JP3748044B2 - ロボット給油装置用給油ノズル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両に自動給油する装置に適した給油ノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、給油作業の省力化を図るべく、送油ポンプに接続する給油ノズルをロボットアームに取付け、自動車燃料タンクの給油口をセンサーにより検出して給油ノズルを給油口に自動的に挿入するいわゆるロボット給油装置が導入されようとしている。
このようなロボット給油装置による給油を円滑に実行するには、給油ノズルの先端を自動車燃料タンクの挿入口に確実に位置合わせして挿入できることが必要となる。
このような目的のために本出願人は、先に特願平2000-167102号として給油ノズルストッカと車輌の給油口との間を移動するロボットに給油ノズルを把持させ、ロボットにより給油ノズルを給油口に挿抜して自動給油が可能な装置を提案した。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これによれば、給油作業を可及的に省力化できるものの、種々の車輌の給油口に給油ノズルを安全、確実に挿入するにはロボットの位置を高い精度で制御したり、また給油口の位置を高い精度で検出することが必要となり、コストの上昇を招くという問題がある。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、汎用ロボットの位置決め精度でも安全、確実に給油ノズルを車輌の給油口に挿入することができる給油ノズルを提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このような問題を解消するために本発明においては、車輌の給油口に挿入されて給油を実行するロボット給油装置用給油ノズルにおいて、液や気泡の検出により主弁を閉弁させる自動閉弁機構を筒胴部に備え、送液手段からの液を前記主弁を介して前記筒胴部に設けられた筒先部から吐出する給油ノズル本体を、把持手段により把持される基台に弾性部材を介して固定するとともに、前記筒先部の先端には中心部に通孔を備えた半球状の保護部材が取付けられている。
【0005】
【作用】
筒先部と車輌の給油口との位置に若干のズレが存在しても、弾性部材が変形して車輌に大きな外力を与えることなく筒先部をスムーズに移動させる。
【0006】
【発明の実施の形態】
そこで以下に本発明の詳細を図示した実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明の給油ノズルが適用される給油装置の一実施例を示すものであって、アイランド1には、送液手段、計量手段等給油動作を制御する給油ユニット2と、本発明が特徴とする給油ノズル3や後述する燃料注入口ドアやタンクキャップの閉のためのツールを取出し可能に収容するツールストッカ4、アーム5によりツールを把持して車輌6の給油口112に移動させるロボット7、及びこれら給油ユニット2、ロボット7を統括的に制御する制御ユニット8が配置されている。
【0007】
給油ノズル3は、給油ユニット2の送液手段とホース9、10に接続され、またホース9、10は、図2に示したようにツールストッカ4の天板11に収容された滑動機構12にジョイント13により接続された上で支持されている。ジョイント13は、図示しない付勢手段、この実施例では錘により常時取出し方向とは逆方向(図中、左方向)に付勢され、給油ノズル3の移動に追従できるように移動可能にツールストッカ4の天板11に支持されている。
【0008】
図3は、ツールストッカ4の一実施例を示すものであって、天板11、及び給油ノズル3とツールを収容するツール収納部14を上下関係となるように支柱15により支持して構成されている。ツール収納部14は、この実施例では中央側に3つの給油ノズルをそれぞれ収容する給油ノズル収容孔16、17、18と、両側に燃料注入口ドア開閉ツールを収容する燃料注入口ドア開閉ツール収納部19、及びタンクキャップ開閉ツール収納部20が配置されている。なお、図中符号21は滑動機構12と錘とを接続するワイヤを示す。
【0009】
図4、及び図5は、ロボット7の一実施例を示すものであって、基台22に対して昇降及び回動可能に胴部23が嵌装し、胴部23の上端に3つのアーム24、25、26が水平に装着されている。アーム24は、胴部23に設けられた回動機構27に、またアーム25は、アーム24に装着された回動機構28により、さらにアーム26は、アーム25に装着された回動機構29にそれぞれ支持されていて、それぞれ独立に回動可能に構成されている。
