JP3746779B2 - 立体模型及び立体模型の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、立体物の外観および内部構造を再現した軟質立体模型に関する。
従来より臓器の外形を模擬する模型や、切断面を仮定して内部を表現するカットモデル等の、生体の器官、組織等の表面形状を模擬する生体模型が存在した。また体内の音響特性を模擬して超音波診断装置の適用を可能とする模型、また内視鏡等の操作を訓練するために鼻腔などの3次元構造を模擬した模型などがあった(特許文献1および2を参照)。
また、薄層を積層し、立体を造形する方法として、高速造形法(ラピッド・プロトタイピング)等が知られていた(特許文献3、特許文献4および特許文献5参照)。該方法においては、三次元CADデータなどコンピュータ上で定義された数値モデルに基づいて、複雑な形状の三次元物体を作製することができる。該方法においては、液状樹脂、樹脂粉末、石膏粉末、デンプン粉末、小麦粉粉末などの固定化可能材料により固定化層を形成し、この固定化層を順次積層して三次元物体を造形していた。コンピュータによって実現される仮想現実空間では、現実の世界では体験することができないことを容易に疑似体験することが可能である。近年の急激なコンピュータの性能向上とコンピュータ技術の進歩により、3次元CADやアミューズメントゲーム、医療の分野などで急速に利用されるようになっている。医療の分野では、例えばCTやMRIによって取得した人体内部の断層データをもとに、仮想空間に人体を再構成し、実際には容易に観察することができない体内の世界を、コンピュータ画面を通して観察や体験することが可能となる。その結果、手術計画の立案や手術前シミュレーションなどに利用されるようになってきた。また機械部品の設計や建築等の分野でも、コンピュータを利用した設計支援ツールが広く使われるようになり、設計中の機械部品をコンピュータの画面に立体的に表示し、部品形状の疑似立体を体感し確認しながら、設計にフィードバックすることが可能となっている。更に設計に携わる者は、コンピュータの画面上に表示される仮想現実には飽きたらず、3次元形状の実物体を実際に手に取り、現実の世界で物体の形状を確認することを要求するようになった。この流れの中で、光造形装置に代表されるラピッドプロトタイピング(RP)技術が急速に普及しつつある。
しかしながら、これらの模型のいずれも模型の外観の観察を目的としており、物体の内部を観察することはできなかったので、物体の内部構造の模擬は考慮されていなかった。また、模型の外観の観察を目的としているため、模型自体は硬質であり、例えば、模型を切断し、内部構造を観察することはできなかった。
特開平11-242427号公報 特開2001-5377号公報 特開平10-207194号公報 特開平2002-67174号公報 特開平2002-347129号公報
本発明は、所望の色に着色した外観及びその内部構造を持ち、切断あるいは切り開くことによって内部構造を観察することを可能とする、切断可能な軟質素材によって作られた立体模型の提供を目的とする。
本発明者等は、貴重である為、或いは高価である為などの理由により、切り開いて壊すことが困難なものや、物理的に巨大である為、或いは微小であるために壊すことが困難であるものについて、本物と同様の内部構造を色によって表現した模型を作り、模型を切り開いて壊すことによって内部構造を観察し、直感的な理解を助けることを可能とする軟質の立体模型を製作することを目的とし、鋭意検討を行った。本発明者等は、このような軟質のモデルの提供により、例えば、人体臓器を忠実に再現した模型を用い、貴重な人体臓器を用いることなく手術の練習を行ったり、患者の患部をCTやMRI等によって正確に測定したデータを用いて患部を忠実に再現した模型を作り、手術前計画を立案したり、手術前のシミュレーションや訓練を行うことを可能とすると考えた。また地球の地核構造や細胞の構造などの、実際に触ることが難しいものについて、縮尺を適当に調節し、科学的なデータから3次元構造を正確に再現した模型を作り、観察者や学習者が模型をナイフなどで切り開くとによって内部構造を観察して、直感的に理解することを助けることを可能とすると考えた。
本発明者等は、上記のような目的を達成するため、立体物の外部構造や外部色彩ばかりでなく、外部からは観察不可能である内部の構造や色彩をも正確に再現した模型であって、任意の部分で容易に切り開くことが可能な模型を作製することにより、外観だけではなく内部を観察することができる立体模型を提供し得ると考え本発明を完成させるに至った。
また、本発明者等は、ラピッドプロトタイピング技術により、石膏粉末等を物体の断層データに基づいて積層させることによってできた硬質立体模型に寒天溶液等を含浸させることにより軟質化することを見出した。さらに、ラピッドプロトタイピング技術において、断層データをボクセルデータ(微小立方体データ)に変換することにより、物体の内部の構造や色彩を模擬した模型を作製できることを見出した。これらの技術を併用することにより、物体の外観ばかりでなく、内部の構造や色彩も再現し、なおかつ軟質で任意の部位を切断することにより内部構造を観察できる模型の作製法を開発し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 立体物の外部構造および外部色彩ならびに外部から観察不可能な内部構造および内部色彩を表した3次元立体模型であって、切り開くことにより内部構造および内部色彩を観察することができる軟質素材でできた3次元立体模型、
