JP3755884B2 - パラレルシーム接合装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は,水晶振動子のような回路素子又は回路素子を含む電子回路を収納してなるセラミック製などの外囲器と蓋とを接合するのに適したパラレルシーム接合装置に関する。
半導体素子,集積回路又は水晶振動子などの回路素子を気密封止する通常のパラレルシーム接合装置は,一般に外囲器と蓋とを予め仮付けした状態で一対のローラ状の接合用電極がその上を加圧しながら回動し、それら一対のローラ状の接合電極の一方から蓋を通して他方へ電流を流すことにより、外囲器と蓋とを接合する。
これを図11(A)乃至(C)により説明すると,一般にパラレルシーム接合装置はそのコストを低減するなどの理由から商用電力で用いられ、接合用トランス1の1次巻線1Pには、サイリスタを逆並列接続してなる電力制御手段6により制御された50又は60Hzの周波数の商用電力が供給される。そして2次巻線1Sから一対の接合用電極2、3へ同図(C)に示すような交流電流が流れる。このとき一対の接合用電極2、3は予め仮付けされた外囲器4と蓋5を予め調整された加圧力で加圧しながら回転運動し、外囲器4と蓋5の全周をシーム接合する。
特開平6−7946号
しかしこのようなパラレルシーム接合装置では,外囲器4と蓋5の双方が金属材料からなる場合には特に問題がないが、蓋5は一般に金属材料からなり、外囲器4がセラミック材料、又はセラミック材料に金属材料が組み合わされている場合には、セラミック材料は金属材料に比べて熱伝導が低いので、連続してパラレルシーム接合を行うと、外囲器4に熱がこもり、それらの温度が上昇する上に、それらの熱膨張係数も違うことなどが原因で、パラレルシーム接合中又は接合後の冷却中にセラミック製の外囲器4が割れたり、ひびが入ったりすることがある。
本発明は,給電期間と給電休止期間とを有効に与えて、セラミック製の外囲器でも破損することなくパラレルシーム接合し得るパラレルシーム接合装置及び方法を提供することを主目的としている。
このような問題点を解決するため、第1の発明では、所定回路素子又は電子回路を収納してなる外囲器と蓋部材とを加圧しながら回動する一対以上の接合用電極の間に接合用トランスから電流を流してシーム接合するパラレルシーム接合装置において,前記接合トランスの1次巻線に、直流電圧を高周波の交流電圧に変換する高周波インバータ装置を接続し、該高周波インバータ装置は高周波変換動作を間欠的に行うパラレルシーム接合装置を提供するものである。
このような問題点を解決するため、第2の発明では、所定回路素子又は電子回路を収納してなる外囲器と蓋部材とを加圧しながら回動する一対以上の接合用電極の間に接合用トランスから電流を流してシーム接合するパラレルシーム接合装置において,前記接合用トランスの1次巻線に、直流電圧を高周波の交流電圧に変換する高周波インバータ装置を接続し、前記接合トランスの2次巻線に間欠的に動作するスイッチング半導体素子を備えたことを特徴とするパラレルシーム接合装置を提供するものである。
このような問題点を解決するため、第3の発明では、所定回路素子又は電子回路を収納してなる外囲器と蓋部材とを加圧しながら回動する一対以上の接合用電極の間に間欠的に電流を流してシーム接合するパラレルシーム接合方法であって,パラレルシーム接合が進むに伴い前記接合用電極間を通流する電流量を少なくするパラレルシーム接合方法を提供するものである。
このような問題点を解決するため、第4の発明では、所定回路素子又は電子回路を収納してなる外囲器と蓋部材とを加圧しながら回動する一対以上の接合用電極の間に間欠的に電流を流してシーム接合するパラレルシーム接合方法であって,前記接合用電極間を電流が通流する給電期間とその電流の通流しない給電休止期間の比率(給電休止期間/給電期間)が3.0〜10.0の範囲にあり、かつ前記電流が実質的に流れる給電期間の幅が2.0〜5.0ミリ秒の範囲にあることを特徴とするパラレルシーム接合方法を提供するものである。
また、このような問題点を解決するため、第3の発明又は第4の発明において、少なくとも前記蓋部材に冷却用気体を吹きつけて接合を行うパラレルシーム接合方法を提供するものである。
