JP3743793B2 - 熱間圧延用複合ロール及びその製造方法並びにそれを用いた熱間圧延方法 - Google Patents

熱間圧延用複合ロール及びその製造方法並びにそれを用いた熱間圧延方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄鋼の圧延において特に鋼板の熱間連続圧延、すなわち、ホットストリップミルの仕上げ圧延機列に用いられる圧延用ロール、該圧延用ロールの製造方法および前記圧延用ロールを使用した圧延方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、鉄鋼の金属組織を微細化することにより、引張強度、降伏強度、靱性および疲労強度等の機械的性質が向上することが確認され、本鋼板の実機圧延機での生産が強く望まれている。鋼板の熱間連続圧延機にて微細粒組織を得るための重要な要素技術の一つとして、例えば特許文献1には特定の圧延鋼板および圧延条件下において、後段圧延機列の圧延の最終1もしくは2パスでの高圧下圧延を実施することが開示されている。
【0003】
前記、後段圧延機列にて高圧下圧延を実現するにおいては、前段圧延機列に比べ、例えば仕上げ厚みが6.0mm以下の如く、圧延鋼板の板厚が著しく小さく且つ温度も低くて変形しにくいために、圧延用ロールと圧延鋼板との短い接触部において大きな圧延荷重に耐えて安定して鋼板を圧延する、すなわち摩擦により前進させることが可能な圧延用ロールが不可欠である。すなわち、圧延鋼板との間で高く安定した摩擦係数を確保し、さらに圧延ロールの表面が降伏せず偏平が小さく、更に、摩耗の少ないロールが強く望まれていた。
【0004】
しかしながら、前記のように、変形し難い薄板を、後段圧延機群にて圧延するに際し、高圧下圧延を行おうとすると従来材質、例えば高合金グレン鋳鉄材、鋳掛けハイス材等からなる圧延ロールでは表面粗度の低下やロール表面の扁平によりスリップ現象が現れ、安定的な圧延ができない問題があった。さらに、圧延荷重の増加に伴いロールの損傷が著しくなり、また、ロールの扁平および降伏によりこの傾向が増徴され、その操業は実用的には不可能であった。
【0005】
一方、前記の鋳造法、鋳掛け法に替る当該圧延ロールの製造方法として、熱間等方圧プレス(HIP)法を利用する試みは従来より知られており、例えば特許文献2には金属の炭化物、窒化物、酸化物および硼化物をハイス粉末とメカニカルアロイング法にて合金化した後、HIP処理を行った耐熱耐摩耗部材が開示されている。
【0006】
【引用文献】
(a)特許文献1(特公平5−65564号公報)
(b)特許文献2(特開平10−280101号公報)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特許文献2に開示されている中で、酸化物および硼化物は、それ自身の縦弾性係数が小さく、従って、これらを用いた場合は本発明の目的とする高圧下圧延に耐えうる、すなわち、圧延用ロールの表面が降伏せずに扁平しない高い縦弾性係数を得ることはできない。
また、炭化物および窒化物を利用することも開示されているが、中でも本発明の金属元素、すなわち、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W金属以外の金属との炭化物および窒化物の縦弾性係数は低く、これらを用いた場合は前記と同様に本発明が目的とする高い縦弾性係数の圧延用ロールを得ることはできない。
【0008】
また、合金を多量に含有するハイス粉末は高価であり経済的でないうえに、さらに該ハイス材に含有する合金中Mo:3.0〜10.0質量%、V:0.8〜8.0質量%、W:1.0〜10.0質量%の作用として、当該明細書に記載のとおり炭素と化合し炭化物を形成するが、該炭化物は当該ハイス粉末の製造時に晶出するためにその粒径や量を制御することが実質的に難しく、従って、本発明が最終的に目的とする高い縦弾性係数の圧延用ロールをを得ることが難しい。
【0009】