[2] 複数の微小立体から構成され、該微小立体が物体の内部構造および内部色彩を表す[1]の3次元立体模型、
[3] 特定の部分の微小立体と微小立体の接着性が、他の部分の微小立体と微小立体の接着性と異なり、接着性が異なる該部分で内部構造を表し、模型部分を分離することができる[2]の3次元立体模型、
[4] 粉体が凝集固形化しでできた3次元立体模型であり、粉体内に含浸後に凝固して接着性が機能する溶液が含浸している、[1]から[3]のいずれかの3次元立体模型、
[5] 粉体が石膏粉体またはデンプン粉体または小麦粉である[4]の3次元立体模型、
[6] 含浸後に凝固して接着性が機能する溶液が寒天溶液またはゼラチン溶液である[4]または[5]の3次元立体模型、
[7] さらに、表面に被膜を有する[1]から[6]のいずれかの3次元立体模型、
[8] 被膜が、アルギン酸化合物とそのゲル化剤の反応物またはカラギーナンとそのゲル化剤の反応物により形成されている、[7]の3次元立体模型、
[9] 生体の部分の模型である、[1]から[8]のいずれかの3次元立体模型、
[10] 生体の部分が、ヒト内臓である[9]の3次元立体模型、
[11] 被膜が、細胞膜、組織膜、皮膚および粘膜からなる群から選択されるものの模型である、[9]または[10]の3次元立体模型、
[12] 立体物の断層データを得て、立体物の内部構造および内部色彩を推測し、該断層データに基づいて、立体物を造形する、[1]から[11]のいずれかの3次元立体模型の作製方法、
[13] 立体物の内部構造をボクセルデータとして得て、該ボクセルデータに基づく微小立体であって着色した微小立体を積み重ねることにより、立体物を造形する、[12]の方法、
[14] 粉体をバインダーにより凝集固定化させた硬質立体模型を軟質化する方法であって、バインダーを溶解させかつ粉体凝集物に軟性を付与する液体を硬質立体模型に含浸させることを含む軟質化立体模型を作製する方法、
[15] 粉体が石膏粉体またはデンプン粉体である[14]の軟質化立体模型を作製する方法、
[16] バインダーを溶解させかつ粉体凝集物に軟性を付与する液体が寒天溶液またはゼラチン溶液である[14]または[15]の軟質化立体模型を作製する方法、
[17] 硬質立体模型が3Dプリンターにより作製される[14]から[16]のいずれかの軟質化立体模型を作製する方法、
[18] 硬質立体模型が、立体物の断層データを得て、立体物の内部構造および内部色彩を推測し、該断層データに基づいて、立体物を造形することにより作製されたものである、[14]から[17]のいずれかの軟質化立体模型を作製する方法、
[19] 硬質立体模型が、立体物の内部構造をボクセルデータとして得て、該ボクセルデータに基づく微小立体であって着色した微小立体を積み重ねることにより、立体物を造形することにより作製される、[14]から[18]のいずれかの軟質化立体模型を作製する方法、
[20] 硬質立体模型が、立体物の内部構造をボクセルデータとして得て、該ボクセルデータに基づく微小立体であって着色した微小立体を積み重ねることにより立体物を造形することにより作製され、なおかつ一部の微小立体と微小立体の間の接着性と他の部分の微小物体と微小物体の接着性が異なり、この接着性が異なる該部分から内部構造を表す模型部分を分離することができる硬質立体模型を軟質化する、[19]の軟質化立体模型を作製する方法、
[21] 硬質立体模型にバインダーを溶解させかつ粉体凝集物に軟性を付与する液体を含浸させる前に、該硬質立体模型をアルギン酸化合物またはカラギーナンで被覆し、さらにアルギン酸またはカラギーナンのゲル化剤で処理することによって、立体模型表面に被膜を形成させることを含む、[14]から[20]のいずれかの軟質化立体模型を作製する方法、
[22] [14]から[21]のいずれかの方法により作製された軟質化立体模型、
[23] 切り開くことにより内部構造および内部色彩を観察することができる[22]の軟質化立体模型、
[24] 生体の部分の模型である、[23]の軟質化立体模型、
[25] 生体の部分が、ヒト内臓である[24]の軟質化立体模型、ならびに
[26] 被膜が、細胞膜、組織膜、皮膚および粘膜からなる群から選択されるものの模型である、[24]または[25]の軟質化立体模型。
従来の模型は、模型の外観を観察することを目的とし、物体の内部を観察することはできない。本発明は、模型をナイフなどで容易に切断して、内部の構造を観察することを可能とするものである。この模型を用いることにより、医療教育における手術の訓練が可能となり、また患者の患部を正確に再現した模型を用いて、手術計画の立案や手術計画の検証が可能となる。また地質の分野では、地球の地殻などの内部構造を縮小した模型を用いたり、生物の分野では、微生物や細胞の内部構造を拡大した模型を用い、立体構造を直感的に理解することを支援することが可能となる。
