JP3752817B2 - リラクタンスモータ一体型ポンプ - Google Patents

リラクタンスモータ一体型ポンプ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リラクタンスモータの固定子内部にポンプ構造を有するリラクタンスモータ一体型ポンプに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、流体を加圧する羽根車と、その羽根車を回転駆動するモータ部とを一体化して、電動ポンプの小型化をはかるものがあった。
【0003】
この種のリラクタンスモータ一体型ポンプとして、例えば特開平5−180191号公報に開示されたものは、リラクタンスモータの回転子を流体を周方向に送る羽根車として働かせて円周流式のポンプを構成している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のリラクタンスモータ一体型ポンプにあっては、回転子のまわりに流体を出入りさせる吐出路と吸入路の少なくとも一方をリラクタンスモータを構成する固定子鉄心に形成する必要があるため、吸入路または吐出路を形成するのにあたって固定子の突極の一部が切欠かれる。このため、固定子が回転子を回転駆動するのに伴って、回転子の径方向に働く力に不平衡が生じ、振動や騒音が大きくなるという問題点があった。
【0005】
本発明は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、リラクタンスモータ一体型ポンプにおいて、振動や騒音を低減することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、外径方向に突出する複数の突極を有する回転子と、内径方向に突出する複数の突極を有する固定子と、固定子の突極の周囲に巻かれる巻線と、回転子の回転位置に応じて巻線に電流を送る駆動回路と、固定子および回転子を収装するハウジングとを備えてリラクタンスモータを構成に適用する。
【0007】
そして、ハウジングと回転子の一端部の間に流体を吸入する吸入路を画成し、ハウジングと回転子の他端部の間に流体を吐出する吐出路を画成し、回転子の突極側面のうち回転方向前方側を凹状に窪む湾曲面とし、回転子が流体を回転軸方向に送る軸流式ポンプの羽根車の働きをする構成とした。
【0010】
請求項に記載のリラクタンスモータ一体型ポンプは、請求項に記載の発明において、回転子の突極側面のうち回転方向後方側を凸状に膨出する湾曲面形状とした。
【0011】
請求項に記載の発明は、外径方向に突出する複数の突極を有する回転子と、内径方向に突出する複数の突極を有する固定子と、固定子の突極の周囲に巻かれる巻線と、回転子の回転位置に応じて巻線に電流を送る駆動回路と、固定子および回転子を収装するハウジングとを備えてリラクタンスモータを構成に適用する。
そして、ハウジングと回転子の一端部の間に流体を吸入する吸入路を画成し、ハウジングと回転子の他端部の間に流体を吐出する吐出路を画成し、回転子は複数の鋼板を回転方向にずらして積層し、隣り合う鋼板の段差を樹脂により埋めるモールド部を形成し、回転子が流体を回転軸方向に送る軸流式ポンプの羽根車の働きをする構成とした。
【0012】
請求項に記載の発明は、外径方向に突出する複数の突極を有する回転子と、内径方向に突出する複数の突極を有する固定子と、固定子の突極の周囲に巻かれる巻線と、回転子の回転位置に応じて巻線に電流を送る駆動回路と、固定子および回転子を収装するハウジングとを備えてリラクタンスモータを構成に適用する。
そして、ハウジングと回転子の一端部の間に流体を吸入する吸入路を画成し、ハウジングと回転子の他端部の間に流体を吐出する吐出路を画成し、前記回転子は複数の鋼板を回転方向にずらして積層し、隣り合う鋼板が回転方向にずれるスキュー角度を漸次変えて突極の稜線を湾曲させ、回転子が流体を回転軸方向に送る軸流式ポンプの羽根車の働きをする構成とした。
【0014】
