JP3752740B2 - 取鍋内溶鋼の昇熱方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、取鍋内溶鋼の昇熱精錬方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
溶解炉または、転炉もしくは電気炉等の製鋼炉から取鍋に出鋼された溶鋼は、成分調整、溶鋼清浄化、脱ガス目的で種々の二次精錬を施した後、連続鋳造法または鋼塊法により、鋼塊に鋳造される。
【0003】
この鋳造前の温度を鋼種に合わせて所定温度に制御するため、従来から、種々の取鍋内溶鋼の昇熱精錬方法が用いられてきた。
まずアーク昇熱等、電力を用いた溶鋼温度昇熱法が採られていたが、昇熱コストが高くなるという問題があった。
【0004】
特公平6−29453 号公報や特公平5−86448 号公報には、溶鋼中にAlを添加しつつ、酸素を吹き込んで溶鋼中のAlを酸化させて、溶鋼の昇熱を図る方法が開示されている。
特公平7−103415号公報には、Siキルド鋼に対して、予めSi含有量を高めに調整した後、特定少量のAlを添加して吹酸昇温する方法が開示されている。
【0005】
しかしながら、本件出願人が特開平8−92629 号公報で開示した酸化物分散鋼のように、スラグ組成を制御することによって、溶鋼中の酸素濃度およびAl濃度を制御する場合、溶鋼中にAlを添加すると、分散する介在物の組成および個数が制御できないため、低コストのAlを用いた溶鋼昇熱方法が適用できず、コストの高い電力を用いた溶鋼温度昇温法を適用せざるを得ないという問題があった。
そこで、電力および金属Alを用いずに、スラグ組成と溶鋼温度を同時に容易に制御できる方法が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
アーク昇熱等、電力を用いて溶鋼昇熱する場合、無酸素状態で昇熱できるため、昇温中に所定の造滓剤をスラグに添加することにより、スラグ組成を制御するのは容易である。
【0007】
Al昇熱の場合、鋼中にAl2O3 が多く生成するため、鋼中に分散する介在物がAl2O3 主体となり、Al2O3 が主体とならない複合酸化物を鋼中に分散させるような鋼種を溶製する際には不適である。
【0008】
すなわち、本発明の目的は、アーク昇熱およびAl添加を用いることなくスラグ組成を制御しながら溶鋼温度を同時に制御する方法を提供することである。
本発明のより具体的な目的は、スラグ組成を制御しながら溶鋼温度を同時に制御し、かつAl2O3 が主体とならない複合酸化物を鋼中に分散させるような鋼種を低コストで溶製する方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、電力およびAlを用いずに溶鋼昇熱した後に、スラグ組成が所定のスラグ組成に制御できる方法について、鋭意研究を重ねたところ、以下のような知見を得た。
【0010】
すなわち、溶鋼中に過剰なSiを溶解させた後、取鍋内で酸素を吹き込み、Siを酸化させて、溶鋼を昇熱させる際、生じるSiO2を考慮にいれた上で、最終的なスラグ組成が所定のスラグ組成となるように、造滓剤を添加すればよい。
ここで、Siは溶鋼温度制御のための昇熱元素であると同時に、必要なスラグ組成を得るためのSiO2生成元素でもある。
【0011】
このとき、溶鋼昇熱量のみに着目して、Si添加量および吹酸量を決定すると、スラグ組成制御のために添加すべき造滓剤による溶鋼冷却のため、目標とする溶鋼温度が得られない。
【0012】
そこで、溶鋼温度とスラグ組成を同時に制御するには、溶鋼温度バランス式(1) とスラグ組成バランス式(2) を同時に満足するように、Si添加量、吹酸量、および造滓剤添加量を予め決定しておく必要がある。
【0013】
式(1) 、(2) からSi添加量、造滓剤添加量を決定するが、送酸量は着酸効率を考慮し、酸素バランス式(3) から決定する。
【0014】
Q={Wsi−Wsteel×([%Si]s−[%Si]e)×10}(1/28)×(22.4/β) (3)
ここで、
Ts : 昇熱前溶鋼温度 (℃) 、Te :昇熱後目標溶鋼温度 (℃)
