JP3746739B2 - 電子カメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被写体像を複数に分割して撮影し、それら画像を再構成する広範囲撮影に好適な電子カメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、光センサがマトリックス状に配列されたCCD等の固体撮像素子を利用した電子カメラがある。このような撮像素子は、光センサを形成する製造技術上の問題や歩留まりの低下等により、光センサを並べる数には限界があった。そのため、広範囲の画像を得るために、例えば特開昭63−191483号公報に記載されるように、光学系の制御により、撮像素子面に投影される撮影範囲を切換えて、被写体像を分割して撮影し、その後に画像を再構成することによって広範囲を高い分解能で撮影する技術が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述した電子カメラにより被写体像を分割撮影した画像の再構成において、分割撮影される各画像が隣接部分で連続して繋がるように撮影するためには光学系の制御を非常に高い精度で行う必要があり、そのために光学系の制御装置が複雑になったり、高コストになる等の問題があった。
【0004】
また、分割撮影のカメラを手持ちで撮影すると、そのカメラを移動させると各画像の撮影範囲がずれ、正確に繋がらない場合があり、三脚等でカメラを固定して撮影する必要があるという問題もあった。
そこで本発明は、分割撮影した複数の画像をそれらの相関をもとに最も適切に画像が繋がる位置に移動して画像を再構成する電子カメラを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、被写体像を分割して順次取り込んだ複数の画像の再構成を行なう電子カメラであって、被写体像を光電変換する撮像素子からなる撮像手段と、前記撮像手段で前回撮像した画像と、撮像部を移動しながら順次撮像される現在の画像を表示する画像表示手段と、前記前回撮像した画像と前記現在の画像の相関演算を行う相関演算手段と、前記前回撮像した画像と前記現在の画像の相関の強さに関する情報を表示する相関度表示手段とを有する電子カメラを提供する。
以上のような構成の本発明の電子カメラは、分割撮影を行う際に、隣接する画像間で撮影範囲の一部が重なる部分を持たせて撮影される。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1には、本発明による第1の実施形態としての電子カメラの構成を示し説明する。この電子カメラは、大別すると被写体の撮影を行なう撮影部Aと、所定メモリに撮影画像の記憶を行なう記録部Bとで構成され、前記撮影部Aと記録部Bとの間を画像信号が光信号により空中伝送されるものである。
【0007】
この電子カメラにおいて、被写体1が撮影レンズ系2及び鏡3aを介して、CCD等からなる撮像素子4上に結像される。前記鏡3aの一端には回転軸3bが設けられ、図示されない回転駆動装置より、この軸を中心にして回転する。そして撮影の際には、被写体像の取込みが間欠的に複数回行なわれる。この期間中、前記鏡3aが回転しており、撮影範囲が被写体上を移動して、図3及び図4に示すように広い範囲が撮影される。
【0008】
この撮影で、連続して2回の撮影で取込まれる画像の範囲は、前画像の一部に現画像の一部が重なるように、撮影の時間間隔と鏡3aの位置を制御する。撮影範囲の調節を手動で行うことによって、前記回転機構部をなくした構成も可能である。
【0009】
前記CCD撮像素子4から出力される画像信号は、A/Dコンバータ5でディジタル化される。この実施形態では、画像データを空中伝送するため、情報量を少なくする必要があり、続く2値化回路6によって画像信号を2値化し、さらにデータ圧縮回路7によりデータ圧縮を行う。この画像信号の2値化には、公知の2値化手法を用いることができるが、特に「電子通信学会誌 90/8 Vo1.J 73-D-II No.8 :馬場口 登他3名」において提案された新しい2値化手法を用いれば良好な画質を得ることができる。
【0010】
このような2値化及びデータ圧縮により記録部Bへ伝送するデータ量を大幅に減らすことができ、伝送にかかる時間を短縮することができる。しかし外光の影響などによって、伝送エラーが発生する恐れがあるため、圧縮された画像データには、リードソロモン法等の手法を用いて、エラー訂正用符号付加回路8により、エラー訂正用の符号が付加され、変調回路9により、伝送用に変調される。ここで、変調された画像信号は、LEDドライバ10に送られ、LED11によって、光として送信される。
【0011】
前記撮影部Aが送信した光信号12は、記録部Bの受光ダイオード13によって再び電気信号に変換され、復調回路14で復調される。
また伝送中に発生したエラーをエラー訂正回路15により、前述したエラー訂正用符号を参照して訂正し、圧縮データ復号回路16により圧縮されていたデータを復号する。ここで復号された画像データは、フレームメモリA17に一時的に記憶される。
【0012】
本実施形態では、広範囲の撮影を行うために間欠的に複数回の撮影を行っているため、その間の手ぶれ等の影響があり各回の撮影による画像を単純に繋げても高品質な画像を再構成することはできない。そこで、ぶれ補正回路18を用いて、画像のぶれを補正し、フレームメモリB19に改めて記憶される。前記ぶれ補正回路18の詳細については後述する。
【0013】
しかし第1フレーム(最初に撮影された画像)の画像データだけは、ぶれ補正されず、前記フレームメモリB19の端に詰めて記憶される。第2フレーム以降の画像データは、ぶれ補正回路18により、前記フレームメモリB19に記憶された第1フレームの画像と画像がつながる位置に移動されて記憶される。
【0014】
ここで、複数回の撮影で重なった範囲は、各回の撮影の画像信号の平均値を記録するようにすれば、ノイズの低減された高品質の画像を得ることができる。
【0015】
前記フレームメモリB19に記録された画像は、例えば、D/A変換コンバータ20により、アナログ変換してCRTモニタ21に表示する、またはプリンタ22に送ってハードコピーを作る等の利用が考えられる。また、画像データと共に撮影部から撮影状況に関する情報も伝送するようにし、それらをファイリング装置23に入力することによって撮影画像のデータベースを構築することもできる。
【0016】
次に図2に、前述したぶれ補正回路の具体的な構成を示し説明する。ここでは、第Nフレームの画像のぶれ補正することを例とする。
前記ぶれ補正回路は、大別して2つの構成部から構成される。一方は隣接する2つの画像から像の移動量を求める移動量計算部18aであり、他方は隣接画像の一方を平行、回転移動することによって、もうひとつの画像を正確につながる位置に変換する画像移動部18bである。
