JP3749402B2 - スード試験方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スード試験方法およびスード試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
地震時における構造物の挙動などを調べる方法として、スードダイナミック試験方法(Pseudodynamic Test Method、以下、単に「スード試験方法」という)が注目されている。この方法は、ハイブリッド試験方法、仮想試験方法あるいはオンライン実物地震応答システムなどとも呼ばれている。
この試験方法は、構造物を質点と柱等の剛性に相当するバネ定数とからなる質点モデルに置き換えて、このモデルの運動方程式を解くことにより求めた応答値を用いる方法である。
以下、建物をその中に分散する質量を1点に集中するとした質量Mと柱の水平剛性に相当するバネ定数Kからなる1質点モデルに置き換えた場合を例にとって説明する。
【0003】
図5の(a)は、この1質点モデルを示す図である。この図において、地動加速度波(Accelerated Wave:ACC波)により、地面がyだけ変位し、それに伴い、質点Mがxだけ変位する。
ここで、前記質点Mの地面に対する相対変位をX(=x−y)とおくと、このモデルのバランス式は次の式(1)あるいは式(2)により表される。
【数1】
ここで、Xの上のドットは、時間微分を表している。また、Kは構造物のバネ定数(スティフネス)[kgf/cm]、Mは質量[kg]、Cは粘性抵抗(ダンピング係数)[kg/cm/sec]、Xは質点の空間静止点からの変位[cm]、d2X/dt2は質点の加速度[cm/sec2]、d2xo/dt2は地動加速度[cm/sec2]、dX/dtは質点の速度[cm/sec]である。
ここで、次の式(3)、(4)のようにおくと、前記式(2)は、次の(5)式のように表わされる。
【数2】
【数3】
ここで、ζは系の減衰係数、ωnは固有周波数である。
【0004】
スード試験方法では、前記バネ定数Kの値を実測しながら時々刻々前記式(5)を解くことにより質点の相対変位Xを求め、該算出した相対変位XをアクチュエータACTにより構造物である試験体に与え、地震などの加速度波に対する試験体の挙動を測定する。図5の(b)は、このスード試験方法の様子を模式的に示す図であり、アクチュエータACTにより、試験体を加力している。また、変位(DISP)センサにより試験体の変位Xを測定するとともに、ロードセル(L/C)により試験体に発生する反力R(=K・X)を計測している。
ここで、質量Mは仮定の固定値であり、試験進行中変化しないものとして扱う。また、バネ定数Kは実際に計測した値を用いるため、K部が試験対象物となっている。試験体の破壊の進行とともにこのバネ定数Kの値は変化する。
【0005】
スード試験においては、前記(5)式を解くために、全区間を微小な時間Δt[sec]に区切り、所定の仮定に基づきΔt内で逐次積分を行い、Δt秒後の応答値を求める、すなわち、Δt秒後の応答値を現時刻の応答値の関数とするという過程を繰り返し行うという近似的解法が採用されている。
この手法は、前記微小な時間きざみΔt内に適用する前述した仮定に応じて、次のような種類に分けられる。
(1)中央差分法(Basic Central Difference Method)
(2)総和型中央差分法(Summed-Form Central Difference Method)
(3)ニューマーク法(Newmark Explicit Method)
(4)改良ニューマーク法(Modified Newmark Method)
【0006】
実際にバネ定数Kを計測しながら、(5)式の解Xを求めていくには、荷重と変位の計測信号が必要である。図6は、計測信号の一例を、荷重センサからの反力Rの計測値を縦軸、変位センサからの変位Xの計測値を横軸にとって示した図である。この図に示すように、各測定信号はノイズを多く含むデータであるため、スード試験においては、時間きざみ(時間ステップ)Δtを持たせてΔt毎の平均的な傾き(バネ定数K)を求めるようにすることで、安定な制御を可能としている。
