JP3747311B2 - レンズ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はレンズ装置に係り、特にズーム機能を備えた沈胴式のカメラに適用されるレンズ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レンズ筒を光軸に沿って移動させる手段としてカム機構が知られている。このカム機構は、たとえば、レンズ筒の外周面にカムピンを設け、そのカムピンを固定筒に形成された直進孔に係合させるとともに、回転筒に形成されたカム溝に係合させることにより構成される。そして、このように構成されたカム機構では、レンズ筒は、回転筒の回転によって光軸方向に移動される。
【0003】
ところで、レンズ筒に設けられたカムピンは、カム溝に係合させる際、ガタが生じないようにするために、その外周面がカム溝の両壁面に当接するように係合させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のカムピンは、常に一定の面がカム溝と当接して摺動するため、磨耗しやすいという欠点があった。このため、長年使用すると、カム溝との間に隙間が生じてガタが発生し、光学性能が低下するという欠点があった。特に、近年、ズームレンズや沈胴レンズなどが増え、ズーム動作、沈胴動作のたびにカムピンが摺動されるため、磨耗が激しくなっている。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、カムピンの磨耗を抑制できるレンズ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、筒体の外周面に設けられたカムピンをカム筒の内周面に形成されたカム溝に係合させて筒体を撮影光軸に沿って移動させるズーム機能を備えた沈胴式のレンズ装置において、前記カムピンは第1係合部と第2係合部とを備え、前記第2係合部が、前記第1係合部の頂部同軸上に形成されるとともに、前記第1係合部よりも小径に形成され、前記カム溝は、前記カムピンの第1係合部が係合し、前記筒体に収納動作させる第1溝部と、前記カムピンの第2係合部が係合し、前記筒体に変倍動作させる第2溝部と、前記第1溝部と前記第2溝部との間で前記筒体の移動方向を転換する方向転換案内部を備え、前記方向転換案内部は前記第2溝部で形成することを特徴とするレンズ装置を提供する。
【0008】
本発明によれば、カムピンは第1係合部と第2係合部とを備えており、カム溝の第1溝部では第1係合部が係合し、カム溝の第2溝部では第2係合部がカム溝に係合してカム溝内を摺動する。これにより、カムピンはカム溝の第1溝部と第2溝部とで摺動面の位置が変わるため、磨耗が抑制される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に従って本発明に係るレンズ装置の好ましい実施の形態について詳説する。
【0010】
図1は、本発明に係るレンズ装置が適用される電子スチルカメラの外観構成を示す斜視図である。
【0011】
同図に示すように、この電子スチルカメラ1は、そのカメラ本体が矩形の箱型に形成されており、その正面部にはレンズ装置2、ファインダ窓3、ストロボ調光センサ4、セルフタイマーランプ5などが配設されている。また、その上面部にはポップアップ式のストロボ6や、レリーズスイッチ7などが配設され、その背面部には、図示しないファインダ接眼部や液晶表示パネル、操作キーなどが配設されている。この電子スチルカメラ1は沈胴式であり、レンズ装置2は使用時にのみ、そのレンズ鏡筒がカメラ本体から繰り出され、カメラ本体の正面部から突出する。
【0012】
図2は、上記の電子スチルカメラ1に適用されるレンズ装置2の分解斜視図である。また、図3〜図5は、それぞれ上記の電子スチルカメラ1に適用されるレンズ装置2の側面断面図である。なお、図3は、レンズ装置2が沈胴位置の状態のときを示しており、図4と図5とは、それぞれレンズ装置2がテレ位置の状態のときとワイド位置の状態のときとを示している。
【0013】
図2〜図5に示すように、このレンズ装置2は、第1レンズ11、第2レンズ12、第1レンズ筒13、第2レンズ筒14(筒体)、移動筒15、固定筒16及び回転筒17(カム筒)で構成されている。
【0014】
回転筒17は、その外周面にギヤ部18が形成されている。このギヤ部18にはズームモータ19の駆動が伝達される。回転筒17は、このギヤ部18にズームモータ19の駆動が伝達されることにより、固定筒16の外周に接しながら回動される。
【0015】
ここで、レンズ装置2は、この回転筒17が『初期位置』から『中間位置』までの『収納回転域』で回転することで、その状態が図3に示す沈胴位置の状態から図4に示すテレ位置の状態に変更され、また、回転筒17が『中間位置』から『終端位置』までの『変倍回転域』で回転することで、その状態が図4に示すテレ位置の状態から図5に示すワイド位置の状態に変更される。
【0016】
また、この回転筒17の内周面には、第2レンズ筒14を光軸20に沿って移動させるための第2レンズ用カム溝21(カム溝)と、移動筒15を光軸20に沿ってガイドするための移動筒用直進溝22とが形成されている。この第2レンズ用カム溝21と移動筒用直進溝22とは、それぞれ光軸回りの3分割位置に形成されている。
【0017】
固定筒16には、その周面に第2レンズ筒14を光軸20に沿って直進的にガイドするための第2レンズ用直進孔23と、移動筒15を光軸20に沿って移動させるための移動筒用カム孔24とが形成されている。この第2レンズ用直進孔23と移動筒用カム孔24とは、それぞれ光軸回りの3分割位置に形成されている。
【0018】