【0017】
図4に示すように撮影範囲はぶれを伴いながら被写体上を移動し順次撮影を行っていく。撮影された画像を連続して見ると、像は移動していくように見えるため隣接する2画像間のずれは動きベクトルで表すことができる。ぶれにより回転成分を含んでいるため一般に動きベクトルは画像上の各位置でそれぞれ異なる値となる。
【0018】
前記移動量計算部18aについて説明する。
前記移動量計算部18aは、隣接する2画像で同一の被写体が写ってる範囲の中の異なる複数の部分で動きベクトルを求めることで画像の平行移動量と回転移動量を求める。これらの情報を用いて、前記画像変換部18bが隣接する2画像の相対的な位置を補正し、2画像を正確につなげることができる。
【0019】
まずフレームメモリA17に記憶されていた第(N−1)フレームの画像データの一部を基準画像として基準画像メモリ32に記憶する。この画像の大きさは任意であるが、ここでは16画素×16画素とする。
第(N−1)フレームの画像と第Nフレームの画像との位置関係を調べるには両画像間の相関を使う。すなわち、第(N−1)フレームの画像の一部である基準画像(基準画像メモリに保持されている)と第Nフレームの画像の一部から取り出した比較画像の相関を調べる。ここで前記比較画像は、基準画像を第(N−1)フレーム内から取り出した位置に対応する第Nフレーム画像内の位置から取り出し、その大きさは基準画像よりも大きいものとする。
【0020】
図5に示すように、前記比較画像に対する基準画像の位置を変化させながら、各位置での両画像間の相関を求める。前記相関は、重ねた両画像の対応する画素同士の画素信号の差の絶対値を、基準画像の全ての画素について合計して求められる。
そして、前記比較画像内で基準画像を移動させて、各位置での相関を求めて、相関の計算値が最も小さくなる両画像の相対位置を見つける。この相対位置をベクトルと見なしたものが両画像間における動きベクトルとなる。
【0021】
前記基準画像と前記比較画像の相対位置を変化させるのは、重ね合わせ位置制御回路40が制御し、基準画像の全画素に対応する差分の絶対値の合計の計算の制御を合計制御回路41が行なっている。
前記重ね合わせ位置制御回路40の出力する信号と、前記合計制御回路41の出力する信号が、画素位置計算回路33に入力され、前記フレームメモリA17に記憶されている第Nフレームの1画素を指定し、差分計算回路34の一方の入力端に入力する。
【0022】
また、前記合計制御回路41の出力する信号によって、前記基準画像メモリ32に記憶されている第(N−1)フレームの画像の1画素が指定され、差分計算回路34の他方の入力端に入力される。
前記差分計算回路34の出力は、絶対値計算回路35により、絶対値が計算される。さらに前記合計制御回路41の制御により、前記基準画像メモリ32の16×16画素に対する256回分の絶対値が合計用メモリ37に合計される。この合計値が、この重ね合わせ位置における第(N−1)フレームと第Nフレームとの相関を表す信号と成る。
【0023】
前記基準画像と前記比較画像を重ね合わせる位置は、前記重ね合わせ位置制御回路40の制御により順次移動し、それぞれの位置での相関が計算され、最小値検出回路38によって、相関信号の最も小さくなる位置が求められる。この位置については、本出願人が出願した特願平4−96405号に記載されているように、相関値の補間演算を行うことにより、より精度をよく求めることができる。第(N−1)フレームとの位置の差が動きベクトルとしてΔxΔyΔθ計算回路39に伝えられる。
【0024】
図5に示すように、基準画像が相対位置(−x、−y)にあるときに最も相関が高く(相関の計算値が小さく)なったとすると、動きベクトルvは(x、y)となる。動きベクトルは図示しないメモリに累積され、第1フレームに対する第Nフレームの動きベクトル(相対位置)を求める。この動きベクトルは第Nフレーム内の任意の少なくとも2点において求められ、それぞれΔxΔyΔθ計算回路39に入力される。ここでは、2点a、bにおいて動きベクトルを求めることにし、それぞれの点での動きベクトルをv1(x1、y1)、v2(x2、y2)とする。
【0025】
前記ΔxΔyΔθ計算回路39は、ベクトルv1、v2からフレームメモリA17に記憶されている第Nフレームの画像をフレームメモリB19に書き込む際の位置を平行移動量(Δx、Δy)と反時計回り方向の回転移動量Δθとして求める。この計算方法を図6(a)及び(b)に基づいて説明する。図6(a)に示すように、動きベクトルは平行移動に係るベクトルSと回転移動に係るベクトルrとの合成ベクトルと考えることができる。
【0026】
すなわち、
ベクトルv1=S+r
ベクトルv2=S−r
従って、ベクトルS、rは、
ベクトルS=(v1+v2)/2
ベクトルr=(v1−v2)/2
により求めることができる。ベクトルSの成分が、すなわち、Δx及びΔyとなる。また、Δθは図6(b)に示す関係から分かるように、(近似的に)
Δθ=arctan(|v1−v2|/d)
で求めることができる。
【0027】
これらの移動量の計算は、2点a、bに限らずもっと多くの点における動きベクトルを用いて計算することにより、計算の精度を高めることもできる。
次に平行移動量Δx、Δy、及び回転移動量Δθは、画像移動回路18bに入力される。前記画像移動回路18bは、フレームメモリA17にある第Nフレームの画像を回転移動及び平行移動して、図7に示されるように、フレームメモリB19に書き込む。ここで回転移動の中心位置は、2点a、bの中点にすればよい。3点以上の点について動きベクトルを求めて計算した場合には、それらの点の位置に応じて適切に回転中心を決めるとよい。
【0028】
なお、各画素の位置は離散的であるため、回転移動および平行移動した第Nフレームの画像の画素位置とフレームメモリB19の画素位置は、一般的には一致しない。従って、前記フレームメモリB19に書き込む画像信号は、最も近い位置に移動された第Nフレーム画像の画素の信号を用いるか、近傍の数画素の補間によって書き込む画素位置に対応する信号値を推定して用いてもよい。(補間を行なう方が良好な画質が期待できる。)
また、前記フレームメモリB19に画像を書き込む際に、既に撮影画像が書き込まれている画素については既に書き込まれている信号値と新たに書き込む信号値とを所定の割合で合成した値を書き込むことによって画像に含まれるノイズ成分を低減し、画質を高めることができる。合成の割合の最適値は1つの画素に何回の書き込みが行なわれるか等によって異なるため、その都度異なっている。
【0029】
