JP3743228B2 - 局部洗浄装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、局部洗浄に際して洗浄水を温水化し局部を洗浄する局部洗浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の局部洗浄装置では、洗浄水の温水化に、貯湯式熱交換器か瞬間式熱交換器のいずれかが用いられている。前者のものでは、比較的長時間の出湯に有利である反面、貯湯部分からの放熱によるエネルギーロスが大きくランニングコストがかかるという欠点がる。後者のものは、貯湯式のこうした欠点を解消或いは低減できることから、次第に普及しつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般家庭でトイレ室内に配分されるのはせいぜい10ないし15アンペア程度であるという制約があるので、瞬間式熱交換器では、局部洗浄当初から使用者の所望する温度まで洗浄水を温水化できないことがあった。また、局部洗浄装置では、着座から洗浄終了までの間に種々の動作を行うが、ヒータの制御に際しては、ただ単に洗浄水を所定温度にすることしか配慮されていなかった。
【0004】
また、瞬間式熱交換器では、その小型化の要請により、熱交換部における洗浄水容積は小容量化される傾向がある。このように小容積化したものでは、何らかの原因でヒータの過熱状況が起きたりすると、熱交換部容器内で部分的に発熱過剰となるいわゆる熱だまりを招いたりすることがある。この熱だまりが起きると、ヒータの劣化を早める等の不具合が起き得る。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、瞬間式熱交換器を用いた局部洗浄装置において洗浄水の速やかな温水化を図ることや、ヒータ過熱に対する適切な対処の方策を採ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
かかる課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の第1の局部洗浄装置は、
局部洗浄に際して洗浄水を温水化し局部を洗浄する局部洗浄装置であって、
局部洗浄に関与する機能部品の動作モードを順を追って実行する手段と、
該動作モードに応じて洗浄水の温水制御手法を変更し、各動作モードごとの温水制御手法を実行して洗浄水を温水化する手段と、
前記温水制御手法で温水化された洗浄水の温度条件と、該温水制御手法を実行してからの経過時間条件のいずれかが成立したときに、前記動作モードを次の動作モードに切り換える手段と、
前記温度条件が成立すると、それまでの前記温水制御手法の実行を停止し、前記次動作モードに応じた温水制御手法に切り換える手段とを有し、
前記温度条件が成立したときに温水制御手法の実行が停止される動作モードは、使用者が便座に着座した時点の着座時動作モードと、着座した使用者が局部洗浄の開始操作を実行した時点の洗浄開始時動作モードとされ、
前記着座時動作モードと前記洗浄開始時動作モードでは前記温度条件が異なるものとされており、前記着座時動作モードの前記温度条件の方が、洗浄水温度が低い状況で成立する条件とされている
ことを特徴とする。
【0007】
上記構成を有する本発明の第1の局部洗浄装置では、局部洗浄に際して、各動作モードが順を追って実行されると、各動作モードごとの温水制御手法を実行して洗浄水を温水化する。よって、洗浄水の昇温を他の動作モードより急速に行う必要がある動作モード、例えば、吐水ノズルからの洗浄水吐水を行う洗浄開始時の動作モードでは、速やかの昇温を図ることのできる温水制御手法で、その動作モードにおいて洗浄水を昇温できる。また、着座時のように、その後に洗浄が開始されると予想される時の動作モードでは、それまでは通常洗浄水は冷水であるのでより速やかに昇温を図ることのできる温水制御手法で、着座時の動作モードにおいて洗浄水を温水化できる。よって、着座してから比較的早い時間で洗浄が開始されても、早期のうちに温水化しておいた洗浄水を開始当初から吐水できる。更に、着座から洗浄開始までが比較的長い時間となれば、着座時の動作モードに続く動作モードにおいて、それまでの速やかの昇温のための温水制御手法から洗浄水保温を図ることができる温度制御手法に変更し、その動作モードにおいて洗浄水の保温を図るようなこともできる。このように、動作モードに応じた温水制御手法を採択して実行するので、洗浄水を速やかに温水化してその洗浄水で局部洗浄を図ることができる。
【0009】
また、経過時間条件によりある動作モードが次の動作モードに切り換わっても、温度条件が成立しないうちは、次の動作モードの温度制御手法に切り換わらないので、次の利点がある。例えば、着座時動作モードにおいて経過時間条件により、洗浄開始操作前までの動作モード(保温モードや洗浄待機モード)に切り換わった場合、温度条件が成立するまでは、それまでの着座時動作モードの温度制御手法を継続して、その間に洗浄水を速やかに昇温させることができる。つまり、冬季や寒冷地では着座時のみならず着座の後も引き続き消音できるので、その後の洗浄開始時の温水化を効率よく行うことができる。
【0010】
また、洗浄開始時の動作モードから実際に洗浄水を吐水して洗浄を行う動作モード(洗浄モード)に切り換わった場合は、次のようになる。洗浄開始操作がなされてから即座に洗浄水吐水が行われるのではなく、洗浄水吐水前には、ノズルを所定の洗浄位置まで移動させておくことが必要である。よって、経過条件成立により、洗浄開始時の動作モードから局部洗浄のための洗浄動作モードに切り換わることで、ノズル移動を開始でき、その間に洗浄開始時の動作モードの温水化手法(洗浄水昇温を早期に図る手法)で温水化する。このため、ノズル移動完了前に、確実に洗浄水を温水化させておくことができる。
【0011】
更に、前記着座時動作モードと前記洗浄開始時動作モードでは前記温度条件が異なるものとし、前記着座時動作モードの前記温度条件の方が、洗浄水温度が低い状況で成立する条件とするようにしたので、着座後に時間をおいて洗浄開始操作がされたような場合には、早期昇温を図るための着座時の温水制御手法から、保温を図るだけで大きな電力を要しない保温モードでの温水制御手法に早めに切り換えることができ、省エネルギーの観点から有益である。
【0012】
また、かかる課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の第2の局部洗浄装置は、
洗浄水を温水化して局部に吐水する局部洗浄装置であって、
待機位置から洗浄位置に移動して、局部に向けて洗浄水を吐水する吐水部と、
給水源から前記吐水部への給水を制御する給水制御手段と、
前記吐水部に至る給水経路中にヒータを備え、該ヒータにより洗浄水を瞬間加熱する熱交換装置と、
前記吐水部から吐水される洗浄水の温度が設定温度に近似した温度となるように、前記ヒータへの通電を制御する通電制御手段と、
前記ヒータの配設箇所より下流の洗浄水経路において洗浄水温度を検出する第1温度検出手段と、
該第1温度検出手段の下流に設けられ、洗浄水の流入により洗浄水の撹拌を起こし得る撹拌経路部と、
該撹拌経路部から流出した洗浄水温度を検出する第2温度検出手段と、
局部洗浄を使用者が所望する際に操作され、その操作により、使用者の局部洗浄意図を検知する第1検知手段と、
前記局部洗浄意図を、前記第1検知手段の操作に先立ち事前に検知する第2検知手段とを備え、
前記通電制御手段は、
前記第2検知手段が前記局部洗浄意図を事前に検知すると、洗浄水温度が前記設定温度を上回る第1目標温度になるように、前記ヒータへの通電を制御する第1制御手段と、
前記第2温度検出手段の検出温度が前記設定温度近傍の温度に一致すると、前記第1制御手段によるヒータ制御を停止する停止手段と、
前記第1制御手段のヒータ制御の停止時点から前記第1検知手段が前記洗浄意図を検知するまでの間に亘っては、前記ヒータの上限通電量を下回る通電量にヒータ通電量を制限して、前記ヒータの通電制御を実行する通電制限手段とを有し、
