JP3752167B2 - ホルムアルデヒド吸収剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホルムアルデヒド吸収剤に関し、詳しくはエピカテキンガレートおよび/またはエピガロカテキンガレートを有効成分とするホルムアルデヒド吸収剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、住宅が高気密高断熱化されるに伴い、様々な揮発性ガスによる室内空気汚染が重大な問題になっている。特に、ホルムアルデヒドは、建材、内装材、家具や暖房器具などから室内に放出され、目、鼻や喉など人体を刺激したり、アレルギー等の原因物質の1つと言われていることから、重要な室内空気汚染物質として注目されている。
このような現状に鑑み、最近住宅室内で発生するホルムアルデヒドの規制基準値が決められ、その対策が急務とされている。
【0003】
このようなホルムアルデヒドによる室内空気の汚染が注目される以前から、合板などの木質材料からホルムアルデヒドを除去する方法が様々提案されている。これらは、ホルムアルデヒドの反応性を利用したものであり、例えば亜硫酸ナトリウム,亜硫酸カルシウム,亜硫酸水素ナトリウム,ピロ亜硫酸カリウムなどの亜硫酸塩とホルムアルデヒドを反応させて除去する方法(特開昭49-66804号公報)、尿素,チオ尿素あるいはこれらの誘導体と亜硫酸塩の混合物を用いてホルムアルデヒドを除去する方法(特公昭51-19003号公報)やアゾジカルボンアミドおよびその分解促進剤を含有する処理剤を用いてアンモニアを発生させ、ホルムアルデヒドと反応させることによって除去する方法(特公昭59-15049号公報)等がある。
【0004】
また、ホルムアルデヒドと容易に反応する結合剤としては、上記のアミド類の他、クレゾール,キシレノール,レゾルシン,ピロガロール等のフェノール類、アルブミン,小麦粉,大豆などのタンパク質、メタノールアミン,エタノールアミンなどのアミン類、塩化アンモニウム,硫酸アンモニウム,リン酸アンモニウムなどのアンモニウム塩等が知られている。
しかし、これらを用いたホルムアルデヒド除去剤は、ホルムアルデヒドを十分に除去することができなかったり、揮発性の高いものでは、その使用量を間違えると、該除去剤による二次汚染を引き起こすという欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ホルムアルデヒドとの反応性に優れ、しかも人体に無害の物質を有効成分とし、室内や建築材料、家具自体等から放出されるホルムアルデヒドを吸収することができる資材を提供することにある。
本発明者らは、天然物の中から揮発性がなく、しかもホルムアルデヒドとの反応性が高い物質を検索すべく検討を重ねた。その過程で、従来から木材用接着剤として用いられているタンニン−ホルムアルデヒド縮重合体に着目した。タンニンはホルムアルデヒドと縮重合して樹脂を形成するが、このように高分子化しないでホルムアルデヒドと反応する物質を種々の植物抽出物の中から検索した結果、各種植物由来のポリフェノール類がホルムアルデヒドと反応することを見出した。すなわち、茶、ケブラチオ、ミモザ、リンゴ、ブドウおよびローズマリー由来の植物ポリフェノール類であるエピカテキンガレートやエピガロカテキンガレートが室温においてもホルムアルデヒドとの反応性が高いことを見出し、かかる知見に基づいて本発明に到達した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、エピカテキンガレートおよび/またはエピガロカテキンガレートを有効成分とするホルムアルデヒド吸収剤である。
【0007】
【発明の実施の形態】
ポリフェノールであるエピカテキンガレートやエピガロカテキンガレートは、主に緑茶に含まれており、茶の葉,茎,木部,樹皮,根,実,種子やこれらの混合物もしくはそれらの粉砕物から水、熱水、有機溶媒、含水有機溶媒あるいはこれらの混合物等により抽出することにより得られる。
【0008】
特に、茶由来のエピカテキンガレートやエピガロカテキンガレートは、茶生葉あるいはその乾燥物から水,熱水,有機溶媒,含水有機溶媒、これらの混合物等を用いて抽出することにより得られ、抽出物自体の他に、その精製物等があり、形態的には液体,固体(粉末を含む)の別を問わない。
