JP4529802B2 - 微細加工方法及び微細加工装置 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば射出成形やプレス成形に用いる金型の製造における微細加工方法及び微細加工装置に関するものである。
近年の電子機器の高密度化、小型化により、微細加工に対する要請が大きくなっている。特にセンサー、アクチュエータの集積化、超小型化が重要になっている。例えば、光磁気ヘッド用のマイクロレンズでは、数μmから数百μm、主として十数μmから数十μm程度の三次元的な微細加工が要求される。このため、微細な形状を持つ電子部品を作るために、金型の製造に対する微細加工技術が必要とされている。従来、金型の加工技術として、切削や研削、研磨などの機械加工、放電加工、電解研磨加工が知られている。中でも、金型の微細加工方法として、加工寸法、加工精度に優れている放電加工による方法が広く用いられている。型彫り加工の放電加工は、放電現象を利用し、数μmから十数μm離した電極と被加工物の間でパルス性アーク放電による絶縁破壊の際に生じる電気火花(スパーク)によって被加工物から導電性物質を除去するもので、一般の機械加工が困難な材質や複雑な形状の加工に使用されている。
しかしながら、放電加工においては加工の際に生じる加工屑(スラッジ)が被加工物の加工精度を低下させてしまうという問題があった。加工中に発生するスラッジが絶縁性の加工液中に浮遊して電極と被加工物の間に介在すると、スラッジと電極の間で二次放電が生じるため、放電が一部に偏在してしまい所望の形状に加工することができない。また、この現象が更に進むと異常放電が発生する場合もある。このため、被加工物の加工精度の低下のみならず、加工面粗度の劣化や加工速度の低下も引き起こしてしまう。これらの問題を解決するために、超音波振動により加工液を流動させ、スラッジを加工部分より除去する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−337026号公報(第3頁から第4頁、図4)
従来の放電加工を用いた微細加工方法においては、微細度は加工電極の寸法や加工電極と被加工物との間の距離とその制御の精度に依存する。従来の放電加工では、加工電極の最小の大きさが50μm径程度であり、65μm程度の穴あけ加工は可能である。しかしながら、放電加工においては液中でのアーク現象による熱的溶融・除去作用を利用しているため、加工面には変質層や欠陥が発生する。変質層の厚さは20μmから50μmにも達し、この変質層内にはピットやクラックがある。このため金型の成形加工時の熱変形によって、金型の欠損、割れが生じる可能性があった。
上述した変質層を除去するにはショットブラスト等による研磨が用いられるが、変質層の除去が必要であるため、加工精度は低下し、微細で複雑な形状の金型を作ることが困難であるという問題があった。
この発明は、数μmから数百μm、主として十数μmから数十μmの微細な加工が可能な金型の微細加工方法及び微細加工装置を提供することを目的としている。
本発明の微細加工方法は、金属被加工物に金属酸化膜を形成する工程と、
陽電極上に載置された前記金属被加工物と前記金属酸化膜の加工部位に近接して配設され、先端部以外が絶縁被覆されたプローブ電極とを電解液中に配置し、前記プローブ電極に電圧パルスを印加して、前記金属酸化膜の電位を不動態溶解電位にして、かつ、前記電解液と前記金属酸化膜とを化学反応させ、前記金属酸化膜の所定の部分を除去する工程と、
前記金属酸化膜が除去され露出された前記金属被加工物の部位のみを溶解する工程と、
を備えた微細加工方法において、前記金属酸化膜をエッチングマスクとして使用することを特徴とするものである。
この発明によれば、電気化学反応を利用した加工方法を用いて、金属被加工物の表面に形成した金属酸化膜を微細加工し、エッチングマスクとして利用しているため、金属被加工物の加工時に電解液の拡散の影響を受けず、数μmから数百μmの微細な加工が可能になる。
この発明の実施の形態として、微細加工装置を用いて、金属被加工物として例えば鉄(Fe)金型の型彫り加工の実施例に基づき図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1における微細加工装置の略斜視断面図を示している。図1において、X−Y軸方向に移動可能なステージ1上には、容器2が固定されており、この容器2の中には陽電極3が配置され、この陽電極3上には金属被加工物4であるFe金型材4が載置されている。容器2には電解液5が満たされており、Fe金型材4の表面の近傍には、陰電極6が配置され、さらに、Fe金型材4表面上には、近接してプローブ電極7が配設され、このプローブ電極7は、先端部を残して絶縁被覆8で保護されている。また、プローブ電極7には、Z軸方向に移動できるように駆動装置9が取付けられている。電源10と陽電極3、陰電極6及びプローブ電極7とは導電線11、12及び13により、それぞれ電気的に接続されている。容器2の電解液5中には、参照電極14が配置されており、その一端には電位計測器15が取付けられている。ステージ1、プローブ電極7の位置決め、プローブ電極7と陽電極3間及び陽電極3と陰電極6との間に印加する電圧を制御する手段は、駆動装置9、電源10および電位計測器15が信号線16、17、18及び19を介して、制御装置20によりに構成されている。
