JP3744687B2 - インクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室と、この圧力発生室内にインク吐出の圧力を発生する圧力発生手段とを具備するインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧電振動子や発熱素子によって圧力発生室内に圧力を発生させ、その圧力によりノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドには、圧力発生手段として圧力発生室内に駆動信号によりジュール熱を発生する抵抗線を設けたバブルジェット式のものと、圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電振動子により変形させてノズル開口からインク滴を吐出させる圧電振動式の2種類のものに大別される。また、圧電振動式のインクジェット式記録ヘッドには、圧電振動子の軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電振動子を使用したものと、たわみ振動モードの圧電振動子を使用したものの2種類が実用化されている。
【0003】
前者は圧電振動子の端面を振動板に当接させることにより圧力発生室の容積を変化させることができて、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反面、圧電振動子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた圧電振動子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
【0004】
これに対して後者は、圧電材料のグリーンシートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電振動子を作り付けることができる。
【0005】
また、特開平5−286131号公報に見られるように、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生室毎に独立するように圧電振動子を形成したものも提案されている。
【0006】
このようなインクジェット式記録ヘッドでは、帯電した記録紙などの被記録物や外部からの静電気が記録ヘッド本体の金属部品に放電されて、記録ヘッド本体内の吐出手段やドライバIC等を破壊する事態を防ぐために、ノズル板の周囲を覆う金属カバーを備えたり、ノズル板に配線を施してアースに落したりしている。
【0007】
また、印刷品位をよくするためには、インク滴の速度差や、インク滴の曲がり吐出に起因するインク滴の着弾ズレを防ぐことが必要であり、そのために、例えば、紙、フィルム等の被記録物とノズルとの間隔であるペーパーギャップ又はプラテンギャップ(以下、PGという)は、限りなく零に近い方がよい。しかし、被記録物の反りやうねりによって、ノズルと被記録物とが接触すると当然インクが付着して被記録物を汚してしまう。したがって、汚れを防ぐためにはできるだけPGを大きくすることが望ましい。この相反する要求の妥協点として、一般にPG値は1mm前後に設定されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
一方、近年、さらに高品位印刷を実行するために、微小インク滴による高解像度印刷が必要となり、それに伴いインク滴の着弾位置精度もより正確さが要求されている。そのためには、PG値を例えば、0.1mmでも小さくすることが必要となる。
【0009】
しかしながら、記録ヘッドを金属カバー等で固定するためには、その厚さ、例えば、0.2〜0.3mmの分だけ余計にPG値を大きくしなければならないという問題がある。また、ノズル板を接地するには確実な電気接続が必要であり、且つ、その配線の引き回しについても記録ヘッドを構成する他の部品に対する影響を無くさなければならないという問題がある。さらには、記録ヘッドの小型化や組立性の向上、部品コストの削減等も要望されている。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑み、PG値をより小さくでき、組立性を向上したインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、ノズル開口が穿設されたノズルプレートと前記ノズル開口に連通する圧力発生室の列を有する流路形成基板と該流路形成基板の一方面側に設けられて前記圧力発生室にインク吐出のための圧力を発生させる圧力発生手段とを具備する記録ヘッド本体と、インク供給手段と前記圧力発生室とを連通するインク流路を有し且つ前記記録ヘッド本体を保持固定するヘッドケースとを具備するインクジェット式記録ヘッドにおいて、前記記録ヘッド本体は、前記ヘッドケースの被印刷物に対向する端面に設けられると共に、当該記録ヘッド本体の前記被印刷物に対する側の全面が前記流路形成基板の他方面側に接合された前記ノズルプレートで構成され、且つ前記ヘッドケースの前記端面の少なくとも前記記録ヘッド本体の周囲には少なくとも一部で接地された導電層が設けられていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0012】
かかる第1の態様では、ヘッド周囲の静電気がヘッドケースの導電層を介して外部へ放電され、記録ヘッド本体の金属部品に帯電することがない。
【0013】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記ヘッドケースの被印刷物に対向する端面に設けられた凹部内に、前記記録ヘッド本体が設けられていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0014】