本発明によれば、シーム接合電流を間欠的に流しながら外囲器と蓋とをパラレルシーム接合しているので、外囲器がセラミック材料又はセラミック材料と金属材料の組み合わせなどからなる場合にも、外囲器にひび又は亀裂が生ずることなく良好なパラレルシーム接合による気密封止が得られる。
また、接合用トランスの1次巻線に間欠的に高周波電力を与えることにより、接合用トランスを小型化できると共に、電力損失の低減も図られ、外囲器の構成材料や接合速度に適した種々のシーム接合電流を供給することができる。
さらに、金属材料からなる蓋部材に冷却用気体を吹きつけて接合を行うことにより、外囲器にひび又は亀裂が生ずることなく接合速度を向上させることができる。
先ず、本発明を実施するための最良の形態を示す実施例1について説明する。
図1により本発明の原理について説明を行う。図11で示した記号と同一の記号は相当する部材を示す。この発明は、外囲器を構成するセラミック材料などの電気絶縁材料は金属材料に比べて熱伝導性が低く、かつ金属材料とは熱膨張係数が異なることが、電気絶縁材料にひびが入ったり、割れてしまう主要原因であるという知見に基づいて、連続的にシーム接合電流を流さずに、電気絶縁材料および金属材料からなる蓋が損傷しない程度に冷却される電流を流さない休止期間を設けながら間欠的にシーム接合電流を流すものである。
図1において、7は接合用トランス1の2次巻線1Sの一端と一対のローラ状の接合用電極2と3の内の一方の電極2との間に接続された給電休止用手段である。この給電休止用手段7は、電力制御手段6を通して商用交流電源MSから接合用トランス1の1次、2次巻線を流れる制御された電流をある方向のみ流し、他方向へは電流を流さない一方向の素子又は回路、あるいは一方向のみ又は双方向のある一部分の期間電流を流し、またその次の一部分の適当な長さの期間電流を遮断するといった動作を繰り返す素子又は回路である。一般に外囲器は、図2に示すようなワークカセット又はキャリッジボードなどと呼ばれる外囲器受け部材8の各凹所8Aに載置され、その外囲器受け部材8はステンレスのような熱伝導の比較的良好な金属材料からなるので、外囲器4から放熱される熱の大部分は外囲器受け部材8を通して放熱される。また、蓋5は金属材料からなるので外囲器4よりは熱伝導性が高く、したがって、シーム接合用の電流を流す期間、即ち給電期間と給電期間との間に、その電流を流さない期間、つまり給電休止期間を適当な長さで挟むことにより、外囲器4および蓋5の熱の一部分は放熱されるので温度上昇が抑制され、それらの膨張係数の違いによる機械的応力も小さく抑えられる。
これら給電休止期間と給電期間の好ましい比率(給電休止期間/給電期間=P)は、外囲器4及び蓋5の構成材料、外囲器受け部材8の構成材料、電流の周波数及び大きさなど種々の条件に依存するので一概に決められないが、電気絶縁材料にひびが入ったり、割れてしまうことを防ぐためには前記比率Pはほぼ3.0以上で、また接合面を溶融させずに良好な接合を得るためにも接合用電流の実質的な幅、つまり給電期間はほぼ5ミリ秒以下(50Hzの商用電圧の場合では例えば、各半サイクルで90乃至180度の範囲の導通幅に相当する。)である。また、実際上要求される接合速度の面からも前記比率Pはほぼ10.0以下で、外囲器4と蓋5の熱伝導度と実際の接合速度の関係から接合用電流の幅は2ミリ秒以上であることが好ましい。それ以上に比率Pが大きく、かつ接合用電流の幅が小さい場合には、外囲器4および蓋5が必要以上に冷却されるので、シーム接合時の熱効率が低くなり、接合速度が遅くなり過ぎるばかりでなく、電力効率が低くなるため好ましくない。
