JP3754976B2 - 梱包機のバンド溶着用ヒーター - Google Patents

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Description

本発明は、熱可塑性樹脂等の熱溶融性材料からなるバンドで被梱包物を梱包する梱包機のヒーターに関し、より詳細には、梱包機において被梱包物に巻回したバンドを溶着する際、該バンドを溶融するのに用いるヒーターに関する。
熱溶融性材料より成るバンドで被梱包物を梱包する梱包機として、梱包機本体上にバンド案内アーチを有する全自動梱包機を例にとり、該梱包機におけるバンドの溶着に関する装置構成、並びに梱包の1サイクルの動作を簡単に説明すると、以下の通りである。
図11において、30は擺動杆で、下端が軸36によって梱包機本体20内に軸承されているとともに、前記軸承部上方の側面には転子31を軸32によって軸着されており、前記擺動杆30を図示せざる発条によって付勢し、前記転子31をカム軸60と共に回転するカム61の周面に圧接している。
また、前記擺動杆30の上端にはL字状のブラケット27が自在継ぎ手状に可動可能に支持されており、このブラケット27上には、ヒーター90が挟持板25,25で挟持された状態で固定、すなわち、ヒーター90、挟持板25,25、及びブラケット27に穿設された挿孔に、ネジを挿通して螺合されることによって固定されている。
33はスライドテーブルで、下端が前記擺動杆30と同様に軸36に軸承されているフレーム34の上に固定されており、図示せざるカムによって一定ストロークで擺動自在となっている。
前記スライドテーブル33の下方には、図12に示すように、右プレス40、中プレス45、左プレス49の各プレス部材が並設されている。
前記右プレス40、中プレス45、左プレス49にはそれぞれ梱包機本体20の背面(図11中左方)に向かってアームが突設され、このアームの先端が同一の軸52に軸承されている。また、各プレス40,45,49の下端にはそれぞれ転子が設けられており、該転子は前記カム軸60と共に回転するよう設けられた各プレス用のカムに圧接されていることから、前記右プレス40、中プレス45、左プレス49は所望のタイミングで前記スライドテーブル33下面にバンドBを介して圧接離自在に昇降する。
なお、前記右プレス40は上部にバンド通路41が穿設されており、このバンド通路41の出口(中プレス45側)には上刃42が形成されている。また、中プレス45は前記右プレス40側の上縁に前記上刃42と接離自在の下刃46が形成されている。
また、図12中53はバンドの供給及び引き戻しを行うメインローラで、54は前記メインローラにバンドを介して圧接自在に設けられたアッパーローラである。
以下、上記構成を備えた梱包機による梱包動作について説明すると、前記メインローラ53及びアッパーローラ54の正転により右プレス40のバンド通路41を通じて供給されたバンドBは、梱包機本体20の上方に設けられた図示せざるバンド案内アーチを一周し、前記右プレス40側より該右プレス40の上方を通ってスライドテーブル33の下面へと到達する。
前記バンドB先端がスライドテーブル33の下面に到達すると、カム軸60と共に回転する右プレス用のカムにより右プレス40が上昇してスライドテーブル33下面との間で該バンドB先端側を把持、固定し、これと同時に、前記メインローラ53及びアッパーローラ54の逆転によってバンドBが引き戻されて梱包機本体20上に載置された被梱包物に巻き付き、図示せざるバンド引締機構により引締がなされる。
引締終了後、左プレス用のカムにより左プレス49が上昇してスライドテーブル33下面との間でバンドBの供給端側を把持、固定すると、前記擺動杆30の擺動によって擺動杆30の上端に固定されたヒーター90がスライドテーブル33下方へ進入し、バンドBの先端側と供給端側の重合面間に挿入されると共に、中プレス用のカムにより中プレス45が上昇して、この中プレス45上側縁に形成された下刃46と前記右プレス40のバンド通路出口41に形成された上刃42とでバンドBの供給端側を切断し、更に中プレス45がスライドテーブル33下面との間で前記重合状態にあるバンドB及びヒーター90の三者を押圧し、バンドBを溶融した後、中プレス45を僅かに降下させてヒーター90をバンド重合面から引出し、続いて、中プレス45を再び上昇させてスライドテーブル33下面との間でバンドB重合面の圧着を行う。
