JP3747379B2 - 糸条移送ロールの洗浄方法およびその洗浄装置 - Google Patents

糸条移送ロールの洗浄方法およびその洗浄装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業用の利用分野】
本発明は、合成繊維製造工程において用いられる糸条移送ロールの汚れを効率的に洗浄する方法およびそのために用いる洗浄装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、合成繊維の製造工程においては、糸条移送ロール表面上に油剤や添加剤あるいは糸条から発生した白粉が付着し、これらが時間とともに堆積成長して、走行糸条に接触し、糸条を傷つけるとともに、糸条束ピッチの安定性を欠き、安定生産の障害となるという問題があり、糸条移送ロールがホットロールの場合には、これら堆積による汚れが一層ひどくなっていた。
【0003】
そのため、合成繊維の製造工程においては、定期的に設備を休止し、糸条移送ロールの表面を洗浄することにより、清浄化する作業を実施ししなければならなかった。
【0004】
そして、糸条移送ロール表面の洗浄を行う方法としては、人手による方法が一般的であり、通常は糸条を切断した後、糸条移送ロールの回転を停止させ、綿布に水あるいは洗浄液を含ませて払拭したり、ブラシやたわしで汚れをこすり落とす方法が行われている。
【0005】
また、糸条移送ロールがホットロールの場合は、綿布に水を含ませて高温のホットロールに巻き付けて温度を下げた後、別の綿布に洗浄液を含ませて、ホットロールの表面に付着した汚れを払拭するのが一般的であった。
【0006】
さらに、汚れが落ちにくい場合には、ブラシやたわしで汚れをこすり落とした後、水を含ませた綿布でホットロールの表面を払拭し、次いで水をホットロール表面に流すことにより洗浄液を洗い去り、最後に乾いた布でホットロールの表面を拭くことにより洗浄作業を終了していた。
【0007】
しかるに、このような人手による糸条移送ロールの洗浄作業では、洗浄用の水や洗浄液、水や洗浄液の受け皿、作業台、作業者用のゴム手袋、綿布、およびブラシやたわしなどを準備する必要があった。また、これら人手による作業では、高温のホットロールや洗浄液により火傷の危険性が高く、ホットロールの加熱源や製糸装置の機台周辺を水や洗浄液で汚損するために製糸装置の寿命が短くなるばかりか、作業に長時間を要するという問題があった。
【0008】
そこで、これら人手による洗浄作業の代わりに、ホットロールなどの糸条移送ロールを機械的に洗浄する洗浄装置が、例えば特開昭61−231233号公報、実開平2−78585公報および特開昭63−12752公報などにより数多く提案されている。
【0009】
すなわち、上記特開昭61−231233号公報に記載された洗浄装置は、軸に片持ち状に支持されたホットロールに、断面状がコ字型のボックス、前記ホットロールの外周面に当接するブラシ、洗浄液の噴射ノズル、前記ブラシを回転させるモーターおよびゴムパッドなどで一体に成形された洗浄部を装着したものであり、この洗浄装置は前記ゴムパッドをホットロールの端面に当接し、負圧によって前記洗浄部をホットロールに固定した後、前記モーターでブラシを回転させながら、前記ノズルから洗浄液を噴出してホットロール表面に付着した汚れを洗浄するように構成されている。
【0010】
また、上記実開平2−78585号公報に記載された洗浄装置は、軸に片持ち状に支持されたホットロールに、中央に貫通孔を有する筐体、この筐体を支持するガイドロール、ホットロールの外周面に密着するシール部材、このシール部材と筐体との間に介装して前記ホットロールを筐体に対して回転させるベアリングおよび洗浄液の噴射ノズルなどで一体に構成される洗浄部を装着したものであり、この洗浄装置は、前記ホットロールを、モーターで回転させるとともに、前記噴射ノズルから洗浄液を噴出させ、前記筐体をホットロールの回転軸方向に手作業で移動させることにより、ホットロールの表面を洗浄するように構成されている。
