JP3744858B2 - シート状部材およびシート状部材を用いた電子機器の部品 - Google Patents

シート状部材およびシート状部材を用いた電子機器の部品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート状部材が貼着された電子機器の部品及び電子機器の部品に貼着されるシート状部材、及び、それを含む電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、複写機、プリンタ、ファクシミリ又はこれらの複合機などの画像形成装置や、各種電気製品などの電子機器において、その部品にシート状部材を貼着することは、一般に行われている。例えば、複写機本体の前ドアやその内部の各種部品には、デカルと称せられているシート状部材が貼着されており、かかるデカルは、樹脂シート、樹脂フィルム、薄い樹脂板などの可撓性又は剛性を有するシート状部片より成り、その表面に所定の情報が記入されたものである。
より具体的に示すと、例えば複写機において、そのユーザーやサービスマンなどのために、簡単な取り扱い説明文や、部品交換順序の番号などの各種の画像情報が記入されたデカルが複写機の部品に貼り付けられている。このデカルの表面に記入される画像情報は、文字によるほか、矢印などの記号や図形、又は色などによって表わされることもある。
【0003】
このようなデカルのほかにも、電子機器の部品を保護する目的で、その部品自体又はこれを収容するケースなどの部品に、可撓性又は剛性を有する保護シートより成るシート状部材を貼着することもある。かかる保護シートやデカルなどから成るシート状部材は、電子機器の交換部品、例えば複写機のトナーカートリッジなどの部品に貼着されることもある。
【0004】
ところで、特に近年、環境の保護や、一層の省資源化を図る目的で、リサイクル性に優れた製品の出現が強く要望され、画像形成装置などのオフィスオートメーション機器や電気製品などの電子機器においても同様なことが要求されている。
そこで、従来より電子機器の部品を熱可塑性樹脂により構成し、これを使用し尽くしたとき、これを廃棄せずに、当該部品を再生利用することが行われている。
例えば、使用し終えた部品をシュレッダによってペレット状に破砕し、これを加熱溶融して再び何らかの部品として成形し、かかる再生成形品を再度使用するのである。
【0005】
従来、前述のデカルや保護シートなどのシート状部材が貼着された部品は、その部品とシート状部材が異種材料により構成されていたため、これをそのまま破砕して溶融すると、両者が互いに溶け合わず、かかる溶融材料によって再生部品を成形したとき、その機械的特性が著しく低下し、これをその部品として再利用することができなかった。
そこで、ドライヤやグラインダなどによって、使用し終えた部品からシート状部材を剥がし、しかる後、その部品をペレット状に破砕し、これを溶融して再生成形品を得ていた。
ところが、部品からシート状部材を剥がす作業は、手間と時間のかかる大変面倒な作業であり、これにより、部品の再生コストが上昇する欠点を免れなかった。
又、従来、画像情報の記入された少なくとも一枚のシート状部材が貼着された電子機器の部品において、当該部品と前記シート状部材が、互いに相溶性のある熱可塑性樹脂によって構成され、前記シート状部材に記入されている全画像情報の表面積が、全シート状部材の表面積の20%以下に設定されていることを特徴とする電子機器の部品を提案されている(特開平08−34088号公報)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の電子機器の部品では、確かに、ある一定の条件では、シート状部材に記入されている全画像情報の表面積が、全シート状部材の表面積の、例えば、20%以下に設定することによって、部品にシート状部材を貼着したまま再生処理しても、その再生された成形品の特性が大きく低下する不具合を阻止することができ、再生コストを低減できる。
しかも、再生した成形品の外観低下を阻止できるという効果はある。
その場合でも、シート状部材に記入されている全画像情報の表面積が、全シート状部材の表面積の20%以下に設定したシート部材は、廃棄でき、20%以上に設定したシート部材は、廃棄できない。
