JP3756013B2 - 液体容器のキャップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、化粧用マニュキア液や修正液等の粘性液を収容し、その先端に粘性液塗布のための先端塗布体を有する液体容器に被着されるキャップに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の液体容器のキャップとしては、特開平4−57771号公報に記載されたものがある。かかる公報に記載されたキャップを図6に示す。図において、キャップ30は、外キャップ32と内キャップ34とからなる2重キャップとなっている。外キャップ32の底面からは、外キャップ32の中心軸上に支持軸32aが突設されており、支持軸32aの先端は拡径された封止片32bとなっている。支持軸32aを挿通して、内キャップ34が封止片32bと外キャップ32の底面との間を摺動可能となっている。内キャップ34と外キャップ32との間には弾性体36が介挿されており、この弾性体36によって、内キャップ34は外キャップ32の底面から離反する方向へと常時付勢されている。また、内キャップ34と外キャップ32との間には、溶剤含浸材38が設けられ、支持軸32aと内キャップ34との間には溶剤流通用の隙間40が設けられている。外キャップ32の内壁にはパッキン42が固定されている。
【0003】
キャップ30が液体容器から取り外されているときには、内キャップ34の底面と支持軸32aの封止片32bとが当接して、同時に、内キャップ34の先端とパッキン42が当接して、溶剤含浸材38が密閉され、溶剤含浸材38からの溶剤の蒸発流出が阻止される。一方、キャップ30が液体容器に被着されているときには、液体容器44の先端が内キャップ34を弾性体36の付勢力に抗して後退させ、内キャップ34と支持軸32aとの間の隙間40から溶剤を液体容器44の先端の刷毛44aへと流出させて、刷毛44aの乾燥防止が図られるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来の液体容器のキャップでは、キャップが液体容器から取り外されているときには、溶剤含浸材が密閉され、溶剤の蒸発流出が阻止されるという利点を有しているが、キャップが液体容器から取り外されている時間、すなわち液体容器が使用されている時間は、液体容器の寿命に対してわずかな時間である。しかしながら、かかる従来の構造では、弾性体、パッキン等の多くの部品を要し、材料費及び組立て手数がかかり、コストが高くなるという問題がある。
【0005】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、低コストで液体容器の先端塗布体の乾燥を防止することができる液体容器のキャップを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明のうち請求項1記載の発明は、粘性液を収容し、その先端に粘性液塗布のための先端塗布体を有する液体容器の先端部に着脱可能に被着され、該先端塗布体を保護する液体容器のキャップであって、
キャップ本体の奥部に前記先端塗布体の乾燥を防止する溶剤を含浸させた溶剤含浸材を設け、さらにキャップ本体内に該溶剤含浸材と前記先端塗布体とを仕切るための仕切り壁を固定し、該仕切り壁の径方向中心部に溶剤含浸材の方へ突出する筒状突出部を形成し、該筒状突出部の突出端において、筒状突出部の側面から突出端面との間にかけて開口を形成し、該開口を通して、溶剤含浸材からの溶剤蒸気を流出させることを特徴とする。
【0007】
キャップが液体容器に被着されているときには、仕切り壁の筒状突出部の突出端に設けた開口から溶剤蒸気を液体容器の先端塗布体へと流出させて、先端塗布体に湿りを与え先端塗布体の乾燥を阻止する。
【0008】
キャップが液体容器から取り外され、例えば溶剤含浸材よりも仕切り壁を下側にしてキャップが設置された場合には、溶剤含浸材に含浸された溶剤が仕切り壁の方へと移動することになるが、この場合、開口が形成されている筒状突出部は、上方に突出することになり、多くは開口よりも下方の筒状突出部以外の仕切り壁の部分で滞留する。従って、筒状突出部の突出端にある開口から溶剤液体が流れ出すことはない。また、キャップが液体容器から取り外され、例えばキャップを横向き、すなわち仕切り壁を縦置きにしてキャップが設置された場合には、筒状突出部も横向きになり、多くの溶剤が溶剤含浸材の中でも、筒状突出部よりも下方の部分に滞留することになり、開口から多量の溶剤液体が流れ出すことはない。尚、これは、キャップが液体容器に被着されている状態においても同様であり、開口から溶剤液体が流れ出すことはない。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、粘性液を収容しその先端に粘性液塗布のための先端塗布体を有する液体容器の先端部に着脱可能に被着され、該先端塗布体を保護する液体容器のキャップであって、
