JP3747018B2 - 布製品の保持のためのクランプ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、布製品の保持のために、保持枠との間にて、保持子により布製品を挾持する構成を有するクランプ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばリネンサプライ業のような分野では、シーツや包布、枕カバー等の布製品を洗濯するため大量に取り扱う。これらの布製品を装置へ自動的に投入するためにクランプ装置が設けられており、関連する出願には特開平4−53599号などがある。こうしたクランプ装置は、布製品を挾み込むために挿入する方向に開くようになっており、かつまた布製品に接触する部分にローラーを用いている例が多く、布製品を保持するために大きな力を必要とする。従って、多くの場合エアシリンダー装置を用いてクランプ装置を駆動することになり、その結果、布製品の挿入を検出してクランプ装置を動作させるためにクランプ部が重くなるとか、装置が複雑化する、或いは設備費が高くつく、というような問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記の点に着目してなされたもので、その課題は、クランプ装置を軽量化し、それにより処理能力の向上を図ることである。また、本発明の他の課題は、負荷を軽減させ、耐久性の向上を図ることをである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために本発明は、布製品の保持のための挿入方向に開いた挿入口を保持枠に有し、布製品の挿入のために開きかつ布製品の保持のために閉じるように、保持枠に回転可能に保持子を設けるとともに、保持子は、上記挿入方向と平行な方向に設定されている軸支点において軸支し、布製品の挿入方向に対して交叉方向に保持子が回転するようにし、操作によって保持子を回転させるための操作部と保持子とをリンク部によって連繋し、布製品の保持方向へ保持子を付勢手段によって付勢するという手段を講じたものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のクランプ装置は、布製品を例えばアイロナーや折り畳み機などの装置へ投入するために設けられ、クランプ装置の保持枠に保持子により布製品を挾持する構成を有している。つまり投入のために布製品を保持する装置であり、布製品は本クランプ装置によって準備のために拡げられ、さらに次工程への投入のために運ばれる。
【0006】
このクランプ装置は、布製品の保持のための挿入方向に対して開いた挿入口を有する保持枠を具備している。挿入口は布製品の挿入が可能なように開いた部分であれば良く、それ以外に特別な構成を有している必要はない。保持枠は、クランプ装置の本体に相当するもので、これに各構成部分が取り付けられる。
【0007】
保持枠には、布製品の挿入方向と概して平行な方向に軸支され、かつ挿入方向とは所要角度異なる方向へ回転可能に保持子が設けられる。保持子は回転して保持枠の保持点に接し、或いは逆方向へ回転して保持点から離れる。ここで布製品の挿入方向とは、作業者が布製品をクランプ装置へ取り付ける方向のことで、概して前後方向を指す。保持子の軸支方向もこれと平行であるから、保持子が回転する方向は左右方向のように、挿入方向とは所要角度異なる方向となる。
【0008】
本発明のクランプ装置を2個1組として左右に配置し、布製品の左右の端を挾持させる場合、布製品の挿入は正面前方から後方へ向けて行い、保持されている布製品を左右に拡げたときに受ける引張力は左右に働く。保持枠の一部が接する保持枠の保持点と、保持子を保持枠に軸支した軸支点との位置は左右にずらせ、かつまた保持点が軸支点よりも外方へ位置するように2個1組のクランプ装置を配置することは望ましい組み合わせ方である。この場合、左右のクランプ装置によって保持している布製品の中心方向へ働いている引張力が、保持子による挾持力を強める方向へ作用するように構成し得るからである。
【0009】
布製品の保持のために、外部操作によって保持子を回転させるための操作部と保持子とをリンク部によって連繋する。操作部に対する操作方向は例によって前後方向であることが望ましい。布製品の挿入方向と同じであることが操作の流れの妨げとならず、作業性を高めると考えられる。この場合、操作部の前後方向の操作を、保持子の例えば左右方向の回転に変換する必要があれば、これをリンク部において行なうことができる。