請求項に記載の発明は、外径方向に突出する複数の突極を有する回転子と、内径方向に突出する複数の突極を有する固定子と、固定子の突極の周囲に巻かれる巻線と、回転子の回転位置に応じて巻線に電流を送る駆動回路と、固定子および回転子を収装するハウジングとを備えてリラクタンスモータを構成に適用する。
そして、ハウジングと回転子の一端部の間に流体を吸入する吸入路を画成し、ハウジングと回転子の他端部の間に流体を吐出する吐出路を画成し、前記回転子を軸流式ポンプの羽根車形状とするとともに、該回転子の外周端面に軸方向と平行に部分的に削除した切欠き部を形成し、回転子が流体を回転軸方向に送る軸流式ポンプの羽根車の働きをする構成とした。
【0015】
請求項に記載の発明は、外径方向に突出する複数の突極を有する回転子と、内径方向に突出する複数の突極を有する固定子と、固定子の突極の周囲に巻かれる巻線と、回転子の回転位置に応じて巻線に電流を送る駆動回路と、固定子および回転子を収装するハウジングとを備えてリラクタンスモータを構成に適用する。
そして、ハウジングと回転子の一端部の間に流体を吸入する吸入路を画成し、ハウジングと回転子の他端部の間に流体を吐出する吐出路を画成し、前記回転子の突極の側面を樹脂により羽根形状に形成し、回転子が流体を回転軸方向に送る軸流式ポンプの羽根車の働きをする構成とした。
請求項7に記載のリラクタンスモータ一体型ポンプは、請求項1から6のいずれか一つに記載の発明において、回転子の突極の稜線の微係数が回転子の回転方向と流体の流れる方向の直交軸に対して負となるように形成するものとした。
【0016】
請求項に記載のリラクタンスモータ一体型ポンプは、請求項1からのいずれか一つに記載の発明において、固定子は複数の鋼板を回転方向にずらして積層して形成するものとした。
【0017】
請求項9に記載のリラクタンスモータ一体型ポンプは、請求項8に記載の発明において、固定子の突極の内周端面と回転子の突極の外周端面とが同心であって、固定子の各突極が回転子の突極と平行に対峙するように鋼板を積層して形成するものとした。
【0019】
請求項1に記載のリラクタンスモータ一体型ポンプは、請求項1,2,5から9のいずれか一つに記載の発明において、回転子は磁性体ブロックを用いて一体形成するものとした。
【0021】
【発明の作用および効果】
請求項1に記載のリラクタンスモータ一体型ポンプにおいて、回転子は、固定子に発生する電磁力により回転し、これに伴って流体を回転軸方向に送る軸流式ポンプの羽根車の機能を果たし、吸入路から吸入された流体を吐出路から吐出させる。
【0022】
吸入路と吐出路は回転軸方向について回転子を挟むようにして配置されているため、従来装置のように吸入路または吐出路を形成するのにあたって固定子の突極の一部が切欠かれることがなく、固定子に発生する電磁力により回転子の径方向に働く力が平衡となり、振動や騒音が増大することを回避できる。
【0023】
また、リラクタンスモータの基本的な構造を変更するものではないので、モータの性能設計は従来の技術を踏襲でき、開発工数が少なくて済む。
【0024】
また、回転子の突極側面のうち回転方向前方側を凹状に窪む湾曲面とすることにより、回転子2が流体に付与する回転軸方向の速度成分を大きくし、ポンプ効率の向上がはかれる。
【0027】
請求項に記載のリラクタンスモータ一体型ポンプにおいて、回転子の突極側面のうち回転方向後方側を凸状に膨出する湾曲面形状としたことにより、軸流式ポンプに適した羽根形状とすることが可能となり、ポンプ効率の向上がはかれる。
【0028】
請求項に記載のリラクタンスモータ一体型ポンプにおいて、隣り合う鋼板の段差を樹脂により埋めるモールド部を形成することにより、回転子の側面が滑らかになり、ポンプ効率の向上がはかれる。
【0029】
請求項に記載のリラクタンスモータ一体型ポンプにおいて、回転子の鋼板が回転方向にずれるスキュー角度を漸次変えて突極の稜線を湾曲させたことにより、軸流式ポンプに適した羽根形状とすることが可能となり、ポンプ効率の向上がはかれる。
