JP3750188B2 - 電解加工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被加工物と電極との間に電解加工液を満たして両者間にパルス電流を供給することにより行う電解加工において、被加工物と電極との間のギャップ内に生ずるスラッジやガスなどの影響で部分的に生ずる加工量差を軽減するようにした電解加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電解加工は、被加工物と電極とを、硝酸ナトリュウムや塩化ナトリュウムなどの水溶液からなる電解加工液中でギャップをもって対向させ、この状態で被加工物と電極との間に直流の加工電流を間欠的に供給することによって加工(電解)するものである。
【0003】
このときの被加工物の加工のメカニズムは次のようなものである。すなわち、加工電流の供給開始時、被加工物の表面は、酸化被膜により覆われている。今、被加工物が鉄材であるとして説明を進めると、その鉄製被加工物は、加工電流の供給開始時、酸化被膜Fe2O3により覆われており、この酸化被膜は加工電流が供給されると、酸化被膜溶解反応
Fe2O3+6H+2e→2Fe2++ 3H2O
によって電解加工液中に溶解する。
そのうち、Fe2+は電解加工液の分解反応
H2O→OH−+H+
により生ずるOH−と反応してスラッジFe(OH)2となる。
【0004】
このようにして加工電流供給時の初期に被加工物の表面の酸化被膜が除去されると、被加工物の母材が表面に現れるので、次にその母材が金属イオンとなって電解加工液中に溶解し、上述したと同様にしてスラッジとなる。そして、加工電流の供給が停止すると、再び被加工物の表面に酸化被膜が生じ、これは次の加工電流の供給初期に生ずる上記酸化被膜溶解反応によって除去される、ということを繰り返すことによって被加工物の表面が加工されるのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
電解加工においては、加工電流は特開昭63−167000号公報、特開昭63−196321号公報、特開昭63−283818号公報に見られるように、一般に、一定強さの矩形波状の単パルスにして供給される。このとき、電解加工の加工量は被加工物を通過した電気量に比例するが(ファラデーの法則)、酸化被膜は被加工物の母材に比べて電気化学当量が大きいため、同一電気量で溶解する酸化被膜の量と被加工物の母材の量とを比較すると、酸化被膜の方が母材よりも小さい。このような事情を考慮して、加工電流として供給される矩形波状のパルス電流は、被加工物の単位面積当たりに流れる電流(電流密度)がパルス電流の供給期間の前半で酸化被膜を溶解除去し得る電気量以上となる強さに定められている。
【0006】
ところで、電解加工では、前述の加工メカニズムから理解されるように、被加工物と電極との間に存在する電解加工液中でスラッジとガスが発生する。このスラッジやガスはパルス電流の休止期間中に、被加工物と電極との間のギャップに供給される新鮮な電解加工液によって除去される。しかしながら、パルス電流の供給期間中はそのような新鮮な電解加工液の供給がないため、パルス電流の供給中に行われる電解は被加工物と電極との間にスラッジやガスが発生する環境下で進行されることとなる。
【0007】
すると、被加工物と電極との間のギャップ内に満たされている電解加工液はスラッジ、ガスの発生によって体積増加し、この体積増加により、図11に矢印Aで示すように、被加工物1と電極2との間のギャップ内に存在する電解加工液が電極2の中央部から端部に向かう流れを生ずるようになる。この電解加工液の流れは電極2の端部付近で最も速く、中央部に近付くに従って遅くなり、中央部ではほとんど流れを生ぜず、停滞した状態となる。
【0008】
このような状況下において、スラッジやガスの排出性を考えると、電解加工液の流れの最も速い電極2の端部ではその排出は良好に行われる。しかしながら、電解加工液の流れが生じ難い電極2の中央部では、排出性が悪く、スラッジやガスは停滞し勝ちとなる。そして、これらスラッジやガスは電気抵抗が大きいため、被加工物1と電極2との間の電気抵抗はスラッジやガスが停滞する電極2の中央部では大きく、電極の端部に向かって次第に小さくなる状態が生ずる。
【0009】
このように、被加工物1と電極2との間の電気抵抗が電極2の中央部と端部との間で差を生ずると、被加工物1を通過する電気量が電極2の端部から中央部に向かって小さくなる結果、図11に示す被加工物1の被加工面1aの加工量が電極2の中央部に向かうに従って少なくなり、被加工面1aがうねりδを生じた中膨らみの形状になり、加工精度が悪くなってしまう。
【0010】