更に、前記ハイス系粉末ではその製造時の凝固速度が著しく大きいがために、その晶出炭化物は極めて小さいために圧延に供した際圧延ロール表面の粗度を適度に大きく維持してロール・バイト内の摩擦係数を向上させる作用に有効に寄与できず、スリップ現象が生じ、本発明の高圧下圧延を実施することができない。以上の従来の技術の課題に鑑み、本発明の目的は、鋼板の熱間連続圧延において、圧延鋼板との間で高い摩擦を有し摩耗が少なく、かつ偏平や降伏損傷しない圧延用ロール及びその製造方法を提供すると共に、これを用いて熱延仕上げ後段圧延機列において高圧下圧延を行うことにより、生産性が高く経済的な高品質鋼板の圧延方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を達成するために、本発明の要旨とするところは、
(1)鋼板を熱間圧延する連続熱間圧延機群の後方3基の圧延機に組み込まれる熱間圧延用複合ロールにおいて、鋼系材料からなる芯材の周囲に、質量%でTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W金属との炭化物及び/または窒化物の粉末10〜50%とC:0.5〜1.5%、Si:0.1〜2.0%、Mn:0.1〜2.0%、および、Ni:0.1〜2%、Cr:0.5〜10%、Mo:0.1〜2%の一種以上を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鉄系粉末とを焼結して外層材を形成し、該外層材からなる複合ロールの直径を250〜620mm、かつ縦弾性係数を240GPa以上としたことを特徴とする熱間圧延用複合ロール。
【0011】
(2)Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W金属との炭化物及び/または窒化物とC:0.5〜1.5%、Si:0.1〜2.0%、Mn:0.1〜2.0%、および、Ni:0.1〜2%、Cr:0.5〜10%、Mo:0.1〜2%の一種以上を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鉄系粉末とをミリング法またはメカニカルアロイング法により混合した後、該混合粉末を、鋼系材料からなる芯材の周囲に形成してなる環状空間に充填し、その後、高温・高圧雰囲気下で熱間等方圧プレスにより焼結し、前記芯材に外層材を一体的に形成してなることを特徴とする熱間圧延用複合ロールの製造方法。
(3)鋼板を熱間連続圧延機にて圧延成形する熱間圧延方法において、前記圧延機群における後方3基の圧延機の少なくとも1基以上の圧延機にて前記(1)または(2)記載の熱間圧延用複合ロールを使用し、圧下率40%以上で圧延することを特徴とする熱間圧延方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明の圧延用ロール材の主要な構成について述べる。
圧延用ロールとして最も重要な性質である耐摩耗性を確保するため、従来技術で述べて高合金グレン鋳鉄ロールで利用されているセメンタイト(Fe3 C)に比べ高い硬度のものを利用することが必要不可欠であり、かつ工業的に普及しかつ経済的に入手可能なものであることが必要であり、炭化物および窒化物を用いる。特に、本発明が使用される環境下で、該圧延ロールの表面が上昇する773〜1273Kの温度範囲で安定であることより、Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,Wの炭化物及び/または窒化物とした。炭化物および窒化物の質量%は、その合計で10〜50%に混合することが必要である。
【0013】
図1に代表的な炭化物についてその混合比と弾性係数の関係を示すが、前記の量が10%以下では必要な弾性係数240MPaを確保できない。一方、50%以上になると鉄系粉末との金属的結合が十分でなく本発明に必要な強度が得られない。さて、炭化物及び/または窒化物と混合する鉄系粉末は、高硬度と高い縦弾性係数が得られると共に安価なことが必要で、更に前記従来技術の項で述べたが、本発明材で利用する炭化物や窒化物を目標とおりに制御するために、これらのものが粉末段階で多量に晶析出していないことが必要である。
【0014】
以下、鉄系粉末の成分組成の理由を説明する。
Cは、硬度を得るため0.5%以上とし、その上限は、縦弾性係数を高く維持するためにこれを低下させるFe3 C(セメンタイト)の晶出を抑制するため1.5%以下とした。
Niは、基地中に固溶し焼き入れ性を高めて硬くするため有用な元素であり0.1%以上含有することが必要であるが、経済的な観点から上限を2.0%とした。
