JP3743637B2 - フォトニック結晶および光導波素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はフォトニック結晶およびこれを用いた光導波素子の技術分野に属し、より詳細には、完全フォトニックバンドギャップを形成可能なフォトニック結晶およびこれを用いた光導波素子の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、屈折率が周期性を持って変化する構造体は、その周期性に応じて特定の波長の光を遮蔽することが知られている(例えば、Applied Physical Letters, Vol. 64(16), p2059-2062、Physical Review Letters, Vol. 67(17), p2295-2298 等)。これは、前記構造体がフォトニックバンドギャップを形成することに基づく現象であり、通常の結晶が電子のバンドギャップを形成することと類似している。このことから前記構造体は「フォトニック結晶」と呼ばれ、近年、種々の研究が活発に行われている。フォトニック結晶は、通常、構造体中に人為的に屈折率の周期的変化を持たせることによって作製され、例えば、特定の屈折率を有する材料からなる構造体中に、屈折率が異なる領域を周期的に配置することによって作製される。従来のフォトニック結晶では、自然界に存在する結晶に習って、例えば、三角格子、四角格子等にみられるような並進対称性に基づく周期性を利用している。
【0003】
ところで、フォトニック結晶を種々の光学精密機器等に利用する場合、フォトニック結晶には特定の波長の光を完全に遮蔽することが要求される。しかし、従来の並進対称性の周期構造を有するフォトニック結晶では、光の伝搬方向に依存して、形成されるフォトニックバンドギャップの波長が異なる(以下、「フォトニックバンドギャップの方向依存性」という)という問題がある。そのため、従来のフォトニック結晶では、幅の広いフォトニックバンドギャップを形成することによって、ギャップに重なりを持たせ、全伝搬方向の光に対する遮蔽性を確保している。フォトニックバンドギャップ幅を広くするには、フォトニック結晶を屈折率差が大きく採れる材料を用いて構成する必要がある。自然界では空気の屈折率が最も低いが、構造体中に空気の領域(孔等)を形成すると、構造体の強度が低下し、用途が制限されたり、もしくは適用する光学精密機器の設計上不都合が生じる場合がある。また、材料の選択の幅が狭いと、作製方法も制限される等、実用上好ましくない。フォトニック結晶内に完全フォトニックバンドギャップが形成可能な屈折率変化を人為的に構築できれば、全伝搬方向の電磁波を遮蔽可能なフォトニック結晶が得られ、これを利用した光学デバイス等の性能が格段に向上するとともに、作製上も有利であり、かつ適用可能な用途範囲も広がるという利点がある。
【0004】
ところで、近年、フォトニック結晶を光導波素子に利用したフォトニック結晶光導波素子が注目されている。これは、フォトニック結晶の内部に結晶構造を持たない線状欠陥を形成することによって、光をこの欠陥部分に閉じ込め、欠陥部分に沿って光が伝搬するように構成したものである。フォトニック結晶光導波路は、フォトニックバンドギャップの存在により、光を強く閉じ込める性質を有するので、従来の光導波路と比較して光損失を軽減できる点で有利であり、種々の光回路への適用が期待されている。しかし、従来の三角格子結晶および四角格子結晶の2次元フォトニック結晶では、欠陥の導入が制限されるという問題がある。例えば、三角格子結晶を用いて光導波路を形成する場合は、線状欠陥を60度または120度で交差させることしかできず、四角格子結晶を用いた場合は、線状欠陥を90度で交差させることしかできない。そのため、従来のフォトニック結晶光導波路では、光の伝搬方向を曲げる角度が制限されてしまう。フォトニック結晶光導波路によって導かれる光の進路を自由に曲げることができれば、光回路に適用した場合に、光回路設計の自由度の幅を広げることができ、設計上有利である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、全伝搬方向の光を遮蔽可能な、完全フォトニックバンドギャップを形成可能な新規なフォトニック結晶を提供することを課題とする。また、本発明は、フォトニックバンドギャップの方向依存性が改善された新規なフォトニック結晶を提供することを課題とする。また、本発明は、構成材料の選択および作製上の制約を軽減し得る新規なフォトニック結晶を提供することを課題とする。また、本発明は、光損失が小さく、且つ光導波路を形成する際の形状上の制限が軽減された光導波素子を提供することを課題とする。さらに、本発明は、光回路に適用した場合に、光回路の設計上の制約を軽減し得る光導波素子を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、フォトニック結晶について鋭意検討を重ねた結果、従来、自然界に存在する結晶を手本に採用されていた並進対称性を有する周期性以外の周期性をもって屈折率が変化する構造体も、フォトニックバンドギャップを形成し得るとの知見を得た。この知見に基づいて、さらに検討を重ねた結果、円座標系で定義される周期性をもって屈折率を変化させることにより、フォトニックバンドギャップの形成が可能であること、さらに形成されるフォトニックバンドギャップの方向依存性が改善されることを見出した。
