JP3745920B2 - 分離型トランス - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、分離型トランスに関する。
【0002】
【従来の技術】
電気エネルギーや電気信号を無接触で伝送する分離型トランスとして、例えば、図4に示す回転トランス1が知られている。
回転トランス1は、図示のように、互いに所定のギャップGをおいて対向配置されるコア2,3を有している。コア2,3は、それぞれ回転体と固定体とに取り付けられ、信号伝送用の信号コイル2a,3aと電気エネルギー伝送用のパワーコイル2b,3bとを有している。そして、回転トランス1は、図4に示すように、対応するコイル相互間に形成される磁束の経路Rにより電気エネルギーや電気信号を無接触で伝送している。このとき、回転トランス1においては、信号伝送に要するパワーが、電気エネルギー伝送に要するパワーに比べると非常に微弱である。このため、回転トランス1は、信号コイル2a,3aがパワーコイル2b,3bに比べると断面積が小さくなるように設計される。
【0003】
以上のように構成される回転トランス1は、例えば、ステアリング装置に設けてエアバッグシステムや周辺電気機器と電源とを無接触で接続するコネクタとして使用される。このため、回転トランス1は、サイズを可能な限り小さくする必要があり、コア2,3の間に形成されるギャップGを可能な限り小さく設計することが望ましい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、回転トランス1は、ギャップGを小さくし過ぎると、信号コイル2aとパワーコイル2bとの間あるいは信号コイル3aとパワーコイル3bとの間の干渉によって、図5に示すように、異なる磁束の経路Riが発生し、コイル2,3間での電気エネルギーや電気信号の正確な伝送が阻害される。
【0005】
このような干渉に伴うクロストークを防止するため、回転トランス1においては、図6に示すように、コア2,3間のギャップGに銅やアルミニウム等からなる金属製の遮蔽リング4を配置し、経路Riにおける磁束を遮蔽している。
しかし、回転トランス1は、コア2,3間に遮蔽リング4を配置すると、ギャップGの存在や、コア2,3間における回転中心のずれあるいは自動車の走行に伴う振動等によって、遮蔽リング4がコア2,3と接触し、コア2,3や遮蔽リング4の摩耗や不快な異音が発生する。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、コア相互間のギャップを一定に保持し、コアや遮蔽リングの摩耗や不快な異音の発生を抑えた遮蔽リングを有する分離型トランスを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明においては上記目的を達成するための構成として、所定のギャップを形成して対向配置される第1及び第2のコアの互いに対向する面にそれぞれ複数のコイルを埋設してなり、前記第1及び第2のコア間の互いに対応するコイルをそれぞれ対向させて配置される分離型トランスを前提とする。
【0008】
そして、本発明は、前記分離型トランスにおいて、前記第1及び第2のコアの上記対向面における前記複数のコイルを区画する位置にそれぞれ配置溝を形成し、これらの配置溝間に前記第1及び第2のコア間のギャップを規定すると共に、同一コア内の隣接するコイル間で発生する磁束を遮蔽する遮蔽リングが嵌め込まれており、前記第1及び第2のコアは、同軸に相対回転可能に設けられたものであって、前記遮蔽リングは上記各コアと同軸に設けられたリング状の配置溝に嵌め込まれる金属リングと、この金属リングを被覆して設けられた前記コアの素材に対して摩擦抵抗の小さい合成樹脂とを有することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の分離型トランスに係る一実施形態を図1乃至図3に示す回転トランスに基づいて詳細に説明する。
回転トランス10は、図1に示すように、コア11,12と遮蔽リング13を備えている。
【0010】
コア11,12は、電気絶縁性を有する合成樹脂(ナイロン,ウレタン等)に磁性材を混入させた素材からなり、中央に開口11a,12aが形成された円板状の部材である。コア11,12は、対向面11b,12b、それぞれ断面積の異なる信号伝送用の信号コイル11d,12dと電気エネルギー伝送用のパワーコイル11c,12cとを有している。コア11,12は、対向面11b,12bにそれぞれV溝11e,12eが周方向に形成され、V溝11e,12eに配置した遮蔽リング13により対向面11a,12aの間に所定のギャップG1を保持して対向配置されている。
【0011】
遮蔽リング13は、銅やアルミニウム等からなる金属リング13aをコア11,12の素材に対して摩擦抵抗の小さい合成樹脂13b、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)で被覆したものである。遮蔽リング13は、信号コイル11dとパワーコイル11cとの間あるいは、信号コイル12dとパワーコイル12cとの間の干渉によって生ずる磁束の経路を遮断する。
