JP3752331B2 - 多心光コネクタ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ相互間、あるいは光ファイバと光素子間の接続と切り離しを容易にするために用いられる多心光コネクタに関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、図７及び図８に示したようにＳＣ形の多心光コネクタとしては、接続アダプタＡ′におけるプラグフレームａの先端軸芯に配設したフェルールｂの軸芯に光ファイバｃを貫通してなるプラグｄ、ｄを両側から挿入し、フェルールｂ、ｂを整列スリーブｅ内に挿入してフェルールｂ、ｂ同志、つまり光ファイバｃ、ｃの端面同志を突き合わせて接続すると共に、アダプタハウジングｆ内に対向突設した２個一対の係合片ｇ、ｇにてプラグｄ、ｄを挿入位置に保持するよう構成したものが知られている。
【０００３】
また、光コネクタのプラグには、接続アダプタに対する抜去を手動操作によって行なう、所謂、手操作着脱タイプのものと、工具を用いて行なう、所謂、工具着脱タイプのものがある。
【０００４】
図７及び図８に示したものは、手操作着脱タイプのプラグｄを示すもので、プラグフレームａに、先端外側面に係合解除機構ｈ、ｈを設けたツマミｉを軸方向へスライド自在に外装し、図示したように、接続アダプタＡ′に挿入保持されている状態で、ツマミｉを、プラグの引き抜き方向へスライド操作することで、プラグフレームａに凹設された係合溝部ｊと、接続アダプタＡ′における係合片ｇ、ｇの先端内面に突設された係合突部ｋとの係合を解除することによって、当該プラグｄを接続アダプタＡ′から抜去するように構成されている。このため、当該プラグｄ、ｄの接続アダプタＡ′は、図示したように、両側の一対の係合片ｇ、ｇ、ｇ、ｇを、軸回り方向において同一位置に突設して構成してある。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかし乍ら、上記した接続アダプタＡ′のように、両側の係合片ｇ、ｇ、ｇ、ｇを突設したのでは、成形用金型（中子）の型抜きができないので、全体を一体に成形することは不可能であった。ために、図７及び図８に示した如く、アダプタハウジングｆを２個に分割成形してそれらを軸方向へ組み合わせ、外側からプレートｌ、ｌ等で合体して構成している。
【０００６】
しかし、かゝる構造では、構成部品数が多く、かつ組み立て工程が煩雑となるので、手間と時間がかゝり、製造コストがアップするという問題がある。
【０００７】
そこで、本発明者等は、片側の係止片ｇ、ｇとその反対側の係合片ｇ、ｇを、軸回り方向へ９０°ずらして、かつ軸方向へ同一向きに形成するようにすれば、成形用金型の型抜きが可能となるので全体を一体に成形することができることに着眼した。
【０００８】
しかし、このような構造でも、以下に述べるような問題があった。
先ず、上記した構造の接続アダプタでは、両側の係合片ｇ、ｇとｇ、ｇに対して既述手操作着脱タイプのプラグｄ、ｄを各々係合して接続することはできないので、図９に示した如く、先端軸芯にフェルールｍを配設したプラグハウジングｎの先端近くの外周に係合用フランジｏを突設して形成した簡易形プラグｐが利用される。
【０００９】
ところで、この簡易形プラグｐは図示しない工具により着脱されるものであるが、上記接続アダプタＡ′に複数個の上記プラグｐを接続した場合、工具を使用してプラグｐを抜去しようとしても、工具及び一対の係合片が、隣接する他の一対の係合片と干渉するため、工具により一対の係合片を押し拡げる抜去動作が行なえず、プラグ抜去ができないという問題があった。
【００１０】
