JP3748330B2 - 光導波路基板およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、簡易な工程により得られる良好な光入出射端面を有する三次元導波路形状の光導波路を備えた光導波路基板およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
三次元導波路形状の光導波路としては、例えば石英ガラス基板やシリコン基板上に火炎堆積法により成膜したシリカ膜を利用して三次元導波路形状のクラッド部およびコア部を形成したシリカ系光導波路や、ニオブ酸リチウム単結晶基板をクラッド部とし、この基板上に三次元導波路形状にTiを熱拡散してコア部を形成した光導波路等がある。これらの光導波路では一般に基板上に複数本形成され、ダイシングなどにより基板を切断して基板上に光導波路が形成された個別の光導波路基板に分割した後、切断端面を平滑に研磨することにより光入出射用端面を得ていた。
【0003】
また、特開平9−15439号公報には、シリコン単結晶基板上に光導波路を形成し、このシリコン単結晶基板の裏面に溝を形成し、この溝をへき開することにより光導波路の出射端面を形成する光導波路の製造方法が提案されている。この方法によれば、光導波路基板の機械的な加工が容易で、導波路端面の研磨処理を行なわずに光導波路の任意の場所に光導波路の出射端面を形成することができるというものである。
【0004】
また、特開平8−68913号公報には、内部に形成された複数個の光導波路を有するシリコンウエハを準備する工程と、許容可能な品質の導波路端面を形成するために、所定の前進速度と回転速度で運転されるレジノイドダイヤモンド刃を用いて、前記シリコンウエハを複数個の個別デバイスに切り出す工程とからなる、シリコン系光導波路の製造における導波路構造物の仕上げ方法が提案されている。これによれば、シリコン基板上に光導波路を形成した後、適当な前進速度と回転速度で運転されるレジノイドダイヤモンド刃を使用して一回の切断によりウエハを各基板に賽の目状に切り出してダイシングを行なうと同時に全ての露出導波路端面を研磨することから、従来の標準的な3工程処理方法(第1の端面のダイシング、研削および研磨;第2の端面のダイシング、研削および研磨)を単一のダイシング/研磨処理操作に置き換えることができ、その結果、製造ラインにおけるスループットを最大限にまで上昇させることができるというものである。
【0005】
一方、光導波路の作製の容易さの観点から、作製時に高温処理が必要であった従来のシリカ系光導波路に代えて、低温形成が可能なシロキサンポリマなどの有機系材料による光導波路を利用することが検討されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ダイシングなどにより基板を切断して個別の光導波路基板に分割した後、その切断端面を平滑に研磨することにより光入出射用端面を得る光導波路基板の製造方法の場合は、その工程が煩雑であり、生産性が悪く、また、基板上に光導波路として形成された膜に膜剥がれなどの欠陥を生じ易いという問題点があった。
【0007】
また、特開平9−15439号公報に提案されたようなヘき開を利用する方法は、適用できる基板がへき開が可能な単結晶基板に限定され、また、そのヘき開方位も限定されるという問題点があった。さらに、光導波路がシロキサンポリマのように非晶質な有機系材料からなる場合には、単結晶基板のへき開を利用したとしても破断面による光導波路の端面は平滑ではなく、光接続面(光入出射端面)として良好な端面は得られないという問題点もあった。
【0008】
さらに、特開平8−68913号公報に提案されたような個別の基板へのダイシングを行なうと同時に全ての露出導波路端面を研磨する方法では、セラミック基板上に形成したシロキサンポリマからなる光導波路のように硬い基板と樹脂のような柔らかい光導波路材料とからなる光導波路基板に適用して光導波路の端面を研磨しようとすると、堅さの異なる材料はダイシングブレードによる研磨の速度が異なるため光導波路が基板よりも深く研磨されたり、また、ダイシングブレードや硬い基板から発生した研磨屑により柔らかい光導波路の端面が傷つけられたりするため、光接続面として十分に平滑かつ平坦な端面を得ることが困難であるという問題点があった。
【0009】