しかし、同じ20%以下に設定したシート部材でも、許容範囲に対して、余裕がある場合とない場合がある。
つまり、20%以下に対して余裕があるシート部材と、20%を超えているシート部材でも、その双方をセットで廃棄することが可能である。
そこで、本発明者等は、夫々の部品を組合せて、廃棄する情報を表示することを見出した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明によれば熱可塑性樹脂の電子機器の部品に貼付される該部品と相溶性のある熱可塑性樹脂のシート状部材において、
上記シート状部材には互いに相溶性のある複数の上記部品を組み合わせてセットで廃棄するための組み合わせ可能な数値情報としての許容値が記載されていることを特徴とするシート状部材を提供するものである。
【0008】
この請求項1の発明によれば、従来は、前述の課題によって、部品の表面積に対して、そのシール状部材の画像情報の割合が決まっているが、そのシート状部材に、そのシート状部材を廃棄するとき、セット廃棄するのに必要な数値情報としての許容値が記載されているので、ユーザーは、その許容値を確認しながら、効率的にセット廃棄することができるという効果がある。
【0009】
請求項2の発明は画像情報の記入された熱可塑性樹脂のシート状部材を貼付した電子機器の部品において、上記電子機器の部品は、上記シート状部材と相溶性のある熱可塑性樹脂にて形成されると共に上記シート状部材には互いに相溶性のある複数の上記部品を組み合わせてセットで廃棄するための組み合わせ可能な数値情報としての許容値が記載されていることを特徴とする電子機器の部品を提供するものである。
【0010】
この請求項2記載の発明により、従来は、前述の課題によって、部品の表面積に対して、そのシール状部材の画像情報の割合が決まっているが、電子機器の部品に貼付されたシート状部材に、電子機器の部品を廃棄するとき、セット廃棄するのに必要な数値情報としての許容値が記載されているので、ユーザーは、その許容値を確認しながら、効率的にセット廃棄することができるという効果がある。
【0011】
請求項3の発明は請求項2に記載した発明に関して、上記シート状部材には、廃棄する際にセットにする部品の情報が記載されている請求項2記載の電子機器の部品を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の態様】
以下、添付図面に示す具体例に基づいて本発明を説明する。
尚、以下の実施形態は本発明を具体化した一例であって本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
図1は、本発明にしたがって、画像形成部とスキャナーの中間部にシートスタック空間を設けたいわゆる胴内排紙方式の画像形成装置100を用いて行われる画像形成装置の概略を示す一例である。図2は画像形成装置100の右側面を模式的に描いたもので後述する原稿搬送部14の内、原稿カバー部以外を除いている。
複写機100は本体ハウジング11とその上方の上ハウジング11Uと、上ハウジングの上部に開平自在に載置された原稿搬送部14で区画されている。
本体ハウジング11と上ハウジング11Uの中間部には右側側面から略水平方向に内側に入り込んだシート材スタック空間部12が形成されている。シート材スタック空間部12には本体ハウジングから横方向に排出されるシート材を受け取り、積載する為の上シートトレイ1、下シートトレイ2が設けられている。
【0013】
上ハウジング11Uは画像読取り位置において原稿を露光して画像を読取るための露光部15を内蔵しておりその上面には走査パネル13や透明なガラス板からなる原稿載置板21が配設されている。上ハウジング11Uの上方には原稿画像を読み取るために原稿を画像読取り位置Rに搬送するための原稿搬送部14が載置されている。原稿搬送部14は、機械奥側のヒンジ部9によって上ハウジング上に開平自在に支持されている。実線で示す閉位置において通常載置されており、破線で示す開位置まで開放することが可能である。複写機100はシートスルー方式と原稿固定方式の2方式の原稿画像読取りを行なうことが可能である。