先端アーム26の先端には、撮像手段30と、上述した各種ツールを把持するチャック機構31とが上下関係となるように回動機構32を介して垂直方向に回動可能に設けられている。さらにこの実施例では、測距動作に支障を来さない位置にレーザー測距装置などの測距手段100が設けられている。
【0010】
図6(イ)、(ロ)、(ハ)は、それぞれ燃料注入口ドア開閉ツールの一実施例を示すものであって、基台40は、その後端の下部にチャック機構31と係合する係合部40aが形成されており、上面に設けられた垂直回動軸41に吸着機構42が取付けられている。吸着機構42は、先端が開口したゴム等の弾性材料で構成された蛇腹43の後端を水平方向に回動可能なように回動軸44aを介して軸44に取り付けて構成されている。軸44は、コイルバネ等の弾性体45により常時先端側に付勢され、ホース46を介して負圧の供給を受けている。
【0011】
吸着機構42は、回動基台47を介して垂直回動軸41に取付けられていて、回動基台47の後端に軸44に対して対称な斜面47a、47aが形成されている。この斜面47a、47aと当接するように2つのローラ48、48がエアシリンダ49により進退可能に配置されている。なお、図中符号50は、バキュームスイッチを、また51、52は、チャック機構側のプラグと係合してバキュームの供給を受けるコネクタを示す。
【0012】
図7(イ)、(ロ)、及び図8(イ)、(ロ)は、それぞれタンクキャップ開閉ツールの一実施例を示すものであって、燃料注入口ドア開閉ツールと同様に基台60は、その後端の下部にチャック機構31と係合する係合部60aが形成されており、上面に回動手段、この実施例ではエアモータ61が設けられている。エアモータ61の回転軸61aにはカップリング62を介してモータ61側が先細りに形成されたテーパ状の係合部63を備えた駆動軸64が接続されている。
【0013】
係合部63には軸方向に直交する軸65が設けられ、この軸65に長孔66を介して先端が2叉に形成されたグリップ67が、その後端を弾性部材、この実施例ではコイルバネ68により先端側(図では左側)に常時付勢された状態で取付けられている。これら軸65、長孔66、及びバネ68によりグリップ67が揺動可能な状態で回動することが可能となる。
【0014】
グリップ67の先端には開口69、69が設けられ、ホース70を介してバキュームが供給されている。なお、図中符号69は、バキュームスイッチを、また70、71は、チャック機構側のプラグと係合してバキュームの供給を受けるコネクタを、さらに72、73は、チャック機構側のプラグと係合してエアの供給を受けるコネクタを示す。
【0015】
図8は、本発明が特徴とする給油ノズルの一実施例を示すものであって、基台80は、その後端下部、及び後端上部にチャック機構31と係合する係合部80aが形成されており、上面に満タン検知機能を備えた給油ノズル本体81が取付けられている。この給油ノズル本体81は、特開平3-29796号公報等により周知の構造で、給油レバー82の引き上げにより開弁し、また後述する開口86aに液や泡が浸入したことにより作動する自動閉弁機構97により閉弁する主弁83を所要な部材として構成されている。自動閉弁機構97は、チャッキ弁84と、給油ノズル筒先部85の先端に開口86aを備えた流路86とにより構成されている。
【0016】
そして自動給油する関係上、レバー82の先端に対向する位置には、エアシリンダ87が配設されていて、エアの供給によりレバー82を引き上げ、引き上げとなった状態をスイッチ88により検出するように構成されている。なお、図中符号89は、筒先部の先端に設けられた開口89aに連通するベーパ吸引管を示す。
【0017】
胴部90と筒先部85の境界には、先端が開口する筒状の空間91が形成され、その先端に胴部90の先端面を覆うようにテーパ状のガイド部材92が、t等間隔に複数、この実施例では3つの弾性部材、この実施例ではバネ93により筒先部85の側に常時付勢された状態で進退可能に取付けられている。
【0018】
また胴部90の先端には、ガイド部材92が胴部90の側に移動したことを検出する複数、この実施例では2つの当接センサーと、液の上昇を検出する液センサーとが設けられている。当接センサーは、この実施例ではガイド部材92に設けられた磁石93の磁束により開閉するリードスイッチ94とにより構成され、また液センサーは、下部に設けられたプリズム95により構成されている。
