JP3749684B2 - 成形性に優れた高強度鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

成形性に優れた高強度鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形性に優れた高強度鋼板と溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の燃費向上のため、車体の軽量化がより一層要求されている。
車体の軽量化のためには、強度の高い鋼材を使用すれば良いが、強度が高くなるほど、プレス成形性が困難となる。これは、一般に鋼材の強度が高くなるほど、鋼材の伸びが低下するからである。
これに対し、オーステナイトを室温まで保持したTRIP鋼(残留オーステナイト鋼)は強度と伸びの双方が高く、最近、自動車の骨格部材に使用されるようになった。
【0003】
ところが、従来のTRIP鋼は、1%を超えるSiを含有する成分系であるために、めっきが均一に付着しにくく溶融亜鉛めっき性が悪く、また、通常鋼材よりも化成処理性が悪いという問題点があった。
また、残留オーステナイト鋼は連続焼鈍時に350〜550℃の温度範囲で、30秒から30分保持することでオーステナイト相が安定するとされているが、一般的な溶融亜鉛めっき設備には、上記等温保持が可能な設備を有していないものが多いことから、溶融亜鉛めっきが可能な残留オーステナイト鋼は、成分的にも製法的にも製造が困難とされてきた。
【0004】
従って、現在までTRIP鋼は、熱延鋼板や冷延鋼板やもしくは電気めっき鋼板だけで工業化されているが、溶融めっき鋼板のTRIP鋼は工業化されていなかった。
これらの問題点を解決する手段としてSiを低減し、代替元素として Alを添加する報告例として特許第2962038号公報があるが、Alが相当量必要であり、しかも、めっき性が必ずしも改善されるものではなく、また、その操業範囲も狭いものとなり、工業化に至っていないのが実情である。
【0005】
また、一般的に溶融亜鉛めっき設備は冷却速度が3℃/sec前後と遅く、Al添加によっても、パーライトが形成され、残留オーステナイト量が少なく伸びが低下している。
また合金化めっきの場合、合金化温度は通常500℃前後となるので、ベイナイトが粗大化したり、残留オーステナイトがベイナイト変態するために低減し、特性が劣化していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述のような従来技術の問題点を解決し、成形性に優れた高強度鋼板および溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法を工業的規模で実現することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
まず、本発明の技術思想を説明する。
本発明者らは、成形性に優れた高強度鋼板とその溶融亜鉛めっき化を検討した結果、鋼成分の最適化、すなわち、Siを低減してAlを代替元素とすることにより溶融亜鉛めっきが可能であり、また、Mo、Al、C、Mnの質量%の関係式を特定することにより、強度と伸びの双方が優れた残留オーステナイト鋼を工業的に製造できることを見出した。すなわち、等温保持処理を行わなくとも、従来の残留オーステナイト鋼並に延性が向上し、また合金化めっきをおこなっても特性が劣化する事が少ない高強度鋼板を実現した。
【0008】
また、上記の思想により設計された成分系の鋼板を、連続焼鈍または連続溶融亜鉛めっきラインにて、フェライト−オーステナイト2相域にて再結晶焼鈍を行った後に、適当な冷却速度にて冷却することにより、フェライトを主相とし、低温生成相として残留オーステナイトを5%以上含む複合金属組織を得ることができることを見出し、Mo、C、Mnと連続焼鈍工程における冷却速度との関係式を特定することにより、かかる高強度鋼板を工業的に安定製造できる方法を実現した。
本発明は、以上のような技術思想に基づくものであり、特許請求の範囲に記載した以下の内容をその要旨とする。
【0009】
(1)質量%で、C:0.08〜0.3%、Si:0.2%以下、Mn:0.8〜2.8%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.25〜1.8%、Mo:0.05〜0.3%、N:0.010%以下を含有し、さらに、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下、Cr:1.0%以下のうち1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、金属組織がフェライト、ベイナイト、および5%以上の残留オーステナイトを含有する高強度鋼板の表面に、亜鉛めっき層を有することを特徴とする成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
