JP3744620B2 - 画像照合装置及び画像照合方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像照合装置及び画像照合方法に関し、例えば指紋照合装置に適用することができる。本発明は、この画像照合装置において、第1及び第2の画像間の一致の程度を、第1の方向と、これと異なる、例えばこの第1の方向とほぼ直交する方向とについて測定し、この2つの測定結果に基づいて最終的な一致不一致を判定することにより、短時間で、確実に画像を照合することができるようにする。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の画像照合装置でなる指紋照合装置においては、撮像手段を介して得られた指紋の画像より、指紋の分岐、点、切れ等の特徴的な部分(以下、特徴点と呼ぶ)を抽出することにより、この特徴点を基準にして指紋を照合するようになされている。
【0003】
すなわち従来の指紋照合装置においては、例えば各指紋の特徴点とその座標値を基準にして、予め照合する指紋をデータベース化する。これに対して検査対象でなる指紋の画像を画像処理し、特徴点を抽出する。さらに抽出した特徴点によりデータベースをアクセスし、これにより対応する特徴点の有無により指紋を照合するようになされていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで従来の指紋照合においては、処理に時間を要する問題がある。短時間で、確実に指紋照合することができれば、この種の指紋照合装置の使い勝手を向上でき、便利であると考えられる。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、短時間で、確実に指紋等の画像を照合することができる画像照合装置及び画像照合方法を提案しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、検出した座標値の組み合わせより、線状の画像の相対位置関係に対応した組み合わせを検出することにより、画像の一致又は不一致を判定する構成において、この検出した座標値による組み合わせを形成する際に、部分的な組み合わせを形成して各部分的な組み合わせにおける座標値を判定し、この判定結果より、事前に、線状の画像の相対位置関係を満足しない座標値の組み合わせを処理対象より除外する。
【0007】
検出した座標値を組み合わせて、線状の画像の相対位置関係に対応する組み合わせを検出する際に、事前に、部分的な組み合わせにより、この相対位置関係を満足しない座標値の組み合わせを処理対象より除外すれば、その分最終的な組み合わせ数を低減することでき、部分的な組み合わせにより処理が増大しても、全体としては処理を簡略化することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳述する。
【0009】
(1)実施例の構成
(1─1)全体構成
図1は、本発明の実施の形態に係る指紋照合装置の全体構成を示すブロック図である。この指紋照合装置1においては、キー入力部2を介して入力されるユーザーの操作に応動してシステム制御回路3により全体の動作を制御することにより、所定のユーザーについて、事前に、指紋データ入力部4を介して指紋データD1を取り込み、この取り込んだ指紋データD1を種々のユーザーデータと共にメモリに登録して指紋データベース5を構築する。
【0010】
これに対してユーザーが指紋照合の要求を入力すると、指紋データ入力部4を介して検査対象の指紋データD2を取り込み、この取り込んだ指紋データD2を検査指紋メモリ6に一時保持する。さらにキー入力部2を介して入力されるユーザーの操作に応動して、検査指紋メモリ6に一時保持した指紋データD2と、指紋データベース5に登録された対応する指紋データD1とを照合率検出部7に入力する。さらにこれら指紋データD1及びD2間の一致の程度を検出し、システム制御回路3において、この一致の程度に応じて指紋の一致不一致を判断する。
【0011】
これにより指紋照合装置1は、データベース化されて、ユーザーの入力したユーザーIDにより特定される指紋データD1と、指紋データ入力部4を介して入力される指紋データD2とが一致するか否か判断することにより、指紋照合を要求したユーザーが該当する人物か否か判断し、判断結果を出力する。またこの一致の程度に応じて、必要に応じて指紋データベース5の更新処理等を実行し、照合結果を記録する。なお指紋照合装置1においては、表示部8を介してユーザーにメッセージを通知し、これにより必要な指示をユーザーに通知して、例えばユーザーIDの入力等を促すようになされている。
【0012】
(1−1)指紋データ入力部
図2は、指紋データ入力部を示すブロック図である。この指紋データ入力部4においては、所定の光学系を介して、所定の指載置位置に保持されたユーザーの指より指紋を撮像し、この撮像結果より指紋データD1及びD2を生成する。
【0013】
ここでこの光学系は、指紋を採取する指を底面に載置可能に保持された二等辺三角形プリズム11と、この二等辺三角形プリズム11の斜面より底面を照明する光源12と、底面で反射された光源12の照明光を残る斜面より撮像するCCDカメラ13とにより構成される。なお光源12は、発光ダイオードアレイ等により構成される。
【0014】
これによりこの光学系は、二等辺三角形プリズム11の底面に皮膚が接触していない部分については、光源12から射出された照明光を底面により全反射してCCDカメラ13に導き、これとは逆に、二等辺三角形プリズム11の底面に皮膚が接触している部分については、底面において照明光を乱反射してCCDカメラ13へ照明光が入射しないようにする。その結果この光学系は、図3に示すように、指紋の模様に対応した明暗の画像をCCDカメラ13よりビデオ信号SVの形式で出力するようになされている。
【0015】
なおこの実施の形態において、CCDカメラ13は、4:3のアスペクト比により、指の先端から付け根方向が撮像結果の水平方向になるように、指を撮像する。この場合、指の周囲の空白部分については、何ら二等辺三角形プリズム11の底面に貼り着いていないことにより、高輝度レベルで撮像されることになる。
【0016】
比較回路14は、このビデオ信号SVを2値化して2値化信号S1を出力する。ラッチ回路18は、タイミングジェネレータ(TG)19より出力されるクロックを基準にしてこの2値化信号S1をCCDカメラ13の各画素に対応したタイミングでサンプリングし、1ビットの画像データDV1を出力する。間引き回路20は、この画像データDV1を間欠的に取り込むことにより、一定の割合で間引きして出力し、シリアルパラレル変換回路(S/P)21は、この2ビットの画像データDV1を8バイト単位で取り込んで間欠的に出力することにより、1ビット×8バイトの画像データDV1を8ビット×1バイトの指紋データD1又はD2に変換してデータバスBUSに出力する。
【0017】
(1−1−1)光量補正
ここで比較回路14は、基準電圧生成回路15より出力される基準電圧REFを基準にして2値化信号S1を生成し、この実施の形態ではこの基準電圧REFにより光学系の光量ムラを補正する。
【0018】
すなわち図4に1水平走査期間を基準にして示すように、このような光学系に光量のムラがある場合、撮像結果でなるビデオ信号SVにおいては、この光量ムラにより信号レベルが変化し(図4(A))、これにより一定の基準電圧SLにより2値化したのでは、一般に光量の低下する周辺部で、信号レベルの立ち上がる期間が短くなるように2値化信号S1が生成される(図4(B))。すなわち正しく2値化信号を生成することが困難になり、その分指紋の照合精度も劣化することになる。
【0019】
このためこの実施の形態では、何ら指紋の撮像しない状態でビデオ信号SVの信号レベルを検出することにより(図4(C))、この光学系により光量ムラを検出する。さらにこの検出した信号レベルを所定値だけ0レベル側にオフセットさせて基準電圧REFを設定し、この基準電圧REFにより2値化信号を生成する(図4(D)及び(E))。これにより指紋照合装置1においては、光量ムラを補正して、指紋照合精度を向上するようになされている。また待機状態におけるこの基準電圧REFと撮像結果との比較結果に基づいて、指載置位置の汚れ、光源12の劣化を検出して警告を発するようになされ、これによっても指紋照合精度を向上するようになされている。
【0020】
具体的に、この実施の形態では、図5に示すように、間引き回路20より出力される画像を、水平方向及び垂直方向に、8画素単位で等間隔に分割し、これにより複数のセグメントを形成する。基準電圧生成回路15は、各セグメントの基準データを保持するラッチ回路と、各ラッチ回路の基準データを対応するタイミングでディジタルアナログ変換処理して出力するディジタルアナログ変換回路により構成され、これにより各セグメントで対応する基準電圧REFを出力する。
【0021】
ここでこの基準データは、工場出荷時、このCCDカメラ13より出力されるビデオ信号SVの信号レベルを検出して、この信号レベル検出結果より光量補正メモリ16に事前に登録される。さらに電源起動時、システム制御回路3により基準電圧生成回路15にセットされる。これにより指紋照合装置1では、図6に示すように、例えばX方向について、中心より周囲の部分でビデオ信号SVの光量が不足している場合、この光量の変化に対応するように基準電圧REFを切り換え、光量ムラを有する簡易な構成の光学系によっても、指紋の凹凸に対応して撮像結果を正しく2値化できるようになされている。
【0022】
かくするにつき光量補正メモリ16は、光量補正用の基準データを保持する不揮発性のメモリにより構成されるようになされている。
【0023】
(1−1−2)しきい値の補正
ところでこのように二等辺三角形プリズム11に指を載置する場合、底面に対する指の押圧力により皮膚の接触面積が変化することになる。これによりビデオ信号SVにおいては、この押圧力により全体の信号レベルが変化することになる。すなわち図7に示すように、押圧力が大きい場合は、黒レベルの範囲が増大するように、全体の信号レベルが低下し(図7(A))、これとは逆に押圧力が小さい場合は、白レベルの範囲が増大するように、全体の信号レベルが増大することになる(図7(B))。また発汗の程度によっても同様の現象が発生する。これにより指紋照合装置1では、押圧力等に応じて、2値化信号S1が変化し、この2値化信号S1より得られる指紋照合結果が変化することになる。
【0024】
比較回路14は、システム制御回路3により基準電圧生成回路15にセットされる光量補正用の基準データが、しきい値補正メモリ24に格納された補正データにより補正されることにより、撮像結果に応じて、セグメント単位で基準電圧REFが補正され、これにより押圧力、二等辺三角形プリズム11の表面状態等が変化しても正しく2値化信号S1を出力できるようになされている。
【0025】
ここでこのしきい値補正メモリ24に格納される補正データは、データバスBUSに出力される指紋データD1を選択的にシステム制御回路3に入力し、このシステム制御回路3において、この指紋データD1の論理レベルを検出して2値化信号S1の信号レベルが立ち下がる期間T1が、全体の期間T2に対して30〜70〔%〕の範囲に収まるように(図7(C))、指紋データD1の測定結果に基づいて設定される。
【0026】
比較回路14においては、この補正データにより補正された基準電圧REFにより2値化信号S1を出力し、この2値化信号S1において、さらにしきい値補正メモリ24の内容が更新され、この一連の処理が繰り返されて、期間T1及びT2の総和が各セグメントで一定範囲内に収まると、しきい値補正メモリ24の更新処理が終了する。
【0027】
これにより指紋照合装置1においては、各セグメント毎にしきい値でなる基準電圧REFの信号レベルを最適値に設定し、指の押圧力等が変化しても、正しい照合結果を出力できるようになされている。
【0028】
(1−1−3)しきい値の切り換え
指紋照合装置1においては、このようにして基準電圧REFが設定されると、指紋データベース5又は検査指紋メモリ6への指紋データD1、D2の取り込みが開始され、比較回路14においては、図8に示すように、光量補正メモリ16の基準データにより決まる基準電圧REFにより2値化信号S1を出力した後(図8(A)及び(B1))、この基準電圧REFに対して所定電圧だけ正側及び負側に変移してなる第1及び第2の基準電圧REF1及びREF2により順次2値化信号S1を出力する(図8(A)、(B2)及び(B3))。なおこの図8においては、基準電圧REFにより光量ムラを補正していない場合を示す。
【0029】
ここでこの基準電圧REFの切り換えは、システム制御回路3により、光量補正メモリ16の基準データが、しきい値補正メモリ24の内容により補正された状態で、さらに所定値だけ補正されて、基準電圧生成回路15に改めてセットされることにより実行される。これにより指紋照合装置1では、指の押圧力、二等辺三角形プリズム11の表面状態の変化等による照合精度の劣化を有効に回避し、正しい照合結果を出力できるようになされている。
【0030】
(1−1−4)指紋データの出力
このようにして指紋データD1及びD2を出力するにつき、タイミングジェネレータ19は、ビデオ信号SVを基準にして、この指紋照合装置1の各種クロック等を生成し、システム制御回路3からの指示により、間引き回路20に出力するクロックの周期を切り換える。これにより間引き回路20においては、指紋データD1、D2の採取対象でなる指の大きさに応じて間引き率を切り換えるようになされ、指紋照合装置1においては、指が小さい場合には、画像データDV1より間引き率を低減して指紋データD1、D2を生成し、確実に指紋照合できるようになされている。
【0031】
(1−1−5)脈波検出部
脈波検出部22は、指載置位置の側方に配置された圧力センサ23と、この圧力センサ23の検出結果をシステム制御回路3に出力する周辺回路とにより構成される。ここで圧力センサ23は、指載置位置に指を載置すると、システム制御回路3からの指令により図示しない押圧機構と共に、この指の側面を押圧するように構成され、この状態で指の血流に応じて変化する圧力検出結果を出力するようになされている。
【0032】
かくするにつき、この圧力検出結果においては、血流の脈動に応じて変化することにより、システム制御回路3においては、この圧力検出結果(すなわち脈波の検出結果でなる)により指の生体反応を検出することができる。これによりこの指紋照合装置1では、この圧力検出結果に基づいて人間の指が載置されたと判断することができるときだけ、指紋登録の処理及び指紋照合の処理を実行し、セキュリティを向上するようになされている。なおこの実施の形態においては、システム制御回路3により指紋データD1、D2の論理レベルを監視し、この論理レベルの変化をトリガにして指の載置を検出した後、続いてこの脈波検出部22の検出結果に基づいて、人間の指が載置されたと判断することができるときだけ、一連の照合処理等を開始するようになされている。
【0033】
(1−2)指紋データベース5及び検査指紋メモリ6
(1−2−1)検査指紋メモリ6
図9は、指紋データベース5及び検査指紋メモリ6を周辺回路と共に示すブロック図である。ここで検査指紋メモリ6は、指紋データベース5への指紋データD1の登録時、また指紋照合時、上述した指紋データ入力部4より出力される指紋データD1、D2を保持する。
【0034】
すなわち検査指紋メモリ6は、システム制御回路3により制御されてメモリ制御回路30により実行されるアドレス制御により、通常の間引き率で指紋データ入力部4より入力される指紋データD1、D2については、CCDカメラ13の画素に対して1/2の画素を間引きしてなる水平方向に256ピクセル、垂直方向に128ピクセルの指紋データD1、D2を格納する。これに対して指の大きさに応じて間引き率が切り換えられて入力される場合は、指紋データD1、D2により形成される画像の一部領域についてのみ選択的に入力し、これにより通常の場合と同様の、水平方向に256ピクセル、垂直方向に128ピクセルの指紋データD1、D2を格納する。これにより指紋照合装置1においては、間引き率を可変して取り込んだ画像についても、通常と同一の処理により指紋照合できるようになされている。
【0035】
さらにこのとき検査指紋メモリ6は、指紋データ入力部4より出力される指紋データD1、D2を正立画像メモリ6Aに格納すると共に、メモリ制御回路30によるアドレス制御により順次データバスBUSを介して正立画像メモリ6Aに取り込んだ指紋データを画像回転回路31に出力する。さらに検査指紋メモリ6は、図10及び図11に示すように、画像回転回路31より出力される、元の指紋データによる画像に対して、90度回転してなる画像の指紋データD1を回転画像メモリ6Bに格納する。これにより指紋照合装置1は、元の画像に対して90度回転してなる画像を用いて、元の画像と同様の処理により指紋照合結果を検出できるようになされている。
【0036】
すなわち図12に示すように、画像回転回路31は、マトリックス状に接続された8×8ビット分のフリップフロップ回路(FF)31AA〜31HHと、セレクタ31Aにより構成され、データバスBUSより入力される指紋データD1、D2の各ビットデータをこれらフリップフロップ回路(FF)31AA〜31HHで順次8バイト分転送した後、この各ビット毎に並列的に出力することにより、セグメントを単位にして指紋データD1、D2の配列を90度変更する。これにより図13に示すように、画像回転回路31は、それぞれ数字1〜512により示すセグメントを単位にして指紋データD1、D2を入力した後、記憶手段に格納し直すことにより、図14に示すように、8ピクセル単位で2値の画像データを処理してセグメントの配列方向だけでなく画像全体の配列方向を変更できるようになされている。
【0037】
かくするにつき検査指紋メモリ6は、正立画像メモリ6Aに格納された画像に対して、このようにして90度回転した指紋の画像を回転画像メモリ6Bに保持するようになされている。
【0038】
また指紋データD1の登録時において、検査指紋メモリ6は、同一のユーザーについて複数枚分の指紋データD1を入力して保持し、これにより指紋照合装置1においては、これら複数枚の指紋データD1の中から最も指紋照合に都合の良い指紋データD1を選択的に指紋データベース5に登録できるようになされている。
【0039】
さらに検査指紋メモリ6は、システム制御回路3により制御されて実行されるメモリ制御回路30によるアドレス制御により、指紋照合時、指紋登録時、データバスBUSを介してこのようにして保持した指紋データD2を、後述する照合率検出部7の動作に応動して選択的に出力する。これによりこの指紋照合装置1では、8ピクセルを単位にして、指紋の画像を水平方向、垂直方向、斜め方向に切り出して出力できるようになされている。
【0040】
(1−2−2)指紋データベース5
指紋データベース5は、事前に登録したユーザーデータ、指紋データD1等により構成される。すなわち図15に示すように、この指紋データベース5は、登録したユーザーデータ毎に、ユーザーIDが記録され、さらに各ユーザーID毎に人指し指、中指、小指の指紋データD11、D12、D13が登録されるようになされている。これによりこの指紋照合装置1では、例えば怪我によりユーザーが中指の指紋を照合困難な場合でも、また中指によっては一致の照合結果が得られない場合でも、指紋データ入力部4を介して入力される指紋データD2と、これらの指紋データD11、D12、D13と照合して、本人と確認できるようになされ、その分使い勝手を向上できるようになされている。
【0041】
さらにこのとき各指紋データD11、D12、D13には優先順位のデータが記録され、この優先順位のデータに従って順次指紋照合するようになされている。これによりこの指紋照合装置1では、全体として照合結果が得られるまでの待ち時間を短縮して、使い勝手を向上できるようになされている。
【0042】
さらに指紋データベース5は、指紋登録時に間引き回路20(図2)により設定された間引き率を、各指紋データD11、D12、D13の倍率のデータとして記録するようになされ、これにより照合対象の指紋データD2を入力する際に、対応する倍率により取り込むことができるようになされている。また、この指紋照合装置1において検出された照合率が、ユーザーID毎に記録されるようになされ、この照合率の記録により必要に応じて照合の条件を可変し、また指紋データD11〜D13の再登録を促すことができるようになされている。これにより指紋照合装置では、確実に本人を判別できるようになされている。
【0043】
かくするにつき指紋データベース5は、システム制御回路3により制御されるメモリ制御回路30のアドレス制御により、検査指紋メモリ6と同様に、保持した指紋データD11、D12、D13等を選択的に出力し、また内容が更新されるようになされている。
【0044】
データベース用回転画像メモリ5Bは、この指紋データベース5に保持された指紋データD11、D12、D13による画像に対して、画像回転回路31により90度回転された指紋の画像を保持するようになされている。これにより指紋照合装置1では、指紋データベース5及び検査指紋メモリ6に保持した正立の指紋画像に対応して、90度回転した指紋画像をそれぞれ回転画像メモリ6B及びデータベース用回転画像メモリ5Bに保持し、元の正立画像と同様にこの90度回転した画像を処理できるようになされている。
【0045】
(1−3)照合率検出部7
図16は、照合率検出部7を示すブロック図である。この照合率検出部7は、8系統の照合部40A〜40Hを有し、各照合部40A〜40Hに、検査対象の指紋データD2を部分的にセットする。さらに照合率検出部7は、このセットした指紋データによる画像を、指紋データD1による画像上で2次元的に走査するように、各照合部40A〜40Hに、順次指紋データD1を供給し、各走査位置で指紋データD2及び指紋データD1間の相関の程度を検出する。
【0046】
さらにこの検出結果より、相関の高い座標値を座標群メモリ49に順次登録し、この登録した座標群の位置関係より、システム制御回路3において、照合率が算出され、この照合率より一致不一致が判定される。なお、各照合部40A〜40Hにおいては、同一構成でなることにより、図16においては、照合部40Aについてのみ詳細に記載し、他の照合部40B〜40Hについては、記載を省略する。また登録時において、照合率検出部7は、この指紋データD1及びD2間の判定に代えて、指紋データD1による複数画像間で照合率でなる相関値が検出されるようになされている。
【0047】
すなわち各照合部40B〜40Hにおいては、検査指紋メモリ6に格納された指紋データD2がそれぞれ8バイトずつラッチ回路41にセットされる。ここで各照合部40B〜40Hにセットされる指紋データD2は、システム制御回路3の制御によるメモリ制御回路30(図9)のアドレス制御により、図17に示すように、指紋データD2による画像より、線状の画像が切り出されて、この線状の画像による指紋データD2が割り当てられる。すなわちこの元の画像上で、水平方向、垂直方向又は斜め方向に連続する指紋データD2が割り当てられる。さらに各照合部40B〜40Hにおいて、このように連続する方向が平行になるように、またシステム制御回路3による事前の検査により、この連続する方向に所定回数以上、論理レベルが切り換わる指紋データD2が割り当てられる。
【0048】
このようにして各照合部40B〜40Hにセットされた指紋データD2に対して、照合部40A〜40Hにおいては、共通の指紋データD1が順次供給される。このとき指紋データD1は、システム制御回路3の制御によるメモリ制御回路30(図9)のアドレス制御により、照合部40B〜40Hにセットされた指紋データD2に対応して、この指紋データD2の画素の並ぶ方向を水平方向と仮定したとき、ラスタ走査の順序により連続する指紋データD1が8ビット単位で供給される。
【0049】
各照合部40A〜40Hにおいて、パラレルシリアル変換回路(P/S)42は、順次入力される指紋データD1をシリアルデータに変換して、一定周期でシフトレジスタ43に出力する。シフトレジスタ43は、このシリアルデータを64ビット分保持し、パラレルシリアル変換回路42より出力されるシリアルデータに同期して順次ビットシフトさせると共に、ビットシフトさせたデータを64ビットパラレルにより出力する。
【0050】
ラッチ回路41は、ラッチした8バイトの指紋データD2A〜D2Hを64ビットパラレルにより出力する。比較回路44は、64系統のイクスクルーシブオア回路により構成され、シフトレジスタ43の出力データとラッチ回路41の出力データとの間で、各ビットの比較結果をそれぞれ出力する。
【0051】
これにより各照合部40A〜40Hは、例えば水平方向に画素値が連続するように指紋データD2A〜D2Hがセットされた場合、図18に示すように、指紋データD1により形成される画像上を、この指紋データD2A〜D2Hにより形成される線状の画像をラスタ走査させ、重なり合う指紋データD1及びD2A〜D2H間で、各ビットの一致不一致を判定するようになされている。
【0052】
カウンタ45は、このようにして比較回路44より得られる64系統の比較結果をカウントし、カウント値を出力する。これによりカウンタ45においては、指紋データD2A〜D2Hにより形成される線状の画像と、この線状の画像と重なる合う指紋データD1より形成される画像との間の相関の程度を検出するようになされ、この重なり合った画像が完全に一致した場合、値64のカウント値を出力するようになされている。
【0053】
レジスタ46は、システム制御回路3により判定用の基準値データがセットされ、比較回路47は、このレジスタ46にセットされた基準値データとカウンタ45のカウント値とを比較し、このようにラスタ走査して重なり合う指紋データD1及びD2A〜D2H間で、相関の程度が大きい場合に信号レベルが立ち上がる判定データD4A〜D4Hを出力する。
【0054】
座標群メモリ49は、判定データD4A〜D4Hが立ち上がると、メモリ制御回路30より出力されるアドレスデータADを補正して記録することにより、各判定データD4A〜D4Hが立ち上がったタイミングにおける指紋データD2A〜D2HとD1との相対位置情報を各照合部40A〜40B毎に記録する。
【0055】
かくして、座標群メモリ49は、指紋データD1の画像上で線状の画像をラスタ走査し、判定データが立ち上ったタイミングでアドレスデータADを補正して取り込むことにより、線状の画像が、重り合う指紋データD1の画像と高い一致の程度を示した位置を、指紋データD1の座標値により記録することになる。
【0056】
かくするにつき、指紋のような繰り返し形状の画像について、このように線状に切り出した画像を走査して重なり合う画像との間で相関の程度を判定すると、多くの箇所で高い一致の程度を得ることができる。従って座標群メモリ49には、各照合部40A〜40H毎に、複数の座標データが記録されることになる。しかしながらこの2つの画像が異なる人物の指紋の場合、この座標群メモリ49には、照合部40A〜40H間で何ら無関係の座標値が格納されるのに対し、2つの画像が同一人の指紋の場合、図17について上述した指紋データD2A〜D2Hの相対位置関係に保持された相対的な座標値が座標群メモリ49に記録されることになる。これによりこの実施の形態では、この関係を利用して、座標群メモリ49に登録された座標群より、照合率のデータを生成するようになされている。
【0057】
さらにこの実施の形態において、座標群メモリ49は、図19に示すように、記憶領域を分割して、正立画像の座標データと回転画像の座標データとをそれぞれ格納する。ここで座標群メモリ49は、指紋データベース5及び正立画像メモリ6Aの指紋データD1及びD2によって検出された座標データを正立画像の座標データとして記録し、対応するデータベース用回転画像メモリ5B及び回転画像メモリ6Bの指紋データD1及びD2によって検出された座標データを回転画像の座標データとして記録する。
【0058】
さらにこの実施の形態において、指紋照合装置1は、それぞれ各照合部40A〜40Bに線状画像を順次傾けてセットするように構成され、座標群メモリ49は、正立画像及び回転画像の座標データにおいて、この傾きの角度毎に座標データを記録する。これにより指紋照合装置1においては、このようにして記録された座標データを総合的に判断して、指紋を照合するようになされ、その分指紋照合の精度を向上するようになされている。
【0059】
さらにこの実施の形態において、座標群メモリ49は、このような正立画像の座標データと回転画像の座標データとを、複数系統保持できるようになされている。座標群メモリ49は、この複数系統を、指紋データ入力部4における基準電圧REF、REF1、REF2の切り換えに対応して、また線状画像を切り出す領域(以下枠と呼ぶ)の切り換えに対応して保持し、それぞれ基準電圧、枠の切り換え毎に、座標データを記録するようになされている。
【0060】
これにより指紋照合装置1では、基準電圧の切り換え、枠の切り換えに対応して検出した座標データを総合的に判断して照合結果を向上するようになされている。
【0061】
(1−4)システム制御回路
システム制御回路3は、マイクロコンピュータにより構成され、この指紋照合装置1全体の動作を制御して、指紋データベース5に指紋データD1を登録し、またこの指紋データベース5を基準にして指紋照合の処理を実行する。
【0062】
(1−4−1)光量ムラの補正、光学系の異常検出
図20は、このシステム制御回路3の処理手順を大まかに示すフローチャートである。システム制御回路3は、電源が投入されると、ステップSP1からステップSP2に移り、光量補正メモリ16に登録された基準データを基準電圧生成回路15にセットする。これによりシステム制御回路3は、光学系の光量ムラを補正するように、比較回路14の基準電圧REFをセットし、簡易な構成の光学系によっても、正しい照合結果を得ることができるようにする。
【0063】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP3に移って光学系動作確認処理を実行する。ここで図21に示すように、この光学系動作確認処理において、システム制御回路3は、ステップSP4からステップSP5に移り、データバスBUSを介してシリアルパラレル変換回路21の出力データを取り込み(図2)、各セグメント毎に、論理レベルをカウントする。ここでこの論理レベルのカウントは、論理レベルの立ち下がっているビット数をカウントして実行される。
【0064】
すなわち指紋データ入力部4において、二等辺三角形プリズム11の底面に何ら指が押圧されていない場合、光源12の照明光が底面にて全反射されて撮像されることにより、通常、この出力データの論理レベルはHレベルに保持される。これに対してこの底面が汚れている場合、照明光が乱反射されることにより、撮像結果の輝度レベルが汚れの程度に応じて部分的に低下し、対応する出力データにおいて論理レベルがLレベルに立ち下がることになる。また光源12の特性が工場出荷時の特性より劣化し、光量ムラが激しくなった場合、光量補正メモリ16にセットした基準データによっては補正することが困難になり、この場合もその分対応する出力データにおいて論理レベルがLレベルに立ち下がることになる。
【0065】
これによりシステム制御回路3は、このカウント結果に基づいて、続くステップSP6において、このカウント値が予め設定された所定値を越えたか否か判断する。ここで肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP7に移り、表示部8を介してメンテナンスコールを表示した後、ステップSP8に移ってこの処理手順を終了する。ここでこのメンテナンスコールは、指載置部の清掃を促すメッセージ、清掃してもメンテナンスコールが表示されたままの場合は、保守作業員に連絡する旨のメッセージを表示して実行される。
【0066】
これにより指紋照合装置1では、光源12の特性劣化、二等辺三角形プリズム11の汚れ等によって指紋照合精度が劣化しないようになされ、その分指紋照合精度を向上するようになされている。
【0067】
これに対してステップSP6において否定結果が得られると、システム制御回路3は、直接ステップSP8に移ってこの処理手順を終了する。
【0068】
このようにして光学系動作確認処理を実行すると、システム制御回路3は、ステップSP10(図20)に移り、指紋登録要求が入力されたか否か判断する。ここでこの実施の形態においては、キー入力部2を介して所定のコマンド、暗唱番号等を入力することにより指紋登録要求を入力できるようになされ、この指紋登録要求により各ユーザーの指紋データD1を指紋データベース5に登録する。システム制御回路3は、この指紋登録要求が入力されると、ステップSP10において肯定結果が得られることにより、ステップSP11に移って指紋登録処理を実行してステップSP3に戻る。