【0019】
そしてこの実施例においては、給油ノズルの挿入を容易にするため、筒先部85の先端には高分子等、金属よりも柔らかく、かつ成形性に富んだ材料、例えば高分子材料により構成された中心部に通孔98aを備えた半球状の保護部材98が取付けられ、図11に示したように給油ノズル本体81は、その胴部90をチャック機構31に把持される基台80との間に弾性部材、この実施例ではゴム材96を介して取付けられている。
【0020】
これにより挿入過程で給油ノズル筒先部85の保護部材98が、その球面により給油口112をスムーズに通過し、また筒先部85が給油管114を移動する過程で筒先部85に外力が作用した場合にでも弾性部材96が弾性変形して追従移動可能ならしめる。
【0021】
図12は、同上装置の動作を統括する制御装置の一実施例を示すものであって、給油ユニット2の制御手段102は、油種判定手段103、計量機構制御手段104を備え、複数の挿入センサーを構成するスイッチ94、94からの信号をアンドゲートを介して、また複数のセンサー95、95からの信号をオアゲートを、さらに給油ノズルの引き上げを検出するスイッチ88からの信号を受け、給油レバー引き上げ用のエアシリンダ87を制御するように構成されている。
【0022】
また位置座標演算手段105は、撮像手段30、測距手段100からの信号を受け、演算結果をロボット7制御手段107からアクセス可能に記憶手段106に格納する。なお、図中符号108は、給油口燃料注入口ドア開閉ツール、タンクキャップ開閉ツールのバキュームスイッチ59、69、及び給油ユニットの制御手段102からの信号によりエアや負圧の供給するエア・負圧供給手段を示す。
【0023】
次にこのように構成した装置の動作について説明する。
給油を受ける車輌がアイランド1の所定位置に停止すると、ロボット7の先端アーム26が車輌の前後方向に移動して少なくも車輌6を検出し(図15 ステップ イ)、車輌の2箇所の距離を測距手段100により測定し、アイランド1に対する車輌6の傾きを判定して記憶手段106に格納する(図15 ステップロ)。
【0024】
ユーザは、車輌6の大まかな仕様、つまり、油種、給油口112の位置(左側、または右側)、燃料注入口ドア111の開閉方向(前方向、または後方向)、給油管114の延びている方向(左、右、下)等を制御ユニット8、また給油ユニット2のキーボードから入力する。なお、これらの情報を顧客に配布する給油カードに予め格納しておくことにより、カードリーダにより入力することも可能である。
【0025】
これらの情報を元にロボット7の先端アーム26に取付けられている撮像手段30により給油口112の燃料注入口ドア111を撮影する。位置座標演算手段105は、撮影された燃料注入口ドア111の複数の角部A、B、C、Dの座標データに基づいて、燃料供給口110の中心座標を算出して記憶手段106に格納する(図15 ステップ ハ)。
【0026】
ロボット7は、ストッカ4の燃料注入口ドア開閉ツールの収納部19に移動し(図15 ステップ ニ、ホ)、燃料注入口ドア開閉ツールにチャック機構31を装着する。これにより、ストッカ4の収納部19と燃料注入口ドア開閉ツールとのロックが解除されて取出しが可能となる(図15 ステップ ヘ)。ロボット7は、記憶手段106に格納されている座標データに基づいて先端の蛇腹43を燃料注入口ドア111に移動し、圧接する(図15 ステップ ト)。
【0027】
所定時間の経過すると(図15 ステップ チ)、エア・負圧供給手段108からバキュームが供給されて蛇腹43が燃料注入口ドア111を吸着する(図15 ステップ リ)。この吸着によりホース46の負圧が上昇するため、バキュームスイッチ50がオンとなり(図15 ステップ ヌ)、蛇腹43が確実に燃料注入口ドア111に吸着したことが検出され、エアシリンダ49にエアを供給して後退させてローラ48でロックされていた蛇腹43、より詳細には軸44のロックを解除する(図15 ステップ ル)。これにより蛇腹43は、進退、及び水平方向に回動可能な状態となる。
【0028】
ロボット7は、入力されている燃料注入口ドア111の開閉方向のデータに基づいて、燃料注入口ドア111を開放する方向に燃料注入口ドア111を吸着した状態で所定距離だけ後退移動する(図15 ステップ オ)。この過程で蛇腹43は、回動軸44a、及び垂直軸41を中心に水平方向に回動するとともに、バネ45に抗して軸方向に移動する。これにより、燃料注入口ドア111の角度に対応して蛇腹43が水平方向に回動しつつ、蓋11に無理な力を作用させることなく開放させるように引き、燃料注入口ドア111と車輌との係止を解いて車輌本体から引き離す。