Wsteel : 溶鋼重量 (T) 、 Wsi:Si添加量 (kg/T)
[%Si]s : 昇熱前溶鋼中Si重量濃度 (%)
[%Si]e : 昇熱後溶鋼中Si目標重量濃度 (%)
ΔTsi:Si 1kg/Tあたりの溶鋼温度上昇量 [℃/(kg/T)]
Wi :造滓剤iの投入重量 (kg/T)
W'i :昇熱前スラグ中のi成分重量 (kg/T)
W"i :昇熱中に生成するi成分重量 (kg/T)
ΔTi :造滓剤i単位重量あたりの溶鋼温度降下量 [℃/(kg/T)]
ΔTH :系外放散熱による溶鋼温度降下量 (℃/min)
t :昇熱時間 (min)
Wslag:昇熱前スラグ量 (kg/T)
(%i) :昇熱後スラグ中i成分の目標重量濃度 (%)
Q :送酸量 (m3/T) 、 β:着酸効率
(1) 〜(3) 式で決定されるSi添加量、送酸量、造滓剤添加量を用いれば、目標とする溶鋼温度とスラグ組成を同時に得ることが可能となる。なお、造滓剤iについてはそれぞれの造滓剤について上記式(1) ないし(3) を計算してその添加量を求める。
【0015】
さらに、(1) 〜(3) 式でi=CaO 、SiO2、Al2O3 の場合を考え、塩基度(%CaO)/(%SiO2) 、(%Al2O3)バランスのみを考えて、(4) 〜(9) を同時に満足するように、Si添加量、送酸量、造滓剤添加量を決定すれば、前述の特開平8−92629 号公報に開示したAl−Mn系酸化物分散鋼を溶製することが可能となる。なお、この場合にも、i=CaO 、SiO2、Al2O3 のそれぞれについて下記式(4) ないし(8) を計算してそれぞれの添加量を計算すればよい。
【0016】
但し、
Ts : 昇熱前溶鋼温度 (℃) 、Te :昇熱後目標溶鋼温度 (℃)
Wsteel : 溶鋼重量 (T) 、 Wsi:Si添加量 (kg/T)
[%Si]s : 昇熱前溶鋼中Si重量濃度 (%)
[%Si]e : 昇熱後溶鋼中Si目標重量濃度 (%)
ΔTsi:Si 1kg/Tあたりの溶鋼温度上昇量 [℃/(kg/T)]
Wi :造滓剤iの投入重量 (kg/T)
W'i :昇熱前スラグ中のi成分重量 (kg/T)
W"i :昇熱中に生成するi成分重量 (kg/T)
ΔTi :造滓剤i単位重量あたりの溶鋼温度降下量 [℃/(kg/T)]
ΔTH :系外放散熱による溶鋼温度降下量 (℃/min)
t :昇熱時間 (min)
Wslag:昇熱前スラグ量 (kg/T)
(%i) :昇熱後スラグ中i成分の目標重量濃度 (%)
Q :送酸量 (m3/T) 、 β:着酸効率
C/S :昇熱後取鍋内スラグ目標塩基度 [=(%CaO)/(%SiO2)]
【0017】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の作用についてさらに具体的に説明する。
本発明に使用する溶鋼としては、目的とする最終鋼組成を実現できる所要組成をもって溶製された溶鋼であればいずれであってもよく、例えば適宜溶解炉にて単に溶製されたものでもよく、あるいは転炉、電気炉などの製鋼炉で脱炭精錬されたものでもよい。
【0018】
好ましくは、炭素含有量0.01%以上0.25%以下、酸素含有量0.04%以上0.07%以下に調整した溶鋼である。
このように炭素含有量を調整した溶鋼を取鍋に出鋼してから取鍋内において例えばSi、Mn添加により初期脱酸終了後、溶鋼温度制御およびスラグ組成制御を目的に、本発明にかかる取鍋精錬を行う。この取鍋精錬は、基本的には、溶鋼昇熱とスラグ組成制御を目的とした昇熱精錬である。
【0019】
まず昇熱目標温度から、溶鋼内に過剰に投入すべきSi量を決定する。このとき取鍋内で溶鋼昇温を目的に添加するSiの形態については、特に制限はないが、合金鉄 (フェロシリコン) の状態で添加するのが好ましい。
【0020】
ここでは同時にスラグ組成制御を目的に、溶鋼昇熱段階で生成するSiO2量にあわせてスラグ造滓剤を添加するため、添加するスラグ造滓剤の溶鋼冷却効果を考慮に入れた昇熱目標温度をSi添加前に設定する必要がある。
【0021】