かかる第2の態様では、記録ヘッド本体が、ヘッドケースの凹部内に保持固定され、その周囲に導電層が設けられる。
【0015】
本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記凹部の周縁部が、その中に設けられた前記記録ヘッド本体よりも突出していることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0016】
かかる第3の態様では、印刷時の記録ヘッド本体と被印刷物との接触が防止され、また、静電気が記録ヘッド本体の周囲の導電層へ放電され易い。
【0017】
本発明の第4の態様は、第2又は3の態様において、前記導電層は、前記ヘッドケースの端面の記録ヘッド本体以外の部分及びその側面の少なくとも一部に設けられていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0018】
かかる第4の態様では、ヘッドケースの端面で静電気を受け、側面から放電することができる。
【0019】
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様において、前記ヘッドケースは、導電性樹脂で形成され、前記導電層が一体的に設けられていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0020】
かかる第5の態様では、導電層をヘッドケース本体と一体的に形成することができる。
【0021】
本発明の第6の態様は、第1〜4の何れかの態様において、前記導電層は、前記ヘッドケースに導電性塗料を塗布することにより形成されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0022】
かかる第6の態様では、導電層を容易に形成することができる。
【0023】
本発明の第7の態様は、第1〜4の何れかの態様において、前記導電層は、前記ヘッドケースに導電性箔をホットスタンプで転写することにより形成されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0024】
かかる第7の態様では、導電層を容易に形成することができる。
【0025】
本発明の第8の態様は、第1〜4の何れかの態様において、前記導電層は、前記ヘッドケースにメッキを施すことにより形成されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0026】
かかる第8の態様では、導電層を容易に形成することができる。
【0027】
本発明の第9の態様は、第1〜8の何れかの態様において、前記圧力発生手段は、前記圧力発生室の一方面に設けられた弾性膜上に配設された圧電振動子であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0028】
かかる第9の態様では、各圧電振動子の駆動によりインク滴を吐出することができる。
【0029】
本発明の第10の態様は、第9の態様において、前記流路形成基板がセラミックスで形成され、前記圧電振動子の各層がグリーンシート貼付又は印刷により形成されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0030】
かかる第10の態様では、グリーンシートを積層して焼成することによりヘッドを容易に製造することができる。
【0031】
本発明の第11の態様は、第9の態様において、前記流路形成基板がシリコン単結晶基板からなり、前記圧力発生室が異方性エッチングにより形成され、前記圧電振動子の各層が薄膜及びリソグラフィ法により形成されたものであることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0032】
かかる第11の態様では、高密度のノズル開口を有するインクジェット式記録ヘッドを大量に且つ比較的容易に製造することができる。
【0033】
本発明の第12の態様は、第1〜8の何れかの態様において、前記圧力発生手段は、前記圧力発生室内に設けられた発熱素子であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドにある。
【0034】
かかる第12の態様では、各発熱素子を加熱することにより、インク滴を吐出することができる。
【0035】
本発明の第13の態様は、第1〜12の何れかの態様のインクジェット式記録ヘッドを具備することを特徴とするインクジェット式記録装置にある。
【0036】
かかる第13の態様では、静電気から記録ヘッドを保護しつつ、PGを小さくできるので、高品位印刷が実行可能で信頼性の高いインクジェット式記録装置が実現される。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0038】
(実施形態1)
図1は本発明に使用するインクジェット式記録ヘッドの一例を概略を示す斜視図、図2はその断面図、図3は、ヘッドケースの断面図である。
【0039】
本実施形態に係るインクジェット式記録ユニット1は、図示するように、インクジェット式記録ヘッドを構成するヘッドケース2及び記録ヘッド本体3と、大略インクカートリッジ4を収容するインクカートリッジ収容室5aを画成するホルダ5とを有する。
【0040】