まずシートスルー方式は閉状態の原稿搬送部14によって画像読取り位置Rを通過している原稿を、画像読取り位置に対向して固定配置された露光部15で画像読取りする方式である。さらに原稿固定型方式は、原稿搬送部14を開状態とし、原稿載置板21上面に原稿を載置し、露光部15を移動させつつ画像読取りする方式である。
本実施形態は、シートスルー方式に基づいた実施例として説明を行なう。
【0014】 本体ハウジング11は、下ハウジング11Dとその上方の連結ハウジング11Cに区画できる。下ハウジング11Dは用紙の給紙部と、用紙上にトナー画像を形成する画像形成部と、用紙上のトナー画像を定着するための定着部を内蔵している。連結ハウジング11Cは定着後の用紙を搬送してシート材スタック空間のシートトレイに向けて排出するための用紙搬送路を内蔵している。
【0015】
上ハウジング11Uの構成を図1及び図2を元に説明する。
上ハウジング11Uの手前側には操作パネル13が備えられている。原稿搬送部14は原稿給紙トレイ14aと原稿搬送部本体14bと原稿排紙トレイ14cと原稿カバー14dを備えている。原稿排紙トレイ14cは原稿カバー14d上面の一部に直付けで形成している。原稿搬送路Dの延長上の上流端に原稿給紙トレイ14aが配設され、原稿搬送路Dの延長上の下流端には原稿排出トレイ14cが配設されている。原稿読取り部本体14bには原稿搬送路Dに沿って原稿搬送方向の上流側から下流側にかけてピックアップローラ22、搬送ローラ対23とレジストローラ対24、排出ローラ対25が設けられている。搬送ローラ対23は駆動ローラ23aと分離ローラ23bから構成されている。分離ローラ23bは回転負荷が所定トルクを下回る場合のみ駆動ローラ23aと逆方向に回転し、回転負荷が所定トルクを上回る場合には駆動ローラ23aと従動回転するようになっている。
【0016】
レジストローラ対24と排出ローラ対25の間には画像読取り部Rが設けられている。画像読取り位置Rには原稿載置板21への対向する向きにシェーディング補正用の白基準板26と、白基準板26の上方にあって白基準板26を原稿載置板21に押圧するための原稿押圧部26aとが設けられている。原稿搬送路Dは搬送ローラ対23から画像読取り位置Rに至る間において反転するように湾曲している。原稿搬送路Dの上流側から下流側に向けて各センサが設けられている。つまり、原稿給紙トレイ14a中央部に原稿検知センサS1が設けられ、搬送ローラ対23の下流側に給紙センサS2が設けられ、排出ローラ対25の下流側に排出センサS3が設けられている。
【0017】
原稿搬送部で原稿を搬送移動させつつ固定した露光ランプで原稿露光させるいわゆるシートスルー原稿読取り方式に基づいて以下の説明を進める。原稿給送トレイ14aに画像面を上向きにセットされたM枚の原稿は、ばね部材6aによって上向きに付勢されたセット原稿押さえ部材6bによって所定の圧力でピックアップローラ22に押しつけられる。操作パネル13のコピー開始ボタンがオンされると図示しない1次給紙駆動手段によりピックアップローラ22と搬送ローラ23が回転駆動される。原稿給紙トレイ14aにセットされた原稿はピックアップローラ22によって上面側から通常複数枚が搬送ローラ対23に送られる。搬送ローラ対23に送られた複数枚の原稿は分離ローラ23bにより最上部の1枚のみが分離されてレジストローラ対24に向けて搬送される。原稿先端が給紙センサS2によって検出されてから所定の距離だけ搬送された後、給紙駆動手段の作動停止により搬送ローラ対23の駆動ローラ23aとピックアップローラ22の回転駆動が停止され一次給紙が終了する。原稿はその先端がレジストローラ対24のニップ部に押圧されかつその先端にたわみが形成された状態で停止させられる。
【0018】
一次給紙が終了してから所定時間経過後、2次給紙が開始される。つまり図示しない2次給紙駆動手段の作動によりレジストローラ対24が回転駆動される。原稿はレジストローラ対24により画像読取り位置R及び排出ローラ対25に向けて搬送させられた後、最終的には排出ローラ対25によって原稿排出トレイ14c上に排出される。排出ローラ対の下流側に設けられた排紙センサS3により原稿の後端通過を検知したことによって原稿1枚の画像読取りの完了を検出するようになっている。排紙センサS3は原稿の給紙搬送完了毎に原稿枚数を計数するカウント機能を有しており、原稿セット検知センサS1が後続の原稿を検知していれば、2枚目以降の原稿搬送が続行される。原稿は画像読取り位置Rを通過する際に白基準板26と原稿押圧部26aによって原稿載置板21の表面を軽く押圧されながら搬送され、原稿画像面が原稿載置板を挟んで対抗する露光ランプ27によって光走査されるようになっている。