移動筒15には、その外周面に移動筒用カムピン25が設けられている。この移動筒用カムピン25は、光軸回りの3分割位置に設けられており、それぞれ固定筒16に形成された移動筒用カム孔24と、回転筒17に形成された移動筒用直進溝22とに係合されている。
【0019】
また、この移動筒15の内周面には、第1レンズ筒13を光軸20に沿って移動させるための第1レンズ用カム溝26が形成されている。この第1レンズ用カム溝26は、光軸回りの3分割位置に形成されている。
【0020】
第1レンズ筒13は、その前端部に第1レンズ11を保持している。この第1レンズ筒13の内周面には、光軸20に沿って一対の直進ガイド溝27が所定の間隔をもって形成されている。
【0021】
また、この第1レンズ筒13の外周面には、第1レンズ用カムピン28が設けられている。この第1レンズ用カムピン28は、光軸回りの3分割位置に設けられており、移動筒15の内周面に形成された第1レンズ用カム溝26に係合されている。
【0022】
第2レンズ筒14は、その外周面に第2レンズ用カムピン29(カムピン)が設けられている。この第2レンズ用カムピン29は、光軸回りの3分割位置に設けられており、それぞれ回転筒17に形成された第2レンズ用カム溝21と、固定筒16に形成された第2レンズ用直進孔23とに係合されている。
【0023】
また、この第2レンズ筒14の後端部には、固定筒16の後端部との間に一対のバネ37が掛けられている。このバネ37は、光軸回りの2分割位置に設けられており、第2レンズ筒14を結像面側に向けて付勢する。
【0024】
また、この第2レンズ筒14の前端部には、一対のアーム38が所定の間隔をもって一体的に形成されている。このアーム38は、第2レンズ筒14の前端から細幅で被写体側に延びた形状となっており、その前端外周部には直進ガイド突起30が一体的に形成されている。直進ガイド突起30は、第1レンズ筒13の内周面に形成された直進ガイド溝27に係合しており、その両壁面30a、30bは、直進ガイド溝27の両壁面27a、27bに当接されている。第1レンズ筒13は、この直進ガイド突起30と直進ガイド溝27によって、その回転が止められた状態で第2レンズ筒14に対して光軸方向に直進的にガイドされる。
【0025】
ここで、この第2レンズ筒14は、プラスチック等の弾性変形可能な材料で成形されており、各アーム38は、その前端が径方向の外側に向けて広がった状態で形成されている。このため、直進ガイド突起30が直進ガイド溝27に係合すると、直進ガイド突起30の先端部30cが直進ガイド溝27の底部27cを押圧するようになる。これにより、第1レンズ筒13が第2レンズ筒14に対して互いに傾かないように支持される。
【0026】
また、直進ガイド突起30は、摺動時の抵抗を低減させるため、その先端面30cが半球状に形成されている。すなわち、その光軸方向の断面と、光軸に直交する方向の断面とが、それぞれ円弧状に形成されている。これにより、第1レンズ筒13と第2レンズ筒14との相対的な移動がスムーズになるとともに、回転筒17の回転負荷が低減される。
【0027】
第2レンズ12は、図3〜図5に示すように、第2レンズ筒14内を光軸20に沿って移動自在に設けられた第2レンズ枠33に保持されている。この第2レンズ枠33は、送りネジ31とガイド棒32とによって第2レンズ筒14内を光軸20に沿って移動自在に設けられている。送りネジ31には、フォーカスモータ34が連結されており、このフォーカスモータ34を駆動することにより、第2レンズ12が送りネジ31のリードに従って光軸方向に移動する。
【0028】
なお、この第2レンズ12の移動は、第2レンズ筒14に対して結像面10a側に最も寄った『原点位置』と、この原点位置から被写体側に離れた位置との間で行われる。また、変倍時、第2レンズ12は『原点位置』に位置する。
【0029】
図7は、移動筒15の内周面に設けられた第1レンズ用カム溝26の構成を示す展開図である。
【0030】
第1レンズ用カム溝26には、第1レンズ筒13に設けられた第1レンズ用カムピン28が係合される。この第1レンズ用カム溝26は、第1レンズ収納準備案内部42、第1レンズ移動阻止部43及び第1レンズ変倍案内部44から構成されている。
【0031】
第1レンズ収納準備案内部42は、回転筒17が『初期位置』から『回転位置A』までの回転域で回転したときに、第1レンズ用カムピン28が摺動する範囲である。この第1レンズ収納準備案内部42は、移動筒15に対して第1レンズ筒13を結像面側に退避させた『退避位置』と、被写体側に僅かに突出した『収納準備位置』との間で移動させる。なお、レンズ装置2が沈胴位置の状態のとき、第1レンズ筒13は『退避位置』に位置する。
【0032】
第1レンズ移動阻止部43は、回転筒17が『回転位置A』から『中間位置』までの回転域で回転したときに、第1レンズ用カムピン28が摺動する範囲である。この第1レンズ移動阻止部43は、移動筒15の回転を許容しつつ、第1レンズ筒13が『収納準備位置』から光軸方向に移動しないように、移動筒15の光軸回りの方向に沿って形成されている。これにより、レンズ装置2が沈胴位置からテレ位置の状態になるまでの間、第1レンズ筒13が『収納準備位置』に維持される。
【0033】
第1レンズ変倍案内部44は、回転筒17が『中間位置』から『終端位置』までの『変倍回転域』で回転したときに、第1レンズ用カムピン28が摺動する範囲である。この第1レンズ変倍案内部44は、焦点距離を変更するために第1レンズ筒13を光軸20に沿って移動させる形状となっている。
【0034】
なお、第1レンズ収納準備案内部42は必ずしも必要はなく、これを省略して回転筒17の『収納回転域』に応じた移動筒15の回転域の全部を第1レンズ移動阻止部43としてもよい。
【0035】
図8は、固定筒16の周面に形成された移動筒用カム孔24と第2レンズ用直進孔23との構成を示す展開図である。