【0007】
即ち、本発明のフォトニック結晶は、前記課題を解決するため、円座標系で定義される周期性をもって屈折率が変化する構造を有することを特徴とするフォトニック結晶が提供される。本発明の一態様として、円座標系で定義される周期性をもって屈折率がn1とn2(n1≠n2)の2値に変化する構造を有することを特徴とするフェトニック結晶が提供される。本発明の一態様として、前記周期性が非並進対称性である、および/または前記周期性が回転対称性を有する前記フォトニック結晶が提供される。
【0008】
本発明の一態様として、屈折率n1の第1の材料と屈折率n2(n1≠n2)の第2の材料とからなる構造単位が、円座標系の任意の点を中心として一定の角度だけ回転した位置に繰り返し現れる構造を有することを特徴とする上記のフォトニック結晶が提供される。また、本発明の一態様として、空間に空気と異なる屈折率を有する領域を円座標系で定義される周期性をもって配置してなるフォトニック結晶が提供される。
【0009】
本発明の他の態様は、上記いずれかの態様のフォトニック結晶と、前記フォトニック結晶の表面に形成された光の入力口および出力口と、前記フォトニック結晶の内部に形成された前記フォトニック結晶の周期性を不完全にする欠陥領域とを有し、前記欠陥領域が、前記フォトニック結晶のフォトニックバンドギャップにより伝搬不可能な光を、前記入力口から前記出力口へと導く光導波路路として機能する光導波素子;屈折率n1の第1の材料と屈折率n2(n1≠n2)の第2の材料とからなる構造単位が、円座標系の任意の点を中心として一定の角度だけ回転した位置に繰り返し現れる回転対称性の2次元周期性を有するフォトニック結晶と、前記フォトニック結晶の表面に形成された光の入力口および出力口と、前記フォトニック結晶の内部に形成された前記2次元周期性を不完全にする欠陥領域とを有し、前記欠陥領域が、前記フォトニック結晶のフォトニックバンドギャップにより伝搬不可能な光を、前記入力口から前記出力口へと導く光導波路として機能する光導波素子;前記欠陥領域が、光の伝搬方向を曲げる屈曲部を1以上有する、または光の伝搬方向を円弧状に曲げる領域を1以上有する前記光導波素子;である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のフォトニック結晶は、従来のフォトニック結晶が、直交座標系において定義される周期性、即ち並進対称性に基づく屈折率変化を構造内に有しているのに対して、円座標系で定義される周期性に基づく屈折率変化を構造内に有することを特徴とする。前記円座標系で定義される周期性は、2次元的な周期性であっても3次元的な周期性であってもよい。なお、本明細書において、「フォトニック結晶」は、従来の並進対称性を有する屈折率変化を構造内に有するフォトニック結晶を意味するのではなく、フォトニックバンドギャップを形成可能な屈折率変化を構造内に有する全ての構造体を含む意味で用い、本発明の要件を満たす限り、従来の「フォトニック結晶」の定義に含まれないものも本発明の範囲に含まれるものとする。
【0011】
「円座標系で定義される周期性」とは、円座標空間内に、同一の基本構造が繰り返し配列している状態をいう。例えば、二次元円座標系を例にとれば、任意の点を中心として一定の角度だけ回転した位置に繰り返し同一の配列が現れる構造を有する状態をいう。例えば、180°回転するごとに同一の構造単位が繰り返し現れる2回転対称性を有する周期性、120°回転するごとに同一の構造単位が繰り返し現れる3回転対称性を有する周期性、90°回転するごとに同一の構造単位が繰り返し現れる4回転対称性を有する周期性等、種々の周期性が挙げられる。また、360°回転しないと同一の構造単位が繰り返されない1回対称性を有する周期性もこれに含まれる。図1(a)〜(d)に、3回転対象性、4回転対称性、5回転対称性および6回転対称性の配置を、図2に1回転対称性の配置をそれぞれ示す。いずれも本発明に適用可能である。
【0012】
円座標系で定義される周期性は、多くは回転対称性を有し、本発明においても回転対称性を有する周期性を好ましく利用できる。なお、円座標系で定義される周期性の中には、その配列が、直交座標系における周期性、即ち並進対称性を有する可能性もあるが、円座標系で定義される周期性をもって屈折率が変化する構造を有する限り、並進対称性の有無に係わらず、本発明に含まれる。但し、フォトニックバンドギャップの方向依存性の改善の点では、非並進対称性の周期性であるのが好ましい。
【0013】