すなわち、前述の溶鋼温度バランス式(1) 、スラグ組成バランス式(2) 、酸素バランス式(3) を連立させることにより、Si添加量、吹酸量、造滓剤添加量を決定すれば、目標溶鋼温度、目標スラグ組成を得ることが可能となる。
【0022】
Si添加量、吹酸量、造滓剤添加量を決定した後、所定のSiを添加しつつ、酸素を溶鋼内に吹き込み、SiO2を生成させつつ、所定温度まで溶鋼を昇熱させる。このときSiの添加は、一括して投入しても、分割して投入してもよい。
【0023】
造滓剤は溶鋼昇熱途中に、最終的なスラグ組成が、目標スラグ組成となるよう、必要量添加する。この造滓剤の添加は、一括して投入しても、分割して投入してもよい。
【0024】
目標スラグ組成を、Alを含有しかつ酸素ポテンシャルを制御可能なスラグとなるように設定すれば、鋼中にAl−Mn系酸化物を分散させることが可能となる。
ここに、Alを含有しかつ酸素ポテンシャルを制御可能なスラグを造滓するためには、スラグ中の塩基度(%CaO)/(%SiO2)とAl2O3 濃度(%Al2O3)を同時に、目標の値に設定すればよい。
【0025】
さらにAl−Mn系酸化物を効率よく分散させるためには、目標となる(%CaO)/(%SiO2)と(%Al2O3)の値は、以下の範囲に制御するのが好ましい。
【0026】
0.8 ≦ (%CaO)/(%SiO2) ≦ 4.0 (10)
3≦ (%Al2O3) ≦ 40 (11)
このように、本発明によれば、溶鋼中Siを燃焼させながら、造滓剤を添加し、スラグ組成と溶鋼温度を同時に制御すること、さらには、スラグ中の塩基度(%CaO)/(%SiO2)とAl2O3 濃度(%Al2O3)を所定の値に設定すれば、Al−Mn系酸化物分散鋼を溶製することができる。
【0027】
【実施例】
(実施例1)
本発明の効果を確認するために、250t転炉を用いて本発明の実施例を示す昇熱精錬試験を行った。
図1に転炉〜昇熱完了までのプロセス概要を示す。
まず転炉精錬終了時点での溶鋼炭素濃度=0.05〜0.08%、酸素濃度=0.04〜0.07%の溶鋼を、Si、Mnにて一次脱酸した。
【0028】
このとき溶鋼Si濃度=0.10〜0.15%、Mn濃度=0.8 〜1.5 %となるよう、投入Si量およびMn量を調節した。溶鋼重量は、240 〜250(T) 、スラグ重量は6〜8kg/Tであった。
【0029】
一次脱酸終了後、溶鋼にさらにSiを投入しながら、ランスから溶鋼中に40〜50m3/minの速度で酸素を吹き込みつつSiの酸素昇熱を行い、酸化昇熱後のスラグ中(%SiO2) と(%Al2O3)を所定の値に制御するため、酸化昇熱の途中にCaO 、Al2O3 からなる造滓剤を添加した。なお、このときのSiはFeSi (Si濃度75%) で投入した。
表1に昇熱前の溶鋼中Si濃度、Mn濃度、溶鋼温度を示す。
【0030】
【表1】
【0031】
昇熱後の溶鋼温度については1620℃を目標とし、昇熱後のスラグ組成については、(%SiO2) =35%、(%Al2O3)=15%を目標とし、昇熱後の溶鋼中Si濃度=0.08%を目標として、昇熱前温度を測定後、前述の式(1) ないし(3) にしたがって予めSi投入量と送酸量および造滓剤投入量をそれぞれ決定した。ただし、式(1) ないし(3) におけるi 成分はAl2O3 、CaO であった。
【0032】
表2に目標とする溶鋼温度、スラグ組成を得るために必要なFeSi、送酸量および造滓剤量(CaO、Al2O3)の計算値を示す。なお、ΔT Si=35.5℃/(kg/T) 、ΔT H =2.0 ℃/min、着酸効率β=0.9 として計算した。
【0033】
【表2】
【0034】
表3に昇熱後温度、昇熱後スラグ(%SiO2) 、(%Al2O3)、昇熱後溶鋼中Si濃度を示す。
【0035】
【表3】
【0036】
昇熱前条件が異なっていても、表3に示す通り、昇熱後の溶鋼温度は目標の1620℃に対して1615〜1625℃の範囲に、昇熱後スラグ(%SiO2) は目標の35%に対して33.2〜36.6%の範囲に、昇熱後スラグ(%Al2O3)は目標の15%に対して14.0〜16.0%の範囲に、それぞれ同時に制御することができた。