かかる不具合を解消するために、矩形波状のパルス電流の振幅(電流強さ)を小さくしてスラッジやガスの発生量を少なくし、これによってスラッジやガスの不均一な分布を軽減することが考えられる。しかし、これでは特に条件の悪い電極中央部で酸化被膜を完全に溶解できなくなる場合が生じ、やはり加工精度の低下を招く。
【0011】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、被膜を部分的に残すことなく溶解除去できると共に、スラッジやガスの不均一な分布を軽減して被加工面を精度良く加工できる電解加工方法を提供するにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明によれば、加工電流であるパルス電流により供給される電気量が高低変化するので、スラッジ、ガスの排出性が悪い部分でも、高電気量供給時に被加工物の表面の酸化被膜の溶解にとって必要な電気量が流れる。このため、酸化被膜が残ることを防止しつつ母材を溶解できる。そして、パルス電流は低電気量を供給する時期を有しているので、全体としての電気量が減少し、この結果、パルス電流の供給中に発生するスラッジやガスの量が少なくなる。このため、被加工物と電極との間のギャップに満たされている電解加工液がスラッジやガスの発生により体積増加して流れを生じても、その体積増加の程度は少ないから、最も速い流れとなる電極の端部でもその流速は低い。以上のことから、電解加工液が最も速く流れる電極の端部と流れをほとんど生じない電極の中央部との流速差は小さくなり、電極の端部と中央部との間でのスラッジやガスの存在量格差が軽減されるので、被加工面の各部を通る電気量が均一化され、被加工面をうねりの少ない状態に精度良く加工できる。
このように、電解加工液中にスラッジやガスが余り含まれていない時期に酸化被膜の溶解が行われるので、酸化被膜の溶解除去をより確実に行うことができる。また、その後の被加工物の母材の溶解も供給電気量が低い状態で行われるので、酸化被膜よりも溶解し易い母材の溶解量も抑制された状態で行われ、精度のよい加工を行うことができる。
【0013】
請求項2記載の発明では、パルス電流が停止されているときに、前記被加工物と前記電極との間の前記ギャップに前記電解加工液を供給するので、ギャップ内のスラッジやガスを排除できる。
請求項3記載の発明では、上述のような供給電気量が高低変化するパルス電流を、単パルスの組み合わせにより容易に得ることができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、パルス電流を停止させることなく、当該パルス電流によって供給される電気量を高低変化させることと、その後に前記パルス電流を停止させることとを繰り返し行うようにしたものである。
【0015】
請求項5記載の発明は、パルス電流が停止されているとき、前記被加工物と前記電極との間の前記ギャップを拡大するようにしたものである。
【0016】
請求項6記載の発明では、パルス電流が高電気量を供給した後、低電気量を供給するように変化すると共に、被加工物と電極との間のギャップを中央部よりも端部の方が大きくなるようにしたので、被加工物全体に一層均一な電気量を供給でき、一層精度の良い加工を行うことができる。
【0017】
請求項7記載の発明では、パルス電流が高電気量を供給した後、低電気量を供給するように変化すると共に、被加工物と電極との間のギャップを封止部材で封止するようにしたので、被加工物全体に一層均一な電気量を供給でき、一層精度の良い加工を行うことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
図1〜図4は本発明の第1実施例を示す。図2に示すように、電解加工装置11は、電解加工液タンク12に循環路13を介して連結された加工槽14、上下動可能なテーブル15、このテーブル15に対して上下動可能な加工ヘッド16を備えている。上記テーブル15は電気絶縁性の高いセラミックスなどにより、水平面上で直交2方向に移動可能なX−Yテーブルとして構成されており、このテーブル15には被加工物、例えば熱処理された特殊鋼により所望の形状に形成された金型17が固定される。
【0019】
この金型17に対し、加工ヘッド16には金型17の被加工面である凹部17aの内面に合った形状の電極面18aを有した電極18が固定される。そして、テーブル15のX,Y方向の移動により、金型17の凹部17aと電極18との位置合わせがなされ、加工ヘッド16の下降により、電極18が金型17の凹部17a内に侵入するようになっている。
【0020】
金型17と電極18とは加工電源装置19の正負の両出力端子に接続されている。この加工電源装置19は図3に示すように、直流電源20、充放電部21、充放電制御部22を備え、充放電部21は充放電制御部22により、直流電源20から直流電流の供給を受けて充電する行程と充電により蓄えた電荷を直流のパルス電流(加工電流)として金型17から電極18へと流す行程とを繰り返し行うように制御される。
