号を付してその説明を省略する。
【0029】
図に示すように、発電所Aは複数の発電機(図4ではG1とG2の2台)を有しており、それぞれが発電コントローラ4a、4bで制御されている。発電コントローラ4a、4bの上位に統括コントローラ15を設け、複数の発電機への出力配分や管理センタとやりとりする信号のとりまとめを行っている。管理センタから発電所へ送る信号は図1の第1実施形態と同じく「発電所への制御信号」である。発電所から管理センタへは、第1実施形態と同じく「発電所の送電電力量の信号」に加え、「発電所の発電電力量の信号」も送信する。本実施形態では発電所と管理センタ間の信号を双方向に通信する1本の線で表記しているが、前述のように3種類の信号を送受信している。
【0030】
図5は図4における同時同量をなし得るための処理を説明するための図で、点線枠内が電力託送用電力制御装置41の内部に設けているロジックを表しており、図2と共通する部分については説明を省略する。
【0031】
発電所内(自家用発電設備構内)負荷電力量予測手段48は、発電所の発電電力量の総和から発電所の送電電力量の総和を差し引いて得られる発電所内負荷電力量の総和に基づいて、次のサンプリングにおける発電所内負荷電力量の予測を行う。予測の手法としては、受電電力量予測手段43と同様に前回サンプリング時の値と今回サンプリング時の値の差をもって変動量とし、今回のサンプリングから次回のサンプリングにかけても同じ変動が生じると仮定する手法が考えられる。発電所内負荷電力量予測手段48からの発電所内負荷電力量の予測値と送電損失電力量加算し油断44からの出力である必要送電電力量を加算することで、必要発電電力量と捉える。これを第1の電力量配分手段45にて各発電所へ配分する。第1の電力量配分手段45における配分の考え方は、第1実施形態で述べたとおりである。第1の電力量配分手段45で決定された各発電所への配分は、第2の電力量配分手段47にて各発電所内に有する複数の発電機に対しての配分量を決定する。第2の電力量配分手段47は、電力会社火力発電所などで採用されている経済負荷配分の理論を用いて、燃料消費量が少なくなる組み合わせで各発電機に配分する。第2の電力量配分手段の働きにより発電所運転にかかる燃費も考慮するので、発電所におけるコストメリットが得られる。決定された各発電機への配分量は、各発電機の発電指令として発電所に伝送される。発電所では、伝送されてきた発電機発電指令に基づいて発電機の出力調整を行う。
【0032】
上記のように本実施形態では、電力託送用電力制御装置41にて発電所内の各発電機レベルに対する発電指令を決定し、発電所内の各発電機の発電出力を制御することで同時同量を達成しつつ、購入電力料金をできるだけ安価にすることで特定規模電気事業者にとってもコストメリットが得られるだけでなく、発電所にとってもコストメリットが得られる電力託送における発電電力制御装置を提供するものである。
【0033】
本発明の第3実施形態(請求項3対応)は、発電所の応答特性を考慮したもので、発電所の応答性とはつまり発電所が有する発電機の発電指令値に対する応答性に基づき、発電所全体として外部からの送電指令あるいは発電指令にすばやく対応して指令値レベルの出力に到達できるか否かを意味している。応答性の悪い(発電出力が変わりにくい)特性である発電所は、需要家受電電力の変動に追従しきれずに同時同量をなし得ないことが考えられる。したがって、送電指令あるいは発電指令を頻繁に変えずに一定値とする。需要家受電電力の変動に追従させ同時同量をなし得るために送電出力あるいは発電出力を変化させるのは比較的応答性の良好な発電所にその役割を持たせるものである。第1の電力量配分手段45においてその機能を持たせることは、電力託送用電力制御装置41をマイクロコンピュータの演算機能を活用するなどしているので実現可能である。
【0034】
図6は本発明の第4実施形態(請求項4及び請求項6対応)の制御フロー図であり、図2と同一の構成要素については同一符号を付してその説明は省略する。図に示すように、誤差演算機能50は、需要家受電電力量に対する発電所から需要家に供給した供給電力量の誤差が、データベースなどで保持されている送電サービス電力の契約電力値51の何パーセントに相当するかを演算する。電力託送の電力量管理は所定時間の30分単位で行われるので、30分区間における演算を行う。メモリ機能52は、どの30分区間であったかと合わせて誤差のパーセントを記憶する。記憶の仕方は、例えば表計算ソフトのマイクロソフトエクセルのファイルとして記憶することも考えられる。表示機能53は、メモリ機能52により記憶されたデータを表示するもので、パーソナルコンピュータとCRTなどが考えられる。メモリ機能52が前述のようにマイクロソフトエクセルのファイル形式でファイルを生成しているとすれば、表示機能53はオペレータの操作によりそのファイルのデータをマイクロソフトエクセルを用いてCRTに表示する。