次に、実施の形態1における微細加工方法の原理について、図1を参照して説明する。図2は、電解液5中で電位を変化させた場合にFe金型材4の表面における電位−電流特性を示すものである。まず、図2を用いて、電解液中で電圧が印加されたFe金型材4の表面に見られる電気化学現象について説明する。
ここでは、参照電極14と電位計測器15を用いてFe金型材4表面の電位を測定し、それに対応した電圧を印加した結果を次に説明する。図2においては、横軸は電位Vを、縦軸は電流Iを対数表示したものを表わしており、電位Vは参照電極14を基準にしている。なお、図2中のSHEは標準水素電位を表わす。
ここでは、電解液5としては、1L(リットル)の水にホウ酸(HBO)を16.7g、ホウ砂(Na・10HO)を2.86g溶かしたもので、pH7.2の水溶液とした実施例について説明する。容器2の電解液5中に金属被加工物4であるFe金型材4を陽電極3の上に載せ、陰電極6との間に印加する電圧を増加させた場合の電位−電流特性22は、3つの領域に分けられる。
まず、第一の領域である電位Va(本実施例では、−0.2V)までは、活性溶解領域23と呼ばれる領域で、電位Vの増加とともに電流Iが増加し、Fe金型材4からFeイオンが電解液5により溶解される。この状態でのFe金型材4の表面電位を活性溶解電位と呼ぶ。次に、第二の領域である電位VaからVbの間は、不動態形成領域24と呼ばれる領域で、電位Vが増加しても電流Iがあまり流れず一定の値となる状態であり、この領域では、Feは電解液5で溶解されず、Fe金型材4表面に不動態膜であるFeの酸化膜Fe(三二酸化鉄)膜21が形成される。この状態におけるFe金型材4の表面電位を不動態形成電位と呼ぶ。さらに、第三の領域である電位Vb(本実施例では、1.3V)以上は、不動態溶解領域25と呼ばれる領域で、電位Vを増加させると、再び電流Iが急激に増加し、Fe金型材4やFe膜21を溶解する状態になる。この状態でのFe金型材4の表面電位を不動態溶解電位と呼ぶ。
上述の現象は、電圧印加による電解液5とFeとの化学反応により起こる。電流値は電気化学反応速度に対応しており、電流値が大きいほど、溶解速度が大きいことを示す。なお、Fe金型材4以外の金属材料についても同様の現象が起こる。ここで、電位計測器15は参照電極14が検出した電位信号を処理し、信号線19を通して制御装置20に送るものである。参照電極14としては、電気化学の分野で一般に用いられる代表的なSCE(飽和カロメル電極)やAg(銀)−AgCl(塩化銀)電極を用いる。
図3は、実施の形態1における微細加工方法の工程を説明する略断面図を示す。
図2で説明した電気化学反応を利用し、図3に示すFe金型材4に微細な溝加工を行う実施の形態1における微細加工方法の実施例と微細加工装置の動作について、図1の微細加工装置および図4に示す電解液中における電位−電流特性を参照して説明する。
まず、図3(a)に示す第一の工程では、Fe金型材4を電解液5が満たされた容器2に入れ、陽電極3の上に載置する(図3では、陽電極3、Fe金型材4、プローブ電極7、Fe膜21のみを表示する)。陰電極6と陽電極3との間に電源10から導電線11、12を通して、Fe金型材4の表面にかかる電位Vを図4で示す不動態形成領域24となる電位Vc(例えば、0.7Vとする)として、Fe金型材4表面を不動態形成電位の状態で保持する。この状態では、Fe金型材4表面の近傍の電解液5のみが分極されているため、Feの溶解は起こらず、電気化学反応によりFe金型材4表面に金属酸化膜であるFe膜21が反応生成される。(1)から(3)式にFe膜21が生成される反応式を示す。
Fe→Fe3++3e (1)
O→2H+O2− (2)
2Fe+3HO→Fe+6H+6e (3)
次に、図3(b)に示す第二の工程では、駆動装置9を操作して、先端が12μm径のプローブ電極7をFe膜21が形成されたFe金型材4の表面に対して約1μmの距離に近接させ、電源10からプローブ電極7と陽電極3との間に図4で示す電圧パルス26を印加する。パルス電圧を不動態溶解領域25となるVp(例えば、1Vとする)として、Fe金型材4の表面電位を不動態溶解電位にすると、プローブ電極7の先端部分が近接するFe膜21の部分のみが溶解除去され、Fe膜除去部28が形成される。(4)式にFe膜21が溶解される反応式を示す。