【0031】
請求項に記載のリラクタンスモータ一体型ポンプにおいて、回転子は各切欠き部が形成される部位で回転中心からの半径が短くなるため、磁気的に左右非対象となり、常に正トルクが発生し、4極2相駆動モータの回転が安定する。
【0032】
リラクタンスモータを2相駆動とすることにより、配線数、スイッチング素子等の部品点数を低減して、製品のコストダウンがはかれる。
【0033】
請求項に記載のリラクタンスモータ一体型ポンプにおいて、回転子の突極の側面を樹脂により形成することにより、軸流式ポンプに適した羽根形状とすることが可能となり、ポンプ効率の向上がはかれる。
【0034】
請求項7に記載のリラクタンスモータ一体型ポンプにおいて、回転子の突極の稜線は全ての点についてその微係数(接線の傾き)が回転子の回転方向と流体の流れる方向の直交軸に対して負となるように形成することにより、ポンプ効率の損なわない。
【0035】
請求項に記載のリラクタンスモータ一体型ポンプにおいて、固定子は複数の鋼板を回転方向にずらして積層することにより、モータの発生トルクが高められる。
【0036】
請求項9に記載のリラクタンスモータ一体型ポンプにおいて、固定子の突極の内周端面と回転子の突極の外周端面とが同心であって、固定子の各突極が回転子の突極と平行に対峙するように鋼板を積層することにより、モータの発生トルクが高められ、固定子と回転子がともにスキュー角度を0とするモータと同等の発生トルクが確保される。
【0038】
請求項1に記載のリラクタンスモータ一体型ポンプにおいて、回転子を磁性体ブロックを用いて一体形成することにより、軸流式ポンプに適した羽根形状とすることが可能となり、ポンプ効率の向上がはかれる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の理解を容易にするための技術事項及び本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0041】
図1、図2に示すように、リラクタンスモータは、外径方向に突出する2つの突極2a,2bを有する回転子2と、回転子2を囲むように内径方向に突出する4つの突極1a,1b,1c,1dを有する固定子1と、固定子1および回転子2を収装するハウジング5とを備える。
【0042】
回転子2は同一のプレス型で打ち抜かれた複数の鋼板21を軸方向に積層して形成され、各鋼板21を貫通する回転軸6を備える。回転軸6は一対の軸受け7a,7bを介してハウジング5に回転可能に支持される。回転軸6の一端には回転子2の回転位置を検出するロータリエンコーダ3が取付けられる。
【0043】
固定子1は同一のプレス型で打ち抜かれた複数の鋼板19を軸方向に積層して形成される。各突極1a,1b,1c,1dは回転方向に均等な間隔を持って突出し、回転軸と平行に延びている。各突極1a,1b,1c,1dの周囲には巻線10a,10b,10c,10dが巻かれる。
【0044】
固定子1の各突極1a,1b,1c,1dの間に窪む溝を樹脂により埋めるモールド部12が形成される。これにより、周方向突極間の空隙部分は樹脂材料12によりモールドされており、巻線10a,10b,10c,10dへの流体の侵入を防ぐとともに、回転子2を囲む壁面を円筒面とし、後述する回転子2まわりの流体の流れを円滑にし、ポンプ効率の向上がはかれる。
【0045】
図3に示すように、対向する突極1a,1cに巻かれた巻線10a,10cは直列に結線されてA相回路11aを構成するとともに、同じく対向する突極1b,1dに巻かれた巻線10b,10dは直列に結線されてB相回路11bを構成する。A相回路11aの巻線10a,10c、B相回路11bの巻線10b,10dに電圧を印加するモータ駆動回路4が備えられる。
【0046】
モータ駆動回路4は、定電圧源のバッテリ13と、バッテリ13と巻線10a,10c、10b,10dを電気的に接続するスイッチング素子14a,14bと、ロータリエンコーダ3からの角度信号に基づきスイッチング素子14a,14bのオンオフ時期を指令する分配回路15とで構成される。