本発明はこれらの問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、光入出射端面として良好な光導波路の端面を容易に、かつ安定して形成することができ、また、セラミック基板上に形成したシロキサンポリマ光導波路のように硬い材料からなる基板上に形成された樹脂のような比較的柔らかい材料からなる光導波路についても、光入出射端面として適当な端面を簡易な工程で安定して形成することができる光導波路基板およびその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の光導波路基板は、上面にクラッド部およびコア部の少なくとも一方が有機材料からなる光導波路が形成されたこの光導波路より硬い基板の端部に、砥粒をレジンボンドしたダイシングブレードにより前記基板が前記光導波路とともに切削され、脱離した前記砥粒が前記基板と前記ダイシングブレードとの間で擦過粉砕された粒子により前記光導波路が切削された、前記光導波路の端面と同一面をなす側面を持つ段差部が形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の光導波路基板の製造方法は、クラッド部およびコア部の少なくとも一方が有機材料からなる光導波路をこの光導波路より硬い基板上に形成した後、砥粒をレジンボンドしたダイシングブレードにより前記光導波路とともに前記基板を切削し、かつ脱離した前記砥粒が前記基板と前記ダイシングブレードとの間で擦過粉砕された粒子により前記光導波路を切削して、前記光導波路の端面を形成するとともに前記基板に前記光導波路の端面と同一面をなす側面を持つ段差部を形成することを特徴とするものである。
【0012】
すなわち、本発明の光導波路基板は、光導波路を形成するための基板とその基板上に形成したクラッド部およびコア部の少なくとも一方が有機材料からなる三次元導波路形状の平板型の光導波路とから成り、基板がその端部に、砥粒をレジンボンドしたダイシングブレードにより光導波路とともに切削され、脱離した砥粒が基板とダイシングブレードとの 間で擦過粉砕された粒子により光導波路が切削された、光導波路の端面と同一面をなす側面を持つ段差部を有するものである。
【0013】
また、本発明の光導波路基板の製造方法は、光導波路を形成するための基板とその基板上に形成したクラッド部およびコア部の少なくとも一方が有機材料からなる三次元導波路形状の平板型の光導波路とから成る光導波路基板の製造において、砥粒をレジンボンドしたダイシングブレードにより光導波路と基板とを基板下面を貫通することなく同時に切削し、かつ脱離した砥粒が基板とダイシングブレードとの間で擦過粉砕された粒子により光導波路を切削することにより、光導波路の良好な光入出射端面を形成するとともに、基板に光導波路の端面と同一面をなす側面を持つ段差部を同時に形成するものである。
【0014】
本発明者らは、光導波路基板の製造において、ダイシングブレードを用いた切削による光導波路の光入出射端面の形成について、ダイシングブレードの基板鉛直方向の貫入深さと光導波路端面の加工面の荒れによる光損失について調査したところ、ダイシングブレードの基板への貫入深さが深くなるに従い徐々に加工面の荒れが小さくなって光損失が減少し、その貫入深さが基板下面を貫通する深さを越えて基板を切断することとなると、急激に加工面の荒れが大きくなり光損失が増加することを見出した。すなわち、ダイシングブレードの貫入深さが基板下面を貫通しない程度の深さであり基板を切断しない深さであるときに光導波路の端面について加工面の荒れによる光損失が最小となることを見出した。
【0015】
これは、ダイシングブレードが基板下面を貫通して基板を切断することとなると、基板にチッピング、すなわちダイシングによる欠けが生じ、チッピングが生じると特に基板下面で大きな切削屑が生じやすくなって、この切削屑が光導波路の切削面を傷つけるため、光導波路の端面の表面粗さが大きくなったりあるいは端面に大きな欠けを発生させたりして、大きな光損失を生じるためであると考えられる。
【0016】
一方、基板上に形成された光導波路に対して、ダイシングブレードにより光導波路と基板とを共に切削せず、光導波路のみを切削するようにすると、樹脂のような柔らかい材料を切削する場合にはダイシングブレード表面の砥粒の脱離による自己研磨作用が小さいため、加工時間を重ねるにつれ切削加工面の状態に差が生じる。すなわち、切削加工のバッチ間・ロット間で切削加工面の状態に差が生じることとなる。これに対し、ダイシングブレードは切削の際にダイシングブレード表面の砥粒が脱離することによって次から次へと新しい砥粒が表面に露出することにより長期にわたって初期の切れ味を保ちつつ安定な切削を行なうものである。