【0010】
保持子は、布製品の保持方向へ、付勢手段によって付勢する。この付勢は、布製品を保持子によって保持点に押し付けることを目的とする。付勢手段の例としては、機能的複雑さがなく、クランプ装置の軽量化にも適合する弾性力が良い。しかし弾性力のほかに、例えば保持子の重さも付勢手段として利用し得る。
【0011】
【実施例】
以下、図示の実施例により本発明をより詳細に説明する。図1ないし図4は本発明に係るクランプ装置10の1例を示しており、11は保持枠、12は挿入口13はガイドであり、布製品を挿入口12へ導くように前方へ突出させて保持枠11に取り付けられている。
【0012】
保持子15は、保持枠11への挿入方向と平行な方向に設定されている軸支点16において保持枠13に回転可能に軸支されている。例示の保持子15は逆三角形状の配置を取り、下向きの頂点に相当する部分にて保持枠11の保持点17に当接可能である。保持子15の保持点17は、軸支点16に対して左右方向外方にずれて配置される。このため、本クランプ装置を2個1組として図9に示すように適用するためには、図2に示したのと対称な構成を有するクランプ装置の対10、10′が必要である。対になる相手クランプ装置10′は、ここで説明しているクランプ装置10と対称構造の点以外変わらないので符号を援用し、詳細な説明は省略する。
【0013】
保持子15を操作するための操作部18は、保持枠上部に突出し、保持枠11に、支軸19によって前後方向へ回転可能に設けられている。例示の操作部18はリンク部20を構成するリンク部材21の一部として設けられており、保持枠11に上記支軸19によって軸支されているとともに、先端の上部可動軸部22にて中間リンク部材23の上端に軸支されている。さらに中間リンク部材23は下端の下部可動軸部24に球継手25により軸支され、下部可動軸部24は、保持子15に回転可能に軸支されているので、中間リンク部材23と下部可動軸部24とは回転と同時に傾きが可能である。特に、上部及び可動軸部22、24の両端はフランジ型ベアリングと称するような減摩軸受26、27によって構成されている。
【0014】
さらに、保持子15には付勢手段28による付勢力が働くように構成されている。実施例では、支軸19にトーションばね29を捲装することによって、リンク部全体が保持子15を保持点17へ押圧するようになっている。一方、保持子15は逆三角形の上角の頂点で軸支されているために、軸支点16の周りに回転モーメントを生じ、保持子15の荷重が保持点17に加わるようになっている。よって、付勢手段28としてばねの弾力と保持子15の質量の両方が関与していることになる。
【0015】
このような構成を有するクランプ装置10においては、図5に示すように、ばね29の弾性作用と質量とによる付勢力を受けて保持子15が保持点17に対して付勢された状態にあり、このとき操作部18は突き出している。操作部18を図5(b)の矢印B方向へ押すと、リンク部20によって連繋された保持子15が図5(a)の矢印C方向へ回転し、保持点17から離され、挿入口12より布製品30を挿入できる状態となる(図6(b))。
【0016】
実施例では布製品30の挿入方向と、操作部18に対する操作方向が、共に、前方から後方である。しかしこれに限られる訳ではなく、例えば支軸19を前に移すとともに、中間リンク部材23を保持子15の後方で球継手25により軸支するようにすれば、操作部18を前に引く操作によって保持子15を同様に回転させることができる。どちらにするか、或いはさらに別の方向にするかについては設計により変更し得ることである。
【0017】
図6において、布製品30をガイド13に沿って挿入口12へ挿入し、操作部18を解放すると付勢手段28の作用により保持子が前記と逆方向に回転し、布製品30を保持点17に押し付ける保持状態となる。図7の状態である。保持されている布製品30を解放するには、操作部18に付勢手段28に抗する力を加えて、保持子18を回転させ、保持子18による布製品30の挟持を解除すれば良い(図8)。
【0018】
このクランプ装置を例えば折り畳み機に適用して、布製品30の投入を行おうとする場合、図9に示すように、左右対称な構成を有する2個1対のクランプ装置10、10′を、夫々の保持子15、15′が、軸支点16、16よりも外方にて保持点17、17′に接するように配置する。なお、ここでは一々説明しないが、既に説明した一方のクランプ装置10と対称の構成を他方のクランプ装置10′が有しているものとして、符号にダッシュを付して対応する構成を示すものとする。