以上のことから、本発明の第1の実施形態においては、分割撮影の撮影範囲の設定は、ラフに行うことができるため撮影範囲切換えのための光学系の制御はポリゴンミラーなどの簡単なもので十分である。また、手ぶれなどの影響も補正できるため手持ち撮影もできるようになるという効果もある。
【0030】
図8は、この第1の実施形態による電子カメラの使用状態を説明するための図である。前記第1の実施形態によれば、手ぶれなどの影響も補正できるため、この図8に示すように、手持ち撮影が可能になる。また、この図8に示すように、前記撮影部Aと前記記録部Bを分離し、赤外線、電波等によりコードレスに信号を送受することにより、撮影部Aの小型化、軽量化を図る共に、撮影の際の操作性の向上を図ることができる。
【0031】
次に図9に、本発明による第2の実施形態としての電子カメラの撮影部の構成を示し説明する。ここで、図9には本の実施形態の特徴部分のみを示し、この特徴部分以外は、第1の実施形態と同じ構成である。
この第2の実施形態は、画像のぶれを検出するために、ぶれ補正専用の光学系を設けている。
【0032】
まず被写体65は、レンズ系66、変位発生部としての鏡67a、及びハーフミラー68を介して、記録画像撮影用撮像素子69上に結像される。この撮像素子69は、ラインセンサで構成される。この像はCRT表示やプリントアウトなどに用いられる。また、被写体像は、前記ハーフミラー68を透過し、拡大光学系70で拡大され、ぶれ検出用撮像素子71上にも結像される。この画像は、画像のぶれ検出に用いられる。
【0033】
この第2の実施形態では、前記ぶれ検出用撮像素子71上の画像は、拡大光学系70によって拡大されているため、動きベクトルの検出を高分解能で行なうことができる。従って、画像の再構成の際に行う移動量Δx、Δy、Δθの計算を第1の実施形態に比べて高精度で行なうことができ、再構成画像の画質がさらに改善される。また、撮影用撮像素子69としてラインセンサを用いれば、高速度の読出しが可能になり、より高画素数の撮像を行うことができる。
以上説明した第1,第2の実施形態では、連続して撮像される画像の相関により、画像間のずれ量の検出を行っていた。しかしながら、コントラストの少ない画像においては、相関演算の誤差が大きくなってしまう。
【0034】
そこで第3の実施形態として、相関演算の精度を向上させる例について説明する。図10(a)に示すように、撮像する被写体(例えば、黒板等)の上下に相関性の高い被写体を設ける。ここで、相関性の高い被写体とは、帯域が広い被写体であり、例えば、2次元チャープ波や、乱数等により生成されたランダムドットパターンや、ホワイトノイズを増幅したようなパターン、ポイント像などである。ただし、いずれもナイキスト周波数より小さな帯域とする。または、図10(b)に示すように、被写体に文字や線を書き込んでおく。
そして、相関演算のための基準画像をこのドットパターン付近から選択するようにすることにより、相関精度を大幅に向上させることができる。
【0035】
次に第4の実施形態として、前述した第3の実施形態のように被写体には相関性の高いパターンを設けられない場合の相関演算の精度を向上させる例について説明する。 第4の実施形態は、図1の構成とほぼ同等であり、図2に示したぶれ補正回路18に相関エリア選択回路を追加して、相関性の高いエリアを選び出すことができるものである。図11には、そのぶれ補正回路の特徴部分のみを示し説明する。
【0036】
まず、フレームメモリA17からの画像データは、移動量計算回路18a、画像移動回路18b及び相関エリア選択回路18cにそれぞれ入力する。前記相関エリア選択回路18cは、入力した画像データの中から相関性の高いエリアを選択し、後述する基準画像を移動量計算回路18aに出力する。
【0037】
前記移動量計算回路18aは、基準画像に対応して、2つの画像から像の移動量を求める。そして、求められた移動量は、画像移動回路18bにより、画像の一方を平行、回転移動することによって、もうひとつは画像を正確につながる位置に変換される。
【0038】
前記相関エリア選択回路18cの具体的な構成を図12に示す。画像データは、候補画像選択回路42に入力される。この候補画像選択回路42では、例えば図13に示す(a1,b1)〜(an,bn)までのn候補の候補画像の中から、前記画像データに基づき、候補画像を選択し、分散検出回路43,44により、各候補の画像ai,biの分散値σai,σbiを検出する。
【0039】
そして、これらの分散値の和σiを最大値検出回路45に送り、前記和σiを最も大きくするiをimaxとして、出力する。次に、相関エリア読出し回路46は、前記最大値検出回路45からのimaxに対応した基準画像ai max及びbi maxを読出し、前記移動量計算部18aに出力する。
従って、分散値が高い、すなわち、画像のコントラストが高いことにより、良好な相関結果が得られる。
【0040】
前記分散検出回路43,44は、他にも種々の変形例が考えられ、例えば、ハイパスフィルタやバンドパスフィルタでもよく、また図14に示すような係数に設定されたコンボリーションフィルタを用いることもできる。さらに、図15に示すような構成により、隣接する画素間の差分の絶対値和を利用することも考えられる。
【0041】
ところで、高精細画像や広範囲の画像を撮像するために複数の撮像素子を用いることがあるが、この場合、装置を構成する部材において、部材間の相対位置を基準としている機構においては、外部からの熱、或いは自己の発する熱により、部材が伸縮し、部材間の相対位置が変化することを避けなければならない。そこで、このような相対位置を保持させる部材には、熱膨張係数の小さい材料を用いて、複数の部材の相互位置関係の温度による変化が生じないようにすることが一般に行われている。しかし、このような熱膨張係数の小さい特殊な材料を用いることは、高コスト化、加工の困難さを招くことになり好ましくない。そこで、熱膨張係数の小さな特殊な材料を用いること無く、一般的な材料を用いて、熱による伸縮で部材間の相対位置が変化するのを防止することを検討した例について、以下、説明する。図16には、撮像部において、前記相対位置の変化を防止した構成の一例を示す図である。
【0042】
すなわち取付け台81上に一方の端部には、取込んだ画像を2分割するビーム・スプリッタ82が保持部材83によって固定される。そのビーム・スプリッタ82から送り出される画像を光電変換するように、CCD等の撮像素子84aが取付けられたL字形の保持部材85及び、撮像素子84bが取付けられた保持部材86が前記取付け台81上に固定される。前記撮像素子は、取込んだ画像を2分割するためのビーム・スプリッタの半透鏡に対して、共役関係を保つように配置されている。
【0043】
また前記取付け台81の他方の端部には、光学系87が設けられ、前記ビーム・スプリッタ82の間に回転フィルタ88が介在するように設けられている。