前記給水手段は、
前記第1制御手段によるヒータ制御開始に合わせて、洗浄水の給水を開始する給水開始手段と、
前記通電制限手段による前記ヒータ制御の実行期間に亘っては、洗浄水の給水を中断する手段を有する
ことを特徴とする。
【0013】
上記構成を有する本発明の第2の局部洗浄装置では、第2検知手段により使用者の局部洗浄意図が事前に検知されると、第1制御手段により、洗浄水は設定温度を上回る第1目標温度になるように温水化される。このため、局部洗浄意図を事前に検知した時点で洗浄水の温水化を開始でき、速やかに洗浄水を温水化できる。そして、こうして温水化しておくことで、その後に洗浄が開始された場合の温水制御を補完したりすることができる。しかも、この第1制御手段による温水制御の間においては、給水手段により洗浄水が給水されてるので、第1制御手段による温水化を、常に洗浄水の通水下で行うことができる。よって、洗浄水温度が上記の第1目標温度になるように制御しても、不用意にヒータ過熱を招くことがない。
使用者の局部洗浄意図を事前に検知するに当たっては、使用者の着座動作を着座センサで検知したり、トイレへの入室をトイレ入口に設けた透過型・反射型の光センサで検知したりすることができる。或いは、便器前方で使用者が起立姿勢から着座姿勢を取ろうとする際の姿勢変化を光センサなどで検知し、これをもって局部洗浄意図の事前検知とすることができる。
しかも、この本発明の第2の局部洗浄装置は、第1温度検出手段の下流の撹拌経路部と、第2温度検出手段とを備え、
前記通電制御手段は、
前記第2温度検出手段の検出温度が前記設定温度近傍の温度に一致すると、前記第1制御手段によるヒータ制御を停止する停止手段と、
前記第1制御手段のヒータ制御の停止時点から前記第1検知手段が前記洗浄意図を検知するまでの間に亘っては、前記ヒータの上限通電量を下回る通電量にヒータ通電量を制限して、前記ヒータの通電制御を実行する通電制限手段とを有し、
前記給水手段は、前記通電制限手段による前記ヒータ制御の実行期間に亘っては、洗浄水の給水を中断する手段を有する。
よって、洗浄水昇温のための第1制御手段から、ヒータ通電量が制限された、例えばヒータ上限通電量の1/10以下に制限された通電量しか通電しないヒータ制御に変更できる。この第1制御手段のヒータ制御停止の際には、検出温度を、撹拌経路部での撹拌を経て温度が安定した洗浄水の温度としている。撹拌経路部を経由した洗浄水は、実際に局部に吐水されるものであるので、この吐水洗浄水の温度にて、第1制御手段のヒータ制御を停止して上記のようにヒータ制御を変更できる。その後は、制限した通電量で洗浄水を保温できる。しかも、この保温時には、給水を中断してヒータ配置部を含む洗浄水水系の洗浄水を静止状態とするので、上記した僅かな通電量でも、対流により水系の洗浄水を好適に保温できる。よって、着座から洗浄開始までの時間が長くなるような場合には、省エネルギーの観点から特に好ましい。この場合、給水を停止していても、ヒータ通電量は僅かであるので、不用意なヒータ過熱は起きにくくできる。
【0014】
この場合、前記第1制御手段を、前記第1目標温度と前記ヒータへの洗浄水入水温度とに基づいて、前記ヒータをフィードフォワード制御するものとすることができる。
こうすれば、効率よく洗浄水温度を第1目標温度になるようにできる。
【0015】
また、前記給水手段を、前記給水開始手段により給水された洗浄水を、前記待機位置にある前記吐水部に導く手段を有するものとできる。
こうすれば、第1制御手段で温水化された洗浄水を吐水部に至るまでの管路に置換できるので、管路や吐水部を洗浄水吐水に先立って暖めておくことができる。また、この温水化済み洗浄水を吐水部に外からかけて、吐水部を暖めておくようにすることもできる。
【0016】
更に、局部に吐水する洗浄水の温水化を中断する手段を備え、
前記第1制御手段と前記給水開始手段は、温水化が中断されている状況下であっても、それぞれ前記ヒータ制御と洗浄水給水開始を行うものとすることもできる。
こうすれば、温水化中断後に温水化が復帰されたような場合には、洗浄水の温水化が一旦は行われていることから、温水化復帰時での温水制御において速やかに所定温度に洗浄水を温水化でき有益である。そして、この温水化復帰後の洗浄水吐水において、その吐水開始初期から設定温度の湯(洗浄水)を吐水でき好ましい。
【0017】
この場合、前記第1制御手段を、前記温水化の中断状況下において、洗浄水温度が前記第1目標温度より低い第2目標温度(例えば、洗浄水の設定温度近傍の温度)になるように、前記ヒータへの通電を制御するものとすることができる。
こうすれば、温水化の中断状況下において、洗浄水の温水化程度を低くできるので、省エネルギーの観点から望ましい。
【0020】
また、前記通電制御手段を、
前記第1検知手段が前記洗浄意図を検知すると、洗浄水温度が前記設定温度を上回る第3目標温度になるように、前記ヒータへの通電を制御する第2制御手段を備えるものとし、
前記給水手段を、前記第2制御手段によるヒータ制御開始に合わせて、洗浄水の給水を実行するものとすることができる。
【0021】
こうすれば、使用者が局部洗浄を欲した時点から、速やかに洗浄水を昇温できる。よって、吐水部が所定の洗浄位置に移動して吐水を開始する前に、洗浄水の昇温ができ好ましい。しかも、この第2制御手段のヒータ制御の前には、上記した通電制限手段による通電量制限でのヒータ制御により洗浄水は保温されているので、この第2制御手段ではより速やかに昇温できる。そして、この第2制御手段による温水制御の間においては、給水手段により洗浄水が給水されてるので、第2制御手段による温水化を、常に洗浄水の通水下で行うことができる。よって、洗浄水温度が上記の第3目標温度になるように制御しても、不用意にヒータ過熱を招くことがない。なお、この際に、温水洗浄水を吐水部に外側からかけたりすると、洗浄水吐水に先立って吐水部を外側から暖めることができ好ましい。
【0022】
この場合、前記第2制御手段を、前記第3目標温度と前記ヒータへの洗浄水入水温度とに基づいて、前記ヒータをフィードフォワード制御するものとすることができる。
こうすれば、効率よく洗浄水温度を第3目標温度になるようにできる。
【0023】
また、前記第2制御手段を、フィードフォワード制御の際に前記ヒータへの通電量を決定するための制御ゲインを、前記第1制御手段が前記ヒータへの通電量を決定する際の制御ゲインより小さい制御ゲインとするものとすることもできる。
こうすれば、着座時より小さな温度勾配で洗浄水を設定温度となるよう温水化できる。また、それ以前のヒータ制御により洗浄水は保温されているので、このように制御ゲインを小さくしても、洗浄水の早期昇温を確実に図ることができる。
【0024】
また、前記通電制御手段を、
前記第1温度検出手段の検出温度についての温度条件と、前記第2温度検出手段の検出温度についての温度条件のいずれかが成立すると、前記第2制御手段によるヒータ制御を停止する停止手段と、
前記第2制御手段のヒータ制御の停止以降は、洗浄水温度が前記設定温度になるように、前記ヒータの通電を制御する第3制御手段とを有するものとし、
前記給水手段を、前記第3制御手段による前記ヒータ制御の実行期間において、洗浄水を設定水量で給水するものとすることができる。
【0025】
こうすれば、それ以前のヒータ制御である第2制御手段で昇温されていた洗浄水は、上記温度条件成立以降では、第3制御手段温度が前記設定温度になるように制御され、この際のヒータ制御は通水状態のものとなる。よって、洗浄水を速やかに設定温度にすることができるので、吐水部の洗浄位置移動完了の直後から設定温度での洗浄水吐水を図ることができる。また、ヒータ過熱も回避できる。
【0026】
この際、前記第3制御手段を、前記設定温度と前記第1温度検出手段の検出温度とに基づいて、前記ヒータをフィードバック制御するようにすれば、設定温度からのオーバーシュートを抑制できる。そして、この第3制御手段によるヒータ制御前に第2制御手段により洗浄水は予め昇温済みなので、オーバーシュートをより効果的に抑制できる。