上述のようにしてバンドBの先端側と供給端側とが溶着されると、各プレス部材40,45,49が降下し、また、スライドテーブル33が図示せざるカムにより梱包機本体20の背面側(図11中左方)へ擺動してバンドBが取り出される。その後、スライドテーブル33が元の位置へ戻り、再びバンドBが供給されて、梱包の1サイクルが終了する(特許文献1参照)。
この種の梱包機にあっては、バンドBの溶着に用いる前記ヒーター90に、ニクロム線、ニクロム板等の、通電によりジュール熱を多く生じる電気抵抗の大きい金属が発熱体として使用されている。
前記ヒーター90の一例としては、図13に示すように、先端に向かって略M字状に形成された薄板状電熱用抵抗体(ニクロム板)80と、このニクロム板80を両面から挟持する絶縁板たる一対のマイカー板91と、前記ニクロム板80及び前記マイカー板91を内部に被覆状に収納して挟持固定する金属体たる扁平なステンレス管92とで構成された加熱板を挙げることができる(特許文献1参照)。
本発明の先行技術文献としては下記のものが挙げられる。
実公平05−35043号公報
前記特許文献1記載のヒーター90によれば、マイカー板91に挟持される発熱体が薄板状のニクロム板80であることから、前記発熱体として平板状のマイカー芯の周面にニクロム線が巻回されたものや、マイカー芯表面に細長方形のニクロム板を平行に配置したものを使用する従来のヒーターと比較して、発熱体を薄くでき、ヒーター全体の厚みを低減させることができる。そのため、バンド先端側と供給端側との重合面間の間隙を狭めても前記ヒーター90を的確に挿入することが可能となり、溶融されたバンド重合面を押圧する前記中プレス45の上下動距離を小さくすることによって、梱包1サイクルの所要時間を短縮化し、高速梱包とすることができる。また、該ヒーター90の強度を落とすことなくこれを構成する部品点数を減らすことができるほか、外側の金属体92までの介在物が少ないために熱効率が良く、ヒーター90の温度を短時間で上昇させることが可能となる。
しかし、抵抗体に電流を流すと、電圧印加部間の中心部分が他の部分に比べて高温になり温度分布が不均一となることから、前記特許文献1記載のヒーター90にあっては、略M字状に形成された前記ニクロム板80に電流を流した場合、該ニクロム板80の内側部88、すなわち図13において斜線部で示す部分が他の部分と比較して高温となってしまう。したがって、該内側部88がバンドの溶融適正温度まで上昇しても、その両側に位置する外側部87、及び先端部89は該温度まで上昇しておらず、仮に前記外側部87と先端部89をバンドの溶融適正温度まで上昇させようとすると、前記内側部88が適正温度を超えてしまうことから、該内側部88においてバンドが過剰に溶融され、バンドの溶着が好適に行われない。
そのため、前記ニクロム板80を備えたヒーター90によってバンド先端側と供給端側とを溶融する場合、溶着される部分が前記ニクロム板内側部88に対応する部分に限定されるため、溶着面積が狭く、バンドの溶着強度が弱いという問題があった。
前記溶着面積を広くすべく、前記内側部88を外側部87と比較して幅広とし、内側部88の面積を大きくすることも考えられるが、前記外側部87の幅が狭くなることから、リード線を接続するニクロム板後端部の強度が低下してしまい、破損等の生じるおそれがある。
また、前述のように該ニクロム板80の先端部89が熱くならないことから、前記特許文献1記載のヒーター90では、前記先端部89よりも後端側の内側部88でバンドを溶融しなければならなかった。したがって、前記ヒーター90をバンド先端側と供給端側との重合面間に挿入する距離が大きく、前記擺動杆30の擺動によるヒーター90の挿入及び引出に時間を要することから、梱包1サイクルあたりの所要時間を短縮し梱包を高速化するには限界があった。
ここで、前述のように、バンド重合面の溶融、圧着を行う中プレス45の上下動距離を小さくして梱包の高速化を図るという観点からは、前記ヒーター90のうち発熱体であるニクロム板80のみを単独で用いれば、マイカー板91や金属体92の分だけ厚みを低減することができ、また部品点数を減らすことができることから、より好ましいといえる。
しかし、前記特許文献1記載のヒーター90にあっては、発熱体であるニクロム板80が先端側から設けられたスリット83により幅方向中央で分断されていることから機械的強度が弱く、また、前記スリット83により形成される右片及び左片が個別に動くほか、通電によりニクロム板80が発熱し高温(例えば300℃以上)となると、全体が弓状に反るなどの変形が生じる。