【0017】
これに基づき、本発明者らは、光導波路と共に基板を切削した場合には、硬い基板によりダイシングブレード表面の砥粒の脱離による自己研磨作用が得られるため、初期の切れ味を保ちつつ安定な切削を行なうことができ、バッチ間・ロット間で切削加工面の状態に差が生じることを抑制し生産性を向上させることができることを見出し、光導波路と基板とを共に切削することが必要であることを見出した。
【0018】
さらに、光導波路だけを切削した場合には、光導波路の切削面はダイシングブレードの砥粒のみで切削するため、この砥粒の大きさに相応した切削痕が生じることとなる。これに対し、光導波路と共に基板を同時に切削した場合には、切削屑やダイシングブレードから脱離した砥粒が基板とダイシングブレードとの間で擦過粉砕されて細かな粒子となり、ダイシングブレードの砥粒よりも小さなこの粒子により光導波路が切削されることとなり、ダイシングブレードの砥粒のみで切削する場合よりも切削痕が小さくなって良好な切削研磨効果が期待できるものとなる。
【0019】
さらにまた、この光導波路に対して光ファイバを接合することを考えると、光導波路基板側の接合部には光ファイバを接合した後に接合部が変形しない程度の十分な強度が必要であるが、光導波路基板側の接合部が比較的変形し易い樹脂だけの場合よりも、接合部に硬い基板が含まれている方が光ファイバを接合したときの信頼性の面からも優れたものとなる。
【0020】
また、本発明者らは、ダイシングブレードにより光導波路の端面の加工を行なう際、ダイシングブレードの基板への基板鉛直方向の貫入深さと光導波路の端面における加工面の粗さには因果関係があって、切削加工に当たっては適当な貫入深さがあり、例えばセラミック基板上に形成したシロキサンポリマ光導波路のように硬い基板と比較的柔らかい光導波路との組合せにおいても、本発明の光導波路基板の製造方法によれば光導波路について良好な光入出射端面を得ることが可能であることも見出した。
【0021】
本発明の光導波路基板の製造方法によれば、クラッド部およびコア部の少なくとも一方が有機材料からなる光導波路をこの光導波路より硬い基板上に形成した後、砥粒をレジンボンドしたダイシングブレードにより光導波路と基板とを共に切削し、かつ脱離した砥粒が基板とダイシングブレードとの間で擦過粉砕された粒子により光導波路を切削して、光導波路の端面を形成するとともにその端面と同一面をなす側面を有する段差部を基板に形成することにより、切削におけるチッピングの発生がなく、光導波路の端面として表面粗さが小さい光接続端面として良好な光入出射端面を得ることができ、また、従来の光導波路基板の製造方法や光導波路の端面の形成方法によっては良好な端面を得ることが困難であったセラミック基板上に形成したシロキサンポリマ光導波路のように硬い基板と比較的柔らかい光導波路との組合せについても、光導波路の良好な光入出射端面を安定して得ることができる。
【0022】
また、本発明の光導波路基板の製造方法によれば、基板上に形成され、その端部近傍に端面を有する単独の光導波路についてのみでなく、基板上に複数本形成されてダイシング等により基板を切断して個別の光導波路基板に分割するものについても、個別の光導波路基板への切り分けに引き続いてダイシングブレードにより切削して端面の加工を行ない、あるいは端面の加工を行なった後に基板を切断して個別の光導波路基板への切り分けを行なうことにより、個別の光導波路基板への分割と良好な光入出射端面の形成とを容易に行なうことができるので、ダイシング後に研磨を行なう従来の製造方法に比べて工程数・工程時間を短絡でき生産性を向上させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の光導波路基板およびその製造方法の実施の形態の一例を示す断面図である。図1において、1は基板、2は基板1上に形成された光導波路、3はダイシングブレードであり、基板1と光導波路2とにより光導波路基板が構成される。なお、同図はダイシングブレード3により光導波路2と基板1とを切削している状態を示しているが、ダイシングブレード3と光導波路2・基板1との間には隙間を設けて図示している。