【0027】
更に、前記第3制御手段を、フィードバック制御の際に前記ヒータへの通電量を決定するための制御ゲインを、前記設定水量が多いほど大きくなるように増減補正する手段を有するものとしたり、その制御ゲインを、前記設定温度から前記第1温度検出手段の検出温度が離れるほど大きくなるように増減補正する手段を有するものとすることもできる。
【0028】
こうすれば、より一層オーバーシュートを抑制でき、洗浄水温度を設定温度に或いはその近傍に好適に維持できる。
【0029】
また、前記第3制御手段を、前記設定温度と洗浄水入水温度とに基づいて前記ヒータを制御するフィードフォワード制御を、前記フィードバック制御と併用するものとすることができる。
こうすれば、洗浄水温度を、好適にかつ的確に設定温度或いはその近傍に維持できる。
【0031】
また、前記第1温度検出手段の検出温度についての高温時温度条件と、前記第2温度検出手段の検出温度についての高温温度条件のいずれかが成立すると、前記通電制御手段によるヒータ制御を第1の所定時間に亘って禁止すると共に、前記給水手段の給水を継続したままその洗浄水を前記吐水部以外に導く手段と、
前記ヒータ制御禁止後の前記両検出温度の推移を監視し、前記両検出温度の推移状況に応じて、前記ヒータ制御の禁止解除又は禁止継続を行う手段と、
前記第1の所定時間を超える時間に亘って、前記両検出温度の降下推移が起きないときは、前記ヒータ制御を引き続き禁止すると共に、前記吐水部を前記待機位置に復帰させて吐水部からの洗浄水吐水をも禁止する手段とを有するものとすることができる。
【0032】
こうすれば、ヒータ過熱が起きたと思われるような場合にあっては、即ち、上記の両高温時温度条件のいずれかが成立した場合にあっては、給水状態としたまま一旦ヒータ制御を停止する。よって、洗浄水通水によりヒータを冷却できる。この際、通水に伴う洗浄水を吐水部以外に導いているので、この洗浄水を局部にかけることは無い。そして、その後、検出温度に降下推移が起きなければ、ヒータ制御を禁止したまま、吐水部を待機位置に復帰させて吐水を禁止するので、この状況下で洗浄開始操作がなされても、洗浄水を吐水することがない。そして、検出温度の降下推移が起きないときは、ヒータの通電異常や検出手段の誤動作が考えられるので、これらの保守・点検を行うことができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して実施例について説明する。図1は本発明の実施例に係る衛生洗浄装置の便座、便蓋を取り外した状態での全体構成を示す斜視図、図2は便蓋を開いた状態での全体構成を示す斜視図、図3は便蓋、便座倒伏状態での全体構成を示す斜視図、図4は平面図、図5は正面図、図6は左側面図、図7は右側面図、図8は背面図、図9は装置本体の右側面図、そして図10、図11は装置本体30(内装機器省略)の分解斜視図である。
【0036】
(外観部品全体構成の説明)
図において、10は便蓋、20は便座、30は洗浄装置本体である。便蓋10及び便座20はヒンジブロック40及びソフト閉止ユニット50を介して、装置本体30に回動自在に支持される。
【0037】
(装置本体30の説明)
装置本体30は装置の外郭を形成する上ケース31と下ケース35と、後述する内装機器(付随機器)とからなり、上ケース31は前方に傾斜部31aを設ける。この傾斜部31aは便座20下面の傾斜部20fと便座20倒伏状態において重合するよう形成し、この傾斜角度は後述する洗浄ノズルの伸出角度と略同一とする。また、この傾斜部31aに連続して便座・便蓋支持部31bを形成する。便座・便蓋支持部31bは中央を隆起した膨出部の左右を前記傾斜部31aに連続した傾斜凹部31c、31cとして形成する。中央隆起部の側壁面31d、31dには、ヒンジブロック40と係合する係合突起32、32を設ける。この便座・便蓋支持部31bは、その頂上部に便蓋10並びに便座20の回転中心軸と同心の円弧状で且つ便蓋10倒伏位置を始点として便蓋10後端が開放した終点位置まで描く軌跡に略相似形状とした曲面部31fを備える。
【0038】
この曲面部31fには、運転状態等を表示する為の表示部用開口31g、便座20に着座した利用者を検出する為の人体検出センサ用開口31hが配置される。また、曲面部31fは中央の曲率を最も大きく、左右にいくに連れ小径とした樽形状とする。便蓋10の略開放位置部分からはその高さを維持する略フラット面31pとする。上ケース31の右側面には、操作部33aを、右後方上面にはリモコン受信部33bを設ける。そして、この樽形状の曲面部31f上を銘板34で覆うことにより、表示部用開口31g、人体検出センサ用開口30hを塞ぐ。この銘板34には、人体検出センサ用開口31hに対応する部分に半透明のスモーク板34aを一体に形成し、表示部用開口31gに対応する位置に透明部34bを一体に形成する。また裏側に熱カシメ用突起34cを4個所設け、上ケース31に設けた熱カシメ用孔31xにて熱カシメし、上ケース31に一体化する。この銘板34は二色成形により形成され、下面をパール調、上面を透明板とし、パール調下地側に文字、表示部用開口、人体検出センサ用開口を形成し、上側透明板にてその全てを覆うよう形成する。
【0039】
この表示部は、前記便座・便蓋支持部に支持された便座及び便蓋が閉じた状態及び開いた状態のいずれであっても、使用者が目視可能である位置に配置されている。すなわち、便蓋が倒伏状態に閉じているときには、表示部は便座の後端よりも後部側に露出し、便座を開放したときには、表示部は便座の下端よりも下側に、それぞれ使用者が便器に向かって立ち姿勢をとったときに楽な姿勢での視認が可能となっている。
【0040】
下ケース35の両側方部35aは底面側に向けて傾斜させており、その右傾斜部には、便座コード取出口35b、電源コード取出口35c、傾斜部から側方に突出する突出部35dを設け、左傾斜部には便器自動洗浄ユニット等のオプション機器への電力及び信号を供給する為のオプション用コード取出口35eを設ける。なお、突出部35d下方は切り欠いており、側方には給水接続口35f及び水抜き栓用開口35gを設ける。上ケース31,下ケース35の他の部位は夫々の内装部品を説明する際に合わせて説明する。
【0041】
上ケース31と下ケース35の連接構造を説明する。上ケース31前面側には、傾斜部31a前面より垂下された垂下壁31i内側に設けた係合爪31j、31j、傾斜部3a内側に設けた位置決拘束用突部31k、31kを設け、上ケース31の背面壁31lに設けた第2係合爪31m、31mを設ける。下ケース35には、前面壁35hに、係合突部35i、35i、底面には位置拘束用ボス孔35j、35jを設け、下ケース35背面壁35kに第2係合突部35l、35lを設ける。この構成により位置拘束用突部31k、31kを位置拘束用ボス孔35j、35jに合わせ、上ケース31の前部を下ケース35に押し込むと係合爪31j、31jが弾性変形しながら、係合突部35i、35iを乗り上げ、係合爪31j、31jが係合突部35i、35iに係合する。次に後部を押し込み、第2係合爪31m、31mが弾性変形しながら、第2係合突部35l、35lを乗り上げ、第2係合爪31m、31mが第2係合突部35l、35lに係合する。これにより、上ケース31と下ケース35とは一体化する。なお、本実施例では、第2係合爪31m、第2係合突部35lとの係合部分で連接を強固にするためにネジ止めを行っているが、このネジ止めは省略しても良い。
【0042】
なお、上ケース31と下ケース35との側面での合わせラインAを便座の下端が描くラインBの延長線上とし、且つ下ケース35の両側方に傾斜部35aを設けたので、下ケース35側面は影となり、取出口等は見えづらいので非常にコンパクトな印象を与える。また、突出部35dは逆に目立ち、水抜き等のメンテナンス作業部を認知させることができる。
【0043】