【0036】
まず、移動筒用カム孔24の構成について説明する。移動筒用カム孔24には、移動筒15に設けられた移動筒用カムピン25が係合する。この移動筒用カム孔24は、移動筒収納案内部40と移動筒移動阻止部41とから構成されている。
【0037】
移動筒収納案内部40は、回転筒17が『初期位置』から『中間位置』までの『収納回転域』で回転したときに、移動筒用カムピン25が摺動する範囲である。この移動筒収納案内部40は、移動筒15を固定筒16に対して結像面10a側に退避させた『退避位置』と、被写体側に繰り出させた『突出位置』との間で光軸20に沿って移動させる。なお、レンズ装置2が沈胴位置の状態のときには、移動筒15は『退避位置』に位置する。
【0038】
移動筒移動阻止部41は、回転筒17が『中間位置』から『終端位置』までの『変倍回転域』で回転したときに、移動筒用カムピン25が摺動する範囲である。この移動筒移動阻止部41は、移動筒15の光軸回りの回転を許容しつつ、移動筒15の光軸方向の移動を阻止するように、光軸20の回りの方向に沿って形成されている。これにより、レンズ装置2がテレ位置とワイド位置との間で変倍される間、移動筒15が『突出位置』に維持されるようになる。
【0039】
次に、第2レンズ用直進孔23の構成について説明する。第2レンズ用直進孔23には、第2レンズ筒14の外周面に設けられた第2レンズ用カムピン29の直進孔係合部54が係合する。この第2レンズ用直進孔23は、光軸20に沿って形成されており、その前端部は移動筒用カム孔24の移動筒移動阻止部41に連通されている。
【0040】
ところで、この第2レンズ用直進孔23が形成されている固定筒16は、プラスチック等の弾性変形可能な材料で成形されており、このように弾性変形可能な材料で形成された固定筒16に対して、第2レンズ用直進孔23と移動筒用カム孔24とを互いに連通して形成すると、第2レンズ用直進孔23は幅方向に拡縮自在に形成される。
【0041】
そして、このように幅方向に拡縮自在に形成された第2レンズ用直進孔23に対して、その幅Aを第2レンズ用カムピン29の直進孔係合部54の幅B(図11参照)よりもやや小さく形成すると、第2レンズ用直進孔23は、係合された第2レンズ用カムピン29の直進孔係合部54を縁部で両側から挟み込むようになる。これにより、係合された第2レンズ用カムピン29の直進孔係合部54と第2レンズ用直進孔23との間にアソビがなくなり、精度よく第2レンズ筒14を直進ガイドすることができるようになる。
【0042】
一方、このように第2レンズ用直進孔23を移動筒用カム孔24に連通して形成すると、移動筒用カム孔24に係合された移動筒用カムピン25のカム孔係合部25Aが、移動筒移動阻止部41を摺動中に第2レンズ用直進孔23に入り込む、あるいは、その連通部に引っ掛かるおそれがある。
【0043】
そこで、移動筒用カムピン25は、次のように形成されて、第2レンズ用直進孔23への入り込み又は引っ掛かりが防止されている。
【0044】
図9、図10は、それぞれ移動筒用カムピン25の構成を示す平面図と側面図である。同図に示すように、移動筒用カムピン25は、カム孔係合部25A、ガイド溝係合部25B及び直進溝係合部25Cから構成されている。
【0045】
カム孔係合部25Aは、円柱状に形成されており、固定筒16に設けられた移動筒用カム孔24に係合する。
【0046】
ガイド溝係合部25Bは、カム孔係合部25Aの頂部に一体成形されており、台形の板状に形成されている。このガイド溝係合部25Bは、固定筒16の外周面上に形成されたガイド溝49に係合する。ガイド溝49は、移動筒用カム孔24の縁部に沿って形成されており、このガイド溝49にガイド溝係合部25Bが係合されることにより、移動筒用カムピン25が第2レンズ用直進孔23に入り込む、あるいは引っ掛かるのが防止される。すなわち、このガイド溝係合部25Bは、その光軸回りの方向の幅Cが、第2レンズ用直進孔23の幅Aよりも大きく形成されているため、このガイド溝係合部25Bが障害となって、移動筒用カムピン25が第2レンズ用直進孔23に入り込む、あるいは引っ掛かるのが防止される。
【0047】
また、このガイド溝係合部25Bは、その光軸方向の幅Dが移動筒用カム孔24の幅Eよりも大きく形成されている。これにより、移動筒用カムピン25が移動筒用カム孔24から抜け出ることが防止される。
【0048】
直進溝係合部25Cは、ガイド溝係合部25Bの上面に一体形成されており、細長い円形の板状に形成されている。この直進溝係合部25Cは、回転筒17に形成された移動筒用直進溝22に係合する。なお、この直進溝係合部25Cが、細長い円形状に形成されていることの作用については後述する。
【0049】
図11は、第2レンズ筒14に設けられた第2レンズ用カムピン29の構成を示す正面図である。同図に示すように、第2レンズ用カムピン29は、直進孔係合部54とカム溝係合部55とから構成されている。
【0050】
直進孔係合部54は、円柱状に形成されており、固定筒16に形成された第2レンズ用直進孔23に係合する。
【0051】
一方、カム溝係合部55は、収納係合部55a(第1係合部)と変倍係合部55b(第2係合部)とから構成されており、回転筒17の内周面に形成された第2レンズ用カム溝21に係合する。
【0052】
収納係合部55aは、直進孔係合部54の頂部同軸上に一体成形されており、断面円錐台形状に形成されている。この収納係合部55aは、第2レンズ用カム溝21の第2レンズ収納案内部58に係合する。なお、この収納係合部55aの底面は、第2レンズ用直進孔23の外径よりも大径に形成されており、直進孔係合部54が第2レンズ用直進孔23に係合すると、固定筒16の外周面に当接する。これにより、第2レンズ用カムピン29が、第2レンズ用直進孔23から抜け出ることが阻止される。
