JP3754136B2 - 分極反転させられた非線形光学材料の製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、分極反転構造を有する非線形光学材料の製造方法に関する。さらに詳しくは、粘度の高い導電性材料を介して非線形光学材料に電圧をかけることによって、所望のパターンどおりに分極反転させられた非線形光学材料を得ることができる製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
非線形光学材料とは、光の波長を変換したり、電圧を印加すると該材料の屈折率が変化したりするなどの非線形光学現象を示す材料である。非線形光学材料は、その機能を利用して波長変換、光シャッター、光変調器、光路切換えスイッチ、光ICおよび光メモリーなどの非線形光エレクトロニクス素子としての応用が期待されている。非線形光学材料としては、例えば強誘電体結晶および有機非線形光学材料などが含まれる。
強誘電体結晶とは、自発分極を生じる(外から電場を加えなくても、結晶の表面に正または負の分極電荷が現れる)結晶で、外からの電場によって分極が反転可能な結晶である。
有機非線形光学材料とは、有機材料の中でレーザ光などの強い光があたると、その強電界によって分子内部の電荷に非対称な振動(非線形振動)が起こり、非線形光学現象を示す材料である。
非線形光学材料に電圧をかけてある間隔をおいて分極反転させたものは、該材料に入射および出射(変換)される光の波長に適した周期を形成することで、効率良く入射光の波長を変換(波長変換)することができる。
【0003】
このような分極反転構造を有する非線形光学材料は、非線形光学材料の非反転領域上に絶縁膜を設け、これに金属膜を介して、あるいは電解液を介して、電圧を印加することによって製造されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、金属膜を介して電圧をかける方法は、非線形光学材料への電圧の印加を真空中または絶縁油中で行わなければならず、また非線形光学材料に電圧を印加するリード線は点(微小面積)で金属膜と接触しているため、電荷の供給が不均一になるという問題があった。さらに金属膜は非常に薄く、材料表面の所々で抵抗が変わるという問題もあった。
一方、電解液を介して電圧を印加する方法は、絶縁膜と電解液とが直接接しているため、電解液が絶縁膜に侵入し、その侵入した電解液によって絶縁膜が膨潤して膜の絶縁性が低下してしまい、その結果、分極反転領域が絶縁膜が配置されている領域より広がってしまい、ひどい時には該材料全体が分極反転してしまうという問題があった。分極反転領域と非分極反転領域との面積配分は、製品の特性に直接影響をもたらすので、設計したとおりの分極反転領域をもつ非線形光学材料が得られることが望まれる。
【0005】
本発明の目的は、分極反転させるべき領域を正確にコントロールして、設計どおりの分極反転領域をもつ非線形光学材料を得る方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討を行った結果、金属膜あるいは電解液の代わりに高粘度の液状導電性材料を用いることによって、非線形光学材料の分極反転させようとする領域を正確かつ容易にコントロールできることを発見し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、
(1)非線形光学材料および該非線形光学材料の表面に間隔をおいて接触している高粘度の液状導電性材料を含む非線形光学材料構造物に、電圧を印加して、非線形光学材料を分極反転させることからなり、液状導電性材料を導電性ブロックで加圧することにより非線形光学材料との接触面積を変化させることを特徴とする、分極反転させられた非線形光学材料の製造方法、
(2)非線形光学材料および該非線形光学材料の表面に間隔をおいて接触している高粘度の液状導電性材料を含む非線形光学材料構造物に、電圧を印加して、非線形光学材料を分極反転させることからなり、非線形光学材料にかかる液状導電性材料の重さを変化させることにより非線形光学材料との接触面積を変化させることを特徴とする、分極反転させられた非線形光学材料の製造方法、
(3)非線形光学材料の表面に、間隔をおいて絶縁膜が設けられている上記(1)または(2)記載の分極反転させられた非線形光学材料の製造方法、
(4)液状導電性材料が、スリット状膜を通って非線形光学材料の表面に接触している上記(1)または(2)記載の分極反転させられた非線形光学材料の製造方法、
(5)液状導電性材料が、粘度1×10-2ポアズ以上で、かつ表面張力100ダイン/cm以上である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の分極反転させられた非線形光学材料の製造方法、