本発明は、上記した従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたもので、接続アダプタのアダプタハウジング内における各スリーブホルダの両側に各々設けられる２個一対の係合片を、軸方向へ同一向きにして、かつ軸回り方向へ所望角度だけずらして突設して構成することにより、手操作着脱タイプのプラグと、工具着脱タイプのプラグを接続できて、かつ工具着脱タイプのプラグを工具により確実に抜去することができると共に、一体成形が可能となって安価に製造することのできる多心光コネクタを提供することを目的とする。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の多心光コネクタは、アダプタハウジング内の略中間部に軸方向と直角方向へ一定の間隔をおいて整列配設した複数のスリーブホルダの両側に各々形成した各プラグ挿入用孔内に、アダプタハウジング内から外側へ突出した状態でバネ性を有する２個一対の係合片を軸方向へ同一向きに各々対設すると共に、上記各スリーブホルダの一側に位置する一対の係合片に対して、他側に位置する一対の係合片を軸回り方向へ所望角度ずらして各一体に形成したことを特徴としている。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る多心光コネクタの一実施形態（２芯用）について図面を参照して説明する。
図１は接続アダプタの両側に、既存の手操作着脱タイプのプラグと、工具着脱タイプのプラグを挿入保持した状態の縦断面図を示し、図２は接続アダプタの縦断面図を示し、図３は接続アダプタの左側面図を示し、図４は接続アダプタの右側面図を示し、図５は図３におけるＡ−Ａ線矢視断面図を示し、図６は図３におけるＢ−Ｂ線矢視断面図を示す。
【００１３】
図１及び図２に示したように、接続アダプタＡにおけるアダプタハウジング１は、一軸方向へ長く形成され、その軸方向における略中間部には、２個のスリーブホルダ２、３を軸方向へ長く、かつ軸方向と直角方向へ一定の間隔をおいて並行に整列配設させてある。
【００１４】
上記両スリーブホルダ２、３の軸方向における一側には、図１及び図２に並びに図４に示したように、既存の手操作着脱タイプのプラグ４を軸回り方向へ方向性を有して抜き差し自在なプラグ挿入用孔５、６を、上記プラグ４の外形状に対応する形状に、かつ軸方向と直角方向へ連通して形成させてある。
【００１５】
また、上記両スリーブホルダ２、３の軸方向における他側には図１ないし図３に示したように、該両スリーブホルダ２、３に、工具着脱タイプのプラグ７、７を自由に、つまり軸回り方向へ方向性を有することなく抜き差し自在にして、かつ図示しないプラグ抜去用工具を挿入自在なプラグ挿入用孔８を両ホルダ２、３に共通して四角形孔に形成させてある。
【００１６】
図１ないし図４及び図６に示したように、上記アダプタハウジング１内から軸方向へ延出して、上記各プラグ挿入用孔５、６内の左右両側には略帯形状としたプラグ係合用の２個一対の係合片９、９、１０、１０を各々一体に突設させてある。
【００１７】
上記２個一対の係止合片９、９、１０、１０は、基端９ａ、９ａ、１０ａ、１０ａをアダプタハウジング１内に連設して内向きに、かつ軸心方向へやゝ傾斜して形成させ、軸心方向と直角方向、つまり図３及び図４において左右方向へバネ性を与えてあると共に、このバネ性に抗して軸方向と直角な外側方向、つまり、図６において上下方向へ押し拡げ自在に、当該各係合片９、９、１０、１０とアダプタハウジング１の内面間には隙間１１、１１を形成させてある。
【００１８】
また、上記一対の係合片９、９、１０、１０の先端面には、プラグ係合用の係合突部９ｂ、９ｂ、１０ｂ、１０ｂを一体に突設させてある。
【００１９】
図１ないし図６に示したように、上記アダプタハウジング１内から軸方向外側へ延出して、上記プラグ挿入用孔８内の両スリーブホルダ２、３と対応する位置には、２個一対の係合片１２、１２、１３、１３を対向して並行に突設させてあり、各々の先端面には、プラグ係合用の係合突部１２ａ、１２ａ、１３ａ、１３ａを突設させてある。
【００２０】
