JP3755435B2 - 乗員拘束装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両に搭載される乗員拘束装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の衝突を検出してエアバッグを展開する際に、衝突の直前における乗員とエアバッグ飛出口(デプロイメントドア:deployment door)との間の距離と、衝突の衝撃により発生する乗員の移動量とに基づいて、エアバッグ展開時の乗員の存在位置を推定し、この推定した乗員位置が、SZ(Safety Zone)の領域のときには通常の膨張力であるNormalモードで展開し、KOZ(Keep Out Zone)の領域に進入しているときには、エアバッグの膨張力を緩和させたTailoredモードで展開するような乗員拘束装置が知られている(特開2000−16230号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した従来の乗員拘束装置では、乗員とエアバグ飛出口との間の距離を測定する乗員位置検出装置とエアバッグの展開制御を行うエアバッグコントロールユニットとの間が、通信ラインで接続されているため、これら両者間で通信遅延時間が発生してしまう。
【0004】
また、通信ラインを介して送る情報として、乗員とエアバッグ飛出口との間の距離情報を用いているため、乗員位置検出装置とエアバッグコントロールユニットとの間の通信伝達遅延時間が長い場合には、通信が伝達している間にも乗員の位置が変化してしまう。
【0005】
そのため、エアバッグコントロールユニットが認識した乗員の位置と実際の乗員の位置とでは、上記した通信遅延時間の間に乗員が移動してしまった距離だけずれが生じ、実際にはKOZの領域に進入しているのにSZ領域に存在すると判断してしまう可能性がある。
【0006】
そこで、この発明は、通信遅延時間を考慮し、エアバッグ展開時の乗員の位置を正確に推定できるようにすることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1の発明は、エアバッグ飛出部から乗員までの距離を測定する測距手段を備えた乗員位置検出手段と、この乗員位置検出手段の検出値に応じてエアバッグの展開制御を行うエアバッグ制御手段とが、通信可能に構成された乗員拘束装置において、前記乗員位置検出手段は、前記測距手段により求めたエアバッグ飛出部から乗員までの距離に基づいて、単位時間当たりの乗員の移動速度を算出する乗員移動速度算出手段と、この乗員移動速度算出手段によって算出された乗員の移動速度に基づいて、前記エアバッグ飛出部側に設定されている所定の領域に乗員が進入するまでの到達予測時間を算出する時間算出手段と、この時間算出手段により算出された到達予測時間を前記エアバッグ制御手段に送信する送信手段とをそれぞれ有し、前記エアバッグ制御手段は、前記送信手段からの信号を受信する受信手段と、前記乗員位置検出手段と前記エアバッグ制御手段との間の通信伝達遅延時間を算出する通信伝達遅延時間算出手段と、この通信伝達遅延時間算出手段によって算出された通信伝達遅延時間に基づいて、前記受信手段にて受信された到達予測時間を補正する補正手段と、この補正手段によって補正された到達予測時間で減算タイマをセットし、前記エアバッグの展開を判断した時点で前記減算タイマの残存値に基づいて前記エアバッグの膨張力を制御する膨張力制御手段とをそれぞれ有する構成としてある。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明の構成において、前記エアバッグは、通常の速度で展開する第1の展開モードと、この第1の展開モードよりも緩やかな速度で展開する第2の展開モードとを備え、前記膨張力制御手段は、前記減算タイマの残存値Timが、Tim>0の場合には、乗員が所定の領域に進入していないとして前記第1の展開モードでエアバッグを展開制御する一方、Tim≦0の場合には、乗員が前記所定の領域に進入しているとして前記第2の展開モードでエアバッグを展開制御する構成としてある。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明の構成において、前記エアバッグ制御手段および前記乗員位置検出手段は、ほぼ同時に電源が投入される構成であり、前記通信伝達遅延時間算出手段により算出される通信伝達遅延時間は、前記エアバッグ制御手段の初期設定に要する時間とこの初期設定後に前記乗員位置検出手段から初回の信号を受信するまでの時間とを加算した時間と、前記乗員位置検出手段の初期設定に要する時間とこの初期設定後に前記エアバッグ制御手段への初回の送信動作がなされるまでの時間とを加算した時間との差である構成としてある。