ヘッドケース2は、ホルダ5の底面部に固定されている。そして、ヘッドケース2の下端部には、記録ヘッド本体3を固定するための凹部2aが形成され、この凹部2a内に、記録ヘッド本体3が、例えば、接着剤等で固定されている。また、この凹部2aは、少なくとも記録ヘッド本体3の厚さよりも深く形成することが好ましく、且つ記録ヘッド本体3の端面とヘッドケース2の端面との差は、極力小さい方が好ましい。例えば、本実施形態では、両者の端面の差を約0.05mmとなるように形成した。これにより、記録ヘッド本体3をヘッドケース2に固定した際、記録ヘッド本体3の端面がヘッドケース2の端面よりも突出しないようにしている。
【0041】
また、ヘッドケース2には、記録ヘッド本体3とインクカートリッジ4とを連通するインク流路2bが設けられており、インク流路2bの記録ヘッド本体3とは反対側の端部には、インクカートリッジ4に挿入されるインク供給針6が固定されている。
【0042】
このようなヘッドケース2は、本実施形態では、インク溶媒に対する耐久性、ガスバリア性、射出成形性、熱溶着性、及び接着性を備えた高分子材料、例えば、環状オレフィンコポリマ樹脂等に、例えば、カーボンブラック、金属粉末又は金属酸化物などを導電性フィラーを混入させて導電性を付与した導電性樹脂で形成されている。
【0043】
一方、ホルダ5の上部には、インクカートリッジ4を固定すると共に、収容室5aへのインクカートリッジ4の押し込み、及び引き上げを行うインクカートリッジ固定レバー7が設けられている。
【0044】
また、ホルダ5の後面には、記録ヘッド本体3を駆動する駆動回路を実装した回路基板8が配設され、フレキシブルケーブル9により記録ヘッド本体3に接続されている。
【0045】
ここで、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドに用いられる記録ヘッド本体の一例を示す。図4、記録ヘッド本体の一例を示す断面図である。
【0046】
このような記録ヘッド本体は、例えば、図4に示すように、圧力発生室31が形成された流路形成基板32の一方面に、弾性膜33が形成されている。そして、この弾性膜33上には、下電極膜34、圧電体膜35及び上電極膜36が積層及びパターニングされ、各圧力発生室31毎に圧電振動子300を構成している。この圧電振動子300上には、電気絶縁性を備えた絶縁体層37が形成され、さらに、絶縁体層37の各圧電体振動子300に対応する部分には、リード電極38と接続するために上電極膜36の一部を露出させるコンタクトホール37aが形成されている。このコンタクトホール37aを介して、各上電極膜36に一端が接続し、また他端が接続端子部に延びるリード電極38が形成されている。
【0047】
一方、流路形成基板32の他方面側には、ノズル41aが穿設されたノズル形成基板41が設けられ、このノズル41aと圧力発生室31とを連通するノズル連通孔42が封止板43、共通インク室形成基板44、薄肉板45、及びインク室側板46を貫通するように配されている。
【0048】
また、封止板43、共通インク室形成基板44及び薄肉板45により、共通インク室47が形成されている。この共通インク室47と各圧力発生室31とは封止板43に形成されたインク供給連通孔48を介して連通されており、また、封止板43には、外部からインク供給を受けるインク導入口49が形成されている。また、この共通インク室47に対向する部分のインク室側板46に開口46aが形成されている。この開口46a部分の薄肉壁45により、インクを吐出する際に発生するノズル41aと反対側に向かう圧力が吸収され、他の圧力発生室31に、共通インク室47を経由して不要な正又は負の圧力が加わるのを防止している。
【0049】
このような記録ヘッド本体3は、上述のように、ヘッドケース2の凹部2aに接着剤を介して固着され、インク導入口49とインク流路2bとが連通され、このインク導入口49から共通インク室47にインクが供給され、インク供給連通孔48を介して各圧力発生室31に分配される。そして、ノズル41aに至るまで内部をインクで満たした後、図示しない外部の駆動回路からの記録信号に従い、リード電極38を介して下電極膜34と上電極膜36との間に電圧を印加し、弾性膜33、下電極膜34及び圧電体膜35を撓み変形させることにより、圧力発生室31内の圧力が高まりノズル41aからインクを吐出する。
【0050】
上述のような構成のインクジェット式記録ユニットは、その後、インクジェット式記録装置に搭載される。図5は、本実施形態に係るインクジェット式記録ユニットが搭載されるインクジェット式記録装置の概略図であり、図6は、その要部を示す断面図である。
【0051】
インクジェット式記録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ4A及び4Bが着脱可能に設けられ、キャリッジ10に搭載される。また、記録ヘッドユニット1A,1Bは、印刷の際に、記録ヘッド本体3のノズル開口と記録シートSとの距離、いわゆるPG値が約0.8mmとなるように搭載されている。なお、この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
【0052】
この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ10は、装置本体11に取り付けられたキャリッジ軸12に軸方向移動自在に設けられている。そして、本実施形態では、記録ヘッドユニット1A,1Bのヘッドケース2の側面とキャリッジ軸12とを接続する接地板13が設けられている。この接地板13は、ヘッドケース2の静電気を放電するためのものであり、例えば、ステンレス鋼板等の金属で形成されている。
【0053】
また、記録ヘッドユニット1A,1Bのキャリッジ10側近傍には、例えば、紙等の記録媒体である記録シートSを搬送するための給紙ローラ14及び紙押さえローラ15Aが対向して設けられ、また、記録ヘッドユニット1A,1Bの反対側には、記録シートSを排出するための紙送りローラ16及び紙押さえローラ15Bが対向して設けられている。また、これら給紙ローラ14と紙送りローラ16との間には、記録シートSのガイドとなる一対の紙案内17が設けられている。