茶抽出物の精製物に関しては、特公平1-44232 号公報、同2-12474 号公報、同2-22755 号公報、特開平4-20589 号公報、同5-260907号公報、同8-109178号公報などに記載された方法により製造することができ、例えば茶葉を上記の溶媒で抽出して得た抽出物を、有機溶媒分画や吸着樹脂などを用いて所望の程度に精製することができる。茶以外の植物から抽出する場合も、茶の場合と同様の方法により実施すればよい。
【0009】
本発明のホルムアルデヒド吸収剤は、各種の物品に添加してホルムアルデヒドの吸収に供することができ、その使用態様も様々である。例えば、エピカテキンガレートやエピガロカテキンガレートをシート形成材料、木質材料などの建築用材料もしくは家具用材料やフィルター等に含有させる際に、原料に含ませる他、直接含浸、塗布あるいは噴霧する。また、接着剤に対しては、調製時にこれらを混合して用いることもできる。
本発明において、シート状形成物とは、藺、七島藺、植物繊維、化学繊維、天然ゴム、合成樹脂、ガラス繊維およびこれらの混合物からなる厚さ0.01〜50mmの紙、畳表、ござ、板、織布、不織布、フィルム、シートを指し、建築用材料として用いるものとしては防水、防湿、気密を目的とした建装用シート、壁紙、ふすま紙などの壁装材・内装材、カーテン・カーペット、テーブルクロス、各種敷き紙、断熱材などがある。
また、木質材料としては木材、木材チップ、植物繊維を原料に用いた合板、化粧合板、パーティクルボード、ファイバーボード、チップボード、集成材、パネルなどがある。
【0010】
次に、接着剤とは、紙、織布、不織布、合成樹脂、金属、ガラス、木材、木質材料、グラスウール、ロックウール等に使用する建装用および木工用の接着剤、結合剤、糊などを指す。具体例を挙げれば、合板、パーティクルボード、家具、食器棚などの製造時や建物の建築時に使用される尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素・メラミン樹脂、アミノ・ホルムアルデヒド樹脂、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシノール・ホルムアルデヒド樹脂、アルキル・レゾルシノール樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニルエマルジョン系樹脂、酢酸ビニル溶剤系樹脂、アクリル系樹脂、合成ゴム系樹脂等の接着剤、結合剤や壁紙施工時に使用する澱粉系接着剤(糊)などがある。
また、本発明におけるフィルターとは、空気洗浄器、加湿器、換気扇、冷暖房器、掃除機、集塵機などに用いる不織布状の集塵フィルター、ヘパフィルターなどを意味し、その材質を問わない。
【0011】
エピカテキンガレートやエピガロカテキンガレートの使用量は、使用目的、材料の種類などを考慮して適宜決定すればよいが、例えばシート状形成物、木質材料およびフィルターに用いる場合は、材質とその厚さ、使用期間、使用場所等も考慮しなければならないが、通常は1〜1000g/m、好ましくは1〜500g/mが適当である。また、接着剤の場合も、その成分、使用場所や接着する対象物の材質、接着強度などを考慮する必要があるけれども、通常は0.05〜20%(w/w)、好ましくは0.1〜10%(w/w)が適当である。いずれの場合も、上限を超えて使用しても、それに見合う効果が期待できなかったり、コスト高となる。一方、下限未満であると、目的とする効果が十分には得られない。なお、必要に応じて、賦形剤、増量剤、その他の補助成分を適宜加えることもできる。
本発明のエピカテキンガレートやエピガロカテキンガレートは、安全性が高く、人体に対する副作用の心配がないので、各材料に対して可及的に多量を配合することにより、ホルムアルデヒドを捕捉する効果を長期間にわたり持続させることができる。
【0012】
【実施例】
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
製造例1
緑茶1Kgを90℃の熱水10Lに加え、ときどき撹拌しながら30分間抽出した。次いで、濾過により茶葉残渣を除去した後、抽出液を固形分が約30〜35%となるまで減圧下に濃縮した。
得られた緑茶抽出液を噴霧乾燥し、粉末状の緑茶抽出物(緑茶抽出物1)を約300g得た。
