JP3751376B2 - ホースの口金取付け方法および装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、ゴムや合成樹脂からなるホースの端部に継手用の口金を取付けるための方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ゴムや合成樹脂からなるホースの端部に取付けられる継手用の口金として、図4に示すように金属製の内側スリーブ1と外側スリーブ2とからなり、この内側スリーブ1と外側スリーブ2との間にホース3の端部を挿入し、内側スリーブ1の径を拡張して内側スリーブ1と外側スリーブ2との間にホース3の端部を挟着するようにしたものが知られている。図4の例では、内側スリーブ1が外側スリーブ2とは別体に、かつ外側スリーブ2よりも長く作られ、内側スリーブ1のホース3に挿入される左半部(挿入部)1aの外面には断面鋸歯形の周方向突条が多数本設けられ、この挿入部1aの右側に径の拡大する円錐部1bを介して継手部1cが設けられている。また、外側スリーブ2は、上記の挿入部1aとほぼ等しい長さに形成されている。なお、ホース3は、ゴム製パイプ3aの外面に塩化ビニル樹脂製の補強用丸紐3bをらせん状に巻付けて構成されている。
【0003】
上記の内側スリーブ1の挿入部1aの径を拡張する手段として、内側スリーブ1を任意の手段で固定し、ホース3の内側にあらかじめ挿入した断面円形の拡管用治具4を該治具4に接続したロッド5を介し油圧シリンダ(図示されていない)で右方に引張って上記の拡管用治具4を内側スリーブ1に圧入する方法が知られている。しかしながら、この圧入方法は、拡管用治具4を引張るために非常に大きな力を必要とし、かつこの力が内側スリーブに対し軸方向に加わるため、シールド工法に使用するホースのように径が150mm程度になると上記の力が数十トンに達して内側スリーブ1が破損することがあった。また、上記の方法では内側スリーブの拡管による仕上がり径が拡管用治具4の外径のみで決まるため、ホースの内径にばらつきがあっても、そのばらつきに対応して内側スリーブ1の仕上がり径を微調整できず、そのため内外のスリーブ1、2によるホース3の端部の挟着力にバラツキが生じ易かった。
【0004】
また、図5に示すように、上記内側スリーブ1の内側に、複数個のセグメント6aからなり外面がほぼ円筒状に形成され内面が内側スリーブ1の先端側で径が拡大する円錐面に形成された筒型6を挿入し、この筒型6を任意の手段で固定し、その内側に上記の円錐面に対応するコーン形状の芯型7を挿入し、この芯型7をロッド8を介して油圧シリンダ(図示されていない)で軸方向に引張ることにより、筒型6を半径方向に移動させて内側スリーブ1の挿入部1aを拡管する方法が知られている。なお、筒型6の両端に設けた周方向溝に輪ゴムや無端に接続したコイルスプリング等の弾性リング9が装着され、筒型6を構成する複数個のセグメント6aを束ねている。また、この例では、内側スリーブ1の円錐部1bの外面にフランジ1dが、また外側スリーブ2の内面にフランジ2aがそれぞれ固定され、両フランジ1d、2aの係合により、ホース3の抜け出しを防ぐようになっている。
【0005】
この図5の筒型6を用いる方法は、筒型6および芯型7のテーパを小さくすることにより、芯型7に加える小さい軸方向力で筒型6に半径方向の大きい力を発生させ、これによって内側スリーブ1の挿入部1aを拡張することができ、そのため内側スリーブ1の破損を防ぐことができると共に、芯型7を引張る力を制御することにより、内側スリーブ1の拡管径をホース径のバラツキに応じて微調整し、スリーブ1、2によるホース3の挟着力を均一にすることができる。しかしながら、この方法は、テーパを小さくして芯型7に加える力を弱くすると、拡管終了後に油圧シリンダの油圧を零に戻すのみでは、芯型7が脱出せず、その脱出のためには大きな力が必要になり、筒型6の取り外しが困難になるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、従来の筒型と芯型を用いる方法を改良し、ホース用口金の内側スリーブを従来法と同程度の弱い力で拡管することができ、かつホース径のばらつきに応じて内側スリーブの拡管径を微調整することができ、しかも拡管終了後に筒型を内側スリーブから弱い力で容易に外すことが可能なホースの口金取付け方法および装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るホースの口金取付け方法は、ホース用口金の内側スリーブと外側スリーブとの間にホース端部を挿入し、内側スリーブのホース内面に接する部分を半径方向に拡張してホース端部を外側スリーブと内側スリーブとの間に挟着させるホースの口金取付け方法において、上記内側スリーブの内側に、複数個のセグメントで外面がほぼ円筒状に形成され内面が長さ方向の中間から両端に向かって径が拡大する錐面に形成された筒型を挿入し、この筒型の両側内面に該内面と等しいテーパを備えた錐状の芯型を圧入することを特徴とする。