【0011】
さらに、上記特開昭63−12752号公報に記載された洗浄装置は、脱水、脱液機能を付与するため、表面にスポンジなどの吸引部材を巻き付けた糸条移送ロールを有する洗浄装置であり、フレーム間に架承された繊維系の糸条移送ロールに処理ノズルが内蔵された水の飛散防止カバーを添接し、ロール全長に亘るガイド杵の回転力により処理ノズルをトラバースさせ、樹脂、合成糊、でんぷん糊などで目詰りしたロール表面の機能を回復させるように構成されたものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開昭61−231233号公報に記載の洗浄装置は、構造上、片持ちタイプのホットロールにしか使用できない上、使用し得るホットロールの長さが決まってしまい、長さの異なるホットロールには使用できないこと、高い洗浄効果を長期に亘って維持しうるブラシの材質選定が困難であること、および構成が複雑で装置の総重量が10kgと重く、洗浄作業性が困難な上、安全に作業できないことなどの問題があった。
【0013】
また、上記実開平2−78585号公報に記載の洗浄装置は、シール部材をホットロールの外周面に密着させる関係上、異なる外径のホットロール毎に洗浄装置を用意しなければならないこと、ホットロールの表面を傷つけることなく筐体を支持し、軸方向に移動しうるガイドロールの材質の選定が難しいこと、およびホットロールが露出した状態で洗浄作業を行うことから、ホットロールへの巻込まれや火傷などの危険性を伴なうことなどの問題があった。
【0014】
さらに、上記特開昭63−12752号公報に記載の洗浄装置は、この装置を製糸用ロールの洗浄に用いようとしても、処理ノズルをトラバースさせるためのガイド杵がロール全長に亘って存在するため、糸掛け作業が非常に難しいこと、上記理由により、糸切れなどが発生した時に切れた糸がガイド杵に巻き付き、さらにはガイド杵を破損せしめる問題があること、水の飛散を防止するためには、飛散防止カバーをロールに添接させるが、ロール表面に傷をつけないためにはロールとの間に隙間を設ける必要があり、噴出水が隙間から飛散し噴出水を回収しきれないこと、および水の飛散を確実に防止するには、飛散防止カバーをロールに接触させる必要があり、その状態で噴射ノズルをトラバースさせながらロールを回転させるため、ロール表面に致命的な傷が付くことが多いことなどの問題があった。
【0015】
本発明は、上述した従来技術が有する問題点の解決を課題として検討した結果、達成されたものである。
【0016】
したがって、本発明の目的は、製糸工程においてロールの大きさと無関係に使用することができ、構成要素が少なく、しかもロール表面を傷つけることなく洗浄することができ、洗浄作業が簡単で作業性に優れ、かつ、安全に作業することが可能な糸条移送ロールの洗浄方法およびそのために使用する洗浄装置を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の糸条移送ロールの洗浄方法は、ホットロールである糸条移送ロールに対向し、かつ前記糸条移送ロールの軸方向に移動可能なノズルから液体を噴出させつつ、前記ノズルを前記糸条移送ロールの軸方向にエアシリンダで移動させて洗浄する糸条移送ロールの洗浄方法であって、前記ノズルから前記ホットロールの温度を下げた後、前記ノズルから洗浄液を噴出させ、次いで水を噴出させて前記洗浄液を洗い流すことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の糸条移送ロールの洗浄方法において、糸条移送ロールがホットロールである場合は、まずノズルから冷却液を噴出させて、前記ホットロールの温度を下げた後、前記ノズルから洗浄液を噴出させ、次いで水を噴出させて前記洗浄液を洗い流すことを特徴とする。
【0019】