【0069】
これに対して指紋登録要求が入力されていない場合、システム制御回路3は、ステップSP10よりステップSP12に移り、キー入力部2の操作により指紋照合要求が入力されたか否か判断する。ここで否定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP3に戻る。これに対してシステム制御回路3において、指紋照合要求が検出されると、システム制御回路3は、ステップSP12よりステップSP13に移り、指紋照合処理を実行してステップSP3に戻る。
【0070】
(1−4−2)指紋登録処理
図22は、この指紋登録処理の処理手順を示すフローチャートである。システム制御回路3は、この指紋登録処理において、ステップSP20からステップSP21に移り、表示部8(図1)を介してメッセージを表示し、指載置位置への人指し指の載置をユーザーに促す。続いてシステム制御回路3は、ステップSP22に移り、指載置位置に指が載置されたか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP22を繰り返す。
【0071】
このステップSP22において、システム制御回路3は、データバスBUS(図2)を介してシリアルパラレル変換回路21の出力データを入力し、ここでセグメント単位でこの出力データの論理レベルをカウントすることにより、この出力データを介して指載置位置に指が載置されたか否かを検出する。なおこのカウント処理は、指載置位置のほぼ中央部分に対応する所定の複数セグメントについて、論理Lレベルのビット数をカウントし、カウント値が所定値を越えたか否か判断して実行される。これによりシステム制御回路3は、撮像結果をトリガにして指紋登録の処理を実行するようになされ、その分この指紋照合装置1の操作を簡略化して使い勝手を向上するようになされている。
【0072】
かくしてステップSP22において、肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP23に移り、脈波検出部22より生体反応が検出されるか否か判断する。ここで否定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP24に移ってこの処理手順を終了するのに対し、ステップSP23において肯定結果が得られると、ステップSP25に移って実際の登録処理でなる実登録処理を実行する。これによりシステム制御回路3は、指の生体反応が検出されたときだけ指紋データを登録し、その分セキュリティを向上するようになされている。
【0073】
システム制御回路3は、この実登録処理を終了すると、ステップSP26に移り、小指まで指紋データを登録したか否か判断する。ここでこの指紋照合装置1においては、図15について上述したように、各ユーザー毎に、人指し指、中指、小指の指紋データを登録するようになされており、システム制御回路3においては、小指まで指紋登録されていない場合は、ユーザーによる特別の操作が検出されない限り、このステップSP26において否定結果が得られることにより、ステップSP27に移り、表示部8を介して次の指の載置を指示した後、ステップSP22に戻る。
【0074】
これに対して小指まで登録が完了した場合は、ステップSP26において肯定結果が得られることにより、システム制御回路3は、ステップSP26よりステップSP24に移り、この処理手順を終了する。
【0075】
(1−4−3)実登録処理
図23及び図24は、システム制御回路3における実登録処理の処理手順を示すフローチャートである。システム制御回路3は、この実登録処理において、ステップSP30からステップSP31に移り、ここで有効領域の検出処理を実行する。ここで図25に示すように、システム制御回路3は、ステップSP32からステップSP33に移り、1のセグメントについて、論理Hレベルのビット数をカウントし、これによりこのセグメントにおいて輝度レベルが立ち上がっているピクセル数をカウントする。
【0076】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP34に移り、このカウント値が所定値以下か否か判断することにより、該当するセグメントにおいて、輝度レベルが立ち上がっている面積が一定値以下か否か判断する。ここでこの指紋照合装置における光学系においては、二等辺三角形プリズム11の斜面に何ら指等が置かれていない場合、照明光が全反射されて対応するピクセルの輝度レベルが立ち上がることにより、このように輝度レベルが立ち上がっている面積が一定値以上のセグメントについては、何ら指の置かれていない空白のセグメントを判断することができる。
【0077】
これによりシステム制御回路3は、ステップSP34において否定結果が得られると、ステップSP35に移り、このセグメントを空白領域のセグメントにセットした後、ステップSP36に移る。これに対してステップSP34において肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP37に移り、このセグメントを有効領域にセットした後、ステップSP36に移る。なおこの場合の有効領域とは、指が載置されていると考えられる領域を意味する。
【0078】
ステップSP36において、システム制御回路3は、全てのセグメントについて、この有効領域検出処理における一連の処理を完了したか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP38に移り、処理対象を次のセグメントに切り換えてステップSP33に戻る。これに対して全てのセグメントについて、一連の処理を完了した場合、ステップSP36よりステップSP39に移り、メインルーチンに戻る。
【0079】
これにより図26に示すように、システム制御回路3は、セグメントを単位にして、指紋照合に利用可能な有効領域を、撮像結果に設定し、以後、この有効領域を基準にして種々の処理を実行することにより、これら種々の処理を簡略化できるようになされている。なおこのステップSP26においては、記号「×」を記したセグメントが空白領域のセグメントである。
【0080】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP40(図23)に移り、指位置判定処理を実行する。ここで図27に示すように、システム制御回路3は、ステップSP41からステップSP42に移り、有効領域のセグメント数は所定値以下か否か判断する。ここで否定結果が得られる場合、この場合は指の載置位置が異常と考えられることにより、システム制御回路3は、ステップSP43に移り、ここで改めて指を載置し直すように、表示部8を介して警告を出力した後、有効領域の検出処理に戻る。
【0081】
これに対してステップSP42において肯定結果が得られると、この場合指の載置位置は正しいと判断できることにより、ステップSP44に移り、メインルーチンに戻る。これにより指紋照合装置1では、ユーザーが正しく指を載置した場合だけ指紋データを登録して、指紋照合の精度を向上するようになされている。
【0082】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP46(図23)において、ズーム処理を実行する。図28に示すように、このズーム処理において、システム制御回路3は、ステップSP47からステップSP48に移り、有効領域のセグメント数は、所定値以下か否か判断する。ここで有効領域のセグメント数が所定値以上の場合、指紋照合に十分な大きさで指が撮像されていることにより、システム制御回路3は、ステップSP48からステップSP49に移り、メインルーチンに戻る。
【0083】
これに対してステップSP48において肯定結果が得られる場合、指が小さく撮像されていると考えられることにより、システム制御回路3は、ステップSP50に移り、間引き回路20(図2)における間引き率を低減することができるか否か判断する。ここで間引き率を低減できる場合、システム制御回路3は、ステップSP51に移り、タイミングジェネレータ19の動作を切り換えて間引き率を低減し、これにより指紋データD1による画像を拡大した後、ステップSP31の有効領域検出処理に戻る。
【0084】
これによりシステム制御回路3は、改めて、拡大した指紋の画像について、有効領域検出処理、指位置反転処理を実行した後、このズーム処理を実行することになる。これにより指紋照合装置1では、必要に応じて光学系の倍率を切り換えて、確実に指紋照合できるようになされている。
【0085】
ところで指が異常に乾燥していると、指を押圧しても、二等辺三角形プリズム11(図2)の底面で照明光が乱反射しない場合がある。この場合、このようにして間引き率を低減しても、ステップSP50において否定結果の得られる場合も発生し、正しく指紋照合することが困難になる。これによりシステム制御回路3は、この場合ステップSP52に移り、ユーザーに確認のメッセージを出力した後、ステップSP53に移って一連の指紋登録処理を終了する。これにより指紋照合装置1では、このような場合でも、改めて指紋の画像を撮像し直すことにより、確実に指紋照合できるようになされている。
【0086】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP55(図23)において、しきい値補正処理を実行する。図29に示すように、このしきい値補正処理において、システム制御回路3は、ステップSP56からステップSP57に移り、1のセグメントについて、論理Lレベルのビット数をカウントする。ここでこの実施の形態においては、二等辺三角形プリズムの底面で照明光が乱反射している場合、対応するピクセルの輝度レベルが立ち下がり、対応する指紋データD1のビットが論理Lレベルに立ち下がることにより、システム制御回路3は、該当するセグメントについて、このビット数のカウントにより二等辺三角形プリズムの底面に指が密着している面積を検出する。
【0087】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP58に移り、セグメントのピクセル数(8×8個)に対して、このカウント値が30〜70〔%〕の範囲に含まれるか否か判断する。ここで否定結果が得られると、指紋の画像が局所的に歪んでいると考えられることにより、システム制御回路3は、ステップSP59に移り、所定の範囲内でしきい値補正メモリの対応する補正データを更新した後、ステップSP60に移る。これに対してステップSP58において肯定結果が得られると、システム制御回路3は、直接ステップSP60に移る。
【0088】
このステップSP60において、システム制御回路3は、有効領域に設定された全てのセグメントについて、このしきい値補正処理における一連の処理を完了したか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP61に移る。ここでシステム制御回路3は、処理対象を次のセグメントに切り換えた後、ステップSP57に戻る。これに対してこのしきい値補正処理における一連の処理を全てのセグメントについて完了すると、システム制御回路3においては、ステップSP60において肯定結果が得られることにより、ステップSP62に移り、メインルーチンに戻る。これにより指紋照合装置1では、図6について上述したようにしきい値補正メモリ24の内容を設定して、確実に指紋照合できるようになされている。
【0089】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP65(図23)において、黒つぶれ処理を実行する。すなわち汗等により指が異常に湿っている場合、二等辺三角形プリズム11の底面において、一定の領域で照明光が乱反射することになる。この場合、上述のしきい値補正処理において一定範囲内で基準電圧REFの電圧を可変しても、該当するセグメントにおいては、対応するピクセルの輝度レベルが立ち下がったままになり、黒くつぶれた画像が得られることになる。従って、このセグメントにおいては、正しく指紋照合することが困難になる。
【0090】
これによりシステム制御回路3は、図30に示すように、ステップSP66からステップSP67に移り、1のセグメントについて、論理Lレベルのビット数をカウントした後、ステップSP68に移り、このカウント値が所定値以下か否か判断する。
【0091】
ここで否定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP69に移り、このセグメントを黒つぶれのセグメントに設定した後、ステップSP70に移る。これに対してステップSP68において、肯定結果が得られると、直接ステップSP70に移る。これによりシステム制御回路3は、この黒つぶれのセグメントについては、続く一連の処理において、処理対象より除外し、指紋照合精度を向上する。
【0092】
システム制御回路3は、ステップSP70において、全てのセグメントについて、この黒つぶれ処理における一連の処理を完了したか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP71に移り、有効領域の次のセグメントを処理対象に設定し、ステップSP67に戻る。これによりシステム制御回路3は、有効領域の全てのセグメントについて、黒つぶれのセグメントを検出した後、ステップSP70からステップSP72に移る。
【0093】
このステップSP72において、システム制御回路3は、黒つぶれのセグメント数は所定値以下か否か判断する。すなわち黒つぶれのセグメント数が一定値を越えると、指紋照合に要する領域を確保できないことにより、この場合システム制御回路3は、ステップSP72からステップSP73に移り、指を清浄にして改めて指を載置する旨、ユーザーに警告を出力した後、ステップSP31に戻る。
【0094】
これに対してステップSP72において肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP74に移り、メインルーチンに戻る。これにより指紋照合装置1では、指が濡れている場合等には、改めてユーザーに指紋登録の作業を促し、登録する指紋の画像を高画質により取り込んで、その分指紋照合の精度を向上するようになされている。
【0095】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP80に移り(図23)、角度検出処理を実行する。すなわちユーザーにおいては、指載置位置に指を傾けて載置する場合も考えられる。このためシステム制御回路3は、図31に示す角度検出処理において、ステップSP81からステップSP82に移り、図32に示すように、有効領域の例えばY方向について、エッジを検出する。さらにシステム制御回路3は、ステップSP3に移り、ここで図33に示すように、最外周のセグメントより、上下方向に対応するセグメント対を検出し、このセグメント対の中心座標を順次検出することにより、指紋画像の中心線について傾きθを検出する。
【0096】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP84に移り、この角度θが一定範囲以下か否か判断することにより、指の傾きが所定範囲以下か否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP85に移り、正しく指を載置する旨、ユーザーに警告を出力した後、ステップSP31に戻る。これに対して指の傾きが所定範囲以下の場合、システム制御回路3は、ステップSP86に移り、メインルーチンに戻る。
【0097】
これにより指紋照合装置1では、傾きを一定範囲に収めて指紋データD1を取り込み、指紋照合の精度を向上するようになされている。
【0098】
このようにして事前の処理が完了すると、システム制御回路3は、ステップSP88(図24)に移る。ここでシステム制御回路3は、取り込む画像数をカウントする変数nの値を値1にセットした後、ステップSP89において、メモリ制御回路30を制御して検査指紋メモリ6に指紋データD1を1画面分格納する。
【0099】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP90に移り、この変数nの値が事前に設定した値Nと等しいか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP91に移り、この変数nを値1だけインクリメントした後、ステップSP89に戻る。これによりシステム制御回路3は、ステップSP89−SP90−SP91−SP89の処理手順をN回繰り返し、N枚の画像を検査指紋メモリ6に格納する。
【0100】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP92に移り、ここで基準電圧REF2について、この一連の処理が完了したか否か判断し、この場合否定結果が得られることにより、ステップSP93に移り、基準電圧生成回路15における基準電圧を切り換え制御した後、ステップSP88に戻る。
【0101】
これによりシステム制御回路3は、光量補正メモリ16に格納された基準データを、しきい値補正メモリ24の補正データで補正して設定される基準電圧REFにより、N枚の画像を検査指紋メモリ6に格納した後、この基準電圧REFを所定電圧だけ正側にオフセットさせてなる基準電圧REF1によりN枚の画像を検査指紋メモリ6に格納し、さらに基準電圧REFを所定電圧だけ負側にオフセットさせてなる基準電圧REF2によりN枚の画像を検査指紋メモリ6に格納する。
【0102】
なお単に基準電圧REFをオフセットして基準電圧REF1及びREF2を設定することにより、システム制御回路3は、基準電圧REFによりN枚の画像を取り込む場合と同様に、光量ムラ補正処理(図20、ステップSP2)及びセグメント単位のしきい値補正処理(図29)を実行した状態で、それぞれN枚の画像を検査指紋メモリ6に入力することになる。
【0103】
この基準電圧の切り換え処理において、システム制御回路3は、黒つぶれを除く全有効領域について、シリアルパラレル変換回路21より出力される出力データの論理レベルをカウントすることにより、これらの領域において白レベルの領域が全体に対して30〜70〔%〕の範囲に収まるように、基準電圧を切り換える。かくするにつき実験した結果によれば、この範囲で基準電圧を切り換えて複数の指紋画像を撮像し、その撮像結果よりこの実施の形態のように指紋照合して、指紋照合の精度を向上することができた。
【0104】
このようにして基準電圧REF2について、N枚の画像入力を完了すると、システム制御回路3は、ステップSP92において、肯定結果が得られることにより、ステップSP93に移り、ここで登録データ選択処理を実行する。ここでこの登録データ選択処理は、このようにして取り込んだ3×N枚の画像について、何れの指紋データD1を指紋データベース5に登録するか判断する処理である。システム制御回路3は、ステップSP94において、この登録データ選択処理により選択した指紋データD1を指紋データベース5に登録した後、ステップSP95に移ってこの処理手順を終了する。
【0105】
これによりシステム制御回路3は、この一連の処理を、順次人指し指、中指、小指について実行し(図22)、人指し指、中指、小指の順に優先順位を付して、指紋データベース5に登録する(図15)。このときシステム制御回路3は、選択した指紋データD1の倍率(間引き回路20における間引き率)を併せて記録する。これによりシステム制御回路3は、このようにしてデータベース化した各指紋データD1について、実際の指紋照合時、登録時の状態を再現できるようになされ、これによっても指紋照合の精度を向上できるようになされ、また照合に要する時間を短縮できるようになされている。
【0106】
(1−4−4)登録データ選択処理
図34は、上述した登録データ選択処理を示すフローチャートであり、システム制御回路3は、この処理手順により、検査指紋メモリ6に取り込んだ指紋データD1から指紋データベース5に登録する指紋データD1を選択する。
【0107】
すなわちシステム制御回路3は、ステップSP100からステップSP101に移り、変数n及びmをそれぞれ値1及び値2にセットする。ここで変数n及びmは、それぞれ指紋データD1を特定する変数である。システム制御回路3は、変数nにより指定される指紋データD1について、変数mにより指定される指紋データとの間で相関値を順次検出する。さらにシステム制御回路3は、このようにして検出した相関値より、最も値の大きな相関値を検出し、対応する変数nによる指紋データD1を登録対象の指紋データD1に設定する。
【0108】
すなわちシステム制御回路3は、続くステップSP102において、相関値検出処理を実行し、変数nによる指紋データD1の、変数mによる指紋データD1に対する相関値を検出する。さらにシステム制御回路3は、ステップSP103に移り、検査指紋メモリ6に取り込んだ指紋データD1を、変数mにより全て指定したか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP104に移り、変数mをインクリメントした後、ステップSP102に戻る。
【0109】
これによりシステム制御回路3は、変数mを順次切り換えて、変数nにより特定される1の指紋データD1の、他の指紋データD1に対する相関値を順次検出する。
【0110】
これに対してステップSP103において、肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP105に移り、ここで検査指紋メモリ6に取り込んだ指紋データD1を、変数nにより全て指定したか否か判断する。ここで否定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP106に移り、ここで変数nをインクリメントすると共に、変数mを値1に初期化し、ステップSP102に戻る。
【0111】
これによりシステム制御回路3は、検査指紋メモリ6に取り込んだ指紋データD1の全ての組み合わせについて、変数nの指紋データD1の相関値を検出する。
【0112】
このようにして相関値検出処理を全ての組み合わせについて実行すると、システム制御回路3は、ステップSP105において肯定結果が得られることにより、ステップSP107に移り、ここで最も相関値の大きな変数nによる指紋データD1を登録対象の指紋データとして選択した後、ステップSP108に移ってこの処理手順を終了する。
【0113】
これにより指紋照合装置1では、相関値を基準にして指紋画像の画質を判断し、最も指紋照合に都合の良い指紋データD1を指紋データベース5に登録する。すなわちこの指紋照合装置1においては、この相関値とほぼ同一手法により検出される後述の照合率により指紋照合するようになされている。これによりシステム制御回路3は、検査指紋メモリ6に取り込んだ複数枚の指紋画像を、順次指紋データベース5に登録したと仮定して、残りの指紋画像との間で指紋照合の処理を実行し、これにより実際の指紋照合に即した判定手法により指紋照合に適した指紋画像を選択し、指紋照合精度を向上するようになされている。
【0114】
図35は、このシステム制御回路3による、変数nの指紋データD1の、変数mの指紋データD1に対する相関値検出処理を示すフローチャートである。この処理手順において、システム制御回路3は、ステップSP110からステップSP11に移り、変数n及びmにより特定される指紋データD1をそれぞれセグメント単位で画像回転回路31に転送し、またこの画像回転回路31より出力される指紋データを回転画像メモリ6Bに格納する。これによりシステム制御回路3は、このステップSP111において、それぞれ処理対象の画像を90度回転する(図10及び図11)。
【0115】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP112に移り、ここで変数mにより指定される指紋データD1より、水平方向に連続する8バイトの画像データを、この指紋データD1による画像の上側より順次間欠的に選択する。さらに選択した指紋データをそれぞれ照合部40A〜40Bに出力し、各照合部40A〜40Bのラッチ回路41に格納する(図17)。これによりシステム制御回路3は、この指紋データD1による画像より線状の画像を切り出して照合部40A〜40Hにセットする。
【0116】
このときシステム制御回路3は、図30について上述した黒つぶれのセグメントについては、この線状の画像を切り出さないように、所定の判断手順を実行して指紋データD1をセットし、これにより指紋照合精度の低下を有効に回避する。また事前に検出した有効領域基準にして、この線状の画像を切り出す領域(すなわち枠でなる)を設定する。
【0117】
さらに事前に、線状に切り出す指紋データについて、論理レベルの切り換わる回数をカウントし、カウント値が所定値以下の部分については、対象より除外する。これによりこの線状の切り出した部分については、所定本数以上、指紋を横切るようにして、この切り出した領域に指紋照合に有意な情報が充分に含まれるようにし、これによっても指紋照合の精度を向上できるようになされている。
【0118】
ちなみに、システム制御回路3は、指の先端側でなる有効領域の先端側より指の付け根側に所定セグメント分だけ変位した位置で、かつ上下方向については、ほぼ有効領域の中心を基準にして、有効領域外にはみ出さないように、この線状の画像を切り出す枠を設定する。
【0119】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP113に移り、ここで変数nにより指定される指紋データD1が、順次ラスタ走査の順序で連続するように、順次この指紋データを照合部40A〜40Hに転送する。これによりシステム制御回路3は、各照合部40A〜40Hにおいて、変数nにより指定される画像上で、線状の画像をラスタ走査の順序で走査させ、この線状の画像と、この線状の画像と重なり合う変数nによる画像との間で、一致するビット数を各照合部40A〜40Hのカウンタ45により検出する(図16)。
【0120】
さらにシステム制御回路3は、このカウント値がレジスタ46にセットしたしきい値より立ち上がる座標値、すなわち重なり合う2つの画像が極めて類似していると判断される位置を、ラスタ走査順に供給する指紋データの座標値により、座標群メモリ49に記録する。
【0121】
このときシステム制御回路3は、無効領域、黒つぶれと判定した指紋データについて、対応するビットについては、一定の論理レベルより比較結果を出力するように、比較回路44の動作を切り換え、またレジスタ46にセットするしきい値をその分切り換え、続く比較回路47における判定基準を変更する。これによりシステム制御回路3は、このような無効領域、黒つぶれの領域については、これらの部分をマスクして処理するようになされている。
【0122】
システム制御回路3は、続いてステップSP114に移り、照合率検出処理を実行する。ここで図36、図37及び図38に示すように、照合率検出処理において、システム制御回路3は、ステップSP115からステップSP116に移り、変数I、J、K、Qを値1にセットする。ここでI、J、Kは、座標群メモリ49に取り込まれた照合部40A、40B、40Cの各座標値を特定する変数であり、またQは、この部分照合率算出処理において検出されたこれら座標値の組み合わせを特定する変数である。
【0123】
システム制御回路3は、続いてステップSP117に移り、ここで変数I、J、Kにより特定される3つの座標値(XIA、YIA)、(XJB、YJB)、(XKC、YKC)について、それぞれ座標値(XIA、YIA)と座標値(XJB、YJB)、座標値(XJB、YJB)と座標値(XKC、YKC)、座標値(XIA、YIA)と座標値(XKC、YKC)の3つの組み合わせを設定し、これら3つの組み合わせのうちで、各照合部40A〜40Cのラッチ回路41にセットした指紋データD1の相対位置関係を満足する組み合わせ数、すなわちステップSP112において切り出した線状画像の相対位置関係を満足する組み合わせの数を検出する。
【0124】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP118に移り、ここでこの検出した組み合わせ数が所定値M以上か否か判断する。ここで肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP119に移り、このI、J、Kの組み合わせを変数Qにより指定される候補にセットした後、続くステップSP120で変数QをインクリメントしてステップSP121に移る。これに対してステップSP118において肯定結果が得られた場合、システム制御回路3は、ステップSP118より直接ステップSP121に移る。
【0125】
このステップSP121において、システム制御回路3は、変数Kにより指定される座標値が、照合部40Cより検出された最後の座標値か否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP122に移り、変数Kをインクリメントした後、ステップSP117に戻る。これによりシステム制御回路3は、座標値(XIA、YIA)、(XJB、YJB)に対して、変数Kを順次切り換えて、これら座標値(XIA、YIA)、(XJB、YJB)、(XKC、YKC)の組み合わせのうちで、線状画像の相対位置関係を満足する組み合わせの数より、変数Qによる候補を順次検出する。
【0126】
このようにして変数Kを順次切り換えて最後の座標値までに至ると、システム制御回路3は、ステップSP121において肯定結果が得られることにより、ステップSP123に移る。ここでシステム制御回路3は、変数Jについて、変数Kの場合と同様にこの変数Jにより指定される座標値が最後の座標値か否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP124に移り、変数Jをインクリメントすると共に、変数Kを初期値1にセットし、ステップSP117に戻る。
【0127】
またこのようにして変数Jをインクリメントしてこの処理手順を繰り返して、ステップSP123において肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP125に移り、ここで変数Iにより指定される座標値が最後の座標値か否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP126に移り、変数Iをインクリメントすると共に、変数J、Kを初期値1にセットした後、ステップSP117に戻る。
【0128】
これによりシステム制御回路3は、順次線状の画像を走査して得られる座標値から、部分的な組み合わせより相対位置関係を満足しない組み合わせを処理対象より除外する。これにより指紋照合装置1では、偶然にも高い類似の程度が検出された座標値の組み合わせを候補より除外し、残る組み合わせを変数Qにより特定される候補として保持するようになされている。
【0129】
システム制御回路3は、このようにして選択した候補と、残る照合部40D〜40Hによる座標値との間で同様にして相対位置関係を満足する組み合わせを検出し、これにより照合率を検出する。すなわちシステム制御回路3は、ステップSP127において(図37)、変数Q、L、M、N、O、Pを初期値1に設定する。ここで変数L、M、N、O、Pは、照合部40D〜40Hについてそれぞれ座標群メモリ49に格納した座標値を特定する変数である。
【0130】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP128に移り、ここでこれら変数Q、L、M、N、O、Pにより特定される座標値(XQA、YQA)、(XQB、YQB)、(XQC、YQC)、(XLD、YLD)、(XME、YME)、(XNF、YNF)、(XOG、YOG)、(XPH、YPH)の組み合わせのうちで、線状画像の相対位置関係を満足する組み合わせの数を検出する。
【0131】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP129に移り、ここでこの組み合わせ数を記録した後、ステップSP130に移る。ここでシステム制御回路3は、変数Pにより指定される座標値が最後の座標値か否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP131に移り、変数PをインクリメントしてステップSP127に戻る。
【0132】
