JP3754177B2 - 血圧測定装置及び方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は血圧測定装置及び方法に関し、例えば、心臓リハビリ及びヘルスケア分野における携帯装着して心筋力の回復トレーニング等の運動療法中であっても血圧測定が可能な血圧測定装置及び方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、非観血血圧測定の主な方法として、例えばオシロメトリック法(振動法)あるいはコロトコフ音(以下、「K音」という。)法がある。
例えば、K音法は、上腕にカフを巻き、上腕動脈上に聴診器をあててカフを拡張し、空気圧により血流を遮断した後、空気圧を徐々に減圧して聴診器により聞こえるK音の聞こえ始めた時点のカフ内圧を最高血圧とし、K音が消滅した時点のカフ内圧を最低血圧として血圧を測定する方法である。
【0003】
この従来のK音法による血圧測定装置の例を図3に示す。図3に示すように従来の血圧測定装置は、カフ10と、カフ10により圧迫される血管上部に配置され、血管音を収集するマイク15と、マイク15よりの収集血管音よりK音を検出するK音検出手段20と、カフ10を加圧するとともにカフ内圧を測定し、一定割合でカフ圧力を減圧制御する圧迫圧力制御手段50と、該圧迫圧力制御手段50よりのカフ内圧検出値と、K音検出手段20よりのK音検出結果とより最高血圧値及び最低血圧値を測定する血圧測定手段30と、血圧測定手段30での血圧測定結果を表示する表示手段60とを備えていた。
【0004】
そして、例えばカフ圧力の減圧中に最初にK音が検出されたカフ内圧を最高血圧値(SIS)とし、検出されたK音が消滅する時のカフ内圧を最低血圧値(DIA)としていた。
オシロメトリック法においても、K音検出手段20に代えて脈波検出手段を備え、カフ内圧の変化を検出して脈波の発生状況を検出し、この振幅が最大になる点が平均血圧(MAP)になることを基に振幅波形情報を統計的に処理して得られたアルゴリズムにより最高血圧値(SYS)、最低血圧値(DIA)を決定していた。
【0005】
これらの方法は、何れも安静状態で血圧を測定することを前提としており、運動中などのカフ圧力の変動がどうしても避けられない状態ではマイクが運動に伴う各種の音をひろったり、運動に伴うカフ内圧の変動による雑音信号をひろってしまったりして正確な血圧値の測定ができなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年は運動療法である心臓リハビリ及びヘルスケアの効能が注目されるにつれ、運動療法を行なう医療機関が増えてきており、また、治療を受けている患者の数も増加している。効果的な運動処方には、血圧の測定が不可避であり血圧等の生体情報を監視し、基準を越えると警報を発する等の対応が必要である。この運動療法中の血圧測定を行なうためには、従来の血圧計では運動に伴って発生する雑音混入により測定は困難であり、診断不能となる。
【0007】
従って、自由な生活態度を妨げることなく、安全かつ効果的に運動療法が行えるよう測定中も運動制限の無い軽量かつ小型の正確に血圧を測定できる装置が望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を解決するために成されたもので、上述の課題を解決する一手段として例えば以下の構成を備える。即ち、カフと、カフ内に気体を注入してカフ内圧を制御するカフ加圧制御手段とを含み、血管を圧迫する血管圧迫手段と、カフ内に所定距離離反させて少なくとも2つ配設されたマイクロエアバックと、マイクロエアバックの差圧を検出する差圧検出手段と、差圧検出手段の検出差圧及び血管圧迫手段による血管圧迫圧力値より最高血圧値及び最低血圧値を測定する血圧測定手段とを備え、マイクロエアバックは、少なくとも1個は血圧を測定するカフ下流でかつ脈管上に配置され、他方は周辺方位に所定距離離反させて配置されるとともに、血圧測定手段は、差圧検出手段の検出差圧を元に最高血圧値と最低血圧値を測定することを特徴とする。
【0012】