(6)液状導電性材料が、液体金属である上記(5)記載の分極反転させられた非線形光学材料の製造方法、
(7)液体金属が、水銀またはガリウムである上記(6)記載の分極反転させられた非線形光学材料の製造方法、および
(8)非線形光学材料が強誘電体結晶である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の分極反転させられた非線形光学材料の製造方法に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の方法による、非線形光学材料を分極反転させる工程で形成される非線形光学材料構造物の一実施態様を図1に示す。非線形光学材料4のひとつの表面にある間隔で絶縁膜3が設けられ、この面は高粘度の液状導電性材料1と接触している。さらに液状導電性材料1は、非線形光学材料4との接触面積をコントロールするための導電性ブロック2と接しており、該導電性ブロック2の加圧力によって、液状導電性材料1と非線形光学材料4との接触面積がコントロールされる。一方、非線形光学材料の絶縁膜3が設けられている面に対向する面には導電性ブロック2が配置され、こうして電圧印加回路が形成されている。
【0009】
また、本発明における非線形光学材料構造物の別の実施態様を図2に示す。非線形光学材料4のひとつの表面に、所望の間隔で溝加工されたスリット状膜8が空気層9を挟んで配置されている。スリット状膜8の空気層9と接する面に対向する面上に配置されている高粘度の液状導電性材料1は導電性ブロック2と接しており、該導電性ブロック2の加圧力によって、スリット状膜8に設けられたスリットから押出され、所望の間隔をおいて非線形光学材料の表面と接触している。一方、非線形光学材料の液状導電性材料1が接触している面に対向する面には導電性ブロック2が配置され、こうして電圧印加回路が形成されている。なお、空気層9は空気に代えて真空あるいは絶縁油で満たされていてもよい。
【0010】
本発明によれば、液状導電性材料と非線形光学材料との接触面積は、上記した導電性ブロックによる加圧の他に、液状導電性材料自身の重さを変化させることによってもコントロールすることができる。例えば、図3に示すように、非線形光学材料4の表面と接触する液状導電性材料1が入った容器10を通路12を介して別の容器11と連結させる。液状導電性材料1は容器10と11の間を通路12を通って自由に行き来できるので、容器11中の液状導電性材料の液面の高さを変化させることによって、容器10中の液状導電性材料1の量、即ち重さを変化させることができる。この重さの変化により、液状導電性材料1と非線形光学材料4との接触面積をコントロールすることができる。
【0011】
図1〜3に示されるような非線形光学材料構造物に電圧をかけることによって、液状導電性材料1が非線形光学材料4の面と接触している部分だけ選択的に分極反転が起こる。このようにして、非線形光学材料の分極反転領域5と非分極反転領域6がある間隔で配置されている非線形光学材料が得られる。
【0012】
本発明で使用される液状導電性材料の粘度および表面張力は、非線形光学材料の表面に設けられている絶縁膜にしみ込まない程度および非線形光学材料表面で流れださない程度である必要がある。
液状導電性材料の粘度および表面張力は、絶縁膜間に液状導電性材料が入り込み、非線形光学材料表面と接触できるように水の粘度および表面張力よりも大きいことが好ましい。そのため、液状導電性材料の粘度(相対粘度、20℃、1気圧)は1×10-2ポアズ以上、表面張力(20℃、1気圧)は100ダイン/cm以上が好ましい。
【0013】
液状導電性材料の具体例としては、水銀、ガリウムおよびセシウム等の液体金属、スズ、ビスマス、カドミウム、鉛等を主成分とする融点の低い(好ましくは100℃以下の)ハンダ合金およびヒューズ用合金等が挙げられる。なかでも低融点の水銀、ガリウムが好ましい。
分極反転の条件としては、水銀の場合、融点が−38.9℃のため室温で反転させ、ガリウムの場合、融点が29.8℃のため30℃以上で反転させる。
【0014】
導電性ブロックを構成する導電性材料は電気抵抗の小さい、具体的には抵抗率が3μΩcm以下の金属材料が好ましく、例えば、銀、銅、金、アルミニウム等が挙げられる。
【0015】
スリット状膜は、液状導電性材料の加圧力に耐え、微細なスリットの形成が可能な材料であれば特に制限されず、その絶縁性および導電性は特に問われない。例えば、シリコンの異方性エッチングを利用して作製されるシリコン基板等が挙げられる。
また、スリット膜に形成されるスリットの幅やその間隔は、製品に要求される特性によって適宜決められる。
【0016】