【0019】
このクランプ装置10、10′では、操作部18、18′のワンタッチ操作により各保持子15、15′が軸支点16、16′を中心に外方へ開き、シーツ等の布製品30を挟持させることができる。そこで、両クランプ装置10、10′を予めレール上で接近させておいて布製品30を保持させ、その後両クランプ装置10、10′をレール上で互いに左右に離間させて布製品30を展開状態とする(図10)。このとき、保持子15、15′にかかる布製品30の荷重は保持子15、15′を内方へ回転させ保磁力を強める方向に作用するので抜け出るおそれが少ない。
【0020】
図10及び図11は水平に近い本発明装置により布製品30を受け入れ側31へ渡す場合を例示しており、図12は従来の装置により受け入れ側31へ布製品30を渡す場合を例示している。本発明の場合、布製品30の先端はほぼ水平に展張されるため、受け入れ側にめくれを生じることなく渡すことができ、布製品先端をほぼ水平の状態で展張することができるので、展張完了位置が精度良く測定され、折り畳み品質などの向上に寄与する。図13に示すように本発明では展張完了位置に布製品30の先端がスムーズに移行する。これに対して布製品先端を垂直に近い状態で保持すると図14のように先端が前後に触れて一直線となりにくい。従って本発明のように布製品先端を水平に近い状態で保持することは有利であることが分かる。
【0021】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成されかつ作用するものであるから、クランプ装置にシリンダー装置等を必要とせず軽量化が可能となるので動作速度を高速とし処理能力を向上することができ、かつまた負荷の軽減により耐久性を向上することが見込まれる等顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る布製品の保持のためのクランプ装置の実施例を示す一部破断平面図。
【図2】同上の正面図。
【図3】同じく一部破断した左側面図。
【図4】同じく右側面図。
【図5】(a)保持体の挟持位置を示す正面図。
(b)その右側面図。
【図6】(a)保持体の回転位置を示す正面図。
(b)その右側面図。
【図7】(a)布製品の保持状態を示す正面図。
(b)その右側面図。
【図8】(a)布製品の解放状態を示す正面図。
(b)その右側面図。
【図9】2個1対の配置をとるクランプ装置の正面図。
【図10】クランプ装置の左右離間動作を示す正面図。
【図11】水平に近い本発明装置の保持部と受け入れ側との関係を示す説明図。
【図12】垂直に近い従来の保持部による布製品の投入を示す説明図。
【図13】(a)本発明による布製品の展張を示す側面図。
(b)同じく正面図。
【図14】(a)従来の保持部による布製品の展張を示す側面図。
(b)同じく正面図。
【符号の説明】
10、10′ クランプ装置
11 保持枠
12 挿入口
15、15′ 保持子
16、16′ 軸支点
17、17′ 保持点
18、18′ 操作部
19、19′ 支軸
20、20′ リンク部
28、28′ 付勢手段
30 布製品
Claims (2)
- 布製品の保持のために、保持枠との間にて、保持子により布製品を挾持する構成を有するクランプ装置であって、布製品の保持のための挿入方向に開いた挿入口を保持枠に有し、布製品の挿入のために開きかつ布製品の保持のために閉じるように、保持枠に回転可能に保持子を設けるとともに、保持子は、上記挿入方向と平行な方向に設定されている軸支点において軸支し、布製品の挿入方向に対して交叉方向に保持子が回転するようにし、操作によって保持子を回転させるための操作部と保持子とをリンク部によって連繋し、布製品の保持方向へ保持子を付勢手段によって付勢した構成を有する布製品の保持のためのクランプ装置。
- 保持子の一部が接する保持枠の保持点と、保持子を保持枠に軸支した軸支点の位置は左右にずれており、保持点が軸支点よりも左右方向外方へ位置するように配置され、それによって、保持している布製品の中心方向へ働いている引張力が、保持子による挾持力を強める方向へ作用するように構成されている請求項1記載の布製品の保持のためのクランプ装置。
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