そのため、該ニクロム板80を単体で使用すると、厚みが充分にないと、繰り返しの使用に強度的に耐えられないほか、該ニクロム板80を前記バンドの重合面間に挿入する際に引っ掛かったり、前記バンドBとニクロム板80とを中プレス45によって押圧する際、前記ニクロム板80をバンドBに好適に接触させることができない等の問題が生じる。
したがって、前記特許文献1記載のヒーター90にあっては、ニクロム板の厚みが薄く、発熱体であるニクロム板80をマイカー板91及び金属体92で挟持、被覆することが必要であり、ニクロム板80を単独で使用することはできなかった。
また、前記ヒーター90を一枚の板で厚くすれば、断面積が大きくなり、大電流を要するため、ニクロム板80に接続されるリード線96は、ある程度太いものを使用する必要があった。
そのため、リード線96の動きが悪く、ヒーター90の挿入・引き出しの際にリード線96が引っ張られる等してヒーター90の動きに影響を与えることから、バンドを好適に溶融することができないという問題もあった。
そこで、本発明は、発熱体であるニクロム板(電熱用抵抗体)80の形状に特徴をもたせることにより、機械的強度を低下させることなく厚みを低減でき、形態安定性があり、かつ、溶着面積を広くとることができ、熱効率のよいヒーターを提供することを目的とする。また、本発明は、前述のようなヒーターにより、高速梱包を可能とすることを目的とする。
上記課題を解決すべく、本発明のヒーター10は、
梱包物の外周に熱溶融性材料から成るバンドを巻回して梱包する梱包機において使用され、前記梱包物に巻回されたバンドの先端側と供給端側との重合面間に挿入されて該バンド重合面を溶融する梱包機のバンド溶着用ヒーターであって、
前記ヒーター10は、少なくとも先端側を矩形状と成す電熱用抵抗体の薄板から成り、前記薄板の後端から前記薄板の長さ方向略中央に至り前記薄板の幅方向略中央に穿設された端子側スリット1と、前記薄板の先端側において前記薄板の幅方向略中央に穿設され、後端が前記端子側スリット1の先端に、且つ、先端が前記薄板の先端に対してそれぞれ所定の間隔を介して形成された先端側スリット3と、前記先端側スリットの両側に、それぞれ前記薄板の長さ方向を長さ方向として穿設され、後端が前記端子側スリットの先端にそれぞれ連通する分岐スリットを備えることを特徴とする(請求項1)。
前記分岐スリットの先端は、前記薄板の先端に対して所定の間隔を介して形成され、且つ、前記先端側スリットの先端に対して前記薄板の後端側に配置されていることが好ましく(請求項2)、また、前記分岐スリット2は、前記端子側スリット1や前記先端側スリット3の形成された前記薄板の幅方向略中央を中心として対称形状であることが好ましい。
前記分岐スリット2の形状としては、例えば、前記端子側スリット1先端から前記薄板の幅方向に延びた後、該薄板の先端に向かって前記薄板の長さ方向に延びた略コの字状(請求項3)や、前記端子側スリット1先端から前記薄板の先端に向かって所定のR形状に湾曲して延びた後、該薄板の長さ方向に延びた略U字状(請求項4)、前記端子側スリット1先端から前記薄板の先端に向かって所定の角度をもって斜めに延びた後、該薄板の長さ方向に延びた形状(請求項5)等を挙げることができる。
前記薄板に形成された前記端子側スリット1、先端側スリット3、分岐スリット2の各スリットは、その端部を所定のR形状とすることが好ましい(請求項6)。
本発明のヒーター10は、前記端子側スリット1の形成された前記薄板の後端側、すなわち端子片5を、前記分岐スリット2の形成された前記薄板の先端側、すなわち発熱部6と比較して幅広とすることができる(請求項7)。
また、本発明のヒーター10は、前記先端側スリットと前記薄板の幅方向両端との間において、前記分岐スリットよりも前記薄板の先端側に、前記先端側スリット3を中心として対称形状を成す孔をそれぞれ穿設してもよい(請求項8)。
さらに、前記先端側スリット3は、同一直線上に延びる2本又はそれ以上のスリットにより形成されていてもよい(請求項9)。
本発明のヒーター10を成す電熱用抵抗体(ニクロム板)は、前記特許文献1記載の従来のヒーター90におけるスリット89に相当する先端側スリット3がヒーター10の先端に到達しないよう穿設されており、ヒーター先端部9が幅方向に連通していることから、電圧を印加することにより前記ヒーター10の外側部7の一方7bから他方7aへと流れる電流は、分岐スリット2と先端側スリット3により形成された内側部8を通過する全体として略M字状の流路のほか、ヒーター先端部9を直線的に通過する流路という二通りの流路を流れることとなる。