【0024】
基板1は、その上面に光導波路2が形成されて、光導波路基板の支持基板、あるいは光導波路2を有する光電子混在基板の基板として機能するものである。本発明の光導波路の製造方法に対しては、ガラス、アルミナや窒化アルミニウム等のセラミックス基板、シリコン・GaAs・InP等の半導体基板、ニオブ酸リチウム基板等による単なる光導波路支持基板や、表面や内部に電気回路を有した基板等を用いることができる。
【0025】
光導波路2は、基板1上に形成された三次元導波路形状の平板型の光導波路、あるいは強誘電体中に空孔や誘電率が異なる誘電体を2次元的あるいは3次元的に周期的に配置形成したフォトニックバンドギャップ構造からなる光伝送路であり、基板1上に形成されたクラッド部とこのクラッド部中に形成されたコア部、あるいは下部クラッド部とコア部と上部クラッド部とにより構成され、光信号を伝送する光伝送路として機能するものである。本発明の光導波路基板の製造方法に対しては、シロキサンポリマ・ポリイミド樹脂・ポリカーボネイト樹脂・フッ素樹脂・PMMA樹脂・ベンゾシクロブテン樹脂・ポリノルボルネン樹脂等の有機材料からなるものや、これらとシリカ等の無機材料との組み合わせからなる光導波路を用いることができる。
【0026】
また、基板1と光導波路2との組合せについては、ガラス、アルミナや窒化アルミニウム等のセラミックス基板、シリコン・GaAs・InP等の半導体基板、ニオブ酸リチウム基板等の単なる光導波路支持基板や、表面や内部に電気回路を有した基板等と、無機材料からなる光導波路の任意の組合せからなる光導波路基板のように、比較的硬い材料だけの組合せからなる光導波路基板への適用が可能であるが、より大きな効果が期待できるのは、硬さが大きく異なる材料の組合せからなる光導波路基板への適用である。
【0027】
例えば、ガラス、アルミナや窒化アルミニウム等のセラミックス基板、シリコン・GaAs・InP等の半導体基板、ニオブ酸リチウム基板等の単なる光導波路支持基板や、表面や内部に電気回路を有した基板等と、シロキサンポリマ・ポリイミド樹脂・ポリカーボネイト樹脂・フッ素樹脂・PMMA樹脂・ベンゾシクロブテン樹脂・ポリノルボルネン樹脂等の有機系材料からなる光導波路の任意の組合せからなる光導波路基板、また、光導波路部分においてコア部が有機材料でクラッド部が無機材料であったり、反対にコア部が無機材料でクラッド部が有機材料であるような複合的な光導波路とした場合には、有機材料の部分と無機材料の部分とで硬さの差が大きいため従来の方法ではそれらの間に段差が生じたり有機材料の部分に荒れが生じたりするのに対して、本発明の製造方法によれば良好な光入出射端面を得ることができる。
【0028】
ダイシングブレード3は、光導波路2側から光導波路2と基板1とを共に切削して、光導波路2の端面2aを形成するとともに、基板1にその端面2aと同一面をなす側面を持つ段差部1bを形成するためのものである。本発明の光導波路基板の製造方法に対しては、基板を切削した際にダイシングブレードの砥粒の脱離による自己研磨作用が得られるような砥粒の種類と大きさ、砥粒をブレードに固着するボンド方法等を選定する。例えば、ガラスやアルミナ等のセラミックスを切削する場合には、ダイヤモンド砥粒をレジンボンドしたダイシングブレードを用いると良好な切削能力と自己研磨作用が得られる。
【0029】
砥粒の大きさとしては、仮に数10μmの大きさであっても、砥粒が密に分布したダイシングブレードが回転して切削するため切削面の切削痕の深さはサブミクロン〜数μm程度に抑えられることと、切削屑やダイシングブレードから脱離した砥粒が基板とダイシングブレードとの間で擦過粉砕されて細かな粒子となり、ダイシングブレードの砥粒よりも小さなこの粒子により光導波路が切削されることとなって、ダイシングブレードの砥粒のみで切削する場合よりも切削痕が小さくなる効果も得られることから、光導波路の端面の表面粗さに対しては砥粒の大きさは大きく影響することはない。
【0030】
しかしながら、砥粒の大きさはチッピングの発生に影響するので、チッピングの観点からは砥粒の大きさはできるだけ小さいものを選定すべきである。最終的には、これらの指針に従って選定したダイシングブレードを用いて実際に光導波路基板を切削加工し、チッピングの発生の有無や切削面での光接続損失の大きさ等からダイシングブレードの種類を最適化する。