このようにして、上ケース31と下ケース35が連接されてなる装置本体30は、その嵩が約120mmとされ、成人であれば、片手の親指と中指とで何とか挟み持つことのできる寸法であり、局部洗浄装置の取付け工事などの際には、大変便利である。また、装置全体が薄型になったことにより、小さなサイズの梱包ですむので、持ち運びも楽であるし、梱包材も小型化できる。
【0044】
(便蓋10の説明)
便蓋10は、便器の開口部を塞ぎ上面が後部側ほど上方に反った凹形状となっている蓋部分10aを有し、その後端両側には、ヒンジブロック40、ソフト閉止ユニット50を介して前述の便座・便蓋支持部31bに回転自在に支持されるヒンジ部10bを有する。このヒンジ部10bは、蓋部分10aから下方に湾曲傾斜した連結部10cを介在させて、この蓋部分10aから延出形成する。便蓋10が倒伏状態にあるときの連結部10cの傾斜角は傾斜部31aの傾斜角と略同一であり、連結部10cの両端側壁下端部が傾斜部31a上面と所定間隔(本実施例では2mmの微小隙間)空けて略一致するよう形成する。また、ヒンジ部10bはその内側にソフト閉止ユニット50を収納する収納部10dを形成する。ヒンジ部10bの上方曲面部10eは便蓋10倒伏状態において後述する便座のヒンジ部20c及びヒンジブロック40を覆い隠すよう収納部10dよりも内方に延出形成し、上方を曲面部31fと略相似な同心円弧状で且つ曲面部31fと連続面に形成する。
【0045】
(便座20の説明)
便座20は、中央部に開口20aを備える座部分20bを有し、その後部両側には、ヒンジブロック40、ソフト閉止ユニット50を介して前述の便座・便蓋支持部31bに回転自在に支持されるヒンジ部20cを有する。このヒンジ部20cは、座部分20bから上方に湾曲傾斜した連結部20dを介在させて、この座部分20bから延出形成する。また、ヒンジ部20cはその内側にソフト閉止ユニット50を貫通収納する為の収納開口20gを有する収納部20eを設ける。ヒンジ部20cの上方曲面部20hは便座20倒伏状態においてヒンジブロック40を覆い隠すよう収納部20eよりも内方に延出形成し、上方を曲面部31f、ヒンジ部10bと略相似な同心円弧状で且つ便蓋10の略肉厚分小さい曲率で形成する。なお、便座20の連結部20dの下面には傾斜部20fを形成する。
【0046】
また、便座20の座部分20bの後部側側端部に、便蓋10の折り返し状の連結部10cを収容可能な凹部を形成して、便座20や便蓋10の倒伏状態において、便蓋10の連結部10cを、その下端縁が便蓋10の外周部下端縁と水平な一直線上に揃うように形成して水平端部をするとともにその水平端部が装置本体30の傾斜部31aの近傍まで延伸するように形成している。
【0047】
(便蓋10、便座20、装置本体30との関係の説明)
便蓋10、便座20、装置本体30は前述のような形状とされているので、便蓋10、便座20倒伏時には、装置本体30の曲面部31fと便蓋10の上方曲面部10eとが同心円弧状の連続した面を形成するので、すっきりとした印象を与える。このすっきりとした印象は便蓋10や便座20の側面が、装置本体30の側面と同一平面上に形成されていることにより、さらに印象を強めることに成功している。また、ヒンジ部20cも同心状の形状としたので便蓋10を開放状態としても、すっきりとした印象を変えることは無い。また、便座・便蓋支持部31bの左右を傾斜凹部31cとして、そこを便蓋10、便座20のヒンジ部10b、20cとの回動空間としたので、便座20の中央後端部20iを座面として利用することができる。また、便座・便蓋支持部31bの内方を収納空間としても有功利用しており、装置本体30のコンパクト化を図ることができる。
【0048】
さらに、装置本体30の最高高さ位置を、便蓋10の倒伏状態での便蓋10の最高高さ位置よりも低く、すなわち装置本体30のフラット面31pの上面を、便座20及び便蓋10のヒンジ部位置よりも低くしているので、局部洗浄装置の全体がコンパクト化され、装置の持ち運びやすさ等が向上している。
【0049】
なお、装置本体30には、便座20及び便蓋10のヒンジ部10b,20c間に、ヒンジ部10b,20cの最高高さと略同一高さとなり内部に機能部品を収納している膨出部を形成しているが、ここで言う装置本体30の最高高さ位置はこの膨出部を含まない。この膨出部はちょうど左右のヒンジ部10b,20cの間に収まりきるので、ヒンジ部10b,20cとの一体感がある。よって、便蓋10又は便座20の後方部にそれよりも高くそびえる部材がないため、この局部洗浄装置のコンパクトさを一層目立たせることに成功している。
【0050】
また、前記同心円弧の中心であり、便蓋10、便座20の回動中心をフラット面31pと略同一高さとする。こうすることで、便蓋10、便座20のヒンジ部10b、20cの回動軌跡はフラット面31pよりも後部に描かれず、傾斜凹部31cを余分に取る必要がなくなり、便蓋10倒伏状態での装置本体30との隙間を狭くすることができる。さらにまた、装置本体30の膨出部と、その枢軸方向外側にある便蓋10の一部分とで、その高さ及び曲面状の表面Rを略等しくしている。
【0051】
なお、便蓋10を閉じた状態で、便蓋10の端部と装置本体30との隙間、便座20の端部と装置本体30との隙間、及び便座20と便蓋10との隙間を、それぞれ約2mm程の略均一寸法の微小隙間として設定した。この微小隙間は、便座や便蓋を開放した状態でも、近い寸法に維持される。よって、従来の局部洗浄装置が有していた装置本体と便蓋の間の窪みなどを排除した、表面のでこぼこの少ないほぼフルフラットな表面を持ち且つ隙間レスとすることができた。よって、製品の意匠性が極めて向上するうえ、仮りに隙間に汚れが付着しても目立たない。
【0052】
(ヒンジブロック4、ソフト閉止ユニット5の説明)
図12は、装置本体30に対する便蓋10及び便座20の連接構造を示す概略断面図である。連接構造は、ヒンジブロック40とソフト閉止ユニット50とで構成され、ソフト閉止ユニット50は、便蓋10及び便座20が閉じるときに抵抗を与えて緩やかに動作するように緩衝装置(図示せず)を内蔵するヒンジ胴部51と、ヒンジ軸52とから構成され、ヒンジ軸52に対しヒンジ胴部51は回動自在とされている。なお、このヒンジ胴部51及びその周囲は便蓋10及び便座20の上面によって隠れるような構造とする。ヒンジブロック40には、ヒンジ軸52を挿入してこれらを固定支持するための支持孔40aを設ける。ヒンジブロック40の底部には、装置本体30に設けた係合突起32に対応して凹部40bを設ける。便蓋10及び便座20を装置本体30に連接するためのヒンジブロック40は、装置本体30に設けた係合突起32に凹部40bが嵌まり込んで固定される。
【0053】
収納部20eの開口20gの一部に位置決め凹部20jを、ヒンジ胴部51の一部に位置決凸部51aを設け、この凹凸により便座20の基端部に設けた収納部20eの一方をヒンジ胴部51と一体に回動するように固定し、他方の収納部20e内にヒンジ胴部51を貫通連結し回動自在に軸支させる。また、収納部10dの一部に位置決め凹部10fを、ヒンジ胴部51の一部に位置決凸部51bを設け、この凹凸により便座と固定された収納部20eとは逆側の便蓋10の基端部に設けた収納部10dをヒンジ胴部51と一体に回動するように固定し、他方の収納部10dをヒンジ胴部51に対し回動自在に軸支させる。
【0054】
図13は、ヒンジブロック40,サポートカバー41と装置本体30に設けた係合突起32との連接構造を示す斜視図である。図において、ヒンジブロック40には、樹脂等から形成されるカバー41が設けられ、支持孔40aと同心円形状に若干突出して設けた支持ガイド40gに、支持ガイド40gと略同一形状の回動孔41aを回動自在に軸支することにより、ヒンジブロック40とカバー41は一体化される。カバー41の裾部内側にはロック爪41bが設けられ、片側には把手部41cが一体に設けられている。係合突起32前壁には、ロック爪41bが係合する係止溝32aが設けられる。なお、カバー41の側壁基端部内側には第2ロック爪41dが設けられ、ヒンジブロック40の側壁には、第2ロック爪41dが弾性係合する第2係止溝40cが設けられる。ヒンジブロック40の凹部に、テーパ状の形状となっている係合突起32が挿入、嵌合する構造となっている。