【0035】
こうすることにより、本実施形態では、オペレータは発電所から需要家に供給している電力量が所定の誤差である±3%に対してどのような状況になっているかを確認することが可能となる環境を提供できる。
【0036】
本発明の第5実施形態(請求項5及び請求項6対応)は、図6の第4実施形態の誤差演算機能50において誤差演算を制御のサンプリング毎に行い、結果をメモリ機能52に記憶させ、この記憶させたデータは表示機能53にて図7のように時間に対するグラフとして表示する。
【0037】
こうすることにより、本実施形態では、需要家受電電力量に対する発電所からの供給電力量の誤差の推移を捉えることが可能となり、±3%の範囲を逸脱しそうになることをオペレータが早期に察知できること、あるいは制御能力の評価、問題点抽出に活用することが可能となる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、逆潮流ありで系統連系している自家用発電設備が、電力系統を介して需要家に対し、電力託送を行う場合に、需要家設置の電力量計と発電所設置の電力量計の値をもとに、所定時間の30分単位時間での需要家の受電電力量に対して発電所からの供給電力量を追従させる電力量制御機能を提供しつつ、特定規模電気事業者の事業の上でのコストメリットを与え、また発電所の発電機運転上のコストメリットを与え、特定規模電気事業者の電力管理にとっても有益な電力制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による電力託送システムの基本構成図。
【図2】図1における制御の構成要素と制御フローを示すブロック図。
【図3】本発明による誤差補正手段および受電電力予測手段の動きを説明するための図。
【図4】本発明の第2実施形態による電力託送システムの基本構成図。
【図5】図4における制御の構成要素と制御フローを示すブロック図。
【図6】本発明の第4実施形態における制御の構成要素と制御フローを示すブロック図。
【図7】本発明の第5実施形態における供給過不足と時刻との関係を示すグラフ。
【図8】従来の発電電力制御装置による逆潮流運転を行う自家用発電設備のブロック図。
【符号の説明】
1,1a,1b…発電機、2,2a,2b…原動機、3,3a,3b…調速機、4,4a,4b…発電コントローラ、5,5a,5b…AVR、6,6a,6b,7,9…発電所設置の遮断器、8…発電所設置の負荷、10,10a,10b…発電機保護装置、11…系統連系保護装置、12,12a,12b,13…電力計、14…発電所設置の電力量計、21…需要家設置の負荷、22…需要化設置の遮断器、23…需要家設置の電力量計、41…電力託送用電力制御装置、42…誤差補正手段、43…受電電力量予測手段、44…送電損失電力量加算手段、45…第1の電力量配分手段、46…送電損失電力量減算手段、47…第2の電力量配分手段、48…発電所内負荷電力量予測手段、50…誤差演算機能、51…契約電力値、52…メモリ機能、53…表示機能、101,102…発電所、201,202…需要家、300…電力系統、400…管理センタ。
Claims (6)
- 電力系統に連系する複数の発電設備の発電電力を電力系統を介して需要家に供給する電力託送における発電電力制御装置において、
前記発電設備が電力系統に送電した送電電力量と、前記需要家が受電した受電電力量をもとに、所定時間区間における前記受電電力量と、前記送電電力量から所定の送電損失電力量を除いた電力量を一致させるため、前記所定時間区間内を所定のサンプリングで区切るサンプリング設定手段と、
前記サンプリング設定手段にて設定された区間毎に計量される受電電力量と送電電力量と所定の送電損失電力量に基づき、サンプリング毎に所定時間の開始時間を起点とした今回サンプリングまでの受電電力量と今回サンプリングまでの所定の送電損失電力量を除いた送電電力量の間の誤差を誤差補正値として次回のサンプリング区間にて誤差を補う誤差補正手段と、
今回サンプリング区間における受電電力量と前回サンプリング区間における受電電力量の差を変動予測値として次回のサンプリングにおける受電電力量の予測を行う受電電力量予測手段と、
前記誤差補正手段による誤差補正値と前記受電電力量予測手段による受電電力量予測値の加算結果に送電損失電力量相当分を加算する送電損失電力量加算手段と、
