JP3752430B2 - 検診台の股受け開脚装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は産婦人科、泌尿器科、肛門科等の治療や診断に使用して好適な検診台において、治療時あるいは診断時において患者の足を左右方向に開脚させるための検診台の股受け開脚装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来における、検診台における股受け開脚装置としては、背凭れの伏倒に連動して左右の股受けが開脚し、また、背凭れの起立に連動して左右の股受けが閉脚するものである。また、患者が股間接疾患の場合には、疾患のある方の股受けにおける連動機構を解除するためのハンドルを回転させていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記した従来の股受け開脚装置にあっては、前記したように疾患のある患者の場合には、一方の股受け開脚装置の連動を解除し、看護婦等がハンドルを手動によって回転させなければならないため、作業が面倒であると共に手動によって行うことから、ハンドルを回すための力が必要となり力のない女性では困難であるといった問題があった。また、人工受精等の治療に時間を要する場合には、患者は検診状態において休息する必要があり、従来の検診台では閉脚を行わせるためには背凭れを起伏しなければならないので、開脚状態での長時間の延長は患者にとって羞恥心が伴うといった問題もあった。
【0004】
本発明は前記した問題点を解決せんとするもので、その目的とするところは、開脚装置を左右独立して開脚、閉脚が行えるようにすると共に、それぞれの開脚角度を自由にセットすることができることから、疾患のある患者の開脚も迅速、かつ、容易に行えると共に、長時間の開脚を強いることがない検診台の股受け開脚装置を提供せんとするにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の検診台の股受け開脚装置は前記した目的を達成せんとするもので、その請求項1の手段は、台座に取付けられた基板に固定された腰受けと、前記基板に起伏可能に取付けられた背凭れと、前記基板に固定されたモータ等の駆動源と、該駆動源によって回転するピニオンギア、該ピニオンギアに噛合されピニオンギアの回転に伴って移動するラック、前記基板に固定され前記ラックを上下方向にガイドするガイドプレートとから構成した駆動機構と、前記ラックと股受けとを連結し、前記ラックが下降するに伴って前記股受けを開脚方向に変位させる股受けリンク機構と、前記股受けに対して略同一平面位置と、屈曲位置に変化するように取付られた下肢受けと、該下肢受けと前記股受けが略同一平面位置であると前記駆動源による開脚動作を禁止させる禁止信号を出力する手段とから構成し、前記背凭れの起伏に関係なく前記股受けに対して下肢受けが屈曲されている場合には、股受けリンク機構によって股受けを開脚させ、股受けに対して下肢受けが略同一平面状態となっている場合には、股受けリンク機構によって股受けの開脚が行えないようにしたことを特徴とする。
【0006】
請求項2の手段は、前記した請求項1において、前記ラックから突出されたガイドピンが、前記ガイドプレートに形成された上下方向のガイド溝にガイドされ、前記ラックは前記ガイド溝に沿って上下動することで、前記股受けリンク機構を介して前記股受けが開脚、閉脚されることを特徴とし、また、請求項3の手段は、前記した請求項1において、前記股受け機構は、前記股受けの前記第1軸杆に対して回動自在に前記下肢受けを支持するアームと、一端が前記第1軸杆に軸支され他端が前記ラックに軸支された第1リンクと、一端が前記アームに軸支され他端が前記ラックに軸支された第2リンクと、一端が前記アームに軸支され他端が前記ラックに軸支されたガスシリンダと、該ガスシリンダを操作して前記股受けと前記下肢受けを略同一平面位置になったことを検出すると、開脚動作禁止信号を出力するようにしたことを特徴とし、さらに、請求項4の手段は、前記した請求項2において、前記ガイドプレートに形成されているガイド溝は、患者の股関節を視点として開脚を行わせるような湾曲状に形成されていることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る検診台の股受け開脚装置の概略を図1〜図8と共に説明する。