本発明は、立体物の外部構造、外部色彩ならびに外部から観察不可能な内部構造および内部色彩を表した3次元立体模型であって、切り開くことにより内部構造および内部色彩を観察することができる軟質素材でできた3次元立体模型である。立体物とは3次元構造を有するあらゆる物を含む。例えば、生物体の全部もしくは部分、微生物、星、山等の地理的構造物等がある。特に本発明では、医学教育等のための生体模型等の提供を目的の一つとするため、生体の部分または生体の全部が望ましい。生体の部分とは、例えば、内臓(腎臓、肝臓、他)、鼻、耳、肢、組織等、生体の一部として認識される部分をいう。外部形状とは視覚や触覚により認識されるその立体物の外観をいい、外部色彩とは立体物に光を当てたときに反射する特定の波長の光であって、視覚あるいは光学的装置により認識される光をいう。本発明でいう模型とは、物体の形状および色彩を模擬し正確に再現した人工物をいう。ここで正確に再現とは、形状に寸分の狂いもなく、あるいは色彩も完全に同一というほどのレベルは意味しておらず、例えばヒトが元となる立体物と模型を見比べたときに酷似している、あるいは良く似ていると認識する程度に形状、色彩が類似していることをいう。類似していると認識されるために、本発明の模型は元となる立体物の3次元構造データに基づいて、構造を再現するように作製されていることが望ましい。なお、形状が似ているというのは、形が似ていることをいい、大きさが同程度であることは意図していない。従って、微小な細菌を大型にした細菌の模型や巨大な地球を小型化した地球の模型も本発明の3次元立体模型に含まれる。切り開くとは、切断することあるいは開口することを意味し、例えば、ナイフや医学用メス等で容易に切り開くことができることをいい、硬質な木や金属を鋸で切断する場合等切るのが容易ではなく、また任意の場所、任意の形状に切るのが困難な場合の切ることは意味しない。例えば皮膚、筋肉、内臓等の実際の生体をメスで切り開くときと同程度の力で切り開くことができることをいう。軟質素材とは、少なくともナイフや医学用メス等で容易に切り開ける程度の柔らかさをもった素材を意味する。軟質素材は、元となる立体物の軟らかさと同程度の軟らかさを有していてもよい。例えば、3次元立体模型が生体模型の場合は、筋肉や内臓と同程度の軟らかさである。軟質素材としては、例えば、石膏やデンプンの粉体を水溶性の接着性の物質で固めた硬質素材に特定の溶液を含浸させることにより軟質化させた素材や粘土等が挙げられる。該溶液は粉体に含浸させる時は液体であり、粉体に染み込ませることができ、含浸させた後は変質や凝固して接着性や弾力性を持つ。
本発明の3次元立体模型は、多数の微小立体を積み重ねることにより成型されたものであってもよい。微小立体とは、極めて小さな立方体、直方体、三角柱、三角錐等をいい、その大きさは限定されないが、例えば、立方体の場合は、一辺1mmから5mm程度である。微小立体と微小立体同士は適当な接着剤で結合させればよい。接着剤は、模型を形成する素材に応じて適宜選択することができる。結合立体物の模型全体を構成する微小立体集合体の一部が、立体物の一部分の模型となり得る。また、微小立体ごとに着色することもでき、元となる立体物の内部の色彩分布に応じて、特定の色で着色された微小立体を適宜積み重ねることにより、立体物の内部構造および内部の色彩を再現することができる。
本発明の3次元模型は切断することにより内部を観察することを目的としているが、本手法は色とは別に、内部に分離しやすい境目を作ることによって、内部構造を表すことが可能である。例えば、ゆで卵は卵白と卵黄が別れやすく、色が異なるだけではなく、卵黄と卵白は別れやすい構造をなしている。本3次元模型は微小立体を積み上げて作るが、その微小立体の間隔(隙間、接着性)を適度に調節することによって、微小立体同士の接着性をコントロールすることができる。この際、微小立体または微小立体の集まりと微小立体または微小立体の集まりの間隔を調節することにより、立体模型の内部の一部分を他の部分と分離しやすい状態にすることができる。
微小立体は相互に粘性のある物質(寒天など、或いは寒天中に石膏粉が分散したもの)で結合しており、微小立体の間隔(隙間、接着性)が小さい場合は接着性が高く、隣接する微小立体は同一の固まりとなるが、微小立体の間隔が大きくなると接着性が弱く、その境で別れやすい(分離しやすい)構造となる。ゆで卵の卵白と卵黄の関係を3次元模型で作る場合は、卵黄の部分の微小立体は小さな間隔で作り、卵白の部分の微小立体も小さな間隔で作る。これによって卵白と卵黄は一続きの一体のものとして作ることができる。卵黄の微小立体と卵白の微小立体の間隔を大きなものとすると、卵黄と卵白は分離されやすいものとなる。このように内部に分離しやすい境界を作ることによって、内部構造を表現することができ、3次元模型を切り開いて観察する場合に、内部が均一で一様な物質ではなく、実物と同様に、分離しやすい境目を持った3次元模型を作ることができる。間隔の大きさは模型の部分と部分の分離しやすさをどの程度に設定するかで適宜設定すればよいが、例えば微小立体が一辺が3mmの立方体の場合は、0.02mmから1mmにすればよい。
この方法により、例えば、ゆで卵の卵黄と卵白、人体の骨と筋肉のようにもともと分離しやすい構造の集合からなる立体模型を作製することができる。また、例えば造形の過程で粉体を任意に変更することができる造形装置を用いることにより、微小立体または微小立体の集まり毎に異なる粉体を用いることもでき、最終的に微小立体または微小立体の集まり毎に軟らかさの異なる模型ができ、人体の骨と筋肉などの軟らかさの異なる構造の集合からなる立体模型を作製することができる。また、微小立方体を積み重ねることによって3次元模型を作成する場合立方体を積み重ねて作ると、表面や境目などを滑らかに作ることができない場合がある。その時は三角柱などを用いて表面を滑らかにすることができる。立体物全体の3次元データにより形成される3次元空間を埋める複数のボクセルデータを得て、該ボクセルデータに従って、微小立体を造形すればよい。例えば、物体の断層データのボクセルデータへの変換は以下のようにして行う。