【0029】
所定距離分だけ後退して燃料注入口ドア111が開放された時点で(図15 ステップ ワ)蛇腹43へのバキュームの供給を停止して(図15 ステップ カ)、ついで燃料注入口ドア111の表側に位置している蛇腹43を、燃料注入口ドア111の裏側に移動させ(図15 ステップ ヨ)、燃料注入口ドア111が開く方向に移動し(図15 ステップ タ)、所定距離、つまり燃料注入口ドア111を次の動作に支障を来さない程度まで移動した時点で(図15 ステップ レ)停止し、またエアシリンダ49を元の位置に復帰させて蛇腹43をアーム26の軸線方向に一致するように回動移動させる(図15 ステップ ソ)。
【0030】
ついで、ストッカ4から給油口112まで移動した軌跡データを基にストッカ4の収納部16に移動して(図15 ステップ ツ)燃料注入口ドア開閉ツールを所定位置に挿入する(図15 ステップ ネ)。燃料注入口ドア開閉ツールが所定位置まで挿入されると、収納部16と燃料注入口ドア開閉ツールとがロックされ、またチャック機構31との把持が解除される(図15 ステップ ナ)。
【0031】
燃料注入口ドア111の開放が確認された時点で(図16 ステップ イ)、ロボット7は記憶手段106に格納されている軌跡データに基づいて給油口112から所定の距離まで移動する(図16 ステップ ロ)。これにより撮像手段30により給油口112、及びタンクキャップ113が撮影可能となる。
【0032】
この場合、図14に示したように撮像手段30の光軸L1、L2とタンクキャップ113、または給油口112の形成面との間に傾きθが存在する場合には、タンクキャップ113、または給油口112が真円となる位置P2まで移動し、この位置の座標に基づいて給油口112の伸びる方向、つまり傾きθを算出して記憶手段106に記憶する(図16 ステップ ハ)。
【0033】
なお、周囲の照明や、給油口112の色に関係なく確実に検出するためには、図13に示したように車輌のボディ色に対してコントラストを有するリング部材115、給油口112の周囲に装着して、マークを付しておくのが望ましい。もとより、このようなマークはシールを貼着する等の方法で簡単に設けることができる。
【0034】
ロボット7は、ストッカ4のタンクキャップ開閉ツールの収納部20に移動し(図16 ステップ ニ、ホ)、タンクキャップ開閉ツールをチャック機構31に装着する。これにより、収納部20とタンクキャップ開閉ツールとのロックが解除されて取出しが可能となる(図16 ステップ ヘ)。ロボット7は、記憶手段106に格納されている座標データに基づいてタンクキャップ開閉ツールを車輌のタンクキャップ113に移動させる(図16 ステップ チ)。グリップ67がタンクキャップ113に弾接した時点で、エアモータ61にエア・負圧供給手段108からエアを供給してグリップ67を所定角度だけ正転させる(図16 ステップ リ)。グリップ67とエアモータ61は、軸65、長孔66、及びバネ68により構成される自在継ぎ手により揺動可能な状態で接続されているから、グリップ67はタンクキャップ113の把持部をその叉67aに進入させる。
【0035】
所定角度回転した時点で(図16 ステップ ヌ)、回転を停止し、ついで後退させてグリップ67のねじれを除去する(図17 ステップ ル)。所定位置に後退した時点で(図16 ステップ オ)、再びグリップ67を前進させ、エア・負圧供給手段108からバキュームを供給して開口69にタンクキャップ113を吸着させる(図16 ステップ ワ)。
【0036】
この吸着により開口69の負圧が上昇するため、バキュームスイッチ69がオンとなり、グリップ67が確実にタンクキャップ113を吸着したことが検出されるから、エアモータ61にエアを供給してタンクキャップ113が開放される方向にグリップ67を回動させ、同時にタンクキャップ113のネジピッチに合わせて後退してタンクキャップ113を車輌6から外す(図16 ステップ カ)。
【0037】
所定回転数だけ回転した段階で(図16 ステップ ヨ)、回転を停止してさらに後退する(図16 ステップ タ)。燃料注入口ドア111に接触しない位置まで後退した時点で(図16 ステップ レ)、ストッカ4から給油口112まで移動した軌跡データを基にストッカ4の収納部20に移動して(図16 ステップ ソ)タンクキャップ113を吸着、保持した状態でタンクキャップ開閉ツールを所定位置に挿入する(図16 ステップ ツ)。