これに対してこの処理手順を繰り返してステップSP130において肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP130からステップSP132に移り、ここで変数Oにより指定される座標値が最後の座標値か否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP133に移り、変数Oをインクリメントすると共に、変数Pを初期値1に設定してステップSP127に戻る。
【0133】
またこの処理を繰り返してステップSP132において肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP132からステップSP134に移り、ここで変数Nにより指定される座標値が最後の座標値か否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP135に移り、変数Nをインクリメントすると共に、変数P、Oを初期値1に設定してステップSP127に戻る。またステップSP134において肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP134からステップSP136に移り、ここで変数Mにより指定される座標値が最後の座標値か否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP137に移り、変数Mをインクリメントすると共に、変数P、O、Nを初期値1に設定してステップSP127に戻る。
【0134】
さらに同様にして、ステップSP136において肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP136からステップSP138に移り、ここで変数Lにより指定される座標値が最後の座標値か否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP137に移り、変数Lをインクリメントすると共に、変数P、O、N、Mを初期値1に設定してステップSP127に戻る。またステップSP138において肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP138からステップSP140に移り(図38)、ここで変数Qにより指定される座標値が最後の座標値か否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP142に移り、変数Qをインクリメントすると共に、変数P、O、M、N、Lを初期値1に設定してステップSP127に戻る。
【0135】
これによりシステム制御回路3は、相対位置関係を満足する組み合わせ数を、これら座標値の組み合わせ毎に検出するようになされ、このとき部分的な組み合わせにより相対位置関係を満足しない組み合わせを除外することにより、事前に候補を絞ってこの処理を実行するようになされ、その分処理に要する時間を短縮するようになされている。すなわち8系統の座標値について、それぞれa個の座標値が検出されている場合、これら座標値の組み合わせは、値aの8乗個になる。
【0136】
これに対して事前の処理における組み合わせは、aの3乗個になり、この処理によりa個以下の、例えば1個の組み合わせに候補が絞れた場合、残りの組み合わせにおいてはaの5乗個でなることにより、結局、aの5乗がaの3乗より極めて大きいとして、処理に要する組み合わせを、約aの3乗個分低減することができる。すなわちこの場合aを値10とおくと、処理に要する時間を、ほぼ1/1000に低減できることが判る。これにより指紋照合装置1では、短時間で指紋登録の処理を実行できるようになされている。
【0137】
このようにして各組み合わせについて、相対位置関係を満足する組み合わせ数が検出されると、システム制御回路3は、ステップSP142において、最も値の大きな組み合わせ数の値を検出し、続くステップSP143において、この組み合わせ数の値を照合率に設定し、ステップSP144よりメインルーチンに戻る。かくしてこの処理において、8本の線状画像を切り出した際の相対位置関係に対して、この8本の線状画像の何れについても、この相対位置関係を満足する座標値が座標群メモリ49に記録されているとき、システム制御回路3は、簡略化して表して8/8の照合率を検出する。
【0138】
これにより、システム制御回路3は、同一人より複数回撮像した指紋の画像間で、1の画像を線状に切り出して他の画像上でラスタ走査させた状態で、重なり合った部分の類似の程度を総合的に判断して、照合率を検出する。
【0139】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP145(図35)に移り、ここでステップSP111において生成した回転画像について、照合率を検出したか否か判断し、否定結果が得られると、ステップSP146に移り、処理対象を回転画像に切り換えた後、ステップSP112に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0140】
これによりシステム制御回路3は、図39及び図40に示すように、回転画像メモリ6Bに格納した1の指紋データより、水平方向に線状の画像を切り出し、この切り出した画像の指紋データをそれぞれ照合部40A〜40Hにセットする。また対応する指紋データD1をラスタ走査の順序で同時並列的に照合部40A〜40Hに出力し、これにより先の線状画像を他の画像上でラスタ走査させ、重なり合う部分で類似の程度を総合的に判断して照合率を検出する。
【0141】
かくするにつきシステム制御回路3は、指紋データ入力部4より入力した指紋画像に対して、ほぼ水平方向及び垂直方向に線状の画像を切り出し、この水平方向及び垂直方向について、他の指紋データによる画像と類似の程度を検出するようになされ、これにより比較的処理の簡易な一次元的な画像データの処理を組み合わせて、二次元的に類似の程度を判定するようになされている。
【0142】
このようにして回転画像についても照合率を検出すると、システム制御回路3は、ステップSP145において肯定結果が得られることにより、ステップSP147に移り、ここで2つの照合率より値の大きな照合率を、このm画像を照合対象にしたn画像の相関値に設定した後、ステップSP148よりメインルーチンに戻る。
【0143】
これによりシステム制御回路3は、同一人について撮像した複数枚の指紋画像間で、全ての組み合わせについて、相関値をそれぞれ算出し、最も相関値の高い指紋データを選択して、指紋照合に都合の良い指紋画像を選択的に登録する。これにより指紋照合装置1においては、指紋照合の精度を向上できるようになされている。
【0144】
(1−4−5)指紋照合処理
このようにして指紋データベース5に指紋データD1を登録した状態で、ユーザーがキー入力部2を操作して指紋照合の要求を入力すると、システム制御回路3は、図41及び図42に示す処理手順を実行して指紋照合する。
【0145】
すなわちシステム制御回路3は、ステップSP150からステップSP151に移り、表示部8(図1)を介してメッセージを表示し、指載置位置への指の載置をユーザーに促す。続いてシステム制御回路3は、ステップSP152に移り、指載置位置に指が載置されたか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP152を繰り返す。
【0146】
このステップSP152において、システム制御回路3は、データバスBUS(図2)を介してシリアルパラレル変換回路21の出力データを入力し、ここで所定のセグメントについて、この出力データの論理レベルをカウントすることにより、この出力データを介して指が載置されたか否かを検出する。なおこのカウント処理は、指載置位置のほぼ中央部分に対応する所定の複数セグメントについて、論理Lレベルのビット数をカウントし、カウント値が所定値を越えたか否か判断して実行される。これによりシステム制御回路3は、撮像結果をトリガにして指紋照合の処理を開始するようになされ、指紋照合装置1の操作を簡略化して使い勝手を向上するようになされている。
【0147】
このステップSP152において、肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP153に移り、脈波検出部22より生体反応が検出されるか否か判断する。ここで否定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP154に移ってこの処理手順を終了するのに対し、ステップSP153において肯定結果が得られると、ステップSP155に移る。
【0148】
このステップSP155において、システム制御回路3は、指紋データ入力部4より出力される検査対象の指紋データD2を検査指紋メモリ6に入力する。これによりシステム制御回路3は、指の生体反応が検出されたときだけ指紋照合して、セキュリティを向上するようになされている。
【0149】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP156に移り、比較判定処理を実行する。ここでこの実施の形態において、システム制御回路3は、キー入力部2を介して入力されるユーザーIDを基準にして、対応するユーザーIDについて登録された指紋データD1と、指紋データ入力部4より入力された指紋データD2との間で指紋の一致不一致を判定する。さらにこのとき指紋データベース5において、同一のユーザーIDに複数の指紋データD1が登録されている場合は、優先順位の最も高い指紋データD1との間で、一致不一致を判定する。
【0150】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP157に移り、ここで一致の判定結果が得られたか否か判断し、肯定結果が得られると、ステップSP158に移り、一致の判定結果を出力した後、ステップSP159に移る。ここでシステム制御回路3は、照合率を指紋データベース5に記録する。
【0151】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP160に移り(図42)、この指紋データベース5に記録された照合率の変化を確認する。ここで照合率が徐々に低下して一定値以下になっている場合、照合率の変化が許容範囲を越えたとの判断し、システム制御回路3はステップSP161に移り、ここでユーザーに指紋データの更新登録を促した後、ステップSP162に移ってこの処理手順を終了する。
【0152】
すなわちこの実施の形態においては、検査対象の指紋データD2と指紋データベース5に登録した指紋データD1との間で類似の程度を測定し、この類似の程度を照合率により表す。またこの照合率が一定の基準値を越えるか否かの判断を基準にして指紋データD2による指紋が指紋データD1による指紋と一致するか否か判断する。
【0153】
ところが子供等にあっては、成長するに従って指が大きくなる場合もあり、こ場合この指の大きさの変化に伴い、図43に示すように、照合率が徐々に低下することになる。これによりこの実施の形態においては、照合率が徐々に低下して一定値TH以下になると、ユーザーにより改めて指紋データD2を登録するように設定され、これにより照合率を回復して確実に指紋照合できるようになされている。
【0154】
なおこのような照合率の変化が観察されない場合、システム制御回路3においては、ステップSP160において肯定結果が得られることにより、ステップSP160から直接ステップSP162に移り、この処理手順を終了する。
【0155】
これに対してステップSP157において否定結果が得られた場合(図41)、システム制御回路3は、ステップSP163に移り、枠を既に移動したか否か判断する。ここでこの実施の形態においては、図44に示すように、このように検査対象でなる指紋データD1による指紋の画像に対して、所定の枠内で、線状に画像を切り出して照合率を検出する。これによりシステム制御回路3は、ステップSP156による比較判定処理において、一致の結果が得られない場合、ステップSP163よりステップSP164に移り、この枠を移動する。さらにステップSP164よりステップSP156に戻り、この移動した枠を基準にして比較判定処理を実行する。
【0156】
これによりシステム制御回路3は、指紋データベース5に登録されたユーザーが指紋照合する場合には、確実に一致の判定結果が得られるように、指紋照合の処理を実行し、これにより指紋照合の精度を向上するようになされている。
【0157】
このようにして枠を移動しても一致の判定結果が得られない場合、システム制御回路3においては、ステップSP157において否定結果が得られた後、ステップSP163において肯定結果が得られることにより、ステップSP165に移る(図42)。ここでシステム制御回路3は、同一人に他の指紋データD1が登録されているか否か判断する。
【0158】
ここで図15について上述したように、指紋データベース5に人指し指、中指、小指について、優先順位のデータと共に指紋データD1が登録されている場合、システム制御回路3は、ステップSP165からステップSP166に移り、この優先順位に従って照合相手の指紋データD1を切り換えた後、ステップSP155に戻る。これによりシステム制御回路3は、指紋データ入力部4を介して入力された指紋データD2について、始めに指紋データベース5に登録された人指し指の指紋データD11との間で指紋照合した後、続いて中指の指紋データD12、小指の指紋データD13との間で順次指紋照合の処理を実行するようになされ、例えば人指し指を怪我して指載置位置に載置できないユーザーが中指を載置したような場合でも、確実に本人と判定できるようになされている。さらにこのとき順先順位に従って順次指紋データD1を切り換えることにより、その分照合に要する時間を短縮するようになされている。
【0159】
このように指紋データD1を切り換えても一致の判定結果を得ることが困難な場合、システム制御回路3は、ステップSP165において否定結果が得られることにより、ステップSP167に移る。ここでシステム制御回路3は、照合率が一定値以下か否か判断し、肯定結果が得られると、ステップSP168に移り、不一致の判定結果を出力してステップSP162に移る。これによりシステム制御回路3は、確実に本人と異なると判断できる場合に、不一致の判定結果を出力するようになされている。
【0160】
ところで図43について上述したように子供等にあっては、成長に伴い照合率が低下する場合があり、以前の照合時点より長期間指紋照合していないような場合は、上述のステップSP160の処理によっては、照合率を回復することが困難で、結局一致の判定結果を得ることが困難になる。また指を怪我して指紋に傷が発生しているような場合にも、一致の判定結果を得ることが困難になる。
【0161】
この場合、照合率においては、他人の指紋と照合する場合のような、極端な照合率の低下は観察されず、ステップSP167においては、否定結果が得られることになる。またこのような場合は、繰り返し指紋データD1と照合してほぼ同一程度の照合率が得られる特徴がある。
【0162】
これによりこの実施の形態において、システム制御回路3は、ステップSP167において否定結果が得られると、ステップSP169に移り、一連の指紋照合が同一ユーザーIDに対する繰り返しか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP151に戻る。これによりシステム制御回路3は、確実に一致、不一致と判定することが困難な場合、改めて指紋データD2を取り込んで指紋照合の処理を実行する。これによりユーザにおいては、必要に応じて例えば人指し指に代えて中指を載置して再び指紋照合することができるようになされている。)
【0163】
この再度の指紋照合の処理においても、再びステップSP167において否定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP169において肯定結果が得られることにより、ステップSP170に移り、ここで一致判定の判定基準を低減した後、ステップSP155に戻る。すなわちこのような処理を繰り返して完全に一致、不一致を判定困難な場合で、照合率が一定の範囲に保持されいる場合、一致と判断して正しい判定結果を得ることができ、これによりシステム制御回路3は、登録されたユーザーについては、確実に一致の判定結果を出力できるようになされている。
【0164】
図45は、指紋データ入力処理を示すフローチャートである。システム制御回路3は、ステップSP171からステップSP172に移り、ここで有効領域検出処理を実行する。ここでこの有効領域検出処理は、図25について上述した有効領域検出処理と同一の処理手順により実行され、これによりシステム制御回路3は、セグメントを単位にして、指紋照合に利用可能な領域を有効領域に設定し、以後、この有効領域を基準にして種々の処理を実行することにより、これら種々の処理を簡略化できるようになされている。
【0165】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP173に移り、ここで指位置検出処理を実行する。ここでこの指位置検出処理は、図27について上述した指位置検出処理と同一の処理手順により実行され、システム制御回路3は、ユーザーが正しく指を載置した場合だけ指紋照合して、指紋照合の精度を向上するようになされている。
【0166】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP174に移り、ここでズーム処理を実行する。図46に示すように、このズーム処理において、システム制御回路3は、ステップSP175からステップSP176に移り、指紋データベース5より、対応する指紋データD1の倍率をロードし、続くステップSP177において、このロードした倍率に応じて間引き回路20の間引き率を設定し、ステップSP178に移ってメインルーチンに戻る。これによりシステム制御回路3は、指紋データベース5に登録された指紋データD1の倍率により、検査対象の指紋データD2を取り込み、登録時の条件と同一の条件により指紋データD2を入力するようになされ、その分指紋照合の精度を向上するようになされている。
【0167】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP179(図45)に移り、ここでしきい値補正処理を実行した後、ステップSP180に移り、黒つぶれ処理を実行し、続くステップSP181で角度検出処理を実行する。さらにシステム制御回路3は、続くステップSP182において、正立画像メモリ6Aに指紋データD2を入力した後、ステップSP183に移る。ここでこのしきい値補正処理、黒つぶれ処理、角度検出処理は、それぞれ図29、図30、図31について上述した対応する処理と同一の処理手順により実行される。これによりシステム制御回路3は、検査対象の指紋データD2についても、確実に指紋照合できるように、比較回路14の基準電圧を補正し、また指の汚れ等により画質劣化を有効に回避し、さらには指の傾きを一定範囲に収めて指紋データD2を取り込むようになされている。
【0168】
このステップSP183において、システム制御回路3は、指紋データ入力部4の比較回路14について、基準電圧REF2をセット済か否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP184に移り、基準電圧を切り換えた後、ステップSP182に戻る。これによりシステム制御回路3は、ステップSP182−SP183−SP184−SP182の処理手順を繰り返して、しきい値補正処理により基準電圧を補正した状態で、このしきい値補正処理の設定基準でなる基準電圧を順次更新し、合計で3枚の指紋画像を検査指紋メモリ6に格納した後、ステップSP185に移ってこの処理手順を終了する。
【0169】
図47及び図48は、比較判定処理の処理手順を示すフローチャートである。システム制御回路3は、この処理手順において、ステップSP190からステップSP191に移り、ここで正立画像メモリ6Aに格納した指紋データD2をセグメント単位で画像回転回路31に転送し、またこの画像回転回路31より出力される指紋データD2を回転画像メモリ6Bに格納する。さらに指紋データベース5の対応する指紋データD1をセグメント単位で画像回転回路31に転送し、またこの画像回転回路31より出力される指紋データD1をデータベース用回転画像メモリ5Bに格納する。これによりシステム制御回路3は、このステップSP191において、処理対象の画像を90度回転する(図10及び図11)。
【0170】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP192に移り、図49に示すように、上述の角度検出処理(図45、ステップSP181)において検出した傾きΔθの分だけ、枠を傾けてセットすることにより、指の傾きを補正して枠をセットする。
【0171】
すなわちシステム制御回路3は、図50に示すように、8ピクセル分のデータを1バイトの指紋データD2として検査指紋メモリ6に格納していることにより、続くステップSP193において、8ピクセルを単位にして、メモリ制御回路30のアドレスを制御し、近似的に、水平方向より角度Δθだけ傾けた、線状の画像(64ピクセル分)を順次枠の上方向より切り出す。
【0172】
さらにシステム制御回路3は、このようにして切り出した線状の画像を形成する指紋データD2A〜D2Hを、それぞれ照合部40A〜40Bに出力し、各照合部40A〜40Bのラッチ回路41に格納する(図17)。これによりシステム制御回路3は、指紋データD1による画像に対して、線状の画像を傾けて設定し、指紋データD1の画像に対する指紋データD2の画像の傾きを補正する。これにより指紋照合装置1では、ユーザーが一定範囲内で指を傾けて載置した場合でも、確実に指紋照合できるようになされている。
【0173】
このようにして枠をセットして線状の画像を切り出す際に、システム制御回路3は、黒つぶれ処理(図45、ステップSP180)により検出した黒つぶれのセグメントについては、この線状の画像を切り出さないように、所定の判断手順を実行して指紋データD2A〜D2Hをセットし、これにより指紋照合の精度の低下を有効に回避する。また事前に検出した有効領域基準にして、枠を設定し、これによっても無駄な照合率検出処理を省略し、また指紋照合の精度を向上する。
【0174】
さらに事前に、線状に切り出す指紋データD2A〜D2Hについて、論理レベルが切り換る回数をカウントし、このカウント値が所定値以下の部分については、対象より除外する。これによりこの線状の切り出した部分については、所定本数以上、指紋を横切るようにして、この切り出した領域に指紋照合に有意な情報が充分に含まれるようにし、これによっても指紋照合の精度を向上できるようになされている。ちなみに、システム制御回路3は、指紋登録の場合と同様にして枠の位置を決定する。
【0175】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP194に移り、指紋データベース5より、順次ラスタ走査の順序で連続するように、順次対応する指紋データD1を照合部40A〜40Hに転送する。これによりシステム制御回路3は、図51に示すように、各照合部40A〜40Hにおいて、指紋データD1による画像上で、線状の画像をラスタ走査の順序で走査させ、この線状の画像が重なり合う指紋データD1による画像との間で、一致するビット数を各照合部40A〜40Hのカウンタ45により検出する(図16)。さらにシステム制御回路3は、このカウント値がレジスタ46にセットしたしきい値より立ち上がる座標値、すなわち重なり合う2つの画像が極めて類似していると判断される位置を、指紋データD1の座標値により座標群メモリ49に順次取り込んで保持する。
【0176】
このようにして指紋データベース5より指紋データD1を出力する際に、システム制御回路3は、無効領域、黒つぶれと判定した指紋データD1については、対応するビットについては、一定の論理レベルにより比較結果を出力するように、比較回路44の動作を切り換え、またレジスタ46にセットするしきい値をその分切り換え、続く比較回路47における判定基準を変更する。これによりシステム制御回路3は、このような無効領域、黒つぶれの領域については、これらの部分をマスクして処理するようになされている。
【0177】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP195に移り、ここで照合率検出処理を実行する。ここでこの照合率検出処理は、図36、図37及び図38について上述した照合率検出処理と同一の処理により実行される。
【0178】
これにより、システム制御回路3は、指紋データD2より切り出した線状の画像を指紋データD1による画像上でラスタ走査させた状態で、重なり合った部分の類似の程度を総合的に判断して、照合率を検出する。このときシステム制御回路3は、順次線状の画像を走査して得られる座標値から、部分的な組み合わせを形成し、偶然にも高い類似の程度が検出された座標値の組み合わせを事前に候補より除外し、残る座標値との間で相対位置関係を満足する組み合わせ数を検出する。これによりシステム制御回路3は、処理に要する時間を短縮するようになされ、短い時間で指紋照合するようになされている。
【0179】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP196に移り、ここで角度θは最後か否か判断する。ここでシステム制御回路3は、上述の傾き補正の角度Δθを中心にして、図53に示すように、線状に切り出す画像の傾きを可変して、複数回、照合率を検出するようになされており、これら各照合率を基準にして総合的に指紋の一致を判断する。この場合システム制御回路3は、ステップSP196において否定結果が得られることにより、ステップSP197に移り、角度θを更新した後、ステップSP193に戻る。
【0180】
これによりシステム制御回路3は、角度を順次切り換えて、指紋データD2による画像より線状の画像を切り出し、この切り出した画像により順次照合率を検出する。これによりシステム制御回路3は、完全に角度補正によって補正困難な傾き、さらには指紋の一部が変形しているような場合でも、確実に指紋照合できるようになされている。なおこの実施の形態では、上述の角度Δθを中心にした、5段階の角度により、それぞれ照合率を検出するようになされている。
【0181】
このようにして各角度について、照合率を検出すると、ステップSP196において肯定結果が得られることにより、システム制御回路3は、ステップSP198に移る。ここでシステム制御回路3は、枠の切り換えが完了しているか否か判断する。すなわち図54に示すように、この実施の形態においては、連続するように、3つの枠をセットし、各枠により指紋の一致を判定し、これにより識別力を向上する。
【0182】
システム制御回路3は、この場合、ステップSP198において否定結果が得られることにより、ステップSP199に移り、ここで枠を枠1から枠2に切り換えた後、ステップSP193に移る。これによりシステム制御回路3は、この枠2について、同様に照合率を検出した後、さらに枠3について、同様に照合率を検出する。
【0183】
このようにして枠3について照合率を検出すると、ステップSP198において肯定結果が得られることにより、システム制御回路3は、ステップSP200に移る(図48)。ここでシステム制御回路3は、回転画像メモり6B及びデータベース用回転画像メモリ5Bに格納した回転画像について、同様の処理を実行したか否か判断し、この場合否定結果が得られることにより、ステップSP201に移る。ここでシステム制御回路3は、それまでの処理対象でなる正立画像メモリ6A及び指紋データベース5に保持された指紋データD1及びD2に代えて、回転画像メモり6B及びデータベース用回転画像メモリ5Bに格納した指紋データD1及びD2に処理対象を切り換えた後、ステップSP192に戻る。
【0184】
これによりシステム制御回路3は、90度回転した画像についても、同様に、角度補正した状態で順次角度を切り換えて、また枠を順次切り換えて、それぞれ照合率を検出する。これにより指紋照合装置1では、さらに一段と確実に指紋照合できるようになされている。かくするにつきシステム制御回路3は、指紋データ入力部4より入力した指紋画像に対して、ほぼ水平方向及び垂直方向に線状の画像を切り出し、この水平方向及び垂直方向について、指紋データベースに格納した指紋画像と類似の程度を検出することになり、この場合も比較的処理の簡易な一次元的な画像データの処理を組み合わせて、二次元的に類似の程度を判定するようになされている。
【0185】
このようにして回転画像について照合率を検出すると、ステップSP200において肯定結果が得られることにより、システム制御回路3は、ステップSP202に移る。ここでシステム制御回路3は、基準電圧を切り換えて検査指紋メモリ6に取り込んだ全ての画像について、照合率の検出処理が完了したか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP203に移り、処理対象の画像を切り換えた後、ステップSP103に戻る。
【0186】
これによりシステム制御回路3は、基準電圧を切り換えて取り込んだ3枚の指紋画像について、それぞれ枠、傾きを切り換えて、正立画像及び回転画像の照合率を検出する。
【0187】
このようにして照合率を検出すると、システム制御回路3は、ステップSP202において肯定結果が得られると、ステップSP204に移り、ここで正立画像の各枠において、所定値以上の照合率が得られたか否か判断する。ここで肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP205に移り、ここで同様にして回転画像の各枠において、所定値以上の照合率が得られたか否か判断する。
【0188】
ここで肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP206に移り、正立画像及び回転画像において、所定値以上の照合率が検出された座標値を座標群メモリ49よりロードする。さらにこの座標値が所定の許容範囲以下か否か判断する。すなわち図55及び図56に示すように、指紋データD1及びD2による指紋が一致する場合、正立画像及び回転画像において、例えば線状の画像D2Aを走査して、このような所定値以上の照合率が検出される座標値X1、Y1及びX2、Y2は、正立画像と回転画像について、枠を設定した当初の相対位置関係になる。因みに、枠1を指紋データD2による画像に対して、正立画像と回転画像とで同一位置に設定した場合、これらX座標値及びY座標値は、X1=Y2、Y1=X2の関係になる。
【0189】
この関係が乱れている場合、たまたま水平方向又は垂直方向について線状画像を走査した場合に、類似した指紋のパターンを局所的に有している別人と判断することができる。これによりこの実施の形態において、システム制御回路3は、この正立画像及び回転画像による座標値を基準にして、さらに一段と識別力を向上するようになされている。
【0190】
ステップSP206において、肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP207に移る。ここでシステム制御回路3は、正立画像において、隣接する枠において検出された座標値が、一定の許容範囲か否か判断することにより、これら枠により検出された座標値間が、枠設定時の相対位置関係を満足するか否か判断する。
【0191】
すなわち図57に示すように、指紋データD1及びD2による指紋が一致する場合、このように各枠について線状の画像D2Aを走査して一定の照合率が得られる指紋データD1による座標値X1、Y1及びX2、Y2は、各枠を設定した当初の関係になる。この関係が乱れている場合、たまたま水平方向に線状画像を走査した場合に、類似した指紋のパターンを局所的に有している別人と判断することができる。これによりこの実施の形態において、システム制御回路3は、この隣接する枠間の座標値を基準にして、さらに一段と識別力を向上するようになされている。
【0192】
このようにして正立画像について、隣接する枠間で肯定結果が得られると、システム制御回路3は、回転画像についても、隣接する枠について、同様の判断処理を実行し、これによりさらに一段と識別力を向上する。
【0193】