次に図3により本発明の最も簡便な実施例について説明を行う。図9及び図1で示した記号と同一の記号は相当する部材を示す。この実施例では給電休止用手段7として半導体整流素子Dが用いられている。同図では単一の半導体整流素子Dが示されているが、電流容量の関係から半導体整流素子を必要個数並列に接続しても勿論よい。半導体整流素子Dは良く知られているように、交流電圧の順方向電圧の半サイクルのみ導通して、一方の接合用電極2から金属製の蓋5を通して他方の接合用電極3に電流を流し、交流電圧の逆方向電圧の半サイクルでは導通せず、電流を遮断する。したがって、電力制御手段6のオン、オフ動作により、接合用トランス1の1次巻線1Pに商用交流電源MSから50Hzの周波数の商用電圧の各半サイクルの一部分が印加されるされる場合、2次巻線1Sには50Hzの正の半サイクルの一部分に相当する間欠的な一方向の電流が流れる。つまり、電力制御手段6が各半サイクルのほぼ90度で導通し、ほぼ180度で非導通になるものとすると、各サイクルにおいてほぼ90度導通してほぼ270度非導通であるから、約5ミリ秒の給電期間と15ミリ秒の給電休止期間が交互に繰り返されることになり、外囲器4はその15ミリ秒の給電休止期間毎に冷却される。この実施例では、2次巻線1Sには間欠的な直流電流が流れるが、1次巻線1Pにはほぼ正負対称の商用交流電圧が印加されので、接合用トランス1が偏励磁を起こすことがなく、一般に何ら特別の手段などを付加しなくとも安定に動作する。
次に図4により本発明の別の実施例について説明を行うと、給電休止用手段7として用いられるスイッチング半導体素子Tは、MOSFET、バイポーラトランジスタ又はIGBTのような自己消弧型の半導体素子、あるいはサイリスタのような自己保持型のスイッチング半導体素子と、これを駆動する駆動回路7Aとからなる。接合用トランス1の1次巻線1Pに電力を供給する交流電源が商用電源MSであり、スイッチング半導体素子TがIGBTであるとすると、スイッチング半導体素子Tは商用電圧の正の半サイクルのある導通角度でターンオンされる。例えば、スイッチング半導体素子Tが50Hzの商用電圧のピーク値の両側でほぼ45乃至135度の範囲で導通するものとすると、給電期間はほぼ90度で、給電休止期間はほぼ270度となり、給電休止期間/給電期間の比率Pはほぼ3となる。また、スイッチング半導体素子Tがほぼ60乃至120度の範囲で導通するものとすると、給電期間はほぼ60度で、給電休止期間はほぼ300度となり、給電休止期間/給電期間の比率Pはほぼ5となる。このような場合には、大きな値の電流を流せるのでその電流のパルス幅を小さくでき、給電休止期間を長くとれるので、電力効率が良いばかりでなく好ましい接合が得られ、また接合速度を速めることも可能である。
また、スイッチング半導体素子TがMOSFET、バイポーラトランジスタ、又はIGBTなどのような自己消弧型の半導体素子の場合には、商用交流電圧の周波数に比べてかなり高い、例えば1乃至数10kHzの周波数の高周波駆動信号が駆動回路7Aから間欠的に与えられることにより、商用交流電圧の正の半サイクルで間欠的に高周波動作を行っても良い。例えば、スイッチング半導体素子Tのスイッチング周波数が20kHzの場合,前述のように商用電圧の正の半サイクルの30〜150度の範囲において50%のデューティサイクルで高周波スイッチング動作を行い、商用電圧の正の半サイクルの0〜30度、150〜180度の範囲および負の半サイクルの180度の期間オフを続けることにより、接合用トランス1を大幅に小型・軽量化できる。また、この実施例においても前記実施例と同様に接合用トランス1が偏励磁を起こすことがなく、何ら特別の手段を設けたり、制御などを行わなくとも安定に動作する。
次に図5により本発明の別の実施例について説明を行うと、接合用トランス1は単一の1次巻線1Pと1又は2ターンの第1、第2の二つの2次巻線1S1、1S2とを有し、第1と第2の給電休止用手段7、7として用いられる前述のような二つのスイッチング半導体素子T1、T2が2次巻線1S1、1S2のそれぞれの一端と接合用電極2との間に接続され、2次巻線1S1、1S2の他端同士が一緒に接合用電極3に接続される。スイッチング半導体素子T1、T2の制御端子は駆動回路7Aに接続され、これらスイッチング半導体素子T1、T2は交互の半サイクルである導通角だけオンする。例えば、スイッチング半導体素子T1は電源周波数の各サイクルの一方の半サイクルのほぼ75〜105度だけオンし、スイッチング半導体素子T2は電源周波数の各サイクルの他方の半サイクルのほぼ75〜105度だけオンする。したがってこの場合には、それぞれの一対の接合用電極に流れる電流は商用電圧の各サイクルにおいてほぼ60度で、給電休止期間がほぼ300度になり、前記比率Pは約5となる。又は前述と同様に、スイッチング半導体素子T1、T2は商用交流電源MSの周波数よりも十分に高い周波数で、例えばデューティサイクルが50%、スイッチング半導体素子T1、T2はそれぞれ各半サイクルでほぼ60〜120度の期間だけ高周波スイッチング動作を行う。この場合にも前述とほぼ同じで、給電休止期間/給電期間の比率Pはほぼ5となる。この実施例では各半サイクルとも給電期間と給電休止期間の調整が簡単に行え、前記実施例に比べてきめの細かいシール接合が可能となる。