【0044】
このような配置において、前記ビーム・スプリッタ82の半透鏡からのそれぞれの撮像素子までの距離m,nが等しい距離にある。すなわち、前記取付け台81を基準に考えると、前記各撮像素子は、各保持部材により取付けられていており、保持部材85の固定端から撮像面までの距離q、保持部材86の固定ねじの遊び幅p(p<q)となる。
【0045】
それぞれの部材の材質を決定する場合に、一般的には、熱の膨張を考慮して熱膨張係数の極力小さい材質を選択する。それによって、温度変化による複数の撮像面同志の相対位置のズレを防いでいる。しかし、そのような材質は高価であり、加工性も大変悪いと云う欠点を有しているので、それらの材質は避けたい。一般的な材質の熱膨張係数は、大きいものから小さいもの迄多岐に及んでいる。本実施形態は、熱膨張係数の大きい材質も積極的に採用し、結果的に低コストで実現しようとするものである。
【0046】
図16の寸法p,qの関係から、それぞれの部材の熱膨張係数を選択し(各々の部材の熱膨張係数をα,βとする)、以下の式、
p×α=q×β
を満足するような材質で構成する。
この構成により温度変化があっても、図16の寸法m,nは常に等しくなり、複数の撮像素子間の相対位置は同時に推移し、常に半透鏡に対して共役の関係を保つことができる。
【0047】
以上、図16に基づいて、光軸方向に対して温度補正を施した例を説明したが、次に光軸に対して直角する方向の補正を併せて行う例について、図17により説明する。同図に示されるように、この例においては、半透鏡で反射された方の光軸に配された撮像素子を保持する保持部材89のL字形のアームの固定端が、図16とは逆方向に固定される。
【0048】
この構造により、例えば、温度変化によって保持部材86の一方が矢印a方向に伸びた場合を考える。
前記撮像素子も同様に、熱伸縮により矢印a方向に位置がズレるが、保持部材86の材質は、熱膨張係数の大きい材質を選んである。また他方の保持部材89の伸びにより、他方の素子は、矢印b方向にズレるが、a方向のズレ量とb方向のズレ量が等しければ、二つの撮像素子の相対位置関係は変わらない。第1の実施形態の関係から、α>βである。
【0049】
図16によれば素子間の相対関係が変わらないためには、
r×α=S×β
でなければならない。図17から明らかなように、r<Sであるため、当然α>βとなる。
【0050】
従って、p×α=q×βにより定まる係数α,βに合わせてrとSの関係を選んでやれば、
p×α=q×βとr×α=S×β
を両立させることが可能である。従って、図16に示すような構成であれば、素子間の温度変化による光軸方向及び光軸と直角方向の両方の相対位置のズレを防ぐことが可能である。
【0051】
以上説明したように、反射鏡に対して共役の位置にある複数の撮像素子の温度変化による相対位置のズレを、異なった熱膨張率を選択することにより、キャンセルすることが可能となるため、熱膨張率の小さい高価で加工性の悪い材質を用いることなく、熱による伸縮を防ぐことができる。
一方、既値の熱膨張率を持った複数の材質がある場合には、その熱膨張率に見合った素子保持部材の腕の長さに設定すれば、同様の効果が得られる。
【0052】
以上のように本発明の実施形態によれば、分割撮影した複数の画像をそれらの相関をもとに最も適切に画像がつながる位置に移動して画像を再構成するため、大まかな光学系制御により分割撮影ができ、構成も簡易化できる。さらに構成部材の加工精度が低くできるなどの効果がある。また、分割撮影時にカメラがぶれても、画像のぶれは補正されるため手持ちでの撮影ができる。
【0053】
また本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、前記検討例に示したように、電子カメラの構成部材において、特別に熱膨張係数の小さい特殊材料を用いることなく、一般的な材料を複数種組合わせて適当に配置することにより、熱による伸縮で部材間の相対位置が変化するのを防止することができる。
【0054】
次に図18には、本発明による第5の実施形態としての電子カメラの撮影部の構成を示し説明する。
前述した図1に示した第1の実施形態では、撮影レンズ系2と撮像素子4の間に鏡が配置されていた。しかしながら、この構成では、画角が広くなるにつれ、光軸からはずれる画像の収差や周辺減光が大きくなる恐れがある。そこで、図18に示すような、撮影レンズ系2と被写体の間に鏡を配置する構成例について説明する。
【0055】
この第5の実施形態では、撮像素子として例えば、2048×256画素のCMD(Charge Modulation Device、電荷変調素子)4を用いる。このCMD4は、図19に示すように受像素子がマトリックス状に配置され、クロック発生回路4-1、水平走査回路4-2及び、垂直走査回路4-3が設けられている。但し、前記CMD4は、紙面と垂直な方向が2048画素となる。
【0056】
このCMD4は、XYアドレス型の読み出し方式になっており、クロック発生回路4-1、水平走査回路4-2、垂直走査回路4-3へ信号読み出しのためのパルスを送ると、画素の信号がSIG端から出力される。
【0057】
図18に示す電子カメラは、被写体を照射するためのストロボ91と、被写体に反射して戻る正反射光を除去するために互いに偏向面が90°ずれて設けられた偏向フィルタ92,93と、鏡3aを回転させるためのボイスコイル90と、撮影レンズ系2と、前述したCMD4と、CMD4が検出した画像信号を処理する処理部94と、シャッタ99と、記憶媒体としてのメモリカード97とで構成されている。
【0058】
次に図20には、前記処理部94の構成を示し説明する。
この処理部94において、光像から画像信号を検出するCMD4と、A/D変換部5と、前記A/D変換部5でディジタル化された画像信号を2値化する2値化回路6と、画像合成する画像合成回路95と、所定の圧縮処理を施す圧縮回路7と、メモリカード97へ信号を書き込む書込み回路96によって構成される。これらの回路及びボイスコイル90及びストロボ91は、コントローラ98により制御される。このコントローラ98には、シャッタボタン99の押下状態を示す信号が入力される。
【0059】
前記画像合成回路95は、前述したフレームメモリA17及び、ぶれ補正回路18の双方により構成される。
そして、このカメラによる撮影は、鏡3aを回転させながらストロボ91を発光させることにより行う。ストロボ発光のタイミングを図21に示す。このチャートは各ライン(総ライン数をNとする)における垂直走査回路に印価される電圧を示す。図21(b)には、同図(a)のm部分の波形を示し、露光、読み出し、リセットによりその電圧レベルが異なっている。また図21(a)に示すようにCMDでは、ライン毎に露光及び読み出しのタイミングが異なるため、ストロボの発光は、全画素が露光期間に相当する垂直ブランキング期間に行われる。