キャップ本体の奥部に前記先端塗布体の乾燥を防止する溶剤を含浸させた溶剤含浸材を設け、さらにキャップ本体内に該溶剤含浸材を内包するケースを固定し、該ケースの先端塗布体から離れたキャップ本体の奥部側にある端面の径方向中心部に溶剤含浸材の方へ突出する筒状突出部を形成し、該筒状突出部の突出端に開口を形成し、さらにケースとキャップ本体との間に溶剤蒸気流通用の通路を形成し、前記開口及び前記通路を通して、溶剤含浸材からの溶剤蒸気を流出させることを特徴とする。
【0010】
キャップが液体容器に被着されているときには、ケースの筒状突出部の突出端に設けた開口から、ケースとキャップ本体との間に形成された通路を通し、溶剤蒸気を液体容器の先端塗布体へと流出させて、先端塗布体に湿りを与え先端塗布体の乾燥を阻止する。
【0011】
キャップが液体容器から取り外され、例えば溶剤含浸材よりもケースのキャップ本体の奥部側にある端面を下側にしてキャップが設置された場合には、溶剤含浸材に含浸された溶剤がその端面の方へと移動することになるが、この場合、開口が形成されている筒状突出部は、上方に突出することになり、多くは開口よりも下方の筒状突出部以外の端面の部分で滞留する。従って、筒状突出部の突出端にある開口から溶剤液体が流れ出すことはない。また、キャップが液体容器から取り外され、例えばキャップを横向き、すなわちケースのキャップ本体の奥部側にある端面を縦置きにしてキャップが設置された場合には、筒状突出部も横向きになり、多くの溶剤が溶剤含浸材の中でも、筒状突出部よりも下方の部分に滞留することになり、開口から多量の溶剤液体が流れ出すことはない。尚、これは、キャップが液体容器に被着されている状態においても同様であり、開口から溶剤液体が流れ出すことはない。
キャップが液体容器に被着されている状態で、先端塗布体から粘性液が飛び出した場合であっても、開口が先端塗布体と面していないので、開口が粘性液によって詰まることはない。
【0012】
また、請求項3記載の発明は、請求項2記載のものにおいて、前記ケースの先端塗布体に対向するキャップ本体の手前側にある端面の周縁に、先端塗布体の方へ突出する鍔部を形成することを特徴とする。
【0013】
キャップが液体容器に被着されている状態で、先端塗布体から粘性液が飛び出した場合があっても、鍔部によって粘性液が外径方向へと飛散するのを阻止する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図1ないし図3は本発明の第1の実施の形態による液体容器のキャップを示している。図において、符号10は液体容器であり、液体容器10は、例えば、化粧用マニュキアや修正液等の粘性液が収容されているタンク部10aと、このタンク部10aの先端に固定された先具10bと、タンク部10aの先端部に固定された先具受け10cと、先具受け10cに形成された液導出口10dに連通する液導出管10eと、先具10b内にその基端が固定され先具10bから突出する先端塗布体である刷毛10fと、を有している。タンク部10aは可撓性材料で形成されており、使用時には、タンク部10aを押圧することによって、粘性液が刷毛10fへと供給されて、塗布を行うことができるようになっている。
【0016】
また、符号12は、不使用時の刷毛10fを保護するために、液体容器10の先端に着脱可能に被着される本発明に係るキャップであり、13はキャップ本体である。キャップ本体13の奥部には、粘性液と同一の液または希釈液等からなる溶剤を飽和状態で含浸させた、例えばフェルト、綿からなる溶剤含浸材14が設けられている。溶剤含浸材14は、ケース部材16と蓋部材18とからなるケース20の中に収容されており、これら溶剤含浸材14、ケース部材16、蓋部材18はユニットに組み立てられた後、キャップ本体13内に圧入固定される。
【0017】
ケース部材16の刷毛10fと対向する端面は、溶剤含浸材14と液体容器10の刷毛10fとを仕切るための仕切り壁16aとなっている。仕切り壁16aの径方向中心部には、溶剤含浸材14の方へ突出する筒状突出部16bが形成されている。さらにこの筒状突出部16bの突出端において、図2に示したように、筒状突出部16bの側面16cから突出端面16dとの間にかけて小さな開口16eが形成されている。この位置に開口16eを形成することにより、仕切り壁16aを抜型で成形することができて、開口面がキャップ12の軸方向に平行となった開口16eを成形することができる。従って、型も傷まず、成形もきれいにできて、より低コストに製造することができる。