次に図6により本発明の別の実施例について説明を行うと、接合用トランス1は単一の1次巻線1Pと1又は2ターンの一対の2次巻線1S1、1S2を有し、第1の2次巻線1S1の一端は第1の給電休止用手段7としての半導体整流素子D1を通して第1の一対の接合用電極の一方2Aに接続され、その他端は接合用電極3Aに接続される。第2の2次巻線1S2の一端は第2の給電休止用手段7としての半導体整流素子D2を通して第2の一対の接合用電極の他方3Bに接続され、その他端は第2の一対の接合用電極の一方2Bに接続されると共に、2次巻線1S1の他端に接続される。第1、第2の一対の接合用電極を用いて、外囲器と蓋のX方向の対辺とY方向の対辺とをシーム接合する装置及び方法については特開平6−7946号公報で開示しており、このようなシーム接合に用いる場合に非常に有効である。この実施例では、電力制御手段6の各半サイクルでの導通時間に対応して、半導体整流素子D1が一方の半サイクルで導通し、他方の半サイクルで半導体整流素子D2が導通して、それぞれの外囲器4と蓋5の対辺を接合させるので、一方の対辺と他方の対辺の長さが等しい場合に有効である。しかし電力制御手段6の正の半サイクルでの導通時間と負の半サイクルでの導通時間を違え、導通時間の長い側の接合用電極の回転を速めて接合速度を高めることにより、X方向の対辺とY方向の対辺の異なる外囲器と蓋の接合も可能である。
次に図7により本発明の別の実施例について説明を行うと、接合用トランス1は単一の1次巻線1Pと2次巻線1Sを有し、2次巻線1Sの一端は給電休止用手段7としてのシリコン制御整流器のようなスイッチング半導体素子T1を通して第1の一対のローラ状の接合用電極の一方2Aに接続されると共に、第2の一対の接合用電極の他方3Bに接続される。また、2次巻線1Sの他端は給電休止用手段7としてのスイッチング半導体素子T2を通して第2の一対の接合用電極の一方2Bに接続されると共に、第1の一対の接合用電極の他方3Aに接続される。
A端子側の電圧が正の半サイクルではスイッチング半導体素子T1が所望の導通角でスイッチング動作を行い、B端子側の電圧が正の半サイクルではスイッチング半導体素子T2が所望の導通角でスイッチング動作を行う。この実施例では、単一の2次巻線で2組の接合用電極に対して給電を行うことが可能であり、スイッチング半導体素子T1、T2の導通角をほぼ0から180度の範囲で任意に選ぶことができ、またスイッチング動作期間も任意に制御できるので、外囲器4と蓋5のX方向の対辺とY方向の対辺との長さが異なっても、また外囲器4と蓋5の双方が金属材料からなる場合にも、所望のシーム接合が可能である。
次に図8により本発明の別の一実施例について説明を行うと、この特徴は給電休止用手段7に並列にスイッチ手段SWを接続したところにある。外囲器4と蓋5の材料が同質の金属材料からなる場合などでは、給電を休止する期間を設ける必要はなく、したがって、このような場合には給電休止用手段7に並列に接続されたスイッチ手段SWを閉じることにより、給電休止を行うことなく接合が可能になる。つまりこの実施例では、給電休止が必要な外囲器4と蓋5とを接合する場合にはスイッチ手段SWを開放した状態におき、そして給電休止が不要な外囲器4と蓋5とを接合する場合にはスイッチ手段SWを閉じた状態にすることにより、1台のシーム接合装置で種々の材料からなる外囲器と蓋とを接合することができる。ここでスイッチ手段SWは、給電休止用手段7がダイオードで構成される場合には機械的スイッチからなる方が電力損失が小さくて好ましいが、シリコン制御整流器又はIGBTのような制御可能な半導体スイッチ素子でも勿論よい。また、トランスの1次側に電力制御手段を備えない場合には、給電休止用手段7としてシリコン制御整流器又はIGBTのような制御可能な半導体スイッチ素子を用いることもあるが、この場合にはその制御可能な半導体スイッチ素子と同一の半導体スイッチ素子をスイッチ手段SWとして用い、給電休止用手段7が休止する一方の半サイクルにおいて給電休止用手段と同様に動作させれば良い。