この場合、前記内側部8のほか、前記先端部9も電圧印加部間の中心にあたるため、該先端部9においても通電による発熱が効果的に行われる。
また、本発明のヒーター10によれば、前述のように電圧印加部の中心が先端部9と内側部8に二分されているところ、外側部7には前記先端部9に流れる電流と内側部8に流れる電流とが合算された電流が流れることから、該外側部7においても発熱が効果的に行われる。
以上より、本発明のヒーター10によれば、外側部7及び先端部9についても好適に発熱させることができるため、前記特許文献1のヒーター90のように内側部88のみが他の部分87,89と比較して高温となるという問題を回避することができる。したがって、例えば、分岐スリット2の長さを短く、分岐スリット2と先端側スリット3間の両間隔を狭くして、該外側部7と先端部9を内側部8よりも高温としたり、該外側部7と先端部9を前記内側部8と同等に発熱させて温度分布を均一化させることが可能となり、これによって溶融面積が広く確保され、バンドの溶着強度を高めることができる。
また、前記先端部9を高温とすることができるため、バンド先端側と供給端側の重合面間へヒーター10を挿入する距離を短くすることができ、これにより梱包の1サイクルに要する時間を短縮し、高速梱包することが可能となる。
このほか、本発明のヒーター10は、先端部9が連続している形状となっており、前記特許文献1のヒーター90において使用されるニクロム板80のように先端が分断されていないことから、該特許文献1記載のニクロム板80のようにスリット83によって隔てられた右片及び左片が個別に動いてしまう等の問題が生じず、機械的強度を高いものとすることができ、また、通電の際に反り等の歪みを生じることを防ぐことができる。
したがって、本発明のヒーター10は、これを上下方向からマイカー板91や金属体92で挟持、被覆せずとも、電熱用抵抗体(ニクロム板)単体でヒーター10として使用することができる。
このように本発明のヒーター10にあっては、電熱用抵抗体(ニクロム板)そのものを単独でヒーター10として使用することができるため、前記特許文献1においてニクロム板80を挟持していたマイカー板91や金属体92の分、厚みを大幅に低減させることができる。
また、本発明のヒーター10は機械的強度が高いことから、これを成す電熱用抵抗体自身も薄くすることができ、これによりヒーター10の厚みを一層低減させることができる。
以上のようにヒーター10の厚みを低減することによって、バンド先端側と供給端側の重合面間に該ヒーター10を挿入するために設ける間隙を狭めることができるため、前記バンドの重合面を押圧する中プレス45の移動距離を小さくし、梱包の1サイクルに要する時間を短縮して梱包の高速化を図ることが可能となる。
本発明のヒーター10をマイカー板91や金属体92にて挟持・被覆等されていない状態で使用すれば、短時間で所望の温度まで上昇させることができ、かつ、溶融対象であるバンドとの間に前記マイカー板91や金属体92等の介在物がないことによってバンドに対しても好適に高熱を付与することができるため、熱効率をよいものとすることができる。
また、前記熱効率のよさから、ヒーター10に流す電流を少なくすることができるため、ヒーター10に接続されるリード線16を細くすることができる。したがって、前記特許文献1に記載のヒーター90のように、バンド先端側と供給端側の重合面間へのヒーターの挿入・引出を行う際に前記リード線96の動きが悪く、引っ張られるといった問題を回避することができる。
さらに、本発明のヒーター10は、これに形成される端子側スリット1、分岐スリット2、先端側スリット3の形状や、前記各スリットの端部形状、ヒーター10の全体形状、また、その他にヒーター10に設ける孔13などを適宜選択して各種パターンを採ることができ、これによって機械的強度をさらに高めたり、熱分布のさらなる均一化を図るなどすることができる。
以下、本発明のヒーター10及び該ヒーター10を備えた梱包機につき、図面を参照しつつ説明する。
1.ヒーター
本発明のヒーター10は、被梱包物に熱溶融性材料より成るバンドをバンド掛けする際、該バンドの先端側と供給端側の重合面を溶融するために用いるものである。なお、本発明のヒーター10により溶融するバンドの材質としては、熱可塑性樹脂を用いることができ、本実施形態にあっては一例としてPP(ポリプロピレン)から成るバンドを用いることとする。また、該バンドとしては例えば16〜22mm程度の幅のものを使用することができる。