このようなステップSP204からステップSP207の各ステップの処理において、システム制御回路3は、角度及び基準電圧を切り換えた各指紋画像についてそれぞれ肯定結果が得られるか否か判断し、何れかの画像で肯定結果が得られると次のステップに移る。これによりシステム制御回路3は、角度及び基準電圧を切り換えた指紋画像については、いわゆるオアの判定により、指紋データD1による画像と一致するか否か判断する。これによりシステム制御回路3は、本人と他人との識別力の低下を有効に回避して、本人による場合は、確実に一致結果を出力できるようになされている。
【0194】
このようにしてステップSP207において、肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP207からステップSP208に移り、この場合に限り指紋が一致したと判定した後、ステップSP209からメインルーチンに戻る。
【0195】
これによりシステム制御回路3は、確実に一致と判定できるときだけ、指紋が一致したと判定し、これにより指紋照合の精度を向上する。また必要に応じて図42について上述した処理を繰り返し、一致と判定すべきユーザーについては、一致の判定を出力し、また不一致の判定をすべきユーザーについては、確実に不一致の判定を出力するようになされている。
【0196】
なおこの図42について上述した判定基準の更新処理は、上述のステップSP204〜ステップSP207の判定基準を更新することになる。また同様に図42のステップSP159における照合率の記録、ステップSP160における照合率の変化判定は、このように複数の枠、傾きにより検出された照合率を記録し、また記録された照合率を判定することになる。さらにステップSP166における照合率の判定は、上述のステップSP204〜ステップSP207の判定を繰り返すことになる。
【0197】
(2)実施の形態の動作
以上の構成において、指紋照合装置1は、電源が立ち上げられると(図2、図3〜図6、図20)、システム制御回路3の制御により、工場出荷時にセットされた光量補正メモリ16の基準データが基準電圧生成回路15にセットされ、これによりセグメントを単位にして光学系の光量ムラを補正するように比較回路14の基準電圧が設定される。これにより光学系の光量ムラによる指紋照合精度の劣化が有効に回避され、簡易な構成の光学系により、高い精度で指紋照合することができる。
【0198】
この状態で光源12より射出された照明光が二等辺三角形プリズム11の底面で反射されてCCDカメラ13により撮像され、この撮像結果が比較回路14により2値化される。またこの比較回路14より出力される2値化信号S1が、ラッチ回路18によりラッチされて1ビットの画像データに変換された後、間引き回路20により間引きされ、シリアルパラレル変換回路21により8ピクセルを単位にした8ビットの画像データに変換される。
【0199】
このようにしてシリアルパラレル変換回路21より出力される画像データは、データバスBUSを介してシステム制御回路3に入力され、ここでセグメントを単位にして、論理レベルが立ち下がっているビット数がカウントされ(図21)、光学系の異常が監視される。これにより指載置位置でなる二等辺三角形プリズム11の底面の汚れ、光源12の劣化等が検出され、必要に応じてメンテナンス処理を実行して、指紋照合精度の劣化が有効に回避される。
【0200】
この状態でユーザーがキー入力部2(図1)を操作すると、指紋照合装置1においては、対応する指紋登録処理、指紋照合処理を実行する(図20)。
【0201】
このうち指紋登録処理において、指紋照合装置1は、表示部8を介してユーザーに人指し指の載置を促し(図22)、シリアルパラレル変換回路21より出力される画像データの変化により、指紋登録の処理を開始し、これにより簡易な操作で指紋登録できるようになされている。
【0202】
続いて指の側方に配置された圧力センサ23(図2)により、指の生体反応が検出され、生体反応が検出されない場合は、指紋登録の処理が中止される。これにより指紋登録の面より、セキュリティの向上が図られる。
【0203】
これに対して生体反応が検出されると、指紋データの入力条件が整えられた後、複数の指紋画像が取り込まれ、そのうち指紋照合に最適な画像が指紋データベース5に登録される。
【0204】
この登録の際に、指紋照合装置1は、人指し指の登録が完了すると、続いて中指の指紋データD1を登録し、さらに続いて小指の指紋データを登録し、また人指し指、中指、小指の順に優先順位を付して登録する(図15)。これにより指紋照合装置1では、指紋照合の処理において、人指し指、中指、小指の何れかの指により指紋照合できるようになされ、その分使い勝手を向上できるようになされている。またこのとき優先順位に従って指紋照合の処理を実行して、照合に要する時間を短縮できるようになされている。
【0205】
指紋照合装置1は、撮像結果の実際の処理において(図23)、シリアルパラレル変換回路21の出力データをシステム制御回路3によりカウントすることにより、背景を撮像してなる領域がセグメントを単位にして除去され、これにより実際に指紋が撮像されてなる有効領域が検出される(図25)。これによりこの有効領域を基準にして続く一連の処理が実行され、処理に要する時間がその分短縮される。
【0206】
続いてこの有効領域のセグメント数により指の載置位置が正しいか否か判断され(図41)、指が正しく載置されていないことによる照合精度の劣化が有効に回避される。また続くズーム処理において、有効領域のセグメント数を基準にして間引き回路20(図2)における間引き率が可変され、これにより子供の指等にあっても、指紋照合に適切な倍率により撮像して、指紋照合の精度が向上される。
【0207】
さらに続くしきい値補正処理において(図29)、有効領域の各セグメント毎に、論理Hのビット数が検出されることにより、該当するセグメントについて、二等辺三角形プリズム11の底面に指が密着している面積を検出し、各セグメントでカウント値が30〜70〔%〕の範囲に収まるように、しきい値補正メモリ24(図2)の内容が補正される。このしきい値補正メモリ24の内容は、光量補正メモリ16の基準データを補正するように設定され、これによりセグメントを単位にして、押圧力により変化する指紋照合精度の劣化、二等辺三角形プリズム11の汚れ等による指紋照合精度の劣化が有効に回避される。
【0208】
また続いて、黒つぶれ処理において(図30)、有効領域の各セグメント毎に、論理Lのビット数が検出されることにより、指紋照合に不適切な黒つぶれのセグメントが検出され、このセグメントが照合対象より除外される。また指が異常に湿っている場合等が注意される。これにより指紋照合に適した条件により撮像結果を処理して、指紋照合精度が向上される。
【0209】
また続く角度検出処理において(図31、図32、図33)、有効領域を基準にして指の傾きが検出され、この傾きが異常な場合はユーザーに注意が促される。これにより指を傾けて載置したことによる指紋照合精度の劣化が有効に回避される。
【0210】
このようにして指紋データD1の入力条件が整えられると(図24)、指紋照合装置1では、シリアルパラレル変換回路21より出力される指紋データD1がN枚分検査指紋メモリ6(図9)の正立画像メモリ6Aに取り込まれた後、続いて比較回路14の基準電圧REFを正側に所定電圧だけオフセットして(図8)、N枚分の指紋データD1が同様に正立画像メモリ6Aに取り込まれ、またこれとは逆に基準電圧REFを負側に所定電圧だけオフセットして、N枚分の指紋データD1が正立画像メモリ6Aに取り込まれる。
【0211】
この基準電圧REFをオフセットさせて切り換えることにより、指紋照合装置1においては、指紋画像がほぼ等幅化される。これにより撮像結果を2値化して処理する簡易な処理によっても、押圧力の変化、指紋の歪み、指を撮像する光学系の汚れ等による2値化信号S1の変化が吸収されて、指紋照合精度の低下が有効に回避される。
【0212】
指紋照合装置1では、これらの3N枚の指紋画像の中から、指紋照合に最も適した指紋画像が選択され、その選択された指紋画像が指紋データベース5に登録される。これにより指紋照合装置1では、指紋照合精度が向上される。
【0213】
この指紋照合に最も適した指紋画像の選択は(図34)、この3N枚の画像の1つを指紋データベース5に登録した指紋データと仮定して、他の画像との間で指紋照合の処理を繰り返して照合率を検出する。さらにこの登録したと仮定した画像を順次切り換えて同様の処理を繰り返し、照合率でなる相関値の値が最も大きな指紋画像を選択して実行される。これにより指紋照合装置では、実際の指紋照合に対応した判定基準により、指紋データベース5に登録する指紋データD1を選択するようになされ、その分確実に指紋照合できるようになされている。
【0214】
具体的に、指紋照合装置1では、この指紋データベース5に登録したと仮定した指紋データ(図35において、n画像が対応する)と、これと照合率を検出する指紋データ(図35においてm画像が対応する)とを、それぞれ正立画像メモリ6Aより画像回転回路31に出力し、ここでセグメント内の配列を変更して、セグメントを90度回転してなる指紋データが生成される(図12)。さらにこの生成した指紋データを回転画像メモリ6B及びデータベース用回転画像メモリ5Bに格納し、これにより正立画像と、この正立画像を90度回転してなる回転画像とが生成される。
【0215】
さらにこの正立画像において、m画像より、水平方向に64ピクセルの画像データにより構成される線状の画像が、順次垂直方向に8本切り出され、各線状の画像データが、それぞれ照合部40A〜40Bのラッチ回路41にセットされる(図16)。またn画像の指紋データが、ラスタ走査の順序で連続するように、照合部40A〜40Bに同時並列的に供給され、比較回路44において、これら2つの画像データ間で各ビットの一致、不一致が判定される。
【0216】
さらにこの一致したビット数がカウンタ45によりカウントされ、比較回路47により一定の基準値を越えるか否か判断される。さらにこの一定値を越える場合は、n画像の指紋データを照合部40A〜40Bに出力するメモリ制御回路30のアドレスデータADを基準にして、対応するn画像の座標値が座標群メモリ49に記録される。
【0217】
これによりこの8本の線状画像をそれぞれn画像上でラスタ走査し(図18)、重なり合う画像間で、順次類似の程度が検出され、一定値以上類似している位置の座標値が座標群メモリ49に格納されることになる。このとき指紋照合装置1では、この8本の線状画像の走査を8系統の照合部40A〜40Hにより同時並列的に実行することにより、その分短時間で指紋照合に適した画像を選択できるようになされている。
【0218】
さらにこのようにして線状の画像を切り出して照合部40A〜40Hにセットする際に、黒つぶれのセグメントについては、この線状の画像を切り出さないように、所定の判断手順を実行して指紋データD1がセットされ、これにより指紋照合精度の低下が有効に回避される。また事前に検出した有効領域基準にして、この線状画像を切り出す枠が設定され、これにより短時間で必要な画像を切り出すことができるようになされている。さらにこの線状に切り出す指紋データについては、論理レベルの切り換わりがカウントされ、カウント値が所定値以下の部分が対象より除外されることにより、指紋照合に有意な情報が充分に含まれる部分が切り出され、これによっても指紋照合の精度を向上できるようになされている。
【0219】
これに対して、ラスタ走査順に供給される指紋データにおいては、黒つぶれセグメント、空白領域については、これらをマスクするように比較回路44、47の動作が切り換えられ、これによりこれらの領域、セグメントによる照合率の低下が有効に回避される。
【0220】
このようにして正立画像について、座標群メモリ49に座標データを保持すると、続いて回転画像メモリ6B及びデータベース用回転画像メモリ5Bに格納された指紋データにより同様の処理が実行され(図40)、回転画像についても座標データが記録される(図19)。
【0221】
このようにして記録された座標データは、システム制御回路3による照合率検出処理により、照合部40A〜40Hによる座標値の組み合わせ毎に、線状画像の相対的な位置関係を満足する組み合わせの数が検出され(図36及び図37)、この検出された本数により照合率が検出される。
【0222】
このときシステム制御回路3において、始めに照合部40A、40B、40Cにより得られた座標値の組み合わせ毎に、対応する線状画像の相対的な位置関係を満足する組み合わせの数が検出され、この組み合わせ数を基準にして偶然にも高い類似の程度が検出された座標値が検査対象より除外され、残る組み合わせにより照合率が検出される。これにより事前の、部分的な組み合わせより処理対象を低減し、その分短時間で照合率を検出し、登録に適した画像を短い時間で選択することができるようになされている。
【0223】
このようにしてn画像を指紋データベースに登録したと仮定して、m画像について照合率が検出されると、このm画像を切り換えて同様に照合率が検出され、3N枚の画像について、処理が完了すると、n画像が切り換えられて、同様の処理が繰り返され、各組み合わせ毎に、それぞれ照合率が検出される。
【0224】
このようにして検出された照合率は、この指紋登録時においては、相関値として処理され、最も大きな相関値の得られた、指紋データベースの登録したと仮定した際の指紋データが指紋データベース5に登録され、これにより指紋照合の精度が向上される。
【0225】
これに対して指紋照合処理において、指紋照合装置1は、表示部8を介してユーザーに指の載置を促し(図41)、シリアルパラレル変換回路21より出力される画像データの変化により、指紋照合の処理を開始し、これにより簡易な操作で指紋照合できるようになされている。
【0226】
続いて指の側方に配置された圧力センサ23(図2)により、指の生体反応が検出され、生体反応が検出されない場合は、指紋照合の処理が中止される。これにより指紋照合の面より、セキュリティの向上が図られる。
【0227】
これに対して生体反応が検出されると、指紋データの入力条件が整えられた後、指紋データが取り込まれ、対応するユーザーについて、指紋データベース5に登録された指紋データとの間で、この取り込んだ指紋データが指紋照合される。
【0228】
すなわちこの指紋照合時における指紋データの入力条件においても(図45)、シリアルパラレル変換回路21の出力データより、有効領域が検出される(図25)。これによりこの有効領域を基準にして続く一連の処理が実行され、照合に要する時間がその分短縮される。またこの有効領域のセグメント数により指の載置位置が正しいか否か判断され(図41)、指が正しく載置されていないことによる、照合精度の劣化が有効に回避される。
【0229】
これに対して続くズーム処理において(図46)、指紋データベース5に登録された倍率に対応するように、指紋データ入力部4における間引き回路20の間引き率が設定され、これにより指紋登録時と同一の倍率により指紋データを入力できるように設定され、指紋照合の精度が向上される。
【0230】
またしきい値補正処理において(図29)、有効領域の各セグメント毎に、しきい値補正メモリ24(図2)の内容が補正され、これによりセグメントを単位にして、押圧力により変化する指紋照合精度の劣化、二等辺三角形プリズム11の汚れ等による指紋照合精度の劣化が有効に回避される。さらに黒つぶれ処理において(図30)、指紋照合に不適切な黒つぶれのセグメントが検出され、このセグメントが照合対象より除外され、また指が異常に湿っている場合等が注意され、これにより指紋照合に適した条件により撮像結果を処理して、指紋照合精度が向上される。
【0231】
さらに続く角度検出処理において(図31、図32、図33)、有効領域を基準にして指の傾きが検出され、この傾きが異常な場合はユーザーに注意が促され、さらにこの検出結果により、指紋照合時、傾き補正の処理(図47、ステップSP192)が実行され、これにより指を傾けて載置したことによる指紋照合精度の劣化が有効に回避される。
【0232】
このようにして指紋データD1の入力条件が整えられると、指紋照合装置1では、シリアルパラレル変換回路21より出力される指紋データD2が検査指紋メモリ6(図9)の正立画像メモリ6Aに取り込まれ、続いて比較回路14の基準電圧REFを正側に所定電圧だけオフセットして(図8)、指紋データD2が同様に正立画像メモリ6Aに取り込まれ、またこれとは逆に基準電圧REFを負側に所定電圧だけオフセットして、指紋データD2が正立画像メモリ6Aに取り込まれる。
【0233】
この基準電圧REFをオフセットさせて切り換えることにより、指紋照合装置1においては、検査対象の指紋画像についても、ほぼ等幅化され、これにより押圧力の変化、指紋の歪みによる指紋照合精度の低下が有効に回避される。
【0234】
このようにして検査指紋メモリ6に取り込まれた指紋データD2は(図47)、正立画像メモリ6Aより画像回転回路31に出力されてセグメント内の配列が変更された後、回転画像メモリ6Bに格納され、これによりこの正立画像を90度回転してなる回転画像が回転画像メモリ6Bに保持される。これに対して指紋データベース5から、比較対象でなる指紋データD1が、画像回転回路31に出力されてセグメント内の配列が変更された後、データベース用回転画像メモリ5Bに格納され、これにより回転画像メモリ6Bに対応する回転画像が生成される。
【0235】
続いて指紋データD2は、傾き検出処理により検出された傾きを補正するように、水平方向に所定角度だけ傾いて(図49及び図50)、64ピクセルの画像データにより構成される線状の画像が、順次垂直方向に8本切り出され、各線状の画像データが、それぞれ照合部40A〜40Bのラッチ回路41にセットされる(図16)。これにより指紋データベース5に保持された指紋画像の傾きが補正され、指紋照合精度が向上される。また指紋データベース5の比較対象でなる指紋データD1が、ラスタ走査の順序で連続するように、照合部40A〜40Bに同時並列的に供給され、比較回路44において、これら2つの画像データ間で各ビットの一致、不一致が判定される。
【0236】
さらにこの一致したビット数がカウンタ45によりカウントされ、比較回路47により一定の基準値を越えるか否か判断される。さらにこの一定値を越える場合は、指紋データベース5に対するメモリ制御回路30のアドレスデータADを基準にして、対応する指紋データD1の座標データが座標群メモリ49に記録される。
【0237】
これによりこの8本の線状画像をそれぞれ指紋データD1による画像上でラスタ走査し(図51)、重なり合う画像間で、順次類似の程度が検出され、一定値以上類似している箇所の座標データが座標群メモリ49に格納されることになる。このとき指紋照合装置1では、これら線状画像の走査を8系統の照合部40A〜40Hにより同時並列的に実行することにより、その分短時間で指紋照合できるようになされている。
【0238】
さらにこのようにして線状の画像を切り出して照合部40A〜40Hにセットする際に、黒つぶれのセグメントについては、この線状の画像を切り出さないように指紋データD2がセットされ、これにより指紋照合精度の低下が有効に回避される。また事前に検出した有効領域基準にして、この線状画像を切り出す枠が設定され、これにより短時間で必要な画像を切り出すことができるようになされている。さらにこの線状に切り出す指紋データについては、論理レベルの切り換わりがカウントされ、カウント値が所定値以下の部分が対象より除外されることにより、指紋照合に有意な情報が充分に含まれる部分が切り出され、これによっても指紋照合の精度を向上できるようになされている。
【0239】
これに対して指紋データベース5側の指紋データD1は、黒つぶれセグメント、空白領域については、これらをマスクするように比較回路44、47の動作が切り換えられ、これにより指紋照合の精度が向上される。
【0240】
このようにして記録された座標データは、指紋登録時と同様の処理により、照合部40A〜40Hによる座標値の組み合わせ毎に、線状画像の相対的な位置関係を満足する組み合わせの数が検出され(図36及び図37)、この検出された数により照合率が検出される。このときシステム制御回路3において、照合部40A〜40Cに対応した部分的な組み合わせより、相対的な位置関係を満足しない組み合わせを処理対象より除外し、これにより偶然にも高い類似の程度が検出された座標値が検査対象より除外され、残る組み合わせにより照合率が検出される。これにより短時間で照合率を検出することができ、その照合に要する時間を短縮できるようになされている。
【0241】
このようにして傾き補正した指紋データD2について、照合率が検出されると、続いてこの傾きの角度θが更新されて(図53)、同様の処理が実行され、さらに枠を切り換えて同様の処理が実行される(図54)。さらに正立画像についてこの一連の処理が終了すると、回転画像について、角度θ、枠を順次更新して同様の処理が実行される(図52)。さらに正立画像及び回転画像に対する処理が完了すると、しきい値を切り換えて検査指紋メモリ6に取り込んだ残りの指紋データD2についても、同様の処理が繰り返される(図47、ステップSP202、203)。
【0242】
このようにして正立画像、回転画像の各角度、しきい値に対応して複数の照合率が検出されると、正立画像において、切り換えた枠の全てで照合率が一定値以上か否か検出され、続いて同様に、回転画像について、切り換えた枠の全てで照合率が一定値以上か否か検出される。さらにこの正立画像及び回転画像において、対応する枠について検出された座標値が相対位置関係を満足するか検出され、さらに同様の処理が切り換えた枠間で検出される。これらの条件を全て満足する場合、この指紋データD2による指紋は、指紋データD1による指紋と一致すると判定される。これに対して何れか1つの条件でも満足しない場合は、一致との判定結果が留保される。
【0243】
これにより正立画像及び回転画像により識別して、識別力を向上するようになされている。またこのとき枠による座標値の相対位置関係を判断基準に加味することにより、さらに隣接枠についても条件を加えることにより、識別力を一段と向上するようになされている。
【0244】
この判断において、角度及び基準電圧を切り換えて得られる照合率については、正立画像及び回転画像、各枠において、論理和により一致するか否か判定され、これにより指紋データベース5に登録された本人については、識別力を向上して、確実に一致結果を出力できるようになされている。
【0245】
かくしてこのようにして一致の判定が留保された場合(図41)、基準となる枠が移動されて(ステップSP163)、再び同一の処理が繰り返される。これにより指紋照合の精度が向上される。さらに枠を移動しても、一致の判定が留保された場合(図42)、同一ユーザーについて他の登録した指紋データが存在する場合、優先順位に従って、対象となる指紋データD1が切り換えられて(ステップSP165)、同様の処理が繰り返され、これによっても指紋照合の精度が向上される。
【0246】
さらにこのような処理を繰り返しても、一定値以下の、低い照合率しか得られない場合、不一致と判定し、これにより指紋照合の精度が向上される。これに対して一定範囲で照合率が一定している場合は、判定基準が低減されて、同様の処理が繰り返され、これにより指が異常に乾燥している場合等にあっても、確実に本人と識別される。
【0247】
これに対して一致と判定された場合、一致の判定結果が出力された後、このときの照合率が指紋データベース5に記録される(図15、図41)。さらに続いて指紋データベース5に記録された、過去の照合率の変化が確認され、これにより照合率が低下している場合は、登録した指紋データの更新が促される(図43)。これにより指の大きさ等が変化した場合でも、照合率の回復が図られ、確実に指紋照合することができる。
【0248】
(3)実施の形態の効果
以上の構成によれば、指紋登録時及び指紋照合時、検出した座標値を部分的に組み合わせて、偶然にも高い類似の程度が検出された座標値の組み合わせを処理対象より除外し、残る組み合わせにより照合率を検出することにより、短時間で、確実に照合率を検出することができる。従ってその分短時間で、確実に指紋照合することができる。また登録時にあっては、短時間で、指紋照合に適した指紋画像を検出して登録することができる。
【0249】
(4)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、座標メモリ49に保持された8系統の座標群より、3系統の座標群による部分的な組み合わせを形成し、この組み合わせにより処理対象の数を低減する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、必要に応じて部分的な組み合わせの数は自由に設定することができ、また部分的な組み合わせにより低減した組み合わせについて、さらに部分的な組み合わせにより処理対象を低減してもよい。
【0250】
さらに上述の実施の形態においては、しきい値、正立画像及び回転画像、枠を切り換えて検出した照合率により、総合的に画像の一致を判定する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、必要に応じて、これらの処理を省略する場合、さらにはこれらの内の何れかの処理を選択的に実行する場合、さらには他の種々の判定手法と組み合わせてて実行する場合に広く適用することができる。
【0251】
また上述の実施の形態においては、検査する画像を線状に切り出して指紋照合する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、指紋データベースに登録した指紋画像側を線状に切り出して指紋照合する場合にも広く適用することができる。
【0252】
さらに上述の実施の形態においては、本発明を指紋照合装置に適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば印影の照合装置、さらにはデータベース化された画像間で、全体又は部分的に類似、比類似を判定する画像照合装置等に広く適用することができる。
【0253】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、複数の線状の画像を他の画像上で走査させて類似の程度の高い位置を検出し、この検出した位置の座標値の関係より画像を照合する際に、これら検出した座標値を部分的に組み合わせて、線状の画像に対応する相対位置関係を満足しない組み合わせを処理対象より除外することにより、全体として処理に要する組み合わせの数を低減することができる。従ってその分短い時間で、確実に照合結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る指紋照合装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1の指紋照合装置の指紋データ入力部を示すブロック図である。
【図3】図2の指紋データ入力部による指紋の画像を示す略線図である。
【図4】図2の指紋データ入力部における光量ムラの補正の説明に供する信号波形図である。
【図5】指紋の画像とセグメントの関係を示す平面図である。
【図6】実際の光量ムラの補正の説明に供する信号波形図である。
【図7】基準電圧でなるしきい値の補正の説明に供する信号波形図である。
【図8】基準電圧でなるしきい値の切り換えの説明に供する信号波形図である。
【図9】検査指紋メモリ及び指紋データベースを周辺回路と共に示すブロック図である。
【図10】図2の指紋データ入力部による指紋の画像を示す略線図である。
【図11】図9の指紋の画像を回転した画像を示す略線図である。
【図12】図9の画像回転回路を示すブロック図である。
【図13】図12の画像回転回路による画像回転の説明に供する略線図である。
【図14】図13に対応する回転後の画像を示す略線図である。
【図15】指紋データベースの内容を示す略線図である。
【図16】照合率検出部を示すブロック図である。
【図17】線状画像の切り出しの説明に供する略線図である。
【図18】線状画像に対する指紋データの供給を示す略線図である。
【図19】座標群メモリの内容を示す略線図である。
【図20】システム制御回路3の処理手順を示すフローチャートである。
【図21】図20の光学系動作確認処理を示すフローチャートである。
【図22】図20の指紋登録処理を示すフローチャートである。
【図23】図22の実登録処理を示すフローチャートである。
【図24】図23の続きを示すフローチャートである。
【図25】図23の有効領域検出処理を示すフローチャートである。
【図26】図25の有効領域検出処理の説明に供する略線図である。
【図27】図23の指位置判定処理を示すフローチャートである。
【図28】図23のズーム処理を示すフローチャートである。
【図29】図23のしきい値補正処理を示すフローチャートである。
【図30】図23の黒つぶれ処理を示すフローチャートである。
【図31】図23の角度検出処理を示すフローチャートである。
【図32】図31の角度検出処理の説明に供する略線図である。
【図33】図32の続く処理の説明に供する略線図である。
【図34】図24の登録データ選択処理を示すフローチャートである。
【図35】図34の相関値検出処理を示すフローチャートである。
【図36】図35の続きを示すフローチャートである。
【図37】図36の続きを示すフローチャートである。
【図38】図37の続きを示すフローチャートである。
【図39】回転画像からの線状画像の切り出しの説明に供する略線図である。
【図40】回転画像における線状画像に対して指紋データの供給を示す略線図である。
【図41】図20の指紋登録処理を示すフローチャートである。
【図42】図41の続きを示すフローチャートである。
【図43】照合率の低下の説明に供する特性曲線図である。
【図44】枠の移動の説明に供する略線図である。
【図45】図41の指紋データ入力処理を示すフローチャートである。
【図46】図45のズーム処理を示すフローチャートである。
【図47】図41の比較判定処理を示すフローチャートである。
【図48】図47の続きを示すフローチャートである。
【図49】傾き補正の説明に供する略線図である。
【図50】図49の傾き補正における画像データの処理の説明に供する略線図である。
【図51】傾き補正した線状画像に対する指紋データの供給を示す略線図である。
【図52】図51の回転画像の場合を示す略線図である。
【図53】角度の切り換えの説明に供する略線図である。
【図54】枠の切り換えの説明に供する略線図である。
【図55】正立画像における座標値の説明に供する略線図である。
【図56】図55の正立画像との関係で、回転画像における座標値の説明に供する略線図である。
【図57】各枠より検出される座標値の関係を示す略線図である。
【符号の説明】
1……指紋照合装置、3……システム制御回路、4……指紋データ入力部、5……指紋データベース、6……検査指紋メモリ、6A……正立画像メモリ、6B……回転画像メモリ、7……照合率検出部、7B……データベース用回転画像メモリ、11……二等辺三角形プリズム、14……比較回路、16……光量補正メモリ、20……間引き回路、22……脈波検出部、23……圧力センサ、24……しきい値補正メモリ、30……メモリ制御回路、31……画像回転回路、40A〜40H……照合部、49……座標群メモリ
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像照合装置及び画像照合方法に関し、例えば指紋照合装置に適用することができる。本発明は、この画像照合装置において、第1及び第2の画像間の一致の程度を、第1の方向と、これと異なる、例えばこの第1の方向とほぼ直交する方向とについて測定し、この2つの測定結果に基づいて最終的な一致不一致を判定することにより、短時間で、確実に画像を照合することができるようにする。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の画像照合装置でなる指紋照合装置においては、撮像手段を介して得られた指紋の画像より、指紋の分岐、点、切れ等の特徴的な部分(以下、特徴点と呼ぶ)を抽出することにより、この特徴点を基準にして指紋を照合するようになされている。
【0003】