Aは台座、Bは該台座Aに対して上下動および回転可能に取付けられた検診台である。検診台Bは下部の水平方向で屈曲可能に基板1に対して取付けられた背凭れ2と、前記基板1に固定された腰受け3と、前記基板1に対して回動自在に取付けられた座板4と、前記背凭れ2の両側に水平および垂直状態の何れかに変位可能に取付けられた肘掛け5と、前記基台1に対して横方向に回動して患者の股を開脚する股受け6と、該股受け6に対して垂直方向に回動可能に取付けられた下肢受け7と、前記基台1における前記座板4の下面において上下動自在に取付けられた汚物トレー8とより構成されている。
【0008】
そして、全体の概略動作は以下の通りである。
すなわち、図1は検診台Bに着座した患者と医師とが対面している状態であるが、患者が医師と対面する以前は図2に示すように、医師と対面する角度より120度回転した位置である患者導入位置にあり、この状態で患者は検診台Bに着座することとなる。これは、患者が医師と対面した位置(図1)から着座するには患者にとって羞恥心を感じることとなるため、医師に対して横方向(120度の角度位置)から座ることとした。
【0009】
そして、患者が着座するには肘掛け5を手掛かりとして座ることで、老人でも容易に着座することができる。また、車椅子やストレッチャーから本発明の検診台に患者が移動する場合には、図1の実線に示すように起立させることもできる。そして、患者が着座した状態において台座Aに対して検診台Bを120度回転させて医師と対面状態とする。この時、患者は腰の部分を座板4に乗せ、股の部分を股受け6に乗せることにより、ふくら脛の部分は下肢受け7に当接した状態となる。
【0010】
この状態において医師が図示しないフットペダルあるいは前記基板1の側面に配置されているスイッチ群2aの中から背凭れ伏倒スイッチを操作すると、背凭れ2が伏倒を開始する。次いで、背凭れ2が伏倒終了した状態から(図3)フットペダルあるいはスイッチ群2aにおける開脚スイッチを操作すると、前記股受け6の横方向への移行が行われ患者の足を座骨部分から水平方向に開脚する(図4)。
【0011】
この状態にあっては、座板4が邪魔となるので(図5)、フットペダルあるいはスイッチ群2における座板回転スイッチを操作すると、先ず、汚物トレー8が下降し、次いで、座板4が後方に回転を始め腰受け3の裏面側に収容される(図6)。その後、汚物トレー8は上昇して患者の股部分の下部近くまで達した位置で停止する(図7)。
【0012】
図8は診療を行う前の仙骨麻酔を行う際や、検診後麻酔が覚めるまでの回復の際に、患者を寝かせる状態を示す。すなわち、前記図3の状態において股受け6を開脚方向でなく、水平方向に回動させることにより、股受け6が座板4に対して水平状態になると共に下肢受け7が股受け6に対して水平となるので、全体としてベッド状態となって患者を仰臥させることができる。
【0013】
なお、前記した動作説明にあっては、背凭れ2の伏倒、股受け6の開脚、座板4の回転および汚物トレー8の移動を各別の操作によって行う場合で説明したが、これらの動作を一連の動作として行う、いわゆる、プリセットスイッチを一度操作することによって自動的に一連の動作として行うようにしてもよい。また、図1の状態に戻すには前記した動作とは逆の動作を行うことによって行えるものである。
【0014】
次に、前記した動作を行わせるための具体的な構造について図9〜図23と共に説明する。
図9〜図11は基板1を伏倒した状態、すなわち、基板1が伏倒すると、該基板1に固定されている背凭れ2、腰受け3および座板4や股受け6も共に倒れた状態の全体の構成を示し、図9は股受け6側から見た斜視図、図10は背凭れ2側から見た斜視図、図11は背凭れ2の背面側から見た斜視図である。なお、図示においては、座板4が腰受け3の裏面側に回動された状態で示してある。
【0015】
台座Aは検診台Bにおける基板1を、従来と同様に上下動および回転させるための機構が組み込まれている。そして、患者が検診台Bに着座する位置と、医者と対面する位置とを検出するための椅子回転検出用のポテンショメータR1が取付けられている。
【0016】
背凭れ2は基板1との間に取付けられた油圧シリンダ1aに油圧を加えることにより起立方向に回動し、油圧を解除すると一対のスプリング1bによって伏倒するように構成されている。そして、背凭れ2の回転支点には背凭れ2の起伏角を検出するためのポテンショメータR2が取付けられている。
