JP3753478B2 - 電子負荷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は電源供給装置などに接続される電子負荷装置に係り、さらに詳しく言えば、電源供給装置の出力電流を任意の大きさに制御可能とする電子負荷装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器などの開発段階においては、重要と思われる回路の部分を試作ボードに組んであらかじめ性能の確認テストを行なうことが多い。この場合、同じボートに電源回路まで組み込むのは不経済なので、一般には電源供給装置から動作用電源を受けるようにしている。
【0003】
ところで、テストボードが必要とする電力は多種多様であるから、電源供給装置の出力は電圧は複数段に設定可能であり、また、かなりの大電流、大電力の負荷にも応じられるようになっている。このような電源供給装置の出力特性を検査する場合は、負荷電流の大きさを任意に設定できる電子負荷装置が利用される。
【0004】
図2にその一般的な例が示されているが、例えば+入力端子に基準電圧Vrefが加わり、その−入力端子に帰還電圧が加わる増幅器1と、同増幅器1の出力を受けてトランジスタQa1とQa2、またはトランジスタQb1とQb2を並列的に駆動する駆動回路2を備えている。
【0005】
また、トランジスタQa1とQa2のコレクタは入力端子5に接続され、トランジスタQb1とQb2のコレクタは入力端子7に接続されており、これら入力端子5と7には電源供給装置8からそれぞれ正の電圧+Vと負の電圧−Vが加わるようになっている。
【0006】
また、これら4つのトランジスタの各エミッタは例えば点aを通る共通配線にて増幅器1の−入力端子に接続されるとともに、電流検出用抵抗Rsを介して接地用端子6に接続されている。
【0007】
ここで、例えば増幅器1の+入力端子に正の基準電圧+Vrefが加わると、駆動回路2の一方の出力端子からトランジスタQa1とQa2にベース電流が供給されて同トランジスタはオンとなる。電源供給装置から端子5に流入した負荷電流IL(実線矢印)は、トランジスタQa1とQaに分流したのちそのエミッタ側で点aを通る共通配線に合流し、電流検出用抵抗Rsを通って接地用端子6から電源供給装置8に流れる。この場合、点aの箇所に発生する電圧をVaとすると、
Va=IL・Rs
である。
【0008】
この電圧Vaが増幅器1の−入力端子に帰還されると、同増幅器は−入力端子の電位を+入力端子の電位にイマジナリショートするため駆動回路2へ出力を発する。駆動回路2は
Va=Vref
となるようにトランジスタの電流増幅動作を制御する。これにより負荷電流ILは
IL=Vref/Rs ………(1)
となる。
【0009】
上記増幅器1の+入力端子に例えば負の基準電圧−Vrefを加えた場合は、駆動回路2の他方に出力端子からトランジスタQb1とQb2にベース電流が供給された同トランジスタQb1とQb2がオンとなる。これにより、正の基準電圧が加わった場合とは逆方向の負荷電流−IL(点線矢印)が電源供給装置8から接地端子6を介して流入し、抵抗Rsを通ってトランジスタQb1とQb2に分流する。これらの分流電流はそのコレクタ側で合流し、端子7を経て電源供給装置8に流れる。
【0010】
この場合、点aの箇所には
−Va=−IL・Rs
なる負の電圧が発生する。この電圧が増幅器1の−入力端子に帰還されると、−入力端子の電位が+入力端子の電位とイマジナリショートになることより上記と同様にして
−IL=−Vref/Rs ………(2)
となる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来装置では各トランジスタに流れる正、負2方向の電流を1個の抵抗で検出できるので電流検出回路が簡単であり、また、負荷電流の精度は検出用抵抗の抵抗値精度で決まるという利点がある。
【0012】