1. CTやMRIの断層データにおいて、例えばCT値がある範囲を持った部位を同一の組織と判断し、臓器の内部と外部を区別する。
2. 血管に造影剤を注入して撮影した断層データから、血管の部位等を抽出する。
3. 断層データを積み重ね、同一の組織や部位を各層に渡って関連付け、臓器の外形や臓器内の血管などの位置を3次元データとして構築する。
4. 各組織や部位に色を対応させ(動脈は赤、静脈は青、それ以外は灰色など)、内部を着色した立体模型の3次元データを作成する。
5. 同一種類として判断された領域を、同一色で着色した微小立方体を単位とする、多数の立方体に分割する。
また、本発明の立体模型が内臓や器官などの生体模型の場合、膜を模擬した物で模型を被覆することにより実際の内臓や器官が組織膜、粘膜、皮膚、細胞膜などを有する模型を作製することができる。該膜の素材としては模型表面に適用することにより被膜状となる物ならば限定されないが、例えば、アルギン酸化合物やカラギーナンを模型表面に適用した後にゲル化剤で処理することにより形成される膜状化合物がある。ここで、アルギン酸化合物としてアルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム等が挙げられる。また、カラギーナンとしては、κ(Kappa)-カラギーナン、ι-カラギーナン、λ-カラギーナンがあるが、Kappa-カラギーナンが望ましい。ゲル化剤としては、アルギン酸やカラギーナンをゲル化する公知の薬剤ならばいずれを用いてもよい。アルギン酸化合物の場合はカルシウムイオン、マグネシウムイオン等の2価のイオンを用いることができ、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、塩化マグネシウム等の2価のイオンの塩を用いればよい。また、アルギン酸化合物をこれらのゲル化剤を用いて一旦ゲル化した後に、アルミニウムイオンを添加することにより、イオンの交換反応が生じ、ゲルがより硬くなるので、より強固な被膜が形成される。カラギーナンの場合には、カラギーナンの種類により、カリウムイオン等の1価のイオン、カルシウムイオン等の1価のイオン、アンモニウムイオン等の3価のイオンを用いることができる。カラギーナンがKappa-カラギーナンの場合はカリウムイオンが望ましい。この場合もそれぞれのイオンの塩を用いればよく、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム等が挙げられる。Kappa-カラギーナンを模型表面に適用した後に塩化カリウム等のカリウム塩で処理することにより形成される膜状化合物がある。
なお、以下に石膏粉末等の粉末でできた、硬質立体模型を軟質化する方法が記載されるが、本発明の3次元立体モデルは該方法により作製された軟質化立体模型をも含む。
さらに、本発明は、石膏粉末等の粉末でできた硬質立体模型を軟質化する方法である。ここで、硬質模型とは、ナイフや医学用メス等で切り開くのが困難である程度の硬さをもった模型をいう。
硬質立体模型の代表的な材料としては石膏粉末、デンプン、小麦粉粉末が挙げられるが、これらの粉末には限定されず、パルプ粉末、セルロース粉末、砂、金属粉末等、有機物からできた粉末、無機物からできた粉末あらゆる粉末が含まれる。用いる粉末径は数十μm、例えば30〜50μmである。
これらの粉末を材料として、硬質立体模型を作製する方法も限定されず、粉末を特定のバインダーを用いて凝集固定化することにより、立体物を作製する方法ならばいずれの方法も含まれる。例えば、ラピッドプロトタイピングの技術を利用した方法が挙げられる。ここで、バインダーは限定されないが、接着剤や接着性を有するインキ等が含まれる。ラピッドプロトタイピングの技術を利用した立体物作製方法においては、最初に立体物の3次元データを得て電子データ化する。この場合、ヘリカルCTスキャナーやMRIスキャナーで3次元データを得ることができる。また、立体物の断層データをX線断層撮影装置、磁気共鳴断層撮影装置、ポジトロン断層撮影装置、超音波断層撮影装置等の断層撮影が可能な装置で、立体物の断層図を多数得て、それぞれを電子データ化する。すなわち、人体などの3次元物体を測定し、内部構造を表した3次元模型を製作する場合は、3次元物体をCTやMRI等を用いて、3次元物体を輪切りにする断層データを、ある間隔において記録し、3次元物体の内部の様子を3次元データとして記録する。実在しない物体の3次元模型を製作する場合は、断層データを積み重ねた3次元データを直接製作する。3次元データは物体の外形を表すだけではなく、内部の状態も表している。例えばX線CTは内部のX線の吸収率の分布をCT値として記録するが、3次元模型を作成する場合、CT値を特定の色に対応させるようにデータを変換する。このことにより生体模型の場合、筋肉、脂肪、血管等の部分を区別して表すことができる。