【0017】
9は基台1に固定された股受け6を開脚するための開脚用モータにして、自在継手9aを介して後に詳述する開脚機構10に接続されている。また、開脚用モータ9にはギアを介して股受け6の開脚角度を検出するためのポテンショメータR3が取付けられている。なお、前記開脚用モータ9と開脚機構10はそれぞれの股受け6を駆動するために左右一対設けられている。
【0018】
11は基台1に固定された座板4を回転して腰受け3の裏面側に回転するための座板用モータにして、モータ11の回転方向を90度変換し、かつ、減速するためのギアボックス12を介して座板回転軸12aに接続されている。また、前記座板回転軸の他端には座板の回転量を検出するためポテンショメータR4が取付けられている。
【0019】
13は汚物トレー8を上下動させるための油圧シリンダにして、一端が基板1に軸支され、他端が後に詳述する汚物トレー用リンク機構14に軸支されている。また、リンク機構14の回転軸部には汚物トレー8の高さ位置を検出するためのポテンショメータR5が取付けられている。
【0020】
15は一端が前記開脚機構10の一部に軸支され、他端が同じく開脚機構10の一部に取付けられた後に詳述する股受け用リンク機構16に軸支されたガスシリンダである。また、股受け用リンク機構16には股受け6と下肢受け7とが屈曲状態となった時にオン状態となる近接スイッチSが取付けられている。なお、前記ガスシリンダ15と股受け用リンク機構16はそれぞれの下肢受け7を駆動するために左右一対もうけられている。
【0021】
次に、一対の開脚機構10における一方の詳細を図12〜図15と共に説明する。
基板1に固定されたモータ9の出力軸は自在継手9aに接続され、該自在継手9aの出力側は基板1に固定されたガイドプレート10aの孔を貫通して、該ガイドプレート10aに固定されたピニオンギア手段10bに接続されている。このピニオンギア手段10bにはガイドローラ10cが取付けられており、このガイドローラ10cにピニオンギア手段10b内のピニオンと噛合されるラック10dが挟持されるように、すなわち、上下方向のみに移動可能なように取付けられている。
【0022】
前記ガイドプレート10aには円弧状のガイド溝10eが形成され、このガイド溝10eに前記ラック10dより突出しているガイドピン10fがガイドされるようになっている。また、ラック10dには股受け6および下肢受け7が取付けられている股受けリンク機構16が取付けられている。なお、10gはラック10dを覆うカバーである。
【0023】
このように構成された駆動機構10は、モータ9が回転すると自在継手9aを介してピニオンギア手段10b内のピニオンが回転するので、該ピニオンに噛合されているラック10dはガイドローラ10cにガイドされながら上下方向に移動するが、この時、ラック10dのガイドピン10fがガイドプレート10aのガイド溝10eにガイドされているので、ラック10dはガイド溝10eに沿って上下方向に移動することとなる。
【0024】
そして、ラック10dには股受けリンク機構16を介して股受け6および下肢受け7が取付けられているので、この股受け6、下肢受け7は乗せられている患者の股を開脚および閉脚することとなる。なお、この開脚方向は、前記ガイド溝10eの湾曲形状が患者の股関節を支点とした開脚が行えるような湾曲となっているので、患者に対して無理な開脚方向とはならないものである。また、モータ9が回転すると、該モータ9の回転量に応じた抵抗値がポテンショメータR3によって検出されるので、この抵抗値を監視することによって開脚角度を知ることができる。
【0025】
なお、前記した実施の形態にあっては、ガイドプレート10aに形成されたガイド溝10eを円弧状としたが、このガイド溝10eを斜め直線状としたり、あるいは、ガイド溝10eを床面に対して垂直方向に形成し、ガイドプレート10aを傾けることにより、前記したと同様に股間接を支点として開脚させることができる。
【0026】
次に、股受けリンク機構16の詳細を図13、図15〜図17について説明する。
股受け6の一方(左側)は、前記開脚機構10におけるラック10dに一端が軸支された第1リンク16aの他端が軸支されると共に、前記ラック10dの前記第1リンク16aから離れた位置に吐出杆部が軸支されたガスシリンダ15のシリンダ部が軸支されている第1軸杆16cに対して水平方向に所定角度回動可能に取付けられている。