Fe+3H→2Fe3++3HO (4)
続いて、図3(c)に示す第三の工程では、さらに電源10からプローブ電極7と陽電極3との間に図4で示す電圧パルス26を印加する。このとき、図3(b)において、Fe膜除去部28の露出されたFe金型材4の表面が溶解除去されて、加工溝29が形成される。例えば、パルスの印加時間Tを50ns、休止時間を550nsとするパルスの周波数約1.7MHzとした場合では、Fe金型材4の溶解加工速度は500nm/sである。
第二の工程、第三の工程を繰り返しながら、ステージ1を逐次移動させると、Fe金型材4の表面に線状の加工溝29が形成される。
最後に、図3(d)に示す第四の工程では、陽電極6と陰電極3との間に電源10により、Fe金型材4の表面電位を不動態溶解領域25の電位となるよう電圧を印加し、電解液5との電気化学反応によりFe膜21のみを除去することにより、Fe金型材4上に微細な溝形状の加工が完了する。その反応式を(5)式に示す。
Fe→Fe3++3e (5)
本実施の形態1で使用されるプローブ電極7には、駆動装置9が装着されており、その駆動装置9により、Z軸方向に駆動される。駆動は圧電素子により動作されるため、0.1nm程度のステップでZ軸方向に移動が可能で、プローブ電極7をFe金型材4表面に対して高精度に位置決めすることができる。また、容器2が搭載されたステージ1は駆動装置(図示せず)によりX、Y軸方向に移動されるとともに、角度も調整される。これら一連の操作は、信号線16から18を通じて、制御装置20により行われる。ここで、プローブ電極7は、電解液5中で使用されるため、プローブ材料には腐食されないPt(白金)やAu(金)などの貴金属製が使用される。また、プローブ先端部以外は絶縁被覆8で覆われている。
また、陰電極6により不動態形成領域24においてFe金型材4の電位V、時間を制御することにより、Fe膜21の厚さを、さらに、プローブ電極7により不動態溶解領域25おける電圧パルス26の電圧Vp、パルス幅T、パルス数を制御することにより、Fe膜除去部28の大きさを変えることができ、Fe金型材4に加工する溝の幅、深さを調整することができる。なお、プローブ電極7は、駆動装置9によりX及びY軸方向にも移動可能としてもよく、微調整が可能となる。
上述のとおり、本実施の形態1においては、Fe膜21の所定の部分を除去した微細なFe膜除去部28を設け、このFe膜除去部28の露出されたFe金型材4の表面をパルス電圧Vpを印加することにより電解液5との電気化学反応により溶解除去させることにより、Fe金型材4に微細な溝加工を施すことができる。一般的に、電解液5のイオンが拡散することにより、プローブ電極7の径の何倍もの大きさの加工寸法のものしか得られないが、金属酸化膜であるFe膜21をエッチングマスクとして利用することにより、プローブ電極7の径と同等の微細加工が可能である。特にFe膜21は、電解液5のイオンの拡散を抑制する働きをするため、Fe金型材4の表面の状況による影響を受け難く、従来の加工方法では困難であった、主として十数μmから数十μmと幅の狭い細線な加工が可能となる。さらに、プローブ電極の径が異なるものを使用することにより、例えば1μm径のものを使用すれば1〜2μmの加工も可能である。従って、この発明により数μmから数百μmの微細な加工が容易にできる。
本実施の形態1では、図3(c)に示す工程において、Fe金型材4の表面の加工溝29をパルス電圧印加により形成する例について述べたが、例えば、図3(b)の工程において、ステージ1を逐次移動させて、線状の開口を持つFe膜除去部28を形成しておき、その後、電源10により導電線11、12を通して、陽電極3と陰電極6との間に電圧を印加して電位Vを活性溶解領域22であるVf(例えば、−0.3V)として、Fe金型材4表面を活性溶解電位に保持することにより、優れた耐食性を持つFe膜21が電解液5中では溶解されないエッチングマスクとして作用し、Fe膜除去部28の露出されたFe金型材4の表面部分のみを溶解させることもできる。これにより、Fe金型材4表面は溝状にエッチングされた加工溝29が形成されるが、この方法であっても、前述した図3(b)の工程で説明した方法と同様の効果が期待できる。
また、本実施の形態1では、Fe金型材4の表面に金属酸化膜であるFe膜21を形成する方法として、電解液5中で化学反応により形成したものを利用する例について説明したが、予め、金属被加工物のFe金型材4を高温(900℃から1200℃)の酸化雰囲気に晒す、ウエット酸化法(O、HOガス中)あるいはスチーム酸化法(HOガス中)により金属酸化膜を形成したものを利用してもよい。
実施の形態2.