次に図9により本発明の別の一実施例について説明を行うと、接合用トランス1の1次巻線1Pには偏励磁防止用のコンデンサ9を通して高周波インバータ10が接続される。高周波インバータ10は、一般的な一対のスイッチング半導体素子2組で構成してなるフルブリッジ回路構成、又は一対のスイッチング半導体素子と一対のコンデンサとで構成されたハーフブリッジ回路構成などからなり、整流回路11により商用交流電力から直流に変換された直流電力を所望の高周波、例えば20kHzの交流電力に変換することができる。高周波インバータ10のスイッチング半導体素子をスイッチングさせる制御回路12は、図示のように高周波駆動信号を間欠的に発生する。セラミック材料からなる外囲器4と金属材料からなる蓋5とを、デューティサイクルが50%で20kHzの高周波電力でシーム接合を行う場合、制御回路12は20kHzのパルス信号群を間欠的に出力する。制御回路12は、好ましくは20kHzの高周波のほぼ40サイクル乃至200サイクル分に相当するパルス信号群をほぼ30サイクル乃至500サイクル分に相当する給電休止期間を挟んで間欠的に高周波インバータ10に出力し、高周波インバータ10を高周波で動作させる。2次巻線1S1、1S2の間欠的な高周波交流電力は整流回路13で整流され、接合用電極2Aと3A、2Bと3Bにそれぞれ供給される。この実施例では接合用トランスを大幅に小型・軽量化でき、しかも外囲器4と蓋5の大きさ、接合速度などの条件に合わせてシーム接合できるなど、種々のシーム接合方法を実現でき、実用上大きな効果を奏する。
また通常、外囲器4と蓋5の一端側から他端側に向けてシーム接合が行われるが、シーム接合が進行して行く側、つまりシーム接合が後で行われる側の対辺部分ほど、既にシーム接合が行われた対辺部分から伝導される熱で温度が上昇する。この温度上昇が、金属材料からなる蓋5とセラミック材料からなる外囲器4との間に大きな熱膨張の差を生み、それらの冷える過程で外囲器4に亀裂などが発生ずるものと考えられる。したがって、別の実施例の接合方法では、一般的に行われているパルス幅制御を併用し、シーム接合が進むにつれて各サイクルの電流のパルス幅を小さく、あるいはシーム接合の前半に比べて後半における電流のパルス幅を小さくすることにより、シーム接合の前半に比べて後半における電流量を小さくし、シーム接合の後半における熱の発生を抑制して温度上昇をできるだけ全体的に均一化する方法である。また、シーム接合の前半に比べて後半における電流量を小さくする他の方法として、シーム接合の前半に比べて後半における電流パルス群の内のパルス数を減少させ、その分だけ給電休止期間を長くする方法も同様に可能である。その他にも各電流パルス群のパルス数は変えないで、給電休止期間をシーム接合の前半に比べて後半において長くする方法も考えられるが、シーム接合速度が遅くなるので、あまり得策ではない。
この実施例にあっては、シーム用接合電流を細かくかつ精確に制御できるので、シーム接合速度に適した制御が可能となり、シーム接合速度をさほど低下させることなく良好な気密封止を行えるばかりでなく、インバータ装置を間欠的に動作させるので、連続して動作させる場合に比べて容量を小さくでき、しかも電力損失を低減することができる。なお、2次側回路が図3に示したような構成であり、かつ2次側回路のインダクタンスを小さくできるならば、整流回路13を除去して交流電力で接合を行うことも可能である。また、接合用トランス1を高周波で駆動するので小型化することが可能である。ここで、整流回路13は図3又は図4に示した回路でも良いことは勿論のこと、図5に示したような回路構成でも良い。