【0027】
また、2つの下肢受け7は、前記第1軸杆16cに軸支されたアーム16dの先端に軸支されている長軸杆16eに対して水平方向に所定角度回動可能に取付けられている。また、長軸杆16eの他端には前記アーム16cと同様なアーム16d′が軸支され、該アーム16d′の他端に第2軸杆16c′が軸支され、この第2軸杆16c′に他方(右側)の股受け6が水平方向に所定角度回動可能に取付けられている。
【0028】
なお、前記第1リンク16aと略平行に配置された第2リンク16gの一端は前記ガスシリンダ15の突出杆部が軸支されたと同じ部分の前記ラック10dに軸支され、他端は前記アーム16dの中間部に軸支されている。
【0029】
さらに、前記第2リンク16gには前記第1リンク16aと平行な状態となっている時に、該第1リンク16aと係合される係合片16hが取付けられていおり、該係合片16hが第1リンク16aと係合状態なると係合片16hを検出する近接スイッチSが前記第1リンク16aに取付けられている。なお、16iは前記股受けリンク機構16の全体を覆うカバーである。
【0030】
次に、前記した股受けリンク機構16の動作について説明する。
図13に示すラック10dがガイドプレート10aに対して上方に位置している状態、すなわち、股受け6が閉脚状態にある時は、第1、第2リンク16a,16gが略平行状態となっており、かつ、軸杆16c,16c′が近接した状態となっているので、患者の足は閉脚状態となっている。また、アーム16d,16d′が第1リンク16aに対して略直角な状態となっているので、股受け6と下肢受け7は直角状態となり、従って、患者の足は膝の部分で直角に折られている。なお、この状態において、係合片16hが近接スイッチSに近接しているので、スイッチはオン状態を保持し折曲状態であることを報知している。
【0031】
この状態において、前記したようにモータ9を駆動してラック10dをガイドプレート10aのガイド溝10eに沿って下降させると、該ラック10dに軸支されている第1、第2リンク16a,16gおよびガスシリンダ15が斜め下方に変位するので、これらに取付けられている股受け6および下肢受け7が図15に示すように開脚する。この状態においても、第1、第2リンク16a,16gは平行状態を保持しているので、近接スイッチSは股受け6と下肢受け7とが直角状態であることを検出している。
【0032】
また、前記図13の状態において患者の足を背凭れ2と平行な状態であるベッド状態とするには、ガスシリンダ15の操作杆15aを操作して吐出杆をシリンダ内に収納して収縮させると、該シリンダと第1リンク16aとの軸支点で部分が下方に引っ張られ、第1、第2リンク16a,16gとの平行状態が崩されて股受け6が下方に押し下げられる。
【0033】
この結果、図16、図17に示すように、第1リンク16aとアーム16dとが略直線状となって、股受け6と下肢受け7とは水平状態となり、従って、背凭れ2、腰受け3および股受け6、下肢受け7は全体として水平状態となるので、ベッド状態となるものである。なお、この状態において、近接スイッチSから係合片16hが離れることにより、該近接スイッチSは股受け6と下肢受け7とが水平状態であることを報知し、この状態での開脚動作が行われないような禁止信号を送出している。
【0034】
そして、ベッド状態から図13の状態に戻すには、操作杆15aを操作してガスシリンダ15を伸長状態となると、第1、第2平行リンク16a,16gが平行状態に戻るので、股受け6と下肢受け7は直角状態に戻される。この状態において近接スイッチSはオン状態となって、開脚動作が行えるようになる。
【0035】
次に、座板4の駆動機構について説明するに、座板用モータ11に接続されたギアボックス12によって180度に変換された回転軸12aに座板4が固定されている。また、回転軸12aのギアボックス12とは反対側の先端にはポテンショメータR4が取付けられている。そして、座板用モータ11を回転させると、回転軸12aが回転して座板4は略180度回転し、図18、図19の状態から図20、図21の状態に回転する。この回転角度はポテンショメータR4によって知ることができる。
【0036】
次に、汚物トレー8を上下動させるためのリンク機構14の構成について説明する。
