JP3755288B2 - 個人警報線量計及び環境線量計 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、放射線業務従事者が作業中に被爆する放射線量を計測し、計測線量が設定値を越えた場合に警報を発する個人警報線量計、及び放射線管理区域内外の環境の放射線量を計測する環境線量計(両者を総称して線量計という)に関する。
【0002】
【従来の技術】
個人警報線量計は、放射線業務従事者が作業中に被爆した放射線の線量を計測する計測器であり、その作業中に被爆した線量を実時間で計測・表示することができ、被爆線量が予め設定されている線量を超過すると警報を発するものであり、放射線業務従事者が放射線を過剰に被爆することを防止するために使用される。したがって、放射線業務従事者が放射線管理区域内で作業する場合にはこの線量計を常時携帯しており、作業着のポケットに収納して使用することが多い。従来の個人警報線量計はγ線のみを計測するものが大部分であったが、最近になってβ線を併せて計測する機種も発表されており、更にα線や中性子線も併せて計測するものが公開特許公報には開示されている。
【0003】
環境線量計は、放射線管理区域内外の環境の放射線の線量を計測し、そのデータを周期的に収集するもので、個人警報線量計と同様に、γ線の計測が主であったが、他の放射線も計測対象となる。
このような線量計に使用される放射線検出器の従来例としては、特開昭63-12179号公報に開示されているものがある。この放射線検出器には、電圧印加によって形成された空乏層を利用して放射線によって生成された電子・正孔対を分離し、電流パルスとして検出する半導体検出器が用いられている。
【0004】
検出器としては、γ線のみを検知するγ線検出器と、β線とγ線とを検知するβ線検出器と、α線とβ線とγ線とを検知するα線検出器と、中性子線とβ線とγ線とを検知する中性子線検出器とが備えられている。それぞれの放射線の線量を測定するために、β線検出器の出力はγ線検出器の出力によって補償され、α線検出器の出力はβ線検出器の出力とγ線検出器の出力によって補償され、中性子線検出器の出力はβ線検出器の出力とγ線検出器の出力とによって補償されている。
【0005】
γ線は、その強い透過性のために、どの検出器においても検知される。しかも、そのエネルギーによって検出器の材料との相互作用の確率が大きく異なるので、検出器の構成の違いによってγ線検出感度のエネルギー依存性が異なってくる。以下では感度のエネルギー依存性をエネルギー特性という。γ線検出器では、検出器本体の検出感度のエネルギー依存性を改善して特性仕様に合わせるために、その入射窓に適当な材質で適当な厚さのフィルタが配置されている。一方、β線検出器やα線検出器の場合には、β線あるいはα線が物質によって大きくエネルギーを失うので、入射窓にはエネルギー損失の小さい薄い遮光膜、例えば金属層蒸着プラスチック薄膜、が用いられる。α線検出器の場合にはエネルギー損失が非常に大きいので、特別に薄くて丈夫な膜が使用されている。
【0006】
上記のように、γ線検出器のフィルタとβ線検出器あるいはα線検出器の金属層蒸着プラスチック薄膜との違いによって、γ線検出器のγ線エネルギーに対する感度とβ線検出器あるいはα線検出器のγ線エネルギーに対する感度とは大きくずれている。図3はその一例を示す線図である。図3の横軸はγ線のエネルギーであり、縦軸は 137Csのγ線エネルギー(662keV)〔図ではE(137Cs) 〕での感度を1とした相対感度である。図における細線はγ線検出器のエネルギー特性であり、太線はβ線検出器のエネルギー特性である。
【0007】
図3に見るように、γ線検出器のエネルギー特性は相対感度1の近傍に調整されているが、β線検出器のエネルギー特性はE(137Cs) の両側で共に1より小さくなっており、エネルギーによってその低下比率が大きく異なっている。したがって、γ線検出器の出力を用いて他の検出器のγ線検知分を補償しようとしても、γ線のエネルギー分布が分からない限り正確な補償はできない。逆に、E(137Cs) を基準にして補償すれば、その他のエネルギーのγ線の場合には補償し過ぎになる。すなわち、他の放射線の線量を小さく見積もることになる。
【0008】
図4及び図5はこのような補償し過ぎの状態をモデル的に示した線図である。細線はγ線検出器の計数値を、破線はβ線検出器の計数値を、点線はγ線検出器の計数値に基づくβ線検出器のγ線補償分を、太線はβ線検出器の計数値からγ線補償分を差し引いたβ線相当分計数値を示している。