更に、上記構成に加え、前記血圧測定手段で測定した血圧測定結果を表示する表示手段を備えることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明に係る発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
<本発明に係る発明の実施の形態例の概要>
本発明の実施の形態例における血圧測定時装置は、運動及び体動に伴うカフ内圧の変動の影響を抑制して血圧測定に必要な信号を抽出することを目的としてなされたもので、例えば、以下の構成を備えている。
【0014】
即ち、2個以上のマイクロエアバックをカフ下(上腕関節)動脈上に所定距離離して配置し、一方をマイクと同様に動脈管の拍動を最も検出し易い所に配置する。この結果、カフを測定すべき被検者の上腕に巻き付けて加圧すれば、各マイクロエアバッは均等にカフの圧力を受けることになる。一方、脈管を伝達する脈動の影響は血管に対する配置の関係で脈管に近い場所に配置したものは最も強く、離れた場所に配置したものは弱くなる。また、2個以上のマイクロエアバックを脈管の上下流線上に配置した場合は、脈動の伝播時間差を生じる。
【0015】
以上のことから、マイクロエアバック双方の差圧を検出すると、運動等に伴うカフ内圧の変動は殆ど抑圧除去され、脈動による圧力変動が強調出力される。このため、この検出した微少圧変動の高周波成分を選択すると、聴診法に基づくコロトコフ音とタイミングが良く一致し、雑音が極めて少ない検出結果が得られる。従ってカフ内圧を連続降下制御中に最初に生じるこの高周波振動圧は最高血圧(SYS)と一致し、また、消滅した時点のカフ内圧が最低血圧値(DIA)と一致する。
【0016】
このことより最高血圧値(SYS)及び最低血圧値(DIA)を決定することとし、被検者の運動負荷等があっても、正確な血圧値の測定を可能としている。
以上を実現する本発明に係る一発明の実施の形態例の概略構成例を図1に示す。図1において、10はカフ、35は最高血圧値と最低血圧値を測定して表示手段60より測定結果を表示させる血圧測定手段、40はカフ10に配設されたマイクロエアバック70、75の両マイクロエアバック間の差圧を検出して血圧測定手段35に出力する差圧検出手段である。
【0017】
また、50はカフ10内に空気を送り込むエアポンプとカフ内に送り込んだエアを排気する排気制御弁とを供え、カフ内圧を制御可能な圧迫圧力制御手段、60は血圧測定手段35の測定結果を表示する表示手段、70、75はカフ10を測定者の測定部位に装着した際に上述した位置関係となり血圧を測定する脈管の上流側と下流側に所定距離離反させて配置されたマイクロエアバックであり、図1の例では2個が備えられている。
【0018】
以上の構成において、上述した動作を可能としており、測定者の測定部位にマイクロエアバック70、75が上述した位置関係となるようにカフ10を装着し、圧迫圧力制御手段50においてカフ内圧を予め測定者毎に定められた圧力となるように加圧する。圧迫圧力制御手段50は、カフ内圧を測定するカフ圧力測定手段を内包しており、カフ内圧の検出結果を監視しながら所定のカフ内圧になるまでエアを送り込む。
【0019】
そして所定カフ内圧になると以後一定量づつカフ10内のエアを排気させ血圧測定が終了すると一気にカフ内圧を排気し、血圧測定がうまく行われなかった時には例えばカフ内圧を最初の設定値より高く設定しなおしてカフ内圧を制御する。なお、検出したカフ内圧は血圧測定手段35に出力される。差圧検出手段40は2つのマイクロエアバック70、75それぞれの圧力を検出し、2つのマイクロエアバック70、75の圧力の差を求める。
【0020】
発明者は、カフ10で圧迫する測定者の脈管上にマイクロホンを配置してこのマイクロホンよりのK音検出結果とマイクロエアバック70、75双方の差圧の検出結果とを比較検討し、差圧の検出結果が脈動による圧力変動を強調出力するものであり、この検出した微少圧変動の高周波成分を選択すると、聴診法に基づくコロトコフ音とタイミングが良く一致し、雑音が極めて少ない検出結果が得られることを新たに発見した。
【0021】