【0055】
図14は、ヒンジブロック40,サポートカバー41と装置本体30の係合突起32との連接状態を示す断面図である。サポートカバー41は折り返し部41eを設け,略断面略L字の形状をなしている。図13に示したロック爪41bは、強度確保のため、折り返し部41eに一体的に形成されている。第2ロック爪41dを第2係止溝40cに案内するために、溝40dがヒンジブロック40の側壁に設けられた支持孔40aと同心円弧上に第2係止溝40cよりも浅く形成される。また、第2ロック爪41dと第2係止溝40cとのロックが確実となるよう第2係止溝40cと溝40dとの間に盛り上がり部40eを設けている。このように、第2ロック爪41dと第2係止溝40cとを弾性係合として補助ロック機構を形成しているので、ロック爪41bと係止溝32aとは弾性係合ではなく、単なる係合とすることができるので、ロック力の調整およびロック爪41bの耐久性の確保等が容易である。また、これにより設計の自由度が広がる。ヒンジブロック40の内部にはリブ40fがあり,係合突起32と嵌合する構造となっている。このリブ40fの高さ調整にて係合突起32との嵌合調整を行う。
【0056】
図15は、ヒンジブロック40,サポートカバー41と装置本体30との連接状態を示す断面図である。図より明らかなように、連接状態では、ロック爪41bが係止溝32aに係合しているので、この状態では、ヒンジブロック40と係合突起32の係合は外れない。この際、上記カバー41の第2ロック爪41dとヒンジブロック4の第2係止溝40cとにより、回動方向も規制される。係合を外したい場合は、把手部41cに指をかけて、第2ロック爪41dと第2係止溝40cとの弾性係合を解除して、カバー41を回動することにより、ロック爪41bと係止溝32aとの係合を解除し、便座20等を上方に持ち上げることでヒンジブロック40と装置本体30の係合を外すことができる。
【0057】
また、便座20等を取り付けるときは、係合突起3eにヒンジブロック40を挿入する。係合突起3eは外側先端程細くなっているため、ヒンジブロック40を挿入しやすく、便座20取付作業が容易となる。便座20の荷重等によるヒンジブロック40の支持孔40aの下向きの力は,ヒンジブロック40の下端と装置本体30との接触部により受ける構造となっている。下向きの荷重を装置本体30の表面にて受ける際には、ケーシング全体がたわみ内部部品を破損させる恐れがあるため、装置本体30の上ケース31の裏面に補強リブを配設している。
【0058】
(内装部品の構成の説明)
図16(a)は上ケース31を取り外した状態の装置本体30の斜視図、図16(b)は更に制御ユニットを取り外した斜視図、図17は各ユニットを取り外した分解斜視図である。図において、60はバルブユニット、70は熱交換ユニット、90は流調、脈動ユニット、110はノズルユニット、130は乾燥、脱臭ユニット、150は補助操作ユニット、160は第1制御ユニット、170は第2制御ユニットである。
【0059】
(バルブユニット60の説明)
図18にはバルブユニット60の分解斜視図、図19には一部断面図、図20、図21には組立てた状態での斜視図、図22、図23には下ケース35に設置する前の状態の斜視図、図24、図25には下ケース35に設置した状態での斜視図を示す。図において、61はバルブ躯体、62は給水接続管、63は水抜栓、64は温水ヒータ制御用のトライアック、64aはトライアック64の放熱板、61aは流路形成用板兼リモコン受光部取付板、65は調圧弁、65aは調圧弁用開口塞板、61bは第2流路形成用板兼リモコン受光部取付板、66は電磁弁、67は流出接続管、68は入水温サーミスタである。
【0060】
バルブ躯体61には、給水接続管62を取り付ける為の取付用開口61c、水抜き栓63にて通常閉塞される水抜き開口61d、放熱板64aを取り付ける為の取付用貫通孔61e、流路形成用板兼リモコン受光取付板61aを取り付けて流路を形成するための流路形成用溝61f、調圧弁65を取り付ける為の取付用貫通孔61g、第2流路形成用板兼リモコン受光取付板61bを取り付けて流路を形成するための第2流路形成用溝61h、電磁弁66を取り付ける為の取付用開口61i、流出接続管67を取り付ける為の取付用開口61jを設ける。
【0061】
なお、図19に示すように取付貫通孔61eには逆止弁69を設け、また、水抜き開口61dから逆止弁69を経由しないで流路形成用溝61fに連絡するバイパス路61kと水抜き開口61dから逆止弁69を経由し流路形成用溝61fに連絡する本流路61lとを設ける。従って通常使用時の水の流れは、給水接続管62→開口61c→開口61d→本流路61l→(放熱板64a)→逆止弁69(貫通孔61e)→溝61f→調圧弁65→貫通孔61g→(塞板65a)→溝61h→電磁弁66→開口61i→開口61j→流出接続管67となる。
【0062】
給水接続管62は略L字形状に形成され、一端にフレキ管が螺合接続する雄螺子部62a、他端にバルブ躯体61に回動自在に嵌合固定される嵌合挿入部62bを設ける。また、嵌合挿入部62bにはOリング(図示せず)を嵌め込む溝62c、抜け止め用フランジ62dを設ける。このような構成により、給水接続管62の嵌合挿入部62bをバルブ躯体61の開口61cに挿入した後、略U字形状の取付部材62eをネジによりバルブ躯体61に固定することにより抜け止め用フランジ62dが拘束され、バルブ躯体61に対し回動自在に固定される。なお、給水接続管62の雄螺子部62aは通常下方に向けられて設置されるが、便器幅が大きい場合、便器が干渉して取付かない。従って、そのような幅広の便器に取り付ける場合には、給水接続管62を回動し、下ケース35に設けた給水接続口35fから側方に向けて給水接続管62の雄螺旋部62aを突出させてフレキ管(図示せず)と接続する。従って、幅広の便器であっても取付かないということはない。
【0063】
水抜き栓63はつまみ63aと栓本体63bからなり、つまみ63aの中心部には栓本体63bとの接続の為の丸孔63cが開けられ、内側にはバルブ躯体61との接続の為の雌ネジが形成されている。栓本体63bは、つまみ63aへの取付部63d及びOリング溝を形成すると共にストレーナ63eの一端を支持する基端部63f、ストレーナ63eの他端を支持するフランジ部63g、先端に設けられる止水弁部63hからなる。取付部63dは丸孔63cに回動自在でかつ外れないような構造とする。基端部63fに設けられる溝にはOリングが嵌め込まれ、水抜き栓63の装着時に開口61dから水が漏れるのを防止する。同様に、止水弁部63hのOリングはバイパス路61kから開口61dへの水の浸入を防止する。このような構成により、水抜き時には、つまみ63aとバルブ躯体61との螺合を解いた後、つまみ63aを引き外すことで水抜き栓63をバルブ躯体61から取り外す。この際、つまみ63aと栓本体63bとは回動自在に構成するので、栓本体63bは回転すること無くOリングに回動力が伝わらないので、耐久性を増すことができる。水抜き栓63を取り外すと、バルブユニット60内の水は自重によりバイパス路61k、本流路61l、開口61cを夫々通って開口61dから外部に排出される。
【0064】
リモコン用受光器169は、流路形成用板兼リモコン受光取付板61a及び第2流路形成用板兼リモコン受光取付板61bに設けた孔61qと、リモコン用受光器169の両側に設けた突起169aにより、バルブユニット60に挟着固定する。
【0065】
なお、バルブユニット60の固定は、下ケース35の底面コーナー部に設けた突出部35d下方の開口35x及び側方の開口35gから夫々給水接続部62及び水抜き栓63を外側に引き出した後、バルブ躯体61に一体形成された2個所の取付部61m,61nを下ケース35に設けたボス36a、36bにネジ止め固定し、更にバルブ躯体61に一体形成された倒伏防止用フランジ61pを上ケース31と下ケース35の接続に使われたネジの先端で上から抑えつけることで行われる。