【0012】
本発明の回転トランス10は、以上のように構成されているので、遮蔽リング13によって、前記のように、コア11,12間のギャップG1が一定に保持されると共に、コイル相互の干渉に伴うクロストークが防止されることに加え、以下のような効果も生じる。
即ち、回転トランス10は、遮蔽リング13の表面が摩擦抵抗の小さい合成樹脂13bで被覆されているので、コア11,12が相対回転しても、コア11,12や遮蔽リング13の摩耗や不快な異音の発生が抑えられる他、V溝11e,12eに配置した遮蔽リング13によってコア11,12、従ってコア11,12の回転中心が正しく位置決めされる。
【0013】
ここで、遮蔽リングは、図2(a)に示す遮蔽リング15のように、金属リング15aを合成樹脂15bで被覆して全体形状を断面楕円形に成形したり、図2(b)に示す遮蔽リング16のように、金属リング16aを合成樹脂16bで被覆して全体形状を断面菱形に成形してもよい。
また、図2(c)に示す遮蔽リング17のように、金属リング17aを合成樹脂17bで被覆して全体形状を断面円形に成形すると共に、係止突起17cを設けてもよい。
【0014】
更に、本発明の分離型トランスは、図3に示す回転トランス20のように構成しても、回転トランス10と同様の効果を発揮することができる。
即ち、回転トランス20は、コア21,22が円筒形で、対向面21a,22aに、それぞれ断面積の異なる信号伝送用の信号コイル21b,22bと電気エネルギー伝送用のパワーコイル21c,22cとが配置されている。そして、回転トランス20は、対向面21a,22aにそれぞれV溝21d,22dが周方向に形成され、V溝21d,22dに配置した遮蔽リング23により対向面21a,22aの間に所定のギャップG2を保持してコア21,22が対向配置されている。
【0015】
ここで、遮蔽リング23は、遮蔽リング13と同様の素材を用いて、金属リング23aを合成樹脂23bで被覆したものである。
尚、前記実施形態の回転トランスは、それぞれのコアに2つのコイルが配置されたものについて説明した。しかし、回転トランスは、それぞれのコアに設けるコイルが複数であれば2つに限定されるものでないことは言うまでもなく、3つ以上のコイルを有する場合には、隣接するコイル間にV溝を設けて遮蔽リングを配置する。
【0016】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、コア相互間のギャップを一定に保持し、コアや遮蔽リングの摩耗や不快な異音の発生を抑えた遮蔽リングを有する分離型トランスを提供することができ、さらに遮蔽リングを簡単に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の分離型トランスに係る一実施形態を示す回転トランスの断面図である。
【図2】 図1に示す回転トランスの変形例を示すもので、回転トランスの左半断面図である。
【図3】 本発明の他の実施形態を示す回転トランスの断面図である。
【図4】 従来の分離型トランスの一例を示す回転トランスの断面図である。
【図5】 図4に示す回転トランスの左半断面図である。
【図6】 遮蔽リングを配置した図4に示す回転トランスの左半断面図である。
【符号の説明】
10 回転トランス(分離型トランス)
11,12 コア
11b,12b 対向面
11c,12c パワーコイル
11d,12d 信号コイル
11e,12e V溝(配置溝)
13 遮蔽リング
13a 金属リング
13b 合成樹脂
15 遮蔽リング
15a 金属リング
15b 合成樹脂
16 遮蔽リング
16a 金属リング
16b 合成樹脂
17 遮蔽リング
17a 金属リング
17b 合成樹脂
17c 係止突起
20 回転トランス
21,22 コア
21a,22a 対向面
21b,22b 信号コイル
21c,22c パワーコイル
21d,22d V溝(配置溝)
23 遮蔽リング
23a 金属リング
23b 合成樹脂
G1,G2 ギャップ

Claims (1)

  1. 所定のギャップを形成して対向配置される第1及び第2のコアの互いに対向する面にそれぞれ複数のコイルを埋設してなり、前記第1及び第2のコア間の互いに対応するコイルをそれぞれ対向させて配置される分離型トランスにおいて、
    前記第1及び第2のコアは、その対向面の前記複数のコイルを区画する位置にそれぞれ形成した配置溝を備え、これらの配置溝間に前記第1及び第2のコア間のギャップを規定すると共に、同一コア内の隣接するコイル間で発生する磁束を遮蔽する遮蔽リングが嵌め込まれており、前記第1及び第2のコアは、同軸に相対回転可能に設けられたものであって、前記遮蔽リングは上記各コアと同軸に設けられたリング状の配置溝に嵌め込まれる金属リングと、この金属リングを被覆して設けられた前記コアの素材に対して摩擦抵抗の小さい合成樹脂とを有することを特徴とする分離型トランス。
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