以上述べた実施例に比べてさらにシーム接合速度を速めるには、シーム接合が進行して行く側、つまりシーム接合が後で行われる側の蓋5部分に冷却用気体を吹きつけて冷却するのが好ましい。図10に示すように、接合用電極の走行の邪魔にならない位置に圧搾空気を噴出するエアノズル14を配置し、シーム接合が後で行われる側の蓋5部分に斜め後方から圧搾空気を吹きつけることにより、その部分の冷却が行え、また接合用電極をも冷却することになるので、接合用電極が蓋5の放熱体となり更に冷却が促進される。したがって、外囲器4と蓋5の冷却、特にシーム接合後半部分の冷却が有効に行われるので、従来に比べて温度上昇が抑制され、それら熱膨張係数の差異による機械的応力を小さくできるため、セラミック材料からなる外囲器に亀裂などが入るのを防ぐことができる。なお、外囲器4と蓋5との気密封止作業が窒素のような不活性のガスの雰囲気で行われる場合には、その雰囲気内に供給されるガスを冷却用ガスとしてエアノズル14から噴出させれば効果的である。
本発明の原理を説明するための図面である。 本発明の実施例に用いられる外囲器受け部材を説明するための図面である。 本発明にかかる一実施例を説明するための図面である。 本発明にかかる他の一実施例を説明するための図面である。 本発明にかかる他の一実施例を説明するための図面である。 本発明にかかる他の一実施例を説明するための図面である。 本発明にかかる他の一実施例を説明するための図面である。 本発明にかかる他の一実施例を説明するための図面である。 本発明にかかる他の一実施例を説明するための図面である。 本発明にかかる他の一実施例を説明するための図面である。 従来の装置及び方法を説明するための図面である。
符号の説明
1・・・接合用トランス
2、3・・・接合用電極
4・・・外囲器
5・・・蓋
6・・・電力制御手段
7・・・給電休止用手段
8・・・外囲器受け部材
9・・・偏励磁補償用コンデンサ
10・・・インバータ装置
11・・・整流回路
12・・・制御回路
13・・・整流回路
14・・・エア噴出ノズル
SW・・・スイッチ手段

Claims (5)

  1. 所定回路素子又は電子回路を収納してなる外囲器と蓋部材とを加圧しながら回動する一対以上の接合用電極の間に接合用トランスから電流を流してシーム接合するパラレルシーム接合装置において、
    前記接合トランスの1次巻線に、直流電圧を高周波の交流電圧に変換する高周波インバータ装置を接続し、該高周波インバータ装置は高周波変換動作を間欠的に行うことを特徴とするパラレルシーム接合装置。
  2. 所定回路素子又は電子回路を収納してなる外囲器と蓋部材とを加圧しながら回動する一対以上の接合用電極の間に接合用トランスから電流を流してシーム接合するパラレルシーム接合装置において、
    前記接合用トランスの1次巻線に、直流電圧を高周波の交流電圧に変換する高周波インバータ装置を接続し、前記接合トランスの2次巻線に間欠的に動作するスイッチング半導体素子を備えたことを特徴とするパラレルシーム接合装置。
  3. 所定回路素子又は電子回路を収納してなる外囲器と蓋部材とを加圧しながら回動する一対以上の接合用電極の間に間欠的に電流を流してシーム接合するパラレルシーム接合方法であって、
    パラレルシーム接合が進むに伴い前記接合用電極間を通流する電流量を少なくすることを特徴とするパラレルシーム接合方法。
  4. 所定回路素子又は電子回路を収納してなる外囲器と蓋部材とを加圧しながら回動する一対以上の接合用電極の間に間欠的に電流を流してシーム接合するパラレルシーム接合方法であって、
    前記接合用電極間を電流が通流する給電期間とその電流の通流しない給電休止期間の比率(給電休止期間/給電期間)が3.0〜10.0の範囲にあり、かつ前記電流が実質的に流れる給電期間の幅が2.0〜5.0ミリ秒の範囲にあることを特徴とするパラレルシーム接合方法。
  5. 少なくとも前記蓋部材に冷却用気体を吹きつけて接合を行うことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のパラレルシーム接合方法
JP2004039106A 1994-07-08 2004-02-16 パラレルシーム接合装置及び方法 Expired - Lifetime JP3755884B2 (ja)

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