前記送電損失電力量加算手段の出力を必要送電電力量とし、これを安価に購入できる発電設備に優先的に配分する第1の電力量配分手段とを設け、
前記第1の電力量配分手段の出力を発電設備の担当分送電電力量とし、次回のサンプリング区間における送電電力指令とすることを特徴とする電力託送における発電電力制御装置。 - 電力系統に連系する複数の発電設備の発電電力を電力系統を介して需要家に供給する電力託送における発電電力制御装置において、
前記発電設備が電力系統に送電した送電電力量と、前記需要家が受電した受電電力量をもとに、所定時間区間における前記受電電力量と、前記送電電力量から所定の送電損失電力量を除いた電力量を一致させるため、前記所定時間区間内を所定のサンプリングで区切るサンプリング設定手段と、
前記サンプリング設定手段にて設定された区間毎に計量される受電電力量と送電電力量と所定の送電損失電力量に基づき、サンプリング毎に所定時間の開始時間を起点とした今回サンプリングまでの受電電力量と今回サンプリングまでの所定の送電損失電力量を除いた送電電力量の間の誤差を誤差補正値として次回のサンプリング区間にて誤差を補う誤差補正手段と、
今回サンプリング区間における受電電力量と前回サンプリング区間における受電電力量の差を変動予測値として次回のサンプリングにおける受電電力量の予測を行う受電電力量予測手段と、
前記誤差補正手段による誤差補正値と前記受電電力量予測手段による受電電力量予測値の加算結果に送電損失電力量相当分を加算する送電損失電力量加算手段と、
前記サンプリング設定手段にて設定された区間毎に計量される各発電設備の構内負荷電力量に基づき、今回サンプリング区間における発電設備構内負荷電力量と前回サンプリング区間における発電設備構内負荷電力量の差を変動予測値として次回のサンプリングにおける発電設備構内負荷電力量の予測を行う発電設備構内負荷電力量予測手段と、
前記送電損失電力量加算手段の出力と前記発電設備構内負荷電力量予測手段の出力の加算値を必要発電電力量とし、これを安価に購入できる発電設備を優先的に配分する第1の電力量配分手段と、
前記第1の電力量配分手段で決定される各発電設備に対して割り当てられた各発電設備が担う発電電力量に基づき、各発電設備が有する複数の発電機に割り振る第2の電力量配分手段とを設け、
前記第2の電力量配分手段の出力を各発電設備内の各発電機の発電電力量とし、次回のサンプリング区間における発電電力指令とすることを特徴とする電力託送における発電電力制御装置。 - 前記請求項1または請求項2記載の電力託送における発電電力制御装置において、前記第1の電力量配分手段は、各発電設備の応答が遅い発電所は出力を常に一定値とし、必要電力量から応答が遅い発電所に設けた一定値を差し引いた電力量を残りの発電所にて配分することを特徴とする電力託送における発電電力制御装置。
- 前記請求項1ないし請求項3記載のいずれかの電力託送における発電電力制御装置において、前記発電設備が電力系統に送電した送電電力量から所定の送電損失電力量を除くことにより前記発電設備から前記需要家に供給したとする供給電力量と、前記需要家が受電した受電電力量と、電力会社との間で契約した送電サービス電力の所定時間分相当電力量とを用い、前記供給電力量の前記受電電力量に対する誤差を算出し、この誤差が前記送電サービス電力の所定時間分相当電力量の何パーセントであるかを演算する誤差演算機能と、
メモリ機能と、
表示機能あるいはプリント出力機能とを設け、
所定時間区間毎の前記誤差演算機能による誤差演算値を前記メモリ機能に蓄積し、前記表示機能にて表示、あるいは前記プリント出力機能にてプリント出力することで前記発電設備から前記需要家への供給が所定の誤差に収まっていることの確認が可能となることを特徴とする電力託送における発電電力制御装置。 - 前記請求項4記載の電力託送における発電電力制御装置において、前記誤差演算機能は前記サンプリング設定手段によるサンプリング毎に誤差を演算し、前記表示機能はサンプリング毎の誤差演算機能による誤差演算値を時間に対するグラフとして表示することで所定時間区間にて所定の誤差を逸脱しそうな状態が発生することを早期に察知可能となることを特徴とする電力託送における発電電力制御装置。
- 請求項1,請求項2,請求項4及び請求項5記載のいずれかの電力託送における発電電力制御装置において、所定時間は30分であることを特徴とする電力託送における発電電力制御装置。
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