【0047】
回転子2の回転位置を検出する手段として、ロータリエンコーダ3に代えてポテンショメータを設けてもよく、また巻線10a,10b,10c,10dの電圧と電流値から算出してもよい。
【0048】
ハウジング5は、固定子1を取り囲むように、リラクタンスモータに一体型ポンプの外郭を構成する。ハウジング5は、回転子2の一端部の間に流体を吸入する吸入路8を画成するとともに、回転子2の他端部の間に流体を吐出する吐出路9を画成する。ハウジング5には吸入路8と吐出路9を構成する管状をしたコネクタ8a,9aが接続され、各コネクタ8a,9aを図示しない配管が接続されるようになっている。
【0049】
回転子2の最上段の鋼板21の外周端面21aの全面が固定子1の突極1aに対峙する位置を0とし、回転子2が時計回り方向に回転したときの機械角度をθとすると、A相回路11aの巻線10a,10cとB相回路11bの巻線10b,10dのインダクタンスLは、θに対して図4に示すように変化する。リラクタンスモータの発生トルクTは、各巻線10a,10b,10c,10dに流れる電流をIとすると、T=(dL/dθ)I2/2として表される。図4においてA相回路11aの巻線10a,10cのインダクタンスLの傾きが正となる−10°≦θ≦80°の区間では、駆動回路4の分配回路15のスイッチ14aがオン、スイッチ14bがオフとなり、A相回路11aの巻線10a,10cにバッテリ13の電圧が印加される。このとき流れる電流Iによって、回転子2は(dL/dθ)I2/2で表されるトルクTによってθ正方向に回転する。次に、B相回路11bの巻線10b,10dのインダクタンスLの傾きが正となる80°≦θ≦170°の区間では、駆動回路4の分配回路15のスイッチ14aがオフ、スイッチ14bがオンとなり、B相回路11bの巻線10b,10dにバッテリ13の電圧が印加されるので、回転子2はθ正方向に連続して回転駆動される。
【0050】
回転子2は、流体を図1に矢印で示すように回転軸方向に送る軸流式ポンプの羽根車の形状を持つように、各鋼板21を回転方向にずらして積層される。
【0051】
図2に示すように、各鋼板21は回転中心について対称的に形成され、円弧状をした一対の外周端面21aを有し、両外周端面21aは回転中心から45度の拡がり角度を持って形成される。両端に配置される鋼板21が回転方向に55度のずれ角度をもっている。
【0052】
そして、図5の矢視A−1図に示すように、隣り合う鋼板21が回転方向にずれるスキュー角度が途中で変えられ、回転子2はスキュー角度が異なる2つの積層部により構成され、その途中にスキュー角度が変わる折れ点を有している。
【0053】
回転子2を製造する場合、各鋼板21を治具を介して積層した状態でそれぞれの側面を溶接により固着する。また、各鋼板21を貫通するピンを設けて固定してもよい。さらに、各鋼板21を回転軸6に圧入することにより固定してもよい。
【0054】
一方、固定子1の各突極1a,1b,1c,1dは、その内周端面が回転中心から45度の拡がり角度を持って形成される。各鋼板19は回転方向にずれることなく積層され、各突極1a,1b,1c,1dは回転軸方向と平行に延びている。
【0055】
以上の構成についての作用を説明する。
【0056】
回転子2は、固定子1に発生する電磁力により回転するのに伴い、流体を回転軸方向に送る軸流式ポンプの羽根車の機能を果たし、吸入路8から吸入された流体を吐出路9から吐出させる。
【0057】
吸入路8と吐出路9は回転軸方向について回転子2を挟むようにして配置されているため、前記従来装置のように吸入路または吐出路を形成するのにあたって固定子の突極の一部が切欠かれることがなく、固定子に発生する電磁力により回転子の径方向に働く力が平衡となり、振動や騒音が増大することを回避できる。
【0058】
隣り合う鋼板21が回転方向にずれるスキュー角度が途中で変えられ、回転子2はスキュー角度が異なる2つの積層部により構成されているため、磁気的に左右非対象となり、4極2相駆動モータの回転が安定する。