〔材質〕
本発明のヒーター10は、端子に連通するリード線16を接続することにより所定電圧が印加され、これによって通電して発熱する電熱用抵抗体であれば、既知の各種のものを使用することができる。具体的には、高い電気抵抗を有する金属抵抗体が好ましく、本実施形態にあってはこの種のヒーターに一般的に使用される材質である、ニッケルとクロムの合金(ニクロム)から成るニクロム板を用いることとする。
なお、本発明のヒーター10は、前記特許文献1のヒーター90におけるニクロム板80に相当するものであるが、後述するようにその形状によって機械的強度が高いことから、これ単独でヒーター10として使用することができる。
〔形状〕
図1は、本発明のヒーター10の一実施形態を示すもので、少なくとも先端側を矩形状と成す薄板状に形成されている。図1に示す実施形態にあっては、全体が略長方形の薄板状に形成されている。該ヒーターの先端側略半分(図1における約左半分)は通電により発熱する発熱部6、後端側略半分(図1における約右半分)は前記発熱部に連通する端子片5である。
なお、本発明にあっては、図7や図8に示すような、端子片5が発熱部6よりも幅広に形成された形状も、ヒーター10の形状として採り得る。また、前記ヒーター10は必ずしも平坦な薄板状である必要はなく、例えば端子片5の後端側が所定の角度をもって曲折していてもよい。
前記ヒーター10には端子側スリット1、前記端子側スリット1に連通する分岐スリット2、前記分岐スリット2間に位置する先端側スリット3が穿設されている。
前記端子側スリット1は、ヒーター10の後端(図1中右側)を成す幅方向の略中央から、先端(図1中左側)に向けて長さ方向に直線形成されている。前記端子側スリット1の長さはヒーター10全長の約半分となっており、該端子側スリット1により、ヒーター後端側には図示せざる電源に接続されたリード線16が接続される2つの端子片5(5a,5b)が形成される。
該端子片5には、リード線16に設けられた端子17を取り付けるための端子用孔11、及び、ヒーター10をバンド重合面に挿入・引出する部材(擺動杆30)に固定するための部材取付孔12が設けられている。本実施形態にあっては、2つの端子片5a,5bそれぞれの後端側に設けられた端子用孔11に対し所定間隔を介して先端側に前記部材取付孔12を一つずつ設けることとしている。
なお、前記端子用孔11は、ヒーター10に所定電圧を印加して電流を流す観点から、2の端子片5a,5bそれぞれに設けられている必要があるが、前記部材取付孔12は、他の部材との固定が行われればよいため、必ずしも各端子片5a,5bに個々に形成されている必要はなく、例えば、図9に示すように両端子片5a,5bに跨るよう端子側スリット1上に形成することも可能である。
前記端子側スリット1の先端には、ヒーター先端側に向けて二叉に延びる分岐スリット2が連通して穿設されており、また、前記分岐スリット2間には、その後端が前記端子側スリット1の先端に至らず、その先端がヒーター先端に至らない所定長さで先端側スリット3が穿設されている。これら端子側スリット1及び分岐スリット2によって、本発明のヒーター10には電源から印加された電圧により発生する電流の流路が形成される。
ここで、本明細書においては、本発明のヒーター10のうち、その幅方向において分岐スリット2よりも外側を外側部7、分岐スリット2よりも内側を内側部8と呼び、また、前記バンド重合面への挿入方向先端側を先端部9と呼ぶ。
前記分岐スリット2は、これにより形成される外側部7及び内側部8に発熱ムラが生じないよう、ヒーター10の幅方向中央を基準として対称な形状に形成されていることが好ましい。
分岐スリット2の具体的な形状としては、図1に示すような、前記端子側スリット1先端からヒーターの幅方向に延びた後、ヒーター先端に向かってヒーターの長さ方向に延びた略コの字状が挙げられる。
また、図2に示すように、前記端子側スリット1先端からヒーター先端に向かって所定のR形状を成して湾曲して延びた後、ヒーターの長さ方向に延びた略U字状や、図3に示すように、前記端子側スリット1先端からヒーター先端に向かって所定の角度をもって斜めに、すなわち略V字状に延びた後、ヒーターの長さ方向に延びた形状とすることもできる。