この緑茶抽出物1の茶ポリフェノール含量を、エチルガレートを標準とした酒石酸−鉄法により測定したところ32.8%であった。
【0013】
製造例2
製造例1で得られた緑茶抽出物1の150gを水500mlに溶かした。これに酢酸エチル300mlを加え、激しく撹拌した後、静置して酢酸エチル層を分離した。この操作をさらに続けて2回行い、合計3回の抽出操作で得られた酢酸エチル層を合一した。次いで、減圧下に酢酸エチルを留去した後、残渣を水に溶解させ、これを凍結乾燥により粉末化し、緑茶抽出物2(48g)を得た。このものについて、製造例1と同様にして茶ポリフェノール含量を調べたところ、60.3%であった。
【0014】
製造例3
インド産紅茶300gを90℃の熱水3Lに加え、ときどき撹拌しながら30分間抽出した。次いで、濾過により茶葉残渣を取り除き、抽出液を固形分が約30〜35%となるまで減圧下に濃縮した。得られた紅茶抽出液を噴霧乾燥し、粉末状の紅茶抽出物を約90g得た。この紅茶抽出物の茶ポリフェノール含量を、製造例1と同様の方法で調べたところ、29.4%であった。
【0015】
製造例4
中国産ウーロン茶300gを90℃の熱水3Lで、ときどき撹拌しながら30分間抽出した。続いて、濾過により茶葉残渣を取り除き、抽出液を固形分が約30〜35%となるまで減圧下に濃縮した。得られたウーロン茶抽出液を噴霧乾燥し、粉末状のウーロン茶抽出物を90g得た。このウーロン茶抽出物の茶ポリフェノール含量を、製造例1と同様にして測定したところ、28.4%であった。
【0016】
試験例1
上記製造例で得た緑茶抽出物1、緑茶抽出物2、紅茶抽出物およびウーロン茶抽出物並びに粉砕した煎茶、ミモザ抽出物(川村通商(株)製)、ケブラチオ抽出物(川村通商(株)製)、チェストナッツ抽出物(川村通商(株)製)、リンゴポリフェノール(ニッカウイスキー(株)製)、ブドウ種子抽出物(キッコーマン(株)製)およびローズマリー抽出物(田辺製薬(株)製)について、ホルムアルデヒドとの反応性を以下の手順により検討した。なお、製造例で得た試料以外のものについても、製造例1に示した方法と同様にしてポリフェノール含量を測定した。
【0017】
まず、各試料を植物ポリフェノールの最終濃度が300ppmとなるように水溶液に調製し、これにクエン酸−リン酸緩衝液(pH6.0)を加えて全量9mlとした。この溶液に、1000ppmのホルムアルデヒド溶液0.05mlを加えて十分に撹拌後、25℃で15分間反応を行った。
この反応液に、2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)の溶液(2.4mg/ml、30% HClO)1mlを加えて混合した後、メンブランフィルターで濾過した。得られた濾液のうち0.01mlを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて分析し、反応液中に残存するホルムアルデヒド量を測定した。この値から、ホルムアルデヒド減少率を求めた。
HPLCの測定条件は、カラムとしてカプセルパック AG-120 ODS S-5 (4.5× 250mm、資生堂(株)製)、移動相として50%アセトニトリル水溶液を用い、流速:1ml/min、カラム温度:40℃、検出:UV355nmにて行った。なお、対照として植物ポリフェノール類無添加の水溶液を用いた。結果を第1表に示す。
【0018】
表から明らかなように、緑茶抽出物1、緑茶抽出物2、紅茶抽出物、ウーロン茶抽出物および粉末緑茶では、ホルムアルデヒドの減少率が大きく、優れたホルムアルデヒド捕捉能があることが明らかになった。
また、ケブラチオ抽出物、ミモザ抽出物、リンゴ抽出物、ブドウ種子抽出物およびローズマリー抽出物においても、ホルムアルデヒドが減少したことからホルムアルデヒド捕捉能が認められた。
【0019】
【表1】
第 1 表
Figure 0003752167
【0020】
試験例2
製造例2で得た緑茶抽出物2の5%または10%水溶液を調製した。この水溶液40mlを濾紙(直径150mm、厚さ1mm)にまんべんなく含浸させた後、40℃で一晩乾燥させた。このとき、濾紙1枚に吸着した茶ポリフェノール類含量を測定したところ、5%水溶液では250mg、10%水溶液では580mgであった。