【0054】
これにより、記録シートSは、給紙ローラ14を回転させることにより、対向する紙押さえローラ15Aとの間から一対の紙案内17の間を通して、記録ヘッド本体3に対向するように給紙される。そして、駆動モータ18の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト19を介してキャリッジ10に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ10はキャリッジ軸12に沿って移動され、記録ヘッド本体3によって記録シートSへの印刷が実行される。その後、記録シートSは、紙送りローラ16及び紙押えローラ15Bによって排出される。
【0055】
このようにして、記録シートSを搬送して、記録ヘッド本体3によって印刷を実行する際には、記録シートSの摩擦等により静電気が発生するが、本実施形態では、上述のように、ヘッドケース2を導電性樹脂で形成し、ヘッドケース2の側面とキャリッジ軸12とを接地板13で接続しているため、静電気がヘッドケース2及び接地板13を介してキャリッジ軸12に放電される。したがって、印刷の際等に、静電気が記録ヘッド本体3の金属部品に帯電することなく、静電気による記録ヘッドの破壊等を防止することができる。
【0056】
さらに、本実施形態では、記録ヘッド本体3の端面とヘッドケース2の端面との差を小さくすることにより、PG値を小さくしたので、インク滴の着弾位置精度を向上することができる。
【0057】
(実施形態2)
図7は、実施形態2に係るヘッドケースの断面図及び平面図である。
【0058】
本実施形態は、ヘッドケース2を導電性を付与した樹脂で形成する代わりに、例えば、環状オレフィンコポリマ樹脂等で射出成形等によって形成し、図7に示すように、ヘッドケース2の記録ヘッド本体3側の端面及び側面に導電性塗料を塗布して、導電性を有する導電層20を形成した。そして、記録ヘッド本体3の側面側の導電層20とキャリッジ軸12とを接地板13で接続するようにした以外は、実施形態1と同様である。
【0059】
このような構成においても、静電気が導電層20及び接地板13を介してキャリッジ軸12に放電され、実施形態1と同様に、記録ヘッド本体3の金属部品が帯電することがなく、静電気による記録ヘッド本体の破壊等が防止される。
【0060】
また、この導電層20は、導電性塗料で形成することに限定されず、例えば、導電性箔で形成するようにしてもよい。導電層20を導電性箔で形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、図8に示すように、支持台51上に固定したヘッドケース2上に導電性箔52を配置し、ヘッドケース2とは反対側から、例えば、熱板53等によって熱したシリコーンゴム54を押しつける、いわゆる、ホットスタンプによって転写することにより形成することができる。
【0061】
また、導電層20は、例えば、ヘッドケース2に導電性皮膜となるメッキを施すことにより形成するようにしてもよい。このヘッドケース2へのメッキ方法としては、特に限定されず、ヘッドケース2上に確実にメッキできる方法であればよい。
【0062】
ここで、ヘッドケース2へのメッキ方法の一例を示す。図9は、本実施形態のメッキ方法の工程を示す図である。
【0063】
まず、図9(a)に示すようにヘッドケース2を射出成形等により形成する。次いで、図9(b)に示すように、例えば、ヘッドケース2の表面を硫酸等によりエッチングして、表面を粗くする。次いで、図9(c)に示すように、例えば、PdCl2とSnCl2とを含む溶液を反応させて、ヘッドケース2の粗くした表面にPd核61を付着形成する。なお、付着させる核は、Pd核に限定されず、例えば、Ag核であってもよい。次に、図9(d)に示すように、無電解ニッケルメッキ液に浸して、Pd核61の周りに導電性皮膜であるニッケル層62を約1μm程度に形成、成長させる。その後、図9(e)に示すように、通常の電解ニッケルメッキで所定の厚さ、例えば、本実施形態では、約10μm程度の厚さにニッケル層62を形成し、このニッケル層62を導電層20として用いる。
【0064】
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。
【0065】
例えば、上述の各実施形態では、成膜及びリソグラフィプロセスを応用して製造される薄膜型の記録ヘッド本体を有するインクジェット式記録ヘッドを例にしたが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型の記録ヘッド本体を有するインクジェット式記録ヘッドにも本発明を採用することができる。
【0066】
また、上述の実施形態では、たわみ変位型の圧電振動子を有する記録ヘッド本体を有するインクジェット式記録ヘッドについて説明したが、例えば、圧電材料と電極形成材料とをサンドイッチ状に交互に挟んで積層した構造の縦振動モードの圧電振動子を有する記録ヘッド本体を有するインクジェット式記録ヘッドにも応用することができる。
【0067】