【0007】
代表的に用いられているニューマーク法を例にとって説明する。
ニューマーク法は、第n番目の時間ステップのデータXnと第(n+1)番目の時間ステップのデータXn+1の関係を用いて微分を行なうものであり、変位Xn+1、変位Xn+1の1階微分(dXn+1/dt)および2階微分(d2Xn+1/dt2)は、次の式(6)〜式(8)のように表わされる。
【数4】
ここで、Rn+1は、反力(復元力)の計測値であり、前記式(7)の右辺の分子に実測した復元力Rn+1(=Xn+1・K)を用いて逐次積分法で応答値Xを求めている。すなわち、この方法では、反力R(=X・K)をロードセルなどの荷重センサで実測し、この値を用いて、次時間ステップの相対変位Xを算出している。
【0008】
具体的には、各時間ステップ毎に、以下のような処理を実行する。
(1)前ステップの応答値Xnより、前記式(6)に基づき、このステップの応答変位Xn+1を求める。
(2)試験体に計算した応答変位Xn+1を与える。
(3)試験体の反力Rn+1を計測し取り込む。
(4)取り込んだRn+1を前記式(7)に直接代入して応答加速度d2Xn+1/dt2を求める。このとき、d2xon+1/dt2には地動加速度入力値を用いる。
(5)前記式(8)より、応答速度dXn+1/dtを求める。
(6)次のステップへ応答値Xn+1、dXn+1/dt、d2Xn+1/dt2を引き渡す。
(7)上記ステップ(1)〜(6)を繰り返す。
【0009】
このようなスード試験方法によれば、地震時に計測された加速度データ(ACC波形データ)を前記式(5)の運動方程式に入力し、バネ定数Kの値(上述した例においては、反力R(=K・X))のみリアルタイムで実測して、前記運動方程式を時間ステップ毎に解きながら、式の出力として得られる相対変位XとなるようにアクチュエータACTで構造物の質点部に加力する。
したがって、運動方程式のパラメータに予め入力しておくのは、質量Mと粘性抵抗Cであり、バネ定数Kはリアルタイムの実測値を使用する。このため、質量Mを式内に置くため実物の質量部を除くことができ、そのため柱などの構造体のみを対象に静的に試験することができるという特徴がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このようなスード試験において考慮しなければならない点は、この試験は、あくまでも前記(5)式の関係が常に成立するということを前提としている点である。前述のように時間ステップΔtを設けて解を求めていく場合であっても、前記(5)式は常に成立していなければならない。
さらにもう一つ注意すべきことは、前記(5)式は微分方程式であり、現象の変化部分にしか注目していないことである。図7は、試験の進行にともなう変位センサ出力と荷重センサ出力の変化を、変位センサの出力を横軸、荷重センサの出力を縦軸として示した図である。例えば、図中に示した点aに現時点の対象制御点があるとすると、試験はこの点の前後数点のデータのみを用いて制御されているものであるため、この荷重対変位のヒステリシスカーブの全体像をモニタしているわけではない。従って、制御点の定義を明確にしておかないと、何をやっているのかが分からない試験となってしまう。この定義とは、常に前記(5)式が成立するということである。
【0011】
上述した各スード試験方法において用いられている解法は、本来、非線形系である試験体に対して実用上使用できるように工夫したステップバイステップ式の解法であるため、系に安定した動作をさせることができるか否かはパラメータの選定によって大きく左右される。理想では粘性抵抗C=0のとき、パルス入力時に自由振動し、その振幅は一定値を保持するが、パラメータCが最適値よりも小さいときには応答波形は発散し、最適値よりも大きいときには応答波形は減衰してしまう。前述の式(6)〜(8)に示されるように、スード試験におけるパラメータには、時間きざみ幅Δt、質量M、粘性抵抗Cの3つがあるが、通常は、最適な過渡特性となる粘性抵抗Cの値を求めて、該粘性抵抗Cを一定として試験を行っている。