以上のように構成されたカメラによる動作について説明する。
【0060】
まず、シャッタボタン99が押下されると、ボイスコイル90の働きにより、鏡3aの回転が始まり、図21(a)のタイミングでストロボが発光する。ストロボ光は、偏光フィルタ92,93の働きにより正反射のとり除かれた被写体光がCMD4に入射する。
【0061】
前記CMD4から読み出した画像信号は、A/D変換部5にてディジタル信号に変換され、2値化回路6にて、2値化され画像合成回路95に入力される。この処理が所定回数だけ繰り返され、画像合成回路95で合成された信号がメモリ19に書き込まれる。メモリ19に書き込まれた画像信号は圧縮回路7にて圧縮されメモリカード97に書き込まれる。
【0062】
前述したような動作により、例えば、ストロボ発光を15回程行うと2000×3000相当の高解像度な撮像を行うことができる。また、撮影レンズ系2と被写体との間に鏡3aを配置しているので、周辺の領域でも収差や減光も生じることなく撮像することができる。また、偏光フィルタ92,93の2枚用いることによりストロボを利用しても、正反射を防止できる。また、ストロボ発光時間は非常に短いことから鏡3aが回転し続けても、分割画像は露光期間中のぶれは生じ難く、シャープな画像になる。
【0063】
また、メモリカード97に画像を記録するため、携帯性に優れ、パソコンやプリンタ等へ容易にデータを転送することができる。
また、本実施形態においては鏡3aは正確に等速度で回転しない場合でもぶれ補正回路でこれを検出し補正するため、ボイスコイルの駆動にそれ程精度は要求しない。
【0064】
次に図22には本発明による第6実施形態としての電子カメラの構成を示し説明する。この実施形態の構成部材において、図18と同等の部材には同じ参照符号を付しその説明を省略する。前述した図18の電子カメラでは、ストロボが被写体全体に照射するように構成されているために、CMD4で撮像されていないエリアにまでも無駄な光を照射している。
【0065】
そこで、この電子カメラは、反射鏡100やレンズ系101を用いてストロボ光を絞りハーフミラー102、鏡3aを介してCMD4で撮像する被写体に照射することにより、無駄なく、照射することができる。そして、ハーフミラーを偏向板で構成することにより、前実施形態と同様に正反射をも除去できる。
【0066】
また、この電子カメラをストロボが使用できない状況下で利用したい場合には、ストロボを発光せず、図23に示すタイミングで鏡の駆動及び静止制御(間欠駆動)を行うようにしてもよい。この際に、1フレーム周期で鏡を駆動すると、異なる画像が混合してしまうため2フレーム(又は2フレーム以上)の周期で鏡の駆動を行い、期間Aに露光した信号のみを処理部94の画像合成回路へ送り、期間Bに露光した信号は用いない。
【0067】
また同様に、第7の実施形態として、図24(a)に示すように、ばね103とカム104a、連結棒104bを設けて、鏡3aを間欠的に駆動してもよい。また図24(b)のように鏡を間欠駆動するためのスクリュー112b及びFIT (Flame Interline Transfer)型CCD撮像素子を用いてもよい。
【0068】
このスクリュー112bは、平坦部と駆動部を持つようにネジの溝が形成される。つまり、このネジが等速回転すると、歯車112aは、周期的に駆動と停止を繰り返す。また、ここで用いているFIT型CCD撮像素子は、その特徴として、時間的にほぼ同時に、偶数フィールドと奇数フィールドを露光できるとともに、その露光時間も変化できる。
【0069】
さらに、図24(c)には露光のタイミングと、ミラーの回転量について示してある。スクリュー112bの平坦部が歯車112aとかみ合っている時(例えば10ms)にミラーは静止し、この時に、偶数フィールド、奇数フィールドともに露光を行う。スクリュー112bの駆動部が歯車112aとかみ合っている時(例えば20ms)はミラーが動いており、この時は信号の読み出しのみを行う。
【0070】
このようなスクリュー112bを用いることにより、回転運動を容易に間欠運動に変えることができる。図24(a)に示したカムを用いるのに比べ振動や雑音も少ない。また画像が混合することもなく、無駄な撮像を行なうこともない。また、これらの実施形態では、FIT型CCD撮像素子を用いたが、前述したように撮像の2フレーム以上の周期で鏡の間欠駆動を行うことにより、CMDを用いることも可能である。
【0071】
次に図25には、本発明による第8の実施形態としての撮像装置の構成を示し説明する。前述した第7の実施形態では、鏡を回転させて方向の異なる画像を得るようにしたが、本実施形態では、TVカメラを回転させて得られた連続画像信号の合成を行う。
【0072】
図25に示す撮像装置においては、CCDカメラ等のTVカメラ105と、図18に示した処理部94と同様な働きをする処理部94′と、合成した画像信号を保存するためのハードディスク等の記録メディア106、プリンタ22、CRTモニタ21とで構成される。
前記処理部94′は、A/D変換部5、画像合成回路95、メモリ19及び、D/A変換部20とで構成され、この実施形態では濃淡画像を扱うため、画像信号は2値化しない。
【0073】
さらに、第9の実施形態として、第8の実施形態のようなTVカメラを利用するだけではなく、図26に示すように、例えば、超音波診断装置107等へも応用が可能である。
しかしながら、コンベックス型の超音波画像の場合、図28に示すように、画像物体は扇形となり、画像にはテキストデータ等の画像合成に不必要な無効領域としての背景が存在する。そのため、この無効領域は合成処理に用いないように処理する必要がある。つまり、図29(a)に示したような左画像上で右画像の無効領域と重なる部分、及び図29(b)に示したような右画像上で左画像の無効領域と重なる部分は、画像の合成には用いない。
【0074】
そして図30に示したように、実際の画像物体の重なる部分に、本出願人が出願した特願平5−042402号に提案しているようなつなぎ目処理を施す。
【0075】
図27には、この第9の実施形態の具体的な構成を示す。
この撮像装置において、メモリA17の出力側には、移動量計算回路18aと画像移動回路18bが接続される。前記画像移動回路18bは、補間により劣化した信号を回復するための構造強調を行う構造強調回路108に接続され、前記構造強調回路108は、右画像左境界線を検出する左側境界線検出器109と合成回路111に接続される。この合成回路111には、メモリB19及び右側境界線検出器110が接続される。ここで、左画像が既にメモリB19に書き込まれた画像信号に相当し、右画像が新たに入力されたメモリA17の画像信号に相当する。
