JP3746909B2 - バッキング用組成物およびカーペットの加工方法 - Google Patents
バッキング用組成物およびカーペットの加工方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3746909B2 JP3746909B2 JP06481699A JP6481699A JP3746909B2 JP 3746909 B2 JP3746909 B2 JP 3746909B2 JP 06481699 A JP06481699 A JP 06481699A JP 6481699 A JP6481699 A JP 6481699A JP 3746909 B2 JP3746909 B2 JP 3746909B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- diisocyanate
- weight
- emulsion
- parts
- solid content
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Carpets (AREA)
- Polyurethanes Or Polyureas (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、カーペットのバッキング用組成物、およびこの組成物を用いたカーペットの加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カーペットの裏面加工は、塩化ビニル系樹脂に可塑剤を混合したゾル状物を塗工し、加熱・硬化する方法、アスファルトビチュウメンを溶融塗工する方法などが、加工性が容易なために一般的に行われている。しかしながら、塩化ビニル系樹脂は、使用後、廃棄物として焼却する場合、ダイオキシン、塩素ガスの発生や、また可塑剤に環境を汚染する可能性のあるDOP、DBPなどを含んでいる。また、アスファルトビチュウメン加工は、熱により軟化しやすく、低温で硬くなり、さらに熱溶融を必要とするなどの欠点を有している。一方、焼却時の発生ガス量、発生熱量が少なく、環境汚染の少ない高分子エマルジョン系の加工方法が多く検討されている。しかしながら、乾燥工程が必要で、ライン加工において厚く塗布するには、多くの乾燥熱量を要し、長い乾燥機が必要なため、実用化に至ってはいない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、カーペットの裏面加工において、安全性が高く、取り扱いが容易な高分子エマルジョン系コンパウンドを用い、塗布厚さを1mm以上の厚さに塗工しても、水系の欠点である、乾燥、硬化を速く行うことができ、実用化が可能なカーペットバッキング用組成物およびこれを用いたカーペットの加工方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス、アクリル樹脂エマルジョン、エチレン・酢酸ビニル共重合体エマルジョンおよび天然ゴムラテックスの群から選ばれた少なくとも1種を固形分換算で100重量部に対し、(B)分散剤0.3〜2重量部、(C)架橋剤0.5〜5重量部、(D)消泡剤0.1〜1.5重量部、(E)炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、珪砂および硫酸バリウムの群から選ばれた少なくとも1種の粉末状充填材、ならびに/または固形分濃度70重量%以上の高濃度ゴムアスファルトエマルジョンを、固形分換算で100〜500重量部配合してなり、固形分濃度が80〜87重量%の高固形分エマルジョン系コンパウンドに、さらに、(F)フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4′−ビフェニルジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ビフェニルジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートから選ばれたジイソシアネート化合物、および/または、ビフェニルトリイソシアネート、ジフェニルメタントリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレントリイソシアネートから選ばれたトリイソシアネート化合物からなる、反応性イソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物1〜30重量部を配合したバッキング用組成物を提供するものである。
また、本発明は、カーペットの裏面に、上記(A)〜(E)成分を含有してなる高固形分エマルジョン系コンパウンドと(F)反応性イソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物とを添加混合して得られるバッキング用組成物を塗工し、加熱・硬化させたのち、乾燥することを特徴とするカーペットの加工方法を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明は、カーペットの裏面加工において、高固形分エマルジョン系コンパウンドに硬化材であるポリイソシアネート化合物を、好ましくは、使用前に添加混合して得られるバッキング用組成物が、水を離水して硬化させることにより、速乾燥性をもたらすものである。これにより、カーペットの裏面に1mm厚さ以上に塗工加工して、可塑剤を含まずに弾性を有し、燃焼時の発煙、ガス発生量が少なく、環境汚染の少ないカーペットが得られる。
【0006】
(A)成分
本発明に用いられる(A)成分は、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス、アクリル樹脂エマルジョン、エチレン・酢酸ビニル共重合体エマルジョンおよび天然ゴムラテックスの群から選ばれた少なくとも1種のベースゴムエマルジョンである。
この(A)成分は、本発明のバッキング用組成物において、ベースゴムとして用いられ、バインダーや、カーペットパイルの固着、耐折れ性、弾性付与の役目を果たすものである。