【0010】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、乗員位置検出手段からエアバッグ制御手段に送信する情報を、乗員が所定の領域に進入するまでの到達予測時間とし、一方エアバッグ制御手段では、乗員位置検出手段とエアバッグ制御手段との間の通信伝達遅延時間を算出し、この通信伝達遅延時間を基に前記到達予測時間を補正してエアバッグ展開時点での乗員の位置を推定し、エアバッグの膨張力を制御しているため、エアバッグの展開制御を乗員の位置に応じて適切に行うことができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、通信伝達遅延時間に基づき補正された到達予測時間でセットされた減算タイマに、残存値がある場合は、乗員が所定の領域に進入していないとして通常の速度でエアバッグを展開制御する一方、残存値がない場合は、乗員が前記所定の領域に進入しているとして通常の速度よりも緩やかな速度でエアバッグを展開制御するため、乗員が所定の領域に進入している場合と進入していない場合とで、エアバッグの展開制御を適切に行うことができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、乗員位置検出手段およびエアバッグ制御手段のそれぞれの初期設定に要する時間は、設計値によりあらかじめ把握できるので、これら各初期設定に要する時間と、初期設定後の送信および受信がなされるまでの時間とに基づいて、乗員位置検出手段とエアバッグ制御手段との間の通信伝達遅延時間を容易に算出することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0014】
図1は、この発明の実施の一形態に係わる乗員拘束装置の全体構成を示す制御ブロック図である。この乗員拘束装置は、乗員位置検出手段としての乗員位置検出装置1と、エアバッグ制御手段としてのエアバッグコントロールユニット3とが、通信線5によって接続されている。
【0015】
エアバッグコントロールユニット3によって展開制御されるエアバッグ装置7は、2個のインフレータ9,11を備えており、通常の速度で展開する第1の展開モード(Normalモード)で展開するときには、両方のインフレータ9,11が同時に作動し、第1の展開モードよりも緩やかな速度で展開する第2の展開モード(Tailoredモード)で展開するときには、両方のインフレータ9,11が所定の時間差を持って順に作動する。
【0016】
乗員位置検出装置1は、測距手段としての測距センサ13,乗員移動速度算出手段および時間算出手段を含む送信時間情報設定部15,送信手段としての通信情報送信部17を、それぞれ備えている。
【0017】
測距センサ13は、図2に示すように、エアバッグ19が展開時に飛び出すエアバッグ飛出部としてのエアバッグ飛出口21の近傍に、シート23に向けて設定されていて、このシート23に着座している乗員25までの距離Ldistを測定するもので、例えば超音波測距センサが用いられる。
【0018】
なお、図2中で、シート23の車両前方側(図2中で左側)にて上下に延長される境界面Lを境にして右側を領域SZ(Safe Zone)、同左側を所定の領域である領域KOZ(Keep Out Zone)としてある。乗員25が領域SZに存在する場合には、エアバッグ装置7が通常の速度の第1の展開モードで展開し、乗員25が領域KOZ(Keep Out Zone)に存在する場合には、エアバッグ装置7が第1の展開モードよりも緩やかな速度の第2の展開モードで展開する。
【0019】
送信時間情報設定部15は、測距センサ13で検出した距離Ldistの時間変化量から乗員25の移動速度V(n)を算出するとともに、この乗員移動速度V(n)に基づいて、前記した領域SZと領域KOZとの境界面Lへの乗員25の到達予測時間を算出し、この到達予測時間を、エアバッグコントロールユニット3に送信する時間情報として設定する。