上記の洗浄方法においては、複数の洗浄液の一部に水を使用すること、ノズルからまず少なくとも1種類の洗浄液を噴出させた後、次いで前記ノズルから水を噴出させて、前記洗浄液を洗い流すこと、および前記洗浄液としてPH8〜PH13のアルカリ液を使用することが、それぞれ好ましい。
【0020】
さらに、本発明の糸条移送ロールの洗浄装置は、ホットロールである糸条移送ロールと、この糸条移送ロールの外周面に対向して配置されたノズルと、このノズルを前記糸条移送ロールの軸方向にエアシリンダで移動させる移動手段と、複数種類の液体圧送手段とを備え、この液体圧送手段から複数種類の液体を順次ノズルに圧送し得るように構成したことを特徴とする。
【0021】
上記の洗浄装置においては、複数のノズルが多重管で構成された軸の端部へ取付けられ、多重管からノズルへの通路を設けると共に、多重管の一方から複数種類の液体を供給しうるように構成したこと、および前記ノズルの移動と、前記ノズルへの複数種類の液体圧送を、連続して自動的に行うように構成したことがそれぞれ好ましい。
【0022】
【作用】
製糸工程において、糸条移送ロールは、巻き回した糸条を延伸処理するために機能する。この製糸時には、移動手段によってノズルは糸道から外れた位置に待機させられ、液体を噴出することはない。一方、糸条移送ロール表面に付着した油剤などの汚れを洗浄するときは、糸条移送ロールを回転させ、移動手段によってノズルを糸条移送ロールに対向させ、かつその軸方向に移動しながら、複数種類の液体圧送手段によって複数種類の液体を順次ノズルより噴出させることによって、油剤などの汚れを自動的に洗浄する。
【0023】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0024】
まず、本発明の糸条移送ロールの洗浄装置について説明し、次いでこの装置を用いる洗浄方法について説明する。
【0025】
図1は本発明の糸条移送ロールの洗浄装置の一実施例を示す平面図、図2は図1のX−X線に沿った断面図、図3は本発明の糸条移送ロールの洗浄装置に使用するロールカバーの変形例を示す側面図、図4(a)、(b)および(c)は本発明の糸条移送ロールの洗浄装置における移動手段の組込の各種例を示す説明図、図5は本発明の糸条移送ロールの洗浄装置をホットロールに適用した一実施例を示す概略説明図、図6は図5に示した装置を用いる実施例での洗浄タイムチャートである。
【0026】
図1に示した実施例は、ノズル11の移動手段10としてエアシリンダ12を使用したもので、エアシリンダ12の中空ロッド13の先端に組込まれたひとつのノズル11から水および洗浄液を噴出させるようになっており、ひとつのロール8にひとつの移動手段10が組込まれており、ロール8の回りにロールカバー1を装備している。
【0027】
ロールカバー1は、本体1aの前部に把手2a,3aを有する扉2,3が、ヒンジ2b,3bにより開閉自在に取付けられ、本体1aと扉2,3との間および扉2と扉3との間は弾性体からなるシール材4でシールされ、ロール8が例えばホットロールである場合の保温を兼ねている。なお、ロール8がホットロールでない場合はロール8を保温する必要はない。
【0028】
したがって、ロールカバー1は、糸掛けに支障がなければ機台取付型でもよいが、本発明の別の実施態様の側面図である図3に示すように、本体に取付けた止金具L1,L2によって、ロールカバー1が洗浄時のみ取付けることができる着脱自在な構造であってもよい。その場合、排出管6の構造は、フレキシブル管6aの先端にある継手6bにより着脱口6cに着脱自在となるよう構成されている。
【0029】
また、図2において、本体の底部両側には糸道口1b,1cがそれぞれ設けられている。これら糸道口の近傍には、図2に示すように、レール1d,1eが設けられ、液漏れ防止用のカバー5が装着されている。
【0030】
一方、本体1aの底壁は、中央が低くなるようにわずかに傾斜しており、中央には排出口1fが設けられている。排出口1fはノズル11から噴出された洗浄液を排出管6から排出ピット7へ排出する。そして、このロールカバー1内には、ロール8が設けられている。