非線形光学材料構造物に印加する電圧は、直流電圧でもパルスでも良い。電圧を印加する方向は、分極反転が起こりやすい方向が一般的である。しかし製品の要求される特性によっては、この限りではない。
【0017】
印加電圧の範囲は、例えば以下のようにして決定する。
図4に非線形光学材料のひとつの表面にある間隔で絶縁膜3が設けられ、液状導電性材料1上の導電性ブロック2を介して、非線形光学材料4に電圧を印加する構成である。この構成で、非線形光学材料の厚さをd1 、絶縁膜の厚さをd2 、非線形光学材料の誘電率をε1 、絶縁膜の誘電率をε2 、非線形光学材料の屈折率をn1 、絶縁膜の屈折率をn2 と規定する。
【0018】
図4は図5のような等価回路で置き換えることができる。
この等価回路で、印加電圧をVR 、非線形光学材料にかかる電圧をV1 、絶縁膜にかかる電圧をV2 とすると、絶縁膜のない非線形光学材料部分の電圧はV1 =VR 、絶縁膜のある部分ではV1 =VR −V2 である。従って、VR が分極反転する下限電圧VS になっても、絶縁膜のある部分ではV1 は下限電圧に達せず、分極反転が起こらない。しかし絶縁膜のある部分の電圧VR −V2 が下限電圧VS になれば、ここでも反転を起こすので不都合である。つまり、VS ≦VR で且つVS >VR −V2 である必要がある。即ち、ある間隔の分極反転を形成するための印加電圧VR は、VS ≦VR <VS +V2 の範囲から選択される。この時のV2 は等価回路から、
【0019】
【数1】
【0020】
となる。また、印加電圧を分極反転可能な電圧の近傍に設定することにより、非線形光学材料の破壊を防ぐことができる。
【0021】
例えば、VS を10.3kVと仮定し、d1 =500μm、d2 =6μm、n1 =2.15、n2 =1.60である場合、V2 は0.22kVとなり、印加電圧の範囲は、10.3kV≦VR <10.52kVとなる。
【0022】
反転電流の大きさは、非線形光学材料の反転周期または反転面積等により決定されるが、5μA/mm2 以下が好ましい。
【0023】
本発明で使用される非線形光学材料としては、LiTaO3 (LT)、LiNbO3 (LN)、KTiOPO4 (KTP)、LiNbP4 O12(LNP)、KNbO3 (KN)、BaNaNb5 O15(BNN)、KTiOAsO4 (KTA)、β−BaB2 O4 (BBO)、LiB3 O7 (LBO)およびKH2 PO4 (KDP)などの強誘電体結晶およびメタニトロアニリン(mNA)、2−メチル−4−ニトロアニリン(MNA)、4−ブロモ−4’−メトキシカルコン(カルコン)、ジシアノビニルアニソール、3,5−ジメチル−1−(4−ニトロフェニル)ピラゾール(DMNP)、N−メトキシメチル−4−ニトロアニリン(MMNA)、4’−ニトロベンジリデン−3−アセタミノ−4−メトキシアニリン(MNBA)、L−アルギニンフォスフェート・1水和物(LAP)、2−アダマンチルアミノ−5−ニトロピリジン(AANP)およびポールドポリマーなどの有機非線形光学材料が挙げられる。
【0024】
上記強誘電体結晶としては、分極反転形状が分極反転領域全面で均一であり、結晶基板の裏面まで形状が維持される点および材料特性が良く(非線形光学定数が大きい)、製品の波長変換効率が高い点から、LiTaO3 、LiNbO3 およびKTiOPO4 を使用することが好ましい。
【0025】
上記有機非線形光学材料としては、材料特性が良い(非線形光学定数が大きい)点から、MNBA、MNAおよびカルコンを使用することが好ましい。
【0026】
上記強誘電体結晶の製造法は、特に制限はないが、例えばLiNbO3 単結晶を例にすれば、Li2 OおよびNb2 O5 の融液に、LiNbO3 結晶の種を接触させ、その種をゆっくりと引き上げることによって、種を核にLiNbO3 を単結晶成長させる溶融引き上げ法などが挙げられる。
【0027】
上記有機非線形光学材料の製造法は、結晶組成の融液から引き上げ結晶を成長させる溶融法および有機物を融点以上に加熱し、ゆっくり降温して結晶成長させる融液法などがある。例えば、AANPは、窒素ガスとAANP粉末とをガラスアンプルに封じ込め、炉中でAANPの融点以上に加熱した後、温度を降下させて結晶育成する融液法などで製造できる。
【0028】
本発明で使用される非線形光学材料には不純物が含まれてもよい。
強誘電体結晶に含まれうる不純物としては、希土類元素、金属酸化物および金属元素などが挙げられる。有機非線形光学材料に含まれうる不純物としては、有機色素などが挙げられる。
また、製品の要求される特性に応じて、不純物を非線形光学材料にドーピングしてもよい。
【0029】