【0021】
上記加工電流としてのパルス電流は金型17と電極18との間のギャップ内に硝酸ナトリウムや塩化ナトリウムなどの水溶液からなる電解加工液が満たされた状態で供給される。このために、電解加工に際しては、タンク12内の電解加工液が循環路13に設けられたポンプ23によって加工槽14内に供給され、金型17と電極18とは加工槽14内に溜められた電解加工液中に浸漬される。そして、電解加工中、加工槽12内に溜められた電解加工液はポンプ23により上記循環路13を介して循環され、その循環途中でフィルタ24によってスラッジなどが除去されるようになっている。
【0022】
一方、電解加工装置11を制御する制御装置25は図2に示すように、前記加工電源装置19を制御する加工条件制御部26、前記加工ヘッド16の駆動モータを制御する駆動制御部27、前記ポンプ23およびこのポンプ23から圧送されてくる電解加工液を金型17と電極18との間のギャップに供給する電磁弁(図示せず)を制御する電解加工液制御部28を備えており、そのうち、加工条件制御部26および駆動制御部27には入力装置29から被加工物の材質、被加工面の表面積などのデータが入力される。
【0023】
加工条件制御部26は入力装置29からの入力データに基づいて、パルス電流の強さ、パルス電流の供給回数などの加工条件を設定する。駆動制御部27は入力装置29からの入力データに基づいて、金型17の加工進行による加工ヘッド16の間欠的な下降動作量などを設定し、加工条件制御部26からの信号によりパルス電流の1回供給毎に、或いは数回供給毎に、加工ヘッド16を一旦上昇させて金型17と電極18との間のスラッジやガスなどが排除され易くした後、加工進行に応じた位置まで下降動作させるようになっている。また、電解加工液制御部28は加工条件制御部26からの信号によりパルス電流の供給停止直後から供給開始直前までの間、前述した電磁弁を開動作させて電解加工液を金型17と電極18との間のギャップ内に供給するように制御する。なお、ポンプ23は電解加工中、運転状態のままにされている。
【0024】
さて、加工条件制御部26はCPU30とパルス発生部31を備えており、CPU30は間欠的に制御信号を出力し、パルス発生部31はその制御信号が与えられる毎に図1(a)に示す2段の階段状パルス信号(電圧)Spを加工電源装置19の充放電制御部22に出力するようになっている。
【0025】
一方、充放電部21は例えば2つの充電器を有し、充放電制御部22はパルス発生部31から与えられるパルス信号Spのうち、高電圧部分Sp1 に同期して充放電部21の一方の充電器から同図(b)にIp1 で示す高電流の矩形波状パルス電流を一定時間t1 流し、次にパルス信号Spのうち、低電圧部分Sp2 に同期して充放電部21の他方の充電器からIp2 で示す低電流の矩形波状パルス電流Ip2 を一定時間t2 、例えば上記t1 と同一時間流す。この結果、加工電流たるパルス電流Ipは高電気量(単位時間当り)の矩形波状単パルス電流Ip1 と低電気量(単位時間当り)の矩形波状単パルス電流Ip2 とを合わせた階段状の電流波形となる。
【0026】
ここで、上記パルス電流Ipのうち、前期の単パルス電流Ip1 によって供給される電気量は金型17の凹部17aの内面の生じた酸化被膜を溶解し得る程度に大きく設定され、後期の単パルス電流Ip2 によって供給される電気量はそれよりも小さく、金型17の母材を適当量溶解させるに足る程度の電気量に設定されている。
【0027】
次に上記構成の電解加工装置11による電解加工方法を説明する。
金型17の仕上げ加工を行うべく、予め所望形状に形成された金型17をテーブル15に固定すると共に、加工ヘッド16の下端に電極18を固定し、加工ヘッド16を下降させて電極面18aを金型17の凹部17a内面に所定のギャップをもって対向させる。この状態で金型17と電極18とを一体的に加工槽14内に下降させ、ポンプ23を駆動して電解加工液を加工槽14内に供給し、金型17と電極18を電解加工液中に浸漬する。この状態で電解加工が開始される。
【0028】
この電解加工は加工条件制御部26による制御下で、加工電源装置19により金型17から電極18に流れる図1(b)に示すパルス電流Ipを間欠的に供給することによって行われる。ここで、1つのパルス電流Ipが供給される場合、そのパルス電流Ipの供給期間の前期では高い電気量(高電流)が供給され、後期ではそれよりも低い電気量(低電流)が供給される。
【0029】
そして、高電気量が供給される前期では、金型17の凹部17a表面の酸化被膜が電解加工液中に溶解する。これにより、金型17の凹部17a表面の酸化被膜が除去されて金型17の母材が露出する状態となる。この後、パルス電流Ipが高電気量供給状態Ip1 から低電気量供給状態Ip2 に変化し、金型17の母材の溶解が行われる。