【0031】
ロール8は、図示しない機台に取付けられた駆動モーターにより、予め設定した速度で回転され、2対のロール8a,8bとの間に糸条Tを複数回巻き回し、所定の速度で移送する。糸条Tは図2に示すように、本体の底部に設けた一方の糸道口1bからロールカバー1内へと導入され、ロール8a,8bに巻き回された後、本体の底部に設けた他方の糸道口1cからロールカバー1の外部へと導出される。
【0032】
移動手段10は、ロール8a,8bのそれぞれにひとつづつ設けられている。したがって、ロール8aに設けた移動手段10について説明し、ロール8bに設けた移動手段10については、図中同一の構成要素に同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0033】
移動手段10は、ノズル11、このノズル11をロール8aに沿って移動させるエアシリンダ12、位置検出スイッチS1,S2およびスピードコントローラC1,C2などを備えている。
【0034】
ノズル11は、中空ロッド13の先端に取り付けられて、ロール8aの外周面に対向して配置され、ロール8aの表面に高圧の水あるいは洗浄液を噴出する。ノズル11は、糸条Tがロール8aに巻き回されて製糸作業が行われている間は、図1に示す位置に待機している。そして、ロールカバー1への中空ロッド13の挿入口1gは、シール材5でシールされ、ロール8aのロールカバー1への挿入口は図示されないシール材やラビリンスなどの手段でシールされている。
【0035】
水と洗浄液の切り替えは、中空ロッド13に接続された配管に設けた切替弁14bの操作で行われ、液体の噴出および停止は電磁弁Vで制御される。さらに、水または洗浄液は、図示されていないポンプなどの液体圧送手段で圧送されるように構成されている。
【0036】
本実施例では、図4(a)に示したように、ひとつのロール8にひとつのエアシリンダ12を組込み、中空ロッド13の先端へ接続したひとつのノズル11から、水Waと洗浄液Wbを切替弁14bにより順次切替えて噴出するようにしている。しかし、本発明はこの方式に限定されることなく、ひとつのロール8に複数のエアシリンダ12を組込み、それぞれ異なる洗浄液Wa,Wbを噴出するようにしてもよい。
【0037】
すなわち、図4(b)は、2つのエアシリンダ12を組込んだ例である。
【0038】
また、ひとつのエアシリンダ12であっても中空ロッド13を多重管にして、多重管の先端に取付けた複数のノズル11a,11bからそれぞれ異なる洗浄液Wa,Wbを噴出するようにしてもよい。図4(c)は、ひとつのエアシリンダ12で中空ロッド13を二重管にした例である。
【0039】
また、当然のことながら、移動装置はエアシリンダに限定するものではない。
【0040】
次に、ホットロールの洗浄方法の一実施例を、図5をもとに説明する。また、その時の洗浄タイムチャートを図6に示す。
【0041】
まず、洗浄すべきホットロール8a,8bを予め回転しておいてから、制御盤30に設けたスイッチ30aを入れると、切替弁14aにエア配管P3を通じてエアが送られてエアシリンダ12が移動を始める。それと同時に、ポンプ20aが起動し、電磁弁V3が動作して、タンク23aより配管P1、フレキ管21a、エアシリンダ12の中空ロッド13aを通りノズル11aから、対向するホットロール8a、8bの表面に対し、水が噴出し、ホットロール8a,8bの冷却が開始される。
【0042】
エアシリンダ12の移動に伴い、位置検出スイッチS1,S2から信号が発せられ、それにより切替弁14a,14bが正逆に切り替わり、エアシリンダ12は往復する。位置検出スイッチS2により、往復の回数がカウントされる。予め設定したカウント数になると、ポンプ20aが停止し電磁弁V3が閉止しエアシリンダ12が停止する。
【0043】