上記した係合片１２、１２、１３、１３は、図３及び図４に示した如く、上記した他側の係合片９、９、１０、１０と軸回り方向へ所望角度αだけずらして形成し、図示しない工具を使用してプラグ７を抜去する際、該工具と隣接する係合片１３または１２、及び係合片１２、１３同志が相互に干渉しないようにして、プラグ抜去操作を可能にしている。
【００２１】
こゝで、上記した角度αは、隣接した２個のスリーブホルダ２、３の軸心間寸法や、各係合片１２、１２、１３、１３の横幅及び両係合片１２、１２、１３、１３の外側面間の寸法等によっても異なるが、実験上３４°前後が適当であることが確認された。
【００２２】
さらに、上記した一対の係合片９、９、１０、１０における係合突部９ｂ、９ｂ、１０ｂ、１０ｂの基部内面と、上記一対の係合片１２、１２、１３、１３における係合突部１２ａ、１２ａ、１３ａ、１３ａの先端には各々傾斜面９ｃ、９ｃ、１０ｃ、１０ｃ、１２ｂ、１２ｂ、１３ｂ、１３ｂを形成して、プラグ４、７の押し込み操作によって、当該プラグ４、７が図１に示したように係合保持されるようにしてある。
【００２３】
図１ないし図３及び図５並びに図６において、１４は、上記したスリーブホルダ２、３内に嵌着した割りスリーブを示し、１５は、接続アダプタＡを図示しないバックボードハウジングやパッケージハウジング等に固定するのに用いられるブラケットを示す。
尚、以上の実施形態は、２心タイプの多心光コネクタを説明するものであるが、それ以外の多心光コネクタ、例えば４心、８心等のタイプであっても同様であるため、それらの説明は省略する。
【００２４】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、プラグ抜去用工具が、隣接する他の係合片と干渉することはなく、また上記工具によって一対の係合片を外側へ押し拡げても、該係合片と、隣接する他の係合片同志が干渉するのを回避できることによって、工具によるプラグ抜去を確実に行なうことができる。
【００２５】
また、アダプタハウジング内の両側の係合片は軸方向へずらして同一向きに突設してあり、成形用金型（中子）の型抜きを軸方向のみにおいて容易に行なうことができることにより、簡易な金型を用いて全体を一体に成形できるので、構成部品及び製造工程数の低減化を図り得て、安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る多心光コネクタの一実施形態を示すプラグ挿入保持状態の縦断面図である。
【図２】同多心光コネクタを示す縦断面図である。
【図３】同多心光コネクタを示す左側面図である。
【図４】同多心光コネクタを示す右側面図である。
【図５】図３におけるＡ−Ａ線矢視断面図である。
【図６】図３におけるＢ−Ｂ線矢視断面図である。
【図７】従来の多心光コネクタに手操作着脱タイプのプラグを挿入保持した状態を示す断面図である。
【図８】図７におけるＣ−Ｃ線矢視断面図である。
【図９】従来の工具着脱タイプのプラグを例示した側面図である。
【符号の説明】
Ａ 接続アダプタ
１ アダプタハウジング
２、３、スリーブホルダ
５、６、８ プラグ挿入用孔
９、９、１０、１０、１２、１２、１３、１３ 一対の係合片
α 所望角度

Claims (1)

1. アダプタハウジング内の略中間部に軸方向と直角方向へ一定の間隔をおいて整列配設した複数のスリーブホルダの両側にプラグ挿入用孔を各々形成し、片側のプラグ挿入用孔内には、手操作で脱着可能なプラグの係合突部と係合しかつバネ性を有する２個一対の係合片を軸方向へ同一向きに各々対設し、他側のプラグ挿入用孔内には、工具で脱着可能なプラグの係合用フランジと係合しかつバネ性を有する２個一対の係合片を軸方向へ同一向きに各々対設したものであって、前記工具で脱着可能なプラグと係合する２個一対の係合片を、工具と隣設する係合片及び隣設する係合片同志が相互に干渉しないようにプラグ抜去操作を可能とするよう軸回り方向へ所望角度ずらして形成したことを特徴とする多心光コネクタ。

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