【0020】
通信情報送信部17は、送信時間情報設定部15で設定された到達予測時間の時間情報を、エアバッグコントロールユニット3に向けて送信する。
【0021】
エアバッグコントロールユニット3は、衝突検出用Gセンサ27,衝突検出判定部29,受信手段としての通信情報受信部31,通信伝達遅延時間算出手段および補正手段を含む受信時間情報補正部33,減算タイマとしての時限タイマ35,膨張力制御手段としてのエアバッグ制御モード判定部37,駆動回路39を、それぞれ備えている。
【0022】
衝突検出用Gセンサ27は、車両の衝突時に発生する負の加速度を検出する電子式Gセンサであり、前面衝突時に発生した減速度を電気信号に変換して、衝突検出判定部29に信号出力する。衝突検出判定部29は、衝突検出用Gセンサ27の検出する加速度に基づいて、エアバッグ装置7の展開が必要な衝突が発生したか否かを判定する。
【0023】
通信情報受信部31は、乗員位置検出装置1の通信情報送信部17から送信される時間情報を受信する。この通信情報受信部31で時間情報を受信確定した時点では、その時間情報は既に過去の情報であるため、受信時間情報補正部33は、通信情報受信部31が受信確定した時間情報から、通信に費やされた伝達所要時間(通信伝達遅延時間)を差し引いて、時間情報を補正する。時限タイマ35には、受信時間情報補正部33で補正された時間情報をセットされる。この時限タイマ35は、マイコン内部のタイマであるため、時間情報がセットされた時点で自動的に作動する。
【0024】
なお、乗員位置検出装置1からエアバッグコントロールユニット3へは、時間情報が周期的に送信されるため、時限タイマ35のタイマ値は、受信時間情報補正部33にて補正時間が算出される毎に更新される。
【0025】
エアバッグ制御モード判定部37は、衝突検出判定部29にてエアバッグ装置7の展開が必要な衝突が発生したと判定されたときに、エアバッグ装置7が、前述した第1の展開モードと第2の展開モードとのいずれかで展開するかを判定する。具体的には、時限タイマ35の残存値Timを参照し、残存値Timがある場合、つまりTim>0の場合には、第1の展開モード(Normalモード)と判定し、残存値Timがない場合、つまりTim≦0の場合には、第2の展開モード(Tailoredモード)と判定する。駆動回路39は、エアバッグ制御モード判定部37で判定された展開モードでエアバッグ19が展開するようエアバッグ装置7のインフレータ9,11を駆動する。
【0026】
次に上記した乗員拘束装置の作用を説明する。まず、乗員位置検出装置1における時間情報の確定手順について、図3のフローチャートに基づき説明する。測距センサ13により、シート23に着座している乗員25までの距離Ldistを測定し、これをLdist(n)として格納する(ステップS10)。なお、このデータは時系列データである。この格納した距離Ldist(n)と、図2に示してあるLkozと比較する(ステップS20)。Lkozは、測距センサ13から領域SZと領域KOZとの境界面Lまでの距離である。ここで、Ldist(n)>Lkoz であれば、乗員25が領域SZに存在すると判断し、逆にLdist(n)≦Lkoz であれば、乗員25が領域KOZに進入していると判断する。
【0027】
Ldist(n)>Lkozの場合には、今回の距離情報Ldist(n)と前回の距離情報Ldist (n-1)から、時間変化量を、Ldist(n)−Ldist(n-1)により算出し、この時間変化量に基づいて、乗員25の移動速度V(n)を次式にて算出する(ステップS30)。
【0028】
V(n)={Ldist(n)−Ldist (n-1)}/S
なお、Sは本処理動作における実行周期である。
【0029】
次に、現在の乗員25と境界面Lとの間の距離Ldiff(n)を、次式により算出する(ステップS40)。
【0030】
Ldiff(n)=Ldist(n)−Lkoz
そして、前記ステップS30で求めた乗員の移動速度V(n)と、上記ステップS40で求めた距離Ldiff(n)とから、領域SZに存在する乗員25が境界面Lに到達するまでの到達予測時間T1を、次式により算出する(ステップS50)。
【0031】
T1=Ldiff(n)/V(n)
