JP3748488B2 - 光及び熱に安定な茶ポリフェノール含有組成物 - Google Patents

光及び熱に安定な茶ポリフェノール含有組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光及び熱に安定な茶ポリフェノール含有組成物に関する。この組成物は、洗浄剤や化粧品等に配合して用いられる。
【0002】
【従来の技術】
化粧品分野において、植物ポリフェノール類(タンニン類)は古くから収斂剤もしくは発汗抑制剤、すなわち皮膚のタンパク質、特に汗腺の開口部を凝固、収縮させることにより発汗を抑制する薬剤として用いられてきた。
また、近年はポリフェノール類の中でも特に茶ポリフェノール類であるカテキン類やテアフラビン類が、その抗菌性、抗う蝕性、消臭能、抗酸化性などの性質が注目され、歯磨き、石けん等に添加されている。
しかしながら、茶ポリフェノール類を含む溶液は、高温に曝されたり、光が照射される条件下で容易に褐変し、時間の経過と共にその外観が著しく変化する。しかも、その際に、茶ポリフェノール類は重合や分解が進み、その生理活性が損なわれてしまう。
このような理由から、ポリフェノール類を含む組成物は、その用途、形態や使用量が限定されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、光や熱に対して安定性の高い茶ポリフェノール含有組成物を提供することである。
本発明者らは、長年にわたり茶の機能性について研究を重ね、茶に含まれるカテキン類やテアフラビン類が優れた抗菌性、抗う蝕性、消臭能、抗酸化性等の性質を有していることを明らかにしてきた。
一方、上記した如く、光照射下や高温条件下で褐変が起き易いという茶ポリフェノール類の問題点を克服すべく鋭意検討を重ねた。その結果、茶ポリフェノール類を特定の界面活性剤と混合した溶液が光及び熱に安定であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、茶ポリフェノール及び下記の式1で表されるポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩を含有することを特徴とする洗浄剤用組成物である。
【化5】
Figure 0003748488
(式中、RはC12H25又はC14H29、nは1〜5の整数、Mは KまたはNaを示す。)
【0005】
請求項2記載の本発明は、茶ポリフェノール及び下記の式1で表されるポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩を含有することを特徴とする化粧品用組成物である。
【化6】
Figure 0003748488
(式中、Rは C 12 H 25 又は C 14 H 29 、nは1〜5の整数、Mは K または Na を示す。)
【0006】
請求項記載の本発明は、茶ポリフェノールが、(+)−カテキン、(−)−カテキン、(+)−ガロカテキン、(+)−エピガロカテキン、(+)−ガロカテキンガレート、(+)−エピガロカテキンガレート、(−)−エピカテキン、(−)−エピカテキンガレート、(−)−カテキンガレート、(−)−エピガロカテキン、(−)−ガロカテキン、(−)−エピガロカテキンガレート、(−)−ガロカテキンガレート、テアフラビンモノガレートA、テアフラビンモノガレートB、テアフラビンジガレート及び遊離型テアフラビンよりなる群から選ばれた少なくとも1種のものである請求項1又は2記載の組成物である。
【0007】
請求項4記載の本発明は、下記の式1で表されるポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩を有効成分とする光及び熱に対する茶ポリフェノール用安定化剤である。
【化7】
Figure 0003748488
(式中、Rは C 12 H 25 又は C 14 H 29 、nは1〜5の整数、Mは K または Na を示す。)
【0008】
請求項記載の本発明は、下記の式1で表されるポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩を共存させることを特徴とする茶ポリフェノールの光及び熱安定性を改善する方法である。
【化8】
Figure 0003748488
(式中、RはC12H25又はC14H29、nは1〜5の整数、Mは KまたはNaを示す。)
【0009】
請求項記載の本発明は、請求項1記載の組成物を配合した洗浄剤である。
請求項記載の本発明は、請求項記載の組成物を配合した化粧品である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において、茶は茶樹(Camellia sinensis)から得られる葉、茎、木部、根、実やこれらの混合物を意味する。茶としては、飲用茶葉を用いるのが一般的である。
また、茶の種類については制限がなく、例えば紅茶、プアール茶などの発酵茶、ウーロン茶、包種茶などの半発酵茶、緑茶、釜煎り緑茶、ほうじ茶などの不発酵茶並びにこれらの混合物がある。
【0011】
本発明に用いる茶ポリフェノールとしては、上記の茶を水、熱水、含水有機溶媒、有機溶媒などで抽出したもので、一般に茶抽出物として知られている。
また、本発明には上記の茶抽出物を精製した茶ポリフェノール高含有物を用いることもできる。これらは特公平1-44232 号公報、同2-12474 号公報、同2-22755 号公報、特開平4-20589 号公報、同5-260907号公報、同8-109178号公報などに記載された方法により製造することができ、例えば茶葉を水、熱水、有機溶媒、含水有機溶媒などにより抽出して得た抽出物を、有機溶媒分画や吸着樹脂などを用いて所望の程度に精製することもできる。
