JP3749378B2 - 逃し弁の梃子装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、温水用熱交換器の温水側又は給水側に設ける温水機器用の逃し弁の梃子装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、図16、17に示す様に、この種の逃し弁aは、弁体bのリフトを調節するために、弁棒c上方に配置した調節棒dを、逃し弁aの本体頂部eに出没自在に突設し、該頂部eに設けた梃子装置fの槓杆gで調節棒dを押圧することで、弁棒cを介して弁体bを強制的に開弁する構造が採用されている。
そして、頂部eにおける梃子装置fの取付け構造にあっては、頂部e下方に周設した鍔部hと、調節棒dの支持ナットi間に、梃子装置fの支持金具jにおけるリング状基部kを頂部eに対し回転自在に介在し、又リング状基部kの直径方向に上方突設した一対の立壁l、l1と、槓杆gの左右に設けた側壁m、m1に略C型の線細工バネnの端部を差し通して、槓杆gを回動自在に設けていた。
そして、この梃子装置fは、槓杆gを回動して倒立させることにより、槓杆gの前端部によって調節棒dを押し下げて弁体bを強制開弁し、槓杆gはかかる倒立状態を保持することで開弁状態を維持する様に成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般に温水機器用の逃し弁aは、梃子装置fで逃し弁aが正常に作動するか否か、即ち弁体bが逃し弁aの1次側と2次側を連通する様に開弁するか否かを定期的に確認する必要があり、上記構造の梃子装置fにおいて作動確認する場合、上記と同様に槓杆gを倒立させていたため、この確認操作の後に槓杆gを通常姿勢に復帰させることを忘れると開弁状態のまま放置され、逃し弁aとして機能しない課題を有していた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題に鑑み、弁棒を介して弁体に連繋すると共に、バネにて本体頂部に出没自在に設けた調節棒を、押圧及び押圧解除することで弁体を開閉操作する槓杆を設けた逃し弁の梃子装置において、該梃子装置は、調節棒より離隔して設けた揺動支点から調節棒上を通り越して延出形成した上下揺動自在な片持ち梁状の揺動体と、該揺動体上方の先端側に槓杆の支軸を設けると共に、該支軸で以て前後に揺動自在に設けた槓杆とから構成することにより、槓杆を前方又は後方揺動することで槓杆による揺動体の押圧状態を変えて、槓杆に対する操作力を解除した時に揺動体を介して押圧される調節棒の押し下げ状態を保持するか、又は初期状態に復帰させる様にして、槓杆の揺動操作を前方か後方かに切り換えることによって、弁体の強制開弁する場合と弁体の作動確認する場合との操作を区別する。
具体的には、槓杆は揺動体上でこれに平行な底部を設けると共に、該底部に垂直な前端部を設け、該前端部と支軸間の距離を揺動体と支軸間の距離より長くして、且つ槓杆の前方揺動で揺動体を下方圧接する槓杆の前端部が揺動体を介して調節棒を開弁位置へ押し下げ保持する長さに設定し、従来同様に強制開弁できる様にする。
又、槓杆の後方揺動で揺動体を下方圧接する槓杆の底部後端が揺動体を介して調節棒を押圧可能と成す様に、槓杆の底部後端と支軸間の距離を前記前端部と支軸間の距離より長く形成することにより、調節棒を押し下げた後に、槓杆を手放せば槓杆が調節棒を上方付勢しているバネと、揺動体の揺動復帰とにより自動的に初期状態に復帰させて、開弁状態のまま放置しない様にする。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
1は入口2と出口3の流路を直角に形成した温水機器用逃し弁の本体であり、該本体1は入口2を設けた弁箱4上に、流路を1次(入口2)側流路5と2次(出口3)側流路6に区割するダイヤフラム7を介して、出口3を設けたバネ箱8を接合し、該バネ箱8上に2次側流路6と区画形成された円筒形状の調節室9を立設している。
【0006】
又、ダイヤフラム7は、中央に開口部10を形成し、該開口部10に筒状の弁口ガイド11を挿嵌し、該弁口ガイド11の中空部を弁口12と成すと共に、弁口ガイド11の1次側開口端部を弁座13と成している。