【0019】
次に、露光部15について説明する。
この実施例では、それ自体公知のシートスルー方式の画像読み込みと、一般的な光学系移動方式との両方式を採用している。図2において、露光ランプ27及び反射板28と第1ミラー29と第2ミラー30と第3ミラー31と集光レンズ32とイメージセンサ、例えばライン型のCCD33を備えている。露光ランプ27と第1ミラー29は第一キャリッジ(図示せず)上に搭載され、第2ミラー30、第3ミラー31は第二キャリッジ(図示せず)上に搭載されている。シートスルー方式での原稿読取り時には、第一キャリッジが前記画像読取り位置Rの直下に移動し、露光ランプ27からの光照射光が原稿を露光する。照射光は第1ミラー29、第2ミラー30、第3ミラー31、集光レンズ32を通じてCCD33に到達する。ここに、原稿載置板21上の原稿画像は露光部15による読取走査を受けることにより、CCD33上に縮小結像され、光電変換処理を経て電気信号となるように読取られる。なお、光学系移動方式では、コンタクトガラス上に載置した原稿を第1および第2キャリッジが移動しながら読取ることとなる。
【0020】
次に、本体ハウジング11を形成する下ハウジング11Dと連結ハウジング11Cの内、下ハウジングの構造について説明する。下ハウジング11Dの下方の給紙部にはシートカセット34と、画像形成部36と、定着装置37とが内蔵されている。シートカセット34に収容されたシート材Pは繰り出しコロ34aにより1枚ずつ送り出される。下ハウジング11Dの左側下方部には開閉可能な手差し給紙トレイ35が備えられていて、この手差し給紙トレイ35にセットされたシート材Pも繰り出しコロ35aにより1枚ずつ送り出される。
【0021】
次に画像形成部について説明する。
画像形成部36において、感光体ドラム38は負帯電性の有機感光体ドラムであって、駆動時には図示した方向に100mm/秒の速度で回転する。感光体ドラム38の表面は−5KVの高電圧が印可されたメインチャージャー39から発生したコロナ放電によって−750Vに一様帯電した後、レーザースキャニングユニット40からのビーム光の照射によって明電位−100Vと暗電位−750Vの部分からなる静電潜像が形成される。更に感光体の回転によって静電潜像は現像位置にまで回転移動する。現像装置41内部の現像ローラ41aは駆動時には現像領域において感光体ドラムと同一方向に210mm/秒の速度で回転している。現像部41内は、例えば体積平均粒径9μm(コールターカウンターによるメジアン径)の負帯電性トナー5重量部と、平均径80μm(篩い分け法)の磁性フェライトキャリア95重量部を混合して得られる現像剤を有しており、現像ローラー41aに現像バイアス電圧−550Vを印可することによって、感光体表面の露光部分にトナーが反転現像され静電潜像がトナー画像化される。
【0022】
シートカセット34或いは手差し給紙トレイ35から1枚ずつ繰り出され搬送路3を通じて上方に搬送されてきた用紙は、感光体上のトナー画像がローラ転写部42に接近するのに同期して、レジストローラ4で搬送タイミングが調整され、感光体ドラム38と転写ローラ42との間を搬送される。これによって、用紙先端とトナー画像部先端が一致してローラ転写部を通過することによってトナー画像中のトナーの大部分が用紙上に転移する。用紙上に転移せず感光体ドラム表面に残留した一部トナーは、最下流に設けられたクリーナ41によって除去される。トナー像が転写された用紙は定着装置37へ送られる。定着装置37は熱ローラ38a及び加圧ローラ38bを有し、これらローラ対によってトナー像を用紙上に定着してコピー物が得られる。
【0023】