図4は、作業時間の最初の1時間に一定割合のβ線を被曝し、後の8時間で一定割合のγ線を被曝した場合の各計数値の時間経過を示している。γ線補償分が過剰であるために、β線相当分計数値は作業時間1時間の計数値CB1(1) をピークとして時間の経過と共に減少し、作業終了時である9時間の時点においてはCB9(1) まで減少している。
【0009】
図5は、図4と同様にβ線を被曝し、γ線を最初から図4と同じの一定割合で被曝した場合の各計数値の時間経過を示している。1時間後のβ線の計数値CB1(2) は過剰なγ線補償分の分だけCB1(1) より小さくなっており、1時間以降は図4と全く同じ傾きで減少している。
このように、γ線検出器とβ線検出器とでγ線エネルギーに対するエネルギー特性が異なっていると、どのエネルギーを基準としてγ線補償分を算出するかによってβ線相当分計数値に含まれる誤差の大きさに違いが発生する。E(137Cs) 以外のエネルギーを基準としてγ線補償分を算出すると、図4あるいは図5の場合より、β線相当分計数値の右下がりの傾向は緩和され、場合によってはγ線補償分が不足となって、右上がりの状態になることもあり得る。
【0010】
以上の説明は、γ線のエネルギー分布が作業時間全体にわたって変わらない場合を想定したものであるが、現実には時間経過に伴ってγ線のエネルギー分布も変わってくる。したがって、γ線検出器計数値から適正なγ線補償分を算出するための係数はγ線のエネルギー分布の変化に対応して決定されなければならない。しかし、現実には、時々刻々のエネルギー分布を把握することはできないので、予想される平均的なγ線のエネルギー分布に合わせた係数を用いてγ線補償分を算出することになる。このような状況について、図6を用いて更に詳しく説明する。
【0011】
図6において、横軸は作業時間であり、縦軸は(a)ではγ線検出器積算計数値、(b)ではβ線検出器積算計数値、(c)は所定時間間隔内のβ線計数値Cb (tr)を示し、(b)の太線はβ線検出器積算計数値、細線はγ線補償分を示している。作業時間によってγ線のエネルギー分布が変わっている。
作業開始から、γ線検出器積算計数値及びβ線検出器積算計数値は増加し、作業終了時にそれぞれΣCG 及びΣCB に到達する。従来技術においては、
〔ΣCB −KΣCG 〕
として、β線相当分計数値を算出し、これに基づいてβ線被曝線量を算出する。すなわち、最終計数値ΣCG 及びΣCB に基づいてβ線被爆線量が算出されるのである。
【0012】
ここで、Kはγ線検出器の計数値からγ線補償値を算出するための係数である。
一方、計数の途中においては、γ線検出器のγ線計数値とそれに相当するβ線検出器のγ線計数値との間には種々の状況が存在する。説明の便宜上、図3におけるエネルギーE1 の場合にγ線補償分が適正値になるものとする。図6における作業時間Bはβ線とγ線が共存する場合であり、γ線を補償してもCb (tr)が残っている。作業時間Cは、補償のための係数が適正で補償値がぴったり合致した場合(エネルギー分布がE1 相当の場合)に相当し、Cb (tr)は零になっている。作業時間Dは、補償のための計数が過大である場合(例えば、エネルギー分布がE2 相当の場合) に相当し、補償値が計数値を越え、結果としてCb (tr)が負になっている。作業時間Eは、補償のための計数が過小である場合(例えば、E(137Cs) 近傍のエネルギーが多い場合) に相当し、補償値が計数値に届かず、結果としてCb (tr)が正になっている。
【0013】
図4及び図5に示した状況は、図6の作業時間Dの状況に相当する場合であり、β線の被曝線量を過少に計測するので、是非とも避けなければならない最も危険な場合に相当する。
実際の計測現場においては、上記のような各種の状況が混在していると考えられる。したがって、通常は、ある程度の状況推定を基にして補償のための係数を安全側に決めることにならざるを得ない。
【0014】
上記の説明はβ線計測の場合で説明したが、他の放射線の場合にも全く同様の状況になる。