【0018】
以上のように構成されるキャップにおいては、キャップ12が液体容器10に被着されているときには、仕切り壁16aの筒状突出部16bの突出端に設けた開口16eから溶剤蒸気が液体容器10の刷毛10fへと流出し、刷毛10fに湿りを与え、刷毛10fの乾燥を阻止する。
【0019】
キャップ12が刷毛10fから取り外され、図3(a)に示したように、例えば溶剤含浸材14よりも仕切り壁16aを下側にしてキャップ12が設置された場合には、溶剤含浸材14に含浸された溶剤14aが仕切り壁16aの方へと移動することになるが、この場合、開口16eが形成されている筒状突出部16bは上方に突出しており、多くの溶剤14aは開口16eよりも下方となる筒状突出部16bの周囲の仕切り壁の部分で滞留することになり、開口16eから溶剤液体が流れ出すことはない。このとき、溶剤含浸材14に含浸される溶剤14aの全量に対して、筒状突出部16b周囲の容積が十分になるように、筒状突出部16bの突出長さ、即ち、開口16eと仕切り壁16aの長さL1を十分大きく設定しておく。また、キャップ12が液体容器10から取り外され、図3(b)に示したように、例えばキャップを横向き、すなわち仕切り壁16aを縦置きにしてキャップ12が設置された場合には、筒状突出部16bも横向きになり、多くの溶剤が溶剤含浸材14の中でも、筒状突出部16bよりも下方の部分に滞留することになり、開口16eから溶剤液体が流れ出すことはない。このとき、溶剤含浸材14に含浸される溶剤14aの全量に対して、筒状突出部16bより下方の容積が十分になるように、筒状突出部16bとケース部材16の側面との間の長さL2を十分大きく設定しておく。尚、キャップ12が液体容器10に被着されている状態においても溶剤液体が流れ出さないことは同じである。
【0020】
こうして、バネ等を不要とし、材料費を低減することができる。また、キャップの組立ても、溶剤含浸材14を含むケース20を圧入するだけであるので、簡単に溶剤含浸材14を有するキャップ12を製造することができる。
【0021】
次に、図4は本発明の第2の実施の形態を表す縦断面図である。図において、第1の実施の形態と同様の部材は同一の符号を付し、その詳細説明を省略する。
【0022】
図において、溶剤含浸材14は、ケース部材26と蓋部材28とからなるケース24内に内包されている。ケース24はキャップ本体13に固定されている。ケース24の刷毛10fから離れたキャップ本体13の奥部側にある端面となる蓋部材28の径方向中心部には、溶剤含浸材14の方へ突出する筒状突出部28bが形成されている。さらにこの筒状突出部28bの突出端面28cに開口28dが形成されている。また、ケース部材26の側面には、図5に示したように、円形断面が一部凹んだ凹部26aが形成されており、凹部26aとキャップ本体13との間に隙間が形成されて、この隙間が溶剤蒸気流通用の通路29となっている。また、ケース部材26の周縁からは、刷毛10fの方に向けて鍔部26bが形成されている。
【0023】
以上のように構成されるキャップにおいては、キャップ12が液体容器10に被着されているときには、蓋部材28の筒状突出部28bの突出端28cに設けた開口28dから溶剤蒸気が液体容器10の刷毛10fへと流出し、刷毛10fに湿りを与え、刷毛10fの乾燥を阻止する。キャップ12が液体容器10に被着されている状態で、タンク部10aを押圧する等して刷毛10fから粘性液が飛び出すことがあった場合でも、その粘性液は主にケース部材26に付着し、ケース部材26の鍔部26bによって外径方向へ飛散することが阻止される。このため、通路29や開口28dの方へ飛び散ってこれらを詰まらせるおそれはない。
【0024】