又、弁口ガイド11は、ダイヤフラム7の1次側表面(下面)に接合する円盤状のダイヤフラム押さえ14を弁座13より段差を設けて周設している。
【0007】
又、上記ダイヤフラム押さえ14に対応して、ダイヤフラム7の2次側表面(上面)にも、円盤状のダイヤフラム押さえ15を接合しており、このダイヤフラム押さえ15は、ダイヤフラム7の開口部10に対応した開口部16を中央に設けている。
又、ダイヤフラム押さえ15の非接合面(上面)における開口部16周囲に環状の凹部17を形成している。
そして、弁口ガイド11の2次側開口端部13aを凹部17上に掛止する様に外方へ折曲してかしめ、かかる折曲部13aにより、ダイヤフラム押さえ14、15間にダイヤフラム7を挟持している。
又、ダイヤフラム7下面のダイヤフラム押さえ14は、その外周側を弁箱4上部に設けた受承面18上に載置している。
【0008】
又、ダイヤフラム押さえ15の上面には、弁棒ガイド19を固定しており、該弁棒ガイド19は、所定口径の円筒状の外輪部20中央に、これより長い円筒状のガイド部21を配置し、該ガイド部21の外壁より放射状に突出した複数の支持片22、22a…を外輪部20の内壁に架設し、外輪部20、ガイド部21及び支持片22、22a…で区画された中空部を、上下に貫通した流通路23、23a…と成している。
24は上記外輪部20の外壁下部に外方突設した円盤状の固定部であり、該固体部24を上記凹部17上に固定し、弁棒ガイド19をダイヤフラム押さえ15に一体的に固定している。
【0009】
25は弁座13に着離自在に設けた弁体であり、該弁体25の中央に2次側へ突出する弁棒26を立設し、該弁棒26を弁棒ガイド19のガイド部21に摺動自在に挿通している。
弁棒26は先端に鍔状のバネ受け27を設け、該バネ受け27に対向する上記ガイド部21の上端面を別途バネ受け28と成し、両バネ受け27、28間にリフトバネ29を圧縮介装し、弁体25を閉弁する様に付勢している。
又、2次側のダイヤフラム押さえ15(固定部 24 )と、2次側流路6(バネ箱8内)の上面部間に調節バネ30を圧縮介装し、ダイヤフラム7を1次側流路5側へ押圧する様に付勢している。
【0010】
調節室9は、上部を開口形成し、内方底部31の中心に2次側流路6に連通して、且つ弁棒26上に対応した貫通孔32を設けている。
33は弁棒26に連繋して弁体25を強制開弁させる調節棒であり、該調節棒33は、調節室9より長く、貫通孔32に摺動自在に挿通して、その下端を弁棒26上に離隔配置している。
又、調節棒33は、その中央部の上下に鍔片34、34aを設け、下方の鍔片34aをバネ受けと成し、該バネ受け34aと調節室9の内方底部31間に戻しバネ35を圧縮介装している。
そして、調節室9の上方開口部に、調節棒33を摺動自在に貫通突出する螺子蓋36を螺入し、該螺子蓋36の下部で調節棒33の上方の鍔片34を押圧して、戻しバネ35の弾性を調節し、調節棒33を調節室9(螺子蓋36)上より出没自在に突設している。
【0011】
37は本体頂部(調節室9)に突出している調節棒33を押圧及び押圧解除することで弁体25を開閉操作する梃子装置であり、梃子装置37は本体頂部9に取付けた支持金具38に設けた片持ち梁状の揺動体39と、支持金具38に前後に揺動自在に設けた槓杆40とから成る。
【0012】
支持金具38は、バネ鋼材など塑性変形しない程度の弾性を有する材質により一体形成され、本体頂部9に外嵌装着されるC型止め輪から成る装着部41と、該装着部41の開口端部42、42aの外側端部に装着部41の直径幅を以て対向立設した一対の矩形状の軸受板43、43aと、上記揺動体39とから成る。
【0013】
揺動体39は、装着部41において開口端部42、42aの反対側に突出形成した略帯板状の基体を折り返し、軸受板43、43a間を通り抜けて軸受板43、43aより外方へ突出している。
揺動体39の基端部44(基体の折り返し部)は略C型に丸め、該基端部44を弾性的に支持して揺動体39を上下揺動自在と成すと共に、丸められた基端部44の中心を揺動体39の揺動支点45と成している。