こうして得た緑茶抽出物を付着させた濾紙を用いて、ホルムアルデヒドの該濾紙への移行量を測定した。まず、デシケーター(内径180mm)に蒸留水200mlの入った結晶皿を入れ、上記で作製した濾紙5枚を重ならないように入れた。続いて、1%ホルムアルデヒド水溶液1mlを染み込ませた濾紙片1枚を、前記した5枚の濾紙と接触しないように入れて蓋をした。
この状態でデシケーターを20℃で24時間放置した後、蒸留水に移行したホルムアルデヒド量を次のようにして測定した。この蒸留水1mlに、実施例1で用いたDNPHのHClO溶液4mlおよびクエン酸−リン酸緩衝液(pH6.0)5mlを加えてよく撹拌した後、この溶液0.01mlを試料として用い、HPLC分析を行った。
対照として、1%ホルムアルデヒド水溶液を染み込ませた濾紙を用いた区(対照1)および緑茶抽出物の代わりに蒸留水を含浸させた濾紙5枚を用いた区(対照2)を設けて同様に実施した。なお、HPLCの条件は試験例1と同じである。結果を第2表に示す。
【0021】
【表2】
第 2 表
Figure 0003752167
【0022】
表から明らかなように、ホルムアルデヒドを染み込ませた濾紙(対照1)をデシケーター中に入れた場合と比較して、緑茶抽出物を付着させた濾紙を入れた場合は、該濾紙にホルムアルデヒドが吸着したために、ホルムアルデヒドの蒸留水への移行量は、5%緑茶抽出液付着濾紙で対照1の13%、10%緑茶抽出液付着濾紙では対照1の9.3%にまで抑制された。
【0023】
試験例3
蒸留水または10%緑茶抽出液を付着させた濾紙を用いて、試験例2と同様にしてホルムアルデヒドに曝した。その後、密閉したデシケーター中に20℃で3日間放置し、濾紙から放出されるホルムアルデヒド量を、試験例2と同様にHPLC分析により測定した。結果を第3表に示す。
表から明らかなように、蒸留水を付着させた濾紙の場合、一旦濾紙に付着したホルムアルデヒドが再放出されるのに対して、緑茶抽出物を付着させた濾紙の場合、吸着したホルムアルデヒドの再放出が殆どないことが分かった。
したがって、植物ポリフェノール類は優れたホルムアルデヒド捕捉能を有しており、しかも一旦吸着したホルムアルデヒドをそのまま保持し、再放出しない特性を有している。
【0024】
【表3】
第 3 表
Figure 0003752167
【0025】
試験例4
不織布(15×10cm、厚さ1mm)に、緑茶抽出物(商品名:ポリフェノン60、茶ポリフェノール含量60%であり、そのうちのエピガロカテキンガレートの含有量は31.2%(w/w)、エピカテキンガレートの含有量は8.8%(w/w)、三井農林(株)製)の水溶液を含浸させた後、40℃で一晩乾燥させた。このとき、不織布へ添着した茶ポリフェノール量を測定したところ、2.1g/mであった。
次に、デシケーター(内径180mm)の底部に蒸留水300mlの入った結晶皿を置いた。さらに、中板の上には1%ホルムアルデヒド水溶液1mlを染み込ませた濾紙(直径90mm)を置き、デシケーター蓋部から上記の不織布2枚を吊るした。この状態でデシケーターを20℃で24時間放置した後、蒸留水に移行したホルムアルデヒド量を試験例2と同様にHPLC分析で測定した。
さらに、ホルムアルデヒドを染み込ませた濾紙を除去した後、上記の不織布をデシケーター内にて20℃で24時間放置し、その間に不織布から蒸留水に移行したホルムアルデヒドを再度試験例2と同様に測定した。対照として、不織布を入れない区と茶ポリフェノールを添着させていない不織布を用いた区についても同様に試験を行った。結果を第4表に示す。
表から明らかなように、茶ポリフェノールを含浸させた不織布は、ホルムアルデヒドを吸収するだけでなく、吸収したホルムアルデヒドを再放出しないことが明らかとなった。
【0026】
【表4】
第 4 表
Figure 0003752167
【0027】
試験例5
ホルムアルデヒドを放出する合板(F2規格、5×10cm)10枚に、各種濃度の緑茶抽出物(商品名:ポリフェノンG、茶ポリフェノール含量は32〜33%であり、そのうちのエピガロカテキンガレートの含有量は15.1%(w/w)、エピカテキンガレートの含有量は2.7%(w/w)、三井農林(株)製、以下同じ)を塗布し、室温で90分間放置した。次に、デシケーター(内径180mm)の底部に300mlの蒸留水を入れた結晶皿を置き、中板上に上記の合板を置いた。この状態で、デシケーターを20℃で24時間放置した後、蒸留水に移行したホルムアルデヒド量を試験例2と同様にHPLC分析した。結果を第5表に示す。 表から明らかなように、合板からのホルムアルデヒドの放出量は、緑茶抽出物の塗布量が増加するに従って減少することが明らかとなった。さらに、緑茶抽出物の添加量が15g/m以上では、F1規格の合板に適合するレベル(放出量0.5ppm以下)まで減少した。