また、昇熱後溶鋼中Si濃度は目標の0.08%に対して0.07〜0.08%であることから、当初想定していた着酸効率β=0.9 は、ほぼ妥当であることが判明した。
【0037】
図2に送酸量と溶鋼昇熱量の関係を示す。図2から送酸量と溶鋼昇熱量の間には、ほぼ直線関係が成立することがわかる。
なお、昇熱中の溶鋼中Mn濃度の減少はほとんどなく、Mnの酸化は、ほぼ無視できることがわかった。
【0038】
(実施例2)
次に、本発明にかかるSi昇熱プロセスを用いて、溶鋼温度とスラグ中の塩基度(%CaO)/(%SiO2)、Al2O3 濃度(%Al2O3)を同時に制御することにより、Al−Mn系酸化物分散鋼を溶製した例について示す。
【0039】
図3に転炉〜昇熱完了までのプロセス概要を示す。
まず転炉終了時点での溶鋼炭素濃度=0.05〜0.08%、酸素濃度=0.04〜0.07%の溶鋼を、Si、Mnにて一次脱酸した。
【0040】
このとき溶鋼中Si濃度=0.10〜0.15%、Mn濃度=0.8 〜0.9 %となるように、投入Si量およびMn量を調節した。溶鋼量 240〜250(T)、スラグ量は6〜8kg/T、そしてスラグ中i 成分はAl2O3 、CaO であった。
【0041】
一次脱酸終了後、溶鋼にさらにSiを投入しながら、ランスから溶鋼中に40〜50m3/minの速度で酸素を吹き込みつつSiの酸化昇熱を行い、酸化昇熱後のスラグ中(%CaO)/(%SiO2)と(%Al2O3)を所定の値に制御するため、酸化昇熱の途中にCaO 、Al2O3 からなる造滓剤を添加した。なお、このときのSiはFeSi (Si濃度75%) で投入した。
表4に昇熱前の溶鋼中Si濃度、Mn濃度、溶鋼温度を示す。
【0042】
【表4】
【0043】
昇熱後の溶鋼温度については1640℃を目標とし、昇熱後のスラグ組成については、(%CaO)/(%SiO2)=1.6 、(%Al2O3)=18%を目標とし、昇熱後の溶鋼中Si濃度=0.08%を目標として、昇熱前温度を測定後、前述の式(4) ないし(9) によって必要なSi投入量と送酸量および造滓剤投入量を予め決定した。i 造滓剤としてはCaOとAl2O3 とがあり、それぞれについて式(4) ないし(8) を立てることによってそれぞれの量を求めた。
【0044】
表5に目標とする溶鋼温度、スラグ組成を得るために、必要なFeSi、送酸量および造滓剤量(CaO、Al2O3)の計算値を示す。なお、ΔT Si=35.5℃/(kg/T) 、Δ TH =2.0 ℃/min、着酸効率β=0.9 として計算した。
【0045】
【表5】
【0046】
表6に昇熱後温度、昇熱後スラグ(%CaO)/(%SiO2)、(%Al2O3)、昇熱後溶鋼中Si濃度を示す。
【0047】
【表6】
【0048】
表6に示す通り、昇熱後の溶鋼温度は目標の1640℃に対して1635〜1643℃の範囲に、昇熱後スラグ(%CaO)/(%SiO2)は目標の1.6 に対して1.57〜1.63の範囲に、昇熱後スラグ(%Al2O3)は目標の18%に対して17.5〜18.4%の範囲に、それぞれ同時に制御することができた。
【0049】
図4に送酸量と溶鋼昇熱量の関係を示す。図4から送酸量と溶鋼昇熱量の間には、ほぼ直線関係が成立することがわかる。
さらに、溶製No.10 〜15の溶鋼をRH脱ガス装置で脱水素した後、連続鋳造法により鋼塊とし、分散酸化物の個数と組成を光学顕微鏡とエネルギー分散型X線マイクロアナライザーで調べた。
【0050】
直径0.2 μm以上20μm以下でAl−Mn系酸化物が主体となる酸化物の個数を図5に示す。図5には比較としてLFを用いた場合の直径0.2 μm以上20μm以下でAl−Mn酸化物が主体となる酸化物の個数を示している。今回の試験で、Al−Mn系酸化物が主体となる酸化物の分散が、すべての溶製例で確認された。またこの酸化物の分散個数はLFを用いた場合と比較して、ほぼ同一レベルであることがわかる。
表7にLFを使用した場合と溶製No.10 〜15の昇熱処理時間と昇熱時の電力使用量の平均値を示す。
【0051】
【表7】
【0052】