【0053】
一方、変倍係合部55bは、収納係合部55aの頂部同軸上に一体成形されており、収納係合部55aよりも小径の断面円錐台形状に形成されている。この変倍係合部55bは、第2レンズ用カム溝21の第2レンズ変倍案内部56と第2レンズ方向転換案内部57とに係合する。
【0054】
図12は、回転筒17の内周面に形成された第2レンズ用カム溝21と移動筒用直進溝22の構成を示す展開図である。
【0055】
まず、第2レンズ用カム溝21の構成について説明する。第2レンズ用カム溝21には、第2レンズ筒14に設けられた第2レンズ用カムピン29が係合する。この第2レンズ用カム溝21は、焦点距離を変更するために第2レンズ12を光軸20に沿って移動させる第2レンズ変倍案内部56(第2溝部)と、第2レンズ12の移動方向を転換する第2レンズ方向転換案内部57(第2溝部)と、第2レンズ12を『収納位置C』に移動させる第2レンズ収納案内部58(第1溝部)とから構成されている。
【0056】
第2レンズ変倍案内部56は、『中間位置』から『終端位置』までの『変倍回転域』で、回転筒17を『終端位置』に向けて回転させたときに、第2レンズ筒14が結像面10a側に向かって繰り込むように案内する曲線状のカム軌跡となっている。
【0057】
第2レンズ方向転換案内部57は、『回転位置B』から『中間位置』までの回転域で、回転筒17を『中間位置』に向けて回転させたときに、第2レンズ筒14の移動方向が転換するように、すなわち、被写体側に向かって移動していた第2レンズ筒14が、方向転換して結像面10a側に向かって繰り込むように案内する湾曲状の軌跡となっている。
【0058】
第2レンズ収納案内部58は、『初期位置』から『回転位置B』までの回転域で、回転筒17を『回転位置B』に向けて回転させたときに、第2レンズ筒14が、被写体側に向かって繰り出すように案内する直線状の軌跡となっている。
【0059】
ここで上述したように、第2レンズ変倍案内部56と第2レンズ方向転換案内部57とには、第2レンズ用カムピン29の変倍係合部55bが係合し、第2レンズ収納案内部58には収納係合部55aが係合する。
【0060】
このため、第2レンズ変倍案内部56は、図13に示すように、その両壁面に第1テーパ面56aと第2テーパ面56bの2つのテーパ面が形成されており、変倍係合部55bのみが第2テーパ面56bに当接するように形成されている(収納係合部55aは、第1テーパ面56aには当接しない。)。
【0061】
より具体的には、第2レンズ変倍案内部56の第2テーパ面56bは、その傾斜角度が、変倍係合部55bの外周面と同じ傾斜角度で形成されるとともに、その下端部の幅Fが変倍係合部55bの底部の幅Gと同じ幅をもって形成されている。一方、第1テーパ面56aは、その傾斜角度が収納係合部55aの外周面と同じ傾斜角度で形成されるが、その下端部の幅Hが収納係合部55aの底部の幅Iよりも大きな幅をもって形成されている。したがって、この第2レンズ変倍案内部56では、カム溝係合部55は、先端の変倍係合部55bのみが第2テーパ面56bに当接する(収納係合部55aと第1テーパ面56aとの間には隙間が形成されるため、互いに当接しない。)。
【0062】
第2レンズ方向転換案内部57も第2レンズ変倍案内部56と同じ構成である。すなわち、その両壁面に第1テーパ面と第2テーパ面とが形成されており、カム溝係合部55は、先端側の変倍係合部55bのみが第2レンズ方向転換案内部57の両壁面に当接する(収納係合部55aと第2レンズ方向転換案内部57の両壁面との間には隙間が形成されるため、互いに当接しない。)。
【0063】
一方、第2レンズ収納案内部58は、図14に示すように、その両壁面58aにテーパが形成されており、カム溝係合部55は収納係合部55aのみが、その両壁面58aに当接するように形成されている(変倍係合部55bの両壁面58aには当接しない。)。
【0064】
より具体的には、第2レンズ収納案内部58の両壁面58aは、その傾斜角度がカム溝係合部55の収納係合部55aの周面と同じ傾斜角度で形成されるとともに、その開口部の幅Jが収納係合部55aの底部の幅Iと同じ幅で形成されている。したがって、この第2レンズ収納案内部58では、カム溝係合部55は、基端部側の収納係合部55aのみが第2レンズ収納案内部58の両壁面58aに当接する(変倍係合部55bと第2レンズ収納案内部58の両壁面58aとの間には、所定の隙間が形成されて互いに当接しない。)。
【0065】
前記のごとく構成された第2レンズ用カム溝21によれば、回転筒17を『初期位置』から『回転位置B』に向けて回転させると、第2レンズ用カムピン29のカム溝係合部55は、第2レンズ収納案内部58を摺動して、第2レンズ筒14を被写体側に向けて繰り出す。この際、カム溝係合部55は、その収納係合部55aが第2レンズ収納案内部58の両壁面58aに当接して摺動する(変倍係合部55bは当接せず。)。
【0066】
また、回転筒17を『回転位置B』から『中間位置』に向けて回転させると、第2レンズ用カムピン29のカム溝係合部55は、第2レンズ方向転換案内部57を摺動して、第2レンズ筒14の移動方向を転換させる。すなわち、第2レンズ筒14を被写体側から結像面10a側に向けて移動させる。この際、カム溝係合部55は、その変倍係合部55bが第2レンズ方向転換案内部57の両壁面に当接して摺動する(収納係合部55aは当接せず。)。
【0067】
さらに、回転筒17を『中間位置』から『終端位置』に向けて回転させると、第2レンズ用カムピン29のカム溝係合部55は、第2レンズ変倍案内部56を摺動して、第2レンズ筒14を結像面10a側に向けて繰り込む方向に移動させる。この際、カム溝係合部55は、その変倍係合部55bが第2レンズ変倍案内部56の第2テーパ面56bに当接して摺動する(収納係合部55aは当接せず。)。