そして、揺動体39は基端部44から上方へ傾斜状に斜設し、かかる傾斜部46において装着部41の中心、即ち支持金具38を本体頂部9に取付けた状態で調節棒33の突出端部上方に対応した部位を屈曲形成し、かかる屈曲部47から先端までを装着部41に平行(水平)に設けている。
従って、支持金具38を本体頂部9に取り付けた状態では、揺動体39はその揺動支点45が調節棒33より離隔して設けられ、該揺動支点45から調節棒33上を通り越して延出形成されている。
又、揺動体39はその幅を軸受板43、43aの間隔より幅小に形成し、揺動体39の水平部48において、軸受板43、43aの対応部位に左右に張り出した突片49、49aを設けている。
【0014】
50、50aは軸受板43、43aの上端部を内側へ直角に屈曲形成した当止め部であり、該当止め部50、50aの間隔は槓杆40の幅より若干広く形成している。
51、51aは揺動体39の水平部48より上方位置に設けた槓杆40の支軸52の軸穴である。
【0015】
槓杆40は、金属帯板状の基体前方の左右端縁部に横長矩形状の垂下壁53、53aを垂下形成し、該垂下壁53、53aはその底部54、54aを基体に平行に設けると共に、垂下壁53、53aの前端部55、55a及び後端部56、56aを底部54、54aに垂直に設け、又垂下壁53、53aの略中央部に支軸52を貫通する支軸穴57、57aを設けている。
そして、槓杆40の前端部55、55aを揺動体39の基端部44の反対側に向けて槓杆40の垂下壁53、53aの底部54、54aを揺動体39先端側の水平部48上でこれに平行に配設すると共に、槓杆40の支軸穴57、57a及び軸受板43、43aの軸穴51、51aに支軸52を貫通して軸受板43、43aに支軸52を架設し、槓杆40を支軸52で以て前後に揺動自在に設け、一方本体頂部9の上部外周に装着部41の肉厚より間隔大に刻設した溝部58に、支持金具38の装着部41を本体頂部9に対し回転自在に取付けて梃子装置37を構成している。
尚、ここで、槓杆40の底部54、54aと揺動体39の水平部48とが平行とは、図の如く両者48、54、54a間に狭小な隙間を設けた場合のみならず、槓杆40の底部54、54aが揺動体39の水平部48上に接触していることも含む。
又、支持金具38に取付けた槓杆40は、軸受板43、43aの当止め部50、50a間に垂下壁53、53aの上端部が対応する様にして当止め部50、50a上方より槓杆40の上端部を突出させ、槓杆40が揺動体39上で左右にずれない様に位置決めしている。
又、槓杆40の底部54、54aと前端部55、55a及び後端部56、56aが直交する隅角部(底部前端及び後端)59、59a,60、60aは丸みを帯びる様に形成している。
【0016】
ここで梃子装置37における槓杆40、支軸52及び揺動体39との関係について説明する。
支持金具38における軸受板43、43aは装着部41の開口端部42、42aの外側端部に設けられているので、槓杆40の支軸52は調節棒33より離隔して揺動体39の水平部48上方に配置、図において支軸52は本体頂部9の円周上方に配置されている。
そして、槓杆40の前端部55、55aと支軸52間の距離Xは、揺動体39の水平部48と支軸52間の距離Yより長くして、且つ槓杆 40 の前方揺動で揺動体 39 を下方圧接する槓杆 40 の前端部 55 、 55 aが揺動体 39 を介して調節棒33を開弁位置へ押し下げ保持する長さLに設定され、槓杆40の柄61を上方へ回動(槓杆40の前方揺動)することにより、槓杆40の前端部55、55aが揺動体39の水平部48を下方圧接し、揺動体39を下方へ揺動させて、揺動体39下部の調節棒33を開弁位置へ押し下げ保持する様に成している。
かかる槓杆40の揺動体39の圧接状態では、図13に示す様に、槓杆40はその前端部55、55aが揺動体39の水平部48に当接して、該水平部48に対し垂直に倒立し、その状態を保持することで、揺動体39が調節棒33の押圧状態を保持して弁体25の強制開弁を維持する様に成している。