【0008】
この発明の方法によれば、用いる筒型の一端側内面と他端側内面が反対向きの円錐面や角錐面等の錐面に形成され、それぞれに芯型が挿入されて互いに反対方向に進退するので、上記筒型両側の錐面のテーパをそれぞれ図5の筒型6のテーパと等しくすると、図5の場合の1/2の弱い軸方向力で芯型を筒型に圧入することができる。したがって、テーパを図5の筒型のテーパの2倍程度に大きくしても、図5の場合とほぼ等しい軸方向力で芯型を筒型に圧入することができ、そのため上記のテーパを適当な大きさに設定することにより、上記の圧入を容易にし、しかも拡管終了後の筒型の取り外しを容易にすることができる。実験によれば、上記テーパの大きさは1/2〜1/5、特に1/2.5〜1/3.5が好ましく、1/2よりも大きいと拡管の際の筒型に対する芯型の圧入が困難になり、1/5よりも小さいと、拡管終了後における筒型の取り外しが困難になる。
【0009】
一方、芯型の軸方向移動を筒型の半径方向移動に変換する点は従来の筒型を用いる方法と同じであるから、ホース径にバラツキがあっても、芯型に加える力で内側スリーブの拡管径を微調整することができる。なお、ホース用口金として、内側スリーブの外面に外側スリーブの一端が固定されたものを用いることが好ましく、この場合は内側スリーブに外側スリーブが一体化されるため、口金をホースに取付ける場合の取扱いが容易で、作業性が向上し、かつホースに内側スリーブと外側スリーブとからなる口金を取付けた後にホースが抜け出し難くなる。
【0010】
また、この発明に係るホースの口金取付け装置は、ホース用口金の内側スリーブと外側スリーブとの間にホース端部を挿入し、内側スリーブのホース内面に接する部分の内側に複数個のセグメントからなる円筒状の筒型を挿入し、この筒型を各セグメントの半径方向移動で拡張してホース端部を外側スリーブと内側スリーブとの間に挟着させるようにしたホースの口金取付け装置において、上記複数個のセグメントからなる筒型の内面を長さ方向の中間から両端に向かって径が拡大する錐面に形成し、この筒型の一端および他端の内面に該内面と等しいテーパを備えた錐状の芯型を対向状に挿入し、一方の芯型の固定状態で他方の芯型を軸方向に進退させるようにしたことを特徴とする。
【0011】
この装置において、筒型の外面にホース用口金の内側スリーブを被着し、この内側スリーブ上にホースの端部および外側スリーブを順に嵌装し、一方の芯型に対して他方の芯型を近接させると、一方の芯型および他方の芯型によって内側スリーブが押し広げられ、この内側スリーブと外側スリーブとの間にホース端部が挟着される。そして、挟着終了後に芯型に加えていた外力を弛めると、内側スリーブの収縮力が作用し、これが芯型の押出しを助けるため、芯型の取り外しが容易になる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1において、3は前記のホースであり、内径50〜200mmのゴム製パイプ3aの外面に塩化ビニル樹脂製の補強用丸紐3bをらせん状に巻付けて作られている。このホース3の端部に固定される継手用口金10は、内側スリーブ11と外側スリーブ12とからなり、内側スリーブ11は図5の例と同様に挿入部11a、円錐部11bおよび継手部11cからなり、外側スリーブ12は一端に円錐部12aを有し、この円錐部12aの端部が内側スリーブ11の円錐部11bの外面に溶接により接続され、内側スリーブ11と外側スリーブ12との間に上記のホース3の端部を挿入できる隙間が形成される。
【0013】
筒型13は、図2に示すように複数個、好ましくは6個ないし12個のセグメント14によって円筒状に構成され、内面は、図1に示すように長さ方向の中間から両端に向かって内径の拡大する円錐面14aに形成され、そのテーパが1/2〜1/5、好ましくは1/2.5〜1/3.5に設定される。そして、全数のセグメント14にまたがって、その両端部外面に設けた凹部14bにゴムやコイルスプリングからなる伸縮可能な弾性リング15が嵌められて上記のセグメント14を縮径方向に付勢して束ねている。
【0014】
上記筒型13の左右の円錐面14aに該円錐面14aと等しいテーパを有するコーン状の芯型16、17が対向状に挿入され、右側に位置する固定側芯型17の大径側に突設されているフランジ17aがフレーム(図示されていない)に固定され、左側に位置する可動側芯型16の小径側に接続されているロッド16aが上記固定側芯型17の中心孔17bを摺動自在に貫通して油圧シリンダ(図示されていない)のピストンロッドに連結される。
【0015】