次いで、ポンプ20bが起動し、電磁弁V4が動作し、タンク23bより配管P2、フレキ管21b、エアシリンダ12の中空ロッド13bを通り、ノズル11bから高圧の洗浄液が噴出するとともに、エアシリンダ12が往復運動を始め、洗浄液による洗浄が開始される。予め設定したカウント数になるとポンプ20bが停止、電磁弁V4が閉止、エアシリンダ12が停止する。
【0044】
引き続いて、ポンプ20aが起動し、電磁弁V3が動作、エアシリンダ12が往復運動を始め、水による洗浄が開始される。予め設定したカウント数になるとポンプ20aが停止、電磁弁V3が閉止、エアシリンダ12が停止して、全ての洗浄作業が終了する。
【0045】
図6に示した洗浄タイムチャートは、エアシリンダ12の往復回数4回の例であるが、この往復回数は1回目の水噴出、洗浄液の噴出、2回目の水噴出に応じて、各々別個に自由に設定できるようになっており、ホットロール8a、8bの汚れの状態により設定される。
【0046】
また、エアシリンダ12の往復速度は、エアシリンダ12のエア供給部に設けられたスピードコントローラC1,C2により自由に調整可能である。本実施例では1回目の水噴出、洗浄液の噴出、2回目の水噴出の処理時間を、スピードコントローラC1,C2と往復回数のカウンタにより設定しているが、これに限定されるものではなく、例えばカウンタの代わりにタイマーを使用してもよい。
【0047】
さらに、図6に示した洗浄タイムチャートでは、1回目の水噴出と洗浄液の噴出の間、および洗浄液噴出と2回目の水噴出の間に、一定時間のタイマーを入れているが、これに限定されるものではなく、エアシリンダ12の往復運動を連続して行い、ポンプ20a,20bおよび電磁弁V3,V4を順次切替え、連続して洗浄してもよい。また、図6に示した洗浄タイムチャートでは、例えばポンプ20a、電磁弁V3、およびエアシリンダ12は同時に起動するようになっているが、各々にタイマーなどで若干の時間差を設けてもよい。
【0048】
図5に示した実施例は概略構成図であり、ここには図示されていないが、実際の装置には水や洗浄液の供給装置、液面調整装置またポンプの吐出圧調整装置、安全弁、各種異常警報装置などを有している。
【0049】
次に、洗浄液による洗浄力の影響について説明する。
【0050】
すなわち、本発明の洗浄方法においては、水のみでも洗浄は可能であるが、この場合の水の噴出圧力は、汚れの落ちやすさは洗浄処理すべき糸条の種類、用いる油剤の種類、ホットロールの加熱温度、および使用期間などにより異なり、水圧20Kg/cm2 ・Gもあればきれいに洗浄できるものがある反面、ある品種では1200Kg/cm2 ・Gまで上げないときれいに洗浄できないことがある。
【0051】
そして、500Kg/cm2 ・G以上の高圧で長時間使用した場合には、ロール表面の損傷が心配され、またロール8a、8bから飛散した水をロールカバー1から漏らすことなく処理する上での問題も出てくる。
【0052】
そこで、本発明では、まずロール表面の汚れに浸透し膨潤させて、ロールから剥離させるような洗浄液をノズルから噴出させ、その後高圧の水液体を噴出することによって、汚れを脱落させるとともに洗浄液を洗い流す方法を特徴とする。
【0053】
本発明の洗浄方法に適用可能な洗浄液は、使用する油剤の種類によって異り、市販の中性洗浄液やアルカリ・酸性成分の洗浄液も使用できるものの、糸条移送ロールの洗浄液としてよいのは、PH8〜PH13のアルカリ水溶液で、より好ましくはPH10〜PH12のアルカリ水溶液である。
【0054】
停止中のロールを洗浄する場合、洗浄液として使用できる範囲は広いが、回転中のロールに洗浄液を噴出する場合、十分な洗浄力を持ったものでないとその効果は小さくなる。ロールの回転数が1200rpmでは、PH8の洗浄液でも洗浄することができたが、ロールの回転数が3000rpmでは、PH10の洗浄液がが必要であった。
【0055】
洗浄には洗浄液の噴射圧も関係し、圧力2Kg/cm2 ・G以上で噴霧する方法が好ましい。
【0056】