又、槓杆 40 の後方揺動で揺動体 39 を下方圧接する槓杆 40 の底部後端 60 、 60 aが揺動体 39 を介して調節棒 33 を押圧可能と成す様に、槓杆40の底部後端60、60aと支軸52間の距離Zを槓杆40の前端部55、55aと支軸52間の距離Xより長く形成し、これにより槓杆40の柄61を下方へ回動して槓杆40を後方揺動させる際に、槓杆40の垂下壁53、53aの後端部56、56aが上記の如く揺動体39上に面接触しない様に成し、槓杆40の底部後端60、60aが揺動体39の屈曲部47を介して調節棒33を下方圧接して、これを押し下げる様に成している。
【0017】
又、上記では距離Zを距離Xより長く形成し、槓杆40の後方揺動において、槓杆40の後端部56、56aを揺動体39に面接触させず、槓杆40を手放すことで、これが自動復帰する様にしたものを示したが、かかる手段以外で上記と同様に槓杆40を自動復帰させる様にしても良い。
即ち、槓杆40の後方揺動において、揺動体 39 を下方圧接する槓杆40の底部後端60、60aの揺動体 39 及び戻しバネ 35に対する押圧力と、該押圧力の抗力(戻しバネ35と揺動体39の弾性力)が釣り合う手前の揺動位置で、槓杆40が揺動体39で当止めされる回転抑止手段を設ける。
具体的な回転抑止手段としては、槓杆40の柄61であり、図15に示す様に、後方揺動において、柄61の下部における後端部56、56aから連続形成した傾斜部位が揺動体39の基端部44上に当止めされ、槓杆40の後端部56、56aが揺動体39上で面接触しない様に成している。
従って、回動抑止手段を設けた場合には、距離Zは距離Xより長くても、短くても、又は同一であっても良い。
図15は距離Zを距離Xより短くした場合を示しているが、距離Zを極端に短くすると、底部後端60、60aが調節棒33を下方へ押圧できない場合もあるので、距離Zは槓杆40の後方揺動で調節棒33を押圧できる長さが必要である。
【0018】
次に本発明に係る逃し弁の梃子装置の作用について説明する。
本体1において、1次側流路5の圧力が2次側流路6より上がると、調節バネ30の弾性力に抗してダイヤフラム7を2次側流路6の方へ押圧する。
ダイヤフラム7と共に弁棒26も移動し、その先端が調節棒33の下端に接触することで、リフトバネ29の弾性力に抗して弁棒26を押し戻し、これにより弁体25が開弁し、1次側流路5から2次側流路6へ流体が流動し、1次側流路5の圧力が下がると、弁体25が閉弁する。
【0019】
そして、弁体25を強制開弁する時は、図12に示す槓杆40の通常姿勢(初期状態)からその柄61を引き起こす様に上方へ回動して、槓杆40を前方揺動することで、槓杆40の前端部55、55aを揺動体39の水平部48上に当接する様に転回させ、該水平部48を下方へ押圧する。
ここで、槓杆40の前端部55、55aと支軸52間の距離Xは、揺動体39の水平部48と支軸52間の距離Yより長くして、且つ槓杆 40 の前方揺動で揺動体 39 を下方圧接する槓杆 40 の前端部 55 、 55 aが揺動体 39 を介して調節棒33を開弁位置へ押し下げ保持する長さLに設定されているため、上記槓杆40の前方揺動により、槓杆40の前端部55、55aが揺動体39の水平部48を下方圧接すると共に、揺動体39を揺動支点45で以て下方揺動させて、揺動体39の屈曲部47下部の調節棒33を開弁位置へ押し下げて弁体25を開弁し、図13の如く前端部50、50aは揺動体39の水平部48に対し圧接状態を維持している。
かかる槓杆40による揺動体39の圧接状態では、槓杆 40 の前端部 55 、 55 aが揺動体 39 を介して調節棒33を開弁位置へ押し下げ保持する長さLに設定された槓杆40の前端部55、55aと支軸52間の距離Xを、支軸52を支持した軸受板43、43aで保持させられ、これにより揺動体39の水平部48に対する前端部55、55aの当接状態を保持させられ、槓杆40は揺動体39の水平部48に対し垂直に倒立し、揺動体39による調節棒33の押し下げ状態を維持している。
【0020】
又、弁体25の作動確認時には、槓杆40を後方揺動、即ち槓杆40の柄61を押し下げる様に下方へ揺動することで、図14の様に槓杆40の底部後端60、60aが揺動体39の屈曲部47を介して調節棒33を押し下げ、又槓杆40への押し下げ力を解除すると、揺動体39は、その基端部44のばね作用により、調節棒33は戻しバネ35の弾性力により、夫々復帰すると共に、槓杆40は揺動体39及び調節棒33の復帰動作により追従復帰して図12に示す初期状態となる。