【0031】
また、ダイシングブレード3による切削条件については、実際に光導波路基板を切削加工し、光接続損失として2dB以下を目処にしてチッピングや切削面の表面粗さを小さく抑えるように、ダイシングブレードの回転速度・前進速度・基板への貫入深さを最適化する。
【0032】
例えば、ダイシングブレードの前進速度が速過ぎる場合には大きなチッピングが生じやすく、また、ダイシングブレードが切断面の外側に逃げて切削できないことがある。これらの問題が発生しないようにしつつ、生産性向上のために前進速度を速くすることが望まれる。また、基板への貫入深さについては、例えば後述するような実験・検討を行ない最適化する。
【0033】
以下、本発明の光導波路基板およびその製造方法について、基板1に厚さ0.63mmのアルミナ基板を用い、その上にシロキサンポリマからなる光導波路2を形成した場合を例にとって説明する。
【0034】
まず、アルミナ基板1上にシロキサンポリマ溶液を塗布して熱処理を行ない、光導波路2のクラッド部となる下部クラッド層として厚さ10μmのシロキサンポリマ膜(屈折率1.4405、λ=1.55μm)を形成する。次いで、シロキサンポリマ溶液にテトラ−n−ブトキシチタンを添加した混合液を塗布して熱処理を行ない、厚さ7μmのコア層(屈折率1.4437、λ=1.55μm)を形成する。
【0035】
続いて、コア部の加工の際にマスクとなるアルミニウム膜をスパッタ法により形成する。コア部のパターンの元となるレジストパターンをフォトリソグラフィの手法により形成し、アルミニウム膜をウエットエッチングあるいはドライエッチングすることによりアルミニウムパターンを得る。
【0036】
次に、レジストを除去した後、CF4+O2ガスによるRlE(Reactive Ion Etching)を行ないコア部を形成する。その後、アルミニウム膜を除去し、上部クラッド層を形成する。
【0037】
以上により、コア部の高さが7μm、コア部の屈折率が1.4437、クラッド部の屈折率が1.4405の三次元導波路形状の埋め込み型光導波路2を基板1上に形成できる。
【0038】
次に、光導波路2が形成された基板1を周知のダイシング技術を利用して切断する。例えば、基板1をダイシング用基板固定テープに実装し、ダイヤモンドブレードを適当な回転速度・前進速度で前進させて基板1を切断すればよい。
【0039】
次いで、基板1および光導波路2に対して適当な位置に調整したダイヤモンドブレードをダイシングブレード3として用い、これを適当な回転速度・前進速度で前進させて光導波路2と基板1とを共に切削し、光導波路2の端面を切削加工して光導波路2の光入出射用の端面2aを形成するとともに、基板1の端部にその光導波路2の端面2aと同一面をなす側面を持つ段差部1bを同時に形成する。
【0040】
ここで、光導波路基板の切断後に光導波路の端面の研磨を行なう従来の製造方法では、ダイシングにより個別に分割した後に、薄膜導波路層の剥がれ防止のため光導波路上に保護基板を重ねて張り合わせることが行なわれる。これには一般的には光導波路基板の基板と同じ材質・大きさの基板を重ねて接着剤により張り合わせる。その後、研磨装置に設置し、研磨面に対して荒研磨から始めて次第に研磨材の目を小さくしていき、最終的な仕上げ研磨まで数種類の研磨材でそれぞれ研磨を行なう。
【0041】
これに対して、ダイシングブレードの切削による本発明では、保護基板の張り合わせ工程や研磨材の交換・数回の研磨工程がない分の工程削減と時間短縮とが可能となる。
【0042】
上記のシロキサンポリマからなる光導波路2の例では、ダイシングブレード3として粒度#600・厚さ200μmのダイヤモンドブレードを用いて、基板1上面の水平方向についてはダイシングブレード3の側面が基板1の端面1aから光導波路2側に約0.1mm貫入し基板1の鉛直方向については基板1下面から約0.1mmにダイシングブレード3の最下部が位置するようにして、ダイシングブレード3を前進させて切削し、光導波路2の光入出射用の端面2aおよびその端面2aと同一面をなす側面を持つ基板1の段差部1bとを形成した。
【0043】
ここで、ダイシングブレード3の基板1に対する水平方向の位置は、基板1の切断時に生じる光導波路2の端面2aの欠けや荒れを取り除くことができるような位置に設定する。例えば、基板1切断時に生じる光導波路端面2aの欠けは数十μm程度になることがあるので、ダイシングブレード3はこの欠け以上の深さで基板1に対してその端面1aから光導波路2側へ入るように設定するとよい。