本発明のフォトニック結晶は、円座標系で定義される周期性をもって屈折率が変化する構造を有することを特徴とする。通常、フォトニック結晶において、屈折率の変化は2値であり、2値の屈折率の差が大きい程、フォトニックバンドギャップ幅が大きくなる。屈折率は材料に固有であり、屈折率2以上の高屈折率材料として、ダイヤモンド(2.41)、Si(3程度)、Ti02(2.6)、Ta2O5(2.3)等;低屈折率材料として、SiO2、光学ガラス等;が挙げられる。従来のフォトニック結晶では、フォトニックバンドギャップの方向依存性を軽減するために、前述した様に、フォトニックバンドギャップ幅を非常に大きく確保する必要があったため、最も屈折率の低い空気からなる領域(例えば、孔、空隔等)と、高屈折率の材料からなる領域とから構成されたものが多かった。そのため強度が低く、用途が制限される等の不都合、および材料が制限されることによる作製上の不都合があった。本発明のフォトニック結晶では、高屈折率領域としてTa2O5等の材料を用いて構成し、低屈折率領域として空気以外の、例えばSiO2等の低屈折材料を用いて構成することによっても、完全フォトニックバンドギャップの形成が可能である。もちろん、本発明のフォトニック結晶に、空気の領域を形成することを妨げるものではない。
【0014】
本発明のフォトニック結晶において、屈折率変化の周期は、特に制限されず、遮蔽対象となる光の波長に応じて、決定することができる。例えば、可視光や近赤外光の遮蔽を目的とする場合は、屈折率変化の周期を可視光や近赤外光の波長と同程度にすればよい。
【0015】
本発明のフォトニック結晶においては、円座標で定義される周期性をもって屈折率が変化している構造が一部に含まれていればよい。例えば、円座標で定義される周期性をもって屈折率が変化する構造体を、並進対称性を有する2次元的配置に配列させて構成したフォトニック結晶も、本発明のフォトニック結晶に含まれる。また、前述した様に、本発明には、円座標で定義される2次元的周期性をもって屈折率が変化する構造を有するフォトニック結晶も含まれ、即ち、3次元的には円座標で定義される周期性をもって屈折率が変化しない構造を有するものも本発明の範囲に含まれる。
【0016】
本発明の一実施形態として、空間(屈折率=1)に、屈折率n1を有する材料(n1>1、好ましくはn1≧1.6)からなる複数の円柱部を円座標系で定義される2次元的周期性で配置したフォトニック結晶が挙げられる。前記2次元的周期性の配置は、例えば、図3に示す回転対称性の配置とすることができる。図3中、「○」は円柱部の位置を表し、「○」の中に示した数字は位置を特定するために用いる。図3に示す配置は、円座標の中心点(位置76)を中心として72°回転した位置に同一の配列が繰り返し現れる、即ち5回転対称性を有する配置である。また、半径方向にも周期性を有し、円柱部が円周上に配置された同心円が同一の周期で繰り返し現れる周期性も有する。図3からわかるように、円柱部の配置は、直交座標における周期性を有さない、即ち非並進対称性の配置である。
【0017】
図3の周期性をもって屈折率が変化する構造を有するフォトニック結晶について、以下の計算を行い、フォトニックバンドギャップの方向依存性の改善を確認した。
図3の76個の円で示した位置に、屈折率1.92の材料からなる円柱部を、2個の円柱部の中心間距離D(図3中Dで示す)=85μmで配置してなる構造体を計算モデルとした。円柱部の底面の直径R0(図3中R0で示す)は22μm、円柱部の高さは無限大とした。矢印の方向(A=0)からミリ波(波数0〜200cm-1)に相当する光を照射した際の、前記モデルのa〜eの位置に到達する光の強度を計算した。なお、本来は、フォトニックバンドギャップの存在は、フォトニック結晶の内部から光を照射し、特定の波長の光が外部に漏れないことにより実証できるが、光の性質から、光の到達位置と照射位置とを逆転させても、同様の実証ができる。
【0018】
計算結果を図4に示す。図4は、a〜eの位置に到達する光について、各々、横軸を光の波数、縦軸を光の強度として示したグラフである。図4に示す計算結果から、いずれの位置に到達する光も、波数50cm-1程度の光の強度が著しく低下していることがわかる。すなわち、図3に示す円座標系で定義される周期性を有するフォトニック結晶のモデルは、波数50cm-1程度の光に対してフォトニックバンドギャップを形成することが計算により実証された。なお、この計算では、TMモードの偏光を用いたが、TEモードの偏光に対しても、同様にフォトニックバンドギャップが形成可能である。
【0019】
次に、フォトニックバンドギャップの方向依存性を調べるために、図3の上部に示す様に、光の入射方向をθ方向に1度ずつ変位させ、合計で36度まで変位させ(36分点)、各々の角度で光が入射した際に、cの位置まで到達する光の強度を計算した。計算結果を光の強度の等高線図として図5(a)および(b)に示す。図5(a)はTEモードの偏光について、(b)はTMモードの偏光について、cの位置まで到達する光のポインティングベクトルの絶対値をそれぞれ計算した結果である。横軸は光の波数cm-1(1〜200、400分点)、縦軸は光の入射方向の変位(入射角度)を示す。光のポインティングベクトルの絶対値の強度は、図中の濃淡で示されていて、グラフの下に記したスケールから分るように、色の濃い部分が最もポインティングベクトルの強度が低いことを示す。図5(a)および(b)ともに、いずれの入射方向においても、波数50cm-1付近にポインティングベクトルの低い領域があり、等高線図中には色の濃い帯状の領域として現れている。この結果から、このフォトニック結晶のモデルでは、光の入射方向を変位させても、フォトニックバンドギャップの波長は変化しないことがわかった。