【0012】
しかし、このような方法で試験を行うと前記図7に示したヒステリシス曲線における各点で常にバネ定数Kの値が変化しているため、前記式(3)により減衰係数ζの値が変化することとなる。この減衰係数ζは系の応答特性を支配する係数であり、質点系の共振点(固有周波数)ωn=√(K/M)近傍での振幅、位相を支配するパラメータである。
図8は、減衰係数ζと系の応答(20log|X(s)/xo(s)|)の周波数特性との関係を示す図である。この図から明らかなように、固有周波数ωn以下のスペクトル範囲において、d2xo/dt2のスペクトルがωn以下(図中Aの領域)にある場合(これは、通常の試験条件である)、d2xo/dt2の値と解Xの値を対応させるとすれば、ζ≒0.7でなければならない。例えば、質量Mを30tonf、バネ定数Kを24300[kg/cm]としたとき、ωnより求まる周期Tは0.22秒となり、地震波スペクトルの分布周期は、通常0.2秒以上の振動である(神戸地震時の代表的な中心スペクトルは、0.4〜0.8秒である)。
従って、ωn点近傍の特性は前記図8に示す加速度のスペクトルの範囲Aに影響を与えないようなものでなければならない。しかし、図8において、もし、ζ<<0.7とすれば、ωnのゲインは高くなり、このことは地震スペクトル中のωn成分が増幅されて、結果に表れることを意味する。さらに、ζ>>0.7とすると、Aの領域に影響を与えることとなる。また、常にζ≒0.7を保つように制御を行なえば、正確な波形の再現モデルとなる。
【0013】
試験の進行にともないバネ定数Kが変化することは、固有周波数ωnも変化することを意味する。前述のように、ωn=√(K/M)であるから、バネ定数Kが小さくなると、ωnも小さくなる。このとき、粘性抵抗Cを一定の値とすると、ζ=C/2・√(M・K)より、減衰係数ζは大きくなる。すなわち、応答の形が図9の(a)に破線で示すように変化することになる。すなわち、Aで示す領域でのゲインが低下し、正確な波形の再現ができなくなる。
一方、減衰係数ζを一定、粘性抵抗Cを可変として制御を行ったとすると、固有周波数ωnはωn’へと移動するが、減衰係数ζは一定であり、図9の(b)に示すように、応答特性の形状に変化はない。ただし、ωnがωn’に低下するため、高域スペクトルはカットされることとなる。
【0014】
このように、スード試験においては、粘性抵抗Cを一定として試験を行うか、あるいは、減衰係数ζを一定として試験を行うかによって、試験結果が大きく異なるものとなってしまうという問題点がある。
そこで、本発明は、誰が試験を行っても、普遍性のある結果を得ることのできるスード試験方法および装置を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のスード試験方法は、波形発生手段から入力される加速度波形、試験体の変位を検出する変位センサの出力および試験体に発生する反力を検出する荷重センサの出力に基づいて、時間ステップごとに試験体に負荷する変位を算出し、前記算出された変位を前記試験体に与えるようにフィードバック制御するスード試験方法であって、前記時間ステップ毎に、系の減衰係数ζが一定の値を保持し、かつ、粘性抵抗Cとバネ定数Kとが常に所定の関係を維持するように、前記試験体のバネ定数Kの値に応じて、前記時間ステップ幅と前記試験体の粘性抵抗Cを制御するステップを有するものである。
【0016】
また、本発明のスード試験装置は、加速度波形を発生する波形発生手段と、該波形発生手段の出力、試験体の変位を検出する変位センサの出力および試験体に発生する反力を測定する荷重センサの出力に基づいて、時間ステップごとに試験体に負荷する変位を算出する演算手段と、該算出された変位情報と前記変位センサからの出力信号との偏差信号を算出する加算部と、該偏差信号が0となるように試験体を負荷する試験機部とを有するスード試験装置であって、前記演算手段は、前記時間ステップ毎に、系の減衰係数ζが一定の値を保持し、かつ、粘性抵抗Cとバネ定数Kとが常に所定の関係を維持するように、前記試験体のバネ定数Kの値に応じて、前記時間ステップ幅と前記試験体の粘性抵抗Cとを制御して、前記試験体の変位を算出するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のスード試験方法が適用されるスード試験装置の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