ここで、一試験例を示すと、水酸化ナトリウムの5%水溶液(PH11)を洗浄液として使用し、ノズル口径0.7mmの一流体噴霧ノズルを使用し、圧力5Kg/cm2 ・Gで、流量10リットル/時を、3000rpmで回転した状態の、ロール径200mmのホットロールに噴霧し、その後圧力50Kg/cm2 ・Gの水を噴出した結果、汚れを完全に除去することができた。
【0057】
このように、洗浄液で汚れ成分をロールから剥離しやすくすることにより、その後の高圧液体(実施例では水)の噴出圧力を20〜100Kg/cm2 ・G、使用条件が過酷なため汚れがひどいロールであっても200Kg/cm2 ・Gもあれば十分であり、人手による作業のように綿布やブラシでロールを払拭することなく洗浄作業が簡単でかつ洗浄力もよく、しかも安全に作業することができるようになった。
【0058】
また、高圧水のみの洗浄に比べても、洗浄力がよくなり、さらには、水圧が下げられるため飛散水の処理、例えばロールカバー1からの水洩れ対策が容易になる。
【0059】
洗浄液噴出時のホットロール温度も洗浄性に関係し、80〜180℃が好ましい。温度がそれより低いと洗浄液の汚れへの反応性が悪く、また温度が高すぎると洗浄液の蒸発量が多く効果が悪くなる。より好ましい範囲は、実験の結果100〜140℃である。そこで、ホットロールの表面温度が、前述の温度範囲を上回っている場合は、図6の洗浄タイムチャートに示すように、最初に冷却液を噴出してから洗浄液を噴出する。実施例では、冷却液として水を使用しているが、これに限定するものではない。
【0060】
次に、洗浄力とノズル11の口径、ノズル11とロール8の表面との距離Gについては以下のようになる。
【0061】
すなわち、ノズル口径は使用する圧力により最適値が異なるが、一般に水用ノズル11aの口径は、0.5〜2.0mmの範囲が好ましい。
【0062】
ノズル11とロール8との間隔Gは、洗浄効果を高めるためには噴射流による破壊効果の大きい遷移領域が、ロール8の表面に位置するように決めるのがよく、圧力、ノズル口径などにより変わるものの、後述する条件では10〜200mmが好ましい。ただし、本発明では洗浄液によるロールからの汚れ剥離作用があるため、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0063】
洗浄液用ノズル11bの口径は0.2〜2.0mmの噴霧ノズルが好ましいが、ロール上に洗浄液を噴霧状に均一に付着させるのが目的であり、ロールとノズルとの距離Gや圧力により最適の口径を選べばよい。
【0064】
ここでさらに試験例を示すと、図5の洗浄装置によって、3000rpmで回転している直径200mm、長さ250mm、表面温度250℃のホットロール8a,8bを、口径1.2mmの水用ノズル、口径0.2mmの洗浄液用ノズル11bを使用し、ホットロール8a,8bとの間隔Gを40mmに設定し、エアシリンダ11の往復速度を80mm/秒に調整し、1回目の水洗浄と洗浄液の洗浄および2回目の水洗浄時のエアシリンダ12の往復回数を各々5回に設定し、水洗浄の圧力を50Kg/cm2 ・G、洗浄液の噴霧圧を5Kg/cm2 ・Gで洗浄した結果、良好な洗浄性を得ることができた。
【0065】
また、前記ホットロールを5000rpmで回転した場合でも、洗浄液の噴霧圧7Kg/cm2 ・G、水洗浄の圧力80Kg/cm2 ・Gで良好な洗浄性を得ることができた。
【0066】
さらに、直径220mm、長さ350mmのロールについても、前述ホットロールと同条件で良好な洗浄性を得ることができた。
【0067】
そして、上記ロール洗浄装置においては、洗浄作業が自動化できることから、1ロール当りの作業時間が二分の一以下に短縮でき、洗浄作業を安全に行うことができるうえ、上記のようにサイズの異なる異径ロールであっても容易に洗浄処理することができ、ブラシを用いなくとも十分な洗浄効果が得られた。また、ブラシ、ガイドロールおよび飛散防止カバーなどを使用していないので、これらによるロール表面の傷を発生することなく、効率的に洗浄を行うことができた。
【0068】