【0076】
また、前記合成回路111は、メモリB19に書き込む信号を生成する回路であり、右画像左境界線より左側の領域については左画像を、左画像右境界線より右側の領域については右画像の対応した信号値をメモリB19に書き込むとともに、両境界線にはさまれた部分については右画像、左画像両方用いた繋ぎ目処理を行い、結果をメモリB19へ書き込む。
以上の処理により、コンベックス形の超音波診断装置の画像についても良好に画像の合成処理を行うことができる。
【0077】
次に本発明による第10の実施形態を説明する。
この実施形態は、図31(a)に示すように互いに重複領域を有する3つの画像を撮影し、後にこれらの画像を繋げて広範囲の撮影(パノラマ撮影)を実現させるものである。
【0078】
この実施形態は、ファインダ内に前回撮像された画像の一部(端部)を表示し、今回撮像する画像の端部をその一部画像と重なり合い一致する位置に撮像部を振り、撮影するものである。
図31(b)に示すように、このファインダは、前回撮影した画像の一部であり、前回撮影した画像と今回撮像する画像を繋ぎ合わせるために、画像を重複させる部分(同じ被写体もしくはその一部が写った領域)を表示する重複領域画像表示部Aと、今回撮像する画像が表示される撮像画像表示部Bとで構成される。前述した図31(a)を例とすれば、画像1を撮像した後、画像2を今回撮像する場合において、前回撮像した画像1の一部(重複領域1)の画像が重複画像表示部Aに表示され、今回撮像しようとする画像が撮像画像表示部にリアルタイムで表示されている。そして、ファインダ内で、これらの両画像1,2が一致して繋がる位置に撮像部を移動させて画像2を撮像する。
【0079】
この実施形態の撮像部の構成例を図31(c)に示す。
図31(c)に示す電子カメラにおいて、入射する被写体光を集光するレンズ121と、結像した光像を光電変換するCCD122と、検出された画像信号を増幅するプリアンプ123とが設けられる。さらに前記プリアンプから出力された画像信号にγ補正等を施すための信号処理回路124と、ディジタル化するA/D変換器125と、ディジタル化された画像信号を輝度信号(Y)及び色信号(Cr,Cb)を分離する色分離回路126が接続されている。
【0080】
そして、この色分離回路126の出力側には、前記輝度信号Yが入力し、前述したように画像を重ね合わせるための画像加算部127と、輝度信号Y及び色信号Cr,Cbが入力し、データを圧縮するデータ圧縮器128が接続される。
【0081】
前記画像加算部127は、前回撮像した画像を記録するための重複エリア用メモリ129と、乗算器130,131と、この乗算のための係数C1 ,C2 を設定するための係数設定回路132と加算器133とから構成されている。
【0082】
この画像加算部127は、色分離回路126から輝度信号Yが入力され、前回撮像した画像の一部が加算され、D/A変換部134に送出される。ここで、係数C1 ,C2 は、図31(b)で示すような各重複領域画像表示部では、C1 =1,C2 =0で、撮像画像表示部では、C1 =0,C2 =1となる。そしてD/A変換部134の出力側にはファインダ135が設けられ、ファインダ135は、液晶ディスプレイ136と接眼レンズ137により構成される。
【0083】
また、前記データ圧縮器128は、Y,Cr,Cbの各信号のデータを圧縮する。圧縮された信号は、シャッタボタン138の押下と同時に電子カメラに着脱自在のメモリカード139に書き込まれる。前記シャッタボタン138は、2段階のスイッチであり、1stで測距,測光を行い、2ndで撮像を行うものである。画像加算部127の制御やメモリカード139への書き込みアドレスを制御するためのコントローラ140がそれぞれ接続されている。
【0084】
以上のように構成された電子カメラの撮像動作について説明する。
まず、広範囲の被写体の左端に電子カメラの撮像部を向け、シャッタボタン138を1段階として半分押下する。図示しない測距系,測光系の働きにより、焦点調節、露出調節がなされた後、CCD122にて光電変換された画像信号は、プリアンプ123にて増幅され、信号処理回路124にてγ補正等の信号処理が成された後に、A/D変換器125によりディジタル信号に変換される。
【0085】
そして色分離回路126にて、輝度信号Yと色信号Cr,Cbに分離され、データ圧縮器128へ入力される。そして、シャッタボタン138が完全に押下された時に、データ圧縮器128に入力されている画像信号(画像1)がデータ圧縮され、メモリカード139の所定の位置に書き込まれる。
【0086】
一方、画像1の右端の部分(図31(a)の重複領域1)の画像信号が重複エリア用メモリ129に記憶される。そして、このメモリに記憶された画像は、続いて撮像される画像信号に加算され、D/A変換された後、LCD136に表示される。この表示は、図31(b)に示すように、重複領域画像表示部Aに重複エリア用メモリに記憶されている画像1の右端の画像が表示される。
また、撮像画像表示部Bには、現在CCD122に結像されている画像信号が表示されている。但し、左端は、重複領域画像表示用となっているため、ファインダから見ることはできない。
【0087】
この重複領域画像表示部Aの画像と撮像画像表示部Bの画像が良好に繋がる位置へ撮像部をパンニングさせる。そして、撮影者は各画像が良好に繋がったと判断したときに、シャッタボタン138を完全に押下し、その時にCCD122に結像する画像(画像2)をメモリカードの所定の位置に書き込むと共に、右端の画像(重複領域2)を重複エリア用メモリ127に記憶させる。
【0088】
以下同様にして、画像3を撮像し、所定の重複領域を有する複数の画像を撮像することができる。この際、重複エリアが予定していた位置とずれたとしても、後述する画像合成処理により良好な画像合成が実現できるため、厳密に重ね合わせをする必要はなく、短時間で複数枚の画像を撮像することができる。
【0089】
次に図32には、前述した電子カメラにより撮像された画像の再生処理を行うための画像再生装置の構成を示し説明する。
前述した電子カメラに装着され、撮影されたメモリカード139を取出し、画像再生装置に装着する。
【0090】
この画像再生装置は、画像信号データの伸長を行うためのデータ伸長器141と、伸長された複数の画像の合成を行うための画像合成回路142と、メモリカード139の読出しアドレスや画像合成回路142等を制御するためのコントローラ143と、画像合成された画像信号を格納もしくは表示するファイリング装置144やモニタ145、プリンタ146とで構成されている。
前記画像合成回路142は、前述した実施形態に対して応用可能であり、例えば3枚の画像の合成を行う図33に示すような構成例が考えられる。