希土類元素としては、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuなどが挙げられる。
金属酸化物としては、酸化マグネシウムなどが挙げられる。
金属元素としては、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、アルミニウム、シリコン、チタンおよび亜鉛などが挙げられる。
【0030】
非線形光学材料に不純物をドーピングする方法は、自体既知の方法で行われ、例えば、強誘電体結晶の場合はその育成時に同時に行う、または結晶表面にドーピング材料を堆積して、熱処理を行って結晶内部に拡散させる方法などが挙げられる。
有機非線形光学材料の場合は、その育成時に同時に行うか、または材料表面より拡散させる方法などが挙げられる。
【0031】
非線形光学材料の厚さは特に制限はないが、研磨などの加工のしやすさ、プロセスにおける取り扱いやすさ、または分極反転時における電子なだれ破壊をさせない点から、通常、100〜3,000μmであり、好ましくは、波長変換で大出力光をとりだすために、入射光パワーが多く入れられる(大きなビーム径の入射光が入れられる)点から厚い方が良い。
【0032】
非線形光学材料の抗電界(分極反転が起こる電界)は、該材料の厚さによらず一定(Vc )であるので材料の厚さをtとすると、分極反転に要する印加電圧はVc tとなる。しかし、材料の厚さが大きくなると印加電圧がそれだけ大きくなり、そのため非線形光学材料の破壊が起こってしまう。
抗電界は一般に、温度に対し反比例の関係があるので、材料の厚さが大きい場合には非線形光学材料の温度を上昇させればよいが、水溶液の液体電極(電解液)を用いた場合は、最高でも100℃までしか温度を上昇させることができない。しかしながら、高粘度の液状導電性材料、特に液体金属を用いれば100℃以上まで温度上昇させることができる。このため、厚い非線形光学材料でも温度を上昇させることによって、結晶破壊を起こさない低い電圧で分極反転させることができる。
【0033】
非線形光学材料の形状は、特に制限はない。ただし、反転前の非線形光学材料は自発分極の方向が単一であることが望ましい。
【0034】
本発明で絶縁膜を使用する場合、該絶縁膜は、屈折率(比誘電率)が1.0(1.0)〜2.0(4.0)程度の小さいもの、更に膜厚を大きくとれるものが好ましい。これは、屈折率が小さいものほど、また膜厚が大きいものほど、絶縁膜のある場所とない場所での非線形光学材料にかかる電圧差が大きくなり、分極反転領域を制限しやすくなるためである。
絶縁膜としては、例えばフェノールノボラック樹脂などの感光性有機高分子膜(以下、「レジスト」という)、石英(SiO2 )やアルミナ(Al2 O3 )などの酸化物、およびポリイミドなどの有機高分子膜などが挙げられる。
絶縁膜の膜厚は特に制限されないが、通常、0.5〜20μmであればよい。
【0035】
非線形光学材料を分極反転させるために、製品の要求される特性に応じて、該材料の少なくともひとつの面に、液状導電性材料が導電性ブロックの加圧または該液状導電性材料の液面の高さを変化させることによって接触させられる。通常、分極反転が始まる面(分極反転が起こりやすい面)に接触させられるが、それに限らず、例えば板状の形状を有する材料は、その両面に接触させられてもよいし、多面体の場合は、対抗する両面、直交する両面、さらに3つ以上の複数面に接触させられてもよい。
【0036】
液状導電性材料が非線形光学材料に接触している部分の幅(D)とその間隔(W)は、製品の特性によって任意に設計され、通常、W、Dともに1〜100μm程度である。その配置は、例えばW、Dがそれぞれ10、20、30次いで40μmとなるように規則的に増加するように、またはW、Dが10、20、50、20μmとなるように不規則に配置されていてもよい。WとDは同じ値でも違う値でもよいが、好ましくはWがDより大きい値で、かつ分極反転領域と非分極反転領域とが周期的に配置されているように設定するのが良い。
【0037】
【実施例】
以下実施例および比較例によって、本発明をさらに詳しく説明する。ただし本発明はこれによって限定されるものではない。
【0038】
実施例1
強誘電体結晶としてLiTaO3 (厚さ:0.5mm、大きさ2cm×2cm、反転領域:2×10mm2 )を、液状導電性材料としてガリウム(90℃における粘度および表面張力:1.6×10-2ポアズ、700ダイン/cm)を、絶縁膜として感光性有機高分子(フォトレジスト、厚さ:6μm)を、導電性ブロックとしてアルミニウムを用いて図1の強誘電体結晶構造物(W:5μm、D:5μm)を製造した。
これに印加電圧10.5kVを印加し、反転電流がゼロとなった時点で印加を止め、強誘電体結晶を得た。
【0039】
実施例2