【0066】
また、下ケース35へ組み付けた状態でのバルブユニット60収納時の嵩は110乃至120mm程度とし、後述するノズルユニット110(嵩110mm程度)にチューブの可動余裕(10mm程度)を採った嵩と略同一高さとする。
【0067】
(瞬間式熱交換ユニット70(加熱機構)の説明)
図26には瞬間式熱交換ユニット70の分解斜視図、図27は断面図、図28は下ケース35に設置した状態での斜視図、図29は平面図を示す。
【0068】
瞬間式熱交換ユニット70は熱交換部7A,温度安定部7B、出湯部7Cからなる。熱交換部7Aは、円筒状セラミックヒータ71、略円筒形状の熱交躯体72、バイメタルスイッチ73、水抜き栓74、温度ヒューズ75からなる。円筒状セラミックヒータ71には、熱交躯体72の開放端の一側を閉塞するための取付フランジ71aをガラス封止等で一体に設ける。熱交躯体72は略円筒状の円筒躯体72aと、温度安定部7Bと接続される接続開放室72bとで構成される。円筒躯体72aの開放端の一側にはセラミックヒータ取付部72c、他側には水抜き栓取付部72dを設け、円筒躯体72aの側壁面には、バイメタル取付用開口72eを貫通して設ける。バイメタルスイッチ73は、伝熱板73a、押え部材73b、バイメタルスイッチ本体73cよりなり、伝熱板73aを介して押さえ部材73bにより、前記バイメタル取付用開口72eにネジ4本で取り付ける。
【0069】
セラミックヒータ取付部72cは、円筒状セラミックヒータ71をその長さ方向の途中で支持しており、円筒状セラミックヒータ71は、円筒躯体72aの内部に挿入された状態で固定される。円筒躯体72aの他方の開放端には、前述したように水抜き栓取付部72dが設けられているが、上記円筒状セラミックヒータ71は、この円筒躯体72aの水抜き栓取付部72dまで達しておらず、その水抜き栓取付部72dとの間に間隙を形成している。このため、円筒状セラミックヒータ71の内部流路71bを送られてくる水は、その間隙で折り返して、円筒状セラミックヒータ71の外周と円筒躯体72の内周との間の円筒状流路72pを通って接続開放室72bに向かって流れる。なお、円筒状セラミックヒータ71と円筒躯体72aは共に、水平方向に対して水抜き栓取付部72d側を約5度下方に傾斜して配置されている。傾斜して配置することで浮力を利用して湯水中の空気抜きを行なうことができ、この結果、流路中の空気溜まりを防止することができる。また、傾斜していることから、水抜き栓74を開いたときに水は排出されやすい。このために、水抜き時の残水が残りにくい。
【0070】
なお、この実施例において、円筒躯体72aの内面に、水の流れ方向を渦状に旋回しつつ進行する向きに規制するフィンを設ける構成とすることができる。この構成によれば、水が渦状に旋回しつつ進行することから水の円筒状セラミックヒータ71との接触面積を大きくすることができることから、熱交換部7Aの熱効率を高めることができる。
【0071】
水抜き栓取付部72dに取り付けられる水抜き栓74は、ばね受け74a、止水ばね74b、水抜き弁体74c、ゴム製弁座74d、塞ぎ蓋74eから構成され、塞ぎ蓋74eにより前記水抜き栓取付部72dにネジ3本で取り付ける。水抜き弁体74cは、円盤に棒体を通した独楽形状をしており、片側の棒体部分74c1が塞ぎ蓋74eから突出しており、他方側の棒体部分74c2がばね受け74aに設けられた孔部に挿入される。塞ぎ蓋74eから突出した棒体部分74c1を作業者が後述する水抜きレバーを操作して押し込むことにより、棒体部分74c2が孔部を摺動してガイドされながら、水抜き弁体74cはゴム製弁座74dから離間して開状態となる。
【0072】
このように水抜き弁体74cが開状態となると、水抜き弁体74cは、ゴム製弁座74dから離間して、ばね受け74aの突出した環状部分74a1に当接した状態で静止する。この結果、円筒躯体72aの内部の湯水は、塞ぎ蓋74eに設けられた排出口74e1から外部に排出されることになる。なお、このとき、水抜き弁体74cの摺動の際のガイドの役割を果たした棒体部分74c2は、円筒状セラミックヒータ71の内部にまで入り込んだ状態となっている。これは、水抜き弁体74cの動作方向と円筒状セラミックヒータ71の中心軸とが一致するように、水抜き栓74の円筒躯体72aへの取付位置を定めたためであり、この結果、水抜き弁体74cの動作のための空間を予め開けておく必要がなく、装置をコンパクト化することができる。
【0073】
温度ヒューズ75は円筒躯体72aの外郭に一体形成したヒューズ取付部(図示せず)と温度ヒューズ取付板75aに一体形成されるヒューズ取付部75bとで図示しないヒューズ本体を挟圧固定する。なお、その取付は温度ヒューズ取付板75aをネジ1本で円筒躯体72aの側壁面に取付けることで行われる。
【0074】
円筒躯体72aと接続開放室72bとの隔壁には伝熱開孔72gと連絡孔72hとを設け、伝熱開孔72gの上方には、フロートスイッチ収納室下部を形成する下部室72iを形成し、連絡孔72hの上方には、拡開室72rを形成する。拡開室72rは円筒形状をしている。なお、伝熱開孔72gは金属製の伝熱板72jで塞ぐ。また、接続開放室72bには拡開室72rと下部室72iとを連絡する連絡溝72kを形成する。また、拡開室72r、下部室72i、連絡溝72kの周囲には連結用フランジ72lを形成する。
【0075】
温度安定部7Bは、熱交換部7Aの上方に位置して、流路形成体76、出湯温を検知する湯温検知サーミスタ77、水の有無を検知するフロートスイッチ78、フロート室塞ぎ蓋79にて構成される。流路形成体76は、熱交躯体72への取付用フランジ76aと、フロートスイッチ78を収納する収納室76bとからなり、フランジ76aは、連絡孔72h、連絡溝72kの上方を覆うフランジ延出部76cを有し、このフランジ延出部76cには湯温検知サーミスタ77を挿入固定するサーミスタ取付孔76dを設ける。なお、フランジ延出部76cと、拡開室72r、連絡溝72kとで熱交換部7Aとフロート収納室76bとを連絡する連絡流路70aを形成する。こうした構成の連絡流路70aは、連絡孔72hで絞られ、その後、拡開室72rで一旦拡げられた流路となっている。このため、熱交換部7Aからの温水は、拡開室72rを含む連絡流路70aを流れる間に撹拌されることになる。この結果、湯水の温度ハンチングをなくして温水を安定した温度で供給することが可能となる。
【0076】
なお、湯温検知サーミスタ77はサーミスタ取付孔76dに取り付けられたとき、その湯温検知サーミスタ77の検知部が連絡流路70aの拡開室72rの下流に位置しており、湯温検知サーミスタ77はフロート収納室76bに送られる直前の湯温を検知する。いわば、加熱源であるヒータに近い位置で温水温度を検出できるので、ヒータ異常による温水温度を早く検出することができる。なお、湯温検知サーミスタ77の検知部に当たる連絡流路70aは、フランジ延出部76cの下部突出部76jによりその流路断面積が狭められて所定の大きさに定められている。この流路断面積がどのような大きさかは後述する。
【0077】
フロート収納室76bはフランジ76aよりも下方に垂下する垂下部76eと上方へ延出し上端を開放する円筒部76fとからなり、垂下部76eは下部室72i内に挿入され、垂下部76eの下端にて伝熱板72jを押圧固定し、伝熱開孔72gを閉塞する。なお、下部室72iの側壁に連絡流路70aが連結されている。円筒部72fの側壁上方には出湯部7Cに連絡する連絡開口76gを形成し、その連絡開口76gから接続部76hを延出形成する。円筒部76fの上端開放部にフロートスイッチ78が一体化されたフロート室塞ぎ蓋79をネジ止め固定する。
【0078】