しかし、負荷電流を大きくする場合は電力容量の高い高精度の抵抗を必要とするので、外形が大きく、かつ高価になるという難点がある。
【0013】
また、トランジスタなどの負荷となる素子に特性のばらつきがあると、電流が各素子に平均して流れず、ある素子に集中的に流れるという電流集中現象が生じやすい。この場合、従来装置においては式(1)または式(2)により負荷電流の総量を検出しているので、この総量の範囲内である素子が電流集中により重負荷となり、他の素子はその分だけ電流が減少して軽負荷になっているとすると、重負荷の素子は破損しかねないという危険性がある。
【0014】
この発明は上記の事情を考慮してなされたもので、その目的は、負荷電流が大きい場合でも高電力の電流検出用抵抗を必要とせず、かつ、トランジスタなどに特性のばらつきがあっても電流集中現象が発生しないで安定に動作する電子負荷装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するためこの発明においては、負荷電流を大きくする場合は電流増幅用トランジスタを従来と同様に必要段数だけ並列的に設けられるが、その電流検出は各段ごとに抵抗を設けて行なうようにした第1の課題解決手段と、上記各段の電流検出用抵抗に発生する電圧を、一方の入力端子が接地され他方の入力端子に基準電圧が加えられている増幅器の上記他方の入力端子へそれぞれ帰還するようにした第2課題解決手段を備えている。
【0016】
上記第1の課題解決手段によれば、全体の負荷電流をILとすると、各段電流検出用抵抗にに流れる電流はIL/n(nは並列接続されたトランジスタの段数)となり、高電力形の抵抗を使用する必要がない。
【0017】
また、上記第2の課題解決手段によると、負荷となるトランジスタに特性のばらつきがあったとしても、電流検出用抵抗や帰還用抵抗の特性がそろっていれば、各トランジスタごとに帰還をかけるので1つのトランジスタに電流が集中するような現象は抑圧され、安定動作となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1にこの発明の概略的な実施の形態を示す。同図1によると、例えば増幅器1の+入力端子は接地され、その−入力端子には入力抵抗Rinを介して基準電圧Vrefが加えられる。この増幅器1の出力は駆動回路2に与えられ、駆動回路2は電源供給装置8の負荷となる各段のトランジスタにベース電流を流して駆動するようになっている。
【0019】
すなわち、この電子負荷装置の正の入力端子5と接地端子6間には、例えばそれぞれほぼ等しい値の電流検出用エミッタ抵抗Rsを有するNPN形トランジスタQa1ないしQanが設けられ、同接地端子6と負の入力端子7間には、上記各トランジスタと対をなして同様にそれぞれほぼ等しい値の電流検出用エミッタ抵抗Rsを有するPNP形トランジスタQb1ないしQbnが設けられている。
【0020】
また、各トランジスタに流れる電流にてそのエミッタ側に発生する電圧Va1ないしVan及びVb1ないしVbnは、例えばそれぞれほぼ等しい値の帰還用抵抗Rfにより電流に変換され、点bを通る共通配線を介して上記増幅器1の−入力端子へ加えられるようになっている。これにより、上記n段のトランジスタにて負荷電流の電流増幅部4が構成され、上記増幅器1と駆動回路2にて各段トランジスタの電流増幅動作を制御する制御部3が構成されている。
【0021】
上記の構成において、増幅器1に加わる基準電圧Vrefがゼロの場合は、各正側のトランジスタQa1ないしQanと各負側のトランジスタQb1ないしQbnには、それぞれ若干の正のアイドリング電流と負のアイドリング電流が流れるようになっている。
【0022】
ここで、例えば増幅器1の−入力端子に入力抵抗Rinを介して負の基準電圧−Vrefが加わると、同増幅器1は+入力端子とイマジナリショートで接地電位になっている−入力端子側の電位を維持するため、駆動回路2へ出力を発する。