本発明の場合、物体の内部構造を再現するので、物体の内部の構造に関するデータが得られる断層データを利用するのが望ましい。該電子データに基づいて、石膏粉末等をバインダーで固定化しながらそれぞれ断層を1層の薄層像として、積層することにより立体物を作製する。ここで、バインダーは粉末の粒子同士を結合させるために用いるものであり、水、糊、接着剤等の物と物を結合させ得るものならばいずれのものを用いることができる。また、物体の雌型を作製し、該雌型内にバインダーと共に前記粉末を入れても所望の形状を有する立体物が得られる。また、粘土、紙粘土も微小な粉末でできており、粘土や紙粘土で物体を造形し、乾燥させると硬化し硬質の模型となる。本発明においては、このように硬化した粘土、紙粘土等でできた立体模型を軟質化する方法も含まれる。本発明の方法が好適に適用できるのは、この中でもラピッドプロトタイピングの技術を利用して作製された硬質の立体模型である。ラピッドプロトタイピングにより立体模型を作製する造形装置は、種々あり限定されない。なお、ラピッドプロトタイピングにより立体模型を作製する造形装置を3Dプリンターということがある。例えば、ZCorporation(米国)の3Dプリンターである Z400(商標)システム、Z406(商標)システム、Z810(商標)システムが挙げられ、本発明の方法により、これらの装置を用いて得られた立体模型を軟質化することができる。造形装置を用いて立体模型を作製する場合、装置に元となる物体の3次元データを入力する。この場合、3次元データとしてはSTL(Stereo Lithography)データ、VRML(Virtual Reality Modeling Language)データ、PLY/ZCPデータ等がある。ここでSTLとは、3次元CADから各種造形装置へデータを渡す際の標準データフォーマットである。STLデータとは,3次元ソリッドデータを微小な三角形平面(ファセット)で近似した多面体モデルのことをいい、STL編集ソフトウェアを使用することにより処理することができる。しかしSTLフォーマットは色を規定することができず、カラーのデータを表現することができない。VRMLとは、インターネット上(ホームページ上)にて,3次元仮想空間を表現するためのフォーマットであり、カラーのデータを表現することができる。PLYとは、ポリゴンデータを取り扱う研究者の間で広く用いられるフォーマットで、カラーのデータを表現することができる。その仕様は広く公開されている(Dr. Greg Turk, http://www.cc.gatech.edu/projects/large_models/ply.html)。ZCPはZCorporationが自社の製品用に製作したフォーマットである。これらのデータを基にして、ZCorprationのシステムは、装置で造形を行うのに必要なスライスデータを作成し、造形に必要な造形位置、積層幅、バインダーの塗布量等を設定する。
また、X線断層撮影装置、磁気共鳴断層撮影装置、ポジトロン断層撮影装置、超音波断層撮影装置等の断層撮影が可能な装置により得られたスライスデータを基にZCorporationの製品を用いて3D模型を作成する場合は、市販のソフトウェア(FreeForm(SensAble Technologies, Inc.)等)を用いて、スライスデータをSTLフォーマットなどに変換し、それをZCorporationの製品に入力する必要がある。ZCorporationの製品で造形するとき、まず、造形用の可動ステージ上に、材料粉末を1層敷く、この際前記スライスデータに基づき、必要な部分にバインダーが適用される。次に造形用のステージを一層の厚み分だけ下降させ、2層目の粉末を敷く、この作業を繰り返すことにより、最終的にバインダーが適用された部分の粉末粒子は互いに凝集し立体物を形成する。この作業を行いながら、あるいは作業終了後に固定化していない粉末を除去することにより、所望の立体形状をもつ立体模型を作製することができる。
微小立体を積み重ねて3D模型を作る場合、微小立体の間隔を調節することにより、微小立体相互の接着性を調節することができるが、この微小立体の間にある粉末は除去することができない。しかしこの除去できない粉末は、寒天溶液などを含浸させると溶液と混合(まじり)し、微小立体を相互に接続することとなる。そのため微小立体の間隔にある粉末を除去できないことが、軟質模型を作成する妨げになるものではない。
ZCorporationの装置を用いての立体物の造形は、装置に付属の取り扱い説明書およびデータ変換用ソフトウェアを用いることにより容易に行うことができる。
また、一般的にラピッドプロトタイピング等による造形に用いる造形装置は、物体の外観を再現することのみを目的としているため、着色する場合も最終的に得られた模型の表面に着色するのみである。このため、従来の方法では、物体の内部の構造や色彩は再現できない。本発明は、立体模型において物体の内部の構造や色彩を再現する方法をも包含する。このためには、造形装置を用いて立体模型を作製する際に、物体を微小立体(立方体、直方体、三角柱、三角錐等)の積み重ねと把握し、微小立体を積み重ねるようにして立体模型を作製し、微小立体ごとにインク等の適当な着色剤で着色すればよい。この際、着色剤が微小立体に染み込むので微小立体全体が着色される。
例えば、物体の断層データのボクセルデータへの変換は、1つの断層データを構成する1個のデータまたはN個×N個を底面として、断層データの間隔を高さとする立方体を1個のボクセルとして、多数の立方体のデータに基づいて造形装置を用いて立体物を造形する。