なお、この等高線図は、ベクトル円筒関数展開法による解析的な計算により求めた。以下の図6においても同様である。また、光の入射角度を72度(5回点対称における等価点まで)回転させていないが、配置の対称性からさらに36度回転させた場合も同様の計算結果が得られるものと推定できる。
【0020】
さらに、図3に示す4、5、9、10、14および15の円柱部の位置についても、同様にして、光の入射角度を1度ずつ合計で36度変位(36分点)させた際に、各々の位置に到達する光のポインティングベクトルの絶対値を計算した。結果を図6に示す。図6は、4、5、9、10、14および15の円柱部の位置に到達する光のポインティングベクトルの絶対値の等高線図である(TMモードの偏光について計算)。各等高線図の左上に記した数字は、円柱部の位置を示す。図6に示すいずれの位置の等高線図についても、入射方向に依存することなく、波数50cm-1付近にポインティングベクトルの低い領域があり、色の濃い帯状の領域として現れている。この結果から、このフォトニック結晶のモデルは、光の入射方向が変位しても、中心点(位置76)のみならず、より外側の位置においてもフォトニックバンドギャップの波長はほぼ変化しない、即ち、フォトニックバンドギャップの位置及び入射角度依存性がないことがわかった。
なお、その周期性から、位置4、5、9、10、14および15と等価な位置について、ポインティングベクトルを計算した場合も、上記と同様な結果が得られるものと推定できる。
【0021】
この計算結果から、屈折率の比較的低い(1.92)材料を用いた場合、即ち、フォトニック結晶内の屈折率差が小さく、幅広のフォトニックバンドギャップを形成できない態様でも、本発明のフォトニック結晶は、完全フォトニックバンドギャップの形成により、全伝搬方向の光を遮蔽可能であることがわかる。なお、上記計算では、効果が明らかとなるように、屈折率の比較的低い材料で円柱部が構成されたモデルを使用したが、円柱部を屈折率の高い材料により構成しても同様の結果が得られることはいうまでもない。また、上記モデルでは、ミリ波程度の電磁波について計算したが、可視光〜近赤外光を対象として計算しても同様な結果が得られることはいうまでもない。即ち、本実施形態のフォトニック結晶は、可視光〜近赤外光を対象とするフォトニック結晶とすることができることもいうまでもなく、その態様では、円柱部の配置を可視光〜近赤外光の波長程度の周期とすればよい。
【0022】
上記計算では、5回転対称性の配置を採用したが、5回以外の回転対称性を有する配列を採用してフォトニック結晶を構成することもできる。また、上記計算では、底面が円形の円柱部を配置した構造のフォトニック結晶を用いたが、底面が三角形、四角形、六角形等の多角形を有する多角柱を前記配列に配置してなるフォトニック結晶でも、同様な結果が得られるものと推定できる。
【0023】
上記実施の形態では、空気の場に空気以外の材料からな円柱部を配置した構成のフォトニック結晶を示したが、空気以外の屈折率の比較的高い材料からなる構造体に穴あけ加工を施し、該構造体中に複数の空気または他の材料(比較的屈折率の低い材料、例えばSiO2)からなる円柱部を形成することによっても、本発明のフォトニック結晶を作製することができる。Si、GaAs等の半導体は、屈折率が比較的高い材料であり、また微細加工技術が発達しているので、前記構造体の材料として好ましい。例えば、Y, Sugimoto et al., Journal of Applied Physics vol. 91, p. 922, (2002) の図4および図5には、半導体に三角格子状の穴あけ加工を施した例が記載されている。前記文献に用いられている技術により、半導体からなる構造体のx−y面を、図1〜図3に示した円座標として、図中「○」で示される位置に穴あけ加工を施すことによって、本発明のフォトニック結晶を作製することができる。微細な穴あけ加工技術を利用することにより、可視赤外領域の光に対するフォトニックバンドギャップが存在するフォトニック結晶を作製することができる。
【0024】
本発明の他の実施形態として、屈折率n1の材料(空気以外)と屈折率n2(n1≠n2)の材料(空気以外)とからなる構成単位を、円座標で定義される周期性をもって配置した構造のフォトニック結晶、具体的には、前記2種の材料(空気以外)からなる構成単位が、円座標系の任意の点を中心として一定の角度だけ回転した位置に繰り返し現れる構造を有する態様が挙げられる。本実施の実施形態は、構造中に空間を形成していないので、強度が高いという利点がある。前述の計算結果から明らかな様に、フォトニック結晶に、円座標で定義される周期性で屈折率が変化する構造を導入することにより、フォトニックバンドギャップの波長ズレが軽減される。従って、構造内の屈折率差を大きくするために、空間を形成する必要はなく、例えば、SiO2とTa2O5との組み合わせの様な、比較的屈折率差が小さい材料の組み合わせにより構成しても、全伝搬方向の光の遮蔽が可能である。
【0025】