(2)Al とMoの質量%が、下記(A)式を満足することを特徴とする(1)に記載の成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板
0.10-Al/12<Mo<0.30−Al/8 ・・・(A)
【0010】
(3)C、Mn、Moの質量%が、下記(B)式を満足することを特徴とする(1)または(2)に記載の成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板
0.40<(C+Mn/6+1.5*Mo)<0.80 ・・・(B)
(4)請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法において、熱延後の鋼板を 450 600 ℃の温度で巻取り、冷延後に 750 850 ℃の温度で焼鈍し、溶融亜鉛めっき工程にて7(℃ /sec )以上の速度で冷却し、かつ、 C Mn Mo の質量%および焼鈍工程での冷却速度 CR (℃ /sec )が、下記(C)式を満足することを特徴とする成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
1.3 <( C+logCR+Mn/8+2 Mo )< 2.4 ・・・(C)
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
まず、本発明の高強度鋼板の成分および金属組織の限定理由を説明する。
Cは、強度確保の観点から、またオーステナイトを安定化する基本元素として、必須の成分である。
Cが0.08%未満では強度が満足せず、また残留オーステナイトが形成されない。また、0.3%を超えると、強度が上がりすぎ、延性が不足し工業材料として使用できない。
従って、本発明におけるCの範囲は、0.08〜0.3%とし、好ましくは、0.1〜0.22%である。
【0012】
Mnは強度確保の観点で添加が必要であることに加え、炭化物の生成を遅らせる元素であり残留オーステナイトの生成に有効な元素である。
Mnが0.8%未満では、強度が満足せず、また残留オーステナイトの形成が不十分となり延性が劣化する。
また、Mn添加量が2.8%を超えると、焼入れ性が高まるため、残留オーステナイトに変わってマルテンサイトが生成し、強度上昇を招きこれにより、製品のバラツキが大きくなるほか、延性が不足し工業材料として使用できない。
従って、本発明におけるMnの範囲は、0.8〜2.8%とした。
【0013】
Siは強度確保の観点で添加することに加え、前述のように、オーステナイト生成に有効な元素であるため、通常、延性の確保のために添加される元素であるが、0.2%を超える添加により、溶融亜鉛めっき性が劣化してしまう。従って、本発明におけるSiの範囲は、0.2%以下とし、さらにめっき性を重視する場合には0.1%以下が好ましい。
Pは鋼板の強度を上げる元素として必要な強度レベルに応じて添加する。しかし、添加量が多いと粒界へ偏析するために局部延性を劣化させる。また、溶接性を劣化させる。従って、P上限値は0.03%とする。
【0014】
Sは、MnSを生成することで局部延性、溶接性を劣化させる元素であり、鋼中に存在しない方が好ましい元素である。従って、上限を0.03%とする。
Moの最低添加量を0.05%とした。これ以下では、パーライトを形成し、残留オーステナイト率が低減する。
過多のMoの添加は延性の劣化や化成処理性を劣化させることがあるので、上限を0.3%とした。さらに望ましくは、0.15%以下とするとより高い強度−延性バランスを得ることができる。
【0015】
Alは、前述のごとくオーステナイトを残留させるために必要な元素であり、フェライトの生成を促進し、炭化物の生成を抑制することにより、オーステナイトを安定化させる作用があると同時に、脱酸元素としても作用する。
オーステナイトの安定化には0.25%以上のAl添加が必要である、一方、Alを過度に添加しても上記効果は飽和し、かえって鋼を脆化させるばかりでなく、溶融亜鉛めっき性を劣化させるため、その上限を1.8%とした。
【0016】
Nは、不可避的に含まれる元素であるが、あまり多量に含有する場合は、時効性を劣化させるのみならず、AlN析出量が多くなってAl添加の効果を減少させるので、0.01%以下の含有が好ましい。 また、不必要にNを低減することは製鋼工程でのコストが増大するので通常0.0020%程度以上に制御することが好ましい。
Cr、Ni、Cuは、いずれも強化元素として有効であるが、過多の添加は延性の劣化や化成処理性を劣化させることがあるので、Cr1.0%以下、Ni:1.0%以下、Cu:1.0%以下とした。
【0017】
本発明の金属組織がフェライトと5%以上の残留オーステナイトおよびベイナイトを主相として含有することを特徴とする理由は、このような組織をとる場合は、強度延性バランスに優れた鋼板となるからである。