この槓杆40の後方揺動において、揺動体 39 を下方圧接する槓杆 40 の底部後端 60 、 60 aが揺動体 39 を介して調節棒 33 を押圧可能と成す様に、槓杆40の底部後端60、60aと支軸52間の距離Zを槓杆40の前端部55、55aと支軸52間の距離Xより長く形成しているため、上記の前方揺動とは異なり、槓杆40の垂下壁53、53aの後端部56、56aは、揺動体39上に面接触せず、槓杆40の底部後端60、60aが揺動体39の屈曲部47を介して調節棒33を圧接するだけであり、槓杆40に対する押し下げ力の解除によって槓杆40、揺動体39及び調節棒33は上記の如く復帰する。
【0021】
又、図15に示す梃子装置37にあっては、強制開弁のための前方揺動については上記と同様であり、弁体25の作動確認のための後方揺動については、槓杆40の底部後端60、60aが揺動体39の水平部48を介して調節棒33を押し下げ、槓杆40の底部後端60、60aの揺動体 39 及び戻しバネ 35に対する押圧力と、これの抗力(戻しバネ35と揺動体39の弾性力)が釣り合う槓杆40の後方揺動位置の手前、即ち槓杆40の柄61下部(回転抑止手段)が揺動体39の基端部44上で当止めされる位置で、槓杆40の後方揺動が抑止され、ここで槓杆40への押し下げ力を解除すると、上記と同様に槓杆40は揺動体39及び調節棒33の復帰動作により追従復帰して図15中1点鎖線で示す初期状態となる。
【0022】
【発明の効果】
要するに本発明は、弁棒26を介して弁体25に連繋すると共に、バネ35にて本体頂部9に出没自在に設けた調節棒33を、押圧及び押圧解除することで弁体25を開閉操作する槓杆40を設けた逃し弁の梃子装置37において、該梃子装置37は、調節棒33より離隔して設けた揺動支点45から調節棒33上を通り越して延出形成した上下揺動自在な片持ち梁状の揺動体39と、該揺動体39上方の先端側に槓杆40の支軸52を設けると共に、該支軸52で以て前後に揺動自在に設けた槓杆40とから成るので、槓杆40を前方又は後方揺動することで槓杆40による揺動体39の押圧状態を変えて、槓杆40に対する操作力を解除した時に揺動体39を介して押圧される調節棒33の押し下げ状態を保持するか、又は初期状態に復帰させる様にして、槓杆40の揺動操作を前方か後方かに切り換えることによって、弁体25の強制開弁する場合と弁体25の作動確認する場合との操作を区別し、特に弁体25の作動確認時における開弁状態のままでの放置による不具合を解消できる。
【0023】
そして、槓杆40は揺動体39上でこれに平行な底部54、54aを設けると共に、該底部54、54aに垂直な前端部55、55aを設け、該前端部55、55aと支軸52間の距離Xを揺動体39と支軸52間の距離Yより長くして、且つ槓杆 40 の前方揺動で揺動体 39 を下方圧接する槓杆 40 の前端部 55 、 55 aが揺動体 39 を介して調節棒33を開弁位置へ押し下げ保持する長さLに設定したので、強制開弁時において、前端部55、55aを揺動体39に当接する様に槓杆40を前方揺動すると、前端部 55 、 55 aが揺動体 39 を介して調節棒33を開弁位置へ押し下げ保持する長さLに設定された槓杆40の前端部55、55aと支軸52間の距離Xを、槓杆40が揺動体39上で保持できるため、図13の如く槓杆40のかかる揺動により下方揺動する揺動体39を介して調節棒33を押し下げ、この状態を保持して開弁状態を維持できる。
【0024】
又、槓杆 40 の後方揺動で揺動体 39 を下方圧接する槓杆 40 の底部後端 60 、 60 aが揺動体 39 を介して調節棒 33 を押圧可能と成す様に、槓杆40の底部後端60、60aと支軸52間の距離Zを前記前端部55、55aと支軸52間の距離Xより長く形成したので、弁体25の作動確認時において、槓杆40を上記とは逆の後方揺動することにより、槓杆40の底部後端60、60aで揺動体39を介して調節棒33を下方へ押圧でき、戻しバネ35の弾性力が調節棒33に作用していることを槓杆40から伝わる手応えで弁体25が正常に働いているかを確認でき、その後槓杆40を手放せば、揺動体39は、その基端部44のばね作用により、調節棒33は戻しバネ35の弾性力により、夫々復帰すると共に、槓杆40は揺動体39及び調節棒33の復帰動作により追従復帰して、初期状態となるため、従来の様な開弁状態のまま放置されるといった不具合を解消できる。