【0007】
ここで、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックスは、例えば、スチレン15〜85重量%、好ましくは25〜50重量%、とブタジエン85〜15重量%、好ましくは75〜50重量%を共重合して得られる、ガラス転移温度が−60℃〜−10℃、好ましくは−50℃〜−15℃のSBRラテックスである。このSBRラテックスは、単量体成分中に、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フタル酸、マレイン酸などを8重量%以下、好ましくは0.5〜5重量%程度共重合することにより、カルボキシ変性されていてもよい。または、(メタ)アクリルアミドなどにて、アミド変性されていてもよい。
【0008】
また、アクリル樹脂エマルジョンとしては、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸およびスチレンを乳化共重合して得られる、ガラス転移温度が−60℃〜−10℃、好ましくは−50℃〜−15℃のアクリル酸エステル・メタクリル酸・スチレン共重合体エマルジョンが好ましい。ここで、アクリル酸エステルとしては、炭素数1〜4のアクリル酸エステル、例えば、メチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ブチルアクリレートなどが挙げられる。アクリル酸エステル/メタクリル酸/スチレンの共重合割合は、通常、アクリル酸エステル40〜90重量%、好ましくは50〜80重量%、メタクリル酸60〜10重量%、好ましくは50〜20重量%、スチレン10〜60重量%、好ましくは10〜30重量%である。このアクリル樹脂エマルジョンは、単量体成分中に、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フタル酸、マレイン酸などを8重量%以下、好ましくは0.5〜5重量%程度共重合することにより、カルボキシ変性されていてもよい。または、(メタ)アクリルアミドなどにて、アミド変性されていてもよい。
【0009】
さらに、エチレン−酢酸ビニルエマルジョンは、エチレン10〜40重量%、好ましくは15〜30重量%、酢酸ビニル90〜60重量%、好ましくは85〜70重量%を共重合して得られる、ガラス転移温度が−35℃〜+10℃、好ましくは−30℃〜0℃のEVAエマルジョンである。
さらに、天然ゴムラテックスとしては、通常の市販の天然ゴムラテックスのほか、スチレンやメチルメタクリレートなどをグラフト重合したグラフト系天然ゴムラテックス、低アンモニア天然ゴムラテックス、水による希釈と遠心分離の作業を繰り返して製造された低(脱)タンパク質天然ゴムラテックスなどが挙げられる。
【0010】
以上のベースゴムエマルジョン(ラテックス)である(A)成分は、いずれも、固形分濃度が好ましくは45重量%以上、さらに好ましくは55重量%以上、特に好ましくは60〜70重量%の高濃度エマルジョン(ラテックス)として用いる。固形分濃度が45重量%未満では、高濃度の組成物が得られず、乾燥に時間を要し、生産性が劣る。
【0011】
(B)分散剤
この(B)分散剤は、本発明のバッキング用組成物において、充填剤の均一な分散と組成物粘度を保持するという役目を果たすものである。
(B)分散剤としては、トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩などの無機系分散剤、ポリカルボン酸塩、ホルマリン縮合ナフタレンスルホン酸塩などの高分子分散剤などが挙げられ、好ましくは無機系分散剤である。
(B)分散剤の使用量は、(A)成分(固形分換算)100重量部に対し、0.3〜2重量部、好ましくは0.5〜1.5重量部である。0.3重量部未満では、充填剤が均一に分散せず、一方、2重量部を超えると、粘度保持ができず、分離と充填剤の沈降現象が生起する。
【0012】
(C)架橋剤
この(C)架橋剤は、本発明のバッキング用組成物において、(A)成分を架橋させ、強度を上げ、弾性を付与し、耐老化性を向上させるという役目を果たすものである。
(C)架橋剤としては、イオウ、酸化亜鉛などが挙げられる。
(C)架橋剤の使用量は、(A)成分(固形分換算)100重量部に対し、0.5〜5重量部、好ましくは1〜3重量部である。0.5重量部未満では、充分な強度および弾性を発揮することができず、耐老化性にも影響が出てくる。一方、5重量部を超えると、硬くなり、弾性が無くなり、折れやすくなる。
【0013】
(D)消泡剤
この(D)消泡剤は、本発明のバッキング用組成物において、組成物の生産時における泡立ち防止、および加工時における泡立ち防止という役目を果たすものである。
(D)消泡剤としては、鉱物油ノニオン系界面活性剤や、ポリジメチルシロキサンオイル、エチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド変性の、ジメチルシリコーンもしくはジメチルシリコーンエマルジョンなどのシリコーン系消泡剤、鉱物油、アセチレンアルコールなどのアルコール系消泡剤などが挙げられる。
(D)消泡剤の使用量は、(A)成分(固形分換算)100重量部に対し、0.1〜1.5重量部、好ましくは0.3〜1.0重量部である。0.1重量部未満では、充分な消泡効果がなく、一方、1.5重量部を超えると、ハジキ現象が出て、加工製品の外観を悪くする。
【0014】
(E)成分
(E)成分は、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、珪砂および硫酸バリウムの群から選ばれた少なくとも1種の粉末状充填材、ならびに/または固形分濃度70重量%以上の高濃度ゴムアスファルトエマルジョンからなる。
このうち、粉末状充填材は、増量剤として、また固形分濃度の増加や重量感を付与する目的で用いられる。
また、高濃度ゴムアスファルトエマルジョンは、増量剤として、また裏打ち剤に弾性を付与するという役目を果たすものである。