【0012】
このようにして得られた茶抽出物や茶ポリフェノール高含有物に含まれる茶ポリフェノールとしては、具体的にはカテキン類、すなわち(+)−カテキン、(−)−カテキン、(+)−ガロカテキン、(+)−エピガロカテキン、(+)−ガロカテキンガレート、(+)−エピガロカテキンガレート、(−) −エピカテキン、(−) −エピカテキンガレート、(−)−カテキンガレート、(−) −エピガロカテキン、(−)−ガロカテキン、(−) −エピガロカテキンガレート、(−)−ガロカテキンガレートなど、テアフラビン類、すなわちテアフラビンモノガレートA、テアフラビンモノガレートB、テアフラビンジガレート、遊離型テアフラビンなどが含まれ、これらを単独もしくは組み合わせて用いる。
【0013】
また、上記の茶ポリフェノールは市販品を入手することもでき、例えばカテキン類を主成分とするものとして、商品名:ポリフェノン60(三井農林株式会社製、茶ポリフェノール含量60%以上)、商品名:ポリフェノン30(三井農林株式会社製、茶ポリフェノール含量30%以上)等がある。また、テアフラビン類を主成分とするものとして、商品名:ポリフェノン TF(三井農林株式会社製、組成:テアフラビン 16.8%,テアフラビンモノガレートA 19.5%,テアフラビンモノガレートB 16.1%,テアフラビンジガレート 31.4%)等がある。
【0014】
本発明で用いるポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩は、前記の式1で表される物質であるが、このようにスルホコハク酸塩にアルキル基やポリオキシエチレンなどが付加した化合物はアニオン界面活性剤として広く用いられているものである。例えば化粧品に使用されているウンデシレノイルアミドエチルスルホコハク酸二ナトリウム、オレイン酸アミドスルホコハク酸二ナトリウム、ジウンデシレノイルアミドエチルスルホコハク酸ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、ポリオキシアルキルスルホコハク酸二ナトリウム、スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウロイルエタノールアミド二ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムなどが挙げられる。
【0015】
本発明の光及び熱に安定な茶ポリフェノール含有組成物は、上記した茶抽出物や茶ポリフェノール高含有物を水または含水エタノールに溶解し、これをポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩の溶液と混合することにより調製することができる。
ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩の溶媒としては、水の他に含水エタノールなどの有機溶媒も使用することができる。また、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩の濃度は、該組成物の濃度や添加する茶ポリフェノールの濃度にもよるが、0.1〜50%(w/w)、好ましくは0.5〜20%(w/w)が適当である。この上限を超えると、種々の用途に適した処方の作成が困難となり、また下限未満では、望ましい効果が得られない。
また、本発明の茶ポリフェノール含有組成物のpHは7以下、特に6.5以下に調整することが好ましい。該組成物のpHが7を超えると、茶ポリフェノールが不安定となり、望ましい効果が得られない。
【0016】
こうして得た本発明の茶ポリフェノール含有組成物は、洗浄剤や化粧品などの成分として用いることができ、それによって前記した機能を賦与することができる。
このうち洗浄剤とは、界面活性剤を含有し、衣類、食器、各種家庭用品、食品、ヒトの身体・頭髪、ペットを清潔に保つために用いる洗浄剤を指し、例えば衣類用洗剤、台所用洗剤、風呂用洗剤、トイレ用洗剤、野菜・果物用洗剤、石けん、ハンドソープ、ボディーシャンプー、洗髪用シャンプー、ベビーシャンプー、ペット用シャンプー、洗顔クリームなどがある。さらに、石けんには皮膚の殺菌消毒を目的とした、またシャンプーにはフケや痒みの防止を目的とした医薬部外品なども含まれる。
洗浄剤を調製する場合、常用の成分に加えて、水又は含水エタノールに茶ポリフェノールを10〜5000ppm、好ましくは50〜2000ppm溶解したものに対し、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩を1〜50%(w/w)、特に5〜20%(w/w)の割合で混合したものを添加すればよい。なお、茶ポリフェノールを安定させるため、洗浄剤のpHを微酸性とすることが望ましい。
【0017】
次に、本発明における化粧品とは、化粧用及び医薬部外品として用いるクリーム、乳液、化粧水、歯磨きなどがある。クリームにはその使用目的から、皮膚の清浄・化粧落とし用としてクレンジングクリーム、皮膚の血液循環促進用としてマッサージクリーム、皮膚の保護・保湿・柔軟用としてエモリエントクリーム、ナリシングクリーム、ナイトクリーム、化粧下地としてベースクリームなどのほか、にきび用の外用剤(医薬部外品)などがある。
乳液にはその使用目的から、皮膚の清浄・化粧落とし用としてクレンジングローション、クレンジングミルク、皮膚の保護・保湿・柔軟用としてエモリエントローション、ハンドローション、ボディーローション、皮膚の血行促進用としてマッサージミルク、マッサージローションなどがある。
【0018】
歯磨きには、歯の清浄を目的とした製品(化粧品)及び虫歯、歯槽膿漏、歯肉炎などの予防を目的に薬効成分を配合した製品(医薬部外品)があり、その形態としては液体状、粉末状、練り状等がある。