Crは、基地に一部含有して焼き入れ性を向上させるとともに析出硬化能により硬くするために0.5%以上含有する必要があり、一方多量に添加すると、クロム炭化物として多量に晶出し、炭化物の量と大きさを制御できなくなるためその上限を10%とした。
【0015】
Moは、Crと同様に基地中に一部固溶し焼き入れ性を高め、0.1%以上含有することで硬くするため有用な元素であるが、高価であるため経済的な観点からその上限を2.0%とした。なお、鉄系材料の脱酸等の観点からSiおよびMnは2.0%以下含有させると良い。また、有害でない範囲の不純物として0.5%以下のPおよびS、ならびに前述のとおり本発明材に利用する炭化物や窒化物の制御に実用的に影響を与えない範囲のW,V,Nb,Ti,Zr等の金属元素を少量、例えば各元素の量を上限で、各々1.0%程度を含有させることは本発明の効果を損なうものではない。
【0016】
これらの炭化物や窒化物を計画した組成と十分な量を付与するためには、従来の鋳造ならびに鍛造法では限界があり、その作用効果の達成は不可能であった。そこで本発明ではこれらの炭化物及び/または窒化物を粉末として用い、これを特定した鉄系合金粉末と混合し、焼結する。このことにより、硬い炭化物もしくは窒化物を十分な量を計画どおり含有させて耐摩耗性と十分な摩擦係数を維持し、かつ高い機械的性質を確保することが可能となる。また、従来の鉄系鋳造材では弾性係数に自ずと限界が有ったが、本発明に用いた炭化物は高い弾性係数を有し、これを多量に利用することによりロール材としても高い弾性係数を付与することができる。
【0017】
図1に本発明に用いた代表的な炭化物と高速度鋼粉末を混合して製作した材料の縦弾性係数を示す。いずれの炭化物においても混合する量が増加するにつれ縦弾性係数は増加し、10質量%以上混合することにより本発明の目標とした240GPa以上が確保できた。VCおよびTiC炭化物を混合したものの値は、鉄系粉末との混合比による単純平均値に比べ高い値である。この結果圧延用ロールの扁平が小さくできる。また、圧延用ロールは補強ロールおよび鋼板との間で大きな圧縮を受け、特に本発明が目的とする小径の圧延用ロールを用いての大圧下圧延においてはその値は極めて大きくなり、高い圧縮降伏強度が必要となる。実用的に本発明の安定した圧延作業ができるために圧縮降伏強度を2.0GPa以上に確保する必要があり、本発明においてもこれを必要不可欠の条件とした。なお、ここで圧縮降伏応力は実用的に降伏現象が確認できる一軸圧縮試験における0.02%耐力とした。
【0018】
また、高圧下圧延を行った場合には圧延荷重は大きくなる。この時、圧延用ロールの縦弾性係数が小さいと該ロールの表面が大きく扁平し鋼板との接触長が大きくなり、このことが更に圧延荷重を増大させることとなり、経済的でなく圧延作業も不安定になる。本発明が対象とする鋼板の熱間連続圧延機群の後方3基の圧延機に配設される圧延用ロールには、特にこの現象が起こらないようにすることが必要である。そこで圧延用ロールの扁平を小さく抑え本発明の効果を達成するため、発明材の縦弾性係数を200GPa以上とした。
【0019】
さらに、前記の圧延機群において高圧下圧延を行うに際し、当該圧延用ロールの直径を小さくすれば圧延荷重、すなわち駆動動力を小さくでき経済的である。しかしながら、前述のとおり小径では圧延用ロールと圧延鋼板との接触長さがさらに小さくなり、特に40%以上の圧下率では従来の圧延用ロールでは圧延に必要な摩擦力を確保できず、小径化が難しかった。一方、本発明の圧延用ロール材においては十分な摩擦力を確保できるため、当該ロールを小径とすることができ、実用的にその効果が顕著になる値として、従来は625〜800mmであったロールの直径を620mm以下とし、その下限値は前記圧延機群において折損事故等の圧延事故の発生を実用的に防止できるロール強度が確保可能な250mmとした。
【0020】
次に、発明の圧延ロールの製造法について、図2及び図3を用いて詳細に説明する。図2は、本発明の芯材の周囲環状空間への混合粉体の充填要領断面図、図3は、本発明の熱間等方圧プレス後の圧延ロールとロール支持部との断面図を各々示す。図2において、1は圧延用複合ロールの芯材、3aは該芯材1の周りに設けられている金属カプセル(底部)であり、該金属カプセル(底部)3aは、前記芯材1の外周部に溶接部4にて接合されている。また、3bは前記金属カプセル(底部)に接合されている金属カプセル(胴部)であり、前記芯材1の外周部と金属カプセル(底部)3aと金属カプセル(胴部)3bとで、環状空間部2が形成されている。