強誘電体結晶としてLiTaO3 (厚さ:0.5mm、大きさ2cm×2cm、反転領域:2×10μm)を、液状導電性材料として水銀(常温常圧における粘度および表面張力:1.6×10-2ポアズ、500ダイン/cm)を、スリット膜として厚さ0.5mm、孔径5μmのSi基板を、導電性ブロックとしてアルミニウムを用いて図2の強誘電体結晶構造物(W:5μm、D:5μm)を製造した。
これに印加電圧10kVを印加し、反転電流がゼロとなった時点で印加を止め、強誘電体結晶を得た。
【0040】
実施例3
導電性ブロック(アルミニウム)を用いて、液状導電性材料(ガリウム)を加圧する代わりに、ガリウム自身の重さを調節して、図3の強誘電体結晶構造物(W:5μm、D:5μm)を製造した。
【0041】
実施例1〜3で得られた強誘電体結晶には、それぞれ反転周期が10μmおよび反転幅が5μmである周期状の分極反転構造が形成されていた。
【0042】
【発明の効果】
本発明の分極反転させられた非線形光学材料構造物の製造方法によれば、粘度の高い液状導電性材料と非線形光学材料との接触面積を容易かつ正確に制御することができるので、非線形光学材料の非分極反転領域が広がることなく、所望の分極反転幅を容易に得ることができる。特に本発明の一実施態様である絶縁膜が非線形光学材料上に形成させている非線形光学材料構造体を用いる方法は、絶縁膜が電解液等の浸み込みによって絶縁膜の絶縁性が低下させられることがない。また、本発明の他の実施態様である非線形光学材料上に絶縁膜を形成せずスリット膜を通して粘度の高い液状導電性材料を非線形光学材料の表面と接触させる方法では、絶縁膜や電解液を用いないので絶縁膜の絶縁不良の問題はなく、空気層を絶縁層とすることでより高い絶縁性が確保され、さらにプロセスも簡略化される。
また、厚い非線形光学材料を用いたとしても、粘度の高い液状導電性材料、特に液体金属を用い温度を上昇させることによって、印加電圧を非線形光学材料が破壊されないような大きさに、且つ分極反転を起こさせる範囲に設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の非線形光学材料構造物の一実施例を模式的に示す図である。
【図2】本発明の非線形光学材料構造物の他の一実施例を模式的に示す図である。
【図3】本発明の非線形光学材料構造物の別の一実施例を模式的に示す図である。
【図4】本発明の非線形光学材料構造物に対する印加電圧の範囲を説明するための模式図である。
【図5】図4の等価回路図である。
【符号の説明】
1 液状導電性材料
2 導電性ブロック
3 絶縁膜
4 非線形光学材料
5 非線形光学材料の分極反転領域
6 非線形光学材料の非分極反転領域
7 リード線
8 スリット状膜
9 空気層
10 容器
11 容器
12 通路
W 導電性材料が非線形光学材料に接触している部分の間隔
D 導電性材料が非線形光学材料に接触している部分の幅
d1 非線形光学材料の厚さ
d2 絶縁膜の厚さ
Claims (8)
- 非線形光学材料および該非線形光学材料の表面に間隔をおいて接触している高粘度の液状導電性材料を含む非線形光学材料構造物に、電圧を印加して、非線形光学材料を分極反転させることからなり、
液状導電性材料を導電性ブロックで加圧することにより非線形光学材料との接触面積を変化させることを特徴とする、
分極反転させられた非線形光学材料の製造方法。 - 非線形光学材料および該非線形光学材料の表面に間隔をおいて接触している高粘度の液状導電性材料を含む非線形光学材料構造物に、電圧を印加して、非線形光学材料を分極反転させることからなり、
非線形光学材料にかかる液状導電性材料の重さを変化させることにより非線形光学材料との接触面積を変化させることを特徴とする、
分極反転させられた非線形光学材料の製造方法。 - 非線形光学材料の表面に、間隔をおいて絶縁膜が設けられている請求項1または2記載の分極反転させられた非線形光学材料の製造方法。
- 液状導電性材料が、スリット状膜を通って非線形光学材料の表面に接触している請求項1または2記載の分極反転させられた非線形光学材料の製造方法。
- 液状導電性材料が、粘度1×10-2ポアズ以上で、かつ表面張力100ダイン/cm以上である請求項1〜4のいずれかに記載の分極反転させられた非線形光学材料の製造方法。
- 液状導電性材料が、液体金属である請求項5記載の分極反転させられた非線形光学材料の製造方法。
- 液体金属が、水銀またはガリウムである請求項6記載の分極反転させられた非線形光学材料の製造方法。
- 非線形光学材料が強誘電体結晶である請求項1〜4のいずれかに記載の分極反転させられた非線形光学材料の製造方法。
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