【0068】
このように、第2レンズ用カム溝21の第2レンズ変倍案内部56と第2レンズ収納案内部58とで、第2レンズ用カムピン29のカム溝係合部55の摺動面を変えることにより、カムピンの磨耗を効果的に抑制することができる。
【0069】
なお、第2レンズ変倍案内部56は、撮影時に第2レンズ筒14を正確に動作させる必要があることから、その製作に際して精度が要求される。これに対して、第2レンズ収納案内部58は、撮影には影響がないため、第2レンズ変倍案内部56ほどの精度は要求されない。したがって、第2レンズ変倍案内部56は高精度に製作し、第2レンズ収納案内部58はラフな製作とすることにより、精度管理が容易になり、生産性が向上するとともに製作コストの低減の図ることができるようになる。
【0070】
また、第2レンズ方向転換案内部57では、第2レンズ用カムピン29の移動軌跡は被写体側に凸の湾曲状となるが、この際、図13に示すように、変倍係合部55bは、収納係合部55aよりも小径に形成されている分だけ、その移動軌跡(移動軌跡のうち最も結像面側を通る移動軌跡)の曲率半径Rb は、収納係合部55aの移動軌跡(移動軌跡のうち最も結像面側を通る移動軌跡)の曲率半径Ra よりも大きくなる。このように、曲率半径の大きい変倍係合部55bを係合させて摺動させることにより、第2レンズ筒14をスムーズに方向転換させることができる。
【0071】
次に、移動筒用直進溝22の構成について説明する。移動筒用直進溝22には、移動筒用カムピン25の直進溝係合部25Cが係合する。この移動筒用直進溝22は、図12に示すように、光軸20に沿って形成されており、第2レンズ用カム溝21の第2レンズ変倍案内部56で交差している。
【0072】
ここで、図15に示すように、移動筒用直進溝22は、その深さKが第2レンズ用カム溝21の深さLよりも浅く形成されている。これにより、第2レンズ用カム溝21の第2レンズ変倍案内部56を摺動する第2レンズ用カムピン29のカム溝係合部55が、移動筒用直進溝22に入り込むのが防止される。
【0073】
一方、前述したように、移動筒用直進溝22に係合する移動筒用カムピン25の直進溝係合部25Cは、細長い円形の板状に形成されている。この直進溝係合部25Cの長さMは、移動筒用直進溝22と第2レンズ用カム溝21との交差部の長さNよりも長く形成されている。これにより、移動筒用直進溝22を摺動する移動筒用カムピン25の直進溝係合部25Cが第2レンズ用カム溝21内に入り込む、あるいは、交差部に引っ掛かるのが防止される。
【0074】
前記のごとく構成された本実施の形態のレンズ装置2の作用は次のとおりである。
【0075】
まず、回転筒17を回転させた場合における、移動筒15、第1レンズ筒13及び第2レンズ筒14の基本動作について説明する。
【0076】
レンズ装置2が沈胴位置の状態のとき、図3に示すように、移動筒15と第1レンズ筒13とは、それぞれ固定筒16の内部に収納されている。
【0077】
ズームモータ19を駆動して、回転筒17を『初期位置』から『終端位置』に向けて回転させると、その回転筒17の回転が移動筒用直進溝22を介して移動筒用カムピン25に伝達される。これにより、移動筒15が回転筒17に連動して回転する。
【0078】
ここで、移動筒15は、その外周部に設けられた移動筒用カムピン25が、回転筒17に形成された移動筒用直進溝22と、固定筒16に形成された移動筒用カム孔24とに係合されているため、回転すると、固定筒16に対して回転しながら光軸方向に移動する。
【0079】
一方、第1レンズ筒13は、その外周部に設けられた第1レンズ用カムピン28が、移動筒15に形成された第1レンズ用カム溝26に係合されるとともに、その内周面に形成された直進ガイド溝27が、第2レンズ筒14に形成された直進ガイド突起30に係合されているため、移動筒15が回転すると、その移動筒16に対して光軸20に沿って直進的に移動する。
【0080】
また、第2レンズ筒14は、その外周部に設けられた第2レンズ用カムピン29が、回転筒17の内周面に形成された第2レンズ用カム溝21と、固定筒16に形成された第2レンズ用直進孔23とに係合しているため、回転筒17が回転すると、これに連動して光軸20に沿って直進的に移動する。
【0081】
次に、回転筒17を回転させた場合における、第1レンズ筒13、第2レンズ筒14及び移動筒15等の移動軌跡について説明する。
【0082】
図16は、第1レンズ筒13、第2レンズ筒14及び移動筒15等の移動軌跡を示した説明図である。
【0083】
なお、同図において、太線(E)は、第1レンズ筒13の移動軌跡を表しており、太線(F)は、第2レンズ筒14の移動軌跡を表している。また、細線(G)は、移動筒15に対する第1レンズ筒13の移動軌跡を表しており、細線(J)は、移動筒15の移動軌跡を表している。
【0084】
同図に示すように、レンズ装置2が沈胴位置の状態のとき、移動筒15は、『退避位置K』に位置する。また、第2レンズ筒14は、結像面側に最も寄った『収納位置C』に位置し、第1レンズ筒13は、第2レンズ筒14に接近した『収納位置D』に位置している(なお、第1レンズ筒13は、移動筒15に対して『退避位置H』に位置している)。
【0085】
まず、回転筒17が『初期位置』から『中間位置』まで回転した場合における、第1レンズ筒13と移動筒15の移動軌跡について説明する。
【0086】
回転筒17が『初期位置』から『回転位置A』まで回転する間、第1レンズ筒13は、その外周部に設けられた第1レンズ用カムピン28が、第1レンズ用カム溝26の第1レンズ収納準備案内部42を摺動する。これにより、第1レンズ筒13は、移動筒15に対して細線(G)で表す移動軌跡のうちの『退避位置H』から『収納準備位置I』に繰り出される。