化粧水には、その機能や使用目的から清浄用化粧水、収斂性化粧水、柔軟性化粧水や多層状化粧水(シェークローション、カラミンローション)などがある。 化粧品を調製する場合は、水又は含水エタノールに茶ポリフェノールを10〜5000ppm、好ましくは50〜2000ppm溶解したものに対し、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩を0.1〜20%(w/w)、好ましくは0.5〜10%(w/w)になるように加えて混合したものを、常用の成分に加えて、添加すればよい。また、茶ポリフェノールの安定性を考慮すると、該化粧品は微酸性とすることがよい。
【0019】
上記の方法により調製した本発明の茶ポリフェノール含有組成物は、光及び熱に対して安定であるため、該物質の有する様々な生理活性等を洗浄剤や化粧品などに付与することができる。しかも、褐変などの変化が起こりにくく、これら製品の外観に悪影響を与えない。
【0020】
【実施例】
以下に、本発明を実施例等により詳しく説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実施例1
蒸留水に所定量のポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム(商品名:コハクールL−400 、東邦化学工業株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム含量27%)及び茶ポリフェノール(商品名:ポリフェノン60、三井農林株式会社製、茶ポリフェノール含量60%)を添加した後、溶液のpHを6.0に調整した。続いて、蒸留水で定容し、これを茶ポリフェノール含有組成物とした。組成物中の各成分の最終濃度は、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウムは0〜7.5%の各量、茶ポリフェノールは600ppmである。
次に、上記組成物をそれぞれ透明のガラスビンに入れて密封した後、日が当たる窓際〔室温:平均18℃、日照時間(日光が直接照射する時間、以下同じ。):平均6時間〕に6日間放置した。
6日後に該組成物の色の変化を、波長380nmにおける吸光度を分光光度計により測定することにより調べた。結果を第1表に示す。
【0021】
【表1】
Figure 0003748488
1)ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウムは7.5%、茶ポリフェノールは600ppmの場合。
【0022】
この結果、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウムを添加したいずれの区においても、吸光度の変化はごく僅かだったが、添加しない区では吸光度が大幅に上昇した。従って、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウムを茶ポリフェノールと共存させることにより、光や熱による茶ポリフェノールの褐変を抑制できることが明らかとなった。
【0023】
実施例2
10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0、0.1%安息香酸ナトリウムを含む)に、各種スルホン酸塩またはコハク酸ナトリウムと、茶ポリフェノール(商品名:ポリフェノン60、三井農林株式会社製、茶ポリフェノール含量60%)を添加し、これを試験管に入れ密封した後、日が当たる窓際(室温:平均18℃、日照時間:平均6時間)に6日間放置した。このときの最終濃度は、スルホン酸塩は-SONaとして1%(w/w)、コハク酸ナトリウムは 1. 4%(w/w)、茶ポリフェノールは300ppmである。なお、対照区には、茶ポリフェノール300ppmのみを添加した。
6日間放置後の水溶液の色の変化を、波長380nmにおける吸光度を分光光度計により測定することにより調べた。結果を第2表に示す。
【0024】
【表2】
Figure 0003748488
1)茶ポリフェノール300ppm。
【0025】
この結果、放置後の吸光度は共存させた化合物により異なったが、保存前の対照区と比較して吸光度がほとんど変化しなかったのは、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウムを添加した区のみであった。
【0026】
実施例3
蒸留水に、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム(商品名:コハクールL−400 、東邦化学工業株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム含量27%)及び茶ポリフェノール(商品名:ポリフェノン60、三井農林株式会社製、茶ポリフェノール含量60%)を添加した後、pHを6.0に調整した。次に、蒸留水で定容し、これを茶ポリフェノール含有組成物とした。溶液中の各成分の最終濃度は、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウムは0〜5.4%の各量、茶ポリフェノールは0〜1800ppmである。なお、対照区には、各量の茶ポリフェノールのみを加えた。
次に、これら組成物を透明のガラスビンに入れて密封し、日が当たる窓際(室温:平均18℃、日照時間:平均6時間)に4日間放置した。4日後、該組成物の色の変化を、波長380nmにおける吸光度として分光光度計により測定する