定着ニップを通過した用紙はそのまま垂直方向の垂直搬送路42に沿って上方に搬送される。垂直搬送路42は連結ハウジング11Cに入り搬送ローラ対43を通過すると、右方向の水平搬送路44と斜め上方の搬送路45に分岐しており、その分岐箇所において用紙の搬送方向を振り分ける分岐爪46が設けられている。2図においては用紙は水平搬送路44へと進行方向を振り分けられ、下シートトレイ2上へと排出される。
【0024】
以上説明した画像形成装置に基づいて、本発明の特徴であるシール状部材、部品について説明する。尚、以下の実施形態は本発明を具体化した一例であって本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
この発明を図面に基づいて、説明する。
図1は電子機器の一例である画像形成装置を示し、この画像形成装置は、その本体の外装カバー301や、その本体フレーム(図示せず)に開閉自在に枢着された前ドア302や、本体上部に設けられた原稿押え用の圧板303や、本体内部に収容された図示していない各種要素などの多数の部品から構成されている。ここでは、その部品の一例として前ドア2を取り上げ、かかる前ドア302に本発明を適用した具体例を明らかにする。
【0025】
前ドア302は、図1に実線で示した閉位置と鎖線で示した開位置との間を回動開閉自在に本体フレームに支持されており、かかる前ドア302より成る部品には、少なくとも一枚のシート状部材が貼着されている。図1の例では、前ドア302の表面に第1のデカル304より成るシート状部材が貼り付けられ、また前ドア2の裏面には第2のデカル305が貼着されている。かかるデカル304,305は、前述のように、可撓性又は剛性を有しているシート、フィルム、又は薄い板状の部片より成り、その表面に所定の画像情報が記入されている。この例では、第1のデカル304に、図4に示す如く消耗品の注文先と画像形成装置の修理の連絡先が記入され、第2のデカル305には、図5に示すように搬送トラブルを起こした用紙の除去手順を説明する画像情報が記入されている。
このようなデカルは、複写機のユーザーやその販売業者などが、ボールペンなどで所定の情報を記入できるように構成されることも多く、例えば第1のデカル304に対して、消耗品の注文先や、修理の連絡先を、その都度販売業者が記入するように、このデカル304を構成することもできる。上述した複写機を使用し尽くしたとき、この複写機はユーザーの元からリサイクル業者のところに搬入され、ここで解体される。そして再利用可能な部品は再生されて再使用される。ここで画像形成装置の再生処理を行いやすくするため、その部品の一例である前ドア302は、熱可塑性樹脂により構成され、これに貼着されたシート状部材である第1及び第2のデカル304,305も熱可塑性樹脂より成る。しかも、前ドア2とデカル304,305は、互いに相溶性のある熱可塑性樹脂によって構成されている。このように、電子機器の部品と、これに貼着されたシート状部材が、互いに相溶性のある熱可塑性樹脂によって構成されているのである。
【0026】
上述した構成によれば、前ドア2に両デカル304,305を貼り付けたまま、これを例えば図示していないシュレッダによって一辺が5mm程のペレットに破砕し、これを加熱して溶融すれば、前ドア2を構成する樹脂材料と、デカル304,305を構成する樹脂材料とが互いに良好に溶融し合うので、かかる材料を、図示していない成形機によって所定の部品に成形すれば、充分に使用に耐え得る特性を備えた部品を再生することができる。一般に、複写機の外装カバー301や前ドア302は、PS(ポリスチレン)、PPE(ポリフェニレンエーテル)、ABS(アクリル・ブタジエン・スチレン)、又はPPO(ポリフェニルオキサイド)などの熱可塑性樹脂により構成されることが多いが、これらの樹脂材料より成る前ドア302に貼着されるデカル304,305としては、次に例示する樹脂材料を使用することが好ましい。PSより成る前ドア302に対しては、これと相溶性のある例えばPC(ポリカーボネイト)、又はPMMA(メタクリル樹脂)のほか、この前ドア302の材料と同じPSより成るデカル304,305を有利に用いることができる。