【0087】
また、回転筒17が『回転位置A』から『中間位置』まで回転する間、第1レンズ筒13は、その外周部に設けられた第1レンズ用カムピン28が、第1レンズ用カム溝26の第1レンズ移動阻止部43を摺動する。これにより、第1レンズ筒13は、移動筒15に対する光軸方向の移動が阻止される。したがって、第1レンズ筒13は、この間、移動筒15に対して光軸方向の移動がないので、移動筒15に対して細線(G)で表す移動軌跡のうちの『収納準備位置I』に維持される。
【0088】
一方、移動筒15は、回転筒17が『初期位置』から『中間位置』まで回転する間、その外周部に設けられた移動筒用カムピン25が、移動筒用カム孔24の移動筒収納案内部40を摺動する。これにより、移動筒15は、細線(J)で表す移動軌跡のうちの『退避位置K』から『突出位置L』に繰り出される。
【0089】
ここで、前記第1レンズ筒13は、移動筒15に支持されている。したがって、回転筒17が『初期位置』から『中間位置』まで回転する間、第1レンズ筒13は、移動筒15の繰り出し分と、その移動筒15に対する第1レンズ筒13の繰り出し分とを加えた分だけ光軸20に沿って移動する。すなわち、第1レンズ筒13は、回転筒17が『初期位置』から『回転位置A』まで回転すると、太線(E)で表す移動軌跡のうちの『収納位置D』から『位置M』に繰り出され、回転筒17が『回転位置A』から『中間位置』まで回転すると、太線(E)で表す移動軌跡のうちの『位置M』から『位置O』に繰り出される。
【0090】
次に、回転筒17が『初期位置』から『中間位置』まで回転した場合における、第2レンズ筒14の移動軌跡について説明する。
【0091】
回転筒17が『初期位置』から『回転位置B』まで回転する間、第2レンズ筒14は、その外周部に設けられた第2レンズ用カムピン29が、第2レンズ用カム溝21の第2レンズ収納案内部58を摺動する。この際、第2レンズ用カムピン29は、そのカム溝係合部55の収納係合部55aが第2レンズ収納案内部58に係合して摺動する。これにより、第2レンズ筒14は、太線(F)で表す移動軌跡のうちの『退避位置C』から『位置P』に繰り出される。
【0092】
また、回転筒17が『回転位置B』から『中間位置』まで回転する間、第2レンズ筒14は、その外周部に設けられた第2レンズ用カムピン29が、第2レンズ用カム溝21の第2レンズ方向転換案内部57を摺動する。
【0093】
ここで、この際、第2レンズ用カムピン29は、回転筒17が『回転位置B』に回転すると、その収納係合部55aの係合が解除され、変倍係合部55bが第2レンズ方向転換案内部57に係合するようになる。そして、この変倍係合部55bが、第2レンズ方向転換案内部57を摺動することにより、第2レンズ筒14が、太線(F)で表す移動軌跡のうちの『位置P』から『位置N』に繰り出される。
【0094】
ところで、この第2レンズ方向転換案内部57に係合する第2レンズ用カムピン29の変倍係合部55bは、収納係合部55aよりも小径に形成されていることから、その移動軌跡の曲率半径(移動軌跡のうち最も結像面側を通る移動軌跡の曲率半径)は、収納係合部55aの移動軌跡の曲率半径(移動軌跡のうち最も結像面側を通る移動軌跡の曲率半径)よりも大きくなる。このように、曲率半径の大きい変倍係合部55bが第2レンズ方向転換部57に係合して摺動することから、第2レンズ筒14はスムーズに方向転換することができる。また、これにより回転筒17の回転負荷も減少させることができる。
【0095】
以上のように、回転筒17が『中間位置』に回転すると、図4に示すように、レンズ装置2はテレ位置の状態となる。この状態において、移動筒15は『突出位置L』に位置する。そして、第1レンズ筒13は『位置O』に位置し、第2レンズ筒14は『位置N』に位置する。
【0096】
レンズ装置2がテレ位置の状態となった後は、回転筒17は『変倍回転域』で回転される。
【0097】
移動筒15は、回転筒17が『変倍回転域』で回転する間、その外周部に設けられた移動筒用カムピン25が、移動筒用カム孔24の移動筒移動阻止部41を摺動する。このため、移動筒15は、固定筒16に対する光軸方向の移動が阻止される。したがって、移動筒15は、この間、光軸方向の移動がないので、細線(J)で表す移動軌跡のうちの『突出位置L』に維持される。
【0098】
また、第1レンズ筒13は、回転筒17が『変倍回転域』で回転する間、その外周部に設けられた第1レンズ筒用カムピン28が第1レンズ用カム溝26の第1レンズ変倍案内部44を摺動する。このため、第1レンズ筒13は、第1レンズ変倍案内部44の光軸方向での変位に応じた分だけ移動筒15に対して光軸20に沿って移動する。
【0099】
また、第2レンズ筒14は、回転筒17が『変倍回転域』で回転する間、その外周部に設けられた第2レンズ用カムピン29が、第2レンズ用カム溝21の第2レンズ変倍案内部56を摺動する。このため、第2レンズ筒14は、その第2レンズ変倍案内部56の光軸方向での変位に応じて移動される。この際、第2レンズ用カムピン29は、そのカム溝係合部55の変倍係合部55bが第2レンズ変倍案内部56に係合して摺動する。
【0100】
なお、この変倍時、第1レンズ筒13と第2レンズ筒14とは、これらの間隔が異なるように互いに光軸20に沿って移動される。
【0101】