【0059】
そして本発明の実施の形態として、図6に示すように、回転子2は、各鋼板を回転方向にずらして積層し、隣り合う鋼板21が回転方向にずれるスキュー角度を漸次変えて各突極2a,2bの稜線をtan関数の曲線に沿って湾曲させる形状とし
【0060】
これにより、回転子2は、磁気的に左右非対象となり、常に正トルクが発生し、4極2相駆動モータの回転を安定させることと、ポンプ効率の向上をはかることを両立できる。
【0061】
この場合も、回転子2の突極の稜線は全ての点についてその微係数(接線の傾き)が回転子の回転方向と流体の流れる方向の直交軸に対して負となるように形成することにより、ポンプ効率を損なわない。
【0062】
しかし、図5の矢視A−2図に示すように、隣り合う鋼板21が回転方向にずれるスキュー角度を一定とすると、正逆両トルクが発生し、4極2相駆動モータの回転が不安定になる。
【0063】
この対策として、図7、図8に示すように、隣り合う鋼板21が回転方向にずれるスキュー角度を一定とするとともに、各鋼板21の外周端面21aの一部を機械加工により削除した一対の切欠き部22を形成してもよい。
【0064】
回転子2は各切欠き部22が形成される部位で回転中心からの半径が短くなるため、磁気的に左右非対象となり、常に正トルクが発生し、4極2相駆動モータの回転が安定する。
【0065】
他の実施の形態として、図9に示すように、隣り合う各鋼板21の段差を樹脂により埋めるモールド部32を形成してもよい。これにより、回転子2の側面が滑らかになり、ポンプ効率の向上がはかれる。
【0066】
他の実施の形態として、図10に示すように、隣り合う各鋼板41の段差を樹脂により埋めるモールド部33を形成し、モールド部33によって回転子2の側面33aを羽根形状に湾曲させてもよい。これにより、回転子2の形状に対する自由度が増し、軸流式ポンプに適した羽根形状とすることが可能となり、ポンプ効率の向上がはかれる。
【0067】
他の実施の形態として、図11に示すように、各鋼板41の回転方向前方に位置する側面41aを凹状に窪む湾曲面に形成してもよい。これにより、回転子2が流体に付与する回転軸方向の速度成分を大きくし、ポンプ効率の向上がはかれる。また、隣り合う各鋼板41の段差を樹脂により埋めるモールド部を形成してもよい。
【0068】
他の実施の形態として、図12に示すように、各鋼板42の回転方向前方に位置する側面42aを凹状に窪む湾曲面に形成するとともに、各鋼板42の回転方向後方に位置する側面42bを凸状に膨出する湾曲面に形成してもよい。また、隣り合う各鋼板42の段差を樹脂により埋めるモールド部を形成してもよい。
【0069】
また、前記各実施の形態における回転子2は複数の鋼板を積層して形成していたが、回転子は磁性体ブロックを削り出し、あるいは鋳造等で一体成形して形成していもよい。これにより、回転子の形状に対する自由度が増し、軸流式ポンプに適した羽根形状とすることが可能となり、ポンプ効率の向上がはかれる。
【0070】
他の実施の形態として、図13に示すように、外径方向に突出する4つの突極61を有する回転子60と、回転子60を囲むように内径方向に突出する6つの突極51を有する固定子50とを備え、各突極51の周囲には3相の巻線が巻かれる3相駆動モータとしてもよい。
【0071】
固定子50は同一のプレス型で打ち抜かれた複数の鋼板52を軸方向に積層して形成される。各突極52は回転方向に均等な間隔を持って突出し、回転軸と平行に延びている。
【0072】
回転子60は同一のプレス型で打ち抜かれた複数の鋼板62を軸方向に積層して形成され、各鋼板62を貫通する回転軸6を備える。
【0073】
回転子60は、流体を回転軸方向に送る羽根車の形状を持つように、各鋼板62を回転方向にずらして積層される。隣り合う鋼板62が回転方向にずれるスキュー角度を一定とする。
【0074】