この図において、破線で囲まれた部分は、前記図5(b)に示した実験設備と同様の試験機部であり、試験体11、試験体を加振するサーボバルブ12およびアクチュエータ13、試験体に発生する反力(復元力)を測定するロードセルなどの荷重センサ14、試験体11の変位を測定する変位(Disp)センサ15が含まれている。また、16は前記変位センサ15の出力が入力されA/D変換をするとともに所定の増幅率で増幅して演算部19および加算点20に出力する変位用アンプ、17は前記荷重センサ14からの荷重信号をA/D変換するとともに所定の増幅率で増幅して演算部19に出力する荷重用アンプ、18は試験に用いる地動加速度波形(ACC波形)を発生する波形発生部、19は前記波形発生部18からのACC波形、前記変位用アンプ16の出力および前記荷重用アンプ17の出力が入力され、ニューマーク法などの前述した手法に基づいて試験体11の相対変位を算出する演算部、20は前記演算部19において算出された相対変位を制御目標信号として前記変位用アンプ16からの変位信号との偏差を算出する加算点、21は前記加算点20から出力される偏差信号に対し、比例処理や積分処理などを行うPID調節部である。
【0018】
ここで、前記波形発生部18は、例えば、地動加速度データがデータサンプル時間間隔で格納された波形テーブルを格納したメモリにより構成されている。そして、試験を行うときには、前記波形テーブルのΔt毎に対応する読み出しアドレスを計算し、該アドレスから対応するサンプルデータを読み出して地動加速度データを前記演算部19に与えていくようになされている。
図示するように、加算点20、PID調節部21、サーボバルブ12、アクチュエータ13、変位用センサ15、変位用アンプ16により、フィードバック制御ループが構成されており、試験実行時には、前述のように、前記試験体11の変位が、前述した処理手順に従って前記演算部19により算出される目標信号(相対変位)に追随するように制御が行われ、スード試験が実行されることとなる。
【0019】
次に、本発明の特徴的な部分であるスード試験の制御方法について詳細に説明する。
前述のように、粘性抵抗Cを一定、減衰係数ζを可変として制御する場合には、試験の進行に伴い試験体のバネ定数Kが小さくなるために、減衰係数ζが大きくなるとともに固有周波数ωnが小さくなる。また、減衰係数ζを一定、粘性抵抗を可変として制御を行った場合には、固有周波数ωnが小さくなる。
ここで、ωnが変化したときの様子を表すパラメータとして、Δt/T=αを用いるものとする。Tは、T=1/fn(ωn=2πfn)で表わされる周期であり、ωnの逆数に比例する。また、Δtは、地震波d2xo/dt2の時系列の刻み時間間隔(時間ステップ幅)を示している。αは、TとΔtの比率である。
【0020】
前述において、粘性抵抗Cを可変、減衰係数ζを一定とした場合、および、粘性抵抗Cを一定、減衰係数ζを可変とした場合の2通りの場合における関係について説明したが、ここで、原則である前記(5)式から検討すると、結論として、粘性抵抗Cと減衰係数ζの双方を同時に制御しないと前記(5)式の関係を保てないことが分かる。(5)式が成立するとすれば、C=2ζ√(M・K)の関係を常時保っていなければならないことになる。
減衰係数ζを一定として応答特性を管理したとき、質量Mが一定であるという仮定から、前記式(3)よりC∝√Kとなり、粘性抵抗Cとバネ定数Kの関係を対数グラフで示すと、図2の(a)に示すように、傾き1/2の直線で表わされる。試験の進行に伴いバネ定数Kが変化しても、粘性抵抗Cがこの直線上にあるように制御すれば、前記(5)式が成立している。ただし、この図2に示した関係は、時間きざみΔt=0、すなわち、α=0の場合である。