前記分岐スリット2の長さや、Rの曲率、また、V字の角度等は適宜変更可能であり、その形状は種々のパターンを採ることができる。例えば、前記図1において略コの字状を成す分岐スリットの両角部に丸みを持たせたり、図3において略V字状を成す分岐スリットの端子側スリットとの連通部に丸みを持たせることもできる。
前記分岐スリット2の形状として、図2に示す略U字状や、前述したような角部に丸みを持たせた形状を採れば、バンド重合面間に対してヒーターの挿入・引出等を行う際に、該スリット2によりヒーター10に形成された角部がバンドに引っ掛かる等してヒーター10が破損することを好適に防ぐことができ、ヒーター10の強度を高く保つことができる。
図1において3は先端側スリットで、該先端側スリット3は前述のように前記分岐スリット2間において、ヒーター10の先端に至らず、かつ前記端子側スリット1の先端に至らない所定長さに穿設されている。前記先端側スリット3についても、ヒーター10の発熱ムラを防止する観点から、ヒーター10の幅方向中央で長さ方向に直線形成されていることが好ましい。
前記先端側スリット3がヒーター10の先端、及び前記端子側スリット1の先端に至らない状態で穿設されていることにより、前記ヒーター10には、外側部の一方7bから外側部の他方7aに至る電流の流路として、内側部8を通過する流路と、先端部9を通過する流路という2つの流路が存在することとなる。これにより本発明の効果で記載したように、ヒーター10の外側部7と先端部9についても好適に高温とすることができ、バンドの溶融面積を広くして溶着強度を高めることが可能となる。
なお、図1に示す実施形態にあっては、前記先端側スリット3は単一のスリットとして形成されているが、例えば該先端側スリット3を長さ方向で複数に分割された複数本形成することもできる。図5は、前記先端側スリット3が同一直線上に並ぶ2本のスリットによって構成された例を示したものである。このように先端側スリット3を複数本で構成すれば、外側部の一方7bから他方7aに向かう電流の流路がさらに増え、ヒーター10の熱分布をさらに均一化することができる。
また、前記端子側スリット1、分岐スリット2、先端側スリット3の端部は、図1に示すように角形状であってもよいが、図4に示すようにR形状であることが好ましい。これらのスリットの端部をR形状とすることにより、バンド重合面間へのヒーター挿入・引出の際に該端部がバンドに引っ掛かる等してヒーター10が破損することを防ぐことができ、ヒーター10の強度を高めることができる。
さらに、本発明のヒーター10の形状としては、前述のように、ヒーター後端側の端子片5をヒーター先端側の発熱部6と比較して幅広に形成することもできる(図7、図8)。
前記端子片5は、図1に記載されたヒーター10においても、発熱部6における外側部7、内側部8、先端部9と比較して幅広で電流の流路断面積が広いため抵抗が小さく、通電による発熱が抑えられる構成となっているが、前記図7、図8のように端子片5をさらに幅広とすれば、抵抗がより小さくなり通電による発熱を好適に防止できる。また、端子片5の幅が広いことにより、他の部材17,30との固定も好適に行えるほか、ヒーター10の機械的強度も高くなる。
また、本発明のヒーター10の端子片5のうち、端子用孔11の設けられた後端側を所定の角度をもって曲折させた形状とすることもできる。このヒーター10を曲折部が下方となるよう擺動杆30へ固定し、斜め下に曲折する端子用孔11に端子17を接続すれば、該端子17に接続されているリード線16が水平方向に延びることなく下方へと流れるため、リード線16の長さを短くすることができるほか、リード線16の動きをよくすることができる。
本発明のさらなる実施形態としては、ヒーター10に流れる電流の流路をさらに複雑化・増加させ、ヒーター10の熱分布を均一化すべく、図6に示すように、ヒーター10先端側に所定形状の孔13,13を穿設することができる。
前記孔13の穿設位置は特に限定されず、例えば、前記先端側スリットと前記薄板の幅方向両端間における前記分岐スリットよりも前記薄板の先端側で任意の位置に設けることができ、前記熱分布の均一化の観点からは、同一形状のものをヒーター10の幅方向中央(先端側スリット3)を中心として対称に穿設することが好ましく、その形状としては、図6に示すような形状のほか、円、楕円等の形状を採ることができる。