またPPEより成る前ドア302に対しては、これと相溶性のある例えばPS、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ABS、PC、又はPMMAのほか、この前ドア2の材料と同じPPEより成るデカル304,305を有利に使用できる。さらに、ABSより成る前ドア302に対しては、これと相溶性のある例えばPS、PET、PC、又はPMMAのほか、この前ドア2の材料と同じABSより成るデカル304,305を有利に使用できる。またPPOより成る前ドア302に対しては、これと相溶性のある例えばPS、又はABSのほか、その前ドア302の材料と同じPPOより成るデカル304,305を有利に用いることができる。前ドア302とこれに貼着されるデカル304,305より成るシート状部材を、上に例示した如き熱可塑性樹脂によって構成することにより、かかるシート状部材を前ドア302から剥がすことなく、これをそのまま再生処理しても、その再生品の特性、例えば機械的な強度(曲げ強度や衝撃強度)などが大きく低下することはない。このようにして再生コストを低減でき、再生成形品のコストを低減することができるのである。
【0027】
ここで、電子機器の部品を構成する熱可塑性樹脂と、これに貼着されたシート状部材を構成する熱可塑性樹脂が互いに相溶性を有しているとは、上述したところから理解できるように、これらを再生して得た成形品が、その本来の目的に使用したとき、その使用に耐え得る特性を維持できる程度に、再生前の部品とシート状部材とを構成する各熱可塑性樹脂が互いに相溶性を有していることを意味している。ところで、前ドア302とデカル304,305が互いに相溶性のある熱可塑性樹脂から成るので、かかるデカル304,305を前ドア302に貼着するとき、熱融着によって両者を貼着することが可能であり、この場合には両者の貼着のために接着剤を使用する必要はない。これに対し、接着剤を使用してデカル304,305を前ドア302に貼着することもできる。
その際、使用する接着剤の量は一般に極く少量であるため、その接着剤と、前ドア302及びデカル304,305との相溶性について特に考慮しなくともよいが、この接着剤として、前ドア302とデカル304,305とに対して相溶性のある熱可塑性樹脂を用いれば、特に有利である。
【0028】
すなわち、シート状部材を電子機器の部品に貼着する接着剤として、当該部品とシート状部材とに対して相溶性のある熱可塑性樹脂を用いるのである。かかる構成を採用すれば、デカル304,305などのシート状部材を剥がすことなく前ドア302などの部品を前述のように破砕して溶融したとき、接着剤を含めたその全体の相溶性が一段と高められ、再生された成形品の特性低下をより確実に防止することができる。前ドア302とデカル304,305を接合する熱可塑性樹脂の接着剤としては、例えばPMMAを使用でき、かかる接着剤は、例えばPS、PPE、ABSなどに対して相溶性が良好であり、よってPMMAを接着剤として使用したときは、PS、PPE、又はABSなどの樹脂によって前ドア302とデカル304,305をそれぞれ構成することが好ましい。
ここで、前ドア302とデカル304、305を一体とした部材で、説明する。
図1から5に示したデカル304,305のようなシート状部材には、前述のように、例えばインク等によって画像情報(絵文字等)が記入されている。従って、このようなデカル304,305を、前述の各実施例の構成に従って、前ドア2に貼着したまま、これを再生処理すると、その再生された成形品の表面にデカル304,305上のインクが多数の点状になって現われ、その再生成形品の外観が低下するおそれがある。
【0029】
ここで、そのシート状部材に、廃棄する際にセットにする部品の情報が記載されている(図6)。つまり、シール状部材には、「部材Aと部材Bと部材Cとをセットで廃棄して下さい。」と記載されているので、破棄する部材が、ユーザーとって明確になる。また、「単独廃棄は、できません。許容値のマイナスのものとセットし、総和を0以下にして廃棄してください」と併せて記載することもできる。
【0030】
また、図6に示したように、このシート部材には、電子機器若しくは、画像形成装置全体が記載されている。具体的には、部材Aと部材Bと部材Cのある場所を、ハッチングし、かつ、許容に関する情報を記入している。この為、ユーザーは、セットで廃棄する部材を、正確に把握することが可能となる。