本実施の形態のフォトニック結晶は、例えば、基板表面に円座標系で定義される2次元的周期性をもって配置された凹凸を形成する工程と、前記凹凸を有する基板表面にn1の屈折率を有する材料からなる層とn2の屈折率からなる層を積層する工程を含む作製方法によって作製することができる。可視光〜近赤外光を対象とするフォトニック結晶とする場合は、基板表面に形成する凹凸は微細構造であることが必要であり、かかる場合は、電子線リソグラフィーを利用して凹凸を形成するのが好ましい。3次元周期性をもって屈折率が変化する態様は、3次元周期性をもって屈折率が変化する構造にするには、例えば、表面に凹凸を有する基板上に、バイアススパッタ法等により多層膜(例えば、n1の屈折率を有する材料からなる膜とn2の屈折率からなる膜)とを積層することにより製造できる。
【0026】
本発明のフォトニック結晶は、電磁波の制御に利用することができ、光の進行方向を制御する光導波素子として好ましく利用できる。さらに、本発明のフォトニック結晶を利用した光導波素子は、例えば、3次元光回路、光学デバイス、発光デバイス等に利用することができる。本発明のフォトニック結晶は、完全フォトニックバンドギャップを形成するので、例えば、発光デバイスに利用した場合、発光効率を飛躍的に向上させることが期待される。
【0027】
次に、本発明のフォトニック結晶を光導波素子に適用した態様について説明する。
本発明の一態様は、本発明のフォトニック結晶と、前記フォトニック結晶の表面に形成された光の入力口および出力口と、前記フォトニック結晶の内部に形成された前記フォトニック結晶の周期性を不完全にする欠陥領域とを有し、前記欠陥領域が、前記フォトニック結晶のフォトニックバンドギャップにより伝搬不可能な光を、前記入力口から前記出力口へと導く光導波路路として機能する光導波素子である。
【0028】
本発明の光導波素子は、フォトニック結晶のフォトニックバンドギャップの存在により、フォトニック結晶内部に形成された欠陥領域に入射光を閉じ込め、欠陥領域に沿って閉じ込められた光を伝播する光導波路として動作する。本発明の光導波素子では、フォトニック結晶のフォトニックバンドギャップの存在による光の閉じ込めを利用しているので、放射等による光の損失が小さい。さらに、本発明では、円座標系によって定義される周期性を持って屈折率が変化するフォトニック結晶を利用しているので、内部に欠陥領域を形成する際に、欠陥領域の形状状の制限を軽減することができ、多様な形状の欠陥領域を形成することができる。従って、光を所望の方向に伝搬する欠陥領域を容易に形成することができ、光回路に適用した場合に、光回路の設計上の自由度の幅を広げることができる。
【0029】
本発明の光導波素子の一実施形態は、屈折率n1の第1の材料と屈折率n2(n1≠n2)の第2の材料とからなる構造単位が、円座標系の任意の点を中心として一定の角度だけ回転した位置に繰り返し現れる回転対称性の2次元周期性を有するフォトニック結晶を利用した光導波素子である。本実施形態の一例として、図7に示すx−y平面(z方向には無限大と仮定する)において、回転対称性の周期性を有するフォトニック結晶を利用した光導波素子について説明する。(x,y,z)空間(屈折率n1=1)のx−y平面の、図7中「○」で示す位置に屈折率n2(n2≠1)の材料からなる複数の円柱部(z方向は無限大と仮定)を配置した構造体には、前述の計算結果および後述の実施例により証明されるように、x−y平面内における5回回転対称性の周期構造に基づくフォトニックバンドギャップが存在する。
【0030】
図7に示す回転対称性を示すフォトニック結晶の内部に、その周期性を不完全にする欠陥領域を形成することによって、光導波素子とすることができる。例えば、光の入力口と出力口とを円周上の任意の点とし、この2点を円の中心を介して繋げる領域から円柱部を完全に除去して、欠陥領域(例えば、図8中「○」が配置されていない空間であって、z方向には無限の空間)を形成することによって、前記欠陥領域が欠陥型導波路となる光導波素子を作製することができる。また、光の入力口と出力口とを円周上の任意の点とし、この2点を円の中心を介して繋げる領域から円柱部を一部除去して、欠陥領域(例えば、図12中「○」が一個おき部配置されていない空間であって、z方向には無限の空間)を形成することによって、前記欠陥領域が共振器結合型導波路となる光導波素子を作製することもできる。従来の三角格子または四角格子の2次元周期性を有するフォトニック結晶を利用した光導波素子では、フォトニック結晶の周期性に起因して、線状欠陥を60度、120度または90度で交差させることしかできなかったが、本発明の光導波素子では、欠陥領域の屈曲部の角度の選択の幅を広げることができる。2次元の回転対称性を示すフォトニック結晶では、円周上の任意の点を光の入力口および出力口とし、これらを円の中心を介して繋いだ欠陥領域を形成することができ、n回回転対称のnに応じて、任意の角度で光の伝搬方向を曲げることができる。
【0031】
図8〜図10に、図7のフォトニック結晶の円周上の任意の点を光の入力口および出力口とし、回転対称軸に沿って欠陥領域を形成した態様を示す。