上記実施の形態1では、Fe金型材4表面に金属酸化膜であるFe膜21を形成し、プローブ電極7により局所的に電圧を印加することにより、Fe膜21を溶解、Fe金型材4表面を加工するものであった。実施の形態2では、電圧印加によりプローブ電極近傍のFe金型材4表面にFe膜の微細線を形成し、エッチングマスクとして利用する場合の例について説明する。図5は、実施の形態2における微細加工方法の工程を説明する略断面図を示す。
実施の形態1と同様に図2で説明した電気化学反応を利用し、図5に示すFe金型材4に細いリッジ加工を行う、この発明の実施の形態2における微細加工方法と微細加工装置の動作について、図1の微細加工装置および図6に示す電解液中における電位−電流特性を参照して説明する。
まず、図5(a)に示す第一の工程では、Fe金型材4を電解液5の入った容器2に入れ、陽電極3の上に載置する(図5では、陽電極3、Fe金型材4、プローブ電極7、Fe膜21のみを表示する)。ここで、電解液5は実施の形態1で説明したものと同じものである。駆動装置9を操作して、先端が12μm径のプローブ電極7をFe金型材4の表面に対して約1μmの距離に近接させ、Fe金型材4の電位を電流が流れない−0.5V以下の状態から電源10によりプローブ電極7と陽電極3との間に図6で示す電圧パルス27を印加する。パルス電圧を不動態形成領域24である電圧Vr(例えば、1.2V)として、Fe金型材4の表面電位を不動態形成電位にするとプローブ電極7の先端部分が近接する位置にFeの金属酸化膜であるFe膜21が反応生成される。ステージ1を逐次移動させることにより線状のFe膜21が得られる。
次に、図5(b)に示す第二の工程では、電源10から導電線12、11を通して、陽電極3と陰電極6の間にFe金型材4の表面にかかる電位Vを、図6で示す活性溶解領域22であるVf(例えば、−0.3V)として、Fe金型材4表面を活性溶解電位に保持する状態にすると、Fe金型材4のFe膜21は耐食性を有しており、電解液5中では溶解されないためエッチングマスクとして働き、細線状のFe膜21で覆われていないFe金型材4の表面部分が溶解され、エッチング部30が形成される。
最後に、図5(c)に示す第三の工程では、陽電極6と陰電極3との間に電源10により、Fe金型材4の表面電位を不動態溶解領域25の電位となるよう電圧を印加し、細線状のFe膜21を除去することにより、Fe金型材4上にリッジ31形状の微細線加工が完了する。
本実施の形態2では、金属酸化膜であるFe膜21をFe金型材4の表面の所定の位置に形成し、このFe膜21をエッチング保護膜として、露出されたFe金型材4表面を電解液5で溶解させることにより、Fe金型材4に微細なリッジ31加工を施すことができる。この際、Fe膜21はプローブ電極7の先端部分が近接したFe金型材4表面にのみに形成されるため、従来の加工方法では困難であった、数μmから数百μm、主として十数μmから数十μmと幅の狭いリッジ状微細線加工が可能となる。
また、プローブ電極7による不導態形成領域24において電圧パルス27の電圧Vr、パルス幅T、パルス数を制御することにより、Fe膜21の幅、厚さを変えることができる。さらに、陰電極6により活性溶解領域23においてFe金型材4の表面にかかる電位、時間を制御することにより、リッジ31の高さを調整することができる。
実施の形態1及び2では、金属被加工物としてFe金型材を用いる例について述べたが、この発明は表面に金属酸化膜が形成される材料と電解液の組み合わせであればよく、純粋なFe金型材だけでなく、鉄系の合金、例えばFe−Cr、Fe−Cr−Mo、Fe−Cr−Ni合金のステンレスであってもFeやその合金以外の金属加工にも適用が可能である。
また、実施の形態1及び2では、Fe金型材4表面のエッチングには、電解液5中でFe製金型材4にかかる電位を活性溶解領域23であるVfとして加工する場合について説明したが、Feのみを溶解しFe膜を溶解しない例えば、ペルオキソ二硫酸アンモニウム((NH)と希硫酸(HSO)と水(HO)を混合しpH3以下に調整したエッチング液を使用してもよい。また、必ずしも電圧を印加する必要はない。
また、実施の形態1及び2において、エッチングマスクとしてのFe膜21の除去は、電解液5中で電位を不動態領域25にすることにより行っているが、塩酸(HCl)等の酸あるいはアルカリ性溶液で溶解してもよい。また、必ずしも電気化学反応に依らずに除去することも可能である。