ことにより調べた。結果を図1に示す。図中、−●−は茶ポリフェノールのみ(保存前)、−▲−は茶ポリフェノールのみ(保存後)、−■−は茶ポリフェノール+ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム1.4%、−△−は茶ポリフェノール+ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム2.7%、…○…は茶ポリフェノール+ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム5.4%を示す。
図から明らかなように、保存前の対照区では、茶ポリフェノール添加量の増加に伴って吸光度が直線的に上昇し、保存後はさらに上昇した。一方、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩を2.7%又は5.4%添加した区では、いずれの茶ポリフェノール濃度でも、吸光度は保存前の対照区とほぼ同じだった。
【0027】
実施例4
蒸留水にポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム(商品名:コハクールL−400 、東邦化学工業株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム含量27%)及び茶ポリフェノール(商品名:ポリフェノン60、三井農林株式会社製、茶ポリフェノール含量60%)を添加した後、pHを6.0に調整した。次に、蒸留水で定容し、これを茶ポリフェノール含有組成物とした。なお、該組成物中の各成分の最終濃度はポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウムは6.8%、茶ポリフェノール600ppmである。
次に、該組成物を透明のガラスビンに入れて密封した後、日が当たる窓際(室温:平均18℃、日照時間:平均6時間)に8日間放置した。
8日後、液中に含まれる主要な茶カテキン類の残存量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により測定した。このHPLCの条件は、カラムは商品名:カプセルパックAG−120(株式会社資生堂製)、流速1ml/min、サンプル量10μl、移動相はアセトニトリル:酢酸エチル:0.5%リン酸水=12:0.6:90である。結果を第3表に示す。表中、EGC は(−)−エピガロカテキン、ECは(−)−エピカテキン、EGCgは(−)−エピガロカテキンガレート、ECg は(−)−エピカテキンガレート、GCg は(−)−ガロカテキンガレート、Cg:(−)−カテキンガレートを表している。
【0028】
【表3】
Figure 0003748488
処理区1:茶ポリフェノール1000ppm添加。保存前。
処理区2:茶ポリフェノール1000ppm添加。保存後。
処理区3:茶ポリフェノール1000ppmと25%(w/w)ポリオキシエチレン
アルキルスルホコハク酸二ナトリウム添加。保存後。
【0029】
表から明らかなように、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウムを添加しなかった処理区2では、EGC やEGCgなどが保存前の処理区1の半分以下に減少し、全カテキン量も半分程度に減少した。
一方、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウムを添加した処理区3では、EGC とCgが僅かに減少したこと以外はカテキン量に大きな変化はなく、全カテキンとしては保存前の94%が残存していた。
【0030】
実施例5
実施例4と同様にして茶ポリフェノール含有組成物を調製し、8日間の放置前後における茶ポリフェノールの抗酸化作用の変化を検討した。茶ポリフェノールの抗酸化作用の指標として、ジフェニルピクリルヒドラジル(1,1-Diphenyl-2- picrylhydrazyl、DPPH)ラジカルの消去能を以下の方法により測定した。
まず、DPPHをエタノール−酢酸緩衝液(エタノール:0.1M酢酸緩衝液=1:1、pH6.0)に、最終濃度が120μMとなるように溶解させた。この溶液2.4mlに、150倍希釈した茶ポリフェノール含有組成物を0.1ml加え、5 分後に517nmにおける吸光度を分光光度計により測定した。
その結果、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウムを添加しないで保存した場合、茶ポリフェノールの抗酸化作用は保存前の73.5%に低下したのに対し、添加した場合には保存前の94.5%が残存していた。
【0031】
実施例6
蒸留水に、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩(商品名:コハクールL−400 、東邦化学工業株式会社製、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム含量27%)、茶ポリフェノール(商品名:ポリフェノン60、三井農林株式会社製、茶ポリフェノール含量60%)及び安息香酸ナトリウムをそれぞれ添加した後、pHを6.0に調整した。次に、蒸留水で定容し、これを茶ポリフェノール含有組成物とした。なお、該組成物中の各成分の最終濃度はポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウムは6.8%(w/w)、茶ポリフェノールは600ppm、安息香酸ナトリウムは0.1%(w/w)である。
次に、該組成物をアルミホイルで光が入らないように遮光した容器に入れ、4℃または55℃で保存した。混合直後、24時間及び48時間保存後における該組成物の色の変化を380nmにおける吸光度を分光光度計で測定することにより調べた。結果を第4表に示す。
【0032】
【表4】
Figure 0003748488