図8に示す光導波素子は、2つの5回転対称軸と円周との交点を、光の入力口SL0および出力口SL2とし、点SL0と点SL2とを円の中心SL1を介して繋いだ欠陥領域を形成した態様である。光は、点SL0から入力され、欠陥領域に閉じ込められて、欠陥領域に沿って伝播し、点SL2に達する。図8に示す周期構造の光導波素子によって、光の損失を抑制しつつ、進行方向を約144度曲げることができる。その他、欠陥領域を形成する5回転対称軸の組み合わせを代えることによって、光の伝搬方向を約72度曲げる光導波素子とすることもできる。
【0032】
図9に示す光導波素子は、出力口を円周上の2点SL2およびSL4とし、これらと入力口SL0とを円の中心SL1を介してそれぞれ繋いだ欠陥領域を形成した態様である。この光導波素子は、光の伝搬方向が分岐する分岐部を有する。図9では、SL0から入力された光が欠陥領域に沿って伝播し、SL1まで達すると、左右に約36度ずつ、合計で72度に分岐し、SL2およびSL4に達する。図10に示す光導波素子は、5本の5回転軸上に位置する円柱部を除去して、欠陥領域を形成した態様である。この光導波素子では、点SL0から入力された光は、欠陥領域に沿って伝搬し、円の中心SL1まで達すると、欠陥領域に沿って四方向へ分岐し、SL2〜SL5にそれぞれ達する。
【0033】
さらに、2次元の回転対称性を示すフォトニック結晶では、図11に示す様に、曲線からなる円周部と直線からなる2つの半径部とで囲まれた扇形の場に形成されたフォトニック結晶を利用して光導波素子を形成することもできる。このフォトニック結晶を利用すると、上記屈曲部および分岐部を有する光導波素子とすることができるのみならず、光の進行方向を円弧状に曲げる光導波素子とすることができる。例えば、図11に示す様に、光の入力口SL0と出力口SL2とをそれぞれの半径部に形成し、SL0とSL2とを円弧状に繋いだ欠陥領域を形成することによって、光の進行方向を円弧状に曲げる光導波素子とすることができる。
【0034】
図8〜図11では、欠陥型導波路を有する光導波素子の態様を示したが、本発明の光導波素子は前記態様に限定されるものではなく、共振器結合型導波路を有する態様を含むものである。図12に示す光導波素子は、図7のフォトニック結晶に欠陥領域を形成する際に、図8のようにSL0〜SL2に至る領域にある円柱部を全て除去するのではなく、円柱部を一つおきに除去することで形成した欠陥領域を有し、該欠陥領域が共振器型結合導波路となる態様である。
【0035】
図7のフォトニック結晶に、図8に示す欠陥領域を形成し、図中SL2の位置における透過スペクトルを以下の如く計算し、光導波素子として動作することを確認した。
図7中、円「○」で示した位置に、屈折率1.92(誘電率3.7)の材料からなる円柱部を、5回対称軸上の2個の円柱部の中心間距離D=85μmで配置してなる構造体を計算モデルとして、内部の電界強度を計算により求めた。円柱部の底面の半径は22μm、円柱部の高さは無限大とした。図13にその結果を示す。図13は、横軸を光の波数および縦軸を光の強度として、計算結果を示したグラフである。図13に示す計算結果から、図7の構造体には、50cm-1を中心とするフォトニックバンドギャップが存在する。
【0036】
次に、図7に示す構造体から複数の円柱部を除去し、内部に欠陥領域を形成した図8に示す構造体を計算モデルとして、SL2における透過スペクトルを計算した。具体的には、図7に示す5回回転対称性の配置から、2つの5回対称軸上に位置する円柱部を合計で19本除去して、欠陥領域を形成した。また、SL0からミリ波(波数0〜200cm-1)に相当する光を照射したと仮定し、SL2の位置に到達する光の透過スペクトルを計算により求めた。
計算結果を図14に示す。図14は、横軸を光の波数および縦軸を光透過率として、計算結果を示したグラフである。図14には、図13では光強度が0であった52cm-1近傍に、光透過率のピークが存在する。この計算結果から、図8の構造体には、透過モードが存在することが明らかになった。図13に示した様に、図7の構造体にはフォトニックバンドギャップが存在し、40〜80cm-1の電磁波は構造体の内部を透過することができない。しかし、図8の欠陥領域を形成されたモデルでは、52cm-1近傍の電磁波が欠陥領域を伝搬可能であること、即ち、図8に示す構造体は、光導波素子として動作することが計算により証明された。
【0037】
さらに、図15に、52cm-1近傍の電磁波の透過モードの結晶内強度分布を計算した結果を示す。強度分布の強度は、図中の濃淡(実際には色)で示されていて、グラフの下に記したスケールから分るように、色の濃い(実際には赤い)部分が最も強度が高いことを示す。図15に示した強度分布の計算結果から、52cm-1近傍の電磁波が、欠陥領域である光導波路に沿って伝播する様子が示された。
【0038】
次に、図7に示す構造体から複数の円柱部を除去し、分岐した欠陥領域を形成した図9に示す構造体を計算モデルとして、SL2における透過スペクトルを計算した。具体的には、図7に示す5回回転対称性の配置から、3つの5回対称軸上に位置する円柱部を合計で28本除去して、欠陥領域を形成した。また、SL0からミリ波(波数0〜200cm-1)に相当する光を照射したと仮定し、SL2の位置に到達する光の透過スペクトルを計算により求めた。結果を図16に示す。さらに、その透過モードの結晶内強度分布を計算した結果を図17に示す。図14に示した計算結果と同様に、図16には52cm-1近傍に透過モードが存在した。この透過モードの結晶内強度分布を示す図17により、SL0から入力された電磁波が等分に分岐されてSL2とSL4に達する様子が示された。