【0023】
駆動回路2はこの出力を受け、例えば正のトランジスタQa1ないしQanに供給するベース電流を増加して各トランジスタを能動化(以下、「オン」という。)するとともに、負側のトランジスタQb1ないしQbnに供給するベース電流を断ってそれらを非能動化(以下、「オフ」という。)する。
【0024】
これにより、電源供給装置8から正の電圧入力端子5を介して電流+I(実線矢印)が流入する。ただし図1においては繁雑を避けるため、各電流の+、−の極性符号などは表示を省略してある。
【0025】
いま、各トランジスタの特性はそろっているものとすると、それらのエミッタ側負荷はそれぞれ等しい値の抵抗RsとRfで構成されているから負荷の値も互いに等しくなる。よって、上記電流Iは各トランジスタにI/nの大きさで均等に分流したとすると、そのエミッタ側に発生する電圧Va1ないしVanもそれぞれ等しくなる。
【0026】
すなわち、増幅器1においてその−入力端子が+入力端子にイマジナリショートで接地電位になっていれば、各トランジスタのエミッタ側負荷インピーダンスは
Rs・Rf/(Rs+Rf)
であるから、同負荷に電流I/nが流れて発生する電圧Va1ないしVanは等しくなる。この電圧をVaとすると、
である。
【0027】
よって、各トランジスタの電流検出用エミッタ抵抗Rsに流れる電流Ia1ないしIan、及び帰還用抵抗Rfに流れる電流Ifa1ないしIfanもそれぞれ等しくなる。この電流をIa及びIfaとすると、
上式の右辺Vaに式(3)を代入すると、
Ia={Rf/(Rs+Rf)}(I/n) ………(4)
また、
上式の右辺Vaに式(3)を代入すると、
Ifa={Rs/(Rs+Rf)}(I/n) ………(5)
となる。
【0028】
上記各抵抗Rsに流れる電流Iaは点aを通る共通配線側で合流し、電流IL(実線矢印)となって端子6から電源供給装置8に流れる。この合成電流ILを負荷電流とすると、
IL=n・Ia
上式の右辺に式(4)を代入すると、
IL=I・Rf/(Rs+Rf) ………(6)
また、上記各抵抗Rfに流れる電流Ifaは点bを通る共通配線側で合流し、電流If(実線矢印)となって増幅器1の−入力端子側に流れる。この合流電流を帰還電流とすると、
If=n・Ifa
上式の右辺に式(5)を代入すると、
If=I・Rs/(Rs+Rf) ………(7)
となる。したがって、電源供給装置8から端子5を介して電子負荷装置に流入する全電流Iは、次式のように式(6)の負荷電流と式(7)の帰還電流の和となる。
【0029】
I=IL+If ………(8)
上記電流Ifは接地電位になっている増幅器1の−入力端子側から入力抵抗Rinを通り、負の基準電圧−Vrefに流れる。このとき抵抗Rinに発生する電圧降下はIf・Rinであるから、基準電圧−Vrefは接地電位から上記の電圧降下分を引いた電圧となる。よって
−Vref=0−If・Rin
これより帰還電流Ifは
If=Vref/Rin ………(9)
となる。すなわち、帰還電流Ifの大きさは基準電圧の絶対値Vrefを入力抵抗Rinで割り算した値となる。
【0030】
ここで、電流検出用エミッタ抵抗Rsは一般に数Ωないし数十Ωの範囲の低抵抗値にされ、帰還用抵抗Rfは数kΩ以上の値にされるから、RfはRsより2桁以上高い値の抵抗である。よって式(6)の右辺分母側抵抗Rsを無視すると、負荷電流ILは
IL=I ………(10)
と近似することができる。すなわち、電源供給装置8から電子負荷装置に流れる電流Iは式(8)で示されるが、電流IfはILに比べると極めて小さいので、実用上は上記のようにILはIに等しいとみなすことができる。
【0031】
よって、式(7)において電流IをILとおき、かつ右辺分母側の抵抗Rsを無視すると
If=IL・Rs/Rf ………(11)
このIfを式(9)に代入すると
IL・Rs/Rf=Vref/Rin
より
【数1】
を得る。
【0032】