【0038】
タンクキャップ開閉ツールが所定位置まで挿入されると、収納部20とタンクキャップ開閉ツールとがロックされ、またチャック機構31との把持が解除される(図16 ステップ ネ)。この状態では、タンクキャップ113は、収納部20に所定の位置に位置決めされ、かつグリップ67と所定の位置関係を保持した状態で保管される。
【0039】
タンクキャップ113の開放が確認されると(図17 ステップ イ)、ロボット7は、適合油種の給油ノズルが収納されているストッカ4の収納部、例えば収納部16に移動し、給油開始時に入力された油種に対応する給油ノズルに移動し(図17 ステップ ロ、ハ)、給油ノズルにチャック機構31を装着する。これにより、ストッカ4と給油ノズルとのロックが解除されて取出しが可能となる(図17 ステップ ニ)。
【0040】
ロボット7は、記憶手段106に格納されている給油口112の座標、給油管114の傾きデータに基づいて給油ノズル3の筒先部85を給油口112に、検出された給油口112の伸びる方向に可及的に平行に装入する(図17 ステップ ホ)。この過程で、給油ノズル3に接続されたホース10は、給油ユニット2のホース9に接続するジョイント13が前進し、ホース10の上端がストッカ4の収納部から可及的に離れた位置に移動する(図2におけるホース10’の状態)。
【0041】
これにより、車輌の位置に関わり無くロボット7は、他のホース10に邪魔されることなく給油ノズルを自由に移動させることができる。なお、ホース10をスムーズに前進させるには、エアシリンダ115等の駆動手段を天板11に設け、ジョイント13を強制的に移動させるのが望ましい。
【0042】
供給穴112への挿入が開始されると、給油ノズル筒先部85は、保護部材98の球面により給油口112を滑って給油管114に進入する。進入の過程で筒先部85が車輌の給油管114に接触して外力が作用すると、弾性部材96が弾性変形して給油口112や給油管114に倣うようにガイドされる。これにより、ロボット7に対して精密な動作を必要とすることなく、給油ノズル3を確実に給油口112から給油管114に挿入することができる。
【0043】
さらに給油ノズル3が移動してガイド部材92がバネ93の力に抗して後退し、2つの挿入センサーを構成するスイッチ94からそれぞれ信号が出力し、規定位置まで挿入されたことが検出される(図17 ステップ ヘ)。この信号を受けて制御ユニット8は給油ユニット2を作動させる。なお、挿入センサーを構成するスイッチ94の1つでも信号が出力しない場合には、先端アーム26を若干移動させて、給油ノズルを確実に給油口に挿入し直す。
【0044】
ついで、給油ノズル筒先部85の開口89aからベーパを吸引して油種判定手段103により油種を確認し(図17 ステップ ト)、一致が確認できない場合には警報を発する(図17 ステップ チ)。油種の一致が確認できた場合には給油ユニット2の給油ポンプを作動させ、またエア・負圧供給手段108からエアを供給してエアシリンダ87を作動させて主弁83を開放する(図18 ステップ イ)。
【0045】
給油が開始されると、給油量が設定された給油量に到達したか(図18 ステップ ロ)、または満タンまで給油が進んだか(図18 ステップ ハ)を常時監視しつつ、さらに挿入センサーを構成するスイッチ94からの信号をも監視する(図18 ステップ ニ)。給油量が設定量に到達した場合には、給油ポンプ及びエアシリンダ87を停止させて主弁83を閉弁して給油を終了する(図18ステップ ホ)。
【0046】
また満タンが検出された場合には(図18 ステップ ハ)自動閉弁機構97が作動して主弁83が閉弁し、前述のステップ(ホ)の過程を経て給油動作を終了する。
【0047】
給油動作が終了すると、ストッカ4の収納部16から給油口112まで移動した軌跡データを基にストッカ4の収納部16に移動して(図18 ステップ ヘ)給油ノズルを所定位置に挿入する(図18 ステップ ト)。また、ホース10は、ジョイント13に作用する錘の力とエアシリンダ115からの変位を受けて奥側に後退し、他の給油ノズルやツールの取出しに障害とならない位置に戻される。給油ノズルが所定位置まで挿入されると、収納部16と給油ノズルとがロックされ、またチャック機構31との把持が解除される(図18 ステップ チ)。
【0048】