このようにして得られた硬質模型を軟質化するには、硬質模型に軟質化用溶液を含浸させる。軟質化用溶液としては、寒天溶液、ゼラチン溶液等が挙げられる。ゼラチンは、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチンいずれも用い得る。また、その由来も限定されずウシ、ブタ等の哺乳類、魚いずれを由来とするゼラチンを用いることができる。寒天は海藻から抽出されたアガロースを主成分とする物質であり、例えばテングサ、オゴノリ等の紅藻から抽出したものを用いればよく、市販のものを用いることができる。また、寒天の主成分であるアガロースを用いてもよい。これらの溶液を含浸させることにより、模型を固定化しているバインダーが溶解し、粉体同士の結合力が弱まり模型の硬さが失われ、なおかつ軟質化用溶液自体の粘性により、粉体は離散崩壊することなく凝集状態を保つので、元の立体形状を保ちつつ、軟質化した模型を得ることができる。すなわち、軟質化溶液は、バインダーを溶解させかつ粉体凝集物に軟性を付与する液体である。なお、硬質模型は粉体を凝集固定化させたものであるため、溶液(水)を過剰に吸収すると粉体を固定化しているバインダーが溶解し、模型が崩れやすくなる。従って、上記軟質化用溶液を含浸させる前に、模型に過剰の溶液(水分)が吸収されるのを防ぐために、あるいは、模型の表面を被覆し粉体が溶液によって分散しないように、被覆用化合物で模型を被覆しておくのが望ましい。模型の被覆用化合物として、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、デンプン糊等が用いられる。
軟質化を行うには、まず硬質模型を上記被覆用化合物で被覆する。被覆は、例えば、硬質模型を被覆用化合物溶液中に浸すことにより行うことができる。この際の、被覆用化合物濃度は、限定されないが、例えばアルギン酸の場合は2%であり、膜の厚さ、膜の堅さによって調節が可能である。また、被覆のために浸す時間は、限定されないが、一旦溶液中に模型全体を沈め、すぐ溶液中から出す程度の時間でもよく、また数秒から数分浸しておいてもよい。さらに、模型を浸さずに模型表面に被覆用溶液を塗布してもよい。また、被覆用溶液がアルギン酸、アルギン酸ナトリウム、カラギーナンである場合は、模型を被覆した後に、模型をゲル化剤に浸すことにより、模型表面のアルギン酸およびカラギーナンが寒天状にゲル化し、模型表面に膜を形成する。この場合のゲル化剤は上述のものを用いることができ、その濃度は限定されないが、例えばゲル化剤が塩化カルシウム溶液または塩化カリウム溶液の場合、1%〜10%、好ましくは3%〜7%である。また、模型を浸す時間は限定されないが、1分〜60分、好ましくは5分〜30分、さらに好ましくは10分〜20分である。
このようにして、被覆した模型に上記軟質化用溶液を含浸させる。含浸は、模型を軟質化溶液中に浸すことにより行えばよい。浸す時間は限定されず、経時的に軟らかさを測定し、所望の柔らかさに達した時点、あるいは、模型の内部すべてに軟質化用溶液が行き渡る時点で模型を取り出せばよい。なお、寒天溶液やゼラチン溶液等溶液の粘性が高い場合は、模型に含浸しにくいので、適宜圧力をかけて含浸させる。例えば、加圧容器に溶液ごと入れて加圧および減圧を繰り返すことにより、模型内部全体に含浸させることができる。例えば、軟質化溶液が沸騰する直前まで減圧し、その直後に数気圧で加圧するという操作を数回繰り返せばよい。また、軟質化用溶液が寒天溶液の場合は、低温では凝固してしまうため、50〜100℃に加熱しておく必要がある。また、軟質化溶液がゼラチン溶液の場合は、40℃以上に加熱しておく必要がある。
被覆用溶液で覆わない場合は、硬質模型を直接軟質化用溶液に含浸させればよい。
上記被覆は、模型表面をある程度の硬さをもって膜状に覆うため、該被覆を用いることにより、被膜を有する模型を作製することができる。例えば、細胞の模型の場合、該被膜は細胞膜を模擬し、臓器の模型の場合、該被膜は組織膜を模擬し、人体の模型の場合、該被膜は皮膚や粘膜を模擬する。
本発明の3次元軟質模型は、模型内部を観察するためにナイフ等を用いて任意の部分を容易に切断することが可能である。この際、切断面を任意な形状の曲面とすることもできる。本発明の3次元模型は、例えば医学実習のための生体模型、手術の手技訓練のための臓器模型等の生体模型、物の内部構造を理解したり教えたりするための教育用模型等に用いることができる。例えば、地球の内部構造を再現した縮小地球模型、細胞の細胞内小器官等の内部構造を再現した拡大細胞模型等として利用することができる。さらに、博物館等における展示用模型としても利用することができる。
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
〔実施例1〕 ラピッドプロトタイピングによる立体模型の作製
1. 3次元データの作成