以上のように、本発明のヒーター10は、各スリット1,2,3の形状や長さ、また、各スリット1,2,3の端部の形状、ヒーター10の形状、スリット1,2,3以外の孔13の穿設等の特徴により、種々のパターンが想定されるが、前記端子片側スリット1、該端子片側スリットに連通する分岐スリット2、前記分岐スリット間に穿設される先端側スリット3を有しており、これらのスリット1,2,3により、ヒーター10の一の外側部から内側部を通じて他の外側部へ至る略M字状の流路と、外側部から先端部を通じて他の外側部へ至る略下向きコの字状の流路という2つ以上の電流の流路が少なくとも形成されるものであれば、本発明のヒーター10の形状は、上記実施例に記載されたものに限定されない。
すなわち、本願の図面において、図4〜図9に記載されている分岐スリットの形状は略コの字状であるが、これを図2や図3に記載されたようなU字状、その他の形状とすることができ、また、図4〜図9に記載された特徴を適宜併せて備えるものであってもよく、上記特徴を組み合わせて得られるパターンを広く含むことができる。
なお、前記ヒーター10の先端部9は、図10に示すように、その断面形状が先細形状に形成されていることが好ましい。このような形状とすることにより、ヒーター10をバンドの先端側と供給端側との重合面間に挿入しやすいという利点がある。
〔サイズ〕
本発明のヒーター10は、溶融対象であるバンドを好適に溶融することのできる大きさであればよく、バンド幅等により適宜変更可能であり、その寸法は特に限定されないが、一例として厚みが0.3〜2mm好ましくは、0.5〜1mm、幅が5〜25mm好ましくは10〜20mmのニクロム板を用いることができ、該ニクロム板に設けられた前記各スリットの幅を0.2〜3mm好ましくは0.3〜1mm、前記分岐スリットと先端側スリットとの間隙を2〜5mm好ましくは3〜4mm、前記分岐スリットと長さ方向側面との間隙を0.5〜5mm好ましくは1.0〜3.0mm、前記分岐スリットと幅方向側面との間隙をそれぞれ3〜8mm好ましくは4〜6mmとすることができる。
本実施形態にあっては、前記ヒーター10を、厚みが0.8〜1mm、幅が19mm、長さが46mmのニクロム板とし、該ニクロム板に設けられた各スリットの幅を1mm、前記分岐スリットと先端側スリットとの間隙を4mm、前記分岐スリットと長さ方向側面との間隙を4mm、前記先端側スリットと幅方向側面との間隙を0.5mmとする。
2.梱包機
本発明の梱包機は、前述するヒーター10をバンドの溶融手段として用いる点に特徴を有しており、該ヒーター10以外の、バンド供給、被梱包物へのバンドの巻回、引締め、スライドテーブル下面へのバンドの押圧、バンドの切断等に関する各種機構については、既知の梱包機と同様の構成を採ることができる。
本実施形態にあっては、前記背景技術の項で説明した図11及び図12に記載の梱包機において、ヒーター90に代えて前記本発明のヒーター10を取り付けることとし、その他の機構については説明を省略する。
図10は、前記本発明のヒーター10を梱包機にて使用する際の状態を示した図であり、ヒーター10は、端子片5において、端子と連通するリード線16が接続されていると共に、該ヒーター10をバンドの重合面間に挿入・引出するための擺動杆30に固定されている。
前記ヒーター10とリード線16との接続は、一例として、ヒーター10の端子片5に設けられた端子用孔11と、リード線16の先端に設けられた端子17の孔とを重ね合わせ、これにネジ等の嵌合部材29を挿入、螺合して行うことができる。
また、前記ヒーター10の擺動杆30への固定は、一例として、ヒーター10の端子片5に設けられた部材取付孔13を、擺動杆30に固定されたL字状のブラケット27の有する孔に重ね合わせ、これにネジ等の嵌合部材28を挿入、螺合して行うことができる。この際、前記ブラケット27に電流が流れないよう、該ブラケット27とヒーター10とは絶縁体たるマイカー板15を介して重合される。
前記ヒーター10とリード線16、あるいは擺動杆30(ブラケット27)に固定するために用いる嵌合部材28,29としては、ステンレス等、抵抗の小さい材質から成るものを用い、嵌合部材自体が通電により発熱等しないようにすることが好ましい。
本発明のヒーターは、被梱包物を熱溶融性材料からなるバンドで梱包する際、該バンドを溶融するために好適に用いられることから、梱包のためのバンド溶融手段を備えた装置に広く使用することができ、例えば、被梱包物へのバンドの掛け渡しを手動で行う半自動梱包機、梱包機本体上にバンド案内アーチを有する全自動梱包機、各種の梱包機に備えることができる。