式(12)によると、検出電流すなわち負荷電流ILの大きさは、基準電圧Vref(絶対値)により入力抵抗Rinに流れる一定の帰還電流Ifと、電流検出用エミッタ抵抗Rs及び帰還抵抗Rfにより定まる一定係数にて与えられる。
【0033】
上記式(12)を検出電圧すなわち負荷電圧と基準電圧の関係を表す式に書き替えることもできる。いま、各段トランジスタQa1ないしQanの負荷インピーダンスに電流I/nが流れたとき、同トランジスタのエミッタ側に発生する電圧Vaが検出電圧であり、式(3)にその大きさが示されている。
【0034】
上記式(3)において、右辺分母側抵抗Rsを無視すると、
ここで、電流Iは式(1)により近似的にILに等しいから
Va=Rs・IL/n
上式のILに式(12)を代入すると
【数2】
を得る。
【0035】
すなわち各段トランジスタのエミッタ側における検出電圧Vaは、基準電圧Vrefと、帰還抵抗Rf、入力抵抗Rin、及びトランジスタの段数nの値により定まる一定係数にて与えられる。
【0036】
ここで、例えばトランジスタQa1に電流集中現象が発生したとすると、同トランジスタの電流検出用エミッタ抵抗Rsに生じる電圧降下が大きくなり、そのためエミッタ電圧Va1は上昇する。
【0037】
この場合、負荷電流ILの総量は式(12)により一定値に抑えられているから、他のトランジスタQa2ないしQanに流れる電流は、それぞれトランジスタQa1の電流増加分をn−1で除した値だけ減少する。したがってこれらのトランジスタでは電流検出エミッタ抵抗Rsの電圧降下が小さくなり、そのエミッ電圧Va2ないしVanは低下する。
【0038】
これらの低下したエミッタ電圧はトランジスタQa1の上昇したエミッタ電圧Va1とともに、それぞれ帰還抵抗Rfを介して点bを通る共通配線により増幅器1の−入力端子側へ並列的に加えられる。
【0039】
ここで、トランジスタQa1のエミッタ電圧Va1に対する他のトランジスタのエミッタ電圧の大きさは、
Va1>Va2,Va3,…,Van
であるから、Va2ないしVanはVa1にマスクされ、電圧Va1が増幅器1へ帰還されたことと同様になる。
【0040】
増幅器1はその−入力端子に加わる電位、すなわち点bの箇所の電位を+入力端子の接地電位と等しくし、トランジスタQa1のエミッタ電圧Va1が式(13)に示す電圧Vaと一致するように出力を発する。
【0041】
駆動回路2はこの出力を受けてトランジスタQa1に流れる電流Ia1の増加を抑止し、同電流がIa(=IL/n)となるように制御する。これにより、他のトランジスタQa2ないしQanに流れる電流Ia2ないしIanの減少も抑えられ、それぞれIaと等しい大きさの電流に保持される。
【0042】
次に、例えば増幅器1の−入力端子へ入力抵抗Rinを介して正の基準電圧+Vrefが加わった場合は、+入力端子とイマジナリショートで接地電位になっている上記−入力端子側の電位を維持するため駆動回路2へ出力を発する。
【0043】
駆動回路2はこの出力を受け、例えば負側のトランジスタQb1ないしQbnにベース電流を供給してオンにする。これにより、電源供給装置8から接地用端子6を介して負の負荷電流−IL(点線矢印)が流入し、点aを通る共通配線側から各トランジスタに電流−Ib1ないしIbn(点線矢印)となって分流する。
【0044】
これらの分流電流はそれぞれ電流検出用エミッタ抵抗Rsを流れ、各エミッタに負の電圧−Vb1ないし−Vbnを発生させた後コレクタ側で合流し、電流−IL(点線矢印)となって負の電圧入力端子7から電源供給装置8へ流出する。
【0045】
この場合、各トランジスタの特性がそろっているものとすると、負荷がそれぞれ等しいので分流電流の大きさは等しくなる。それを−Ibとすると、
である。
【0046】