上記の構造において、筒型13上に口金10の内側スリーブ11が継手部11cを先(図の右向き)にして嵌められ、この口金10の内側スリーブ11と外側スリーブ12との間にホース3の端部が挿入される。次いで、芯型16、17の駆動用油圧シリンダを駆動し、ロッド16aを介して可動側芯型16を引張り、筒型13内に圧入すると、左右の芯型16、17の筒型13に対する進入量が等しくなるように筒型13が右方に移動しながら半径方向に広がって内側スリーブ11の挿入部11aを拡張し、これによって内側スリーブ11と外側スリーブ12との間にホース3の端部が挟着される。図3に、ホース3に上記の口金10を取付けた状態が示される。
【0016】
この場合、ホース3の端部の挟着力は、油圧シリンダの油圧でコントロールできるため、油圧が所定値に達したとき拡管作業を停止することにより、ホース3の径にバラツキがあっても、このホース3に口金10を常に一定の挟着力で固定することができる。そして、油圧を零に戻すと、口金10の収縮力が筒型13を介して芯型16、17を押出すので、口金10を容易に外すことができる。なお、筒型13の内面および芯型16、17の外面を円錐面に形成した実施形態を示したが、上記の円錐面は、筒型13を構成するセグメント14の個数に応じて6角錐ないし12角錐等に置換することができる。
【0017】
【発明の効果】
上記のとおり、請求項1記載の発明によれば、用いる筒型内面の両側錐面のテーパを適当な大きさに設定することにより、内側スリーブの拡管時における芯型の挿入圧力を、筒型内面に一方向のテーパを付した従来方法と同じ程度にし、しかも拡管終了後の筒型の取り外しを上記の従来方法よりも容易にすることができる。また、ホース径にバラツキがあっても、上記の従来方法と同様に芯型に加える上記の挿入圧力で内側スリーブの拡管径を微調整することができ、かつ内側スリーブの固定に大きな力を必要としないため、拡管時に内側スリーブが破損することがない。
【0018】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明と同じ効果を奏すると共に、ホース用口金の内側スリーブと外側スリーブとが一体になっているため、この口金の取扱いが容易となり、ホース端部に口金を嵌装する際の作業性が向上し、かつホース端部に口金を固定した後で口金からホースが抜け難くなる。
【0019】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1、2に記載の発明を実施するために使用することができ、口金の内側スリーブを拡管した後に筒型から芯型を容易に脱出させ、口金を容易に抜き取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態を示す装置の断面図である。
【図2】筒型の側面図である。
【図3】ホース端部に口金を取付けた状態の断面図である。
【図4】第1の従来方法を説明する断面図である。
【図5】第2の従来方法を説明する断面図である。
【符号の説明】
3:ホース
10:口金
11:内側スリーブ
11a:挿入部
11b:円錐部
11c:継手部
12:外側スリーブ
12a:円錐部
13:筒型
14:セグメント
14a:円錐面
15:弾性リング
16、17:芯型
16a:ロッド
17a:フランジ
17b:中心孔

Claims (3)

  1. ホース用口金の内側スリーブと外側スリーブとの間にホース端部を挿入し、内側スリーブのホース内面に接する部分を半径方向に拡張してホース端部を外側スリーブと内側スリーブとの間に挟着させるホースの口金取付け方法において、上記内側スリーブの内側に、複数個のセグメントで外面がほぼ円筒状に形成され内面が長さ方向の中間から両端に向かって径が拡大する錐面に形成された筒型を挿入し、この筒型の両側内面に該内面と等しいテーパを備えた錐状の芯型を圧入することを特徴とするホースの口金取付け方法。
  2. ホース用口金として、内側スリーブの外面に外側スリーブの一端が固定されたものを用いる請求項1記載のホースの口金取付け方法。
  3. ホース用口金の内側スリーブと外側スリーブとの間にホース端部を挿入し、内側スリーブのホース内面に接する部分の内側に複数個のセグメントからなる円筒状の筒型を挿入し、この筒型を各セグメントの半径方向移動で拡張してホース端部を外側スリーブと内側スリーブとの間に挟着させるようにしたホースの口金取付け装置において、上記複数個のセグメントからなる筒型の内面を長さ方向の中間から両端に向かって径が拡大する錐面に形成し、この筒型の一端および他端の内面に該内面と等しいテーパを備えた錐状の芯型を対向状に挿入し、一方の芯型の固定状態で他方の芯型を軸方向に進退させるようにしたことを特徴とするホースの口金取付け装置。
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