【0030】
1つのパルス電流Ipの供給が停止すると、電極18が若干上昇して金型17とのギャップが拡大する。この状態で電解加工液を噴射する電磁弁が開かれ、ポンプ23から圧送されてくる電解加工液が金型17と電極18とのギャップに供給され、当該ギャップ内のスラッジやガスなどが排出される。そして、次のパルス電流Ipが供給されるまでに、電磁弁が閉じられると共に、電極18が下降して金型17との間のギャップを小とする。そして、次のパルス電流Ipが供給され、このパルス電流Ipにより、パルス電流Ipの供給停止時に金型17の凹部17a表面に付着した酸化被膜が溶解すると共に、金型17の凹部17a表面に露出した母材が溶解する。なお、電磁弁の開期間を図1(c)に示した。
【0031】
ところで、1つのパルス電流Ipの供給期間において、酸化被膜が溶解した後の金型17の母材が溶解する後期では、供給される電気量が低くなるため、金型17と電極18との間のギャップに満たされている電解加工液中で発生するスラッジやガスの量は少なくなる。もちろん、高電気量が供給される前期も、その電気量のほとんどは電気化学当量の大なる酸化被膜の溶解に費やされるため、スラッジやガスの発生量はそれ程多くはない。
【0032】
このため、パルス電流Ipの供給時、ギャップ内の電解加工液の体積増加程度は少なくなり、電極18の端部での電解加工液の流れも比較的緩やかなものとなる。この結果、電極18の中央部で電解加工液が停滞し勝ちであっても、電極18の中央部と端部の間でのスラッジやガスの量に余り大きな格差が生じなくなる。このため、金型17の被加工面の各部を通過する電気量、ひいては金型17の母材の溶解量(加工量)が電極18の中央部分と周縁部分との間で差をあまり生じなくなり、金型17の被加工面である凹部17a内面をうねりの少ない状態に精度良く加工することができる。
【0033】
図4は、従来の矩形波状の単パルス電流を供給した場合と、本発明の階段状パルスIpを供給する場合とで、被加工面のうねりの大小を比較実験した結果を示すものである。同図から明らかなように、本発明による方法が被加工面のうねりを抑制する上で優れていることが理解される。
【0034】
なお、パルス電流Ipとしては、上述のような2段の階段状波形のものに限られず、図5に示すように単位時間当りの電気量(電流強さ)の異なる3つ、或いはそれ以上の矩形波状の単パルス電流を組み合わせて3段、或いはそれ以上の多段化された階段状波形のものであっても良い。また、組み合わせるパルス電流の波形としては、矩形波に限られず、図6に示すようにのこぎり波と矩形波との組み合わせにより形成するようにしても良い。ちなみに、図5および図6のパルス電流ではt1 の高電気量供給時に酸化被膜を溶解させ、t2 の低電気量供給時に母材を溶解させるものである。
また、電気量が高低変化するパルス電流は、低電気量のパルス電流(パルス幅大)に低電気量のパルス電流(パルス幅小)を重畳して得るようにしても良い。
【0035】
図7は本発明の第2実施例を示すものである。これは、金型32の被加工面である凹部32aの内面のうち、底面が例えば平坦であるのに対し、電極33は下端面の端部が例えば円弧面33aに形成されいて金型32の凹部32aの底面との間のギャップが電極33の中央部から端部に向かって次第に大きくなるように構成したものである。
【0036】
この構成において、加工電流として酸化被膜を溶解する電気量以上となる一定強さの矩形波状のパルス電流を供給すると、そのパルス電流の供給初期に酸化被膜が溶解し、次いで金型32の母材が溶解する。このとき、酸化被膜の溶解および母材の溶解により金型32と電極33との間のギャップに満たされている電解加工液中にスラッジやガスが発生する。このスラッジやガスの発生により上記ギャップ内の電解加工液が体積増加して電極33の中央部から端部に向かう流れを生ずる。
【0037】
ところが、本実施例では、金型32と電極33とのギャップは、電解加工液の流れによってスラッジやガスが排出され易い電極33の端部側の方が電極33の中央部側よりも大きくなっているため、金型32と電極33との間の電気抵抗は電極33の中央部から端部まで均一化される傾向となり、パルス電流の供給開始時から終了時まで金型32の被加工面を流れる電気量ひいては加工量が各部均一化されるようになって、うねりの少ない精度の良い加工面に仕上げることができる。
【0038】
本発明者はこの実施例の方法の効果を確認するために、図8(a)に示す本発明の電極(下端面の端部を幅2mm、高さ0.1mmだけ切欠いてある)と同図(b)に示す従来の電極(切欠なし)を用いて金型の円形穴の内面を電解加工して同円形穴の底面のうねりの大小を比較実験した。この実験結果を図9に示すが、同図から明らかなように本実施例による加工方法の方がうねりを抑制する上で優れ、精度良く加工できることが理解される。