【0015】
上記高濃度ゴムアスファルトエマルジョンとは、例えば、(a)ゴムおよび/または熱可塑性合成樹脂0〜30重量%と(b)アスファルト100〜70重量%〔ただし、(a)+(b)=100重量%〕を主成分とする改質アスファルトを乳化剤で乳化して得られる、全固形分が70重量%以上の改質アスファルト乳剤である。
【0016】
ここで、ゴムアスファルトエマルジョンを構成する改質アスファルト中の(a)ゴムおよび/または熱可塑性合成樹脂としては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム、アクリレート−ブタジエン共重合体ゴム、イソプレン重合体ゴム、ブタジエン重合体ゴム、シリコーン重合体ゴム、イソブチレン重合体ゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体ゴム、天然ゴム、ウレタン重合体ゴムなどのゴム類;ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリレート共重合体、酢酸ビニル−アクリレート共重合体などの熱可塑性合成樹脂類が挙げられる。これらは、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。特に好ましくは、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体ゴムが挙げられる。
なお、(a)ゴムおよび/または熱可塑性合成樹脂には、必要に応じてカルボキシル基、アミド基、N−メチロール基、グリシジル基、水酸基、スルホン酸基などの官能を少なくとも1種含有することもできる。
【0017】
(a)ゴムおよび/または熱可塑性合成樹脂の使用量は、改質アスファルト中に0〜30重量%、好ましくは5〜20重量%である。30重量%を超えると、コストに見合う性能が得られない。
【0018】
また、ゴムアスファルトエマルジョンを構成する改質アスファルト中の(b)アスファルトとしては、特に限定されるものではなく、ストレートアスファルト、溶剤脱瀝アスファルトなどが挙げられる。これらのうち、ストレートアスファルトが好ましい。(b)アスファルトは、1種単独で、あるいは2種以上を併用することができる。
【0019】
上記(E)成分の使用量は、(A)成分(固形分換算)100重量部に対し、100〜500重量部、好ましくは150〜400重量部である。100重量部未満では、増量剤としての効果に乏しく、また重量感を付与し難く、一方、500重量部を超えると、重くなりすぎたり、粉末状充填材の場合、ゴム弾性が劣るものとなる。
【0020】
なお、(E)成分を構成する上記粉末状充填材や高濃度ゴムアスファルトエマルジョンは、それぞれ、1種単独で使用することも、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0021】
(F)反応性イソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物
(F)反応性イソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物は、本発明のバッキング用組成物中において、例えば、下記のように反応して、水を離水硬化させ、塗工された組成物の速乾燥性をもたらす硬化材である。
2RNCO+H2 O→RNHCONHR+CO2(ただし、Rは有機基を示す。)
【0022】
この(F)反応性イソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物としては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4′−ビフェニルジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ビフェニルジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物;ビフェニルトリイソシアネート、ジフェニルメタントリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレントリイソシアネートなどのトリイソシアネート化合物を挙げることができる。
【0023】
(F)ポリイソシアネート化合物の使用量は、(A)成分(固形分換算)100重量部に対し、1〜30重量部、好ましくは4〜20重量部である。1重量部未満では、得られるバッキング用組成物の硬化性が遅い。一方、30重量部を超えると、組成物の硬化性が速く、塗工する前に硬化するため、作業性が悪い。なお、(F)ポリイソシアネート化合物は、上記(A)〜(E)成分を混合して高固形分エマルジョン系コンパウンドを調製後、最終の使用直前までの適宜の段階で配合することができるが、本発明のバッキング用組成物を塗工する直前に添加して攪拌混合することが望ましい。
【0024】
その他の添加剤
本発明のバッキング用組成物には、そのほか、カーボンブラック、ベンガラ、有機系着色剤などの顔料のほか、老化防止剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤などを配合することができる。
【0025】
本発明のバッキング用組成物
本発明のバッキング用組成物は、塗工前に、上記(A)〜(E)成分を配合してなる、固形分濃度が75重量%以上の高濃度エマルジョン系コンパウンドに、上記(F)ポリイソシアネート化合物を配合して得られる。
ここで、高濃度エマルジョン系コンパウンドの固形分濃度は、75重量%以上、好ましくは80〜87重量%である。75重量%未満では、得られるバッキング用組成物中の水分量が多くなり、この組成物を硬化させるための(F)ポリイソシアネート化合物の使用量が多くなり、コストアップとなり、また組成物が発泡するため性能が劣り、乾燥性も悪くなる。(A)〜(E)成分の混合や、(A)〜(E)成分を含有する高濃度エマルジョン系コンパウンドと(F)ポリイソシアネート化合物との混合は、ラインブレンダー、ニーダー、ブレンダーなどの混合機により行うことができる。また、この際の混合温度は、通常、5〜35℃である。