さらに、上述した圧電振動式のものに限定されず、例えば、バブルジェット式のもの等、種々の構造のインクジェット式記録ヘッドに応用することができることはいうまでもない。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、印刷時などに発生する静電気をヘッドケースを介して放電させることができるので、記録ヘッド本体の金属部品等に静電気が帯電することがない。したがって、静電気による記録ヘッド本体の破壊等を防止することができる。また、記録ヘッド本体を保護する金属カバーを必要としないので、PG値をより小さくすることができ、インク滴の着弾位置精度を向上することができ、高品位印刷を実現することができる。さらには、部品点数が減少するため、組立性の向上及びコストの削減等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ユニットの組立斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ユニットの断面図である。
【図3】本発明の実施形態1の係るヘッドケースの断面図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る記録ヘッド本体の一例を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録装置の概略図である。
【図6】本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドの要部断面図である。
【図7】本発明の実施形態2に係るヘッドケースの断面図及び平面図である。
【図8】本発明の実施形態2に係る導電層の形成方法の一例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態2に係る導電層の形成方法の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 インクジェット式記録ユニット
2 ヘッドケース
2a 凹部
2b インク流路
3 記録ヘッド本体
4 インクカートリッジ
5 ホルダ
13 接地板
20 導電層
Claims (13)
- ノズル開口が穿設されたノズルプレートと前記ノズル開口に連通する圧力発生室の列を有する流路形成基板と該流路形成基板の一方面側に設けられて前記圧力発生室にインク吐出のための圧力を発生させる圧力発生手段とを具備する記録ヘッド本体と、インク供給手段と前記圧力発生室とを連通するインク流路を有し且つ前記記録ヘッド本体を保持固定するヘッドケースとを具備するインクジェット式記録ヘッドにおいて、
前記記録ヘッド本体は、前記ヘッドケースの被印刷物に対向する端面に設けられると共に、当該記録ヘッド本体の前記被印刷物に対する側の全面が前記流路形成基板の他方面側に接合された前記ノズルプレートで構成され、且つ前記ヘッドケースの前記端面の少なくとも前記記録ヘッド本体の周囲には少なくとも一部で接地された導電層が設けられていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。 - 請求項1において、前記ヘッドケースの被印刷物に対向する端面に設けられた凹部内に、前記記録ヘッド本体が設けられていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
- 請求項2において、前記凹部の周縁部が、その中に設けられた前記記録ヘッド本体よりも突出していることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
- 請求項2又は3において、前記導電層は、前記ヘッドケースの端面の記録ヘッド本体以外の部分及びその側面の少なくとも一部に設けられていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
- 請求項1〜4の何れかにおいて、前記ヘッドケースは、導電性樹脂で形成され、前記導電層が一体的に設けられていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
- 請求項1〜4の何れかにおいて、前記導電層は、前記ヘッドケースに導電性塗料を塗布することにより形成されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
- 請求項1〜4の何れかにおいて、前記導電層は、前記ヘッドケースに導電性箔をホットスタンプで転写することにより形成されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
- 請求項1〜4の何れかにおいて、前記導電層は、前記ヘッドケースにメッキを施すことにより形成されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
- 請求項1〜8の何れかにおいて、前記圧力発生手段は、前記圧力発生室を成した流路形成基板の一方面に設けられた弾性膜上に配設された圧電振動子であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
- 請求項9において、前記流路形成基板がセラミックスで形成され、前記圧電振動子の各層がグリーンシート貼付又は印刷により形成されていることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
- 請求項9において、前記流路形成基板がシリコン単結晶基板からなり、前記圧力発生室が異方性エッチングにより形成され、前記圧電振動子の各層が薄膜及びリソグラフィ法により形成されたものであることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
- 請求項1〜8の何れかにおいて、前記圧力発生手段は、前記圧力発生室内に設けられた発熱素子であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
- 請求項1〜12の何れかのインクジェット式記録ヘッドを具備することを特徴とするインクジェット式記録装置。
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