なお、線量計においては、後で計数値の時間経過等を解析するために、最終の計数値ΣCG 及びΣCB だけではなく、より短く設定した時間間隔毎(例えば1分間隔や10分間隔) の計数値(トレンド計数値と言う)もメモリーしておく機能を有している場合が多い。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上記の説明から明らかなように、従来技術による線量計において、γ線以外の検出器のγ線検知分を正確に補償することが困難であり、僅かな誤差の積み上げによって最終的な計測値に大きな誤差を発生することがある。図3のような相対感度の場合には、大部分のエネルギー領域においてβ線検出器のγ線感度の方が小さいから、補償値を算出するための係数を見直さない場合には、作業時間Dの状況が多くなり、結果として、β線計数値を過少に計数することになる。大部分の時間帯においてγ線がバックグラウンド程度の低いレベルであっても、作業時間Dのような状況が続くと、β線相当分計数値が実際の被曝線量に比べて大幅に小さく計測される可能性が出てくる。
【0016】
この発明の課題は、上記のようなγ線検出器以外の検出器のγ線検知分の過大な補償による計測線量の過少計測を回避して、γ線以外の放射線線量を正確に計測することができる線量計を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この発明においては、γ線検出器とβ線検出器とα線検出器と中性子線検出器の内の、少なくともγ線検出器とβ線検出器とが備えられ、γ線検出器の出力によって他の検出器のγ線による出力分が補償される個人警報線量計において、作業時間を更に短く分割した所定の時間間隔毎に、それぞれの検出器の計数値が計測され、γ線検出器の計数値に基づいて求められたγ線以外のそれぞれの検出器のγ線相当の補償分をγ線以外のそれぞれの検出器の計数値から差し引いたそれぞれの差分が算出され、その差分が正でありかつγ線検出器の計数値の統計誤差より大きい場合の差分のみが全作業時間にわたってそれぞれの検出器毎に積算され、それぞれの積算値がそれぞれの検出器相当の放射線の被爆線量に換算されて出力され、γ線検出器の計数値は全作業時間にわたって積算されてγ線被曝線量に換算されて出力される(請求項1の発明)。
【0019】
差分が正でありかつγ線検出器の計数値の統計誤差より大きい場合に、その差分が積算されているので、γ線だけが存在する場合にγ線検出器とその他の検出器との間に生ずるγ線検知のばらつきにより発生する正の差分の内の大半が除去される。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記所定の時間間隔が、その間のγ線検出器の計数値が少なくとも1カウントであるように設定されている。
【0020】
γ線検出部の計数値が少なくとも1カウントであるように設定されているので、統計誤差であるカウント数の平方根が零になることがなく、補償の精度が向上する。
なお、請求項3〜請求項4の発明は、請求項1〜請求項2の発明である個人警報線量計の考え方をそっくりそのまま環境線量計に置き換えたものであるので、説明は省略する。
【0021】
【発明の実施の形態】
この発明による線量計の実施の形態について実施例を用いて説明する。
まず、本発明の基本的構成を説明するための参考例について述べる。この参考例に用いた線量計は、γ線検出器とβ線検出器とを備えている個人警報線量計であって、5分間隔のトレンド計数値をメモリーする機能を有しているものである。
【0022】
この参考例においては、γ線の被曝線量は従来技術と同様に作業終了時までの積算計数値から算出される。一方、β線の被曝線量は、従来技術と異なり、作業開始から作業終了までのβ線のトレンド計数値とγ線のトレンド計数値から算出される。まず、作業開始から作業終了まで時間が5分間隔で分割され、各分割時間間隔毎のγ線計数値、すなわちγ線トレンド計数値、から各分割時間間隔毎のγ線補償分が算出され、各分割時間間隔毎のβ線計数値、すなわちβ線トレンド計数値、からそれぞれのγ線補償分が差し引かれて、各分割時間間隔毎のβ線相当分計数値が算出される。算出された各分割時間間隔毎のβ線相当分計数値の中の正のものだけが作業時間にわたって積算され、その積算値が作業時間におけるβ線相当分計数値とされ、これよりβ線被曝線量が算出される。
【0023】
図1は、この参考例としての個人警報線量計を用いて、従来技術の項で説明した図4と同様の計測を実施した結果を示す線図であり、図2は図5と同様の計測を実施した結果を示す線図である。図1における1時間後のβ線相当分計数値をCB1(3) とし、9時間後のβ線相当分計数値CB9(3) とし、図2における1時間後のβ線相当分計数値をCB1(4)とし、9時間後のβ線相当分計数値CB9(4) とする。
【0024】
この計測は以下の2つの条件のもとで実施された。
第1の条件:γ線検出器のγ線感度とβ線検出器のγ線感度とが、図3のE(137Cs) において同じになるようにγ線補償分を算出する係数を決定し、γ線源として60Co(γ線エネルギーは図3のE(60Co)相当)を用いる。