ヒトの、腎臓を含む腹部をX線CT装置を用いて断層撮影し、全体の構造を3次元データとして記録した。該3次元データは医療向け画像の標準規格であるDICOM (ダ イコム:Digital Imaging and COmmunication in Medicine )フォーマットによって記録されていたので、一般のパーソナルコンピュータを用いてデータの加工が容易に行えるように、DICOMフォーマットをBMPフォーマット(マイクロソフト社等のOSで広く用いられる画像用フォーマット)に変換するソフトを作成し、BMPフォーマットに変換した。各BMPフォーマットのデータは画像として表示および加工することができ、腹部の断層画像を目視によって確認することができる。X線CT装置によって記録される1組の3次元データは多数の断層データによって構成されているので、該3次元データは多数のBMPフォーマットの画像ファイルに変換された。この1組の画像には腹部の広範囲の部分が記録されており、腎臓が写っていない部分もあるので、多数の断層データから腎臓が写っている断層データを抽出した。次に、抽出した各断層データについて、腎臓の輪郭を目視によって抽出し、腎臓のデータを切り出した。上記の作業により、各断層データには腎臓だけが記録された一組の断層データを作成した。この際、CT値を特定の色に対応させた。
また、硬質の石膏模型を軟質の模型に変換したときに、内部の色の分布や色の形状などがどのように変化するかを観察して評価するために、特殊な内部構造を有する幾何学的な立体物を設計し、該設計図から直接3次元データを構築し、記録した。
2. 断層データのボクセルデータへの変換
断層データを構成する1枚の画像の1画素(画像の最小単位、ピクセル)、またはN個×M個の長方形の画素の集まりを底面として、断層データの間隔を高さとする立方体を1個のボクセルとして、1枚の断層データを多数の立方体(ボクセル)が平面上に並んだデータに変換した。この時、1枚の画像において、3次元模型の輪郭の外側に対応する画素については、立方体を作成しないこととした。この操作を多数の断層データに対して行い、3次元模型を表す立方体の集合(ボクセルデータ)を作った。
尚、この操作はコンピュータを使い、数値の操作によって行った。また、計算によって求めたボクセルデータはVRMLフォーマットを用いて微小立体を積み上げる形式で表したり、PLYフォーマットの場合は、一つの長方体(6面体)を12枚の三角形(1つの長方形は2つの三角形)によって表し、多数の微小立体を積み上げるようにしてボクセルデータを表した。
3. 微小立体からなる3次元模型の作製
上記2で得られた微小立体のボクセルデータを、3次元カラープリンター Z406(Z Corporation製、米国)に入力し、入力データに従って、3次元模型を作製した。この際、材料としては石膏粉末(Z Corporation社、ZP102Powder)を用いた。また、バインダーとして、Z Corporation社製のZB56 Clear Binder(無色)、ZB56 Color Binder Cyan(シアン)、ZB56 Color Binder Yellow(イエロー)、ZB56 Color Binder Magenta(マゼンダ)の4種類を用いた。
また、Z406には平面を着色する機能はあるが、立体の内部を着色する機能がない。そこで、微小立方体の内部は次の方法によって着色した。微小立方体の6面を同じ色で着色すると、微小立方体の内部にも色が染み込み、内部が均一の色に成る。この特性を利用して、微小立方体に着色したい色を、微小立方体を構成する平面に着色し、微小立方体の内部も着色した。ただ、微小立方体の一辺が4mm以上の場合は立方体の中心部に着色剤が行き渡らず、石膏粉が着色されずに白い部分が残ったので、微小立方体の一辺は2または3mm以下になるように、2.で述べたボクセルデータを作成した。
造形は、Z406のマニュアルに従って行った。
図1に、作製した硬質模型の写真を示す。該硬質模型の大きさは、5cm×5cm×5cmである。該模型を構成する微小立方体の大きさは、2mm×2mm×2mmである。図に示すように、内部も着色してある。図中、白く見える部分は、白、灰色に見える部分は赤、緑、または青に着色してある。本模型は内部構造が見えるように切断してあるが、硬質モデルであるため鋸で切断した。
図2に、人体の腎臓の断層データから作製した模型を示す。大きさは高さ7cmで最も太い部分の直径が12cmである。該模型を構成する微小立方体の大きさは、3mm×3mm×5mmである。図中、白く見える部分は白に、灰色に見える部分は赤に着色してある。図3は、図2に示す模型を鋸で切断したものである。図に示すように内部構造が観察できる。
〔実施例2〕 硬質3次元モデルの軟素材化
実施例1とは、異なる設計の幾何学的構造を有する模型を実施例1と同様の方法で作製した。作製した模型の形状は図4〜図10に示した通りである。図4の模型の大きさは、5cm×5cm×6cm、図7の模型の大きさは4cm×4cm×4cm、図10の模型の大きさは4cm×4cm×4cm、図9(図10)の模型の大きさは三角形の一番長い辺の長さが5cmであった。
これらの硬質模型を以下のようにして軟質化した。