【0021】
Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W金属との炭化物及び/または窒化物と前記構成からなる鉄系粉末は、ミリング法または前記特許文献2に開示されているメカニカルアロイング法により充分に混合され、原子レベルにて各々の粉体は、結合される。その後、前記の混合・結合粉末を、前記芯材1の周囲に形成してなる環状空間2に充填し、図示してない振動または機械的な加圧等により、圧密される。その後、3cの金属カプセル(蓋部)を芯材1の周囲に溶接部4で取り付けた後、脱気管5より環状空間部2内の残量空気を脱気、または脱気することなく密閉する。
【0022】
続いて、図示していないHIP炉内に、前記密閉した状態で配設し、高温・高圧雰囲気下で熱間等方圧プレスを実施し、焼結され、前記芯材1に、前記の粉体が焼結され、外層材が一体的に形成される。次ぎに、HIP炉外へ出された一体物より機械加工などにより、金属カプセル(底部)3a、金属カプセル(胴部)3b、金属カプセル(蓋部)3cが取り除かれる。
最後に、別途製作した図3に示す圧延用ロール支持部6と例えば、エレクトロスラグ溶接またはエレクトロガス溶接にて、両者は一体的に強固に接合され、圧延用複合ロールが製造される。なお、符号7は溶接接合部を示す。
【0023】
なお、前記の炭化物および窒化物は、ロールと圧延鋼板との間で大きな摩擦を確保するためには、炭化物および窒化物の存在ロール表面に適度の粗さを付与して有効に働き、特に硬くて粒状のものであることが必要であり、その粒径は、1〜20μmが望ましい。粒径が1μm未満では、使用時にロール表面に必要な粗度を与えることができず、上限の20μmを超えると硬い炭化物および窒化物が圧延製品の表面を傷つけ製品表面品質を損なう。一方、鉄系粉末の粒径の影響は少なく、通常製造されている10〜300ミクロンのものを採用すればよい。
【0024】
熱間等方圧プレス処理(HIP処理)の条件としては、採用する炭化物および窒化物の種類と混合比によって完全に金属的に結合し経済的な条件が選ばれるが、温度を1273〜2273K未満、圧力を98〜196Mpaの範囲で熱間等方圧プレスするとよい。温度が1273K未満では、温度が低すぎるため同時処理時の圧力を例えば196Mpa程度に高くしても、特に焼結による緻密化が促進されない。また、圧力が98Mpa未満では温度を高くしても、前記と同様に緻密化が促進されない。
【0025】
一方、温度が2273Kを越えると前記焼結による緻密化は、図られが結晶粒が粗大化すると共にエネルギーロスとなるため2273K以下が好ましい。また、圧力が196Mpaを超えると加圧効果が飽和すると共にHIP設備が極めて高価となることからその上限とする。前記の金属カプセル(底部)3a、金属カプセル(胴部)3b、金属カプセル(蓋部)3cの材質は前記の温度に耐えれるよう高融点金属材からなるものであればよく、例えばNb、Ta、Cr等を使用するとよい。
【0026】
【実施例】
本発明の実施例として表1に示すとおり、TiC、VC、WCおよびTiNをそれぞれ10〜50%と0.8%C、3%Cr、1%Niの鉄系粉末を50〜80%の粉末配合とし、乾式アトライターにてミリング処理した後、HIP処理にて焼結してロール材を製造した。なお、熱処理は1100℃に加熱して焼き入れ後、焼戻しを行った。実施例のロール材より試験片を切り出し、本発明において必要不可欠とした性質を確認した。その結果を、比較例であるNo.6〜8の従来の高合金グレン鋳鉄および連続鋳掛け法にて製造したハイス系ロール材および特許文献2に開示されたの材料のそれと比較して表1に示した。以下、各々について詳細に説明する。
【0027】
【表1】
Figure 0003743793
【0028】
まず、鋼板との摩擦係数ならびに摩耗特性については、実際の圧延をシミュレートする最も一般的な試験方法である熱間摩擦試験機において評価を行った。摩擦係数は、比較例No.6の高合金グレン鋳鉄および比較例No.7のハイス系鋳掛け鋳造材においては0.25〜0.30であり目標とする0.30超を確実に確保することはできなかった。一方、本発明例であるNo.1〜5のいずれも0.30超〜0.41と高い値を確保し、実際の圧延においてスリップ現象が発生しない条件を満足させることができた。摩耗については高合金グレン鋳鉄を基準とすると、図4に示すとおりハイス系ロールは1/3〜1/5であり、本発明例No.1はさらに小さく1/10以下であった。