また、実施の形態1及び2においては、Fe金型材4の電解液5として硼酸、硼砂の混合水溶液を利用する例について示したが、電解液としては、例えば、1L(リットル)の水にリン酸水素二ナトリウム(NaHPO)を7.1g、リン酸二水素ナトリウム(NaHPO)を6.0g溶かし、pH7の水溶液としたものであっても良好な酸化膜を形成することができるものであり、実施の形態1及び2で示した電解液5と同様の効果を期待できる。この電解液は、上述したFe以外の鉄系の合金に対しても有効である。
さらに、実施の形態1及び2では、微細な線状の溝やリッジを形成する例について述べたが、実施の形態1と実施の形態2の加工方法の組み合わせや、ステージを制御することにより他の形状に加工することが可能で、複雑な金型の型彫りに応用できるものである。
実施の形態1及び2は、例えば微細な加工が必要な射出成形金型やプレス金型の製造技術として利用できるものである。
なお、図中、同一符号は同一、又は相当部分を示す。
実施の形態1における微細加工装置を示す略斜視断面図である。 実施の形態1におけるFeの電位−電流特性図である。 実施の形態1における微細加工方法の工程を説明するための略断面図である。 実施の形態1における動作を説明するためのFeの電位−電流特性図である。 実施の形態2における微細加工方法の工程を説明するための略断面図である。 実施の形態2における動作を説明するためのFeの電位−電流特性図である。
符号の説明
1 ステージ
2 容器
3 陽電極
4 Fe金型材
5 電解液
6 陰電極
7 プローブ電極
10 電源
20 制御装置
21 Fe
26、27 電圧パルス

Claims (6)

  1. 金属被加工物に金属酸化膜を形成する工程と、
    陽電極上に載置された前記金属被加工物と前記金属酸化膜の加工部位に近接して配設され、先端部以外が絶縁被覆されたプローブ電極とを電解液中に配置し、前記プローブ電極に電圧パルスを印加して、前記金属酸化膜の電位を不動態溶解電位にして、かつ、前記電解液と前記金属酸化膜とを化学反応させ、前記金属酸化膜の所定の部分を除去する工程と、
    前記金属酸化膜が除去され露出された前記金属被加工物の部位のみを溶解する工程と、
    を備えた微細加工方法において、前記金属酸化膜をエッチングマスクとして使用することを特徴とする微細加工方法。
  2. 前記プローブ電極はPt(白金)又はAu(金)からなることを特徴とする請求項1に記載の微細加工方法。
  3. 前記電解液は、ホウ酸及びホウ砂を水に溶かした略中性の水溶液であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の微細加工方法。
  4. 前記金属酸化膜は、Fe 膜であることを特徴とする請求項1または請求項3のいずれかに記載の微細加工方法。
  5. 前記電解液は、リン酸水素二ナトリウム及びリン酸二水素ナトリウムを水に溶かした略中性の水溶液であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の微細加工方法。
  6. 移動可能なステージと、
    前記ステージに取付けられ電解液を収納する容器と、
    前記容器内に固定され金属酸化膜が形成された金属被加工物を載置する陽電極と、
    前記金属被加工物に対して所定の位置に配置された陰電極と、
    前記金属被加工物に対して所定の位置に配置され、先端部以外が絶縁被覆されたプローブ電極と、
    前記金属酸化膜が形成された金属被加工物を不動態膜形成電位とする電圧を前記陽電極と
    前記陰電極との間に、かつ、前記金属酸化膜が形成された金属被加工物を不動態溶解電位とするパルス電圧を前記陽電極と前記プローブ電極との間に印加する電源と、
    前記ステージ及びプローブ電極の位置決めと前記陽電極と前記プローブ電極との間及び前記陽電極と前記陰電極との間に印加する電圧とを制御する手段と、
    を備えた微細加工装置において、前記金属酸化膜をエッチングマスクとして使用することを特徴とする微細加工装置。
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