本発明のヒーターの一実施形態を示した図。 本発明のヒーターの別の実施形態を示した図。 本発明のヒーターの別の実施形態を示した図。 本発明のヒーターの別の実施形態を示した図。 本発明のヒーターの別の実施形態を示した図。 本発明のヒーターの別の実施形態を示した図。 本発明のヒーターの別の実施形態を示した図。 本発明のヒーターの別の実施形態を示した図。 本発明のヒーターの別の実施形態を示した図。 本発明のヒーターの使用例を示した図。 従来のヒーターを搭載した梱包機の一部概略図。 従来のヒーターを搭載した梱包機の一部概略図。 従来のヒーター(特許文献1のヒーター)を示した図。
符号の説明
1 端子側スリット
2 分岐スリット
3 先端側スリット
5 端子片
5a 右片(端子片の)
5b 左片(端子片の)
6 発熱部
7 外側部
7a 右側
7b 左側
8 内側部
9 先端部
10 ヒーター(電熱用抵抗体、ニクロム板)
11 端子用孔
12 部材取付孔
13 孔
15 マイカー板
16 リード線
17 端子
20 梱包機本体
25 挟持板(上)
26 挟持板(下)
27 ブラケット
28 ネジ(部材取付孔側)
29 ネジ(端子用孔側)
30 擺動杆
31 転子
32 軸
33 スライドテーブル
34 フレーム
36 軸
40 右プレス
41 バンド通路
42 上刃
45 中プレス
46 下刃
49 左プレス
52 軸
53 メインローラ
54 アッパーローラ
60 カム軸
61 カム(擺動杆用)
80 電熱用抵抗体(ニクロム板)
83 スリット
87 外側部
88 内側部
89 先端部
90 従来のヒーター(加熱板)
91 マイカー板
92 金属体
96 リード線

Claims (9)

  1. 少なくとも先端側を矩形状と成す電熱用抵抗体の薄板から成り、
    前記薄板の後端から前記薄板の長さ方向略中央に至り前記薄板の幅方向略中央に穿設された端子側スリットと、
    前記薄板の先端側において前記薄板の幅方向略中央に先端側スリットを穿設し、該先端側スリットの後端が前記端子側スリットの先端に、且つ、前記先端側スリットの先端が前記薄板の先端に対してそれぞれ所定の間隔を介して形成され、
    前記先端側スリットの両側に、それぞれ前記薄板の長さ方向を長さ方向として穿設配置され、後端が前記端子側スリットの先端にそれぞれ連通する分岐スリットを備えることを特徴とする梱包機のバンド溶着用ヒーター。
  2. 前記分岐スリットの先端が、前記薄板の先端に対して所定の間隔を介して形成され、且つ、前記先端側スリットの先端に対して前記薄板の後端側に配置されていることを特徴とする請求項1記載のヒーター。
  3. 前記分岐スリットが、前記端子側スリットの先端から前記薄板の幅方向に延びた後、該薄板の先端に向かって前記薄板の長さ方向に延びた略コの字状であることを特徴とする請求項1又は2に記載のヒーター。
  4. 前記分岐スリットが、前記端子側スリットの先端から前記薄板の先端に向かって所定のR形状に湾曲して延びた後、該薄板の長さ方向に延びた略U字状であることを特徴とする請求項1又は2記載のヒーター。
  5. 前記分岐スリットが、前記端子側スリット先端から前記薄板の先端に向かって所定の角度に傾斜して延びた後、該薄板の長さ方向に延びた形状であることを特徴とする請求項1又は2記載のヒーター。
  6. 前記薄板に形成された前記各スリットの端部が所定のR形状であることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載のヒーター。
  7. 前記端子側スリットの形成された前記薄板の後端側が、前記分岐スリットの形成された前記薄板の先端側と比較して幅広であることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載のヒーター。
  8. 前記先端側スリットと前記薄板の幅方向両端との間において、前記分岐スリットよりも前記薄板の先端側に、前記先端側スリットを中心として対称形状を成す孔がそれぞれ穿設されていることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項記載のヒーター。
  9. 前記先端側スリットが同一直線上に延びる2本又はそれ以上のスリットにより形成されていることを特徴とする請求項1〜8いずれか1項記載のヒーター。

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