JP3743522B2 - 帯状感光性材料搬送ローラ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は感光性材料の製造工程において、連続的に帯状感光性材料を搬送する際に使用する搬送ローラに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、感光性材料は、送出→感光性材料塗布→乾燥→巻取のように、帯状感光性材料(以下ウエブと記す)を連続的に搬送しながら製造されている。これらの工程間にはウエブ搬送用のローラが配置され、連続的にウエブが搬送されていく。
【0003】
ところで、感光性材料はその製品の特性上、表面に皺や傷が有るとその製品価値を著しく損なわれる。
皺を防止する手段としては、ウエブ張力を低くしたり、ローラの表面をポリテトラフルオロエチレン(商品名テフロン)等の摩擦係数が低い材質にしたり、ウエブがローラを抱いている角度を小さくしたりする等、ローラの表面とウエブの表面との摩擦力を小さくする事が一般的である。
【0004】
ウエブの張力は通常10〜100kg/mにコントロールされており、ローラの表面にポリテトラフルオロエチレン(商品名テフロン)等の摩擦係数の低い材質を用いる場合は、全体又は一部をポリテトラフルオロエチレン(商品名テフロン)やナイロン、ポリエチレン等の樹脂で被覆することにより、搬送する支持体に対しての静摩擦係数及び動摩擦係数を0.2〜0.8になるようにコントロールしている。また、表面に0.05〜2.0mm深さの溝を設けたり、サンドブラスト加工等の処理により、2〜15μmの粗さを持たせることもある。
【0005】
ウエブがローラを抱いている角度は、一般的には60〜120°であるが、皺が発生しやすい場合には、10〜60°と小さい方が好ましいとされている。
更に、皺を防止する手段として、ローラの直径を大きくしたり、ローラシェルの肉厚を厚くしたり、材質を鉄などのヤング率の高いものを使用したりすることにより、ローラの撓みを小さくすることが知られている。
【0006】
撓みは使用されるテンション条件にて2mm以下が好ましく、更に好ましくは、1mm以下が良いとされている。
また、ローラを配置する間隔についても皺防止のために3m以下が好ましいとされ、更に好ましくは、1.5m以下が良いとされている。これは、ウエブ搬送用のローラだけでなく、サクションローラやニップローラなどの駆動ローラにおいても同様である。
【0007】
一方、摩擦力を小さくすることによりウエブの速度が加減速する場合には、ウエブとローラの表面との間に速度差が生じ、ウエブの表面に擦り傷を作ってしまう問題がある。また、高速域においては、ウエブとローラ間に空気が巻き込まれるため、接触面積が減少し、更にウエブ表面に擦り傷が発生しやすくなる。
擦り傷を防止する手段としては、ローラを駆動してウエブの速度に追従させることが最も良いが、設備費が膨大に必要となる問題がある。しかし、ローラの慣性モーメントが0.5kgm2 以上の場合や巻取インデックスローラのように、静止したローラがウエブに接触する場合には、ローラを駆動する必要がある。このため、ローラの表面形状を工夫し、高速域での空気巻き込みを防止する方法について従来研究されてきた。
【0008】
特開平3−124656号公報記載の発明では、ローラの表面に多数の凹みを設けることにより、前記問題を解決しているが、この方法では擦り傷を発生しにくくすることはできるが、ウエブとローラ表面との摩擦力が高くなってしまうため、前記の皺が発生しやすくなるという問題がある。
また、ローラの表面に多数の溝を設けて溝ピッチを小さくする方法や、サンドブラスト加工により表面に凹凸を設けたローラについても同様の問題がある。
【0009】
前記ローラの表面に多数の溝を設けて溝ピッチを小さくする方法は、ウエブに跡が付きにくいように滑らかな加工をし、擦り傷を防止するために溝幅を広くし、更に溝ピッチを小さくすることが有効とされている。(通常、溝深さ0.05〜2.0mm、溝幅0.5〜10mm、溝ピッチ1〜30mm)
また、前記サンドブラスト加工では、ローラの表面が2〜15μmの粗さに仕上げられている。
【0010】
このように、ウエブ搬送ローラを小径化して慣性モーメントを小さくすることは、擦り傷対策としては有効であるが、前記のように撓みが発生しやすくなるため、皺が発生しやすくなる問題がある。
また、不透明な感光材料(印画紙等)の場合、乳剤塗布面に対し反対側の面では擦り傷が問題になりにくいため、ダンサーローラ、駆動ローラ(サクションローラ、ニップローラ等)、巻取インデックスローラは、乳剤塗布面の反対側の面に接触するように設計する方法が取られている。
【0011】
このような観点から、皺及び擦り傷の両方の発生を防止する方法として、特開平4−159954号公報、特開平4−66462号公報に開示されたものがある。