また、上記正の基準電圧+Vrefから入力抵抗Rinを通って電流If(点線矢印)が増幅器1の接地電位になっている−入力端子側に流れ込み、点bを通る共通配線側から負の帰還電流−Ifとなってそれぞれ各帰還抵抗Rfに分流する。この場合、上記抵抗Rinに発生する電圧降下はIf・Rinであり、基準電圧+Vrefからこの電圧降下分を差し引いた電圧が−入力端子側の接地電位であるから
+Vref−If・Rin=0
である。これより、
−If=−Vref/Rin
となる。すなわち、帰還電流−Ifの大きさは基準電圧Vrefの絶対値を入力抵抗Rinで除した値にマイナス符号を付したものとなる。
【0047】
この帰還電流−Ifが各抵抗Rsに分流する電流−Ifb1ないし−Ifbn(点線矢印)は互いに大きさが等しいから、それを−Ifbとおくと、
である。
【0048】
各段トランジスタのコレクタ電流は上記−Ibと−Ifbの和となるから
−(Ib+Ifb)=−(IL+If)/n
である。この電流をn倍した電流が負の電圧入力端子7から電源供給装置8へ流出する電流−Iとなる。すなわち、
−I=−(IL+If)
上記のように各段トランジスタQb1ないしQbnに流れる電流が等しく、またその負荷インピーダンスも等しいから、各トランジスタのエミッタ電圧−Vb1ない−Vbnも等しい大きささなる。この電圧を−Vbとすると、
−Vb=−Vb1=−Vb2=…=−Vbn
である。
【0049】
ここで、エミッタ抵抗Rs<<帰還抵抗Rf、であるから抵抗Rsを無視すると、負荷電流−ILは
−IL=−I
と近似することができ、以下、正側回路の場合と同様にして
【数3】
及び
【数4】
を得る。
【0050】
ここで、例えばトランジスタQb1に電流集中現象が発生すると、電流−Ib1が増加して抵抗Rsの電圧降下が大きくなり、そのエミッタ電圧−Vb1は負の高い電圧となる。
【0051】
この場合、負荷電流−ILの総量は式(14)により一定値に抑えられるから、他のトランジスタQb2ないしQbnに流れる電流は、それぞれトランジスタQb1の電流増加分をn−1で除した値だけ減少する。したがってこれらのトランジスタでは電流検出用エミッタ抵抗Rsの電圧降下が小さくなり、そのエミッタ電圧−Vb2ないし−Vbnは負の低い電圧となる。
【0052】
これの負の低いエミッタ電圧はトランジスタQb1の負の高い電圧とともに、それぞれの帰還抵抗Rfを介して点bを通る共通配線により増幅器1の−入力端子へ並列的に加えられる。
【0053】
この例においては、トランジスタQb1のエミッタ電圧−Vb1に対して他のトランジスタのエミッタ電圧の大きさが
−Vb1>−Vb2,−Vb3,…,−Vbn
であるから、−Vb2ないし−Vbnは−Vb1にマスクされ、電圧−Vb1が増幅器1へ帰還されたことと同様になる。これにより、前記正側のトランジスタQa1の場合同様にしてその電流集中現象が抑止され、安定動作が確保される。
【0054】
基準電圧Vrefが交流の場合は、正側のトランジスタQa1ないしQanと、負側のトランジスタQb1ないしQbnが交互に動作する。この場合、基準電圧の波形は正弦波に限らず、任意の波形とすることができる。なお、上記トランジスタはFETなどに置き換えてもよい。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る電子負荷装置によると、各段トランジスタの電流検出用抵抗に流れる電流は全負荷電流の1/n(nはトランジスタの段数)となるので、高価で大形の大電力用抵抗を必要としない。
【0056】
また、各段トランジスタの電流検出用抵抗に発生する電圧はそれぞれ増幅器に帰還され、同増幅器から駆動回路を介して各段トランジスタの電流増幅動作が制御されるので、いずれのトランジスタに電流集中現象が発生しようとしても未然に抑止され、安定動作が確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る電子負荷装置の実施の形態における概略的な電気的構成を示すブロック線図。