【0021】
ここで、前記差分方程式(6)〜(8)を用いるスード試験方法においては、きざみ時間間隔Δtが導入されているため、前記式(3)の関係をそのまま適用することはできない。すなわち、前記式(6)〜(8)を発散することなく解くことのできる最適なCの値はα=0のときのCの値に対して所定量ΔCだけ加算された値となっている。すなわち、時間きざみΔtを与えると、α>0となるため、(5)式に含まれるK、C間の関係はずれてくる。バネ定数Kが変化したとき、前記図2(a)の傾き1/2の関係をくずすと、C=2ζ√(M・K)の関係をくずすこととなり、(5)式の関係をくずすこととなる。その関係を保つためには、α=Δt/Tをバネ定数Kが変化しても、一定の値に保持すればよい。図2の(b)は、種々のαの値に対する前記log Cとlog Kの関係を示す図である。ここで、各直線間の差は、αの値と比例関係にある。
【0022】
もし、ここで、前述のように、減衰係数ζを一定とする制御を、粘性抵抗Cの値と減衰係数ζの値との関係に従って行うものとすると、前述のように試験の進行にともないバネ定数Kが変化するため、ωnが変化し、α=Δt/Tは変化してしまうこととなる。このため、図2(b)中に破線で示すように、log Cとlog Kの関係は、1/2の傾きを保つことができなくなってしまう。すなわち、この減衰係数ζを一定、粘性抵抗Cを可変とする手法では、前述したように波形の再現効果は大きいが、前記(5)式の関係をくずして試験を実行していることとなる。
【0023】
そこで本発明のスード試験方法においては、試験の普遍性、すなわち、前記(5)式の関係が常に成立するという一般性を保つために、バネ定数Kが変化しても、α=Δt/Tと減衰係数ζの双方を一定値に保持するように制御して、常に前記図2(b)に示した傾き1/2の直線上で制御を行うようにしている。
以下、図3および図4を参照して本発明のスード試験方法について説明する。
本発明のスード試験方法においては、試験実行前に、まず、α=Δt/Tと減衰係数ζの値を固定したい値に指定しておく。また、質量Mの値も予め設定しておく。
これにより、図3に示す直線Ca(Ca=2ζ√(M・K))を決定することができる。ただし、この直線Caは、Δt=0とした場合のlog Cとlog Kとの関係を表すものである。
【0024】
前述のように、比率α(=Δt/T)が存在したときのΔCの値は不明であるので、仮想的にバネ定数K’を指定して、コンピュータシミュレーションとして過渡応答手法を利用し、バネ定数K’に対するB点を求める。
具体的には、前記図1に示すブロック図において、試験機部を切り離して、前記PID調節部21の出力を直接前記変位用アンプ16および前記荷重用アンプ17に接続する。このとき、前記荷重用アンプ17の出力をバネ定数K’の値に相当する分だけ増幅して前記演算部19に入力する。そして、波形発生部18からの出力をゼロとし、前記変位用アンプ16の出力として、1時間ステップ期間だけ所定の変位値を初期値として前記演算部19に入力し、該演算部19において、前述した式(6)〜(8)に従って変位Xを算出させる。粘性抵抗Cの値を種々の値として、このダミー運転を行い、このとき変位用アンプ16の出力応答波形をモニターし、該波形から指定した減衰定数ζ(例えば、0.7)となるCの値CBを求める。このようにして、前記図3におけるB点を決定することができる。なお、このとき、前記指定した減衰係数ζの値(例えば、0.7)および比率αを用いる。
【0025】
これにより、B点を通過し、傾き1/2の直線Cb(=2ζ√(M・K)+ΔC)を求めることができ、ΔC(=CB−CA)を求めることができる。
このようにして求めたCb=2ζ√(M・K)+ΔCの式を制御式として用い、図4に示すフローチャートにしたがって各時間ステップ毎に時間きざみ幅Δt’および粘性抵抗Cbを求め、この求めたΔt’およびCbを前記式(6)〜(8)の差分方程式に適用して、前述したと同様に試験を行う。