上記構成により、フロート収納室76bの流入通路としての連絡流路70aは、フロート収納室76bの下半分側に接続され、フロート収納室76bの流出通路としての接続部76hは、フロート収納室76bの上半分側に接続されことになる。この構成によれば、フロート収納室76bの流入通路が下半分側に接続されていることから、熱交換部7Aから温度安定部7Bまでの接続流路を短くすることができる。また、フロート収納室76bの流出通路が上半分側に接続されていることから、流出通路である連絡流路70aの下側、すなわち、その連絡流路70aと熱交換部7Bとの間にスペースをとることができる。このため、このスペースの利用が可能となる。さらには、連絡流路70aと接続部76hとは対角となることから熱安定部7Bの温水の撹拌性にも優れている。さらにまた、上記構成により、フロート収納室76bは温度安定部7Bとして利用されることから、スペース効率に優れている。
【0079】
出湯部7Cは、出湯形成体80、調圧弁65に異常が起きた際所定圧力以上の圧力が2次側機器に加わらないようにするための安全弁ユニット81、所定温度以上の高温となった際に円筒状セラミックヒータ71への通電を強制的に遮断するためのリミットサーミスタ82,通水が無い状態で、下流側に空気を取り入れる為のバキュームブレーカー83にて構成される。出湯形成体80は、温度安定部7Bと接続するための接続凸部80a、リミットサーミスタ取付部80b、安全弁取付部80c、バキュームブレーカー取付部80dを備える。なお、流路構成上、接続凸部80aとサーミスタ取付部80bとは略同一面上に、安全弁取付部80cとバキュームブレーカー取付部80dとは略一直線状に対向配置する。接続凸部80aは、接続部76hに挿入される挿入部と、取付用フランジとで構成する。安全弁取付部80cは、安全弁挿通部80gと、固定用ネジ部80hとで構成する。
【0080】
この構成によれば、フロート収納室76bの流出通路としての接続部76hがフロート収納室76bの上半分側に接続されていることから、その接続部76hに続くバキュームブレーカ83の下側にスペースを空けることができ、上記安全弁ユニット81の配置が可能となっている。したがって、バキュームブレーカ83の下側のスペースを有効に利用することができることから、装置をコンパクト化することができる。
【0081】
リミットサーミスタ取付部80bに取り付けられたリミットサーミスタ82の検知部は、温度安定部7Bの連絡開口76gに連結された流路80iに位置しており、出湯部7Cに送られてきた直後の湯温を検知する。ここでの湯温は、後述するノズルユニット110までの流路面積を小さく絞っているため、ノズルユニットからの吐出温度と略同じである。また、ヒータ71とリミットサーミスタ82の間にフロート収納室が介在するため、ヒータで温水となった湯がリミットサーミスタ82に達するまでには比較的時間がかかるうえ、ヒータ71の加熱により発生した熱だまりなどの影響を受けにくくなっている。なお、前述した湯温検知サーミスタ77の検知部が位置する部分の連絡流路70aの流路断面積は、この流路80iの流路断面積とほぼ同じ大きさとなっており、両サーミスタ77,82の検知部周りの流速がほぼ等しくなっている。この構成によれば、両サーミスタ77,82の検出感度を同じにすることが容易である。
【0082】
安全弁ユニット81は、安全弁体81a、圧力設定ばね81b、逃がし流路81c、固定用フランジ81d、外周にOリング溝を形成した挿入部81eを一体に有する弁体押え部材81fからなり、挿入部81eを挿通部80gに挿入し、固定用フランジ81dをネジにより固定用ネジ部80hに固定することで出湯形成体80に一体化する。なお、弁体押え部材81fには、オーバーフロー流出路81gが形成される。このような構成により、通常、弁体81aは、出湯形成体80に形成された安全弁座80kにばね81bにて押圧され止水されているが、所定圧以上の水圧が加わると、安全弁体81aは開放し、オーバーフロー流出路81gからも水が流出し始め、流出口83cから流出する水の圧力を所定圧以下に調整する。
【0083】
バキュームブレーカー83は、バキュームブレーカー弁体83a、空気取込口兼オーバーフロー口83b及び流出口83cを有するキャップ83dにて構成する。この構成によりバキュームブレーカー83は、通水していない状態では、バキュームブレーカー弁体83aは重力により、出湯形成体80に形成したバキュームブレーカー弁座80jに着座し、通水時にはキャップ83dに形成した弁座83eに着座する。なお、安全弁ユニット81のオーバーフロー流出路81g及びバキュームブレーカー83の空気取込口兼オーバーフロー口83bに接続される樹脂製チューブの他端は下ケース35の中央部前面に形成される排出用トイ36vに固定する。従って、オーバーフローした水は排出用トイ36vを伝って便器内へ排出される。
【0084】
瞬間式熱交換ユニット70の組み付けは、熱交換部7Aと温度安定部7Bとをパッキンを介してフランジ72lとフランジ76aとで螺合固定し、更に、温度安定部7Bと出湯部7CとをOリングを介して接続部76hと取付用フランジとを1本ネジにより螺合固定することで行われる。なお、瞬間式熱交換ユニット70の下ケース35への取付は円筒躯体72aの対角に設けられた取付フランジ72m、72nを下ケース35に設けたボス36c、36dにネジ止めすることにより行われる。
【0085】
上記構成により、バルブユニット60の流出接続管67から瞬間式熱交換ユニット70へ接続チューブを介して導入された水は、流水状態にて円筒状セラミックヒータ71の内部流路71b及び円筒状セラミックヒータ71の外側の円筒状流路72pで所定水温に温められ、連通孔72hから接続開放室72の連絡流路70aを介してフロート収納室76bへと導入される。接続開放室72は、湯水の撹拌室として機能する。また、収納室76bは、10ないし20cc程度の容量を有し、フロートスイッチ78の動作ストロークを確保すると共に、撹拌室としても機能する。これらの結果、湯水の温度ハンチングは極小となる。こうして安定化された湯は、連絡開口76gを通って出湯部7C内の流路80iを介して、バキュームブレーカ弁体83aを押し上げ、流出口83cへと導出される。なお、下ケース35へ組み付けた状態での瞬間式熱交換ユニット70の嵩は110乃至120mm程度とし、後述するノズルユニット110(嵩110mm程度)にチューブの可動余裕(10mm程度)を採った嵩と略同一高さとする。
【0086】
以上のように構成された瞬間式熱交換ユニット70によれば、温度安定部7Bは、熱交換部7Aの上部に接した状態で配置された構成となっている。このために、熱交換部7Aの熱を温度安定部7B側に逃がして熱交換部7Aの局部的な熱溜まりを低減させることができる。この結果、湯水を安定した温度で供給することができる。特にこの実施例では、熱交換部7Aと温度安定部7Bとの間を、金属製の伝熱板72jにて仕切った構成となっていることから、熱交換部7Aの熱を温度安定部7B側に容易に逃がすことができることから、より安定した温度で湯水を供給することができる。
【0087】
(流調、脈動ユニット90の説明)
図30は流調、脈動ユニット90の分解斜視図、図31は流調、脈動ユニット90の平面図、図32(a)は流調サブユニット92の断面図、図32(b)は流調サブユニット92のステータ92f、ロータ92dの平面図、図33は流調サブユニット92の各回転位置での切欠溝92mと流調溝92pとの重合状態((a)0度、(b)60度、(c)120度、(d)180度、(e)240度、(f)300度)、図34は流調サブユニット92の回転角度での切欠溝92mと流調溝92pとの重合面積、図35は脈動サブユニット94の断面図、図36は流調、脈動ユニット90の取付を説明する斜視図である。
【0088】