特に、残留オーステナイト率が5%以上となるときに、TS×ELの強度延性バランスが劇的に上昇する。さらに、最大で1%程度のマルテンサイトが生成することもあるが、この程度の生成量では本発明の強度延性バランスを劣化させることはなく、問題とならない。
【0018】
さらにMoは、本発明の対象である残留オーステナイト鋼において極めて重要な役割を担う成分である。
本発明者らは、鋭意検討した結果、添加されたAlに対し 式(A)に表されたMoの適正範囲があることを見出した。
0.10-Al/12<Mo<0.30−Al/8 ・・・(A)
すなわち、Moが、0.10-Al/12以下では残留オーステナイトが形成されず、また、Moが0.30−Al/8 以上では、強度が上昇し、延性が劣化する。
図1にその範囲を表示した。図中の斜線部分がMoの適正範囲を示す。
【0019】
Moが、0.1-Al/12 以上で十分な残留オーステナイトが形成される理由については明らかではないが、Alは、フェライト形成元素であり、ベイナイト変態開始時点でのフェライト分率が多くなり過ぎるのに対し、Moは同じフェライトフォーマーではあるが、変態そのものの速度を抑制してフェライト分率を低減させる。Moを0.1-Al/12 以上とすることにより、ベイナイト分率が上昇し、残留オーステナイトが多くできるものと推測される。
このように、MoとAlの相互作用で、残留オーステナイトの形成量が決定されるものと考えられる。なお、この式(A)は,特に本発明の特徴である,Si添加量が低いときに得られる関係である。
【0020】
一方、Moが0.30−Al/8 以上では、延性が低下する理由は、ベイナイト反応速度が低減し、残留オーステナイトが少なくなるものと考えられる。
さらに本発明者らは研究を重ね、式(B)を見出した。
0.40<(C+Mn/6+1.5*Mo)<0.80 ・・・(B)
溶融メッキラインは焼鈍後の冷却速度が3℃/sec程度と遅くパーライトが形成されやすい。 また、焼鈍後、亜鉛の溶融ポットに浸漬後、合金化処理が施されるケースがある。
いずれの場合もオーステナイトを残留させるには不利な操業条件である。
そこで、本発明者らは、MoとC、Mnについて鋭意検討を重ねた結果、式(B)に至ったものである。
【0021】
すなわち、C+Mn/6+1.5*Moが、0.40以下では、
残留オーステナイト量が3%以下になり、TSxElが18000MPa%程度に劣化してしまう。
また、0.80%以上では、強度が上昇し、伸びが低下し、TSxElが18000MPa%程度に劣化してしまう。
上記理由は明らかでないが、MoとC、Mnの相互作用で、残留オーステナイトの形成量が決定されるものと考えられる。
また、溶融ポット前後で形成された残留オーステナイトが合金化工程で分解されるのを防止する機能をもっているものと推測できる。
【0022】
本発明の製造工程の限定理由は次の通りである。冷延鋼板はまず、オーステナイトとフェライトの2相共存温度域で再結晶焼鈍される。この際に、CやMn等の焼き入れ性を向上させる元素や、AlやSiなどの残留オーステナイトを残存させる元素の影響でCがオーステナイト中に濃化し、その後の熱処理によるマルテンサイトを含む残留オーステナイトの生成を容易にする。
通常の冷延鋼板におけるTRIP鋼の製造条件は、熱延工程での圧延、コイル捲取の後、冷間圧延を行い、連続焼鈍設備にて前述の熱処理を施す。溶融亜鉛めっき鋼板の場合は、冷間圧延後に溶融亜鉛メッキ工程で焼鈍とメッキを行う。メッキ後に加熱合金化処理を行ってもかまわない。
また、加熱方式は誘導加熱、ガス加熱等いずれの方式でもかまわない。
【0023】
本発明者らはこの中で特に溶融亜鉛メッキ工程での焼鈍時冷却速度について鋭意検討を重ねて式(C)を見出した。
1.3<(C+logCR+Mn/8+2*Mo)<2.4 ・・・(C)
CRは焼鈍工程での冷却速度であり、単位は ℃/sec
logCRが式(C)を満足する場合、TSxElが最高値を示す。
1.3以下では、パーライトが形成されたり、残留オーステナイトが形成されなくなる。
一方、2.4以上の場合、マルテンサイトが多量に形成され、残留オーステナイトが減少したり形成されなかったりする。そのため、強度が非常に高くなり延性が低下することがあり、この値を上限とした。
【0024】
熱延後の捲取り温度は焼鈍工程において速やかに2相平衡状態に達するために重要な条件である。すなわち、熱延後の組織を間隔の小さいパーライトまたは、これとベイナイトの混合した組織とすることにより、焼鈍工程でセメンタイトが溶解しやすくする必要がある。このためには、600℃以下が望ましい。また、スケールの発生を抑制し、デスケ性を良くするためにも低温捲取が望ましい。一方で、捲取温度が低すぎると硬質相が増すことにより、冷延が困難となるため、捲取温度の下限は450℃以上とする。
【0025】
このようにして得られた熱延鋼板は酸洗,冷延されて焼鈍に供される.