【0026】
カーペットの加工方法
本発明では、カーペットの裏面に、上記(A)〜(E)成分を含有する高固形分エマルジョン系コンパウンドと、硬化材である(F)ポリイソシアネート化合物とを添加混合して得られる本発明のバッキング用組成物を塗工し、加熱・硬化させたのち、乾燥することにより、乾燥工程が大幅に短縮され、しかも強度の硬化体を裏打ち材として有するカーペットが得られる。本発明のカーペットの加工方法によれば、(A)〜(E)成分を主成分とする高固形分エマルジョン系コンパウンドに、硬化材である(F)ポリイソシアネート化合物を添加することにより、エマルジョン中の水の離水、水との反応による水処理により、例えば、160℃で約3分加熱する程度で、実用可能な強度の硬化体(裏打ち材)が得られ、乾燥工程が大幅に短縮できる。
【0027】
その加工方法の一例を以下に示すが、本発明は、以下に限定されるものではない。すなわち、上記(A)〜(E)成分を配合して得られる、固形分濃度が75重量%以上の高濃度エマルジョン系コンパウンドに、使用直前に、ラインブレンダーなどの混合機を用いて、上記(F)ポリイソシアネート化合物を添加・混合して、例えば、フッ素樹脂加工したコンベア上に、1〜3mmの厚さに塗工する。その後、寸法安定、反り防止として、ガラスやポリエステル製のメッシュまたは不織布などを貼り合わせる。さらに、本発明のバッキング用組成物を、1〜3mmの厚さに塗工したのち、カーペットの裏面と貼り合わせる。その後、100〜180℃、好ましくは150〜170℃の熱風乾燥機内を1〜5分、好ましくは1〜3分通過させて、加熱・硬化を行い、コンベア面からカーペットを剥がして、さらに100〜180℃、好ましくは150〜170℃の熱風乾燥機で、1〜15分、好ましくは3〜10分乾燥することにより、裏打ちされたカーペットが得られる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。また、実施例中における部および%は、特に断らない限り重量基準である。
実施例1〜2、比較例1〜2(1)組成物の配合処方実施例・比較例に用いられる組成物の配合処方は、表1のとおりである。表1記載の配合処方で、バッキング用組成物を調製し、以下に示す燃焼試験およびカーペット塗工試験を実施した。
【0029】
【表1】
【0030】
(2)配合材料の説明
JSR0545;ジェイエスアール(株)製、カルボキシ変性SBRラテックス、固形分濃度55%
DOP;可塑剤(ジオクチルフタレート)
AC141;旭電化工業(株)製、塩化ビニル系樹脂安定剤
ノプコDF−122;サンノプコ(株)製、鉱物油系消泡剤
ハルコート85;(株)イーテック製、固形分濃度85%のゴムアスファルトエマルジョン
コロネート3053;日本ポリウレタン(株)製、トリレンジイソシアネート
上記配合物を、3リットル容器で各々約3kg、ヤマト科学(株)製、LR500B型攪拌機を用いて、80mm長さの十文字羽根と取り付け、約600rpmの回転速度で約20分混合して作製した。
【0031】
ここで、コンパウンドの固形分濃度、粘度は、次のようにして測定した値である。
コンパウンドの固形分濃度;JIS K6833に準拠した。
コンパウンドの粘度;JIS K6833に準拠した。
【0032】
(3)燃焼試験使用前に、高濃度エマルジョン系コンパウンドにコロネート3053を添加混合して、フッ素樹脂加工したクロス状シート面に2mm厚さにガイドロールを用いて塗布したのち、160℃の乾燥機で3分間、硬化乾燥したのち、シート面より剥がし、さらに160℃で5分間、乾燥して試験用成形体シートを作製した。この試験体を燃焼させて、ガス、煙の発生量、燃焼カロリーを測定した。
【0033】
ここで、試験体の可燃物含量、燃焼発熱量、燃焼ガス量(CO、塩素ガス)の測定は、次のようにして行った。
可燃物含量;コンパウンドの可燃物配合割合より算出した。
燃焼発熱量;JIS K2279に準拠した。
燃焼ガス量;「プラスチックの燃焼性」(1979年6月15日発行、株式会社工業調査会刊、喜多 信之著)より算出した。
【0034】
(4)カーペットの塗工試験使用前に、高濃度エマルジョン系コンパウンドにコロネート3053を添加混合して、フッ素樹脂加工したクロス状シート面に2mm厚さにガイドロールを用いて塗布したのち、ガラスメッシュとポリエステル不織布を貼り合わせ、さらにガイドロールを用いて2mm厚さに塗り足して、その上に、カーペットの原反を貼り合わせ、160℃の乾燥機で3分間(剥がせない場合は、さらに3分間ごと追加乾燥)、硬化乾燥したのち、シート面より剥がし、剥がし状態を調べた。また、剥がしたのち、さらに160℃で5分間乾燥して、カーペットの性能(熱・水の影響、パイルの引抜き強さ)を試験した。結果を表2に示す。
【0035】
ここで、熱・水の影響、パイルの引抜き強さは、次のようにして測定した。
熱・水の影響(反り);JIS L4406に準拠した。
熱・水の影響(寸法変化率);JIS L4406に準拠した。
パイルの引抜き強さ;JIS L4406に準拠した。
【0036】
表2から明らかなように、実施例1は、固形分85%の高固形分エマルジョン系(ラテックス系)コンパウンドに、ポリイソシアネート化合物(コロネート3053)を添加・混合した材料を用いて、塗工を行い、加熱乾燥硬化して加工した例である。また、実施例2は、弾性を付与すべく、さらにゴムアスファルトエマルジョンを添加した例である。実施例1〜2によれば、いずれも、乾燥硬化時間が短く、燃焼ガス量も少なく、特に塩素ガスの発生はなく、得られるカーペットの性能も優れている。これに対し、比較例1は、硬化材であるポリイソシアネート化合物を用いていないため、加熱・乾燥時間が160℃×9分でも、裏打ち材としての強度が出ず、フッ素樹脂塗工シートより剥がすことができず、試験できなかった。比較例2は、現行の一般的に加工されている塩化ビニル系樹脂ゾルを加熱・乾燥して加工した例である。この比較例2では、燃焼熱量、燃焼ガスの発生量が本発明の実施例に較べて大きく上回っている。