この4極2相駆動モータは、回転子60のスキュー角度を一定に形成しても、常に正トルクが発生し、モータの回転が安定する。
【0075】
他の実施の形態として、図14に示すように、6極3相駆動モータに備えられる固定子50は同一のプレス型で打ち抜かれた複数の鋼板52を軸方向に積層して形成され、各鋼板52を回転方向にずらして積層される。
【0076】
固定子50は、各突極51が回転子の突極と平行に対峙するように、隣り合う鋼板52が回転方向にずれるスキュー角度を回転子のスキュー角度と一致させる。
【0077】
これにより、モータの発生トルクが高められ、固定子と回転子がともにスキュー角度を0とするモータと同等の発生トルクが確保される。
【0078】
また、前記各実施の形態における回転子と固定子は複数の鋼板を積層して形成していたが、回転子または固定子は磁性体ブロックを削り出し、あるいは鋳造等で一体成形して形成してもよい。回転子を一体成形することにより、回転子の形状に対する自由度が増し、軸流式ポンプに適した羽根形状とすることが可能となり、ポンプ効率の向上がはかれる。
【0079】
なお、前記各実施の形態を相互に組み合わせて実施することも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に関連するリラクタンスモーター体型ポンプの縦断面図。
【図2】同じくリラクタンスモーター体型ポンプの横断面図。
【図3】同じくリラクタンスモーター体型ポンプの回路図。
【図4】同じくリラクタンスモータの作動を説明する特性図。
【図5】同じく回転子等の斜視図。
【図6】 本発明の実施の形態を示す回転子の側面図。
【図7】さらに他の実施の形態を示す回転子の平面図。
【図8】同じく図7の矢印A方向から見た側面図。
【図9】さらに他の実施の形態を示す回転子の斜視図。
【図10】さらに他の実施の形態を示す回転子の斜視図。
【図11】さらに他の実施の形態を示す回転子の構成図。
【図12】さらに他の実施の形態を示す回転子の構成図。
【図13】さらに他の実施の形態を示すリラクタンスモーター体型ポンプの平面図。
【図14】さらに他の実施の形態を示す固定子の斜視図。
【符号の説明】
1 固定子
1a〜1d 固定子突極
2 回転子
2a〜2b 回転子突極
3 ロータリエンコーダ
4 駆動回路
5 ハウジング
6 回転軸
7a,7b 軸受け
8 吸入路
9 吐出路
10a〜10d 巻線
11a A相回路
11b B相回路
12 樹脂モールド
13 バッテリ
14a〜14b スイッチング素子
15 分配回路
19 固定子鋼板
21 回転子鋼板
22 切欠き部
32 モールド部
33 モールド部
50 固定子
52 固定子鋼板
60 回転子
62 回転子鋼板

Claims (10)

  1. 外径方向に突出する複数の突極を有する回転子と、
    内径方向に突出する複数の突極を有する固定子と、
    固定子の突極の周囲に巻かれる巻線と、
    回転子の回転位置に応じて巻線に電流を送る駆動回路と、
    固定子および回転子を収装するハウジングと
    を備えてリラクタンスモータを構成し、
    ハウジングと回転子の一端部の間に流体を吸入する吸入路を画成し、
    ハウジングと回転子の他端部の間に流体を吐出する吐出路を画成し、
    回転子の突極側面のうち回転方向前方側を凹状に窪む湾曲面とし、
    回転子が流体を回転軸方向に送る軸流式ポンプの羽根車の働きをする構成とした
    ことを特徴とするリラクタンスモータ一体型ポンプ。
  2. 前記回転子の突極側面のうち回転方向後方側を凸状に膨出する湾曲面形状とした、
    ことを特徴とする請求項1に記載のリラクタンスモータ一体型ポンプ。
  3. 外径方向に突出する複数の突極を有する回転子と、
    内径方向に突出する複数の突極を有する固定子と、
    固定子の突極の周囲に巻かれる巻線と、
    回転子の回転位置に応じて巻線に電流を送る駆動回路と、
    固定子および回転子を収装するハウジングと
    を備えてリラクタンスモータを構成し、