この条件下での計測結果は、
CB1(3) =CB9(3)
CB1(4) =CB9(4)
CB1(3) >CB1(4)
であって、β線とγ線とが共存する場合には、β線相当分計数値が幾分小さめに見積もられるが、1時間以降のγ線の被曝による影響は全く見られず、図4及び図5の結果に比べて格段に優れた結果が得られている。
【0025】
共存場においてβ線相当分計数値が幾分小さめに見積もられるのは、γ線補償分を算出するための係数が照射されるγ線(60Coのγ線)に対して大き過ぎるためであると推定される。
第2の条件:γ線検出器のγ線感度とβ線検出器のγ線感度とが、図3のE(137Cs) において同じであるとしてγ線補償分を算出する係数を決定し、γ線源として137Cs)を用いる。
【0026】
この条件下での計測結果では、
CB1(3) に比べてCB9(3) の方が幾分大きく、
CB1(4) に比べてCB9(4) の方が幾分大きく、
CB1(3) ≒CB1(4)
であって、共存場におけるβ線相当分計数値の精度が向上しているが、2時間以降のγ線の被曝による影響が僅かに認められる。しかし、図4及び図5の結果に比べて格段に優れた結果が得られている。
【0027】
1時間以降の僅かな増加傾向は、補償のための係数が適当な値になったために発生したものと推定される。すなわち、γ線検出器とβ線検出器の計数値の統計誤差によってβ線検出器のγ線計数値の方がγ線補償分より大きくなる場合があり、その結果β線検出器のγ線計数値からγ線補償分を差し引いた差分が正になり、その正の差分が積算されることによって増加傾向が現れるものと推定される。
【0028】
〔実施例〕この発明の実施例である個人警報線量計も、上述の参考例と基本的部分の構成を同じくしている。この実施例が参考例と異なる点は、算出された各分割時間間隔毎のβ線相当分計数値の中の正のものの内、γ線検出器の計数値の統計誤差より大きいものだけを作業時間にわたって積算し、その積算値を作業時間におけるβ線相当分計数値とし、これよりβ線被曝線量を算出することである。
【0029】
この実施例は、上述した第2の条件の場合に現れた統計誤差によると推定される僅かな増加傾向を改善することを目的とするものである。この実施例による個人警報線量計を用いて、参考例の場合と同じ2つの計測条件で計測した結果は次の通りである。
第1の条件の場合は、
CB1(3) =CB9(3)
CB1(4) =CB9(4)
CB1(3) >CB1(4)
という参考例の場合と全く変わらない結果を得た。
【0030】
第2の条件の場合には、
CB1(3) に比べてCB9(3) の方が僅かに大きく、
CB1(4) に比べてCB9(4) の方が僅かに大きく、
CB1(3) ≒CB1(4)
となり、2時間以降の僅かな増加傾向が改善された。
【0031】
正の差分の内の統計誤差内のものを除くことによって、γ線による計数誤差が小さくできたことを示している。
更に、計測誤差を大きくさせないためには、γ線トレンド計数値が零になることを避けることが有効である。何故なら、計数値が零になるような状況においては、γ線検出器のγ線による計数値とβ線検出器のγ線による計数値とのどちらかが零である場合が多くなり、γ線検出器のγ線による計数値が零である場合にはその統計誤差は零であるから、β線検出器の計数値が1の場合には積算されていくことになるからである。
【0032】
したがって、上記の実施例においてはトレンド計数値をそのまま使う例で説明したが、γ線検出器のトレンド計数値が1以下であるような場合には、幾つかのの分割時間間隔分を単位とすることも有効である。
以上においては、γ線及びβ線を計測する個人警報線量計の場合を説明してきたが、他の放射線検出器をも含む個人警報線量計の場合にも同様に有効であるし、環境線量計の場合にも同様に有効である。
【0034】
【発明の効果】
この発明によれば、検出器とβ線検出器とα線検出器と中性子線検出器の内の、少なくともγ線検出器とβ線検出器とが備えられ、γ線検出器の出力によって他の検出器のγ線による出力分が補償される個人警報線量計において、作業時間を更に短く分割した所定の時間間隔毎に、それぞれの検出器の計数値が計測され、γ線検出器の計数値に基づいて求められたγ線以外のそれぞれの検出器のγ線相当の補償分をγ線以外のそれぞれの検出器の計数値から差し引いたそれぞれの差分が算出され、その差分が正でありかつγ線検出器の計数値の統計誤差より大きい場合の差分のみが全作業時間にわたってそれぞれの検出器毎に積算され、それぞれの積算値がそれぞれの検出器相当の放射線の被爆線量に換算されて出力され、γ線検出器の計数値は全作業時間にわたって積算されてγ線被曝線量に換算されて出力されるので、γ線だけが存在する場合にγ線検出器とその他の検出器との間に生ずるγ線検知のばらつきにより発生する正の差分の内の大半が除去される。したがって、検出器間でのγ線検知のばらつきにより発生する誤差分が軽減され、検出の精度が高くなり、γ線以外の放射線線量をより正確に計測することができる個人警報線量計を提供することができる(請求項1の発明)。