すなわち、図4において、まず、ステップS1において、この時間ステップにおけるバネ定数Kの値を計測する。これは、前記ロードセルなどの荷重センサからの反力R(=K・Xn)の測定値から求める。
次にステップS2において、ωn=√(K/M)より、周期Tを求める。
そして、ステップS3に進み、求めた周期Tに応じて、設定したαとなるように、Δt’を求める。
さらに、ステップS4に進み、Cb=2ζ√(M・K)+ΔCより、この時間ステップにおけるCbnを求める。
そして、このようにして求めたΔt’とCbnとを前記式(6)〜(8)の差分方程式のパラメータとして与え、この時間ステップにおける変位Xを算出し、次の時間ステップに進む。すなわち、次の時間ステップは、Δt’時間後とし、前記波形発生部より対応する地動加速度波形振幅を読み出し、前述したような各時間ステップ毎の処理を実行する。
【0026】
このように、時間ステップ毎に前記図4に示す処理を実行させることにより、前記図3に示す直線Cbの関係を保って制御を行うことが可能となる。従って、常に、前記式(5)の関係を保持して試験を行うことが可能となり、普遍性のあるスード試験を行うことが可能となる。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のスード試験方法およびスード試験装置によれば、常に正確な式を用いてスード試験を実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のスード試験方法が適用されるスード試験装置の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】 粘性抵抗Cとバネ定数Kの関係を説明するための図である。
【図3】 本発明におけるスード試験の制御方法を説明するための図である。
【図4】 本発明におけるスード試験の制御方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】 スード試験について説明するための図である。
【図6】 計測データの一例を示す図である。
【図7】 試験の進行に伴う荷重センサ出力と変位センサ出力の一例を示す図である。
【図8】 系の周波数応答特性を示す図である。
【図9】 粘性抵抗を一定とした場合および減衰係数を一定として場合における周波数応答特性の変化を説明するための図である。
【符号の説明】
11 試験体
12 サーボバルブ
13 アクチュエータ
14 荷重センサ
15 変位センサ
16 変位用アンプ
17 荷重用アンプ
18 波形発生部
19 演算部
20 加算点
21 PID調節部
Claims (2)
- 波形発生手段から入力される加速度波形、試験体の変位を検出する変位センサの出力および試験体に発生する反力を検出する荷重センサの出力に基づいて、時間ステップごとに試験体に負荷する変位を算出し、前記算出された変位を前記試験体に与えるようにフィードバック制御するスード試験方法であって、
前記時間ステップ毎に、系の減衰係数ζが一定の値を保持し、かつ、粘性抵抗Cとバネ定数Kとが常に所定の関係を維持するように、前記試験体のバネ定数Kの値に応じて、前記時間ステップ幅と前記試験体の粘性抵抗Cを制御するステップを有することを特徴とするスード試験方法。 - 加速度波形を発生する波形発生手段と、該波形発生手段の出力、試験体の変位を検出する変位センサの出力および試験体に発生する反力を測定する荷重センサの出力に基づいて、時間ステップごとに試験体に負荷する変位を算出する演算手段と、該算出された変位情報と前記変位センサからの出力信号との偏差信号を算出する加算部と、該偏差信号が0となるように試験体を負荷する試験機部とを有するスード試験装置であって、
前記演算手段は、前記時間ステップ毎に、系の減衰係数ζが一定の値を保持し、かつ、粘性抵抗Cとバネ定数Kとが常に所定の関係を維持するように、前記試験体のバネ定数Kの値に応じて、前記時間ステップ幅と前記試験体の粘性抵抗Cとを制御して、前記試験体の変位を算出するものであることを特徴とするスード試験装置。
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