前記特開平4−159954号公報の方法は、エキスパンダーローラを使用して駆動系を設け、ウエブ搬送路を略S字状に形成することにより、皺及び擦り傷の発生を防止している。
【0012】
一方、前記特開平4−66462号公報記載の方法は、ローラに螺旋状突条を設けることにより、皺及び擦り傷の発生を防止ている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平4−159954号公報に記載された方法は、設備費が膨大にかかり、また、エキスパンダーローラの特性上、ウエブの進行方向をローラを介して180°変換することは不可能である等その使用場所、方法が限定される問題がある。また、特開平4−66462号公報に記載された方法では、皺防止効果は有るものの、ローラの加工が複雑なため、加工費が高くなり、また、感光性材料ではこの螺旋状突条の跡が製品の価値を著しく損なう問題がある。
【0014】
本発明はこのような事情を鑑みてなされたもので、皺を防止し、且つ、エアー巻き込みを防止する安価なローラを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成する為に、帯状感光性材料を空気の巻き込みが発生する10m/分以上の搬送速度及び10〜100kg/mの搬送張力で搬送する搬送ローラにおいて、前記帯状感光性材料の搬送ローラは、前記搬送ローラ表面に前記空気の巻き込みを防止するための凸凹処理が施されていることにより前記帯状感光性材料走行方向の擦り傷を防止すると共に、前記搬送ローラ直径が軸方向の中央部に対し両端部が5.00%を超えないように前記中央部から前記両端部に向かって連続的又は段階的に大きくなるように形成することで前記帯状感光性材料幅方向の擦り傷を防止しながら皺の発生を防止することを特徴とする。
【0016】
【作用】
本発明によれば、ウエブ搬送ローラは、その直径がローラの軸方向の中央部から両端部に向かって連続的又は段階的に大きくなるように形成されているため、ウエブを搬送する際に、ウエブをローラの軸方向に広げる力を発生させることができる。
【0017】
通常、ウエブの皺は、各ローラ間で軸方向に圧縮されたウエブがローラ上で広がることができずに変形することにより発生する。本発明のウエブ搬送ローラは、ウエブをローラの軸方向に広げる力を発生させるため、皺の発生を抑制することが可能となる。
また、ローラの表面の形状はガラスビーズ、サンドブラスト処理、溝加工、又はポリテトラフルオロエチレン(商品名テフロン)等の樹脂コーティング等の制限がないため、従来から行われている空気の巻き込みを防止する方法(ガラスビーズ、サンドブラスト処理、溝加工、ミル加工)の使用が可能である。従って、本発明のウエブ搬送ローラでは、ウエブの速度への追従性が駆動系を設けることなく良好であり、擦り傷等の異常を発生させないウエブの搬送が可能である。
【0018】
擦り傷については、ローラの周速が中央部と両端部では異なるため、伸縮性の大きいウエブでは問題ないが、伸縮性の小さいウエブでは擦り傷を発生させる危険がある。特に、感光性材料のように擦り傷によりその製品価値を著しく損なうものについては、ローラの直径がローラの軸方向の中央部に対しウエブ走行両端が0.05〜5.00%大きくなるようにローラを形成することが好ましい。更に、中央部に対し両端部の1部だけが大きくなっていると擦り傷が発生しやすいが、連続的あるいは段階的に大きくなっているとローラ上でウエブが伸縮し、擦り傷が発生しにくい。
【0019】
また、感光性材料は、鉄やニッケルの腐食物(酸化物)に接触すると変色や乳剤塗布後の塗布ムラを発生しやすいため、本発明のウエブ搬送ローラはハードクロム又は、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン(商品名テフロン)、ポリエチレン等の非腐食性物質で形成されていることが好ましい。
【0020】
【実施例1】
実施例1に適用されるローラを図1に示す。このローラ10は、直径(D)が100mmで、面長(L)が1500mmのローラをNC加工によりその表面12を円弧状に形成し、ローラの中央部14より両端部16、16が0.4mm(ローラB)、1.2mm(ローラC)、6.0mm(ローラD)大きくなるように加工した。また、このローラ10と比較するために、表面がストレートに形成されたローラA(図示せず)を制作し、全部で4種類のローラA、B、C、Dを制作した。そして、それぞれのローラA、B、C、Dには、ガラスビーズ吹き付けにより表面に凹凸を持たせてエアー巻き込みを防止し、ハードクロムメッキを施すことにより、ウエブの変色を防止した。
【0021】
紙(坪量:70g/m2 、巾1000mm)にポリエチレンを被覆する写真印画紙製造ラインに前記ローラA、B、C、Dを配置し、前記印画紙であるウエブ18をローラ10に180°で抱かせて搬送する。そして、ライン速度を3段階(10、50、100mm/min.)に変化させて、テンションを20kg/巾ずつ上げて搬送し、ウエブ18に皺が発生するテンションを確認した。