【0028】
【表5】
第 5 表
Figure 0003752167
【0029】
実施例1
各種ポリフェノールを10mMとなるように蒸留水またはメタノールに溶解し、これをポリフェノール溶液とした。このポリフェノール溶液1ml、1000ppmのホルムアルデヒド50μlおよびリン酸−クエン酸緩衝液(pH6.0)8mlを試験管に加えて攪拌した後、25℃で15分間放置した。
次に、試験例1で用いたDNPH溶液1mlを加えて混合した後、試験例1と同様にしてHPLCによりホルムアルデヒドを測定した。この値から、ホルムアルデヒド減少率を求めた。なお、ポリフェノールを溶解する際にメタノールを使用した場合には、ポリフェノール溶液1mlに、リン酸−クエン酸緩衝液(pH6.0)4mlおよびメタノール4mlを加え、蒸留水の場合と同様に測定を行った。結果を第6表に示す。
【0030】
【表6】
第 6 表
Figure 0003752167
【0031】
表から明らかなように、各種ポリフェノールのうちホルムアルデヒドの減少率は、フラバン−3−オール誘導体であるエピカテキンガレート(ECg)とエピガロカテキンガレート(EGCg)で高く、放出されたホルムアルデヒドの95%以上を捕捉した。
さらに、フラバン−3−オールであるエピガロカテキン(EGC)、エピカテキン(EC)、カテキン(C)もホルムアルデヒドの除去に有効であった。
これに対して、没食子酸,没食子酸メチル,没食子酸エチル,没食子酸プロピル,カテコール,ピロガロール等の他のポリフェノール類では、ホルムアルデヒドはほとんど減少しないか、減少してもその量は僅かであった。すなわち、ホルムアルデヒド捕捉作用をほとんど持たないことが明らかとなった。
このように、各種ポリフェノールの中でも、フラバン−3−オールおよびその誘導体、特にECgEGCgは、優れたホルムアルデヒド捕捉能を有することが明らかとなった。
【0032】
試験例6
ホルムアルデヒドを含まない畳床用ファイバーボード(15×15cm、厚さ1.5cm、三井農林(株)製)の両面に、種々の濃度の緑茶抽出物(商品名:ポリフェノンG、茶ポリフェノール含量32〜33%、三井農林(株)製)を塗布した。次に、デシケーター(内径240mm)の底部に蒸留水300mlを入れた結晶皿(直径12cm、高さ6cm)を置き、中板の上に上記の畳床用ファイバーボード2枚を置いた。さらに、3%ホルムアルデヒド溶液1mlを滴下した濾紙を入れたシャーレを中板の上に置き、デシケーターを密封した。
この状態で20℃にて24時間放置した後、蒸留水に移行したホルムアルデヒド量(吸収時)を試験例2と同様にHPLCにより測定した。
続いて、濾紙を入れたシャーレを取り除いた後、さらに蒸留水を新しいものに取り替え、再びデシケーターを密封し、20℃で96時間放置した。この間に畳床用ファイバーボードから蒸留水に移行したホルムアルデヒド量(放出時)を上記と同様に測定した。結果を第7表に示す。
表から明らかなように、茶ポリフェノールを塗布した畳床用ファイバーボードはホルムアルデヒドをよく吸収し、かつ一旦吸収したホルムアルデヒドを放出させない性質を有することが明らかとなった。なお、蒸留水へのホルムアルデヒドの移行量は、茶ポリフェノールの使用量に従って減少していた。
【0033】
【表7】
第 7 表
Figure 0003752167
【0034】
試験例7
市販メラミンユリア共縮合樹脂(商品名:MU−037、(株)ホーネンコーポレーション製)に、緑茶ポリフェノール(商品名:ポリフェノンG、茶ポリフェノール含量32〜33%、三井農林(株)製)を1%(w/w)添加したものを接着剤として用いて3プライ合板を作成し、試験例5と同様に蒸留水に移行したホルムアルデヒド量をHPLCにより測定した。対照として緑茶ポリフェノールを含まない接着剤を用いて合板を作成し、同様に試験した。なお、合板作成条件は次の通りである。