【0039】
なお、説明の便宜上、上記実施の形態では、本発明のフォトニック結晶を欠陥導波路に利用した態様を説明したが、本発明のフォトニック結晶を共振器結合型導波路に利用することもできる。
【0040】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。
【0041】
図18に示す構造体を作製した。図18に示す構造体は、空気(屈折率1.0)と複数のアクリル棒(屈折率1.61)からなり、x−y面内においてのみ5回回転対称性の2次元周期性を有する構造体であり、z方向には無限大の形状であると仮定できる。具体的には、下記式を満たす(x,y)座標に、半径3mm、長さ300mmのアクリル棒を700本配置することによって作製した。
x=R×sin{(360×n)/5N}
y=R×cos{(360×n)/5N}
式中、Rは半径であり、アクリル棒の間隔×Nで示される。実際には12mmとした。Nは同心円の数に相当し、0〜20の整数である。nは同一半径(R)にあるロッドの番号(1〜5N番)である。
【0042】
この構造体について、内部の電界強度を測定した。測定方法の概略を図19に示す。ネットワークアナライザー(HP8510C)から発生した電磁波を、フォーンアンテナから出射させ、レンズを介して構造体に照射して、構造体内部の電界強度をプローブアンテナにより検出した。この実験系で観測された電界強度のスペクトルを図20に示す。図20は、縦軸を電界強度および横軸を周波数として、観測結果を示したグラフである。グラフ中には2回の測定結果を重ねて示した。図20に示した結果より、この構造体の内部では、12ギガヘルツを中心に電界強度が顕著に減少していることがわかった。即ち、図18の構造体は、フォトニックバンドギャップが存在するフォトニック結晶であることがわかった。
【0043】
上記の実験系で得られた結果と計算結果とが一致することを確認するため、図18に示すフォトニック結晶を計算モデルとして、図4に示した計算結果を導き出したのと同一の手法により、フォトニック結晶内部の様々な位置における入射光の強度を計算した。但し、図4に示す結果を導き出した計算では、円柱部の屈折率を1.92、円柱部の半径を11μm、円柱間距離を85μmとしたが、この計算では、上記の実験系で得られた結果と対応させるため、円柱部の屈折率を1.61、円柱部の半径を3mm、円柱間距離を12mmとして計算した。計算結果を図21に示す。また、観測位置についてもグラフの下部に併せて示した。この計算結果でも、やはり12ギガヘルツを中心に電界強度の顕著な減少が見られる。
【0044】
さらに、図18に示す構造体について、入射光の方向を変化させて、フォトニックバンドギャップの方向依存性を実際に測定した。結果を図22に示す。図22は、入射方向を0〜90°に変化させた場合に、強度が−10dB未満となった、即ちフォトニックバンドギャップが存在する周波数の範囲を示したグラフである。図22に示す実験結果から明らかな様に、図7に示す構造体は、光の入射角度が変化しても、フォトニックバンドギャップの周波数はほぼ同一であった。この実験結果は、図5に示す計算結果と整合している。
【0045】
これらの実験結果から、図18に示す構造体には、フォトニックバンドギャップが存在し、さらにフォトニックバンドギャップの方向依存性が改善されていることがわかった。また、これらの実験結果は前述の計算結果と一致しており、本発明のフォトニック結晶について、フォトニックバンドギャップの存在およびフォトニックバンドギャップの方向依存性が改善されていることが計算により証明されれば、実験においても同様な結果が得られることが示唆された。
【0046】
なお、実施例で作製したフォトニック結晶は、ミリ波程度の光に対してバンドギャップを示すものであるが、主に実用されるのは、赤外可視域の波長の光に対してフォトニックバンドギャップを示すフォトニック結晶である。赤外可視領域の光に対応したフォトニック結晶は、前述の半導体に穴あけ加工を施して、半導体の内部に空気からなる円柱部を2次元回転対称性を有する位置に複数形成することで作製できる。その様にして作製されたフォトニック結晶は、本実施例で証明されたのと同様に、良好な性質を示すものと推定できる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、全伝搬方向の光を遮蔽可能な、完全フォトニックバンドギャップを形成する新規なフォトニック結晶を提供することができる。また、本発明によれば、フォトニックバンドギャップの方向依存性が改善された新規なフォトニック結晶を提供することができる。さらに本発明によれば、構成材料の選択および作製上の制約を軽減し得る新規なフォトニック結晶を提供することができる。また、本発明によれば、光損失が小さく、且つ光の進路を曲げる方向の制限が軽減された光導波素子を提供することができる。さらに、本発明によれば、光回路に適用した場合に、光回路の設計上の自由度の幅をより広げることが可能な光導波素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に適用可能な円座標系で定義される対象性の配置例である。