即ち、例えばカフ内圧を連続降下制御中最初に生じるこの高周波振動圧は最高血圧と一致し、また、消滅した時点のカフ内圧が最低血圧と一致する。あるいは連続上昇制御中に最初に生じるこの高周波振動圧は最低血圧と一致し、また、消滅した時点のカフ内圧が最高血圧と一致することを発見した。
従って、血圧測定手段35では、この現象を血圧測定方法及び装置に適用し、最高血圧値及び最低血圧値を決定することとして測定結果を表示装置60より表示出力可能としている。
【0022】
更に、発明者は、この検出方法によれば、測定者の運動負荷等があっても、運動負荷などに伴うカフ内圧の変動は殆ど抑圧除去され、脈動による圧力変動が強調出力されることを確認し、被検者の運動負荷等があっても、正確な血圧値の測定を可能としている。
図1に示す構成を実現する具体的な構成を図2に示す。図2において、10はカフであり、15はカフ10内のゴム嚢配設部分を示しており、70、75はゴム嚢15配設位置の測定者の皮膚装着側に所定距離離反して設けられたマイクロエアバックである。34はカフ内圧を検出する圧力センサ、36は本実施の形態例全体の制御を司るCPUであり、後述する制御を実現する制御手順を記憶するROM、及び処理経過などを一時記憶するRAMを内蔵している。
【0023】
また、37は圧力センサ34よりの検出圧力中の雑音成分を除去るローパスフィルタ、45はマイクロエアバック70、75の両エアバックに加わる圧力の差圧を検出する差圧センサ、46は差圧センサ45の検出結果より雑音成分を除去するバンドパスフィルタ、47はバンドパスフィルタ46よりの差圧センサ45検出アナログ差圧値とローパスフィルタ37よりの圧力センサ34の検出結果アナログ圧力値とを対応するデジタル値に変換するA/D変換部である。
【0024】
CPU36はこのA/D変換部47よりのデジタル値を基に最高血圧値及び最低血圧値を測定することになる。
51は圧力制御弁、52はエアポンプ、53は出力インタフェースであり、CPU36は出力インタフェース53を介してエアポンプ52を作動させてカフ10に内蔵されているゴム嚢15内にエアを送り込んでカフ内圧を加圧する。そして、CPU36は圧力センサ34で検出するカフ内圧を監視し、カフ内圧が所定圧力となったらエアポンプ52を停止させる。
【0025】
そしてCPU36は、圧力制御弁51を制御してゴム嚢15内のエアを例えば一定割合で排気させ、差圧センサ45で検出する減圧中のマイクロエアバック70、75の差圧を監視し、カフ内圧の減圧中の最初に高周波振動圧が生じた時の圧力センサ34検出のカフ内圧を最高血圧値(SYS)とし、高周波振動圧が消滅した時点の圧力センサ34検出のカフ内圧を最低血圧値(DIA)とする。
【0026】
この測定最高血圧値を表示用インタフェース61を制御して表示器62より表示させる。なお、この測定結果は、不図示のプリンタインタフェースを介して接続プリンタより印刷出力することも可能である。本実施の形態例においては、例えば 測定者への装着時にカフ下(上腕関節)動脈上に約25mm離して配置されるように設けた。この結果、背景圧は各マイクロエアバッ70、75に均等に加わり、一方脈圧は伝播時間等の関係で較差を生じるため、背景圧の除去と脈圧差の強調が可能となり、運動及び体動に伴うカフ内圧の変動の影響を抑制して血圧測定に必要な信号を抽出することが可能となり、マイクロエアバッ70、75の差圧を差圧センサ45で検出し、その後にこの差圧を増幅した結果、コロトコフ音と良く一致する出力が得られ、かつ腕を曲げたことによるカフ内圧変動の影響は殆ど無視できることが確認できた。
【0027】
以上説明したように本発明の実施の形態例によれば、運動に伴うカフ内圧の変動が殆ど抑圧除去され、運動負荷中においても信頼性の高い血圧測定結果が得られる。例えば、非観血血圧測定装置による運動負荷中の計測は、体動に伴う雑音により、正確な測定が極めて困難であるが、2個以上のマイクロエアバックを一定間隔で配置し、一方をマイクと同様に動脈管の拍動を最も検出し易い所に配置することにより、各マイクロエアバッは均等にカフの圧力を受け、一方、脈管を伝達する脈動の影響は血管に対する配置の関係で脈管に近い場所に配置したものは最も強く、離れた場所に配置したものは弱いこと、及び脈管の上下流線上に配置した場合は脈動の伝播時間差を生じる。