つき板:ラワン剤(厚さ:心材1.5mm、表面材1mm)
接着剤調製:主材に対し小麦粉3部および20%塩化アンモニウム溶液1部
接着剤塗布量:30g/尺
熱圧条件:120℃、7Kgf/cmで3分間
養生時間:開放状態で7〜10日間養生を行った後の合板を試験に使用
その結果、緑茶ポリフェノールを添加した接着剤を用いた合板の場合、ホルムアルデヒド濃度は10.0ppmであったのに対し、無添加の接着剤を用いた合板の場合は15.1ppmを示した。このことから、合板作成の際に用いる接着剤に茶ポリフェノールを添加することにより、合板から発生するホムアルデヒド量を減少できることが明らかとなった。
【0035】
試験例8
変性澱粉および合成樹脂を主成分とする市販壁紙用接着剤(商品名:ロリアンカベ紙のりA、(株)アサヒペン製)に、緑茶ポリフェノール(商品名:ポリフェノンG、茶ポリフェノール含量32〜33%、三井農林(株)製)が5%(w/w)となるように混合した。この接着剤3.4gをガラス板(15×15cm、厚さ2mm)の片面に塗布した後、10分間放置した。
デシケーター(内径240mm)の底部に蒸留水300mlを入れた結晶皿(直径12cm、高さ6cm)を置き、中板の上に接着剤を塗布したガラス板2枚を入れて密封し、20℃で24時間放置した。その後、蒸留水に移行したホルムルデヒド量を試験例2と同様にHPLCで測定した。なお、対照として緑茶ポリフェノールを添加しない接着剤についても同様に測定した。
この結果、緑茶ポリフェノール無添加の接着剤を用いた際のホルムアルデヒド放出量を100とした場合、緑茶ポリフェノールを添加した接着剤を用いた場合の放出量は36であった。
このことから、壁紙を接着する際の接着剤(糊)に、緑茶ポリフェノールを添加することにより、接着剤の放出するホルムアルデヒドを大幅に減少できることが明らかとなった。
【0036】
試験例9
15cm×15cmの大きさに切断した畳表の片面に、製造例1で得られた緑茶抽出物の水溶液を塗布し、乾燥させた。畳表に塗布する茶抽出物の量は、1畳(約1.7m)あたり38g、75g、150gとした。
次に、デシケーター(内径240mm)の底部に蒸留水300mlを入れた結晶皿(直径12cm、高さ6cm)を置き、2%ホルムアルデヒド水溶液1mlを染み込ませた濾紙(直径90mm)をシャーレに入れて中板の上に置き、デシケーター蓋部から上記の畳表2枚を吊るした。この状態でデシケーターを20℃で1日間放置した後、蒸留水に移行したホルムルデヒド量を試験例2と同様にHPLCで測定した。
さらに、ホルムアルデヒドを染み込ませた濾紙を除去した後、上記の畳表をデシケーター内にて20℃で1日間放置し、その間に畳表から蒸留水に移行したホルムアルデヒドを再度試験例2と同様に測定した。対照として、茶ポリフェノールを塗布していない畳表を用いた区についても同様に試験を行った。結果を第8表に示す。
表から明らかなように、緑茶抽出物を塗布した畳表は、ホルムアルデヒドを吸収するだけでなく、吸収したホルムアルデヒドを再放出しないことが明らかとなった。
【0037】
【表8】
第 8 表
Figure 0003752167
【0038】
【発明の効果】
本発明により、エピカテキンガレートおよび/またはエピガロカテキンガレートを有効成分とするホルムアルデヒド吸収剤が提供される。これを、建築用または家具用材料やフィルターなどに含有させることにより、これら自体から発生するホルムアルデヒドを吸収して外部への放出を抑制する他、その他の原因で室内等に放出されたホルムアルデヒドを吸収することができる。
その他、それ自体がホルムアルデヒドを発生しない材料に対しても、本発明に係るホルムアルデヒド吸収剤を配合することによって、周囲に何らかの原因で発生したホルムアルデヒドを効率よく吸収、除去することができる。
しかも、本発明は天然物に由来する化合物を有効成分としているため、人体に対する安全性も確保されており、建材、内装材等の各種材料や空気清浄器などの身の回りの製品に応用するのに非常に好適である。

Claims (1)

  1. エピカテキンガレートおよび/またはエピガロカテキンガレートを有効成分とするホルムアルデヒド吸収剤。
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