すなわち従来の指紋照合装置においては、例えば各指紋の特徴点とその座標値を基準にして、予め照合する指紋をデータベース化する。これに対して検査対象でなる指紋の画像を画像処理し、特徴点を抽出する。さらに抽出した特徴点によりデータベースをアクセスし、これにより対応する特徴点の有無により指紋を照合するようになされていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで従来の指紋照合においては、処理に時間を要する問題がある。短時間で、確実に指紋照合することができれば、この種の指紋照合装置の使い勝手を向上でき、便利であると考えられる。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、短時間で、確実に指紋等の画像を照合することができる画像照合装置及び画像照合方法を提案しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、検出した座標値の組み合わせより、線状の画像の相対位置関係に対応した組み合わせを検出することにより、画像の一致又は不一致を判定する構成において、この検出した座標値による組み合わせを形成する際に、部分的な組み合わせを形成して各部分的な組み合わせにおける座標値を判定し、この判定結果より、事前に、線状の画像の相対位置関係を満足しない座標値の組み合わせを処理対象より除外する。
【0007】
検出した座標値を組み合わせて、線状の画像の相対位置関係に対応する組み合わせを検出する際に、事前に、部分的な組み合わせにより、この相対位置関係を満足しない座標値の組み合わせを処理対象より除外すれば、その分最終的な組み合わせ数を低減することでき、部分的な組み合わせにより処理が増大しても、全体としては処理を簡略化することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳述する。
【0009】
(1)実施例の構成
(1─1)全体構成
図1は、本発明の実施の形態に係る指紋照合装置の全体構成を示すブロック図である。この指紋照合装置1においては、キー入力部2を介して入力されるユーザーの操作に応動してシステム制御回路3により全体の動作を制御することにより、所定のユーザーについて、事前に、指紋データ入力部4を介して指紋データD1を取り込み、この取り込んだ指紋データD1を種々のユーザーデータと共にメモリに登録して指紋データベース5を構築する。
【0010】
これに対してユーザーが指紋照合の要求を入力すると、指紋データ入力部4を介して検査対象の指紋データD2を取り込み、この取り込んだ指紋データD2を検査指紋メモリ6に一時保持する。さらにキー入力部2を介して入力されるユーザーの操作に応動して、検査指紋メモリ6に一時保持した指紋データD2と、指紋データベース5に登録された対応する指紋データD1とを照合率検出部7に入力する。さらにこれら指紋データD1及びD2間の一致の程度を検出し、システム制御回路3において、この一致の程度に応じて指紋の一致不一致を判断する。
【0011】
これにより指紋照合装置1は、データベース化されて、ユーザーの入力したユーザーIDにより特定される指紋データD1と、指紋データ入力部4を介して入力される指紋データD2とが一致するか否か判断することにより、指紋照合を要求したユーザーが該当する人物か否か判断し、判断結果を出力する。またこの一致の程度に応じて、必要に応じて指紋データベース5の更新処理等を実行し、照合結果を記録する。なお指紋照合装置1においては、表示部8を介してユーザーにメッセージを通知し、これにより必要な指示をユーザーに通知して、例えばユーザーIDの入力等を促すようになされている。
【0012】
(1−1)指紋データ入力部
図2は、指紋データ入力部を示すブロック図である。この指紋データ入力部4においては、所定の光学系を介して、所定の指載置位置に保持されたユーザーの指より指紋を撮像し、この撮像結果より指紋データD1及びD2を生成する。
【0013】
ここでこの光学系は、指紋を採取する指を底面に載置可能に保持された二等辺三角形プリズム11と、この二等辺三角形プリズム11の斜面より底面を照明する光源12と、底面で反射された光源12の照明光を残る斜面より撮像するCCDカメラ13とにより構成される。なお光源12は、発光ダイオードアレイ等により構成される。
【0014】
これによりこの光学系は、二等辺三角形プリズム11の底面に皮膚が接触していない部分については、光源12から射出された照明光を底面により全反射してCCDカメラ13に導き、これとは逆に、二等辺三角形プリズム11の底面に皮膚が接触している部分については、底面において照明光を乱反射してCCDカメラ13へ照明光が入射しないようにする。その結果この光学系は、図3に示すように、指紋の模様に対応した明暗の画像をCCDカメラ13よりビデオ信号SVの形式で出力するようになされている。
【0015】
なおこの実施の形態において、CCDカメラ13は、4:3のアスペクト比により、指の先端から付け根方向が撮像結果の水平方向になるように、指を撮像する。この場合、指の周囲の空白部分については、何ら二等辺三角形プリズム11の底面に貼り着いていないことにより、高輝度レベルで撮像されることになる。
【0016】
比較回路14は、このビデオ信号SVを2値化して2値化信号S1を出力する。ラッチ回路18は、タイミングジェネレータ(TG)19より出力されるクロックを基準にしてこの2値化信号S1をCCDカメラ13の各画素に対応したタイミングでサンプリングし、1ビットの画像データDV1を出力する。間引き回路20は、この画像データDV1を間欠的に取り込むことにより、一定の割合で間引きして出力し、シリアルパラレル変換回路(S/P)21は、この2ビットの画像データDV1を8バイト単位で取り込んで間欠的に出力することにより、1ビット×8バイトの画像データDV1を8ビット×1バイトの指紋データD1又はD2に変換してデータバスBUSに出力する。
【0017】
(1−1−1)光量補正
ここで比較回路14は、基準電圧生成回路15より出力される基準電圧REFを基準にして2値化信号S1を生成し、この実施の形態ではこの基準電圧REFにより光学系の光量ムラを補正する。
【0018】
すなわち図4に1水平走査期間を基準にして示すように、このような光学系に光量のムラがある場合、撮像結果でなるビデオ信号SVにおいては、この光量ムラにより信号レベルが変化し(図4(A))、これにより一定の基準電圧SLにより2値化したのでは、一般に光量の低下する周辺部で、信号レベルの立ち上がる期間が短くなるように2値化信号S1が生成される(図4(B))。すなわち正しく2値化信号を生成することが困難になり、その分指紋の照合精度も劣化することになる。
【0019】
このためこの実施の形態では、何ら指紋の撮像しない状態でビデオ信号SVの信号レベルを検出することにより(図4(C))、この光学系により光量ムラを検出する。さらにこの検出した信号レベルを所定値だけ0レベル側にオフセットさせて基準電圧REFを設定し、この基準電圧REFにより2値化信号を生成する(図4(D)及び(E))。これにより指紋照合装置1においては、光量ムラを補正して、指紋照合精度を向上するようになされている。また待機状態におけるこの基準電圧REFと撮像結果との比較結果に基づいて、指載置位置の汚れ、光源12の劣化を検出して警告を発するようになされ、これによっても指紋照合精度を向上するようになされている。
【0020】
具体的に、この実施の形態では、図5に示すように、間引き回路20より出力される画像を、水平方向及び垂直方向に、8画素単位で等間隔に分割し、これにより複数のセグメントを形成する。基準電圧生成回路15は、各セグメントの基準データを保持するラッチ回路と、各ラッチ回路の基準データを対応するタイミングでディジタルアナログ変換処理して出力するディジタルアナログ変換回路により構成され、これにより各セグメントで対応する基準電圧REFを出力する。
【0021】
ここでこの基準データは、工場出荷時、このCCDカメラ13より出力されるビデオ信号SVの信号レベルを検出して、この信号レベル検出結果より光量補正メモリ16に事前に登録される。さらに電源起動時、システム制御回路3により基準電圧生成回路15にセットされる。これにより指紋照合装置1では、図6に示すように、例えばX方向について、中心より周囲の部分でビデオ信号SVの光量が不足している場合、この光量の変化に対応するように基準電圧REFを切り換え、光量ムラを有する簡易な構成の光学系によっても、指紋の凹凸に対応して撮像結果を正しく2値化できるようになされている。
【0022】
かくするにつき光量補正メモリ16は、光量補正用の基準データを保持する不揮発性のメモリにより構成されるようになされている。
【0023】
(1−1−2)しきい値の補正
ところでこのように二等辺三角形プリズム11に指を載置する場合、底面に対する指の押圧力により皮膚の接触面積が変化することになる。これによりビデオ信号SVにおいては、この押圧力により全体の信号レベルが変化することになる。すなわち図7に示すように、押圧力が大きい場合は、黒レベルの範囲が増大するように、全体の信号レベルが低下し(図7(A))、これとは逆に押圧力が小さい場合は、白レベルの範囲が増大するように、全体の信号レベルが増大することになる(図7(B))。また発汗の程度によっても同様の現象が発生する。これにより指紋照合装置1では、押圧力等に応じて、2値化信号S1が変化し、この2値化信号S1より得られる指紋照合結果が変化することになる。
【0024】
比較回路14は、システム制御回路3により基準電圧生成回路15にセットされる光量補正用の基準データが、しきい値補正メモリ24に格納された補正データにより補正されることにより、撮像結果に応じて、セグメント単位で基準電圧REFが補正され、これにより押圧力、二等辺三角形プリズム11の表面状態等が変化しても正しく2値化信号S1を出力できるようになされている。
【0025】
ここでこのしきい値補正メモリ24に格納される補正データは、データバスBUSに出力される指紋データD1を選択的にシステム制御回路3に入力し、このシステム制御回路3において、この指紋データD1の論理レベルを検出して2値化信号S1の信号レベルが立ち下がる期間T1が、全体の期間T2に対して30〜70〔%〕の範囲に収まるように(図7(C))、指紋データD1の測定結果に基づいて設定される。
【0026】
比較回路14においては、この補正データにより補正された基準電圧REFにより2値化信号S1を出力し、この2値化信号S1において、さらにしきい値補正メモリ24の内容が更新され、この一連の処理が繰り返されて、期間T1及びT2の総和が各セグメントで一定範囲内に収まると、しきい値補正メモリ24の更新処理が終了する。
【0027】
これにより指紋照合装置1においては、各セグメント毎にしきい値でなる基準電圧REFの信号レベルを最適値に設定し、指の押圧力等が変化しても、正しい照合結果を出力できるようになされている。
【0028】
(1−1−3)しきい値の切り換え
指紋照合装置1においては、このようにして基準電圧REFが設定されると、指紋データベース5又は検査指紋メモリ6への指紋データD1、D2の取り込みが開始され、比較回路14においては、図8に示すように、光量補正メモリ16の基準データにより決まる基準電圧REFにより2値化信号S1を出力した後(図8(A)及び(B1))、この基準電圧REFに対して所定電圧だけ正側及び負側に変移してなる第1及び第2の基準電圧REF1及びREF2により順次2値化信号S1を出力する(図8(A)、(B2)及び(B3))。なおこの図8においては、基準電圧REFにより光量ムラを補正していない場合を示す。
【0029】
ここでこの基準電圧REFの切り換えは、システム制御回路3により、光量補正メモリ16の基準データが、しきい値補正メモリ24の内容により補正された状態で、さらに所定値だけ補正されて、基準電圧生成回路15に改めてセットされることにより実行される。これにより指紋照合装置1では、指の押圧力、二等辺三角形プリズム11の表面状態の変化等による照合精度の劣化を有効に回避し、正しい照合結果を出力できるようになされている。
【0030】
(1−1−4)指紋データの出力
このようにして指紋データD1及びD2を出力するにつき、タイミングジェネレータ19は、ビデオ信号SVを基準にして、この指紋照合装置1の各種クロック等を生成し、システム制御回路3からの指示により、間引き回路20に出力するクロックの周期を切り換える。これにより間引き回路20においては、指紋データD1、D2の採取対象でなる指の大きさに応じて間引き率を切り換えるようになされ、指紋照合装置1においては、指が小さい場合には、画像データDV1より間引き率を低減して指紋データD1、D2を生成し、確実に指紋照合できるようになされている。
【0031】
(1−1−5)脈波検出部
脈波検出部22は、指載置位置の側方に配置された圧力センサ23と、この圧力センサ23の検出結果をシステム制御回路3に出力する周辺回路とにより構成される。ここで圧力センサ23は、指載置位置に指を載置すると、システム制御回路3からの指令により図示しない押圧機構と共に、この指の側面を押圧するように構成され、この状態で指の血流に応じて変化する圧力検出結果を出力するようになされている。
【0032】
かくするにつき、この圧力検出結果においては、血流の脈動に応じて変化することにより、システム制御回路3においては、この圧力検出結果(すなわち脈波の検出結果でなる)により指の生体反応を検出することができる。これによりこの指紋照合装置1では、この圧力検出結果に基づいて人間の指が載置されたと判断することができるときだけ、指紋登録の処理及び指紋照合の処理を実行し、セキュリティを向上するようになされている。なおこの実施の形態においては、システム制御回路3により指紋データD1、D2の論理レベルを監視し、この論理レベルの変化をトリガにして指の載置を検出した後、続いてこの脈波検出部22の検出結果に基づいて、人間の指が載置されたと判断することができるときだけ、一連の照合処理等を開始するようになされている。
【0033】
(1−2)指紋データベース5及び検査指紋メモリ6
(1−2−1)検査指紋メモリ6
図9は、指紋データベース5及び検査指紋メモリ6を周辺回路と共に示すブロック図である。ここで検査指紋メモリ6は、指紋データベース5への指紋データD1の登録時、また指紋照合時、上述した指紋データ入力部4より出力される指紋データD1、D2を保持する。
【0034】
すなわち検査指紋メモリ6は、システム制御回路3により制御されてメモリ制御回路30により実行されるアドレス制御により、通常の間引き率で指紋データ入力部4より入力される指紋データD1、D2については、CCDカメラ13の画素に対して1/2の画素を間引きしてなる水平方向に256ピクセル、垂直方向に128ピクセルの指紋データD1、D2を格納する。これに対して指の大きさに応じて間引き率が切り換えられて入力される場合は、指紋データD1、D2により形成される画像の一部領域についてのみ選択的に入力し、これにより通常の場合と同様の、水平方向に256ピクセル、垂直方向に128ピクセルの指紋データD1、D2を格納する。これにより指紋照合装置1においては、間引き率を可変して取り込んだ画像についても、通常と同一の処理により指紋照合できるようになされている。
【0035】
さらにこのとき検査指紋メモリ6は、指紋データ入力部4より出力される指紋データD1、D2を正立画像メモリ6Aに格納すると共に、メモリ制御回路30によるアドレス制御により順次データバスBUSを介して正立画像メモリ6Aに取り込んだ指紋データを画像回転回路31に出力する。さらに検査指紋メモリ6は、図10及び図11に示すように、画像回転回路31より出力される、元の指紋データによる画像に対して、90度回転してなる画像の指紋データD1を回転画像メモリ6Bに格納する。これにより指紋照合装置1は、元の画像に対して90度回転してなる画像を用いて、元の画像と同様の処理により指紋照合結果を検出できるようになされている。
【0036】
すなわち図12に示すように、画像回転回路31は、マトリックス状に接続された8×8ビット分のフリップフロップ回路(FF)31AA〜31HHと、セレクタ31Aにより構成され、データバスBUSより入力される指紋データD1、D2の各ビットデータをこれらフリップフロップ回路(FF)31AA〜31HHで順次8バイト分転送した後、この各ビット毎に並列的に出力することにより、セグメントを単位にして指紋データD1、D2の配列を90度変更する。これにより図13に示すように、画像回転回路31は、それぞれ数字1〜512により示すセグメントを単位にして指紋データD1、D2を入力した後、記憶手段に格納し直すことにより、図14に示すように、8ピクセル単位で2値の画像データを処理してセグメントの配列方向だけでなく画像全体の配列方向を変更できるようになされている。
【0037】
かくするにつき検査指紋メモリ6は、正立画像メモリ6Aに格納された画像に対して、このようにして90度回転した指紋の画像を回転画像メモリ6Bに保持するようになされている。
【0038】
また指紋データD1の登録時において、検査指紋メモリ6は、同一のユーザーについて複数枚分の指紋データD1を入力して保持し、これにより指紋照合装置1においては、これら複数枚の指紋データD1の中から最も指紋照合に都合の良い指紋データD1を選択的に指紋データベース5に登録できるようになされている。
【0039】
さらに検査指紋メモリ6は、システム制御回路3により制御されて実行されるメモリ制御回路30によるアドレス制御により、指紋照合時、指紋登録時、データバスBUSを介してこのようにして保持した指紋データD2を、後述する照合率検出部7の動作に応動して選択的に出力する。これによりこの指紋照合装置1では、8ピクセルを単位にして、指紋の画像を水平方向、垂直方向、斜め方向に切り出して出力できるようになされている。
【0040】
(1−2−2)指紋データベース5
指紋データベース5は、事前に登録したユーザーデータ、指紋データD1等により構成される。すなわち図15に示すように、この指紋データベース5は、登録したユーザーデータ毎に、ユーザーIDが記録され、さらに各ユーザーID毎に人指し指、中指、小指の指紋データD11、D12、D13が登録されるようになされている。これによりこの指紋照合装置1では、例えば怪我によりユーザーが中指の指紋を照合困難な場合でも、また中指によっては一致の照合結果が得られない場合でも、指紋データ入力部4を介して入力される指紋データD2と、これらの指紋データD11、D12、D13と照合して、本人と確認できるようになされ、その分使い勝手を向上できるようになされている。
【0041】
さらにこのとき各指紋データD11、D12、D13には優先順位のデータが記録され、この優先順位のデータに従って順次指紋照合するようになされている。これによりこの指紋照合装置1では、全体として照合結果が得られるまでの待ち時間を短縮して、使い勝手を向上できるようになされている。
【0042】
さらに指紋データベース5は、指紋登録時に間引き回路20(図2)により設定された間引き率を、各指紋データD11、D12、D13の倍率のデータとして記録するようになされ、これにより照合対象の指紋データD2を入力する際に、対応する倍率により取り込むことができるようになされている。また、この指紋照合装置1において検出された照合率が、ユーザーID毎に記録されるようになされ、この照合率の記録により必要に応じて照合の条件を可変し、また指紋データD11〜D13の再登録を促すことができるようになされている。これにより指紋照合装置では、確実に本人を判別できるようになされている。
【0043】
かくするにつき指紋データベース5は、システム制御回路3により制御されるメモリ制御回路30のアドレス制御により、検査指紋メモリ6と同様に、保持した指紋データD11、D12、D13等を選択的に出力し、また内容が更新されるようになされている。
【0044】
データベース用回転画像メモリ5Bは、この指紋データベース5に保持された指紋データD11、D12、D13による画像に対して、画像回転回路31により90度回転された指紋の画像を保持するようになされている。これにより指紋照合装置1では、指紋データベース5及び検査指紋メモリ6に保持した正立の指紋画像に対応して、90度回転した指紋画像をそれぞれ回転画像メモリ6B及びデータベース用回転画像メモリ5Bに保持し、元の正立画像と同様にこの90度回転した画像を処理できるようになされている。
【0045】
(1−3)照合率検出部7
図16は、照合率検出部7を示すブロック図である。この照合率検出部7は、8系統の照合部40A〜40Hを有し、各照合部40A〜40Hに、検査対象の指紋データD2を部分的にセットする。さらに照合率検出部7は、このセットした指紋データによる画像を、指紋データD1による画像上で2次元的に走査するように、各照合部40A〜40Hに、順次指紋データD1を供給し、各走査位置で指紋データD2及び指紋データD1間の相関の程度を検出する。
【0046】
さらにこの検出結果より、相関の高い座標値を座標群メモリ49に順次登録し、この登録した座標群の位置関係より、システム制御回路3において、照合率が算出され、この照合率より一致不一致が判定される。なお、各照合部40A〜40Hにおいては、同一構成でなることにより、図16においては、照合部40Aについてのみ詳細に記載し、他の照合部40B〜40Hについては、記載を省略する。また登録時において、照合率検出部7は、この指紋データD1及びD2間の判定に代えて、指紋データD1による複数画像間で照合率でなる相関値が検出されるようになされている。
【0047】
すなわち各照合部40B〜40Hにおいては、検査指紋メモリ6に格納された指紋データD2がそれぞれ8バイトずつラッチ回路41にセットされる。ここで各照合部40B〜40Hにセットされる指紋データD2は、システム制御回路3の制御によるメモリ制御回路30(図9)のアドレス制御により、図17に示すように、指紋データD2による画像より、線状の画像が切り出されて、この線状の画像による指紋データD2が割り当てられる。すなわちこの元の画像上で、水平方向、垂直方向又は斜め方向に連続する指紋データD2が割り当てられる。さらに各照合部40B〜40Hにおいて、このように連続する方向が平行になるように、またシステム制御回路3による事前の検査により、この連続する方向に所定回数以上、論理レベルが切り換わる指紋データD2が割り当てられる。
【0048】
このようにして各照合部40B〜40Hにセットされた指紋データD2に対して、照合部40A〜40Hにおいては、共通の指紋データD1が順次供給される。このとき指紋データD1は、システム制御回路3の制御によるメモリ制御回路30(図9)のアドレス制御により、照合部40B〜40Hにセットされた指紋データD2に対応して、この指紋データD2の画素の並ぶ方向を水平方向と仮定したとき、ラスタ走査の順序により連続する指紋データD1が8ビット単位で供給される。
【0049】
各照合部40A〜40Hにおいて、パラレルシリアル変換回路(P/S)42は、順次入力される指紋データD1をシリアルデータに変換して、一定周期でシフトレジスタ43に出力する。シフトレジスタ43は、このシリアルデータを64ビット分保持し、パラレルシリアル変換回路42より出力されるシリアルデータに同期して順次ビットシフトさせると共に、ビットシフトさせたデータを64ビットパラレルにより出力する。
【0050】
ラッチ回路41は、ラッチした8バイトの指紋データD2A〜D2Hを64ビットパラレルにより出力する。比較回路44は、64系統のイクスクルーシブオア回路により構成され、シフトレジスタ43の出力データとラッチ回路41の出力データとの間で、各ビットの比較結果をそれぞれ出力する。
【0051】
これにより各照合部40A〜40Hは、例えば水平方向に画素値が連続するように指紋データD2A〜D2Hがセットされた場合、図18に示すように、指紋データD1により形成される画像上を、この指紋データD2A〜D2Hにより形成される線状の画像をラスタ走査させ、重なり合う指紋データD1及びD2A〜D2H間で、各ビットの一致不一致を判定するようになされている。
【0052】
カウンタ45は、このようにして比較回路44より得られる64系統の比較結果をカウントし、カウント値を出力する。これによりカウンタ45においては、指紋データD2A〜D2Hにより形成される線状の画像と、この線状の画像と重なる合う指紋データD1より形成される画像との間の相関の程度を検出するようになされ、この重なり合った画像が完全に一致した場合、値64のカウント値を出力するようになされている。
【0053】
レジスタ46は、システム制御回路3により判定用の基準値データがセットされ、比較回路47は、このレジスタ46にセットされた基準値データとカウンタ45のカウント値とを比較し、このようにラスタ走査して重なり合う指紋データD1及びD2A〜D2H間で、相関の程度が大きい場合に信号レベルが立ち上がる判定データD4A〜D4Hを出力する。
【0054】
座標群メモリ49は、判定データD4A〜D4Hが立ち上がると、メモリ制御回路30より出力されるアドレスデータADを補正して記録することにより、各判定データD4A〜D4Hが立ち上がったタイミングにおける指紋データD2A〜D2HとD1との相対位置情報を各照合部40A〜40B毎に記録する。
【0055】
かくして、座標群メモリ49は、指紋データD1の画像上で線状の画像をラスタ走査し、判定データが立ち上ったタイミングでアドレスデータADを補正して取り込むことにより、線状の画像が、重り合う指紋データD1の画像と高い一致の程度を示した位置を、指紋データD1の座標値により記録することになる。
【0056】
かくするにつき、指紋のような繰り返し形状の画像について、このように線状に切り出した画像を走査して重なり合う画像との間で相関の程度を判定すると、多くの箇所で高い一致の程度を得ることができる。従って座標群メモリ49には、各照合部40A〜40H毎に、複数の座標データが記録されることになる。しかしながらこの2つの画像が異なる人物の指紋の場合、この座標群メモリ49には、照合部40A〜40H間で何ら無関係の座標値が格納されるのに対し、2つの画像が同一人の指紋の場合、図17について上述した指紋データD2A〜D2Hの相対位置関係に保持された相対的な座標値が座標群メモリ49に記録されることになる。これによりこの実施の形態では、この関係を利用して、座標群メモリ49に登録された座標群より、照合率のデータを生成するようになされている。
【0057】
さらにこの実施の形態において、座標群メモリ49は、図19に示すように、記憶領域を分割して、正立画像の座標データと回転画像の座標データとをそれぞれ格納する。ここで座標群メモリ49は、指紋データベース5及び正立画像メモリ6Aの指紋データD1及びD2によって検出された座標データを正立画像の座標データとして記録し、対応するデータベース用回転画像メモリ5B及び回転画像メモリ6Bの指紋データD1及びD2によって検出された座標データを回転画像の座標データとして記録する。
【0058】
さらにこの実施の形態において、指紋照合装置1は、それぞれ各照合部40A〜40Bに線状画像を順次傾けてセットするように構成され、座標群メモリ49は、正立画像及び回転画像の座標データにおいて、この傾きの角度毎に座標データを記録する。これにより指紋照合装置1においては、このようにして記録された座標データを総合的に判断して、指紋を照合するようになされ、その分指紋照合の精度を向上するようになされている。
【0059】
さらにこの実施の形態において、座標群メモリ49は、このような正立画像の座標データと回転画像の座標データとを、複数系統保持できるようになされている。座標群メモリ49は、この複数系統を、指紋データ入力部4における基準電圧REF、REF1、REF2の切り換えに対応して、また線状画像を切り出す領域(以下枠と呼ぶ)の切り換えに対応して保持し、それぞれ基準電圧、枠の切り換え毎に、座標データを記録するようになされている。
【0060】
これにより指紋照合装置1では、基準電圧の切り換え、枠の切り換えに対応して検出した座標データを総合的に判断して照合結果を向上するようになされている。
【0061】
(1−4)システム制御回路
システム制御回路3は、マイクロコンピュータにより構成され、この指紋照合装置1全体の動作を制御して、指紋データベース5に指紋データD1を登録し、またこの指紋データベース5を基準にして指紋照合の処理を実行する。
【0062】
(1−4−1)光量ムラの補正、光学系の異常検出
図20は、このシステム制御回路3の処理手順を大まかに示すフローチャートである。システム制御回路3は、電源が投入されると、ステップSP1からステップSP2に移り、光量補正メモリ16に登録された基準データを基準電圧生成回路15にセットする。これによりシステム制御回路3は、光学系の光量ムラを補正するように、比較回路14の基準電圧REFをセットし、簡易な構成の光学系によっても、正しい照合結果を得ることができるようにする。
【0063】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP3に移って光学系動作確認処理を実行する。ここで図21に示すように、この光学系動作確認処理において、システム制御回路3は、ステップSP4からステップSP5に移り、データバスBUSを介してシリアルパラレル変換回路21の出力データを取り込み(図2)、各セグメント毎に、論理レベルをカウントする。ここでこの論理レベルのカウントは、論理レベルの立ち下がっているビット数をカウントして実行される。
【0064】
すなわち指紋データ入力部4において、二等辺三角形プリズム11の底面に何ら指が押圧されていない場合、光源12の照明光が底面にて全反射されて撮像されることにより、通常、この出力データの論理レベルはHレベルに保持される。これに対してこの底面が汚れている場合、照明光が乱反射されることにより、撮像結果の輝度レベルが汚れの程度に応じて部分的に低下し、対応する出力データにおいて論理レベルがLレベルに立ち下がることになる。また光源12の特性が工場出荷時の特性より劣化し、光量ムラが激しくなった場合、光量補正メモリ16にセットした基準データによっては補正することが困難になり、この場合もその分対応する出力データにおいて論理レベルがLレベルに立ち下がることになる。
【0065】
これによりシステム制御回路3は、このカウント結果に基づいて、続くステップSP6において、このカウント値が予め設定された所定値を越えたか否か判断する。ここで肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP7に移り、表示部8を介してメンテナンスコールを表示した後、ステップSP8に移ってこの処理手順を終了する。ここでこのメンテナンスコールは、指載置部の清掃を促すメッセージ、清掃してもメンテナンスコールが表示されたままの場合は、保守作業員に連絡する旨のメッセージを表示して実行される。
【0066】
これにより指紋照合装置1では、光源12の特性劣化、二等辺三角形プリズム11の汚れ等によって指紋照合精度が劣化しないようになされ、その分指紋照合精度を向上するようになされている。
【0067】
これに対してステップSP6において否定結果が得られると、システム制御回路3は、直接ステップSP8に移ってこの処理手順を終了する。
【0068】
このようにして光学系動作確認処理を実行すると、システム制御回路3は、ステップSP10(図20)に移り、指紋登録要求が入力されたか否か判断する。ここでこの実施の形態においては、キー入力部2を介して所定のコマンド、暗唱番号等を入力することにより指紋登録要求を入力できるようになされ、この指紋登録要求により各ユーザーの指紋データD1を指紋データベース5に登録する。システム制御回路3は、この指紋登録要求が入力されると、ステップSP10において肯定結果が得られることにより、ステップSP11に移って指紋登録処理を実行してステップSP3に戻る。
【0069】
これに対して指紋登録要求が入力されていない場合、システム制御回路3は、ステップSP10よりステップSP12に移り、キー入力部2の操作により指紋照合要求が入力されたか否か判断する。ここで否定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP3に戻る。これに対してシステム制御回路3において、指紋照合要求が検出されると、システム制御回路3は、ステップSP12よりステップSP13に移り、指紋照合処理を実行してステップSP3に戻る。
【0070】
(1−4−2)指紋登録処理
図22は、この指紋登録処理の処理手順を示すフローチャートである。システム制御回路3は、この指紋登録処理において、ステップSP20からステップSP21に移り、表示部8(図1)を介してメッセージを表示し、指載置位置への人指し指の載置をユーザーに促す。続いてシステム制御回路3は、ステップSP22に移り、指載置位置に指が載置されたか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP22を繰り返す。
【0071】