【0025】
又は、槓杆 40 の後方揺動において、揺動体 39 を下方圧接する槓杆 40 の底部後端 60 、 60 aの揺動体 39 及びバネ 35 に対する押圧力と、該押圧力の抗力が釣り合う手前の揺動位置で、槓杆40が揺動体39に当止めされる回転抑止手段を設けたので、弁体25の作動確認のための後方揺動において、槓杆40が回転抑止手段により揺動体39に当止めされるまでの間、槓杆40の底部後端60、60aにより調節棒33を下方押圧でき、この間に槓杆40からの上記と同様なる手応えによって作動確認を行え、その後槓杆40を手放すことで揺動体39と戻しバネ35により槓杆40及び調節棒33を自動的に復帰させられ、開弁状態のまま放置されるといった不具合を解消できる。
【0026】
又、揺動体39の基端部44を弾性的に支持して、揺動体39を揺動自在と成したので、揺動体39の基端部44をヒンジ部材を用いることなく、揺動体39を揺動及び揺動復帰させことができるため、部品点数や梃子装置37の組み付け工程を少なくでき、コスト低減を図ることが出来る。
【0027】
又、揺動体39及び槓杆40を設けた支持金具38に、C型止め輪から成る装着部41を設け、該装着部41を本体頂部9の外周に刻設した溝部58に取付けたので、C型止め輪用の専用治具を用いて装着部41を開き、溝部58に嵌め込むだけの簡単な作業で梃子装置37を取付けできる。
又、梃子装置37は、支持金具38と槓杆40の2物品で、従来品に比較して部品点数が極めて少なく、両物品の組み付け、及び本体1への取付け工程が減り、作業効率が良い。
又、梃子装置37は、従来の様に支持ナットhによる取付けではないため、本体頂部9への雄螺子の刻設を不要とし、製造コストを低減でき、しかも逃し弁aの据え付け場所によっては、振動等の外的要因により、支持ナットiが弛んで外れ、逃し弁aが機能しない恐れがあるといった欠点をも解消できる等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】逃し弁本体の断面図である。
【図2】梃子装置の平面図である。
【図3】梃子装置の正面図である。
【図4】梃子装置の側面図である。
【図5】支持金具の平面図である。
【図6】支持金具の正面図である。
【図7】支持金具の側面図である。
【図8】図6のAーA断面図である。
【図9】槓杆の平面図である。
【図10】槓杆の正面図である。
【図11】槓杆の側面図である。
【図12】槓杆の通常姿勢を示す要部断面図である。
【図13】槓杆による強制開弁状態を示す要部断面図である。
【図14】槓杆による作動確認状態を示す要部断面図である。
【図15】槓杆の変形例を示す要部断面図である。
【図16】従来の逃し弁の断面図である。
【図17】梃子装置の取付け状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
9 本体頂部
25 弁体
26 弁棒
33 調節棒
35 バネ
37 梃子装置
38 支持金具
39 揺動体
40 槓杆
41 装着部
44 基端部
45 揺動支点
52 支軸
54、54a 底部
55、55a 前端部
58 溝部
60、60a 底部後端
L 長さ
X 距離
Y 距離
Z 距離
Claims (4)
- 弁棒を介して弁体に連繋すると共に、バネにて本体頂部に出没自在に設けた調節棒を、押圧及び押圧解除することで弁体を開閉操作する槓杆を設けた逃し弁の梃子装置において、該梃子装置は、調節棒より離隔して設けた揺動支点から調節棒上を通り越して延出形成した上下揺動自在な片持ち梁状の揺動体と、該揺動体上方の先端側に槓杆の支軸を設けると共に、該支軸で以て前後に揺動自在に設けた槓杆とから成り、該槓杆は揺動体上でこれに平行な底部を設けると共に、該底部に垂直な前端部を設け、該前端部と支軸間の距離を揺動体と支軸間の距離より長くして、且つ槓杆の前方揺動で揺動体を下方圧接する槓杆の前端部が揺動体を介して調節棒を開弁位置へ押し下げ保持する長さに設定し、槓杆の後方揺動で揺動体を下方圧接する槓杆の底部後端が揺動体を介して調節棒を押圧可能と成す様に、槓杆の底部後端と支軸間の距離を前記前端部と支軸間の距離より長く形成したことを特徴とする逃し弁の梃子装置。