【0031】
ここで、このシート部材(図3〜6)には、例えば、「単独廃棄は、できません。許容値のマイナスのものとセットし、総和を0以下にして廃棄してください」更には「部材Aと部材Bと部材Cとをセットで廃棄して下さい。」等の情報や、許容値Qnが記載されている。
例えば、部材A、B、C、D、E、Fがあり、それぞれの許容値Qnを、Qa=−5、Qb=−5、Qc=+3、Qd=+7、Qe=+4、Qf=−4とすると、もちろん、この場合は、Qc、Qd、Qeの単独廃棄は、不可能である。
しかし、QaとQcのセット廃棄は、Qa+Qc=−2で、廃棄可能である。
QaとQdのセット廃棄は、Qa+Qd=+2で、廃棄不可能である。
QaとQbとQdのセット廃棄は、Qa+Qb+Qd=−3で、廃棄可能である。
QaとQeのセット廃棄は、Qa+Qe=−1で、廃棄可能である。
この為、ユーザーは、この値と総和ΣQnを考慮しながら、廃棄すべき部材を、検討して、廃棄するので、セットで廃棄する部材を、正確に把握することが可能となる。なお、電子機器の部品に、上記記載を、印字するか、刻印することも可能である。
【0032】
【発明の効果】
このように、本特許発明の画像形成装置によれば、部品の表面積に対して、そのシール状部材の画像情報の表面積の割合が決まっているので、部品の大きさに応じて、画像情報の表面積が制約される為、大きな部品には、広い画像情報の表面積を供給することができる。しかも、そうすることによって、部品にシート状部材を貼着したまま再生処理しても、その再生された成形品の特性が大きく低下する不具合を阻止することができ、再生コストを低減でき、再生した成形品の外観低下を阻止できるという効果がある。そして、許容値ΣQnを考慮するとこによって、シール状部材を張った1つの樹脂部品で、一定の割合を、満たしていなくても、全体(組立部品)として、一定の割合を、クリアしていれば、すでに、1つの部品で、上記の割合に余裕があれば、その他の部品で、上記の割合を上回っても、許容できる。つまり、上記の割合を上回った部品において、画像情報部分の大きいシール状部材を、使用できるので、ユーザーに対してハンドリングのいい操作シール(例えば、画像情報部分の大きいシール等)を、貼付することができる。また、それによって、PL法を遵守することもできるようになるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にしたがって、画像形成装置全体を示す斜視図。
【図2】 本発明の画像形成装置全体を示す断面図。
【図3】 図1に示した複写機の前ドアに貼着された第1のデカルの正面図である。
【図4】 図1に示した複写機の前ドアに貼着された第2のデカルの正面図である。
【図5】 図1に示した複写機の前ドアに貼着された第1と第2のデカル(変形例1)の正面図である。
【図6】 図1に示した複写機の前ドアに貼着された第1と第2のデカル(変形例2)の正面図である。
【符号の説明】
72 操作表示部
100 画像形成装置
301 本体の外装カバー
302 前ドア
304 第1のデカル
305 第2のデカル
310 天カバー
311 後カバー

Claims (3)

  1. 熱可塑性樹脂の電子機器の部品に貼付される該部品と相溶性のある熱可塑性樹脂のシート状部材において、
    上記シート状部材には互いに相溶性のある複数の上記部品を組み合わせてセットで廃棄するための組み合わせ可能な数値情報としての許容値が記載されていることを特徴とするシート状部材。
  2. 画像情報の記入された熱可塑性樹脂のシート状部材を貼付した電子機器の部品において、上記電子機器の部品は、上記シート状部材と相溶性のある熱可塑性樹脂にて形成されると共に上記シート状部材には互いに相溶性のある複数の上記部品を組み合わせてセットで廃棄するための組み合わせ可能な数値情報としての許容値が記載されていることを特徴とする電子機器の部品。
  3. 上記シート状部材には、廃棄する際にセットにする部品の情報が記載されている請求項2記載の電子機器の部品。
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