第1の実施の形態と同様に、キャップ12が刷毛10fから取り外され、例えば溶剤含浸材14よりも蓋部材28を下側にしてキャップ12が設置された場合には、溶剤含浸材14に含浸された溶剤14aが蓋部材28の方へと移動することになるが、この場合、開口28dが形成されている筒状突出部28bは上方に突出しており、多くの溶剤14aは開口28dよりも下方となる筒状突出部28bの周囲の蓋部材28の部分で滞留することになり、開口28dから溶剤液体が流れ出すことはない。このとき、溶剤含浸材14に含浸される溶剤14aの全量に対して、筒状突出部28b周囲の容積が十分になるように、筒状突出部28bの突出長さ、即ち、開口28dと蓋部材28の長さL3を十分大きく設定しておく。また、キャップ12が液体容器10から取り外され、キャップを横向き、すなわち蓋部材28を縦置きにしてキャップ12が設置された場合には、筒状突出部28bも横向きになり、多くの溶剤が溶剤含浸材14の中でも、筒状突出部28bよりも下方の部分に滞留することになり、開口28dから溶剤液体が流れ出すことはない。このとき、溶剤含浸材14に含浸される溶剤14aの全量に対して、開口28dより下方の容積が十分になるように、開口28dとケース部材26の側面との間の長さL4を十分大きく設定しておく。尚、キャップ12が液体容器10に被着されている状態においても溶剤液体が流れ出さないことは同じである。
【0025】
以上のように、第2の実施の形態においても、バネ等を不要とし、材料費を低減することができる。また、キャップの組立ても、溶剤含浸材14を含むケース24を圧入するだけであるので、簡単に溶剤含浸材14を有するキャップ12を製造することができる。また、開口28dが刷毛10fに直接面していないので、刷毛10fから飛び出した開口28dが粘性液によって詰まることがない。また、鍔部16bがあるので、一層、開口28dや通路29への粘性液の詰まりが防止される。
【0026】
尚、本実施の形態では、先端塗布体として刷毛10fを例にとったが、これに限るものではなく、細管、棒状体等であっても、同様に適用可能である。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、バネ等の部品を不要として材料費を低減でき、かつ組み立ても簡単で、低コストで液体容器の先端塗布体の乾燥を防止することができるキャップとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液体容器のキャップの第1の実施の形態を表す縦断面図である。
【図2】図1の要部拡大図であり、図1とキャップの中心軸線回りに90度異なる面で切った断面図である。
【図3】キャップを液体容器から取り外した状態の部分断面図を表し、(a)は溶剤含浸材14よりも仕切り壁16aを下側になるように設置した状態、(b)は仕切り壁16aを縦置きになるように設置した状態を表す。
【図4】本発明の液体容器のキャップの第2の実施の形態を表す縦断面図である。
【図5】溶剤含浸材が無い状態における図4の5−5線に沿って見た断面図である。
【図6】従来の液体容器のキャップの縦断面図である。
【符号の説明】
10 液体容器
10f 刷毛(先端塗布体)
12 キャップ
13 キャップ本体
14 溶剤含浸材
16a 仕切り壁
16b 筒状突出部
16c 側面
16d 突出端面
16e 開口
24 ケース
26b 鍔部
28 ケースの端面
28b 筒状突出部
28d 開口
29 通路

Claims (3)

  1. 粘性液を収容しその先端に粘性液塗布のための先端塗布体を有する液体容器の先端部に着脱可能に被着され、該先端塗布体を保護する液体容器のキャップであって、
    キャップ本体の奥部に前記先端塗布体の乾燥を防止する溶剤を含浸させた溶剤含浸材を設け、さらにキャップ本体内に該溶剤含浸材と前記先端塗布体とを仕切るための仕切り壁を固定し、該仕切り壁の径方向中心部に溶剤含浸材の方へ突出する筒状突出部を形成し、該筒状突出部の突出端において、筒状突出部の側面から突出端面との間にかけて開口を形成し、該開口を通して、溶剤含浸材からの溶剤蒸気を流出させることを特徴とする液体容器のキャップ。
  2. 粘性液を収容しその先端に粘性液塗布のための先端塗布体を有する液体容器の先端部に着脱可能に被着され、該先端塗布体を保護する液体容器のキャップであって、
    キャップ本体の奥部に前記先端塗布体の乾燥を防止する溶剤を含浸させた溶剤含浸材を設け、さらにキャップ本体内に該溶剤含浸材を内包するケースを固定し、該ケースの先端塗布体から離れたキャップ本体の奥部側にある端面の径方向中心部に溶剤含浸材の方へ突出する筒状突出部を形成し、該筒状突出部の突出端に開口を形成し、さらにケースとキャップ本体との間に溶剤蒸気流通用の通路を形成し、前記開口及び前記通路を通して、溶剤含浸材からの溶剤蒸気を流出させることを特徴とする液体容器のキャップ。
  3. 前記ケースの先端塗布体に対向するキャップ本体の手前側にある端面の周縁に、先端塗布体の方へ突出する鍔部を形成することを特徴とする請求項2記載の液体容器のキャップ。
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