このステップSP22において、システム制御回路3は、データバスBUS(図2)を介してシリアルパラレル変換回路21の出力データを入力し、ここでセグメント単位でこの出力データの論理レベルをカウントすることにより、この出力データを介して指載置位置に指が載置されたか否かを検出する。なおこのカウント処理は、指載置位置のほぼ中央部分に対応する所定の複数セグメントについて、論理Lレベルのビット数をカウントし、カウント値が所定値を越えたか否か判断して実行される。これによりシステム制御回路3は、撮像結果をトリガにして指紋登録の処理を実行するようになされ、その分この指紋照合装置1の操作を簡略化して使い勝手を向上するようになされている。
【0072】
かくしてステップSP22において、肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP23に移り、脈波検出部22より生体反応が検出されるか否か判断する。ここで否定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP24に移ってこの処理手順を終了するのに対し、ステップSP23において肯定結果が得られると、ステップSP25に移って実際の登録処理でなる実登録処理を実行する。これによりシステム制御回路3は、指の生体反応が検出されたときだけ指紋データを登録し、その分セキュリティを向上するようになされている。
【0073】
システム制御回路3は、この実登録処理を終了すると、ステップSP26に移り、小指まで指紋データを登録したか否か判断する。ここでこの指紋照合装置1においては、図15について上述したように、各ユーザー毎に、人指し指、中指、小指の指紋データを登録するようになされており、システム制御回路3においては、小指まで指紋登録されていない場合は、ユーザーによる特別の操作が検出されない限り、このステップSP26において否定結果が得られることにより、ステップSP27に移り、表示部8を介して次の指の載置を指示した後、ステップSP22に戻る。
【0074】
これに対して小指まで登録が完了した場合は、ステップSP26において肯定結果が得られることにより、システム制御回路3は、ステップSP26よりステップSP24に移り、この処理手順を終了する。
【0075】
(1−4−3)実登録処理
図23及び図24は、システム制御回路3における実登録処理の処理手順を示すフローチャートである。システム制御回路3は、この実登録処理において、ステップSP30からステップSP31に移り、ここで有効領域の検出処理を実行する。ここで図25に示すように、システム制御回路3は、ステップSP32からステップSP33に移り、1のセグメントについて、論理Hレベルのビット数をカウントし、これによりこのセグメントにおいて輝度レベルが立ち上がっているピクセル数をカウントする。
【0076】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP34に移り、このカウント値が所定値以下か否か判断することにより、該当するセグメントにおいて、輝度レベルが立ち上がっている面積が一定値以下か否か判断する。ここでこの指紋照合装置における光学系においては、二等辺三角形プリズム11の斜面に何ら指等が置かれていない場合、照明光が全反射されて対応するピクセルの輝度レベルが立ち上がることにより、このように輝度レベルが立ち上がっている面積が一定値以上のセグメントについては、何ら指の置かれていない空白のセグメントを判断することができる。
【0077】
これによりシステム制御回路3は、ステップSP34において否定結果が得られると、ステップSP35に移り、このセグメントを空白領域のセグメントにセットした後、ステップSP36に移る。これに対してステップSP34において肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP37に移り、このセグメントを有効領域にセットした後、ステップSP36に移る。なおこの場合の有効領域とは、指が載置されていると考えられる領域を意味する。
【0078】
ステップSP36において、システム制御回路3は、全てのセグメントについて、この有効領域検出処理における一連の処理を完了したか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP38に移り、処理対象を次のセグメントに切り換えてステップSP33に戻る。これに対して全てのセグメントについて、一連の処理を完了した場合、ステップSP36よりステップSP39に移り、メインルーチンに戻る。
【0079】
これにより図26に示すように、システム制御回路3は、セグメントを単位にして、指紋照合に利用可能な有効領域を、撮像結果に設定し、以後、この有効領域を基準にして種々の処理を実行することにより、これら種々の処理を簡略化できるようになされている。なおこのステップSP26においては、記号「×」を記したセグメントが空白領域のセグメントである。
【0080】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP40(図23)に移り、指位置判定処理を実行する。ここで図27に示すように、システム制御回路3は、ステップSP41からステップSP42に移り、有効領域のセグメント数は所定値以下か否か判断する。ここで否定結果が得られる場合、この場合は指の載置位置が異常と考えられることにより、システム制御回路3は、ステップSP43に移り、ここで改めて指を載置し直すように、表示部8を介して警告を出力した後、有効領域の検出処理に戻る。
【0081】
これに対してステップSP42において肯定結果が得られると、この場合指の載置位置は正しいと判断できることにより、ステップSP44に移り、メインルーチンに戻る。これにより指紋照合装置1では、ユーザーが正しく指を載置した場合だけ指紋データを登録して、指紋照合の精度を向上するようになされている。
【0082】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP46(図23)において、ズーム処理を実行する。図28に示すように、このズーム処理において、システム制御回路3は、ステップSP47からステップSP48に移り、有効領域のセグメント数は、所定値以下か否か判断する。ここで有効領域のセグメント数が所定値以上の場合、指紋照合に十分な大きさで指が撮像されていることにより、システム制御回路3は、ステップSP48からステップSP49に移り、メインルーチンに戻る。
【0083】
これに対してステップSP48において肯定結果が得られる場合、指が小さく撮像されていると考えられることにより、システム制御回路3は、ステップSP50に移り、間引き回路20(図2)における間引き率を低減することができるか否か判断する。ここで間引き率を低減できる場合、システム制御回路3は、ステップSP51に移り、タイミングジェネレータ19の動作を切り換えて間引き率を低減し、これにより指紋データD1による画像を拡大した後、ステップSP31の有効領域検出処理に戻る。
【0084】
これによりシステム制御回路3は、改めて、拡大した指紋の画像について、有効領域検出処理、指位置反転処理を実行した後、このズーム処理を実行することになる。これにより指紋照合装置1では、必要に応じて光学系の倍率を切り換えて、確実に指紋照合できるようになされている。
【0085】
ところで指が異常に乾燥していると、指を押圧しても、二等辺三角形プリズム11(図2)の底面で照明光が乱反射しない場合がある。この場合、このようにして間引き率を低減しても、ステップSP50において否定結果の得られる場合も発生し、正しく指紋照合することが困難になる。これによりシステム制御回路3は、この場合ステップSP52に移り、ユーザーに確認のメッセージを出力した後、ステップSP53に移って一連の指紋登録処理を終了する。これにより指紋照合装置1では、このような場合でも、改めて指紋の画像を撮像し直すことにより、確実に指紋照合できるようになされている。
【0086】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP55(図23)において、しきい値補正処理を実行する。図29に示すように、このしきい値補正処理において、システム制御回路3は、ステップSP56からステップSP57に移り、1のセグメントについて、論理Lレベルのビット数をカウントする。ここでこの実施の形態においては、二等辺三角形プリズムの底面で照明光が乱反射している場合、対応するピクセルの輝度レベルが立ち下がり、対応する指紋データD1のビットが論理Lレベルに立ち下がることにより、システム制御回路3は、該当するセグメントについて、このビット数のカウントにより二等辺三角形プリズムの底面に指が密着している面積を検出する。
【0087】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP58に移り、セグメントのピクセル数(8×8個)に対して、このカウント値が30〜70〔%〕の範囲に含まれるか否か判断する。ここで否定結果が得られると、指紋の画像が局所的に歪んでいると考えられることにより、システム制御回路3は、ステップSP59に移り、所定の範囲内でしきい値補正メモリの対応する補正データを更新した後、ステップSP60に移る。これに対してステップSP58において肯定結果が得られると、システム制御回路3は、直接ステップSP60に移る。
【0088】
このステップSP60において、システム制御回路3は、有効領域に設定された全てのセグメントについて、このしきい値補正処理における一連の処理を完了したか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP61に移る。ここでシステム制御回路3は、処理対象を次のセグメントに切り換えた後、ステップSP57に戻る。これに対してこのしきい値補正処理における一連の処理を全てのセグメントについて完了すると、システム制御回路3においては、ステップSP60において肯定結果が得られることにより、ステップSP62に移り、メインルーチンに戻る。これにより指紋照合装置1では、図6について上述したようにしきい値補正メモリ24の内容を設定して、確実に指紋照合できるようになされている。
【0089】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP65(図23)において、黒つぶれ処理を実行する。すなわち汗等により指が異常に湿っている場合、二等辺三角形プリズム11の底面において、一定の領域で照明光が乱反射することになる。この場合、上述のしきい値補正処理において一定範囲内で基準電圧REFの電圧を可変しても、該当するセグメントにおいては、対応するピクセルの輝度レベルが立ち下がったままになり、黒くつぶれた画像が得られることになる。従って、このセグメントにおいては、正しく指紋照合することが困難になる。
【0090】
これによりシステム制御回路3は、図30に示すように、ステップSP66からステップSP67に移り、1のセグメントについて、論理Lレベルのビット数をカウントした後、ステップSP68に移り、このカウント値が所定値以下か否か判断する。
【0091】
ここで否定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP69に移り、このセグメントを黒つぶれのセグメントに設定した後、ステップSP70に移る。これに対してステップSP68において、肯定結果が得られると、直接ステップSP70に移る。これによりシステム制御回路3は、この黒つぶれのセグメントについては、続く一連の処理において、処理対象より除外し、指紋照合精度を向上する。
【0092】
システム制御回路3は、ステップSP70において、全てのセグメントについて、この黒つぶれ処理における一連の処理を完了したか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP71に移り、有効領域の次のセグメントを処理対象に設定し、ステップSP67に戻る。これによりシステム制御回路3は、有効領域の全てのセグメントについて、黒つぶれのセグメントを検出した後、ステップSP70からステップSP72に移る。
【0093】
このステップSP72において、システム制御回路3は、黒つぶれのセグメント数は所定値以下か否か判断する。すなわち黒つぶれのセグメント数が一定値を越えると、指紋照合に要する領域を確保できないことにより、この場合システム制御回路3は、ステップSP72からステップSP73に移り、指を清浄にして改めて指を載置する旨、ユーザーに警告を出力した後、ステップSP31に戻る。
【0094】
これに対してステップSP72において肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP74に移り、メインルーチンに戻る。これにより指紋照合装置1では、指が濡れている場合等には、改めてユーザーに指紋登録の作業を促し、登録する指紋の画像を高画質により取り込んで、その分指紋照合の精度を向上するようになされている。
【0095】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP80に移り(図23)、角度検出処理を実行する。すなわちユーザーにおいては、指載置位置に指を傾けて載置する場合も考えられる。このためシステム制御回路3は、図31に示す角度検出処理において、ステップSP81からステップSP82に移り、図32に示すように、有効領域の例えばY方向について、エッジを検出する。さらにシステム制御回路3は、ステップSP3に移り、ここで図33に示すように、最外周のセグメントより、上下方向に対応するセグメント対を検出し、このセグメント対の中心座標を順次検出することにより、指紋画像の中心線について傾きθを検出する。
【0096】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP84に移り、この角度θが一定範囲以下か否か判断することにより、指の傾きが所定範囲以下か否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP85に移り、正しく指を載置する旨、ユーザーに警告を出力した後、ステップSP31に戻る。これに対して指の傾きが所定範囲以下の場合、システム制御回路3は、ステップSP86に移り、メインルーチンに戻る。
【0097】
これにより指紋照合装置1では、傾きを一定範囲に収めて指紋データD1を取り込み、指紋照合の精度を向上するようになされている。
【0098】
このようにして事前の処理が完了すると、システム制御回路3は、ステップSP88(図24)に移る。ここでシステム制御回路3は、取り込む画像数をカウントする変数nの値を値1にセットした後、ステップSP89において、メモリ制御回路30を制御して検査指紋メモリ6に指紋データD1を1画面分格納する。
【0099】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP90に移り、この変数nの値が事前に設定した値Nと等しいか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP91に移り、この変数nを値1だけインクリメントした後、ステップSP89に戻る。これによりシステム制御回路3は、ステップSP89−SP90−SP91−SP89の処理手順をN回繰り返し、N枚の画像を検査指紋メモリ6に格納する。
【0100】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP92に移り、ここで基準電圧REF2について、この一連の処理が完了したか否か判断し、この場合否定結果が得られることにより、ステップSP93に移り、基準電圧生成回路15における基準電圧を切り換え制御した後、ステップSP88に戻る。
【0101】
これによりシステム制御回路3は、光量補正メモリ16に格納された基準データを、しきい値補正メモリ24の補正データで補正して設定される基準電圧REFにより、N枚の画像を検査指紋メモリ6に格納した後、この基準電圧REFを所定電圧だけ正側にオフセットさせてなる基準電圧REF1によりN枚の画像を検査指紋メモリ6に格納し、さらに基準電圧REFを所定電圧だけ負側にオフセットさせてなる基準電圧REF2によりN枚の画像を検査指紋メモリ6に格納する。
【0102】
なお単に基準電圧REFをオフセットして基準電圧REF1及びREF2を設定することにより、システム制御回路3は、基準電圧REFによりN枚の画像を取り込む場合と同様に、光量ムラ補正処理(図20、ステップSP2)及びセグメント単位のしきい値補正処理(図29)を実行した状態で、それぞれN枚の画像を検査指紋メモリ6に入力することになる。
【0103】
この基準電圧の切り換え処理において、システム制御回路3は、黒つぶれを除く全有効領域について、シリアルパラレル変換回路21より出力される出力データの論理レベルをカウントすることにより、これらの領域において白レベルの領域が全体に対して30〜70〔%〕の範囲に収まるように、基準電圧を切り換える。かくするにつき実験した結果によれば、この範囲で基準電圧を切り換えて複数の指紋画像を撮像し、その撮像結果よりこの実施の形態のように指紋照合して、指紋照合の精度を向上することができた。
【0104】
このようにして基準電圧REF2について、N枚の画像入力を完了すると、システム制御回路3は、ステップSP92において、肯定結果が得られることにより、ステップSP93に移り、ここで登録データ選択処理を実行する。ここでこの登録データ選択処理は、このようにして取り込んだ3×N枚の画像について、何れの指紋データD1を指紋データベース5に登録するか判断する処理である。システム制御回路3は、ステップSP94において、この登録データ選択処理により選択した指紋データD1を指紋データベース5に登録した後、ステップSP95に移ってこの処理手順を終了する。
【0105】
これによりシステム制御回路3は、この一連の処理を、順次人指し指、中指、小指について実行し(図22)、人指し指、中指、小指の順に優先順位を付して、指紋データベース5に登録する(図15)。このときシステム制御回路3は、選択した指紋データD1の倍率(間引き回路20における間引き率)を併せて記録する。これによりシステム制御回路3は、このようにしてデータベース化した各指紋データD1について、実際の指紋照合時、登録時の状態を再現できるようになされ、これによっても指紋照合の精度を向上できるようになされ、また照合に要する時間を短縮できるようになされている。
【0106】
(1−4−4)登録データ選択処理
図34は、上述した登録データ選択処理を示すフローチャートであり、システム制御回路3は、この処理手順により、検査指紋メモリ6に取り込んだ指紋データD1から指紋データベース5に登録する指紋データD1を選択する。
【0107】
すなわちシステム制御回路3は、ステップSP100からステップSP101に移り、変数n及びmをそれぞれ値1及び値2にセットする。ここで変数n及びmは、それぞれ指紋データD1を特定する変数である。システム制御回路3は、変数nにより指定される指紋データD1について、変数mにより指定される指紋データとの間で相関値を順次検出する。さらにシステム制御回路3は、このようにして検出した相関値より、最も値の大きな相関値を検出し、対応する変数nによる指紋データD1を登録対象の指紋データD1に設定する。
【0108】
すなわちシステム制御回路3は、続くステップSP102において、相関値検出処理を実行し、変数nによる指紋データD1の、変数mによる指紋データD1に対する相関値を検出する。さらにシステム制御回路3は、ステップSP103に移り、検査指紋メモリ6に取り込んだ指紋データD1を、変数mにより全て指定したか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP104に移り、変数mをインクリメントした後、ステップSP102に戻る。
【0109】
これによりシステム制御回路3は、変数mを順次切り換えて、変数nにより特定される1の指紋データD1の、他の指紋データD1に対する相関値を順次検出する。
【0110】
これに対してステップSP103において、肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP105に移り、ここで検査指紋メモリ6に取り込んだ指紋データD1を、変数nにより全て指定したか否か判断する。ここで否定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP106に移り、ここで変数nをインクリメントすると共に、変数mを値1に初期化し、ステップSP102に戻る。
【0111】
これによりシステム制御回路3は、検査指紋メモリ6に取り込んだ指紋データD1の全ての組み合わせについて、変数nの指紋データD1の相関値を検出する。
【0112】
このようにして相関値検出処理を全ての組み合わせについて実行すると、システム制御回路3は、ステップSP105において肯定結果が得られることにより、ステップSP107に移り、ここで最も相関値の大きな変数nによる指紋データD1を登録対象の指紋データとして選択した後、ステップSP108に移ってこの処理手順を終了する。
【0113】
これにより指紋照合装置1では、相関値を基準にして指紋画像の画質を判断し、最も指紋照合に都合の良い指紋データD1を指紋データベース5に登録する。すなわちこの指紋照合装置1においては、この相関値とほぼ同一手法により検出される後述の照合率により指紋照合するようになされている。これによりシステム制御回路3は、検査指紋メモリ6に取り込んだ複数枚の指紋画像を、順次指紋データベース5に登録したと仮定して、残りの指紋画像との間で指紋照合の処理を実行し、これにより実際の指紋照合に即した判定手法により指紋照合に適した指紋画像を選択し、指紋照合精度を向上するようになされている。
【0114】
図35は、このシステム制御回路3による、変数nの指紋データD1の、変数mの指紋データD1に対する相関値検出処理を示すフローチャートである。この処理手順において、システム制御回路3は、ステップSP110からステップSP11に移り、変数n及びmにより特定される指紋データD1をそれぞれセグメント単位で画像回転回路31に転送し、またこの画像回転回路31より出力される指紋データを回転画像メモリ6Bに格納する。これによりシステム制御回路3は、このステップSP111において、それぞれ処理対象の画像を90度回転する(図10及び図11)。
【0115】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP112に移り、ここで変数mにより指定される指紋データD1より、水平方向に連続する8バイトの画像データを、この指紋データD1による画像の上側より順次間欠的に選択する。さらに選択した指紋データをそれぞれ照合部40A〜40Bに出力し、各照合部40A〜40Bのラッチ回路41に格納する(図17)。これによりシステム制御回路3は、この指紋データD1による画像より線状の画像を切り出して照合部40A〜40Hにセットする。
【0116】
このときシステム制御回路3は、図30について上述した黒つぶれのセグメントについては、この線状の画像を切り出さないように、所定の判断手順を実行して指紋データD1をセットし、これにより指紋照合精度の低下を有効に回避する。また事前に検出した有効領域基準にして、この線状の画像を切り出す領域(すなわち枠でなる)を設定する。
【0117】
さらに事前に、線状に切り出す指紋データについて、論理レベルの切り換わる回数をカウントし、カウント値が所定値以下の部分については、対象より除外する。これによりこの線状の切り出した部分については、所定本数以上、指紋を横切るようにして、この切り出した領域に指紋照合に有意な情報が充分に含まれるようにし、これによっても指紋照合の精度を向上できるようになされている。
【0118】
ちなみに、システム制御回路3は、指の先端側でなる有効領域の先端側より指の付け根側に所定セグメント分だけ変位した位置で、かつ上下方向については、ほぼ有効領域の中心を基準にして、有効領域外にはみ出さないように、この線状の画像を切り出す枠を設定する。
【0119】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP113に移り、ここで変数nにより指定される指紋データD1が、順次ラスタ走査の順序で連続するように、順次この指紋データを照合部40A〜40Hに転送する。これによりシステム制御回路3は、各照合部40A〜40Hにおいて、変数nにより指定される画像上で、線状の画像をラスタ走査の順序で走査させ、この線状の画像と、この線状の画像と重なり合う変数nによる画像との間で、一致するビット数を各照合部40A〜40Hのカウンタ45により検出する(図16)。
【0120】
さらにシステム制御回路3は、このカウント値がレジスタ46にセットしたしきい値より立ち上がる座標値、すなわち重なり合う2つの画像が極めて類似していると判断される位置を、ラスタ走査順に供給する指紋データの座標値により、座標群メモリ49に記録する。
【0121】
このときシステム制御回路3は、無効領域、黒つぶれと判定した指紋データについて、対応するビットについては、一定の論理レベルより比較結果を出力するように、比較回路44の動作を切り換え、またレジスタ46にセットするしきい値をその分切り換え、続く比較回路47における判定基準を変更する。これによりシステム制御回路3は、このような無効領域、黒つぶれの領域については、これらの部分をマスクして処理するようになされている。
【0122】
システム制御回路3は、続いてステップSP114に移り、照合率検出処理を実行する。ここで図36、図37及び図38に示すように、照合率検出処理において、システム制御回路3は、ステップSP115からステップSP116に移り、変数I、J、K、Qを値1にセットする。ここでI、J、Kは、座標群メモリ49に取り込まれた照合部40A、40B、40Cの各座標値を特定する変数であり、またQは、この部分照合率算出処理において検出されたこれら座標値の組み合わせを特定する変数である。
【0123】
システム制御回路3は、続いてステップSP117に移り、ここで変数I、J、Kにより特定される3つの座標値(XIA、YIA)、(XJB、YJB)、(XKC、YKC)について、それぞれ座標値(XIA、YIA)と座標値(XJB、YJB)、座標値(XJB、YJB)と座標値(XKC、YKC)、座標値(XIA、YIA)と座標値(XKC、YKC)の3つの組み合わせを設定し、これら3つの組み合わせのうちで、各照合部40A〜40Cのラッチ回路41にセットした指紋データD1の相対位置関係を満足する組み合わせ数、すなわちステップSP112において切り出した線状画像の相対位置関係を満足する組み合わせの数を検出する。
【0124】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP118に移り、ここでこの検出した組み合わせ数が所定値M以上か否か判断する。ここで肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP119に移り、このI、J、Kの組み合わせを変数Qにより指定される候補にセットした後、続くステップSP120で変数QをインクリメントしてステップSP121に移る。これに対してステップSP118において肯定結果が得られた場合、システム制御回路3は、ステップSP118より直接ステップSP121に移る。
【0125】
このステップSP121において、システム制御回路3は、変数Kにより指定される座標値が、照合部40Cより検出された最後の座標値か否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP122に移り、変数Kをインクリメントした後、ステップSP117に戻る。これによりシステム制御回路3は、座標値(XIA、YIA)、(XJB、YJB)に対して、変数Kを順次切り換えて、これら座標値(XIA、YIA)、(XJB、YJB)、(XKC、YKC)の組み合わせのうちで、線状画像の相対位置関係を満足する組み合わせの数より、変数Qによる候補を順次検出する。
【0126】
このようにして変数Kを順次切り換えて最後の座標値までに至ると、システム制御回路3は、ステップSP121において肯定結果が得られることにより、ステップSP123に移る。ここでシステム制御回路3は、変数Jについて、変数Kの場合と同様にこの変数Jにより指定される座標値が最後の座標値か否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP124に移り、変数Jをインクリメントすると共に、変数Kを初期値1にセットし、ステップSP117に戻る。
【0127】
またこのようにして変数Jをインクリメントしてこの処理手順を繰り返して、ステップSP123において肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP125に移り、ここで変数Iにより指定される座標値が最後の座標値か否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP126に移り、変数Iをインクリメントすると共に、変数J、Kを初期値1にセットした後、ステップSP117に戻る。
【0128】
これによりシステム制御回路3は、順次線状の画像を走査して得られる座標値から、部分的な組み合わせより相対位置関係を満足しない組み合わせを処理対象より除外する。これにより指紋照合装置1では、偶然にも高い類似の程度が検出された座標値の組み合わせを候補より除外し、残る組み合わせを変数Qにより特定される候補として保持するようになされている。
【0129】
システム制御回路3は、このようにして選択した候補と、残る照合部40D〜40Hによる座標値との間で同様にして相対位置関係を満足する組み合わせを検出し、これにより照合率を検出する。すなわちシステム制御回路3は、ステップSP127において(図37)、変数Q、L、M、N、O、Pを初期値1に設定する。ここで変数L、M、N、O、Pは、照合部40D〜40Hについてそれぞれ座標群メモリ49に格納した座標値を特定する変数である。
【0130】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP128に移り、ここでこれら変数Q、L、M、N、O、Pにより特定される座標値(XQA、YQA)、(XQB、YQB)、(XQC、YQC)、(XLD、YLD)、(XME、YME)、(XNF、YNF)、(XOG、YOG)、(XPH、YPH)の組み合わせのうちで、線状画像の相対位置関係を満足する組み合わせの数を検出する。
【0131】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP129に移り、ここでこの組み合わせ数を記録した後、ステップSP130に移る。ここでシステム制御回路3は、変数Pにより指定される座標値が最後の座標値か否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP131に移り、変数PをインクリメントしてステップSP127に戻る。
【0132】
これに対してこの処理手順を繰り返してステップSP130において肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP130からステップSP132に移り、ここで変数Oにより指定される座標値が最後の座標値か否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP133に移り、変数Oをインクリメントすると共に、変数Pを初期値1に設定してステップSP127に戻る。
【0133】
またこの処理を繰り返してステップSP132において肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP132からステップSP134に移り、ここで変数Nにより指定される座標値が最後の座標値か否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP135に移り、変数Nをインクリメントすると共に、変数P、Oを初期値1に設定してステップSP127に戻る。またステップSP134において肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP134からステップSP136に移り、ここで変数Mにより指定される座標値が最後の座標値か否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP137に移り、変数Mをインクリメントすると共に、変数P、O、Nを初期値1に設定してステップSP127に戻る。
【0134】