この間、第2レンズ筒14は、バネ37の光軸方向への付勢によって、第2レンズ用カムピン29と第2レンズ用カム溝21とのガタが吸収され、かつ、固定筒16に対する傾きも補正される。一方、第1レンズ筒13は、直進ガイド突起30によって直進ガイド溝27の底面が径方向に押圧されることから、変倍中に第1レンズ11の光軸が第2レンズ12の光軸に対して傾くことが極力抑制される。また、この際、直進ガイド突起30による径方向への付勢は、第2レンズ筒14の移動位置に関わらず一方であるため、常に第1レンズ筒13と第2レンズ筒14とをスムーズに移動させることができる。また、直進ガイド突起30は、その先端面30cが球状に形成されているため、直進ガイド溝27の底部と点で接触させることができ、摺動時の抵抗を極力低減することができる。
【0102】
以上説明したように、本実施の形態のレンズ装置2によれば、第2レンズ用カムピン29は、第2レンズ用カム溝21を構成する第2レンズ収納案内部58と第2レンズ変倍案内部56とで、その摺動面(第2レンズ用カム溝21の内壁面と当接する面)の位置が変わる。すなわち、第2レンズ収納案内部58では、収納係合部55aが第2レンズ収納案内部58の両壁面58aに当接して係合し、第2レンズ変倍案内部56では、変倍係合部55bが第2レンズ変倍案内部56の第2テーパ面56bに当接して係合する。このように、摺動面の位置を変えることにより、磨耗を効果的に抑制することができる。また、これにより長期間使用しても、ガタを発生させることなく、第2レンズ筒14を動作させることができる。
【0103】
また、第2レンズ用カムピン29の変倍係合部55bと収納係合部55aとを互いに異なる径で形成することにより、第2レンズ用カムピン29の移動軌跡の曲率半径を選択的に変えることができるようになる。そして、曲率半径の大きい変倍係合部55bを第2レンズ方向転換部57に係合させて摺動させることにより、第2レンズ筒14をスムーズに方向転換させることができるとともに、回転筒17の回転負荷も減少させることができる。
【0104】
また、第2レンズ用カム溝21も、第2レンズ収納案内部58と第2レンズ変倍案内部56とで摺動面の位置を変えることにより、製作に際して精度管理が容易になる。すなわち、第2レンズ変倍案内部56は、撮影時に第2レンズ筒14を正確に動作させる必要があることから、その製作に際して精度が要求されるが、第2レンズ収納案内部58は、第2レンズ筒14の沈胴用のものであるため、撮影には影響がなく、第2レンズ変倍案内部56ほどの精度は要求されない。したがって、第2レンズ変倍案内部56は高精度に製作し、第2レンズ収納案内部58はラフな製作とすることにより、精度管理が容易になり、生産性が向上するとともに製作コストの低減の図ることができるようになる。
【0105】
なお、本実施の形態では、第2レンズ用カムピン29のカム溝係合部55を変倍係合部55bと収納係合部55aとの2段構造としたが、これに限らず3段構造等、複数段の構造としてもよい。これにより、第2レンズ用カムピン29は、より多くの摺動面を選択できることができるようになるとともに、移動軌跡の曲率半径も自由に設定できるようになる。
【0106】
図17は、第2レンズ用カムピン29と第2レンズ用カム溝21の他の実施の形態の要部の構成を示す断面図である。なお、同図(a)は、第2レンズ用カム溝21の第2レンズ収納案内部58の断面構造を示しており、同図(b)は、第2レンズ変倍案内部56の断面構造を示している。
【0107】
同図(a)及び(b)に示すように、第2レンズ用カムピン29のカム溝係合部55は、無段の円錐台形状に形成されている。このカム溝係合部55は、図中破線で示す境界線よりも上側の収納係合部55aと、境界線の下側の変倍係合部55bとから構成されている。そして、収納係合部55aは第2レンズ収納案内部58に係合し、変倍係合部55aは第2レンズ変倍案内部56と第2レンズ方向転換案内部57とに係合する。
【0108】
第2レンズ収納案内部58は、図17(a)に示すように、その両壁面に直立面58bとテーパ面58aとが形成されている。そして、カム溝係合部55は収納係合部55aのみが、そのテーパ面58aに当接するように形成されている(変倍係合部55bの直立面58bには当接しない。)。
【0109】
より具体的には、テーパ面58aは、その傾斜角度がカム溝係合部55の周面と同じ傾斜角度で形成されており、また、その開口部の幅Jがカム溝係合部55の底部の幅Iと同じ幅で形成されている。一方、直立面58bは、回転筒17の周面に直交するように形成されている。したがって、この第2レンズ収納案内部58では、カム溝係合部55は、基端部側の収納係合部55aのみが第2レンズ収納案内部58のテーパ面58aに当接する(変倍係合部55bと直立面58bとの間には、所定の隙間が形成されて互いに当接しない。)。
【0110】
一方、第2レンズ変倍案内部56は、図17(b)に示すように、その両壁面に第1テーパ面56aと第2テーパ面56bの2つのテーパ面が形成されている。そして、変倍係合部55bのみが第2テーパ面56bに当接するように形成されている(収納係合部55aは、第1テーパ面56aには当接しない。)。
【0111】
より具体的には、第2レンズ変倍案内部56の第2テーパ面56bは、その傾斜角度が、変倍係合部55bの外周面と同じ傾斜角度で形成されるとともに、その第1テーパ面56aとの境界部の幅Fが変倍係合部55bの底部の幅Gと同じ幅をもって形成されている。一方、第1テーパ面56aは、その傾斜角度が収納係合部55aの外周面と同じ傾斜角度で形成されるが、その下端部の幅Hが収納係合部55aの底部の幅Iよりも大きな幅をもって形成されている。したがって、この第2レンズ変倍案内部56では、カム溝係合部55は、先端の変倍係合部55bのみが第2テーパ面56bに当接する(収納係合部55aと第1テーパ面56aとの間には隙間が形成されるため、互いに当接しない。)。
【0112】