汚物トレー8の基部側の両端には第1平行リンク14aの一端が軸支され、また、第2平行リンク14bが補助片14cを介して軸支されている。一方、第1および第2平行リンク14a,14bの他端は前記した基板1に軸支され、該第1平行リンク14aにはポテンショメータR5が取付けられている。また、前記第1平行リンク14aか直角に突出した突出片14dには、一端が基板1に軸支された油圧シリンダ13の吐出杆が軸支されている。
【0037】
このように構成された汚物トレーリンク機構1は、油圧シリンダ13内から油圧を引くと吐出杆が突出して汚物トレー8は水平状態で下方に位置している(図5,20参照)。この状態において油圧シリンダ13に油圧を供給すると吐出杆がシリンダ内に吸引され収縮するので、前記下降位置より平行状態で上昇する。
【0038】
そして、汚物トレー8の高さ位置はポテンショメータR5の抵抗値によって知ることができる(図20、図21参照)。なお、汚物トレー8におけるトレーは前後方向(図18、図19において左方向)に所望の量だけ引き出し可能に形成されている。また、補助片14cの延長線上には上方に突出する遮板14eが一体的に形成されていおり、座板4が腰受け3の裏面側に回動された時に、座板4の裏面側に遮板14eが位置して、患者から排出された汚物が座板4に付着するのを防止すると共に、汚物の床等への滴下を防止している。
【0039】
次に、仙骨麻酔等を行うために背凭れ2の上方を水平状態から角度を付ける構成について説明する。
背凭れ2の下面から突出した垂下片2aに油圧シリンダ2bのシリンダ側を軸支し、吐出杆側を背凭れ基板の上方に軸支する。そして、背凭れ2の前記ポテンショメータR2が取付けられたチルト支点部分を上下方向で屈曲可能に形成する。
【0040】
このように構成することにより、油圧シリンダ2bに油を供給して吐出杆を突出すると、前記背凭れの屈曲可能部分より上方に屈曲され(図23)、また、油圧シリンダ2bより油を抜くと寝た状態の患者の重量によって、背凭れ2は水平状態となる(図22)。従って、図22のように背凭れ2全体を水平状態とすることで、仙骨麻酔を容易に行うことができる。
【0041】
次に、全体の回路構成を図24のブロック図と共に説明する。
20はフートペダル等によるスイッチにして、プリセットスイッチSW1と、微調整や個別にモータや油圧シリンダを駆動するためのスイッチ群SW2とから構成されている。また、21はCPUにして、予め製造会社によって設定された検診台Bの動きを記憶させたROM21bおよび各病院で記憶させるRAM21aが接続されている。22はモータを通電、遮断を制御するためのモータ制御回路、23は油圧シリンダへの油圧の供給と油の排出を制御するための油圧制御回路である。
【0042】
次に、プリセットスイッチSW1を操作して患者が検診台Aに着座した状態から検診状態に移行する動作を図25、図26のフローチャートと共に説明する。先ず、医師に対して120度回転した位置の検診台Bに患者が着座したことを確認した状態においてプリセットスイッチSW1を操作すると、基台Aに設けられているモータにモータ制御回路22を介して通電が行われ検診台Bが回転する(ステップS1)。
【0043】
前記モータが回転を開始すると、ポテンショメータR1が検診台Bの回転角度を出力するので、CPU21は検診台Bの120度の回転角度まで達したか否かの監視を行い(ステップS2)、CPU21が検診台Bの120度回転したことを検出すると、モータへの通電をモータ制御回路22を介して停止すると共に背凭れ2の伏倒を行う油圧シリンダ2bの油の排出を油圧制御回路23を介して行い背凭れ2の伏倒を開始する(ステップS3)。
【0044】
背凭れ2の伏倒が開始されると、ポテンショメータR2が背凭れ2の伏倒角度を出力するので、CPU21は背凭れ2の伏倒角度が所定角度まで達したか否かの監視を行い(ステップS4)、CPU21が背凭れ2の所定角度まで達したことを検出すると、油圧シリンダ1aの油の排出を油圧制御回路23を介して停止させ背凭れ2の伏倒を停止させる。
【0045】
次いで、開脚を行うためのモータ9に通電をモータ制御回路22を介して開始するので、開脚機構10による前記した動作によって股受け6の開脚動作が行われる(ステップS5)。このモータ9の回転が開始されると、ポテンショメータR3が開脚角度を出力するので、CPU21は開脚機構10の開脚角度が所定角度まで達したか否かの監視を行い(ステップS6)、CPU21が開脚機構10の所定開脚角度まで達したことを検出すると、モータ9への通電をモータ制御回路22を介して停止させ股受け6の開脚を停止させ、汚物トレー8を下降させるための油圧シリンダ13への油の排出を油圧制御回路を介して開始する(ステップS7)。