さらに同様にして、ステップSP136において肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP136からステップSP138に移り、ここで変数Lにより指定される座標値が最後の座標値か否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP137に移り、変数Lをインクリメントすると共に、変数P、O、N、Mを初期値1に設定してステップSP127に戻る。またステップSP138において肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP138からステップSP140に移り(図38)、ここで変数Qにより指定される座標値が最後の座標値か否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP142に移り、変数Qをインクリメントすると共に、変数P、O、M、N、Lを初期値1に設定してステップSP127に戻る。
【0135】
これによりシステム制御回路3は、相対位置関係を満足する組み合わせ数を、これら座標値の組み合わせ毎に検出するようになされ、このとき部分的な組み合わせにより相対位置関係を満足しない組み合わせを除外することにより、事前に候補を絞ってこの処理を実行するようになされ、その分処理に要する時間を短縮するようになされている。すなわち8系統の座標値について、それぞれa個の座標値が検出されている場合、これら座標値の組み合わせは、値aの8乗個になる。
【0136】
これに対して事前の処理における組み合わせは、aの3乗個になり、この処理によりa個以下の、例えば1個の組み合わせに候補が絞れた場合、残りの組み合わせにおいてはaの5乗個でなることにより、結局、aの5乗がaの3乗より極めて大きいとして、処理に要する組み合わせを、約aの3乗個分低減することができる。すなわちこの場合aを値10とおくと、処理に要する時間を、ほぼ1/1000に低減できることが判る。これにより指紋照合装置1では、短時間で指紋登録の処理を実行できるようになされている。
【0137】
このようにして各組み合わせについて、相対位置関係を満足する組み合わせ数が検出されると、システム制御回路3は、ステップSP142において、最も値の大きな組み合わせ数の値を検出し、続くステップSP143において、この組み合わせ数の値を照合率に設定し、ステップSP144よりメインルーチンに戻る。かくしてこの処理において、8本の線状画像を切り出した際の相対位置関係に対して、この8本の線状画像の何れについても、この相対位置関係を満足する座標値が座標群メモリ49に記録されているとき、システム制御回路3は、簡略化して表して8/8の照合率を検出する。
【0138】
これにより、システム制御回路3は、同一人より複数回撮像した指紋の画像間で、1の画像を線状に切り出して他の画像上でラスタ走査させた状態で、重なり合った部分の類似の程度を総合的に判断して、照合率を検出する。
【0139】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP145(図35)に移り、ここでステップSP111において生成した回転画像について、照合率を検出したか否か判断し、否定結果が得られると、ステップSP146に移り、処理対象を回転画像に切り換えた後、ステップSP112に戻り、同様の処理を繰り返す。
【0140】
これによりシステム制御回路3は、図39及び図40に示すように、回転画像メモリ6Bに格納した1の指紋データより、水平方向に線状の画像を切り出し、この切り出した画像の指紋データをそれぞれ照合部40A〜40Hにセットする。また対応する指紋データD1をラスタ走査の順序で同時並列的に照合部40A〜40Hに出力し、これにより先の線状画像を他の画像上でラスタ走査させ、重なり合う部分で類似の程度を総合的に判断して照合率を検出する。
【0141】
かくするにつきシステム制御回路3は、指紋データ入力部4より入力した指紋画像に対して、ほぼ水平方向及び垂直方向に線状の画像を切り出し、この水平方向及び垂直方向について、他の指紋データによる画像と類似の程度を検出するようになされ、これにより比較的処理の簡易な一次元的な画像データの処理を組み合わせて、二次元的に類似の程度を判定するようになされている。
【0142】
このようにして回転画像についても照合率を検出すると、システム制御回路3は、ステップSP145において肯定結果が得られることにより、ステップSP147に移り、ここで2つの照合率より値の大きな照合率を、このm画像を照合対象にしたn画像の相関値に設定した後、ステップSP148よりメインルーチンに戻る。
【0143】
これによりシステム制御回路3は、同一人について撮像した複数枚の指紋画像間で、全ての組み合わせについて、相関値をそれぞれ算出し、最も相関値の高い指紋データを選択して、指紋照合に都合の良い指紋画像を選択的に登録する。これにより指紋照合装置1においては、指紋照合の精度を向上できるようになされている。
【0144】
(1−4−5)指紋照合処理
このようにして指紋データベース5に指紋データD1を登録した状態で、ユーザーがキー入力部2を操作して指紋照合の要求を入力すると、システム制御回路3は、図41及び図42に示す処理手順を実行して指紋照合する。
【0145】
すなわちシステム制御回路3は、ステップSP150からステップSP151に移り、表示部8(図1)を介してメッセージを表示し、指載置位置への指の載置をユーザーに促す。続いてシステム制御回路3は、ステップSP152に移り、指載置位置に指が載置されたか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP152を繰り返す。
【0146】
このステップSP152において、システム制御回路3は、データバスBUS(図2)を介してシリアルパラレル変換回路21の出力データを入力し、ここで所定のセグメントについて、この出力データの論理レベルをカウントすることにより、この出力データを介して指が載置されたか否かを検出する。なおこのカウント処理は、指載置位置のほぼ中央部分に対応する所定の複数セグメントについて、論理Lレベルのビット数をカウントし、カウント値が所定値を越えたか否か判断して実行される。これによりシステム制御回路3は、撮像結果をトリガにして指紋照合の処理を開始するようになされ、指紋照合装置1の操作を簡略化して使い勝手を向上するようになされている。
【0147】
このステップSP152において、肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP153に移り、脈波検出部22より生体反応が検出されるか否か判断する。ここで否定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP154に移ってこの処理手順を終了するのに対し、ステップSP153において肯定結果が得られると、ステップSP155に移る。
【0148】
このステップSP155において、システム制御回路3は、指紋データ入力部4より出力される検査対象の指紋データD2を検査指紋メモリ6に入力する。これによりシステム制御回路3は、指の生体反応が検出されたときだけ指紋照合して、セキュリティを向上するようになされている。
【0149】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP156に移り、比較判定処理を実行する。ここでこの実施の形態において、システム制御回路3は、キー入力部2を介して入力されるユーザーIDを基準にして、対応するユーザーIDについて登録された指紋データD1と、指紋データ入力部4より入力された指紋データD2との間で指紋の一致不一致を判定する。さらにこのとき指紋データベース5において、同一のユーザーIDに複数の指紋データD1が登録されている場合は、優先順位の最も高い指紋データD1との間で、一致不一致を判定する。
【0150】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP157に移り、ここで一致の判定結果が得られたか否か判断し、肯定結果が得られると、ステップSP158に移り、一致の判定結果を出力した後、ステップSP159に移る。ここでシステム制御回路3は、照合率を指紋データベース5に記録する。
【0151】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP160に移り(図42)、この指紋データベース5に記録された照合率の変化を確認する。ここで照合率が徐々に低下して一定値以下になっている場合、照合率の変化が許容範囲を越えたとの判断し、システム制御回路3はステップSP161に移り、ここでユーザーに指紋データの更新登録を促した後、ステップSP162に移ってこの処理手順を終了する。
【0152】
すなわちこの実施の形態においては、検査対象の指紋データD2と指紋データベース5に登録した指紋データD1との間で類似の程度を測定し、この類似の程度を照合率により表す。またこの照合率が一定の基準値を越えるか否かの判断を基準にして指紋データD2による指紋が指紋データD1による指紋と一致するか否か判断する。
【0153】
ところが子供等にあっては、成長するに従って指が大きくなる場合もあり、こ場合この指の大きさの変化に伴い、図43に示すように、照合率が徐々に低下することになる。これによりこの実施の形態においては、照合率が徐々に低下して一定値TH以下になると、ユーザーにより改めて指紋データD2を登録するように設定され、これにより照合率を回復して確実に指紋照合できるようになされている。
【0154】
なおこのような照合率の変化が観察されない場合、システム制御回路3においては、ステップSP160において肯定結果が得られることにより、ステップSP160から直接ステップSP162に移り、この処理手順を終了する。
【0155】
これに対してステップSP157において否定結果が得られた場合(図41)、システム制御回路3は、ステップSP163に移り、枠を既に移動したか否か判断する。ここでこの実施の形態においては、図44に示すように、このように検査対象でなる指紋データD1による指紋の画像に対して、所定の枠内で、線状に画像を切り出して照合率を検出する。これによりシステム制御回路3は、ステップSP156による比較判定処理において、一致の結果が得られない場合、ステップSP163よりステップSP164に移り、この枠を移動する。さらにステップSP164よりステップSP156に戻り、この移動した枠を基準にして比較判定処理を実行する。
【0156】
これによりシステム制御回路3は、指紋データベース5に登録されたユーザーが指紋照合する場合には、確実に一致の判定結果が得られるように、指紋照合の処理を実行し、これにより指紋照合の精度を向上するようになされている。
【0157】
このようにして枠を移動しても一致の判定結果が得られない場合、システム制御回路3においては、ステップSP157において否定結果が得られた後、ステップSP163において肯定結果が得られることにより、ステップSP165に移る(図42)。ここでシステム制御回路3は、同一人に他の指紋データD1が登録されているか否か判断する。
【0158】
ここで図15について上述したように、指紋データベース5に人指し指、中指、小指について、優先順位のデータと共に指紋データD1が登録されている場合、システム制御回路3は、ステップSP165からステップSP166に移り、この優先順位に従って照合相手の指紋データD1を切り換えた後、ステップSP155に戻る。これによりシステム制御回路3は、指紋データ入力部4を介して入力された指紋データD2について、始めに指紋データベース5に登録された人指し指の指紋データD11との間で指紋照合した後、続いて中指の指紋データD12、小指の指紋データD13との間で順次指紋照合の処理を実行するようになされ、例えば人指し指を怪我して指載置位置に載置できないユーザーが中指を載置したような場合でも、確実に本人と判定できるようになされている。さらにこのとき順先順位に従って順次指紋データD1を切り換えることにより、その分照合に要する時間を短縮するようになされている。
【0159】
このように指紋データD1を切り換えても一致の判定結果を得ることが困難な場合、システム制御回路3は、ステップSP165において否定結果が得られることにより、ステップSP167に移る。ここでシステム制御回路3は、照合率が一定値以下か否か判断し、肯定結果が得られると、ステップSP168に移り、不一致の判定結果を出力してステップSP162に移る。これによりシステム制御回路3は、確実に本人と異なると判断できる場合に、不一致の判定結果を出力するようになされている。
【0160】
ところで図43について上述したように子供等にあっては、成長に伴い照合率が低下する場合があり、以前の照合時点より長期間指紋照合していないような場合は、上述のステップSP160の処理によっては、照合率を回復することが困難で、結局一致の判定結果を得ることが困難になる。また指を怪我して指紋に傷が発生しているような場合にも、一致の判定結果を得ることが困難になる。
【0161】
この場合、照合率においては、他人の指紋と照合する場合のような、極端な照合率の低下は観察されず、ステップSP167においては、否定結果が得られることになる。またこのような場合は、繰り返し指紋データD1と照合してほぼ同一程度の照合率が得られる特徴がある。
【0162】
これによりこの実施の形態において、システム制御回路3は、ステップSP167において否定結果が得られると、ステップSP169に移り、一連の指紋照合が同一ユーザーIDに対する繰り返しか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP151に戻る。これによりシステム制御回路3は、確実に一致、不一致と判定することが困難な場合、改めて指紋データD2を取り込んで指紋照合の処理を実行する。これによりユーザにおいては、必要に応じて例えば人指し指に代えて中指を載置して再び指紋照合することができるようになされている。)
【0163】
この再度の指紋照合の処理においても、再びステップSP167において否定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP169において肯定結果が得られることにより、ステップSP170に移り、ここで一致判定の判定基準を低減した後、ステップSP155に戻る。すなわちこのような処理を繰り返して完全に一致、不一致を判定困難な場合で、照合率が一定の範囲に保持されいる場合、一致と判断して正しい判定結果を得ることができ、これによりシステム制御回路3は、登録されたユーザーについては、確実に一致の判定結果を出力できるようになされている。
【0164】
図45は、指紋データ入力処理を示すフローチャートである。システム制御回路3は、ステップSP171からステップSP172に移り、ここで有効領域検出処理を実行する。ここでこの有効領域検出処理は、図25について上述した有効領域検出処理と同一の処理手順により実行され、これによりシステム制御回路3は、セグメントを単位にして、指紋照合に利用可能な領域を有効領域に設定し、以後、この有効領域を基準にして種々の処理を実行することにより、これら種々の処理を簡略化できるようになされている。
【0165】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP173に移り、ここで指位置検出処理を実行する。ここでこの指位置検出処理は、図27について上述した指位置検出処理と同一の処理手順により実行され、システム制御回路3は、ユーザーが正しく指を載置した場合だけ指紋照合して、指紋照合の精度を向上するようになされている。
【0166】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP174に移り、ここでズーム処理を実行する。図46に示すように、このズーム処理において、システム制御回路3は、ステップSP175からステップSP176に移り、指紋データベース5より、対応する指紋データD1の倍率をロードし、続くステップSP177において、このロードした倍率に応じて間引き回路20の間引き率を設定し、ステップSP178に移ってメインルーチンに戻る。これによりシステム制御回路3は、指紋データベース5に登録された指紋データD1の倍率により、検査対象の指紋データD2を取り込み、登録時の条件と同一の条件により指紋データD2を入力するようになされ、その分指紋照合の精度を向上するようになされている。
【0167】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP179(図45)に移り、ここでしきい値補正処理を実行した後、ステップSP180に移り、黒つぶれ処理を実行し、続くステップSP181で角度検出処理を実行する。さらにシステム制御回路3は、続くステップSP182において、正立画像メモリ6Aに指紋データD2を入力した後、ステップSP183に移る。ここでこのしきい値補正処理、黒つぶれ処理、角度検出処理は、それぞれ図29、図30、図31について上述した対応する処理と同一の処理手順により実行される。これによりシステム制御回路3は、検査対象の指紋データD2についても、確実に指紋照合できるように、比較回路14の基準電圧を補正し、また指の汚れ等により画質劣化を有効に回避し、さらには指の傾きを一定範囲に収めて指紋データD2を取り込むようになされている。
【0168】
このステップSP183において、システム制御回路3は、指紋データ入力部4の比較回路14について、基準電圧REF2をセット済か否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP184に移り、基準電圧を切り換えた後、ステップSP182に戻る。これによりシステム制御回路3は、ステップSP182−SP183−SP184−SP182の処理手順を繰り返して、しきい値補正処理により基準電圧を補正した状態で、このしきい値補正処理の設定基準でなる基準電圧を順次更新し、合計で3枚の指紋画像を検査指紋メモリ6に格納した後、ステップSP185に移ってこの処理手順を終了する。
【0169】
図47及び図48は、比較判定処理の処理手順を示すフローチャートである。システム制御回路3は、この処理手順において、ステップSP190からステップSP191に移り、ここで正立画像メモリ6Aに格納した指紋データD2をセグメント単位で画像回転回路31に転送し、またこの画像回転回路31より出力される指紋データD2を回転画像メモリ6Bに格納する。さらに指紋データベース5の対応する指紋データD1をセグメント単位で画像回転回路31に転送し、またこの画像回転回路31より出力される指紋データD1をデータベース用回転画像メモリ5Bに格納する。これによりシステム制御回路3は、このステップSP191において、処理対象の画像を90度回転する(図10及び図11)。
【0170】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP192に移り、図49に示すように、上述の角度検出処理(図45、ステップSP181)において検出した傾きΔθの分だけ、枠を傾けてセットすることにより、指の傾きを補正して枠をセットする。
【0171】
すなわちシステム制御回路3は、図50に示すように、8ピクセル分のデータを1バイトの指紋データD2として検査指紋メモリ6に格納していることにより、続くステップSP193において、8ピクセルを単位にして、メモリ制御回路30のアドレスを制御し、近似的に、水平方向より角度Δθだけ傾けた、線状の画像(64ピクセル分)を順次枠の上方向より切り出す。
【0172】
さらにシステム制御回路3は、このようにして切り出した線状の画像を形成する指紋データD2A〜D2Hを、それぞれ照合部40A〜40Bに出力し、各照合部40A〜40Bのラッチ回路41に格納する(図17)。これによりシステム制御回路3は、指紋データD1による画像に対して、線状の画像を傾けて設定し、指紋データD1の画像に対する指紋データD2の画像の傾きを補正する。これにより指紋照合装置1では、ユーザーが一定範囲内で指を傾けて載置した場合でも、確実に指紋照合できるようになされている。
【0173】
このようにして枠をセットして線状の画像を切り出す際に、システム制御回路3は、黒つぶれ処理(図45、ステップSP180)により検出した黒つぶれのセグメントについては、この線状の画像を切り出さないように、所定の判断手順を実行して指紋データD2A〜D2Hをセットし、これにより指紋照合の精度の低下を有効に回避する。また事前に検出した有効領域基準にして、枠を設定し、これによっても無駄な照合率検出処理を省略し、また指紋照合の精度を向上する。
【0174】
さらに事前に、線状に切り出す指紋データD2A〜D2Hについて、論理レベルが切り換る回数をカウントし、このカウント値が所定値以下の部分については、対象より除外する。これによりこの線状の切り出した部分については、所定本数以上、指紋を横切るようにして、この切り出した領域に指紋照合に有意な情報が充分に含まれるようにし、これによっても指紋照合の精度を向上できるようになされている。ちなみに、システム制御回路3は、指紋登録の場合と同様にして枠の位置を決定する。
【0175】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP194に移り、指紋データベース5より、順次ラスタ走査の順序で連続するように、順次対応する指紋データD1を照合部40A〜40Hに転送する。これによりシステム制御回路3は、図51に示すように、各照合部40A〜40Hにおいて、指紋データD1による画像上で、線状の画像をラスタ走査の順序で走査させ、この線状の画像が重なり合う指紋データD1による画像との間で、一致するビット数を各照合部40A〜40Hのカウンタ45により検出する(図16)。さらにシステム制御回路3は、このカウント値がレジスタ46にセットしたしきい値より立ち上がる座標値、すなわち重なり合う2つの画像が極めて類似していると判断される位置を、指紋データD1の座標値により座標群メモリ49に順次取り込んで保持する。
【0176】
このようにして指紋データベース5より指紋データD1を出力する際に、システム制御回路3は、無効領域、黒つぶれと判定した指紋データD1については、対応するビットについては、一定の論理レベルにより比較結果を出力するように、比較回路44の動作を切り換え、またレジスタ46にセットするしきい値をその分切り換え、続く比較回路47における判定基準を変更する。これによりシステム制御回路3は、このような無効領域、黒つぶれの領域については、これらの部分をマスクして処理するようになされている。
【0177】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP195に移り、ここで照合率検出処理を実行する。ここでこの照合率検出処理は、図36、図37及び図38について上述した照合率検出処理と同一の処理により実行される。
【0178】
これにより、システム制御回路3は、指紋データD2より切り出した線状の画像を指紋データD1による画像上でラスタ走査させた状態で、重なり合った部分の類似の程度を総合的に判断して、照合率を検出する。このときシステム制御回路3は、順次線状の画像を走査して得られる座標値から、部分的な組み合わせを形成し、偶然にも高い類似の程度が検出された座標値の組み合わせを事前に候補より除外し、残る座標値との間で相対位置関係を満足する組み合わせ数を検出する。これによりシステム制御回路3は、処理に要する時間を短縮するようになされ、短い時間で指紋照合するようになされている。
【0179】
続いてシステム制御回路3は、ステップSP196に移り、ここで角度θは最後か否か判断する。ここでシステム制御回路3は、上述の傾き補正の角度Δθを中心にして、図53に示すように、線状に切り出す画像の傾きを可変して、複数回、照合率を検出するようになされており、これら各照合率を基準にして総合的に指紋の一致を判断する。この場合システム制御回路3は、ステップSP196において否定結果が得られることにより、ステップSP197に移り、角度θを更新した後、ステップSP193に戻る。
【0180】
これによりシステム制御回路3は、角度を順次切り換えて、指紋データD2による画像より線状の画像を切り出し、この切り出した画像により順次照合率を検出する。これによりシステム制御回路3は、完全に角度補正によって補正困難な傾き、さらには指紋の一部が変形しているような場合でも、確実に指紋照合できるようになされている。なおこの実施の形態では、上述の角度Δθを中心にした、5段階の角度により、それぞれ照合率を検出するようになされている。
【0181】
このようにして各角度について、照合率を検出すると、ステップSP196において肯定結果が得られることにより、システム制御回路3は、ステップSP198に移る。ここでシステム制御回路3は、枠の切り換えが完了しているか否か判断する。すなわち図54に示すように、この実施の形態においては、連続するように、3つの枠をセットし、各枠により指紋の一致を判定し、これにより識別力を向上する。
【0182】
システム制御回路3は、この場合、ステップSP198において否定結果が得られることにより、ステップSP199に移り、ここで枠を枠1から枠2に切り換えた後、ステップSP193に移る。これによりシステム制御回路3は、この枠2について、同様に照合率を検出した後、さらに枠3について、同様に照合率を検出する。
【0183】
このようにして枠3について照合率を検出すると、ステップSP198において肯定結果が得られることにより、システム制御回路3は、ステップSP200に移る(図48)。ここでシステム制御回路3は、回転画像メモり6B及びデータベース用回転画像メモリ5Bに格納した回転画像について、同様の処理を実行したか否か判断し、この場合否定結果が得られることにより、ステップSP201に移る。ここでシステム制御回路3は、それまでの処理対象でなる正立画像メモリ6A及び指紋データベース5に保持された指紋データD1及びD2に代えて、回転画像メモり6B及びデータベース用回転画像メモリ5Bに格納した指紋データD1及びD2に処理対象を切り換えた後、ステップSP192に戻る。
【0184】
これによりシステム制御回路3は、90度回転した画像についても、同様に、角度補正した状態で順次角度を切り換えて、また枠を順次切り換えて、それぞれ照合率を検出する。これにより指紋照合装置1では、さらに一段と確実に指紋照合できるようになされている。かくするにつきシステム制御回路3は、指紋データ入力部4より入力した指紋画像に対して、ほぼ水平方向及び垂直方向に線状の画像を切り出し、この水平方向及び垂直方向について、指紋データベースに格納した指紋画像と類似の程度を検出することになり、この場合も比較的処理の簡易な一次元的な画像データの処理を組み合わせて、二次元的に類似の程度を判定するようになされている。
【0185】
このようにして回転画像について照合率を検出すると、ステップSP200において肯定結果が得られることにより、システム制御回路3は、ステップSP202に移る。ここでシステム制御回路3は、基準電圧を切り換えて検査指紋メモリ6に取り込んだ全ての画像について、照合率の検出処理が完了したか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP203に移り、処理対象の画像を切り換えた後、ステップSP103に戻る。
【0186】
これによりシステム制御回路3は、基準電圧を切り換えて取り込んだ3枚の指紋画像について、それぞれ枠、傾きを切り換えて、正立画像及び回転画像の照合率を検出する。
【0187】
このようにして照合率を検出すると、システム制御回路3は、ステップSP202において肯定結果が得られると、ステップSP204に移り、ここで正立画像の各枠において、所定値以上の照合率が得られたか否か判断する。ここで肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP205に移り、ここで同様にして回転画像の各枠において、所定値以上の照合率が得られたか否か判断する。
【0188】
ここで肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP206に移り、正立画像及び回転画像において、所定値以上の照合率が検出された座標値を座標群メモリ49よりロードする。さらにこの座標値が所定の許容範囲以下か否か判断する。すなわち図55及び図56に示すように、指紋データD1及びD2による指紋が一致する場合、正立画像及び回転画像において、例えば線状の画像D2Aを走査して、このような所定値以上の照合率が検出される座標値X1、Y1及びX2、Y2は、正立画像と回転画像について、枠を設定した当初の相対位置関係になる。因みに、枠1を指紋データD2による画像に対して、正立画像と回転画像とで同一位置に設定した場合、これらX座標値及びY座標値は、X1=Y2、Y1=X2の関係になる。
【0189】
この関係が乱れている場合、たまたま水平方向又は垂直方向について線状画像を走査した場合に、類似した指紋のパターンを局所的に有している別人と判断することができる。これによりこの実施の形態において、システム制御回路3は、この正立画像及び回転画像による座標値を基準にして、さらに一段と識別力を向上するようになされている。
【0190】
ステップSP206において、肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP207に移る。ここでシステム制御回路3は、正立画像において、隣接する枠において検出された座標値が、一定の許容範囲か否か判断することにより、これら枠により検出された座標値間が、枠設定時の相対位置関係を満足するか否か判断する。
【0191】
すなわち図57に示すように、指紋データD1及びD2による指紋が一致する場合、このように各枠について線状の画像D2Aを走査して一定の照合率が得られる指紋データD1による座標値X1、Y1及びX2、Y2は、各枠を設定した当初の関係になる。この関係が乱れている場合、たまたま水平方向に線状画像を走査した場合に、類似した指紋のパターンを局所的に有している別人と判断することができる。これによりこの実施の形態において、システム制御回路3は、この隣接する枠間の座標値を基準にして、さらに一段と識別力を向上するようになされている。
【0192】
このようにして正立画像について、隣接する枠間で肯定結果が得られると、システム制御回路3は、回転画像についても、隣接する枠について、同様の判断処理を実行し、これによりさらに一段と識別力を向上する。
【0193】
このようなステップSP204からステップSP207の各ステップの処理において、システム制御回路3は、角度及び基準電圧を切り換えた各指紋画像についてそれぞれ肯定結果が得られるか否か判断し、何れかの画像で肯定結果が得られると次のステップに移る。これによりシステム制御回路3は、角度及び基準電圧を切り換えた指紋画像については、いわゆるオアの判定により、指紋データD1による画像と一致するか否か判断する。これによりシステム制御回路3は、本人と他人との識別力の低下を有効に回避して、本人による場合は、確実に一致結果を出力できるようになされている。
【0194】
このようにしてステップSP207において、肯定結果が得られると、システム制御回路3は、ステップSP207からステップSP208に移り、この場合に限り指紋が一致したと判定した後、ステップSP209からメインルーチンに戻る。
【0195】
これによりシステム制御回路3は、確実に一致と判定できるときだけ、指紋が一致したと判定し、これにより指紋照合の精度を向上する。また必要に応じて図42について上述した処理を繰り返し、一致と判定すべきユーザーについては、一致の判定を出力し、また不一致の判定をすべきユーザーについては、確実に不一致の判定を出力するようになされている。
【0196】
なおこの図42について上述した判定基準の更新処理は、上述のステップSP204〜ステップSP207の判定基準を更新することになる。また同様に図42のステップSP159における照合率の記録、ステップSP160における照合率の変化判定は、このように複数の枠、傾きにより検出された照合率を記録し、また記録された照合率を判定することになる。さらにステップSP166における照合率の判定は、上述のステップSP204〜ステップSP207の判定を繰り返すことになる。
【0197】
(2)実施の形態の動作