算出した到達予測時間T1は、エアバッグコントロールユニット3へ送信するデータS_dataとして格納する(ステップS60)。
【0032】
前記ステップS20で、Ldist(n)≦Lkoz の場合には、乗員25が領域KOZに進入しているので、到達予測時間は0となり、エアバッグコントロールユニット3へ送信するデータS_dataは、S_data=0となる(ステップS70)。そして、上記格納されたS_dataは、通信情報送信部17を介してエアバッグコントロールユニット3へ送信される(ステップS80)。なお、ここでのS_dataの送信形態は、一般的な調歩同期式のシリアル通信を想定している。
【0033】
次に、時限タイマ35の設定手順について、図4のフローチャートに基づき説明する。エアバッグコントロールユニット3は、通信線5の状態を常時監視しており(ステップS110)、乗員位置検出装置1の通信情報送信部17から、到達予測時間の情報を受信した場合に、その受信データをR_dataとして格納する(ステップS120)。このR_dataは、前記図3のステップS60での過去の時間情報であることから、現時点での乗員25がKOZ領域まで進入するまでの到達予測時間は、R_data取得時に対してさらに経過したものとなっている。
【0034】
したがって、到達予測時間を現時点の時間情報に一致させるためには、以下のようにして経過時間分を補正する必要がある。すなわち、
T2=R_data −Tdelay
である(ステップS130)。
【0035】
ここで、T2は、補正後の到達予測時間であり、Tdelayは、乗員位置検出装置1とエアバッグコントロールユニット3との間での通信の伝達に必要な所要時間(通信伝達遅延時間)である。Tdelayの算出方法については、後述する。
【0036】
そして、上記ステップS130で得られた補正後の到達予測時間T2を時限タイマ35にセットし(ステップS140)、カウントダウンを開始する。
【0037】
以上の処理を完了した後には、本ルーチンは受信データ待ち処理(ステップS110)に入るが、次の新しい時間情報を入手した場合は、上記したステップS120〜S140の処理を繰り返すため、時限タイマ35の残存値(Tim)は通信周期毎に更新される。
【0038】
次に、エアバッグ装置7に対する展開モードの選択処理手順について、図5のフローチャートに基づき説明する。まず、車両に衝突が発生しエアバッグ装置7の展開が決心されたら(ステップS210)、時限タイマ35の残存値(Tim)を参照し、Tim>0か否かの判定を行う(ステップS220)。
【0039】
ここでTim>0の場合、つまり残存値Tim がある場合には、乗員25が領域SZに存在していると判断し、Normalモードすなわち通常の速度でエアバッグ19を展開させる(ステップS230)。一方、Tim≦0の場合、つまり残存値Tim がない場合には、乗員25がKOZ領域に存在していると判断し、Tailoredモードすなわち通常の速度より緩やかな速度でエアバッグ19を展開させる(ステップS240)。
【0040】
このように、上記した実施の形態では、乗員位置検出装置1からエアバッグコントロールユニット3に送信する情報を、乗員25が領域KOZに進入するまでの到達予測時間とし、一方エアバッグコントロールユニット3では、乗員位置検出装置1とエアバッグコントロールユニット3との間の通信伝達遅延時間Tdelayを算出し、この通信伝達遅延時間Tdelayを基に前記到達予測時間を補正してエアバッグ19の展開時点での乗員25の位置を推定し、エアバッグ19の膨張力を制御するので、エアバグ19の展開制御を乗員25の位置に応じて適切に行うことができる。
【0041】
前述した通信伝達遅延時間Tdelayの算出方法を、図6に基づき説明する。乗員位置検出装置1とエアバッグコントロールユニット3とは、電源を共用しており、図示しないイグニッションスイッチをオンした時点でほぼ同時に起動される。この乗員位置検出装置1およびエアバッグコントロールユニット3は、それぞれ、マイコンのリセット入力などの初期設定を経て、通常処理に移行する。
【0042】
乗員位置検出装置1は、初期設定終了後、所定の待ち時間Twait経過時に初回の時間情報をエアバッグコントロールユニット3に送信する。一方エアバッグコントロールユニット3は、初期設定終了後、初回の時間情報を乗員位置検出装置1から受信するまでの時間tを計時する。