焼鈍工程における焼鈍温度は、高温になると平衡オーステナイト比率が高くなる、またはオーステナイト単相になるため、オーステナイト中のCが希薄となるため、その後の冷却で安定したオーステナイト残存させることができなくなる。従って、焼鈍温度の上限は850℃以下とした。一方、低温で焼鈍を行うと、炭化物の溶解が充分でなくなるため、Sol.C不足から、オーステナイトヘのCの濃化が十分でなくなり、残留オーステナイト比率が著しく低下する。従って、下限値を750℃とした。
上記の条件を満たすことで、成形性に優れた高強度鋼板及びその溶融亜鉛めっき鋼板を実現できる。
【0026】
【実施例】
(1)および(4)の発明に関する実施例:表1に示した成分組成を有する鋼を真空溶解炉にて製造し、冷却凝固後1200℃まで再加熱し、880℃にて仕上圧延を行い、冷却後600℃で1時間保持することで、熱延の巻取熱処理を再現した。得られた熱延板を研削によりスケールを除去し、70%の冷間圧延した。その後連続焼鈍シミュレータを用い、770℃×74秒の焼鈍を行い、10℃/secの冷却速度で450℃まで冷却した後、合金化処理を再現するため、500℃まで再加熱し、更に室温まで冷却した。その後1%のスキンパス圧延を行った。
【0027】
【表1】
Figure 0003749684
【0028】
【表2】
Figure 0003749684
【0029】
引張特性は、JIS5号引張試験片のL方向引張にて評価し、TS(MPa)×EL(%)の積が18000MPa%以上を良好とした。
金属組織は、光学顕微鏡での観察および、X線回折による残留オーステナイト率の測定を行った。フェライトはナイタールエッチング、マルテンサイトはレペラーエッチングにて観察した。残留オーステナイト率測定方法は、供試材板の表層より1/4厚まで化学研磨した面で行い、単色化したMoKα線による、フェライトの(200)および(211)面積分強度とオーステナイトの(200)、(220)および(311)面積分強度から残留オーステナイトを定量した。残留オーステナイト率が5%以上を良好とした。表2,4,6,7の実験結果では、この残留オーステナイト率を残留γ率と表記した。
【0030】
めっき性能は溶融亜鉛めっきシミュレーターにより、上記同様の焼鈍条件を施した後、溶融亜鉛メッキを行い、目視にてめっきの付着状況を確認し、めっき面の内90%以上の面積で均一に付着している場合を良好(=○)とした。
合金化についてはパウダリング試験により、評点3以下を良好(=○)とした。 実験結果を表2に示す。
【0031】
実験番号35・成分記号AIでは、Cが低すぎるため、残留オーステナイトの形成が不十分で、TS×ELも不十分である。実験番号36・成分記号AJでは、Cが高すぎるため、強度が上昇しすぎ、延びが低下することで、TS×ELが低下。実験番号37・成分記号AKでは、Siが高すぎるため、溶融亜鉛めっきが均一に付着せず、外観不良となる。合金化も不良であった。実験番号38・成分記号ALでは、Mnが低すぎるため、強度が満足せず、また残留オーステナイト率も低い。実験番号39・成分記号AMでは、Mnが高すぎることで、強度が上昇し、延びが低下し、TS×ELが低下した。実験番号40・成分記号ANでは、Alが低すぎるため、十分な残留オーステナイトを形成せず、伸びが不足。実験番号41・成分記号AOでは、Alが高すぎるため、溶融亜鉛めっきが均一に付着せず、外観不良を起こし、また合金化も不良であった。実験番号42・成分記号APは、Moが低すぎるためパーライトが生成し、残留オーステナイト率が低下した。実験番号43・成分記号AQでは、Moが高すぎるため、強度が上昇しすぎ、延びが低下し、TS×ELが不足した。
【0032】
これに対し、本発明の実施例である実験番号1〜34・成分記号A〜AHでは、本発明の範囲を満たしているため、良好な結果となった。
(2)および(4)の発明に関する実施例:表3に示した成分の鋼を真空溶解し、(1)の発明の実施例と同様の方法で試験片を作成し、同様の実験により各特性を調査した。
【0033】
【表3】
Figure 0003749684
【0034】
【表4】
Figure 0003749684
【0035】
その実験結果を表4に示す。実験番号59・成分記号BHでは、Moの含有量が0.3-Al/8よりも高いため強度が上昇しすぎ、延性が低下し材質が不十分であった。実験番号60・成分記号BIでは、Moの含有量が0.1-Al/12よりも低いため、十分な残留オーステナイト相が形成されず、材質が不十分であった。
これに対し、実験番号43〜58・成分記号AR〜BGでは、本発明の範囲を満たしているため、良好な結果となった。
【0036】
(3)および(4)の発明に関する実施例:表5に示した成分の鋼を真空溶解し、(1)の発明の実施例と同様の方法で試験片を作成し、同様の実験により各特性を調査した。
【0037】
【表5】