【0046】
前記油圧シリンダ13から油の排出が開始されると、汚物トレー用のリンク機構14が前記した動作によって汚物トレー8を降下させる(ステップS8)。油圧シリンダ13が駆動を開始すると、ポテンショメータR5が汚物トレー8の降下位置を出力するので、CPU21はリンク機構14による汚物トレー8の降下位置が所定の位置に達したか否の監視を行い(ステップS9)、CPU21が汚物トレー8が所定位置まで達したことを検出すると、油圧シリンダ13の油の排出を油圧制御回路23を介して停止させ、汚物トレー8の降下を停止される。
【0047】
次いで、座板4を回動させるモータ11にモータ制御回路22を介して通電して座板4を腰受け3の裏面側に回転させる(ステップS10)。モータ11が回転を開始すると、ポテンショメータR4が座板4の回動位置を出力するので、CPU21は座板4の回動角度が所定角度に達したか否かの監視を行い(ステップS11)、CPU21が座板4が所定角度位置まで達したことを検出すると、モータ11への通電をモータ制御回路22を介して停止して座板4を停止させると共に、前記油圧シリンダ13への油の供給を油圧制御回路23を介して開始する。
【0048】
前記油圧シリンダ13への油の供給が開始されると、汚物トレー用のリンク機構14が汚物トレー8を上昇させる(ステップS12)。油圧シリンダ13が駆動を開始すると、ポテンショメータR5が汚物トレー8の上昇位置を出力するので、CPU21はリンク機構14による汚物トレー8の上昇位置が所定の位置に達したか否の監視を行い(ステップS13)、CPU21が汚物トレー8が所定位置まで達したことを検出すると、油圧シリンダ13への供給を油圧制御回路23を介して停止させて汚物トレー8を所定の高さ位置で停止させる(ステップS14)。
【0049】
この状態が検診位置なので、医者は患者の検診を行うことができるが、背凭れ2の起伏角度や股受け6の開脚角度および汚物トレー8の高さ位置を微調整する場合には、個別スイッチ群SW2の各スイッチを操作することにより、各構成の調整を行うことができる。また、前記プリセットスイッチSW1による連続した動作を行わずに、各構成を個別に制御して検診位置にセットすることも可能である。
【0050】
さらに、前記した股受け用リンク機構16を操作して、図17に示すように股受け6および下肢受け7を水平状態としたベッド状態にした場合には、近接スイッチSがオフ状態となっており、この近接スイッチSよりの信号がCPU21に供給されている場合には、前記プリセットセットスイッチSW1および個別スイッチ群SW2を操作しても、CPU21は前記スイッチSW1,2よりの信号を受け付けないようになって、機器の故障や患者への危険を防止するようになっている。
【0051】
また、前記した検診状態において、仙骨麻酔を行う場合には患者の背中が屈曲状態では行いにくいので、油圧シリンダ2bの油を排出して吐出杆を収納して背凭れ2の上部分を水平状態にすることにより、仙骨麻酔が行い易くなる。
【0052】
なお、前記した背凭れ起伏用の油圧シリンダ1a、汚物トレー用の油圧シリンダ13および背凭れの上方を起伏するための油圧シリンダ2bは単動型油圧シリンダに限定されるものではなく、複動型油圧シリンダとしてもよく、さらに、油圧シリンダにモータ等の他のアクチュエータを使用し、あるいは、手動によって行ってもよい。
【0053】
【発明の効果】
本発明は前記したように、モータ等の駆動源によって回転するピニオンギアと噛合され上下方向にラックを移動させ、該ラックから突出したガイドピンをガイドプレートの円弧状ガイド溝によってガイドさせることによって股受けの開脚と閉脚が行えるようにしたので、背凭れの起伏動作とは関係なく股受けの開脚、閉脚が行えることから、人工受精のような長時間におよぶ治療時の休息においても閉脚状態で休息が行え、従って、患者に羞恥心を起こさせることがない。
【0054】