この画像合成回路において、図31に示した画像1,2,3を記憶するためのフレームメモリ151,152,153がそれぞれ設けられる。
【0091】
そして、前記フレームメモリの出力側には、それぞれ画像1と画像2、画像2と画像3の重複領域の画像信号から所定の重ねあわせ位置からのずれを検出するためのずれ検出器154,155が接続される。これらのずれ検出器154,155は、ずれ量として、平行移動量S1,S2、回転量R1,R2を算出し、補間演算器156,157に入力する。
【0092】
前記補間演算器156では、フレームメモリ152に記憶されている画像2、補間演算器157では、フレームメモリ153に記憶されている画像3の画像信号を補間し、画像1に繋がるように画像信号が変換され、合成処理部158へ出力される。
【0093】
この合成処理部158は、乗算器159,160,161、乗算係数a,b,cを設定するための係数設定器162及び、加算器163から構成されている。この係数設定器162では、図34に示すように、それぞれの画像の重複領域で係数が線形的に変化する。この合成処理部158により、図34に示す出力画像領域の画像信号が順次、計算されて、フレームメモリ164へ記憶される。
【0094】
そして、このフレームメモリ164の画像信号が図32に示すファイリング装置144やモニタ145、プリンタ146等に出力される。
【0095】
以上のようにして、前述した撮像部で撮像された複数の画像は、この画像再生装置により合成されて広範囲の被写体の対応する画像に変換することができるが、前記再生装置をカメラ内に一体的に設けたカメラをもって再生を行うようにしても勿論よい。
【0096】
なお、本実施形態では、ファインダに前回撮像した画像と今回撮像している画像を異なる領域に表示するようにしたが、これらの両画像が重複領域画像表示部で共に表示するようにしてもよい。この場合には、画像加算部7にて、係数C1 ,C2 を重複領域画像表示部では、C1 =C2 =0.5に、撮像画像 表示部では、C1 =1,C2 =0に設定すればよい。撮影者は、重複領域画像表示部に表示される2画像が重なるように、撮像部を移動させればよく、より高速で高精度に所望する重複領域を有する画像の撮像を行うことができる。
【0097】
また、本実施形態では、ファインダのLCDには、輝度信号のみで種々の表示したが、カラーLCDを用いてカラー表示してもよいし、重複領域画像表示部に表示する前回撮像した画像は、今回撮像する画像と色を変えて表示するようにしてもよい。また、図35に示すように、重複エリア用メモリ129から読出した画像信号にラプラシアン演算等のHPF(High Pass Filtering)165を施せば、2画像の重ね合わせがより容易になる。
【0098】
また、本実施形態は、横方向に3枚の画像を撮像し合成する例を説明したが、これに限定されることはなく、より多くの画像を合成するようにしても良い。
【0099】
次に図36には、本発明による第11の実施形態としての電子カメラの構成を示し説明する。ここで、第6の実施形態の構成部材で図33に示す構成部材と同等の部材には、同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
【0100】
この電子カメラの特徴としては、相関演算器171を付設し、重複エリア用メモリ129からの画像信号と、順次撮像される現在の画像信号との相関演算を行い、その変位量を算出することにある。そして、変位量に応じて、ファインダ内部に設けた矢印表示部172の矢印を表示させたり、音声出力装置173による音や音声により撮像部の移動方向を知らせる。ファインダ内の矢印表示部172は、図37に示すように構成されており、左右上下を示す矢印と中央に“赤”、または“青”を示す光源174が設けられている。
【0101】
そして、相関演算器171で算出される相関信号が非常に弱い場合(2画像に同一部分が存在しない場合)には、光源174が“赤”に点灯し、相関信号が正しく検出され、その変位が検出された場合には、その方向の矢印が点灯する。
【0102】
次に2画像がほぼ重なり、変位量がほぼ“0”になった時には、光源174を“青”に点灯する。撮影者は、この矢印表示部の示す情報に従い、容易に重複領域を有する複数画像の撮像を行うことができる。また、音声出力装置173では、右矢印の代わりに“右”、左矢印の代わりに“左”といった音声を発生させる。また、変位量の大きさによって、“もっと大きく右に振る”、“少しだけ左に振る”といったような表現をしてもよいし、矢印表示部172においては、変位量の大きさにより、矢印を点滅させる等をしてもよい。
【0103】
次に図38を参照して、本発明による第12の実施形態を説明する。
この実施形態では、図38(a)に示すように、9枚の画像をそれぞれ重複領域を有するように撮像し、より広範囲の撮像を行うものである。図38(a)において、各画像に付してある番号は、撮像する順番を示している。画像5を撮像する場合、ファインダは、図38(b)のように表示されている。つまり、LCDの上側には、画像2の下端部の画像がLCDの右側には、画像4の左端の画像が表示される。そして撮影者は現在撮像されている画像が、これら画像2および画像4と良好に重なる位置へ撮像部を移動させ、画像5の撮像を行う。
【0104】
以上のように、本実施形態では、LCDの左右側だけでなく、上下側にも先に、撮像した画像を表示するようにしたため、上下方向に多数枚の画像を容易に撮像することができる。また、本実施形態では、撮像部については、特に記載していないが、画像加算部の重複エリア用メモリ129は、前述した第10の実施形態に比べて、より多くの容量を必要とする。
【0105】
次に図39には、本発明による第13の実施形態として、電子カメラの撮像部を平面原稿の読取装置に応用した構成例を示し、説明する。この読取装置は、図39(a)に示すように、撮像部175が平面原稿を乗せる原稿台176の上部に位置するよう支持台181により支持されており、原稿台176には、原稿を撮像するためのシャッタボタン177が設けられている。
【0106】
前記撮像部175には、ファインダ178が設けられ、装脱着可能なメモリカード179が装着されている。
この読取装置は、撮影者がファインダを覗きながら前述した実施形態のように撮像部を動かすのではなく、平面原稿を動かして広範囲の撮像を行う。
【0107】
また、図39(b)に示すようなXYステージ180と、前述した相関演算器とを用いて、変位量に応じてXYステージ180の動作を制御すれば、自動的に複数枚の画像を撮像することもできる。さらに、前記XYステージの動作を制御する代わりに撮像部175を支持する支持台181の動作を制御するようにして画像合成を行うようにしてもよい。なお、前記各実施形態における表示にあたっては、何番目の画像を撮像したかを示し数字等をテーパーインポーズしてもよいし、また、所定時点で別のSW操作によりそれまで撮像していた合成画像を一時的に全て表示して全体像の確認を行えるようにしてもよいし、撮像部175の撮像素子にラインセンサを用いてもよい。