【発明の効果】
本発明の糸条供給ロールの洗浄方法および洗浄装置によれば、製糸工程のおいてロールに付着する油剤などによる汚れを、ロールの大きさとは無関係に洗浄することができ、構成要素が少なく、洗浄作業が簡単で作業性に優れ、かつ、安全に作業することができるなどの優れた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の糸条移送ロールの洗浄装置の一実施例を示す平面図である。
【図2】図2は図1のX−X線に沿った断面図である。
【図3】図3は本発明の糸条移送ロールの洗浄装置に使用するロールカバーの変形例を示す側面図である。
【図4】図4(a)、(b)および(c)は本発明の糸条移送ロールの洗浄装置における移動手段の組込の各種例を示す説明図である。
【図5】図5は本発明の糸条移送ロールの洗浄装置をホットロールに適用した一実施例を示す概略説明図である。
【図6】図6は図5に示した装置を用いる実施例での洗浄タイムチャートである。
【符号の説明】
1 ロールカバー
2,3 扉
4,5 シール材
6 排出管
7 排出ピット
8 ロール
8a,8b ホットロール
10 移動手段
11 ノズル
12 エアシリンダ
13 中空ロッド
14a,14b 切替弁
20a,20b ポンプ
21 フレキ管
23a,23b タンク
30 制御盤
V,V1,V2 電磁弁
V3,V4 電磁弁
C1,C2 スピードコントローラ
S1,S2 位置検出スイッチ
P1,P2,P3 配管

Claims (10)

  1. ホットロールである糸条移送ロールに対向し、かつ前記糸条移送ロールの軸方向に移動可能なノズルから液体を噴出させつつ、前記ノズルを前記糸条移送ロールの軸方向にエアシリンダで移動させて洗浄する糸条移送ロールの洗浄方法であって、前記ノズルから冷却液を噴出させて、前記ホットロールの温度を下げた後、前記ノズルから洗浄液を噴出させ、次いで水を噴出させて前記洗浄液を洗い流すことを特徴とする糸条移送ロールの洗浄方法。
  2. 前記ノズルがエアシリンダ先端に片持ちで組み込まれていることを特徴とする請求項1記載の糸条移送ロールの洗浄方法。
  3. 前記洗浄液として、PH8〜PH13のアルカリ液を使用することを特徴とする請求項1または2に記載の糸条移送ロールの洗浄方法。
  4. 前記糸条移送ロールの周囲をロールカバーで囲み、洗浄液の飛散を防止しつつ、洗浄作業を行うことを特徴とする請求項1、2または3に記載の糸条移送ロールの洗浄方法。
  5. ホットロールである糸条移送ロールと、この糸条移送ロールの外周面に対向して配置されたノズルと、このノズルを前記糸条移送ロールの軸方向にエアシリンダで移動させる移動手段と、複数種類の液体圧送手段とを備え、この液体圧送手段から複数種類の液体を順次ノズルに圧送し得るように構成したことを特徴とする糸条移送ロールの洗浄装置。
  6. 前記ノズルがエアシリンダ先端に片持ちで組み込まれていることを特徴とする請求項5記載の糸条移送ロールの洗浄装置。
  7. 前記糸条移送ロールを、洗浄液排出口、糸道口およびノズル挿入口を有するロールカバー内に配置したことを特徴とする請求項5または6に記載の糸条移送ロールの洗浄装置。
  8. 前記ロールカバーが、装置本体に対し着脱自在であることを特徴とする請求項5、6または7に記載の糸条移送ロールの洗浄装置。
  9. 前記ノズルが、多重管で構成された軸の端部へ取り付けられ、前記多重管から前記ノズルへの通路を設けると共に、前記多重管の一方から複数種類の液体を供給するように構成したことを特徴とする請求項5、6、7または8に記載の糸条移送ロールの洗浄装置。
  10. 前記ノズルの糸条移送ロール軸方向への移動と、前記ノズルへの複数種類の液体圧送を、連続して自動的に行うように構成したことを特徴とする請求項5、6、7、8または9に記載の糸条移送ロールの洗浄装置。
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