本発明にしたがって、LFを使用せず、Si昇熱プロセスを用いることにより、昇熱処理時間は約1/4 に、昇熱時の電力使用量は約1/100 に低減できることがわかる。
【0053】
【発明の効果】
(1) 本発明により、Si酸化昇熱しつつ、スラグ組成と溶鋼温度を同時に制御することが可能となった。すなわち、電力およびAl酸化昇熱を用いずに、スラグ組成と溶鋼温度を同時に制御することが可能となった。
(2) Si酸化昇熱しつつ、造滓剤を添加して、スラグ塩基度(%CaO)/(%SiO2)、スラグ(%Al2O3)、溶鋼温度を同時に制御することにより、Al−Mn系酸化物分散鋼を電力昇熱なしに溶製することが可能となった。LFを使用した場合と比較すると、昇熱処理時間は約1/4 に、昇熱時の電力使用量は約1/100 に低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】転炉〜昇熱完了までのプロセス概要を示す図である。
【図2】送酸量と溶鋼昇熱量の関係を示すグラフである。
【図3】転炉〜昇熱完了までのプロセス概要を示す図である。
【図4】送酸量と溶鋼昇熱量の関係を示すグラフである。
【図5】本発明の実施例の結果を示すグラフである。
Claims (2)
- 炭素濃度を調整した溶鋼を取鍋に出鋼する際に、予め(1) 〜(3) 式を満足するように取鍋内投入Si量、取鍋内投入造滓剤量、および送酸量を決定し、取鍋内溶鋼に対して、このようにして予め決定した量のSiを添加しつつ、予め決定した量の酸素を吹き込んでSiを燃焼させながら、さらに予め決定した量の造滓剤を添加し、スラグ組成と溶鋼温度を同時に制御することを特徴とする取鍋内溶鋼の昇熱精錬方法。
但し、
Ts : 昇熱前溶鋼温度 (℃) 、Te :昇熱後目標溶鋼温度 (℃)
Wsteel : 溶鋼重量 (T) 、 Wsi:Si添加量 (kg/T)
[%Si]s : 昇熱前溶鋼中Si重量濃度 (%)
[%Si]e : 昇熱後溶鋼中Si目標重量濃度 (%)
ΔTsi:Si 1kg/Tあたりの溶鋼温度上昇量 [℃/(kg/T)]
Wi :造滓剤iの投入重量 (kg/T)
W'i :昇熱前スラグ中のi成分重量 (kg/T)
W"i :昇熱中に生成するi成分重量 (kg/T)
ΔTi :造滓剤i単位重量あたりの溶鋼温度降下量 [℃/(kg/T)]
ΔTH :系外放散熱による溶鋼温度降下量 (℃/min)
t :昇熱時間 (min)
Wslag:昇熱前スラグ量 (kg/T)
(%i) :昇熱後スラグ中i成分の目標重量濃度 (%)
Q :送酸量 (m3/T) 、 β:着酸効率 - 炭素濃度を調整した溶鋼を取鍋に出鋼する際に、予め(4) 〜(9) 式を満足するように取鍋内投入Si量、取鍋内投入造滓剤量、および送酸量を決定し、取鍋内溶鋼に対して、このようにして予め決定した量のSiを添加しつつ、予め決定した量の酸素を吹き込んでSiを燃焼させながら、予め決定した量の造滓剤を添加し、スラグ中の塩基度、スラグ中のAl2O3 濃度および溶鋼温度を同時に制御することを特徴とする取鍋内溶鋼の昇熱精錬方法。
但し、
Ts : 昇熱前溶鋼温度 (℃) 、Te :昇熱後目標溶鋼温度 (℃)
Wsteel : 溶鋼重量 (T) 、 Wsi:Si添加量 (kg/T)
[%Si]s : 昇熱前溶鋼中Si重量濃度 (%)
[%Si]e : 昇熱後溶鋼中Si目標重量濃度 (%)
ΔTsi:Si 1kg/Tあたりの溶鋼温度上昇量 [℃/(kg/T)]
Wi :造滓剤iの投入重量 (kg/T)
W'i :昇熱前スラグ中のi成分重量 (kg/T)
W"i :昇熱中に生成するi成分重量 (kg/T)
ΔTi :造滓剤i単位重量あたりの溶鋼温度降下量 [℃/(kg/T)]
ΔTH :系外放散熱による溶鋼温度降下量 (℃/min)
t :昇熱時間 (min)
Wslag:昇熱前スラグ量 (kg/T)
(%i) :昇熱後スラグ中i成分の目標重量濃度 (%)
Q :送酸量 (m3/T) 、 β:着酸効率
C/S :昇熱後取鍋内スラグ目標塩基度 [=(%CaO)/(%SiO2)]
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