また本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、他にも発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形や応用が可能であることは勿論である。
【0108】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、分割撮影した複数の画像をそれらの相関をもとに最も適切に画像が繋がる位置に移動して画像を再構成する電子カメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による第1の実施形態としての電子カメラの構成を示す図である。
【図2】図2は、図1に示したぶれ補正回路の具体的な構成を示す図である。
【図3】図3は、撮影範囲がぶれ無しに被写体上を移動する状態を示す図である。
【図4】図4は、撮影範囲がぶれを伴いながら被写体上を移動する状態を示す図である。
【図5】図5は、比較画像に対する基準画像の位置を変化させながら、各位置での両画像間の相関を求めることを説明するための図である。
【図6】図6(a)及び(b)は、平行移動量及び回転移動量を求めることを説明するための図である。
【図7】図7は、画像の移動の状態を示す図である。
【図8】図8は、第1の実施形態による電子カメラの使用状態を説明するための図である。
【図9】図9は、本発明による第2の実施形態としての電子カメラの撮影部の構成を示す図である。
【図10】図10は、本発明による第3の実施形態として、相関演算の精度を向上させる例を示す図である。
【図11】図11は、本発明による第4の実施形態として、相関演算の精度を向上させる例を示す図である。
【図12】図12は、図11に示した相関エリア選択回路の具体的な構成を示す図である。
【図13】図13は、図12に示した候補画像選択回路により選択する候補画像の例を示す図である。
【図14】図14は、コンボリーションフィルタの係数の一例を示す図である。
【図15】図15は、隣接する画素間の差分の絶対値和を求める回路の一例を示す図である。
【図16】図16は、本発明による第3の実施形態としての電子カメラの撮影部の構成を示す図である。
【図17】図17は、本発明による第4の実施形態としての電子カメラの撮影部の構成を示す図である。
【図18】図18は、本発明による第5の実施形態としての電子カメラの撮影部の構成を示す図である。
【図19】図19は、図18に示したCMDの構成を示す図である。
【図20】図20は、図18に示した処理部の構成を示す図である。
【図21】図21は、図18に示した第5の実施形態の電子カメラのストロボ発光のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図22】図22は、本発明による第6の実施形態としての電子カメラの撮影部の構成を示す図である。
【図23】図24は、鏡の駆動及び静止制御(間欠駆動)の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図24】図24は、本発明による第7の実施形態としての電子カメラの撮影部の構成及び露光のタイミングを示す図である。
【図25】図25は、本発明による第8の実施形態としての電子カメラの撮像部の構成を示す図である。
【図26】図26は、本発明による第9の実施形態として、図25に示した第8の実施形態を超音波診断装置に応用した場合の構成例を示す図である。
【図27】図27は、第9の実施形態の撮影部の具体的な構成を示す図である。
【図28】図28は、コンベックス型の超音波画像の一例を示す図である。
【図29】図29は、第9の実施形態のによる画像合成の状態を示す図である。
【図30】図30は、画像合成の状態を示す図である。
【図31】図31は、本発明による第10の実施形態としての電子カメラの撮影部の構成例を示す図である。
【図32】図32は、本発明による電子カメラにより撮像された画像の再生処理を行う画像再生装置の構成例を示す図である。
【図33】図33は、画像合成回路の具体的な構成例を示す図である。
【図34】図34は、複数の画像を重ね合わせた場合の重複領域とその係数の変化を示す図である。
【図35】図35は、画像加算部の一構成例を示す図である。
【図36】図36は、本発明による第11の実施形態としての電子カメラの構成を示す図である。
【図37】図37は、第11の実施形態のファインダ内の構成例を示す図である。
【図38】図38は、本発明による第12の実施形態としての複数の画像を合成することにより広範囲の撮像を行う画像合成の配置状態及びファインダ内の構成を示す図である。
【図39】図39は、本発明による第13の実施形態として、電子カメラの撮像部を平面原稿の読取装置に応用した構成例を示す図である。
【符号の説明】
1…被写体像
2…撮影レンズ系
3a…鏡
3b…回転軸
4…撮像素子
5…A/Dコンバータ(部)
6…2値化回路
7…データ圧縮回路
8…エラー訂正用符号付加回路
9…変調回路
10…LEDドライバ
11…LED
12…光信号
13…受光ダイオード
14…復調回路
15…エラー訂正回路
16…圧縮データ復号回路
17…フレームメモリA
18…ぶれ補正回路
19…フレームメモリB
20…D/A変換コンバータ(部)
21…CRTモニタ
22…プリンタ
23…ファイリング装置
Claims (3)
- 被写体像を分割して順次取り込んだ複数の画像の再構成を行なう電子カメラであって、
被写体像を光電変換する撮像素子からなる撮像手段と、
前記撮像手段で前回撮像した画像と、撮像部を移動しながら順次撮像される現在の画像を表示する画像表示手段と、
前記前回撮像した画像と前記現在の画像の相関演算を行う相関演算手段と、
前記前回撮像した画像と前記現在の画像の相関の強さに関する情報を表示する相関度表示手段と、
を有することを特徴とする電子カメラ。 - 前記表示手段は、表示色の変化、又は音声の変化で表すことをを特徴とする請求項1に記載の電子カメラ。
- 前記相関演算手段は、さらに前記相関演算により前記前回撮像した画像と前記現在の画像の変位量を演算し、前記電子カメラは、さらに前記変位量に基づいて前記撮像手段を移動させる方向を指示する移動方向指示手段を有することを特徴とする請求項1に記載の電子カメラ。
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