【0044】
また、基板1の鉛直方向については、基板1下面を貫通せず基板1を切断しないようにダイシングブレード3の最下部が位置するように設定する。
【0045】
また、ダイシングブレード3により切削することによって、その切削加工部は光導波路2について光を入射する面となる光導波路に垂直な面(端面2aと同一面をなす側面)と、基板1について光導波路2の導波路方向に水平な面(段差部1bの底面)とを形成することになる。従って、ダイシングブレード3による切削深さの基板1上面から見た場合の最小値としては、光導波路2に光ファイバを接続するときに切削加工により形成された段差部1bの底面と光ファイバの側面とが干渉しないような深さに設定しておくことが望ましい。
【0046】
例えば、一般的な石英系光ファイバではクラッド外径が0.125mmであるので、そのコア中心部からクラッド外周までは0.0625mmである。従って、光導波路2とこの光ファイバとを接続するには、段差部1bの底面から光導波路2のコア部の中心まで高さが0.0625mm以上となるように、光導波路2のコア部の位置との関係において切削面1bを形成する切削深さの最小値を設定することが望ましい。前述の光導波路2の場合であれば、この切削深さは基板1上面から約0.05mmに相当する。
【0047】
さらに、ダイシングブレード3による切削深さの基板1上面から見た場合の最小値としては、光導波路と共に基板を切削したときに切削屑やダイシングブレードから脱離した砥粒が基板とダイシングブレードとの間で擦過粉砕されて細かな粒子となるように、基板や光導波路の材質・ダイシングブレードの仕様・切削条件等に応じて設定することが望ましい。
【0048】
以上により、本発明によれば、基板1上に形成したクラッド部およびコア部の少なくとも一方が有機材料からなる光導波路2について光入出射端面として良好な端面2aと、この端面2aと同一面をなす側面を持つ段差部1bとを形成することができ、例えばセラミック基板とシロキサンポリマ光導波路のような硬い基板と比較的柔らかい光導波路との組合せによる光導波路基板についても良好な光入出射端面を形成することができる。
【0049】
次に、本発明の光導波路基板の製造方法により得られた光導波路基板における光導波路2の端面2aの光入出射用端面としての特性を評価するため、上記の例による光導波路2についてダイシングブレード3の基板1への鉛直方向の切削深さと光導波路2の端面2aの加工面の荒れによる光導波路2の光損失との関係を実験により調べて、光ファイバと光導波路2とを光接続した際の接続損失を評価した。
【0050】
ここでは、ダイシングブレード3の基板1への鉛直方向の切削深さ(貫入深さ)を、ダイシングブレード3の最下部がちょうど基板1下面に位置する場合を0として、ダイシングブレード3の最下部が基板1の上面方向にある時を正の値(単位:mm)とし、ダイシングブレード3が基板1の下面を貫通し基板1下面の下側にあって基板1を切断している時を負の値として表わした。一方、光入射用光ファイバと出射光強度導入用光ファイバとの間に挿入して光接続した時の光導波路2を挿入したことによる光損失の値を、それぞれの切削深さで加工した端面2aを持つ光導波路2による挿入損失(単位:dB)を求めて評価した。このとき、用いた光導波路2の長さは等しくして、この挿入損失値の変動が光導波路端面2aの加工面の荒れによる光損失の変動を示すようにした。
【0051】
この結果を表1にまとめた。
【0052】
【表1】
【0053】
表1の結果より、ダイシングブレード3による切削深さが0mmより大きく+0.565mm程度までの範囲での挿入損失値の範囲は約−2dB程度内にあり、良好な光入出射端面となっていることが分かる。また、屈折率整合材を使用すればさらに光損失を押さえた光接続が可能であることから、加工された端面2aにおいてこのような光損失であれば実用的な光接続に十分に使用可能なものである。
【0054】