【0028】
このことから、双方の差圧を検出すると運動に伴うカフ内圧の変動は殆ど抑圧除去され、脈動による圧力変動を強調出力することができる。この結果、この微少圧変動の高周波成分を選択すると、聴診法に基づくコロトコフ音とタイミングが良く一致した、雑音が極めて少ない検出結果が得られる。従って、カフ内圧を連続減圧制御中に最初に生じるこの高周波振動圧は最高血圧と一致し、また、高周波振動圧が消滅した時点のカフ内圧が最低血圧と一致する信頼性の高い血圧測定結果が得られる。
【0029】
なお、以上の説明においては、マイクロエアバック70、75の配置を測定者への装着時にカフ下(上腕関節)動脈上に約25mm離して配置されるように設けたが、これは以下の実験結果の基づくものである。
(a)腕の振り、曲げ等に対してはマイクロエアバッ間の距離を狭くすると結果がよい。
【0030】
(b)差圧感度(信号出力)は脈管に近く、平行で筋肉を避けるとよい。
(c)カフの端に一方が近いと絶対圧の差を生じ、カフ内圧変動の影響が大きい。
(d)マイク(固い形状の物)が重なると感度に影響する。
以上の結果を考慮して上記配置としたものである。
【0031】
マイクロエバック70、75は、少なくとも1個は血圧を測定するカフ下流でかつ脈管(動脈)上に配置し、他方を所定距離離反させて配置、例えば血圧を測定する脈管(動脈)の上流側と下流側に25mm離反させて配置することがよいが,マイクロエバック70、75の少なくとも1個を血圧を測定するカフ下流でかつ脈管(動脈)上に配置し、他方を周辺方位に所定距離(例えば25mm)離反させて配置するように構成しても、上記と略同様の測定結果が得られる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明した様に本発明によれば、運動に伴うカフ内圧の変動が殆ど抑圧除去され、運動負荷中においても信頼性の高い血圧測定結果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る発明の実施の形態の一例の血圧測定装置の基本概念を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る発明の実施の形態の一例の血圧測定装置の構成を示すブロック図である。
【図3】従来の血圧測定装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 カフ
15 ゴム嚢
34 圧力センサ
36 CPU
37 ローパスフィルタ
45 差圧センサ
46 バンドパスフィルタ
47 A/D変換部
51 圧力制御弁
52 エアポンプ
53 出力インタフェース
61 表示用インタフェース
62 表示器
70、75 マイクロエアバック

Claims (3)

  1. カフと、前記カフ内に気体を注入してカフ内圧を制御するカフ加圧制御手段とを含み、血管を圧迫する血管圧迫手段と、
    前記カフ内に所定距離離反させて少なくとも2つ配設されたマイクロエアバックと、
    前記マイクロエアバックの差圧を検出する差圧検出手段と、
    前記差圧検出手段の検出差圧及び前記血管圧迫手段による血管圧迫圧力値より最高血圧値及び最低血圧値を測定する血圧測定手段とを備え、
    前記マイクロエアバックは、少なくとも1個は血圧を測定するカフ下流でかつ脈管上に配置され、他方は周辺方位に所定距離離反させて配置されるとともに、
    前記血圧測定手段は、前記差圧検出手段の検出差圧を元に最高血圧値と最低血圧値を測定することを特徴とする血圧測定装置。
  2. 前記血圧測定手段は、前記差圧検出手段の検出差圧の所定周波数成分の発生圧力値及び発生した所定周波数成分の消滅圧力値より最高血圧値及び最低血圧値を測定することを特徴とする請求項1記載の血圧測定装置。
  3. 更に、前記血圧測定手段で測定した血圧測定結果を表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の血圧測定装置。
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