【0035】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明において、前記所定の時間間隔が、その間のγ線検出部の計数値が少なくとも1カウントであるように設定されているので、統計誤差であるカウント数の平方根が零になることがなく、より精度が向上する。したがって、γ線以外の放射線線量を更により正確に計測することができる個人警報線量計を提供することができる。
【0036】
請求項3〜請求項4の発明は、請求項1〜請求項2の発明である個人警報線量計の考え方をそっくりそのまま環境線量計に置き換えたものであるので、請求項3〜請求項4の発明によって、γ線以外の放射線線量を正確に計測することができる環境線量計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による個人警報線量計の第1の実施例における計数値の時間経過を示す線図
【図2】第1の実施例における計数値の時間経過を示す別の線図
【図3】γ線検出器及びβ線検出器のγ線エネルギーに対する相対感度を示す線図
【図4】最初の1時間にβ線が照射され、後の8時間にγ線が照射された場合の、従来の個人警報線量計の計数値の時間経過を示す線図
【図5】最初の1時間にγ線とβ線が照射され、後の8時間にはγ線のみが照射された場合の、従来の個人警報線量計の計数値の時間経過を示す線図
【図6】従来の線量計の問題点を説明するための図で、(a)はγ線検出器積算計数値の時間変化を示す線図、(b)はβ線検出器積算計数値の時間変化を示す線図、(c)は作業時間毎の所定時間間隔内のβ線計数値Cb (tr)を示す図
Claims (4)
- γ線検出器とβ線検出器とα線検出器と中性子線検出器の内の、少なくともγ線検出器とβ線検出器とが備えられ、γ線検出器の出力によって他の検出器のγ線による出力分が補償される個人警報線量計において、作業時間を更に短く分割した所定の時間間隔毎に、それぞれの検出器の計数値が計測され、γ線検出器の計数値に基づいて求められたγ線以外のそれぞれの検出器のγ線相当の補償分をγ線以外のそれぞれの検出器の計数値から差し引いたそれぞれの差分が算出され、その差分が正でありかつγ線検出器の計数値の統計誤差より大きい場合の差分のみが全作業時間にわたってそれぞれの検出器毎に積算され、それぞれの積算値がそれぞれの検出器相当の放射線の被爆線量に換算されて出力され、γ線検出器の計数値は全作業時間にわたって積算されてγ線被曝線量に換算されて出力されることを特徴とする個人警報線量計。
- 前記所定の時間間隔が、その間のγ線検出器の計数値が少なくとも1カウントであるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の個人警報線量計。
- γ線検出器とβ線検出器とα線検出器と中性子線検出器の内の、少なくともγ線検出器とβ線検出器とが備えられ、γ線検出器の出力によって他の検出器のγ線による出力分が補償される環境線量計において、測定データを周期的に収集する1周期期間を更に短く分割した所定の時間間隔毎に、それぞれの検出器の計数値が計測され、γ線検出器の計数値に基づいて求められたγ線以外のそれぞれの検出器のγ線相当の補償分をγ線以外のそれぞれの検出器の計数値から差し引いたそれぞれの差分が算出され、その差分が正でありかつγ線検出器の計数値の統計誤差より大きい場合の差分のみが1周期期間にわたってそれぞれの検出器毎に積算され、それぞれの積算値がそれぞれの検出器相当の放射線の被爆線量に換算されて出力され、γ線検出器の計数値は1周期期間にわたって積算されてγ線被曝線量に換算されて出力されることを特徴とする環境線量計。
- 前記所定の時間間隔が、その間のγ線検出器の計数値が少なくとも1カウントであるように設定されていることを特徴とする請求項3に記載の環境線量計。
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