【0037】
【表2】
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、高固形分エマルジョン系コンパウンドに、硬化材であるポリイソシアネート化合物を添加混合して、カーペットの裏面に加工することにより、従来検討しているエマルジョンの塗工加工に較べて、加熱・硬化時間を大幅に短縮することができ、乾燥工程の大幅な短縮が可能となる。また、本発明によれば、現行の塩化ビニル系樹脂ゾルの裏面加工と較べて、燃焼熱、ガスの発生が少なく、環境汚染の減少にも極めて有効である。
Claims (2)
- (A)スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス、アクリル樹脂エマルジョン、エチレン・酢酸ビニル共重合体エマルジョンおよび天然ゴムラテックスの群から選ばれた少なくとも1種を固形分換算で100重量部に対し、(B)分散剤0.3〜2重量部、(C)架橋剤0.5〜5重量部、(D)消泡剤0.1〜1.5重量部、(E)炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、珪砂および硫酸バリウムの群から選ばれた少なくとも1種の粉末状充填材、ならびに/または固形分濃度70重量%以上の高濃度ゴムアスファルトエマルジョンを、固形分換算で100〜500重量部配合してなり、固形分濃度が80〜87重量%の高固形分エマルジョン系コンパウンドに、さらに、(F)フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、4,4′−ビフェニルジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ビフェニルジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートから選ばれたジイソシアネート化合物、および/または、ビフェニルトリイソシアネート、ジフェニルメタントリイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレントリイソシアネートから選ばれたトリイソシアネート化合物からなる、反応性イソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物1〜30重量部を配合したバッキング用組成物。
- カーペットの裏面に、請求項1記載の高固形分エマルジョン系コンパウンドと(F)反応性イソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物とを添加混合して得られるバッキング用組成物を塗工し、加熱・硬化させたのち、乾燥することを特徴とするカーペットの加工方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06481699A JP3746909B2 (ja) | 1999-03-11 | 1999-03-11 | バッキング用組成物およびカーペットの加工方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06481699A JP3746909B2 (ja) | 1999-03-11 | 1999-03-11 | バッキング用組成物およびカーペットの加工方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000253986A JP2000253986A (ja) | 2000-09-19 |
JP3746909B2 true JP3746909B2 (ja) | 2006-02-22 |
Family
ID=13269163
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP06481699A Expired - Fee Related JP3746909B2 (ja) | 1999-03-11 | 1999-03-11 | バッキング用組成物およびカーペットの加工方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3746909B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002119408A (ja) * | 2000-10-17 | 2002-04-23 | Emulsion Technology Co Ltd | タイル調カーペットの加工方法 |
JP2002119409A (ja) * | 2000-10-17 | 2002-04-23 | Emulsion Technology Co Ltd | 厚物敷物の加工方法 |
WO2002070805A1 (en) * | 2001-03-06 | 2002-09-12 | Mitsubishi Burlington Co.,Ltd. | Polyester nonwoven fabric, nonwoven fabric product thereof and various products using the nonwoven fabrics reinforcing material |
JP2006045530A (ja) * | 2004-07-01 | 2006-02-16 | Emulsion Technology Co Ltd | 水系エマルジョン組成物 |
KR101458046B1 (ko) * | 2013-06-04 | 2014-11-04 | 주식회사 삼익 | 전기절연 매트 및 이의 제조방법 |
KR102203913B1 (ko) * | 2019-06-28 | 2021-01-15 | 주식회사 금진 | 우븐 타일 및 그 제조 방법 |
-
1999