    ハウジングと回転子の一端部の間に流体を吸入する吸入路を画成し、
    ハウジングと回転子の他端部の間に流体を吐出する吐出路を画成し、
    前記回転子は複数の鋼板を回転方向にずらして積層し、隣り合う鋼板の段差を樹脂により埋めるモールド部を形成し、
    回転子が流体を回転軸方向に送る軸流式ポンプの羽根車の働きをする構成とした
    ことを特徴とするリラクタンスモータ一体型ポンプ。
  4. 外径方向に突出する複数の突極を有する回転子と、
    内径方向に突出する複数の突極を有する固定子と、
    固定子の突極の周囲に巻かれる巻線と、
    回転子の回転位置に応じて巻線に電流を送る駆動回路と、
    固定子および回転子を収装するハウジングと
    を備えてリラクタンスモータを構成し、
    ハウジングと回転子の一端部の間に流体を吸入する吸入路を画成し、
    ハウジングと回転子の他端部の間に流体を吐出する吐出路を画成し、
    前記回転子は複数の鋼板を回転方向にずらして積層し、隣り合う鋼板が回転方向にずれるスキュー角度を漸次変えて突極の稜線を湾曲させ、
    回転子が流体を回転軸方向に送る軸流式ポンプの羽根車の働きをする構成とした
    ことを特徴とするリラクタンスモータ一体型ポンプ。
  5. 外径方向に突出する複数の突極を有する回転子と、
    内径方向に突出する複数の突極を有する固定子と、
    固定子の突極の周囲に巻かれる巻線と、
    回転子の回転位置に応じて巻線に電流を送る駆動回路と、
    固定子および回転子を収装するハウジングと
    を備えてリラクタンスモータを構成し、
    ハウジングと回転子の一端部の間に流体を吸入する吸入路を画成し、
    ハウジングと回転子の他端部の間に流体を吐出する吐出路を画成し、
    前記回転子を軸流式ポンプの羽根車形状とするとともに、該回転子の外周端面に軸方向と平行に部分的に削除した切欠き部を形成し、
    回転子が流体を回転軸方向に送る軸流式ポンプの羽根車の働きをする構成とした
    ことを特徴とするリラクタンスモータ一体型ポンプ。
  6. 外径方向に突出する複数の突極を有する回転子と、
    内径方向に突出する複数の突極を有する固定子と、
    固定子の突極の周囲に巻かれる巻線と、
    回転子の回転位置に応じて巻線に電流を送る駆動回路と、
    固定子および回転子を収装するハウジングと
    を備えてリラクタンスモータを構成し、
    ハウジングと回転子の一端部の間に流体を吸入する吸入路を画成し、
    ハウジングと回転子の他端部の間に流体を吐出する吐出路を画成し、
    前記回転子の突極の側面を樹脂により羽根形状に形成し、
    回転子が流体を回転軸方向に送る軸流式ポンプの羽根車の働きをする構成とした
    ことを特徴とするリラクタンスモータ一体型ポンプ。
  7. 前記回転子の突極の稜線の微係数が前記回転子の回転方向と流体の流れる方向の直交軸に対して負となるように形成し、
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載のリラクタンスモータ一体型ポンプ。
  8. 前記固定子は複数の鋼板を回転方向にずらして積層して形成した
    ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載のリラクタンスモータ一体型ポンプ。
  9. 前記固定子の突極の内周端面と前記回転子の突極の外周端面とが同心であって、固定子の各突極が回転子の突極と平行に対峙するように鋼板を積層して形成した
    ことを特徴とする請求項8に記載のリラクタンスモータ一体型ポンプ。
  10. 前記回転子は磁性体ブロックを用いて一体形成した
    ことを特徴とする請求項1,2,5から9のいずれか一つに記載のリラクタンスモータ一体型ポンプ。
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