- 弁棒を介して弁体に連繋すると共に、バネにて本体頂部に出没自在に設けた調節棒を、押圧及び押圧解除することで弁体を開閉操作する槓杆を設けた逃し弁の梃子装置において、該梃子装置は、調節棒より離隔して設けた揺動支点から調節棒上を通り越して延出形成した上下揺動自在な片持ち梁状の揺動体と、該揺動体上方の先端側に槓杆の支軸を設けると共に、該支軸で以て前後に揺動自在に設けた槓杆とから成り、該槓杆は揺動体上でこれに平行な底部を設けると共に、該底部に垂直な前端部を設け、該前端部と支軸間の距離を揺動体と支軸間の距離より長くして、且つ槓杆の前方揺動で揺動体を下方圧接する槓杆の前端部が揺動体を介して調節棒を開弁位置へ押し下げ保持する長さに設定し、槓杆の後方揺動において、揺動体を下方圧接する槓杆の底部後端の揺動体及びバネに対する押圧力と、該押圧力の抗力が釣り合う手前の揺動位置で、槓杆が揺動体に当止めされる回転抑止手段を設けたことを特徴とする逃し弁の梃子装置。
- 揺動体の基端部を弾性的に支持して、揺動体を揺動自在と成したことを特徴とする請求項1又は2記載の逃し弁の梃子装置。
- 揺動体及び槓杆を設けた支持金具に、C型止め輪から成る装着部を設け、該装着部を本体頂部の外周に刻設した溝部に取付けたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の逃し弁の梃子装置。
Priority Applications (1)
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JP13442798A JP3749378B2 (ja) | 1998-04-27 | 1998-04-27 | 逃し弁の梃子装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP13442798A JP3749378B2 (ja) | 1998-04-27 | 1998-04-27 | 逃し弁の梃子装置 |
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JPH11311364A JPH11311364A (ja) | 1999-11-09 |
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Family Applications (1)
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JP13442798A Expired - Lifetime JP3749378B2 (ja) | 1998-04-27 | 1998-04-27 | 逃し弁の梃子装置 |
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Country | Link |
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Families Citing this family (1)
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JP6205165B2 (ja) * | 2013-04-18 | 2017-09-27 | 株式会社不二工機 | 切換弁 |
-
1998
- 1998-04-27 JP JP13442798A patent/JP3749378B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11311364A (ja) | 1999-11-09 |
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