【0029】
次に、ロールの扁平に対する縦弾性係数および圧縮降伏応力について述べる。比較例No.6の高合金グレン鋳鉄ロールでは必要な値に満たさなかった。比較例No.7のハイス系鋳造材は満足するものの下限値に近く、一方、本発明例のいずれも十分高い値を達成することができた。なお、引張り強度および破壊靭性値を併記したが、いずれについても本発明ロールは比較材と同等以上、とくに破壊靭性値は高い値を達成し、ロールの破壊に対する安全性も確保されることが確認された。
【0030】
さらに、前記発明例No.1を外層として芯材には鍛鋼(JIS規格SCM440)を採用してロールを実際のロールと同一条件とするためその直径を500mmとして製造し、図5に示す圧延機に供した。圧延操業結果を図6に示すが、比較例である従来ロールでは高圧下圧延を行ったところ、スリップ現象が生じ、圧延作業ができなかったのに対し、本発明ロールを供することにより高圧下条件下においても安定した圧延が連続して可能であることが確認できた。
【0031】
【発明の効果】
以上のように本発明によればホットストリップミルの仕上げ後段圧延機列での高圧下圧延が可能となり経済的で生産性の向上ができ、さらに圧延製品の品質向上がなされ、工業的に大きな価値を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】炭化物の混合比と縦弾性係数との相関図、
【図2】本発明の芯材の周囲環状空間への混合粉体の充填要領断面図、
【図3】本発明の熱間等方圧プレス後の圧延ロールとロール支持部との断面図、
【図4】本発明と従来ロール材の摩耗比を示す図、
【図5】本発明ロールと従来ロールの圧延可能圧下率範囲を示す図、
【図6】本発明材になる熱間圧延設備の構成図である。
【符号の説明】
1 芯材
2 環状空間部
3a 金属カプセル(底部)
3b 金属カプセル(胴部)
3c 金属カプセル(蓋部)
4 溶接部
5 脱気管
6 ロール支持部
7 溶接接合部

Claims (3)

  1. 鋼板を熱間圧延する連続熱間圧延機群の後方3基の圧延機に組み込まれる熱間圧延用複合ロールにおいて、鋼系材料からなる芯材の周囲に、質量%でTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W金属との炭化物及び/または窒化物の粉末10〜50%とC:0.5〜1.5%、Si:0.1〜2.0%、Mn:0.1〜2.0%、および、Ni:0.1〜2%、Cr:0.5〜10%、Mo:0.1〜2%の一種以上を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鉄系粉末とを焼結して外層材を形成し、該外層材からなる複合ロールの直径を250〜620mm、かつ縦弾性係数を240GPa以上としたことを特徴とする熱間圧延用複合ロール。
  2. Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W金属との炭化物及び/または窒化物とC:0.5〜1.5%、Si:0.1〜2.0%、Mn:0.1〜2.0%、およびNi:0.1〜2%、Cr:0.5〜10%、Mo:0.1〜2%の一種以上を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鉄系粉末とをミリング法またはメカニカルアロイング法により混合した後、該混合粉末を、鋼系材料からなる芯材の周囲に形成してなる環状空間に充填し、その後、高温・高圧雰囲気下で熱間等方圧プレスにより焼結し、前記芯材に外層材を一体的に形成してなることを特徴とする熱間圧延用複合ロールの製造方法。
  3. 鋼板を熱間連続圧延機にて圧延成形する熱間圧延方法において、前記圧延機群における後方3基の圧延機の少なくとも1基以上の圧延機にて請求項1または2記載の熱間圧延用複合ロールを使用し、圧下率40%以上で圧延することを特徴とする熱間圧延方法。
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