【図2】従来の電子負荷装置の実施の形態における概略的な電気的構成を示すブロック線図。
【符号の説明】
1 増幅器
2 駆動回路
3 制御部
4 電流増幅部
5 正の電圧入力端子
6 接地用端子
7 負の電圧入力端子
8 電力供給装置
Qa1,Qa2,…,Qan トランジスタ
Qb1,Qb2,…,Qbn トランジスタ
Ia1,Ia2,…,Ian 検出電流
Ib1,Ib2,…,Ibn 検出電流
Va1,Va2,…,Van 検出電圧
Vb1,Vb2,…,Vbn 検出電圧
Vref 基準電圧
IL 負荷電流
If 帰還電流
Rf 帰還用抵抗
Rs エミッタ電流検出用抵抗
Rin 入力抵抗
Claims (3)
- 電源供給装置から電流増幅部に電流を取り込んで増幅し、その増幅電流を電流路に設けられた抵抗により電圧に変換して検出するとともに、所定の基準電圧が与えられた増幅器に上記検出電圧を帰還し、同増幅器から発せられる出力により駆動回路が上記電流増幅部の増幅動作を制御してその増幅電流を上記基準電圧と関連した所定の負荷電流レベルに一致させる電子負荷装置において、
上記電流増幅部は、上記電流供給装置に接続される正の電圧入力端子と接地用端子および負の電圧入力端子を有し、上記正の電圧入力端子側にそれぞれコレクタが接続され、そのエミッタはそれぞれ同じ値の電流検出用抵抗を介して上記接地用端子側に接続された複数段のトランジスタと、同接地用端子側にそれぞれ上記と同じ値の電流検出用抵抗を介してエミッタが接続され、そのコレクタはそれぞれ上記負の電圧入力端子側に接続された複数段のトランジスタが上記正側の各トランジスタと対をなして配設され、
上記増幅器はその一方の入力端子が接地され、他方の入力端子には入力抵抗を介して上記基準電圧が加えられるとともに、同入力端子はそれぞれ同一値の帰還用抵抗により上記正及び負側各段トランジスタのエミッタに接続され、当該エミッタの電流路に設けられた上記電流検出用抵抗に発生する電圧の帰還回路が形成され、
上記駆動回路は、上記増幅器から正もしくは負の出力電圧を受ける入力端子と、同入力端子に加わる電圧の正、負の極性により上記正側各段トランジスタへ正のベース電流を送出して同トランジスタを能動化し、もしくは上記負側各段トランジスタへ負のベース電流を送出して同トランジスタを能動化する2つの出力端子を有し、上記増幅器から加わる入力電圧のレベルに応じて上記送出するベース電流のレベルを変化させることにより上記各段トランジスタのエミッタ電流を制御し所定レベルの負荷電流を得ることを特徴とする電子負荷装置。 - 上記正側各段トランジスタのエミッタ電流検出用抵抗に流れる正の電流は、それぞれ合流して下記(A)の式を満足し上記電力供給装置の正の負荷電流となり、同エミッタ電流検出用抵抗に発生する正の電圧はそれぞれ下記(B)の式を満足し上記増幅器に対する正の帰還電圧となることを特徴とする請求項1に記載の電子負荷装置。
IL=(Vref/Rin)Rf/Rs ………(A)
Va=Vref(Rf/Rin)/n ………(B)
IL:正の負荷電流
Vref:負の基準電圧の絶対値
Rin:入力抵抗
Rf:帰還用抵抗
Rs:エミッタ電流検出用抵抗
Va:正の帰還電圧
n:トランジスタの段数 - 上記負側各段トランジスタのエミッタ電流検出用抵抗に流れる負の電流は、それぞれ合流して下記(C)の式を満足し上記電力供給装置の負の負荷電流となり、同エミッタ電流検出用抵抗に発生する負の電圧はそれぞれ下記(D)の式を満足し上記増幅器に対する負の帰還電圧となることを特徴とする請求項1に記載の電子負荷装置。
−IL=−(Vref/Rin)Rf/Rs ………(C)
−Vb=−Vref(Rf/Rin)/n ………(D)
−IL:負の負荷電流
Vref:正の基準電圧の絶対値
Rin:入力抵抗
Rf:帰還用抵抗
Rs:エミッタ電流検出用抵抗
−Vb:負の帰還電圧
n:トランジスタの段数
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