*1:ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム6.8%
2:ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム6.8%+茶ポリフェ ノール600ppm
3:茶ポリフェノール600ppm
【0033】
表に示したように、55℃で保存した場合、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウムと茶ポリフェノールを共存させた処理区2においても吸光度は上昇したが、茶ポリフェノールのみの処理区3と比較すると、吸光度の変化は僅かであった。従って、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウムを茶ポリフェノールと共存させることによって、茶ポリフェノールの高温条件下での褐変を防止できることが明らかとなった。
【0034】
実施例7
下記の処方で調製したシャンプーを透明なガラスビンに入れ、日の当たる窓際(室温:平均18℃、日照時間:平均6時間)に1ヵ月間放置した。放置後、シャンプーの色の変化を、波長380nmにおける吸光度として分光光度計により測定することにより調べた。
その結果、吸光度は保存前では0.36、保存後では0.45を示し、吸光度に大きな変化はなかった。また、外観を目視で評価したところ、変化はほとんど認められなかった。
以上のことから、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウムを茶ポリフェノールと共存させることにより、光や熱による茶ポリフェノールの褐変を抑制できることが明らかとなった。
【0035】
シャンプーの組成:
コハクールL−400 (東邦化学工業株式会社製)1) 25%(w/w)
フォスファノールML−220 (東邦化学工業株式会社製) 5%(w/w)
オバゾリン662Y(東邦化学工業株式会社製) 15%(w/w)
トーホールN −230XY (東邦化学工業株式会社製) 4%(w/w)
メタクリンD(生研化学産業株式会社製) 0.1%(w/w)
安息香酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製) 0.1%(w/w)
ポリフェノン60(三井農林株式会社製)2) 0.1%(w/w)
蒸留水 50.7%(w/w)
以上の材料を混合した後、HClでpH6.0に調整したものを本実施例において用いた。
1)ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム含量27%
2)茶ポリフェノール含量60%
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩を茶ポリフェノールと共存させることにより、光や熱に対して安定性が高く、しかも茶ポリフェノール自体の有する種々の有用な生理活性を保持した組成物が提供される。
この組成物は、洗浄剤や化粧品などに配合して、茶ポリフェノールの有する機能を賦与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例3の茶ポリフェノール含有組成物の光に対する安定性を測定したものである。

Claims (7)

  1. 茶ポリフェノール及び下記の式1で表されるポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩を含有することを特徴とする洗浄剤用組成物。
    Figure 0003748488
    (式中、RはC12H25又はC14H29、nは1〜5の整数、Mは KまたはNaを示す。)
  2. 茶ポリフェノール及び下記の式1で表されるポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩を含有することを特徴とする化粧品用組成物。
    Figure 0003748488
    (式中、Rは C 12 H 25 又は C 14 H 29 、nは1〜5の整数、Mは K または Na を示す。)
  3. 茶ポリフェノールが、(+)‐カテキン、(−)‐カテキン、(+)‐ガロカテキン、(+)‐エピガロカテキン、(+)‐ガロカテキンガレート、(+)‐エピガロカテキンガレート、(−)‐エピカテキン、(−)‐エピカテキンガレート、(−)‐カテキンガレート、(−)‐エピガロカテキン、(−)‐ガロカテキン、(−)‐エピガロカテキンガレート、(−)‐ガロカテキンガレート、テアフラビンモノガレートA、テアフラビンモノガレートB,テアフラビンジガレート及び遊離型テアフラビンよりなる群から選ばれた少なくとも1種のものである請求項1又は2記載の組成物。
  4. 下記の式1で表されるポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩を有効成分とする光及び熱に対する茶ポリフェノール用安定化剤。
    Figure 0003748488
    (式中、Rは C 12 H 25 又は C 14 H 29 、nは1〜5の整数、Mは K または Na を示す。)
  5. 下記の式1で表されるポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩を共存させることを特徴とする茶ポリフェノールの光及び熱安定性を改善する方法。
    Figure 0003748488
    (式中、RはC12H25又はC14H29、nは1〜5の整数、Mは KまたはNaを示す。)
  6. 請求項1記載の組成物を配合した洗浄剤。
  7. 請求項記載の組成物を配合した化粧品。
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