【図2】 本発明に適用可能な円座標系で定義される対象性の配置例である。
【図3】 本発明に係わるフォトニック結晶のモデルを示す概略図である。
【図4】 本発明に係わるフォトニック結晶のモデルについて、入射光の強度を計算した結果を示すグラフである。
【図5】 本発明に係わるフォトニック結晶のモデルについて、入射光の特定の位置におけるポインティングベクトルの絶対値を計算した結果を示す等高線図である。
【図6】 本発明に係わるフォトニック結晶のモデルについて、入射光の特定の位置におけるポインティングベクトルの絶対値を計算した結果を示す等高線図である。
【図7】 本発明に係わるフォトニック結晶の一例の対称性を示す概略図である。
【図8】 本発明に係わる光導波素子の一例の対称性および欠陥領域を示す概略図である。
【図9】 本発明に係わる光導波素子の他の例の対称性および欠陥領域を示す概略図である。
【図10】 本発明に係わる光導波素子の他の例の対称性および欠陥領域を示す概略図である。
【図11】 本発明に係わる光導波素子の他の例の対称性および欠陥領域を示す概略図である。
【図12】 本発明に係わる光導波素子の他の例の対称性および欠陥領域を示す概略図である。
【図13】 本発明に係わるフォトニック結晶のモデルについて電界強度を計算した結果を示すグラフである。
【図14】 本発明に係わる光導波素子のモデルについて、電界強度を計算した結果を示すグラフである。
【図15】 本発明に係わる光導波素子のモデルについて、結晶内強度分布を計算した結果を示すグラフである。
【図16】 本発明に係わる光導波素子の他のモデルについて、電界強度を計算した結果を示すグラフである。
【図17】 本発明に係わる光導波素子の他のモデルについて、結晶内強度分布を計算した結果を示すグラフである。
【図18】 実施例で作製したフォトニック結晶の写真である。
【図19】 実施例で用いたフォトニック結晶内部の電界強度の測定方法を概略的に示す模式図である。
【図20】 実施例で作製したフォトニック結晶について実際に測定した電界強度のスペクトル図である。
【図21】 実施例で作製したフォトニック結晶に対応する計算モデルについて電界強度を計算した結果を示すグラフである。
【図22】 実施例で作製したフォトニック結晶について実際に測定したニックバンドギャップの方向依存性を示すグラフである。
Claims (9)
- 円座標系で定義される非並進対称性の2次元周期性であって、半径方向の長さ及び円周方向の角度で特定される周期性、をもって屈折率が変化する構造を有することを特徴とするフォトニック結晶。
- 円座標系で定義される周期性をもって屈折率がn1とn2(n1≠n2)の2値に変化する構造を有することを特徴とする請求項1に記載のフォトニック結晶。
- 前記周期性が回転対称性を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のフォトニック結晶。
- 屈折率n1の第1の材料と屈折率n2(n1≠n2)の第2の材料とからなる構造単位が、円座標系の任意の点を中心として一定の角度だけ回転した位置に繰り返し現れる構造を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフォトニック結晶。
- 空間に空気と異なる屈折率を有する領域を円座標系で定義される周期性をもって配置してなる請求項1〜4のいずれか1項に記載のフォトニック結晶。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のフォトニック結晶と、前記フォトニック結晶の表面に形成された光の入力口および出力口と、前記フォトニック結晶の内部に形成された前記フォトニック結晶の周期性を不完全にする欠陥領域とを有し、前記欠陥領域が、前記フォトニック結晶のフォトニックバンドギャップにより伝搬不可能な光を、前記入力口から前記出力口へと導く光導波路路として機能する光導波素子。
- 屈折率n1の第1の材料と屈折率n2(n1≠n2)の第2の材料とからなる構造単位が、円座標系で定義される半径方向の長さと円周方向の角度で定義される2次元周期性であって、円座標系の任意の点を中心として一定の角度だけ回転した位置に繰り返し現れる回転対称性で且つ非並進対称性の2次元周期性、を有するフォトニック結晶と、前記フォトニック結晶の表面に形成された光の入力口および出力口と、前記フォトニック結晶の内部に形成された前記2次元周期性を不完全にする欠陥領域とを有し、前記欠陥領域が、前記フォトニック結晶のフォトニックバンドギャップにより伝搬不可能な光を、前記入力口から前記出力口へと導く光導波路として機能する光導波素子。
- 前記欠陥領域が、光の伝搬方向を曲げる屈曲部を1以上有する請求項6または7に記載の光導波素子。
- 前記欠陥領域が、光の伝搬方向を円弧状に曲げる領域を1以上有する請求項6〜8のいずれか1項に記載の光導波素子。
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