また、股受け開脚装置を左右独立して設けたことにより、開脚、閉脚を個別に行えるので、股間接疾患の患者に対して疾患のある方の股受けを他の股受けとは独立して開脚可能となり、従って、股間接疾患の患者の場合にも医師や看護婦が簡単、かつ、容易に所望の角度で開脚させることができる等の効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】医師と対面状態の検診台の斜視図である。
【図2】患者が着座する状態の検診台の斜視図である。
【図3】検診台が倒れた状態の斜視図である。
【図4】同上の開脚状態の斜視図である。
【図5】同上の汚物トレーが下降位置の斜視図である。
【図6】座板を腰受けの裏面側に回動した状態の斜視図である。
【図7】汚物トレーが上昇した検診状態の斜視図である。
【図8】ベッド状態の斜視図である。
【図9】図3の股受け側から見た台座を含む斜視図である。
【図10】同上の背凭れ側から見た台座を含む斜視図である。
【図11】同上の背凭れ背面側から見た台座を含む斜視図である。
【図12】開脚機構部分のみの斜視図である。
【図13】閉脚状態を示す斜視図である。
【図14】同上の側面図である。
【図15】開脚状態を示す斜視図である。
【図16】股受けと下肢受けとを平行状態とする構成部分のみの斜視図である。
【図17】同上の全体的な斜視図である。
【図18】汚物トレーが上昇した位置にある状態の側面図である。
【図19】同上の斜視図である。
【図20】汚物トレーが下降した位置にあり座板が回動した状態の側面図である。
【図21】同上の状態から汚物トレーが上昇した状態の側面図である。
【図22】背凭れの上部を屈曲するための構成を示す側面図である。
【図23】同上の状態から屈曲した状態を示す側面図である。
【図24】システム全体の回路構成を示すブロック図である。
【図25】同上の回路における動作を示すフローチャートである。
【図26】同上の続きを示すフローチャートである。
【符号の説明】
A 台座
B 検診台
2 背凭れ
3 腰受け
4 座板
6 股受け
7 下肢受け
8 汚物トレー
9,11 モータ
10 開脚機構
13 油圧シリンダ
14 汚物トレー用リンク機構
15 ガスシリンダ
16 股受け用リンク機構
R1〜R5 ポテンショメータ
S 近接スイッチ
Claims (4)
- 台座に取付けられた基板に固定された腰受けと、
前記基板に起伏可能に取付けられた背凭れと、
前記基板に固定されたモータ等の駆動源と、
該駆動源によって回転するピニオンギア、該ピニオンギアに噛合されピニオンギアの回転に伴って移動するラック、前記基板に固定され前記ラックを上下方向にガイドするガイドプレートとから構成した駆動機構と、
前記ラックと股受けとを連結し、前記ラックが下降するに伴って前記股受けを開脚方向に変位させる股受けリンク機構と、
前記股受けに対して略同一平面位置と、屈曲位置に変化するように取付られた下肢受けと、
該下肢受けと前記股受けが略同一平面位置であると前記駆動源による開脚動作を禁止させる禁止信号を出力する手段とから構成し、
前記背凭れの起伏に関係なく前記股受けに対して下肢受けが屈曲されている場合には、股受けリンク機構によって股受けを開脚させ、股受けに対して下肢受けが略同一平面状態となっている場合には、股受けリンク機構によって股受けの開脚が行えないようにしたことを特徴とする検診台の股受け開脚装置。 - 前記ラックから突出されたガイドピンが、前記ガイドプレートに形成された上下方向のガイド溝にガイドされ、前記ラックは前記ガイド溝に沿って上下動することで、前記股受けリンク機構を介して前記股受けが開脚、閉脚されることを特徴とする請求項1記載の検診台の股受け開脚装置。
- 前記股受け機構は、前記股受けの前記第1軸杆に対して回動自在に前記下肢受けを支持するアームと、一端が前記第1軸杆に軸支され他端が前記ラックに軸支された第1リンクと、一端が前記アームに軸支され他端が前記ラックに軸支された第2リンクと、一端が前記アームに軸支され他端が前記ラックに軸支されたガスシリンダと、該ガスシリンダを操作して前記股受けと前記下肢受けを略同一平面位置になったことを検出すると、開脚動作禁止信号を出力するようにしたことを特徴とする請求項1記載の検診台の股受け開脚装置。
- 前記ガイドプレートに形成されているガイド溝は、患者の股関節を視点として開脚を行わせるような湾曲状に形成されていることを特徴とする請求項2記載の検診台の股受け開脚装置。
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