【0043】
乗員位置検出装置1およびエアバッグコントロールユニット3の各初期設定時間は、設計値によりあらかじめ把握できるので、それぞれをaおよびbとすると、Tdelayは、次式にて容易に算出される。
【0044】
Tdelay=(t+b)−(Twait+a)
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の一形態に係わる乗員拘束装置の全体構成を示す制御ブロック図である。
【図2】図1の乗員拘束装置における乗員の存在領域を示す説明図である。
【図3】図1の乗員拘束装置における乗員位置検出装置の時間情報の確定手順を示すフローチャートである。
【図4】図1の乗員拘束装置における時限タイマの設定手順を示すフローチャートである。
【図5】図1の乗員拘束装置におけるエアバッグ装置の展開モードの選択処理手順を示すフローチャートである。
【図6】図1の乗員拘束装置における通信伝達遅延時間の算出方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 乗員位置検出装置(乗員位置検出手段)
3 エアバッグコントロールユニット(エアバッグ制御手段)
7 エアバッグ装置
13 測距センサ(測距手段)
15 送信時間情報設定部(乗員移動速度算出手段,時間算出手段)
17 通信情報送信部(送信手段)
19 エアバッグ
21 エアバッグ飛出口(エアバッグ飛出部)
25 乗員
31 通信情報受信部(受信手段)
33 受信時間情報補正部(通信伝達遅延時間算出手段,補正手段)
35 時限タイマ(減算タイマ)
37 エアバッグ制御モード判定部(膨張力制御手段)

Claims (3)

  1. エアバッグ飛出部から乗員までの距離を測定する測距手段を備えた乗員位置検出手段と、この乗員位置検出手段の検出値に応じてエアバッグの展開制御を行うエアバッグ制御手段とが、通信可能に構成された乗員拘束装置において、
    前記乗員位置検出手段は、前記測距手段により求めたエアバッグ飛出部から乗員までの距離に基づいて、単位時間当たりの乗員の移動速度を算出する乗員移動速度算出手段と、この乗員移動速度算出手段によって算出された乗員の移動速度に基づいて、前記エアバッグ飛出部側に設定されている所定の領域に乗員が進入するまでの到達予測時間を算出する時間算出手段と、この時間算出手段により算出された到達予測時間を前記エアバッグ制御手段に送信する送信手段とをそれぞれ有し、
    前記エアバッグ制御手段は、前記送信手段からの信号を受信する受信手段と、前記乗員位置検出手段と前記エアバッグ制御手段との間の通信伝達遅延時間を算出する通信伝達遅延時間算出手段と、この通信伝達遅延時間算出手段によって算出された通信伝達遅延時間に基づいて、前記受信手段にて受信された到達予測時間を補正する補正手段と、この補正手段によって補正された到達予測時間で減算タイマをセットし、前記エアバッグの展開を判断した時点で前記減算タイマの残存値に基づいて前記エアバッグの膨張力を制御する膨張力制御手段とをそれぞれ有することを特徴とする乗員拘束装置。
  2. 前記エアバッグは、通常の速度で展開する第1の展開モードと、この第1の展開モードよりも緩やかな速度で展開する第2の展開モードとを備え、前記膨張力制御手段は、前記減算タイマの残存値Timが、Tim>0の場合には、乗員が所定の領域に進入していないとして前記第1の展開モードでエアバッグを展開制御する一方、Tim≦0の場合には、乗員が前記所定の領域に進入しているとして前記第2の展開モードでエアバッグを展開制御することを特徴とする請求項1記載の乗員拘束装置。
  3. 前記エアバッグ制御手段および前記乗員位置検出手段は、ほぼ同時に電源が投入される構成であり、前記通信伝達遅延時間算出手段により算出される通信伝達遅延時間は、前記エアバッグ制御手段の初期設定に要する時間とこの初期設定後に前記乗員位置検出手段から初回の信号を受信するまでの時間とを加算した時間と、前記乗員位置検出手段の初期設定に要する時間とこの初期設定後に前記エアバッグ制御手段への初回の送信動作がなされるまでの時間とを加算した時間との差であることを特徴とする請求項1または2記載の乗員拘束装置。
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