Figure 0003749684
【0038】
【表6】
Figure 0003749684
【0039】
その実験結果を表6に示す。実験番号78・成分記号CAでは、C+Mn/6+1.5×Mo=0.37と、0.4以下のため、残留オーステナイトが3%以下となり材質不十分である。実験番号79・成分記号CBでは、C+Mn/6+1.5×Mo=0.85と、0.8以上のため、強度が上昇し延性が低下するためTS×ELが低下した。
これに対し、実験番号61〜77・成分記号BJ〜BZでは、本発明の範囲を満たしており、良好な結果となった。
【0040】
(4)の発明に関する実施例:表1の成分の鋼のうち、代表的な成分の、成分記号B、D、F、I、L、P、R、U、ZおよびADについて、(1)の発明の実施例と同様の方法で冷間圧延まで行い、連続焼鈍及び溶融亜鉛めっきシミュレーターにて焼鈍後、表7に示した冷却速度にて冷却し、その後さらに(1)の発明と同様の方法で試験片を作成し、同様の実験により各特性を調査した。 その結果は同じく表7に示している。
【0041】
【表7】
Figure 0003749684
【0042】
実験番号99〜103・成分記号B、I、P、UおよびADについては、冷却速度(=CR)が3℃/secと低いために、式3を満足せず、その結果十分な残留オーステナイトが形成されず、材質不良であった。実験番号104〜108・成分記号B、I、P、UおよびADについては、冷却速度が100℃/secと速すぎるために、式3を満足せず、その結果組織中に3%〜5%の大量のマルテンサイトが生成し、強度が高くなりすぎ、延性が悪化することで材質不良となった。また残留オーステナイト率も低下した。
【0043】
これに対し、実験番号79〜88・成分記号B、D、F、I、L、P、R、U、ZおよびADについては、冷却速度を7℃/secとして、(4)の発明式(C)を満足するため、良好な結果となった。また、実験番号89〜98・成分記号B、D、F、I、L、P、R、U、ZおよびADについても、冷却速度を10℃/secとして、(5)の式(C)を満足し、良好な結果となった。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、自動車部品などに使用される、成形性に優れた高強度鋼板と溶融亜鉛めっき鋼板を提供できるため、工業的に価値の高い発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の高強度鋼板のAlとMoの関係を示す図である。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C:0.08〜0.3%、
    Si:0.2%以下
    Mn:0.8〜2.8%、
    P:0.03%以下、
    S:0.03%以下、
    Al:0.25〜1.8%、
    Mo:0.05〜0.3%、
    N:0.010%以下を含有し、
    さらに、
    Cu:1.0%以下、
    Ni:1.0%以下、
    Cr:1.0%以下のうち1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなり、
    金属組織がフェライト、ベイナイト、および5%以上の残留オーステナイトを含有する高強度鋼板の表面に、亜鉛めっき層を有することを特徴とする成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。
  2. Al とMoの質量%が、下記(A)式を満足することを特徴とする請求項1に記載の成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板
    0.10-Al/12<Mo<0.30−Al/8 ・・・(A)
  3. C、Mn、Moの質量%が、下記(B)式を満足することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板
    0.40<(C+Mn/6+1.5*Mo)<0.80 ・・・(B)
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法において、熱延後の鋼板を 450 600 ℃の温度で巻取り、冷延後に 750 850 ℃の温度で焼鈍し、溶融亜鉛めっき工程にて7(℃ /sec )以上の速度で冷却し、かつ、 C Mn Mo の質量%および焼鈍工程での冷却速度 CR (℃ /sec )が、下記(C)式を満足することを特徴とする成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
    1.3 <( C+logCR+Mn/8+2 Mo )< 2.4 ・・・(C)
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