一方、給油の途中で挿入センサーのスイッチ94の1からでも信号が途絶えると(図18 ステップ ニ)、給油ポンプ及びエアシリンダ87とを停止させて送液を強制的に停止し、同時に警報を発する(図18 ステップ リ)。これにより、給油ノズル3が給油口112からの抜け出すのを未然に検出することができる。
【0049】
また、自動閉弁機構97の不調や故障により燃料が、車輌の燃料タンクから溢れる寸前まで上昇すると、液センサー95の1つからでも液検出信号が出力された場合には、前述のステップ(リ)の過程を経て給油動作を停止する。
【0050】
給油動作が終了すると(図19 ステップ イ)、前述のタンクキャップ開閉動作と同様にロボット7は、ストッカ4のタンクキャップ開閉ツールの収納部20に移動し(図19 ステップ ロ、ハ)、タンクキャップ開閉ツールにチャック機構31を装着する。これにより、ストッカ4の収納部20とタンクキャップ開閉ツールとのロックが解除され(図19 ステップ ニ)、タンクキャップ113を開口69のバキュームにより保持した状態でグリップ67の取出しが可能となる。
【0051】
ロボット7は、記憶手段106に格納されている給油口112の座標データに基づいてタンクキャップ開閉ツールを移動させ(図19 ステップ ホ、ヘ)、グリップ67に保持されているタンクキャップ113を給油口112に弾接させ(図19 ステップ ト)、この状態でエアモータ61にエア・負圧供給手段108のエアを供給してタンクキャップ113をねじ込む方向にグリップ67を所定数回転させる(図19 ステップ チ)。所定回転数だけ回転してねじ込みが終了した時点で回転を停止し、バキュームの供給を停止し、グリップ67を後退させる(図19 ステップ リ)。
【0052】
グリップ67が燃料注入口ドア111に接触しない位置まで後退した時点で(図19 ステップ ヌ)、後退を停止してストッカ4から給油口112まで移動した軌跡データを基にストッカ4の収納部に移動して(図19 ステップ ル)タンクキャップ開閉ツールを所定位置に挿入する。タンクキャップ開閉ツールが所定位置まで挿入されると(図19 ステップ オ)、収納部20とタンクキャップ開閉ツールとがロックされ、またチャック機構31との把持が解除される(図19 ステップ ワ)。
【0053】
タンクキャップ113の取付けが終了した段階で(図20 ステップ イ)、ロボット7は、ストッカ4の燃料注入口ドア開閉ツールの収納部16に移動し(図20 ステップ ロ、ハ)、燃料注入口ドア開閉ツールにチャック機構31を装着し、ストッカ4と燃料注入口ドア開閉ツールとのロックが解除されて取出す(図20 ステップ ニ)。ロボット7は、記憶手段106に格納されている座標データに基づいて燃料注入口ドア111の表側に対向する位置に移動する(図20 ステップ ホ、ヘ)。
【0054】
そこから燃料注入口ドア111を閉める方向に水平に移動して蛇腹43により燃料注入口ドア111を押圧(図20 ステップ ト)。所定距離の移動後に停止して、今度は車両方向に前進する(図20 ステップ チ)。これにより大きく開いていた燃料注入口ドア111がある程度まで閉められ、最後に押し込まれて完全に閉じられ、同時に車輌にロックする(図20 ステップ リ)。
【0055】
所定距離だけ前進した時点で(図20 ステップ ヌ)、前進を停止し、ストッカ4から給油口112まで移動した軌跡データを基にストッカ4の収納部19に移動する(図20 ステップ ル)。燃料注入口ドア開閉ツールが所定位置に挿入されると(図20 ステップ オ)、収納部19と燃料注入口ドア開閉ツールとがロックされ、またチャック機構31との把持が解除される(図20 ステップ ワ)。
【0056】
なお、上述の実施例においては、燃料注入口ドア開閉ツール、タンクキャップ開閉ツール、及び給油ノズルをそれぞれ別体として構成したが、エアモータ等の駆動手段により回動する基台に一体に設け、ロボット7のアーム上で、所要の作業に応じて切替るようにしてもよい。これによれば、ストッカと車輌との間の移動を可及的に少なくして作業の高速化を図ることができる。
【0057】
また、上述の実施例においては、撮像手段により得た燃料注入口ドアや給油口の画像によりツールの位置決めを制御する場合について説明したが、トランスポンダ等の位置表示手段を設けた車輌の燃料供給蓋やタンクキャップの開閉に適用できることは明らかである。
さらに、上述の実施例においては、ロボットが燃料注入口ドアや給油キャップを自動的に開閉する機能を備えているが、給油ノズルだけを取り扱うロボットの給油ノズルや、また給油作業に不慣れなセルフ給油者用のものとして使用できることも明らかである。