【0022】
その結果、表1に示すように、本実施例のローラA、B、C、Dでは、皺が発生するテンションが高く、皺を防止する効果が高いことが分かった。また、本実施例中にライン速度を0.17m/sec2 の加減速度で変化させたが、各パスローラともウエブ速度への追従性は良好(速度差1m/min.以内)であったが、ローラDではローラ中央部との両端部の直径差が大きすぎるため、ウエブに擦り傷が発生していた。
【0023】
【表1】
Figure 0003743522
【0024】
【実施例2】
図2に示すように、ウレタンゴム20で被覆されたサクションドラム22の直前ローラ24として、直径が150mmで、ローラの軸方向の中央部に対して両端が0.4mm大きいローラ(図示せず、但しその他加工条件は実施例1と同じ)を用いて、ライン速度150m/min.で実施例1で使用したものと同様のウエブ18を搬送した。
【0025】
サクションドラム22の直前ローラ24の抱き角度は90°であり、サクションドラム22のサクション圧力は−500mmaq.である。サクションドラム22の吸引穴直径は4mmであり、穴ピッチは10mmであり、ウレタンゴム20のゴム硬度は90°である。
テンションを10kgずつ上げていったところ、ローラ24として直径が一定でストレート形状のストレートローラを用いた場合50kgで皺が発生するが、上記の本実施例のローラ24では60kgでも皺は発生しなかった。
【0026】
更に、サクションドラム22上で発生する皺についてもストレートローラを用いた場合では40kgで発生したが、上記本実施例のローラを使用すると直前のローラ24を変えただけで60kgでも皺発生せず、サクションドラム22の直前ローラ24としても皺防止効果があることが確認された。
本実施例では、ローラ10の表面12が円弧状に形成されたローラ10を用いて説明したが、これに限定されるものではなく、直径が軸方向の中心部14から両端部16、16に向かって連続的又は段階的に大きく成るように形成されていればよく、例えば、図3、図4に示す態様のローラがある。図3のローラ10は、表面12が中央部14から両端部16、16に向かって直線的に傾斜しているローラ10。図4のローラ10は、中央部14に平坦部があり、その平坦部の両端からローラ10の両端部16、16に向かって直線的に傾斜しているローラ10。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るウエブ搬送ローラによれば、ウエブの搬送時に、ウエブをローラの軸方向に広げる力が発生するため、皺の発生を抑制することができる。また、ローラの表面形状に制限がないため、従来から行われている空気の巻き込みを防止する方法の使用ができる。また、ウエブの速度への追従性が駆動系を設けることなく良好であり、擦り傷等の発生を防止することができる。また、ローラの加工が容易なため加工費が安く済むとともに、駆動系を設ける必要がないので設備費も削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明ローラの一例の正面図。
【図2】本発明ローラを使用している状況を示す側面図。
【図3】本発明ローラの他の例の正面図。
【図4】本発明ローラの他の例の正面図。
【符号の説明】
10…ローラ
12…ローラ表面
18…ウエブ
22…サクションドラム
24…直前ローラ
28…ストレートローラ

Claims (3)

  1. 帯状感光性材料を空気の巻き込みが発生する10m/分以上の搬送速度及び10〜100kg/mの搬送張力で搬送する搬送ローラにおいて、
    前記帯状感光性材料の搬送ローラは、前記搬送ローラ表面に前記空気の巻き込みを防止するための凸凹処理が施されていることにより前記帯状感光性材料走行方向の擦り傷を防止すると共に、前記搬送ローラ直径が軸方向の中央部に対し両端部が5.00%を超えないように前記中央部から前記両端部に向かって連続的又は段階的に大きくなるように形成することで前記帯状感光性材料幅方向の擦り傷を防止しながら皺の発生を防止することを特徴とする帯状感光性材料搬送ローラ。
  2. 前記ローラは、表面の材質がハードクロム、又はナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、又はポリエチレン等の非腐食性材質で形成されていることを特徴とする請求項1記載の帯状感光性材料搬送ローラ。
  3. 前記帯状感光性材料は、写真印画紙材料であることを特徴とする請求項1又は2記載の帯状感光性材料搬送ローラ。
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