以上の構成において、指紋照合装置1は、電源が立ち上げられると(図2、図3〜図6、図20)、システム制御回路3の制御により、工場出荷時にセットされた光量補正メモリ16の基準データが基準電圧生成回路15にセットされ、これによりセグメントを単位にして光学系の光量ムラを補正するように比較回路14の基準電圧が設定される。これにより光学系の光量ムラによる指紋照合精度の劣化が有効に回避され、簡易な構成の光学系により、高い精度で指紋照合することができる。
【0198】
この状態で光源12より射出された照明光が二等辺三角形プリズム11の底面で反射されてCCDカメラ13により撮像され、この撮像結果が比較回路14により2値化される。またこの比較回路14より出力される2値化信号S1が、ラッチ回路18によりラッチされて1ビットの画像データに変換された後、間引き回路20により間引きされ、シリアルパラレル変換回路21により8ピクセルを単位にした8ビットの画像データに変換される。
【0199】
このようにしてシリアルパラレル変換回路21より出力される画像データは、データバスBUSを介してシステム制御回路3に入力され、ここでセグメントを単位にして、論理レベルが立ち下がっているビット数がカウントされ(図21)、光学系の異常が監視される。これにより指載置位置でなる二等辺三角形プリズム11の底面の汚れ、光源12の劣化等が検出され、必要に応じてメンテナンス処理を実行して、指紋照合精度の劣化が有効に回避される。
【0200】
この状態でユーザーがキー入力部2(図1)を操作すると、指紋照合装置1においては、対応する指紋登録処理、指紋照合処理を実行する(図20)。
【0201】
このうち指紋登録処理において、指紋照合装置1は、表示部8を介してユーザーに人指し指の載置を促し(図22)、シリアルパラレル変換回路21より出力される画像データの変化により、指紋登録の処理を開始し、これにより簡易な操作で指紋登録できるようになされている。
【0202】
続いて指の側方に配置された圧力センサ23(図2)により、指の生体反応が検出され、生体反応が検出されない場合は、指紋登録の処理が中止される。これにより指紋登録の面より、セキュリティの向上が図られる。
【0203】
これに対して生体反応が検出されると、指紋データの入力条件が整えられた後、複数の指紋画像が取り込まれ、そのうち指紋照合に最適な画像が指紋データベース5に登録される。
【0204】
この登録の際に、指紋照合装置1は、人指し指の登録が完了すると、続いて中指の指紋データD1を登録し、さらに続いて小指の指紋データを登録し、また人指し指、中指、小指の順に優先順位を付して登録する(図15)。これにより指紋照合装置1では、指紋照合の処理において、人指し指、中指、小指の何れかの指により指紋照合できるようになされ、その分使い勝手を向上できるようになされている。またこのとき優先順位に従って指紋照合の処理を実行して、照合に要する時間を短縮できるようになされている。
【0205】
指紋照合装置1は、撮像結果の実際の処理において(図23)、シリアルパラレル変換回路21の出力データをシステム制御回路3によりカウントすることにより、背景を撮像してなる領域がセグメントを単位にして除去され、これにより実際に指紋が撮像されてなる有効領域が検出される(図25)。これによりこの有効領域を基準にして続く一連の処理が実行され、処理に要する時間がその分短縮される。
【0206】
続いてこの有効領域のセグメント数により指の載置位置が正しいか否か判断され(図41)、指が正しく載置されていないことによる照合精度の劣化が有効に回避される。また続くズーム処理において、有効領域のセグメント数を基準にして間引き回路20(図2)における間引き率が可変され、これにより子供の指等にあっても、指紋照合に適切な倍率により撮像して、指紋照合の精度が向上される。
【0207】
さらに続くしきい値補正処理において(図29)、有効領域の各セグメント毎に、論理Hのビット数が検出されることにより、該当するセグメントについて、二等辺三角形プリズム11の底面に指が密着している面積を検出し、各セグメントでカウント値が30〜70〔%〕の範囲に収まるように、しきい値補正メモリ24(図2)の内容が補正される。このしきい値補正メモリ24の内容は、光量補正メモリ16の基準データを補正するように設定され、これによりセグメントを単位にして、押圧力により変化する指紋照合精度の劣化、二等辺三角形プリズム11の汚れ等による指紋照合精度の劣化が有効に回避される。
【0208】
また続いて、黒つぶれ処理において(図30)、有効領域の各セグメント毎に、論理Lのビット数が検出されることにより、指紋照合に不適切な黒つぶれのセグメントが検出され、このセグメントが照合対象より除外される。また指が異常に湿っている場合等が注意される。これにより指紋照合に適した条件により撮像結果を処理して、指紋照合精度が向上される。
【0209】
また続く角度検出処理において(図31、図32、図33)、有効領域を基準にして指の傾きが検出され、この傾きが異常な場合はユーザーに注意が促される。これにより指を傾けて載置したことによる指紋照合精度の劣化が有効に回避される。
【0210】
このようにして指紋データD1の入力条件が整えられると(図24)、指紋照合装置1では、シリアルパラレル変換回路21より出力される指紋データD1がN枚分検査指紋メモリ6(図9)の正立画像メモリ6Aに取り込まれた後、続いて比較回路14の基準電圧REFを正側に所定電圧だけオフセットして(図8)、N枚分の指紋データD1が同様に正立画像メモリ6Aに取り込まれ、またこれとは逆に基準電圧REFを負側に所定電圧だけオフセットして、N枚分の指紋データD1が正立画像メモリ6Aに取り込まれる。
【0211】
この基準電圧REFをオフセットさせて切り換えることにより、指紋照合装置1においては、指紋画像がほぼ等幅化される。これにより撮像結果を2値化して処理する簡易な処理によっても、押圧力の変化、指紋の歪み、指を撮像する光学系の汚れ等による2値化信号S1の変化が吸収されて、指紋照合精度の低下が有効に回避される。
【0212】
指紋照合装置1では、これらの3N枚の指紋画像の中から、指紋照合に最も適した指紋画像が選択され、その選択された指紋画像が指紋データベース5に登録される。これにより指紋照合装置1では、指紋照合精度が向上される。
【0213】
この指紋照合に最も適した指紋画像の選択は(図34)、この3N枚の画像の1つを指紋データベース5に登録した指紋データと仮定して、他の画像との間で指紋照合の処理を繰り返して照合率を検出する。さらにこの登録したと仮定した画像を順次切り換えて同様の処理を繰り返し、照合率でなる相関値の値が最も大きな指紋画像を選択して実行される。これにより指紋照合装置では、実際の指紋照合に対応した判定基準により、指紋データベース5に登録する指紋データD1を選択するようになされ、その分確実に指紋照合できるようになされている。
【0214】
具体的に、指紋照合装置1では、この指紋データベース5に登録したと仮定した指紋データ(図35において、n画像が対応する)と、これと照合率を検出する指紋データ(図35においてm画像が対応する)とを、それぞれ正立画像メモリ6Aより画像回転回路31に出力し、ここでセグメント内の配列を変更して、セグメントを90度回転してなる指紋データが生成される(図12)。さらにこの生成した指紋データを回転画像メモリ6B及びデータベース用回転画像メモリ5Bに格納し、これにより正立画像と、この正立画像を90度回転してなる回転画像とが生成される。
【0215】
さらにこの正立画像において、m画像より、水平方向に64ピクセルの画像データにより構成される線状の画像が、順次垂直方向に8本切り出され、各線状の画像データが、それぞれ照合部40A〜40Bのラッチ回路41にセットされる(図16)。またn画像の指紋データが、ラスタ走査の順序で連続するように、照合部40A〜40Bに同時並列的に供給され、比較回路44において、これら2つの画像データ間で各ビットの一致、不一致が判定される。
【0216】
さらにこの一致したビット数がカウンタ45によりカウントされ、比較回路47により一定の基準値を越えるか否か判断される。さらにこの一定値を越える場合は、n画像の指紋データを照合部40A〜40Bに出力するメモリ制御回路30のアドレスデータADを基準にして、対応するn画像の座標値が座標群メモリ49に記録される。
【0217】
これによりこの8本の線状画像をそれぞれn画像上でラスタ走査し(図18)、重なり合う画像間で、順次類似の程度が検出され、一定値以上類似している位置の座標値が座標群メモリ49に格納されることになる。このとき指紋照合装置1では、この8本の線状画像の走査を8系統の照合部40A〜40Hにより同時並列的に実行することにより、その分短時間で指紋照合に適した画像を選択できるようになされている。
【0218】
さらにこのようにして線状の画像を切り出して照合部40A〜40Hにセットする際に、黒つぶれのセグメントについては、この線状の画像を切り出さないように、所定の判断手順を実行して指紋データD1がセットされ、これにより指紋照合精度の低下が有効に回避される。また事前に検出した有効領域基準にして、この線状画像を切り出す枠が設定され、これにより短時間で必要な画像を切り出すことができるようになされている。さらにこの線状に切り出す指紋データについては、論理レベルの切り換わりがカウントされ、カウント値が所定値以下の部分が対象より除外されることにより、指紋照合に有意な情報が充分に含まれる部分が切り出され、これによっても指紋照合の精度を向上できるようになされている。
【0219】
これに対して、ラスタ走査順に供給される指紋データにおいては、黒つぶれセグメント、空白領域については、これらをマスクするように比較回路44、47の動作が切り換えられ、これによりこれらの領域、セグメントによる照合率の低下が有効に回避される。
【0220】
このようにして正立画像について、座標群メモリ49に座標データを保持すると、続いて回転画像メモリ6B及びデータベース用回転画像メモリ5Bに格納された指紋データにより同様の処理が実行され(図40)、回転画像についても座標データが記録される(図19)。
【0221】
このようにして記録された座標データは、システム制御回路3による照合率検出処理により、照合部40A〜40Hによる座標値の組み合わせ毎に、線状画像の相対的な位置関係を満足する組み合わせの数が検出され(図36及び図37)、この検出された本数により照合率が検出される。
【0222】
このときシステム制御回路3において、始めに照合部40A、40B、40Cにより得られた座標値の組み合わせ毎に、対応する線状画像の相対的な位置関係を満足する組み合わせの数が検出され、この組み合わせ数を基準にして偶然にも高い類似の程度が検出された座標値が検査対象より除外され、残る組み合わせにより照合率が検出される。これにより事前の、部分的な組み合わせより処理対象を低減し、その分短時間で照合率を検出し、登録に適した画像を短い時間で選択することができるようになされている。
【0223】
このようにしてn画像を指紋データベースに登録したと仮定して、m画像について照合率が検出されると、このm画像を切り換えて同様に照合率が検出され、3N枚の画像について、処理が完了すると、n画像が切り換えられて、同様の処理が繰り返され、各組み合わせ毎に、それぞれ照合率が検出される。
【0224】
このようにして検出された照合率は、この指紋登録時においては、相関値として処理され、最も大きな相関値の得られた、指紋データベースの登録したと仮定した際の指紋データが指紋データベース5に登録され、これにより指紋照合の精度が向上される。
【0225】
これに対して指紋照合処理において、指紋照合装置1は、表示部8を介してユーザーに指の載置を促し(図41)、シリアルパラレル変換回路21より出力される画像データの変化により、指紋照合の処理を開始し、これにより簡易な操作で指紋照合できるようになされている。
【0226】
続いて指の側方に配置された圧力センサ23(図2)により、指の生体反応が検出され、生体反応が検出されない場合は、指紋照合の処理が中止される。これにより指紋照合の面より、セキュリティの向上が図られる。
【0227】
これに対して生体反応が検出されると、指紋データの入力条件が整えられた後、指紋データが取り込まれ、対応するユーザーについて、指紋データベース5に登録された指紋データとの間で、この取り込んだ指紋データが指紋照合される。
【0228】
すなわちこの指紋照合時における指紋データの入力条件においても(図45)、シリアルパラレル変換回路21の出力データより、有効領域が検出される(図25)。これによりこの有効領域を基準にして続く一連の処理が実行され、照合に要する時間がその分短縮される。またこの有効領域のセグメント数により指の載置位置が正しいか否か判断され(図41)、指が正しく載置されていないことによる、照合精度の劣化が有効に回避される。
【0229】
これに対して続くズーム処理において(図46)、指紋データベース5に登録された倍率に対応するように、指紋データ入力部4における間引き回路20の間引き率が設定され、これにより指紋登録時と同一の倍率により指紋データを入力できるように設定され、指紋照合の精度が向上される。
【0230】
またしきい値補正処理において(図29)、有効領域の各セグメント毎に、しきい値補正メモリ24(図2)の内容が補正され、これによりセグメントを単位にして、押圧力により変化する指紋照合精度の劣化、二等辺三角形プリズム11の汚れ等による指紋照合精度の劣化が有効に回避される。さらに黒つぶれ処理において(図30)、指紋照合に不適切な黒つぶれのセグメントが検出され、このセグメントが照合対象より除外され、また指が異常に湿っている場合等が注意され、これにより指紋照合に適した条件により撮像結果を処理して、指紋照合精度が向上される。
【0231】
さらに続く角度検出処理において(図31、図32、図33)、有効領域を基準にして指の傾きが検出され、この傾きが異常な場合はユーザーに注意が促され、さらにこの検出結果により、指紋照合時、傾き補正の処理(図47、ステップSP192)が実行され、これにより指を傾けて載置したことによる指紋照合精度の劣化が有効に回避される。
【0232】
このようにして指紋データD1の入力条件が整えられると、指紋照合装置1では、シリアルパラレル変換回路21より出力される指紋データD2が検査指紋メモリ6(図9)の正立画像メモリ6Aに取り込まれ、続いて比較回路14の基準電圧REFを正側に所定電圧だけオフセットして(図8)、指紋データD2が同様に正立画像メモリ6Aに取り込まれ、またこれとは逆に基準電圧REFを負側に所定電圧だけオフセットして、指紋データD2が正立画像メモリ6Aに取り込まれる。
【0233】
この基準電圧REFをオフセットさせて切り換えることにより、指紋照合装置1においては、検査対象の指紋画像についても、ほぼ等幅化され、これにより押圧力の変化、指紋の歪みによる指紋照合精度の低下が有効に回避される。
【0234】
このようにして検査指紋メモリ6に取り込まれた指紋データD2は(図47)、正立画像メモリ6Aより画像回転回路31に出力されてセグメント内の配列が変更された後、回転画像メモリ6Bに格納され、これによりこの正立画像を90度回転してなる回転画像が回転画像メモリ6Bに保持される。これに対して指紋データベース5から、比較対象でなる指紋データD1が、画像回転回路31に出力されてセグメント内の配列が変更された後、データベース用回転画像メモリ5Bに格納され、これにより回転画像メモリ6Bに対応する回転画像が生成される。
【0235】
続いて指紋データD2は、傾き検出処理により検出された傾きを補正するように、水平方向に所定角度だけ傾いて(図49及び図50)、64ピクセルの画像データにより構成される線状の画像が、順次垂直方向に8本切り出され、各線状の画像データが、それぞれ照合部40A〜40Bのラッチ回路41にセットされる(図16)。これにより指紋データベース5に保持された指紋画像の傾きが補正され、指紋照合精度が向上される。また指紋データベース5の比較対象でなる指紋データD1が、ラスタ走査の順序で連続するように、照合部40A〜40Bに同時並列的に供給され、比較回路44において、これら2つの画像データ間で各ビットの一致、不一致が判定される。
【0236】
さらにこの一致したビット数がカウンタ45によりカウントされ、比較回路47により一定の基準値を越えるか否か判断される。さらにこの一定値を越える場合は、指紋データベース5に対するメモリ制御回路30のアドレスデータADを基準にして、対応する指紋データD1の座標データが座標群メモリ49に記録される。
【0237】
これによりこの8本の線状画像をそれぞれ指紋データD1による画像上でラスタ走査し(図51)、重なり合う画像間で、順次類似の程度が検出され、一定値以上類似している箇所の座標データが座標群メモリ49に格納されることになる。このとき指紋照合装置1では、これら線状画像の走査を8系統の照合部40A〜40Hにより同時並列的に実行することにより、その分短時間で指紋照合できるようになされている。
【0238】
さらにこのようにして線状の画像を切り出して照合部40A〜40Hにセットする際に、黒つぶれのセグメントについては、この線状の画像を切り出さないように指紋データD2がセットされ、これにより指紋照合精度の低下が有効に回避される。また事前に検出した有効領域基準にして、この線状画像を切り出す枠が設定され、これにより短時間で必要な画像を切り出すことができるようになされている。さらにこの線状に切り出す指紋データについては、論理レベルの切り換わりがカウントされ、カウント値が所定値以下の部分が対象より除外されることにより、指紋照合に有意な情報が充分に含まれる部分が切り出され、これによっても指紋照合の精度を向上できるようになされている。
【0239】
これに対して指紋データベース5側の指紋データD1は、黒つぶれセグメント、空白領域については、これらをマスクするように比較回路44、47の動作が切り換えられ、これにより指紋照合の精度が向上される。
【0240】
このようにして記録された座標データは、指紋登録時と同様の処理により、照合部40A〜40Hによる座標値の組み合わせ毎に、線状画像の相対的な位置関係を満足する組み合わせの数が検出され(図36及び図37)、この検出された数により照合率が検出される。このときシステム制御回路3において、照合部40A〜40Cに対応した部分的な組み合わせより、相対的な位置関係を満足しない組み合わせを処理対象より除外し、これにより偶然にも高い類似の程度が検出された座標値が検査対象より除外され、残る組み合わせにより照合率が検出される。これにより短時間で照合率を検出することができ、その照合に要する時間を短縮できるようになされている。
【0241】
このようにして傾き補正した指紋データD2について、照合率が検出されると、続いてこの傾きの角度θが更新されて(図53)、同様の処理が実行され、さらに枠を切り換えて同様の処理が実行される(図54)。さらに正立画像についてこの一連の処理が終了すると、回転画像について、角度θ、枠を順次更新して同様の処理が実行される(図52)。さらに正立画像及び回転画像に対する処理が完了すると、しきい値を切り換えて検査指紋メモリ6に取り込んだ残りの指紋データD2についても、同様の処理が繰り返される(図47、ステップSP202、203)。
【0242】
このようにして正立画像、回転画像の各角度、しきい値に対応して複数の照合率が検出されると、正立画像において、切り換えた枠の全てで照合率が一定値以上か否か検出され、続いて同様に、回転画像について、切り換えた枠の全てで照合率が一定値以上か否か検出される。さらにこの正立画像及び回転画像において、対応する枠について検出された座標値が相対位置関係を満足するか検出され、さらに同様の処理が切り換えた枠間で検出される。これらの条件を全て満足する場合、この指紋データD2による指紋は、指紋データD1による指紋と一致すると判定される。これに対して何れか1つの条件でも満足しない場合は、一致との判定結果が留保される。
【0243】
これにより正立画像及び回転画像により識別して、識別力を向上するようになされている。またこのとき枠による座標値の相対位置関係を判断基準に加味することにより、さらに隣接枠についても条件を加えることにより、識別力を一段と向上するようになされている。
【0244】
この判断において、角度及び基準電圧を切り換えて得られる照合率については、正立画像及び回転画像、各枠において、論理和により一致するか否か判定され、これにより指紋データベース5に登録された本人については、識別力を向上して、確実に一致結果を出力できるようになされている。
【0245】
かくしてこのようにして一致の判定が留保された場合(図41)、基準となる枠が移動されて(ステップSP163)、再び同一の処理が繰り返される。これにより指紋照合の精度が向上される。さらに枠を移動しても、一致の判定が留保された場合(図42)、同一ユーザーについて他の登録した指紋データが存在する場合、優先順位に従って、対象となる指紋データD1が切り換えられて(ステップSP165)、同様の処理が繰り返され、これによっても指紋照合の精度が向上される。
【0246】
さらにこのような処理を繰り返しても、一定値以下の、低い照合率しか得られない場合、不一致と判定し、これにより指紋照合の精度が向上される。これに対して一定範囲で照合率が一定している場合は、判定基準が低減されて、同様の処理が繰り返され、これにより指が異常に乾燥している場合等にあっても、確実に本人と識別される。
【0247】
これに対して一致と判定された場合、一致の判定結果が出力された後、このときの照合率が指紋データベース5に記録される(図15、図41)。さらに続いて指紋データベース5に記録された、過去の照合率の変化が確認され、これにより照合率が低下している場合は、登録した指紋データの更新が促される(図43)。これにより指の大きさ等が変化した場合でも、照合率の回復が図られ、確実に指紋照合することができる。
【0248】
(3)実施の形態の効果
以上の構成によれば、指紋登録時及び指紋照合時、検出した座標値を部分的に組み合わせて、偶然にも高い類似の程度が検出された座標値の組み合わせを処理対象より除外し、残る組み合わせにより照合率を検出することにより、短時間で、確実に照合率を検出することができる。従ってその分短時間で、確実に指紋照合することができる。また登録時にあっては、短時間で、指紋照合に適した指紋画像を検出して登録することができる。
【0249】
(4)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、座標メモリ49に保持された8系統の座標群より、3系統の座標群による部分的な組み合わせを形成し、この組み合わせにより処理対象の数を低減する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、必要に応じて部分的な組み合わせの数は自由に設定することができ、また部分的な組み合わせにより低減した組み合わせについて、さらに部分的な組み合わせにより処理対象を低減してもよい。
【0250】
さらに上述の実施の形態においては、しきい値、正立画像及び回転画像、枠を切り換えて検出した照合率により、総合的に画像の一致を判定する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、必要に応じて、これらの処理を省略する場合、さらにはこれらの内の何れかの処理を選択的に実行する場合、さらには他の種々の判定手法と組み合わせてて実行する場合に広く適用することができる。
【0251】
また上述の実施の形態においては、検査する画像を線状に切り出して指紋照合する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、指紋データベースに登録した指紋画像側を線状に切り出して指紋照合する場合にも広く適用することができる。
【0252】
さらに上述の実施の形態においては、本発明を指紋照合装置に適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば印影の照合装置、さらにはデータベース化された画像間で、全体又は部分的に類似、比類似を判定する画像照合装置等に広く適用することができる。
【0253】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、複数の線状の画像を他の画像上で走査させて類似の程度の高い位置を検出し、この検出した位置の座標値の関係より画像を照合する際に、これら検出した座標値を部分的に組み合わせて、線状の画像に対応する相対位置関係を満足しない組み合わせを処理対象より除外することにより、全体として処理に要する組み合わせの数を低減することができる。従ってその分短い時間で、確実に照合結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る指紋照合装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1の指紋照合装置の指紋データ入力部を示すブロック図である。
【図3】図2の指紋データ入力部による指紋の画像を示す略線図である。
【図4】図2の指紋データ入力部における光量ムラの補正の説明に供する信号波形図である。
【図5】指紋の画像とセグメントの関係を示す平面図である。
【図6】実際の光量ムラの補正の説明に供する信号波形図である。
【図7】基準電圧でなるしきい値の補正の説明に供する信号波形図である。
【図8】基準電圧でなるしきい値の切り換えの説明に供する信号波形図である。
【図9】検査指紋メモリ及び指紋データベースを周辺回路と共に示すブロック図である。
【図10】図2の指紋データ入力部による指紋の画像を示す略線図である。
【図11】図9の指紋の画像を回転した画像を示す略線図である。
【図12】図9の画像回転回路を示すブロック図である。
【図13】図12の画像回転回路による画像回転の説明に供する略線図である。
【図14】図13に対応する回転後の画像を示す略線図である。
【図15】指紋データベースの内容を示す略線図である。
【図16】照合率検出部を示すブロック図である。
【図17】線状画像の切り出しの説明に供する略線図である。
【図18】線状画像に対する指紋データの供給を示す略線図である。
【図19】座標群メモリの内容を示す略線図である。
【図20】システム制御回路3の処理手順を示すフローチャートである。
【図21】図20の光学系動作確認処理を示すフローチャートである。
【図22】図20の指紋登録処理を示すフローチャートである。
【図23】図22の実登録処理を示すフローチャートである。
【図24】図23の続きを示すフローチャートである。
【図25】図23の有効領域検出処理を示すフローチャートである。
【図26】図25の有効領域検出処理の説明に供する略線図である。
【図27】図23の指位置判定処理を示すフローチャートである。
【図28】図23のズーム処理を示すフローチャートである。
【図29】図23のしきい値補正処理を示すフローチャートである。
【図30】図23の黒つぶれ処理を示すフローチャートである。
【図31】図23の角度検出処理を示すフローチャートである。
【図32】図31の角度検出処理の説明に供する略線図である。
【図33】図32の続く処理の説明に供する略線図である。
【図34】図24の登録データ選択処理を示すフローチャートである。
【図35】図34の相関値検出処理を示すフローチャートである。
【図36】図35の続きを示すフローチャートである。
【図37】図36の続きを示すフローチャートである。
【図38】図37の続きを示すフローチャートである。
【図39】回転画像からの線状画像の切り出しの説明に供する略線図である。
【図40】回転画像における線状画像に対して指紋データの供給を示す略線図である。
【図41】図20の指紋登録処理を示すフローチャートである。
【図42】図41の続きを示すフローチャートである。
【図43】照合率の低下の説明に供する特性曲線図である。
【図44】枠の移動の説明に供する略線図である。
【図45】図41の指紋データ入力処理を示すフローチャートである。
【図46】図45のズーム処理を示すフローチャートである。
【図47】図41の比較判定処理を示すフローチャートである。
【図48】図47の続きを示すフローチャートである。
【図49】傾き補正の説明に供する略線図である。
【図50】図49の傾き補正における画像データの処理の説明に供する略線図である。
【図51】傾き補正した線状画像に対する指紋データの供給を示す略線図である。
【図52】図51の回転画像の場合を示す略線図である。
【図53】角度の切り換えの説明に供する略線図である。
【図54】枠の切り換えの説明に供する略線図である。
【図55】正立画像における座標値の説明に供する略線図である。
【図56】図55の正立画像との関係で、回転画像における座標値の説明に供する略線図である。
【図57】各枠より検出される座標値の関係を示す略線図である。
【符号の説明】
1……指紋照合装置、3……システム制御回路、4……指紋データ入力部、5……指紋データベース、6……検査指紋メモリ、6A……正立画像メモリ、6B……回転画像メモリ、7……照合率検出部、7B……データベース用回転画像メモリ、11……二等辺三角形プリズム、14……比較回路、16……光量補正メモリ、20……間引き回路、22……脈波検出部、23……圧力センサ、24……しきい値補正メモリ、30……メモリ制御回路、31……画像回転回路、40A〜40H……照合部、49……座標群メモリ
Claims (4)
- 第1及び第2の画像間で、画像の一致又は不一致を判定する画像照合装置において、
前記第1の画像より、複数の線状の画像を切り出し、
前記線状の各画像を、前記第2の画像上で順次変位させて重なり合う画素間で比較結果を得ることにより、前記線状の各画像と前記第2の画像との間で類似の程度の高い座標値を順次検出し、
各線状の画像毎に、検出した座標値を順次選択して、前記検出した座標値による組み合わせを形成し、
前記線状の画像の相対位置関係を基準にして、前記各組み合わせにおける座標値を判定することにより、前記第1及び第2の画像間の一致の程度を測定して測定結果を得、
前記測定結果により、前記画像の一致又は不一致を判定し、
前記検出した座標値による組み合わせを形成する際に、
前記複数の線状の画像の一部について、部分的な組み合わせを形成し、
前記線状の画像の相対位置関係を基準にして、各部分的な組み合わせにおける前記座標値を判定し、
前記検出した座標値による組み合わせを形成する際に、
該判定結果より、事前に、前記線状の画像の相対位置関係を満足しない座標値の組み合わせを、処理対象より除外する
ことを特徴とする画像照合装置。 - 前記検出した座標値による組み合わせを形成する際に、
前記部分的な組み合わせを構成する座標値を組み合わせて、さらに部分的な組み合わせを構成し、
前記線状の画像の相対位置関係を満足する、前記さらに部分的な組み合わせの数を検出し、
前記検出された組み合わせの数に基づき、前記部分的な組み合わせが前記線状 の画像の相対位置関係を満足するかどうかを決定する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像照合装置。 - 前記さらに部分的な組み合わせは、前記部分的な組み合わせを構成する座標のうち、任意の2つの座標であり、
前記2つの座標の差に基づき、前記さらに部分的な組み合わせが前記線状の画像の相対位置関係を満足するかどうかを決定する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像照合装置。 - 第1及び第2の画像間で、画像の一致又は不一致を判定する画像照合方法において、
前記第1の画像より、複数の線状の画像を切り出し、
前記線状の各画像を、前記第2の画像上で順次変位させて重なり合う画素間で比較結果を得ることにより、前記線状の各画像と前記第2の画像との間で類似の程度の高い座標値を順次検出し、
各線状の画像毎に、検出した座標値を順次選択して、前記検出した座標値による組み合わせを形成し、
前記線状の画像の相対位置関係を基準にして、前記各組み合わせにおける座標値を判定することにより、前記第1及び第2の画像間の一致の程度を測定して測定結果を得、
前記測定結果により、前記画像の一致又は不一致を判定し、
前記検出した座標値による組み合わせを形成する際に、
前記複数の線状の画像の一部について、部分的な組み合わせを形成し、
前記線状の画像の相対位置関係を基準にして、各部分的な組み合わせにおける前記座標値を判定し、
前記検出した座標値による組み合わせを形成する際に、
該判定結果より、事前に、前記線状の画像の相対位置関係を満足しない座標値の組み合わせを、処理対象より除外する
ことを特徴とする画像照合方法。
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