【0058】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、筒先部と車輌の給油口との位置に若干のズレが存在しても、弾性部材が変形し、また筒先部先端の半球状の保護部材により車輌に大きな外力を与えることなく筒先部をスムーズに移動させることができ、汎用ロボットの位置決め精度でも安全、確実に給油ノズルを車輌の給油口に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の給油ノズルが適用されたロボット給油装置の一実施例を示す図である。
【図2】 ツールストッカの一実施例を示す断面図である。
【図3】 ツールストッカの一実施例を示す正面図である。
【図4】 ロボットの一実施例を示す図である。
【図5】 ロボットの一実施例を示す上面図である。
【図6】 図(イ)乃至(ハ)は、それぞれ燃料注入口ドア開閉用ツールの一実施例を示す上面図、正面図、及び側面図である。
【図7】 図(イ)(ロ)は、それぞれタンクキャップ開閉用ツールの一実施例を示す上面図、及び正面図である。
【図8】 図(イ)、(ロ)は、それぞれ同上タンクキャップ開閉用ツールの一実施例を示す側面図である。
【図9】 本発明が特徴とする給油ノズルの一実施例を示す断面図である。
【図10】 図(イ)、(ロ)は、それぞれ同上給油ノズルの筒先部と胴部との境界の構造を示す正面図と断面図である。
【図11】 同上給油ノズルと基台との取付け構造の他の実施例を示す図である。
【図12】 同上装置の制御手段を示すブロック図である。
【図13】 燃料注入口ドアの中心を判定する工程を説明する図である。
【図14】 図(イ)、(ロ)は、それぞれ給油口に対する撮像手段の角度と、撮影された給油口の形状との関係を示す図である。
【図15】 同上装置により燃料注入口ドアを開放する動作を示すフローチャートである。
【図16】 同上装置によりタンクキャップを開放する動作を示すフローチャートである。
【図17】 同上装置により給油ノズルを挿入する工程を示すフローチャートである。
【図18】 挿入された給油ノズルによる給油動作、及び給油ノズルの収納動作を示すフローチャートである。
【図19】 同上装置によりタンクキャップを取る付ける動作を示すフローチャートである。
【図20】 同上装置により燃料注入口ドアを閉める動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 アイランド
2 給油ユニット
3 給油ノズル
4 ツールストッカ
5 アーム
6 車輌
7 ロボット
8 制御ユニット
9、10 ホース
30 撮像手段
31 チャック機構
43 蛇腹
49 エアシリンダ
50 バキュームスイッチ
61 エアモータ
67 グリップ
69 バキュームスイッチ
80 基台
81 給油ノズル本体
82 給油レバー
83 主弁
84 チャッキ弁
85 給油ノズル筒先部
87 エアシリンダ
88 スイッチ
93 磁石
94 リードスイッチ
97 自動閉弁機構
98 保護部材
100 測距手段
113 タンクキャップ
114 給油管
115 エアシリンダ

Claims (5)

  1. 車輌の給油口に挿入されて給油を実行するロボット給油装置用給油ノズルにおいて、
    液や気泡の検出により主弁を閉弁させる自動閉弁機構を筒胴部に備え、送液手段からの液を前記主弁を介して前記筒胴部に設けられた筒先部から吐出する給油ノズル本体を、把持手段により把持される基台に弾性部材を介して固定するとともに、前記筒先部の先端には中心部に通孔を備えた半球状の保護部材が取付けられているロボット給油装置用給油ノズル。
  2. 前記弾性部材が前記筒胴部の後端領域を支持している請求項1に記載のロボット給油装置用給油ノズル。
  3. 前記筒胴部の前記筒先部との境界に、前記筒胴部の先端を覆うように形成されたガイド部材が弾性部材により前記筒胴部と一定の間隔を形成するように弾性部材により付勢されて設けられ、また前記ガイド部材が所定の位置に後退したことを検出する複数の挿入検出センサーが設けられている請求項1に記載のロボット給油装置用給油ノズル。
  4. 前記ガイド部材の近傍に少なくとも1つの液検出センサーが配置されている請求項1に記載のロボット給油装置用給油ノズル。
  5. 前記基台に前記主弁を開弁する駆動機構が設けられている請求項1に記載のロボット給油装置用給油ノズル。
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