容器(容量1リットルのガラス製のビーカー)に2%(w/v)のアルギン酸ナトリウム溶液を入れ、該溶液中に硬質模型全体を沈め、5秒おき模型表面をアルギン酸ナトリウム溶液で被覆した。模型を溶液から出し、同サイズの容器に入れた5%の塩化カルシウム溶液に30秒から15分間浸し、模型表面のアルギン酸ナトリウムを膜状に固化した。アルギン酸ナトリウムを乾燥させた後、あるいは乾燥する前に、同サイズの容器に入れた寒天溶液(濃度は、寒天の販売時に指示される条件からその1〜3倍)に入れた。この際、寒天溶液は寒天が完全に溶けるまで、約80〜100℃に加熱しておいた。石膏模型と寒天溶液が入った容器毎、加圧ポンプと減圧ポンプを連結した圧力容器に入れ、減圧した。この際、寒天溶液を観察し、寒天溶液中に泡が発生し寒天溶液が沸騰する直前に減圧を停止し、直ちに5気圧まで加圧した。加圧後直ぐに再び寒天溶液が沸騰する直前まで減圧した。減圧と加圧を4から5回繰り返すことにより、硬質模型に寒天溶液を含浸させた。その後、寒天が冷却し凝固するまで、加圧の状態を保った。容器の中の寒天溶液が冷えて固まった頃に、石膏模型を容器から取り出し、模型の周りに付着した寒天を除去し、場合によっては、水洗いによって周辺に付着した寒天を除去した。その後、必要に応じナイフで切断した。軟質化する前の硬質モデルはナイフで、任意の場所で切断することはできず、切断する場合は、鋸を用いて直線的に切断する必要があった。しかし、軟質化した模型はナイフで任意の場所、任意の形状に切断することができた。
図4は、軟質化した石膏模型の写真を示す。図5および図6は、ナイフで切断した該軟質化模型の写真を示す。該模型は白、赤、青および緑に着色されている。該モデルは任意の部分で切断しても、断面に内部構造が反映されている。図7は、連続的に色を変化させた模型を軟質化したものの写真を示し、図8は、該模型をナイフで切断したものの写真を示す。外部と同様に、内部も連続的に色が変化している。図9は、ナイフで切断した軟質化した模型を示す。図10は、ナイフで切断した軟素材化模型の写真を示す。該模型は模型の青、緑および黄色に着色されている。図に示すように、内部に筋状の割れ目があり、該模型はこの部分で分離することができる。
3Dプリンターで作製した、硬質石膏模型の切断写真である。 3Dプリンターで作製した、硬質石膏模型の写真である。 3Dプリンターで作製した、硬質石膏模型の切断写真である。 軟質化した石膏模型の写真である。 軟質化した石膏模型の断面写真である。 軟質化した石膏模型の断面写真である。 軟質化した石膏模型の写真である。 軟質化した石膏模型の断面写真である。 軟質化した石膏模型の断面写真である。 内部に容易に分離可能な面を有する軟質化した石膏模型の断面写真である。

Claims (10)

  1. 断層撮影が可能な装置により立体物の内部構造および内部色彩の断層データを得る工程、
    コンピューター上のデータ変換ソフトウェアにより、該断層データに基づいて、立体物の内部構造を表すボクセルデータに変換し、得られたボクセルデータを3次元カラープリンターに入力する工程、および
    3次元カラープリンターにより、該ボクセルデータに基づいて粉体をバインダーを用いて凝集固定化し、辺の長さが1〜5mmの微小立体をそれぞれ立体物の対応する内部色彩に着色して作製し、該微小立体を積み重ねバインダーで接着する工程、
    を含む立体物の模型を造形する方法であって、微小立体の作製および微小立体の積み重ねが、粉体を積層することにより3D模型を製造するラピッドプロトタイピング手法により行われ、微小立体を積み重ねる際の微小立体の間隔を3次元カラープリンターにより調節することにより、微小立体相互の接着性を調節し、模型内部に分離しやすい境目を有する立体物の模型を造形する方法。
  2. 粉体が石膏粉末、デンプン粉末または小麦粉である請求項1記載の立体物の模型を造形する方法。
  3. 立体物の模型が生体の部分の模型である請求項1または2に記載の方法。
  4. 生体の部分が、ヒト内臓である請求項記載の方法。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の方法により得られた、複数の微小立体から構成され、立体物の外部構造および外部色彩ならびに外部から観察不可能な内部構造および内部色彩を表した3次元立体模型であって、切り開くことにより内部構造および内部色彩を観察することができる立体模型。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の方法により得られた、複数の微小立体から構成され、立体物の外部構造および外部色彩ならびに外部から観察不可能な内部構造および内部色彩を表した3次元立体模型であって、切り開くことにより内部構造および内部色彩を観察することができる立体模型を、軟質化し軟質化立体模型を作製する方法であって、バインダーを溶解させかつ粉体凝集物に軟性を付与する液体を硬質立体模型に含浸させることを含む軟質化立体模型を作製する方法。
  7. バインダーを溶解させかつ粉体凝集物に軟性を付与する液体が寒天溶液またはゼラチン溶液である請求項に記載の軟質化立体模型を作製する方法。
  8. 硬質立体模型にバインダーを溶解させかつ粉体凝集物に軟性を付与する液体を含浸させる前に、該硬質立体模型をアルギン酸ナトリウムまたはKappa-カラギン酸で被覆し、さらにアルギン酸ナトリウムの場合は塩化カルシウムで、Kappa-カラギン酸の場合は塩化カリウムで処理することによって、立体模型表面に被膜を形成させることを含む、請求項記載の軟質化立体模型を作製する方法。
  9. 被膜が、細胞膜、組織膜、皮膚および粘膜からなる群から選択されるものの模型である、請求項記載の方法。
  10. 請求項6〜9のいずれか1項に記載の方法により作製された軟質化立体模型。
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