これに対し、基板1下面を貫通して切削した(ダイシングブレード3により基板1を切断した)場合は大きなチッピングが光導波路2部分に生じており、その端面2aは光接続用の端面として不適であった。また、ダイシングブレード3の位置がこの場合の切削深さで0.665mmのものは、基板1の上面を切削しておらず切削屑やダイシングブレードから脱離した砥粒が基板とダイシングブレードとの間で擦過粉砕されて生じる細かな粒子による切削研磨作用が得られないため、切削面の切削痕が大きく光接続面としては不十分であり、また、基板1の段差部1bの底面から光導波路2のコア部までの高さが低いため、光ファイバの側面が段差部1bの底面と干渉して光ファイバと光導波路2との接続ができなかった。
【0055】
以上により、本発明の光導波路基板の製造方法であるダイシングブレード3による切削深さが0〜0.565mmの場合に、光導波路2の端面2aと同一面をなす側面を持つ基板1の段差部1bとともに、光接続端面として適当な光導波路2の端面2aが得られた。
【0056】
なお、本発明は上記の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や改良を施すことは何ら差し支えない。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、光導波路を形成するための基板上にクラッド部およびコア部の少なくとも一方が有機材料からなる三次元導波路形状の平板型等の光導波路を形成した後、砥粒をレジンボンドしたダイシングブレードにより光導波路とともに前記基板を切削し、かつ脱離した砥粒が基板とダイシングブレードとの間で擦過粉砕された粒子により光導波路を切削して、光導波路の端面と、この端面と同一面をなす側面を持つ段差部を有する基板とを形成するようにしたことから、光導波路の端面にチッピングがなく、表面粗さが小さい光接続端面となり、光入出射端面として良好な光導波路の端面を得ることができる。
【0058】
また、本発明によれば、例えばセラミック基板上に形成したシロキサンポリマ光導波路のように硬い基板と比較的柔らかい光導波路との組合せによる光導波路基板においても、光導波路の端面として良好な光入出射端面を容易に、かつ安定して形成することができる。
【0059】
さらに、本発明によれば、基板上に形成した単独の光導波路についてのみではなく、基板上に複数本形成されてダイシング等により基板を切断して個別の光導波路基板に分割するものについても、個別の光導波路基板への分割と良好な光入出射端面の形成とを容易に行なうことができるので、ダイシング後に研磨を行なう従来の製造方法に比べて工程数・工程時間を短絡でき生産性を向上させることができる。
【0060】
以上により、本発明によれば、光入出射端面として良好な光導波路の端面を容易に、かつ安定して形成することができ、また、セラミック基板上に形成したシロキサンポリマ光導波路のように硬い材料からなる基板上に形成された樹脂のような比較的柔らかい材料からなる光導波路についても、光入出射端面として適当な端面を簡易な工程で安定して形成することができる光導波路基板およびその製造方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の光導波路基板およびその製造方法の実施の形態の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・基板
1b・・段差部
2・・・光導波路
2a・・端面
3・・・ダイシングブレード
Claims (2)
- 上面にクラッド部およびコア部の少なくとも一方が有機材料からなる光導波路が形成された該光導波路より硬い基板の端部に、砥粒をレジンボンドしたダイシングブレードにより前記基板が前記光導波路とともに切削され、脱離した前記砥粒が前記基板と前記ダイシングブレードとの間で擦過粉砕された粒子により前記光導波路が切削された、前記光導波路の端面と同一面をなす側面を持つ段差部が形成されていることを特徴とする光導波路基板。
- クラッド部およびコア部の少なくとも一方が有機材料からなる光導波路を該光導波路より硬い基板上に形成した後、砥粒をレジンボンドしたダイシングブレードにより前記光導波路とともに前記基板を切削し、かつ脱離した前記砥粒が前記基板と前記ダイシングブレードとの間で擦過粉砕された粒子により前記光導波路を切削して、前記光導波路の端面を形成するとともに前記基板に前記光導波路の端面と同一面をなす側面を持つ段差部を形成することを特徴とする光導波路基板の製造方法。
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