- 1999-03-11 JP JP06481699A patent/JP3746909B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000253986A (ja) | 2000-09-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN102433087B (zh) | 一种耐高温纸塑复膜胶及其制备方法 | |
EP0011829B1 (en) | Blends of clay, processing oils and ethylene/vinyl ester copolymers and the process for preparing them | |
CN1961007B (zh) | 氯化丙烯系无规共聚物以及含有该共聚物的组合物 | |
SE427666B (sv) | Forfarande for framstellning av en fiberforsterkt plast | |
JP2006199961A (ja) | 熱可塑性基体のための水性フロック接着剤 | |
JP3746909B2 (ja) | バッキング用組成物およびカーペットの加工方法 | |
JPH0567674B2 (ja) | ||
CN1189182A (zh) | 聚苯乙烯粘合剂 | |
FR2529899A1 (fr) | Dispersions aqueuses de resines synthetiques, leur utilisation comme liants dans les compositions adhesives et compositions adhesives obtenues | |
HU225429B1 (en) | Gluing, sealing and coating compound | |
SE530420C2 (sv) | En vattenburen bindemedelskomposition och dess användning | |
JP2002119408A (ja) | タイル調カーペットの加工方法 | |
JPH02684A (ja) | ホットメルト接着剤 | |
JP2008056746A (ja) | ポリオレフィン系樹脂の水系乳化分散液及びその製造方法 | |
US9976047B2 (en) | Acrylic-urethane IPN plastisol | |
JPH0535745B2 (ja) | ||
JP2017509776A (ja) | 無溶媒エチレンプロピレンジエンポリマーラテックス | |
CA2098204C (en) | Solvent-free floor covering adhesive and method of producing same | |
US6451141B1 (en) | Production of seals and coating and the bonding of tiles or floor coverings | |
GB2305667A (en) | Bitumen-polymer compositions | |
JP2006045530A (ja) | 水系エマルジョン組成物 | |
JPH0813957B2 (ja) | 水性粘着剤組成物 | |
JPH01201355A (ja) | 樹脂乳化組成物および接着剤 | |
CN1090864A (zh) | 阻燃溴化苯乙烯接枝胶乳组合物 | |
CN108976975A (zh) | 一种木器修补膏的制备方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20040930 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050125 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050328 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20050802 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050930 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20051018 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20051122 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20051125 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081202 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091202 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091202 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101202 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101202 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111202 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111202 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121202 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121202 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131202 Year of fee payment: 8 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |