JP3747603B2 - 画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式のカラー複写機、カラープリンタ用の画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法により画像を形成する様々な方法が知られている。カラー画像を得る方法としては帯電、露光、現像、転写を繰り返し行い、異なる色相の着色剤を用いた数種類のカラートナーを重ねて得られる画像を中間転写体および画像支持体上に形成する方法が一般的である。用いられる現像剤としてはトナーのみを含有する一成分現像剤、トナーおよびトナーに電荷を与え搬送を行うキャリアを含有する二成分現像剤がある。前者はキャリアとトナーを撹拌する部材やトナー濃度制御が必要ないため装置の簡素化、小型化の可能性が高い。
【0003】
上記の画像形成方法では、トナーの分光反射特性が理想値により近いこと、トナーを画像支持体上に重ね合わせて画像を形成したとき下層を隠蔽しないこと、さらにオーバーヘッドプロジェクター用トランスペアレンシーシート(以下OHTと省略)を用いた場合にトナー層による透過光の散乱が小さく色相変化を起こさないことが必要となる。
【0004】
カラートナーに使用される着色剤としてはC.I.PIGMENT YELLOW 12,17,185などの顔料がある。しかし、これらの顔料はトナー中で0.1μm以上の2次凝集体の状態で分散しているためトナー層の透明性に劣る。また分散性を向上させるために顔料をあらかじめ高濃度で樹脂に分散してマスターバッチ化し着色剤として用いる方法があるが、顔料の一次粒子が0.1μm以上であるためそれ以下に分散することは不可能である。そのため2種以上のトナーを重ね合わせて画像を形成する場合、上層のトナーの透明性が劣ると下層のトナーを隠蔽し重ね合わせ画像の彩度の低下を招く。またOHTに画像形成を行う場合、着色剤として顔料を用いると前述の理由により透明性の低下や色再現性の悪化が起こる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、一成分非磁性現像カラートナー重ね合わせ画像において、トナーの適正帯電性を高め、安定な現像性を確保し、上層のトナーの透明性を向上することで下層の隠蔽を防いで彩度を高くし、OHT画像の色再現性や透明性に優れる画像を形成する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記構成を採ることにより達成される。
【0007】
(1) 潜像保持体上の潜像を複数の異なる色相の着色剤を用いた一成分非磁性現像トナーで現像する画像形成方法において、トナーを担持するトナー担持体上のトナー層厚を薄層に規制しトナーを帯電させる弾性規制部材を有する現像方法を用い、かつ、トナー塗布ブレードとトナー担持体との当接力をスリーブ母線方向の線圧として0.3〜25kg/mとし、前記着色剤の少なくとも1種はC.I.Solvent Yellow 93とすることを特徴とする画像形成方法。
【0008】
(2) 潜像保持体上の潜像を複数の異なる色相の着色剤を用いた一成分非磁性現像トナーで現像する画像形成方法において、トナーを担持するトナー担持体上のトナー層厚を薄層に規制しトナーを帯電させる弾性規制部材を有する現像方法を用い、かつ、トナー塗布ブレードとトナー担持体との当接力をスリーブ母線方向の線圧として0.3〜25kg/mとし、前記着色剤の少なくとも1種はC.I.Solvent Yellow 162とすることを特徴とする画像形成方法。
(3) 転写帯電器による多重転写工程を有することを特徴とする(1)または(2)に記載の画像形成方法。
【0009】
着色剤として従来の顔料を用いるとトナーの透明性が劣るため、画像支持体上での重ね合わせにおける下層の隠蔽やOHTでの入射光の散乱を起こし、画像品質が低下する。一方、本発明のC.I.Solvent Yellow 93やC.I.Solvent Yellow 162を用いるとトナー透明性が向上するため、上記の問題を防止することができる。
【0010】
本発明の効果は、多分以下のごとき理由によりもたらされると推定される。一成分非磁性現像においては、トナーを適正に帯電させることが極めて困難であったが、上記特定の着色剤がトナーの適正帯電性を高め、結果として安定な現像性を確保しうる。又、これら本発明に用いた着色剤であるC.I.SOLVENTYELLOW 93,162はバインダ樹脂中に分子状態で溶解している、あるいは非常に小さな粒子(0.1μm以下)となって分散しているため、分散径が可視光波長域より小さく、画像支持体上に形成した画像への入射光を散乱しない。そのため色相変化や透明性の低下の小さいOHP画像を得ることができ、さらには2次色の彩度の向上が可能であると考えられる。
【0011】
以下、本発明の構成要件につきさらに説明する。
【0012】
現像剤トナーの構成要件については、下記のごとくである。
【0013】
着色剤:
少なくとも1種はC.I.Solvent Yellow 93または/あるいはC.I.Solvent Yellow 162を使用する。トナーへの添加量はバインダー樹脂に対して0.01重量部〜15重量部、好ましくは1.0重量部〜10重量部である。
【0014】
バインダ樹脂:
一般に使用される全てのバインダ樹脂が使用できる。例えば、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン/アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などがあげられる。
【0015】
離型剤:
従来使用されている離型剤は全て使用できる。具体的には、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、エチレン/プロピレン共重合体などのオレフィン類、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、サゾールワックス、パラフィンワックスなどがあげられる。
【0016】
荷電制御剤(CCA):
必要に応じて添加しても良いが、発色性の点から無色のものが好ましい。例えば4級アンモニウム塩構造、カリックスアレン構造を有するものなどがあげられる。
【0017】
外添剤:
トナーに対し流動性向上、荷電制御などを目的として無機微粉末、有機微粉子を外部添加しても良い。表面をアルキル基含有のカップリング剤などで処理したシリカ微粒子、チタニア微粒子が好ましく用いられる。なお、これらは数平均一次粒子径が10〜500nmのものが好ましく、さらにはトナー中に0.1重量%〜10重量%添加するのが好ましい。
【0018】
次に画像形成方法についての説明を行なう。
【0019】
潜像保持体上の潜像を一成分トナーを担持するトナー担持体上のトナーで現像する画像形成方法において、トナー担持体上の一成分トナーの層厚を薄層に規制する規制部材を有する現像方法を用いる。
【0020】
本発明のトナーを使用して非磁性一成分トナー現像を行う場合の現像方法の一例を説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。図1に、非磁性一成分トナー現像を説明する概要断面図を示す。1は潜像保持体であり、潜像形成は図示しない電子写真プロセス手段又は静電記録手段により成される。2は現像スリーブであり、アルミニウムあるいはステンレス等からなる非磁性スリーブからなる。
【0021】
現像スリーブはアルミニウム、ステンレスの粗管をそのまま用いてもよいが、好ましくはその表面をガラスビーズ等を吹きつけて均一に荒らしたものや、鏡面処理したもの、あるいは樹脂等でコートしたものがよく、磁性一成分現像方法に使用されるものに準ずる。
【0022】
トナーTはホッパー3に貯蔵されており、供給ローラー4によってトナー担持体上へ供給される。供給ローラーはポリウレタンフォーム等の発泡材より成っており、トナー担持体に対して、順または逆方向に相対速度をもって回転し、トナー供給とともに、トナー担持体上の現像後のトナー(未現像トナー)のはぎ取りも行っている。トナー担持体上に供給されたトナーはトナー薄層化規制部材の一種であるトナー塗布ブレード5によって均一かつ薄層に塗布される。
【0023】
トナー塗布ブレードとトナー担持体との当接圧力は、スリーブ母線方向の線圧として、0.3〜25kg/m、好ましくは0.5〜12kg/mが有効である。当接圧力が0.3kg/mより小さい場合、トナーの均一塗布が困難となり、トナーの帯電量分布がブロードになりカブリや飛散の原因となることがある。また当接圧力が25kg/mを超えると、トナーに大きな圧力がかかり、トナーが劣化するため、トナーの凝集が発生するなど好ましくない。またトナー担持体を駆動させるために大きなトルクを要するため好ましくない。即ち、当接圧力を0.3〜25kg/mに調整することで、本発明のトナーの凝集を効果的にほぐすことが可能になり、またトナーの帯電量を瞬時に立ち上げることが可能になる。
【0024】
トナー薄層化規制部材(トナー塗布ブレード)は、弾性ブレードで、所望の極性にトナーを帯電するのに適した摩擦帯電系列の材質のものを用いることが好ましい。
【0025】
本発明においては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、スチレン−ブタジエンゴムなどが好適である。さらに、ポリアミド、ポリイミド、ナイロン、メラミン、メラミン架橋ナイロン、フェノール樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン系樹脂等の有機樹脂層を設けても良い。また導電性ゴム、導電性樹脂等を使用、又は、金属酸化物、カーボンブラック、無機ウイスカー、無機繊維等のフィラーや荷電制御剤をブレードのゴム中、樹脂中に分散するなども適度の誘電性、帯電付与性を与え、トナーを適度に帯電させることができて好ましい。
【0026】
なお、本発明のブレードにより現像スリーブ上にトナーを薄層コートする系においては、十分な画像濃度を得るために、現像スリーブ上のトナー層の厚さを現像スリーブと潜像保持体との対抗空隙長よりも小さくし、この空隙に交番電場を印加することが好ましい。すなわち図1に示すバイアス電源7により、現像スリーブ2と潜像保持体1との間に交番電場または交番電場に直流電場を重畳した現像バイアスを印加することにより、現像スリーブ上から潜像保持体上へのトナー移動を容易にし、更に良質の画像を得ることができる。
【0027】
次に本発明の画像形成方法について、フルカラー電子写真方法を例にして図2をもとに説明する。
【0028】
感光ドラム(潜像保持体ドラム)11上に適当な手段で形成された静電潜像は、矢印の方向へ回転する回転現像ユニット12に取り付けられた現像器12−1中の第1のカラートナーにより可視化される。感光ドラム上のカラートナー画像は、グリッパー17によって転写ドラム16上に保持されている転写材Sに、転写帯電器18により転写される。図1で13は露光光、14は帯電器である。
【0029】
転写帯電器には、コロナ帯電器,接触帯電器が利用され、転写帯電器18にコロナ帯電器が使われる場合には、−10kV〜+10kVの電圧が印加され、転写電流は通常−500μA〜+500μAである。転写ドラム16の外周面には保持部材が張設され、この保持部材はポリフッ化ビニリデン樹脂フィルムやポリエチレンテレフタレート等のフィルム状誘電体シートによって構成される。例えば、厚さ100μm〜200μm,体積抵抗1012〜1014Ω・cmのシートが用いられる。
【0030】
次に2色目として回転現像ユニットが回転し、現像器12−2が感光ドラム11に対向する。そして現像器12−2中の第2のカラートナーを有する現像剤により現像され、このカラートナー画像も前記と同一の転写材上に重ねて転写される。
【0031】
更に3色目、4色目も同様に行われる。このように転写ドラム16は転写材を把持したまま所定回数だけ回転し所定色数のトナー像が多重転写される。静電転写するための転写電流は、一色目<二色目<三色目<四色目の順に高めることが感光ドラム上に残る転写残留トナーを少なくするために好ましい。
【0032】
また転写材を転写ドラム16から分離する際に、分離帯電器19により除電するが、転写電流が大きいと、転写材の転写ドラムへの静電吸着が大きくなり、分離する際の電流を大きくしないと分離できなくなる。分離の電流は、転写電流とは逆極性であるので、トナー像の乱れや転写材上からのトナーの飛散を生じ、画像形成装置機内を汚してしまう。本発明のトナーは転写が容易であるので、分離電流を大きくせずとも良く、分離を容易にすることができ、結果として分離時の画像の乱れや、トナー飛散を防止することができる。したがって本発明のトナーは、多重転写工程を有する多色画像、フルカラー画像を形成する画像形成方法に好ましく用いられる。
【0033】
多重転写された転写材は、分離帯電器19により転写ドラム16より分離され、シリコーンオイルを含浸しているウェッブを有する加熱加圧ローラー定着器20で定着され、フルカラー画像となる。
【0034】
現像器12−1〜12−4に供給される補給トナーは各色ごとに具備した補給ホッパーより、補給信号に基づいた一定量をトナー搬送ケーブルを経由して、回転現像ユニット12の中心にあるトナー補給筒に搬送され、各現像器に送られる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。尚、本文中「部」とは「重量部」を表わす。
【0036】
実施例1
トナーの製造:
ポリエステル樹脂100部、下記着色剤、ポリプロピレン3部とを混合、練肉、粉砕、分級し、平均粒径8.5μmの粉末を得た。
【0037】
さらにこの粉末100部とシリカ微粒子(粒子径12nm、疎水化度60)1.0部とをヘンシェルミキサーで混合し、イエロー、マゼンタトナーを得た。
【0038】
イエロートナー(C.I.Solvent Yellow 93) 6部
マゼンタトナー(C.I.Pigment Red 122) 4部
評価装置、条件
本実施例においては、画像形成装置として市販のデジタルフルカラー電子写真複写機(Color Laser Shot キャノン株式会社製)にて実写評価を行った。装置の概要は図1に示すものとほぼ同じである。
【0039】
評価項目、方法
OHP画像の色相変化および透明性は、本発明のイエロートナーを用いた現像剤によって、上記画像形成方法により普通紙およびOHP上にそれぞれ反射画像(紙上の画像)および透過画像(OHP上の画像)を作製し、以下に示す方法で評価した。
【0040】
なお、トナー付着量は0.7±0.05(mg/cm2)の範囲で評価した。
【0041】
色相変化:
マクベスCE−7000を用い光源をASTM−D65 2°として、作製した普通紙およびOHP画像の色相差を測定し比較した。
【0042】
透明性:
日立製作所製「330型自記分光光度計」によりトナーが担持されていない画像の可視分光透過率を測定し、570nmでの分光透過率を求めトナーの透明性の尺度とした。
【0043】
2次色彩度:
2次色彩度はイエロートナーと前述のマゼンタトナーを用いイエロー、マゼンタの順に現像転写を繰り返し行った後、定着を行うことで紙上に形成した2次色(レッド)画像を以下に示す方法で評価した。
【0044】
なお、付着量は各色0.4±0.05mg/cm2の範囲で評価を行った。
【0045】
具体的にはマクベスCE−7000を用い光源をASTM−D65 2°として画像の彩度を測定した。
【0046】
実施例2
イエロー着色剤としてC.I.Solvent Yellow 162を用いる以外は実施例1と同様に現像剤を作製し、同様の方法で評価した。
【0047】
比較例1
イエロー着色剤としてC.I.Pigment Yellow 17を用いる以外は実施例と同様に現像剤を作製し、同様の方法で評価した。
【0048】
【表1】
【0049】
本発明の着色剤を用いることにより、色相変化や透明性の低下の小さい鮮やかな黄色のOHP画像を得ることができ、さらには彩度の高い2次色画像を得ることができる。一方比較例の着色剤を用いると、赤色化した暗いOHP画像となり2次色画像の彩度も低い結果となった。
【0050】
【発明の効果】
本発明により、一成分カラートナー重ね合わせ画像において、上層のトナーの透明性を向上することで下層の隠蔽を防いで彩度を高くし、OHT画像の色再現性や透明性に優れる画像を形成する方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の非磁性一成分トナー現像を説明する概要断面図。
【図2】本発明の画像形成方法を説明する概要断面図。
【符号の説明】
1 潜像保持体
2 現像スリーブ
3 ポッパー
4 供給ローラー
5 トナー薄層化規制部材(トナー塗布ブレード)
11 感光ドラム(潜像保持体ドラム)
12 回転現像ユニット
T トナー
S 転写材
Claims (3)
- 潜像保持体上の潜像を複数の異なる色相の着色剤を用いた一成分非磁性現像トナーで現像する画像形成方法において、トナーを担持するトナー担持体上のトナー層厚を薄層に規制しトナーを帯電させる弾性規制部材を有する現像方法を用い、かつ、トナー塗布ブレードとトナー担持体との当接力をスリーブ母線方向の線圧として0.3〜25kg/mとし、前記着色剤の少なくとも1種はC.I.Solvent Yellow 93とすることを特徴とする画像形成方法。
- 潜像保持体上の潜像を複数の異なる色相の着色剤を用いた一成分非磁性現像トナーで現像する画像形成方法において、トナーを担持するトナー担持体上のトナー層厚を薄層に規制しトナーを帯電させる弾性規制部材を有する現像方法を用い、かつ、トナー塗布ブレードとトナー担持体との当接力をスリーブ母線方向の線圧として0.3〜25kg/mとし、前記着色剤の少なくとも1種はC.I.Solvent Yellow 162とすることを特徴とする画像形成方法。
- 転写帯電器による多重転写工程を有することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成方法。
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1997
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