第2レンズ方向転換案内部57も第2レンズ変倍案内部56と同じ構成である。すなわち、その両壁面に第1テーパ面と第2テーパ面とが形成されており、カム溝係合部55は、先端側の変倍係合部55bのみが第2レンズ方向転換案内部57の両壁面に当接する(収納係合部55aと第2レンズ方向転換案内部57の両壁面との間には隙間が形成されるため、互いに当接しない。)。
【0113】
前記のごとく構成された第2レンズ用カムピン29と第2レンズ用カム溝21とによれば、回転筒17を『初期位置』から『回転位置B』に向けて回転させると、第2レンズ用カムピン29は、その収納係合部55aが第2レンズ収納案内部58のテーパ面58aに当接して摺動する(変倍係合部55bは直立面58b当接せず。)。
【0114】
また、回転筒17を『回転位置B』から『中間位置』に向けて回転させると、第2レンズ用カムピン29は、その変倍係合部55bが第2レンズ方向転換案内部57の両壁面に当接して摺動する(収納係合部55aは当接せず。)。
【0115】
さらに、回転筒17を『中間位置』から『終端位置』に向けて回転させると、第2レンズ用カムピン29は、その変倍係合部55bが第2レンズ変倍案内部56の第2テーパ面56bに当接して摺動する(収納係合部55aは第1テーパ面56aに当接せず。)。
【0116】
このように、第2レンズ用カム溝21の第2レンズ変倍案内部56(及び第2レンズ方向転換案内部57)と第2レンズ収納案内部58とで、第2レンズ用カムピン29の摺動面を変えることにより、上述した第1の実施の形態と同様にカムピンの磨耗を効果的に抑制することができる。
【0117】
なお、本実施の形態では、第2レンズ用カム溝21と移動筒用直進溝22とが、それぞれ光軸回りに3本ずつ形成されているレンズ装置に本発明を適用した例で説明したが、カム溝と直進溝とが、それぞれ光軸回りに2本以上形成されているレンズ装置であれば、同様に適用することができる。
【0118】
また、本実施の形態では、2群構成のズームレンズとしているが、本発明ではこれに限らず3群以上の構成でもよい。
【0119】
また、ズームレンズカメラに限らず、例えばテレ位置、ワイド位置、及び沈胴位置とに切り換わる2焦点カメラにも本発明を適用することができ、また、電子スチルカメラに限らず、銀塩カメラにも本発明を適用することができる。
【0120】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、カムピンはカム溝の第1溝部と第2溝部とで摺動面の位置が変わるため磨耗を抑制できる。これにより、長期間使用しても、ガタを発生させることなく、筒体を安定動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子スチルカメラの外観構成を示す斜視図
【図2】レンズ装置の分解斜視図
【図3】沈胴位置の状態のレンズ装置を示した断面図
【図4】テレ位置の状態のレンズ装置を示した断面図
【図5】ワイド位置の状態のレンズ装置を示した断面図
【図6】第1レンズ筒と第2レンズ筒とを光軸と直交する方向に切断した断面図
【図7】移動筒に設けられた第1レンズ用カム溝の構成を示す展開図
【図8】固定筒に設けられた移動筒用カム孔と第2レンズ用直進孔との構成を示す展開図
【図9】移動筒用カムピンの構成を示す平面図
【図10】移動筒用カムピンの構成を示す側面図
【図11】第2レンズ用カムピンの構成を示す正面図
【図12】回転筒の内周面に形成された第2レンズ用カム溝と移動筒用直進溝の構成を示す展開図
【図13】第2レンズ用カム溝と第2レンズ用カムピンとの係合状態を示す断面図
【図14】第2レンズ用カム溝と第2レンズ用カムピンとの係合状態を示す断面図
【図15】第2レンズ用カム溝と移動筒直進溝との交差部の構成を示す断面図
【図16】第1レンズ筒、第2レンズ筒及び移動筒等の移動軌跡を示した説明図
【図17】第2レンズ用カムピン29と第2レンズ用カム溝21の他の実施の形態の要部の構成を示す断面図
【符号の説明】
1…電子スチルカメラ、2…レンズ装置、10a…結像面、11…第1レンズ、12…第2レンズ、13…第1レンズ筒、14…第2レンズ筒、15…移動筒、16…固定筒、17…回転筒、19…ズームモータ、20…光軸、21…第2レンズ用カム溝、22…移動筒用直進溝、23…第2レンズ用直進孔、24…移動筒用カム孔、25…移動筒用カムピン、25A…カム孔係合部、25B…ガイド溝係合部、25C…直進溝係合部、26…第1レンズ用カム溝、27…直進ガイド溝、28…第1レンズ用カムピン、29…第2レンズ用カムピン、30…直進ガイド突起、33…第2レンズ枠、34…フォーカスモータ、37…バネ、38…アーム、40…移動筒収納案内部、41…移動筒移動阻止部、42…第1レンズ収納準備案内部、43…第1レンズ移動阻止部、44…第1レンズ変倍案内部、49…ガイド溝、54…直進孔係合部、55…カム溝係合部、55a…収納係合部、55b…変倍係合部、56…第2レンズ変倍案内部、56a…第1テーパ面、56b…第2テーパ面、58…第2レンズ収納案内部、58a…テーパ面、58b…直立面
Claims (1)
- 筒体の外周面に設けられたカムピンをカム筒の内周面に形成されたカム溝に係合させて筒体を撮影光軸に沿って移動させるズーム機能を備えた沈胴式のレンズ装置において、
前記カムピンは第1係合部と第2係合部とを備え、前記第2係合部が、前記第1係合部の頂部同軸上に形成されるとともに、前記第1係合部よりも小径に形成され、
前記カム溝は、前記カムピンの第1係合部が係合し、前記筒体に収納動作させる第1溝部と、前記カムピンの第2係合部が係合し、前記筒体に変倍動作させる第2溝部と、前記第1溝部と前記第2溝部との間で前記筒体の移動方向を転換する方向転換案内部を備え、
前記方向転換案内部は前記第2溝部で形成することを特徴とするレンズ装置。
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