【0039】
この実施例において、金型32と電極33との間に供給するパルス電流は、上記第1実施例で説明した図1のような波形、或いは図5、図6で説明したような波形のものであっても良く、このように、パルス電流により供給される電気量が大小異なるようにした場合には、より一層うねり少ない精度の良い加工面に仕上げることができる。
なお、電極33の下端面を円錐面状に形成し、金型32と電極33との間のギャップが電極33の中央部から端部に向かって次第に増大するように構成することがより好ましい。
【0040】
図10は本発明の第3実施例を示す。これは、電極34に電気絶縁性に優れた材料で形成した封止部材35を設け、電極34と金型36との間のギャップの上端を封止するようにしたものである。この場合、電極34は封止部材35に対して摺動できるようになっており、加工電流の供給停止時に上記ギャップ内に電解加工液を供給して当該ギャップ内のスラッジやガスを除去するために電極34が上昇する際には、封止部材35は電極34と共に上昇してギャップの封止を解き、電極34が加工された量だけ下がる場合には、封止部材35を金型36に当接させたまま電極34だけが単独で下降できるように構成されている。
【0041】
このように構成した本実施例では、パルス電流の供給時、ギャップ内の電解加工液中にスラッジやガスが生じても、ギャップが封止部材36によって封止されているので、当該ギャップ内の電解加工液が流動することがなく、スラッジやガスはギャップの各部において均等に存在する状態で電解されることとなる。このため、加工面はうねりの少ない高精度に加工されるようになる。
【0042】
この実施例においても、パルス電流は、上記第1実施例で説明した図1、図5および図6のような波形のパルス電流とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示し、パルス信号、パルス電流、電磁弁の開閉関係のタイムチャート
【図2】電解加工装置の概略構成をその制御装置と共に示す断面図
【図3】加工条件制御装置と加工電源装置との関係を示すブロック図
【図4】実験結果を示す図
【図5】パルス電流の他の波形図
【図6】パルス電流の更に異なる他の波形図
【図7】本発明の第2実施例を示す金型と電極の断面図
【図8】実験に使用した電極を従来の電極と共に示す断面図
【図9】図4相当図
【図10】本発明の第3実施例を示す図7相当図
【図11】従来の問題点を説明するための断面図
【符号の説明】
図中、11は電解加工装置、15はテーブル、16は加工ヘッド、17は金型(被加工物)、18は電極、32は金型(被加工物)、33,34は電極、35は封止部材、36は金型(被加工物)である。
Claims (7)
- 被加工物と電極を対向させ、両者間のギャップに電解加工液を満たした状態で前記被加工物と電極との間にパルス電流を供給して被加工物を加工する電解加工において、
前記パルス電流により供給される電気量を、前記被加工物の母材表面の被膜を溶解し得る程度の高電気量とした後、当該パルス電流を停止させることなく前記被加工物の母材を溶解するに足る程度の低電気量に変化させ、
その後、前記パルス電流を停止させるようにしてなる電解加工方法。 - 前記パルス電流が停止されているときに、前記被加工物と電極との間のギャップに前記電解加工液を供給することを特徴とする請求項1記載の電解加工方法。
- 前記パルス電流は、高電気量の単パルスと、それよりも低電気量の単パルスを合わせて形成されることを特徴とする請求項1または2記載の電解加工方法。
- 前記パルス電流を停止させることなく、当該パルス電流によって供給される電気量を高低変化させることと、その後に前記パルス電流を停止させることとを繰り返し行うようにしてなる請求項1ないし3のいずれかに記載の電解加工方法。
- 前記パルス電流が停止されているとき、前記被加工物と電極との間のギャップを拡大するようにしてなる請求項2記載の電解加工方法。
- 前記被加工物と電極との間のギャップを、前記電極の中央部よりも端部の方が大きくなるようにして加工することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の電解加工方法。
- 前記被加工物と電極との間に封止部材を設け、この封止部材により前記被加工物と電極との間の前記ギャップを封止した状態で加工することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の電解加工方法。
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