流調、脈動ユニット90は流調サブユニット92、脈動サブユニット94、防振プレート96からなり、流調サブユニット92に設けた取付孔92v、92wにより防振プレート96の取付ボス96a、96bにネジ止め固定する。脈動サブユニット94は略対角に設けられた取付孔94u、94vを防振ゴム95a、95bを介して防振プレート96の取付ボス96c、96dにネジ止め固定する。なお、脈動サブユニット94のもう一方の対角下端には環状溝94c、94dを、防振プレート96のそれに対応する対角上面には弧状リブ96e、96fを夫々設け、その間に防振ゴム95c、95dを嵌装する。
【0089】
(防振プレート96の説明)
防振プレート96には流調サブユニット92及び脈動サブユニット94を取り付ける載置面の周囲に外輪壁96gを設け、載置面より1段下げて排出トイ96hを設ける。この構成により流調サブユニット92及び脈動サブユニット94への結露水等を排出トイ96h、下ケース35を介して便器へ排出する。また、外輪壁96gの一コーナー部を上方に延出形成し、内壁側を流調サブユニット92と脈動サブユニット94を接続するチューブのガイド壁96iとし、そのガイド壁96i上方には略倒コ字状のコ字状リブ96jを設け、このコ字状リブ96jにより流調サブユニット92と脈動サブユニット94への電力線、制御線等の配線を一括して保持する。防振プレート96の一方の対角には取付孔96k、96lを設け、他方の対角下面には弧状凹部96m、96nを設ける。また、外輪壁96gには前方に突出する略T字形状突起96pを設け、該突起96pは流調サブユニット92からノズルユニット110へ接続されるチューブを紐等(図示無)により締結固定する際に利用される。流調、脈動ユニット90の下ケース35への取付は後述する。
【0090】
(流調サブユニット92の説明)
流調サブユニット92は、流調ボディ92a、流調モータ92b、ロータシャフト92c、ロータ92d、ロータスプリング92e、ステータ92fから主に構成される。流調ボディ92aには、流入エルボ92g、バイパスポート92h、流出ポート92i、機能部収納室92jを設け、機能部収納室92j内にロータシャフト92c、ロータ92d、ロータスプリング92e、ステータ92fが収納される。ロータシャフト92c周囲にはYパッキン92rを嵌め込み、ロータシャフト92cと機能部収納室92jとの水密性を確保し、ロータシャフトの上方には流調モータ92bの出力軸と一体連結する連結用凹部92sを設ける。また、ロータシャフト92cとロータ92dとは位置拘束ボス92kによって回動不能に一体化する。ロータスプリング92eは、ロータ92dとロータシャフト92cとの間に嵌装し、ロータ92dをステータ92f側へ押圧し、ロータ92dとステータ92fとの面の水密性を確保する。ステータ92fは、切込凹溝92qにより位置拘束し、ネジにより流調ボディ92aに回動不能にシールパッキン92t、92uを介して固定一体化する。
【0091】
ロータ92dには扇状の切欠溝92mを設け、ステータ92fにはバイパスポート92hへ水を導く為のバイパス孔92n、流出ポート92i側への流量を調整して水を導く流調溝92pを設ける。
【0092】
上記構成により、流調モータ92bの回転がロータシャフト92cを介してロータ92dに伝達され、ロータ92dの切欠溝92mとステータ92fのバイパス孔92n若しくは流調溝92pとの重合状態を変更し、図34に示すような流量調節若しくは流路切換が行われる。
【0093】
(脈動サブユニット94)
脈動サブユニット94は、入水ボディ94a、ソレノイド94b、出水ボディ94c、円筒状内筒94d、略円筒形状のポール94e、略円筒形状のプランジャー94f、緩衝ばね94g、付勢ばね94h、断面コ字状の外郭ヨーク94iで構成する。なお、付勢ばね94hの弾性力が緩衝ばね94gの弾性力よりも大きい設定とする。ソレノイド94bは、樹脂性で非磁性材の円筒ボビン94p、円筒ボビン94pに巻き付けられる銅等からなる巻線94q、円筒ボビン94pの外郭を囲む鉄等の磁性材からなる断面コ字状の内側ヨーク94rからなる。円筒ボビン94p内に内筒94dを嵌め込み、この内筒94d内にポール94e、緩衝ばね94g、プランジャー94f、付勢ばね94hを組込み、入水ボディ94aのフランジ部94j、出水ボディ94cのフランジ部94kを外郭ヨーク94iと内側ヨーク94rとで挟着一体化する。プランジャー94f内には逆止弁94lが配置される。
【0094】
上記構成により、ソレノイド94bに通電がなされると、内側ヨーク94r→ポール94e→プランジャー94f→ヨーク94iと閉磁回路が形成され、付勢ばね94hの弾性力に抗して、プランジャー94fがポール94e側へ吸引される。この時、ポール94eとプランジャー94fとの間に形成されるチャンバ94m内の水は出水ボディ94c側へと圧送され、出湯口94tから樹脂製チューブを介してノズルユニット110へ送出される。ソレノイド94bの通電を遮断すると付勢ばね94hによりプランジャー94fは押し戻される。その際、プランジャー94f内の逆止弁94lが開き、流調サブユニット92から入水ボディ94a内の水は、チャンバ94m内に流入する。本実施例においては、70Hz乃至100Hzでソレノイド94bへの通電をオンオフする。なお、プランジャー94fが押し戻される際に、一次側に衝撃波が発生するので、それを打ち消すために、入水ボディ94aにはアキュームレータ94nを設ける。
【0095】
脈動サブユニット94は70Hzないし100Hzで駆動されるため、大きな振動が発生する。これは騒音の原因ともなるので、前述した通り、脈動サブユニット94は防振プレート96へ防振ゴムを介して固定する。更に、これだけでは不十分である為、防振プレート96の取付孔96k、96lを防振ゴム(図示せず)を介して取付ボス36e、36fへネジ止め固定し、防振プレート96の環状溝96m、96nを防振ゴム(図示せず)を介して略十字ボス36g、略ト字ボス36hへ当接係止する。なお、防振プレート96の質量を増す為に、流調サブユニット92をネジ止め一体化する。このように多段防振を行うことで、下ケース35への振動伝達を極小とすることができる。
【0096】
また、脈動サブユニット94には、図示しないバキュームブレーカが取り付けられている。このような圧力変動を生じる脈動サブユニット94のような機器にバキュームブレーカーを設けている為、バキュームブレーカー97の動作が不安定になってしまう。図61はこの実施例に用いたバキュームブレーカー97を説明するための要部拡大図である。図において、出水ボディー94cには空気流入路97dが設けられ、水圧がかかった際に、この空気流入路97dを塞ぐ為にバキュームブレーカー弁体97aが設けられる。このバキュームブレーカー弁体97aの移動を規制するリング状の規制部材97eを設け、この規制部材97eを形状記憶素子製の感温バネ97b及びバイアスバネ97cにて各バネがもう一方のバネ側に付勢するように作用して、バキュームブレーカー弁体97aを間接的に付勢している。なお、感温バネ97bは図62に示すように、低温では縮み、高温では伸びる特性を有し、その変態点は20℃乃至30℃となっている。
【0097】
このような構成であるから、通水が行われない時には、バキュームブレーカー97の温度は室温程度まで下がっており、バイアスバネ97cの付勢力により、規制部材97eは図61(a)の位置に押し下げられる。この時水圧はかかっていないので、弁体97aは空気流入路97dを開放する。なお、弁体97aには連通路97fを設けているので、空気流入路97dから出湯口94tへ大気が導入され、出湯口94tより下流側の配管内滞留水は後述するノズル噴出孔113d、113e、113fから排出される。熱交ユニット70により適温にされた湯が供給されると、水圧により弁体97aは空気流入路97dを塞ぐ。なお、湯の温度により感温バネ97bの付勢力が大きくなる為、バイアスバネ97cに抗して規制部材97eを空気流入口側に押し上げる。従って、弁体97aは拘束され、出湯中に出湯口94t側に負圧が発生したとしても、空気流入路97dを開放することは無い。すなわち、この感温バネ97bが、洗浄水が所定水温以上の時にバキュームブレーカーを動作させない動作制限手段となっている。
【0098】
なお、洗浄水が所定水温より低くなると、出湯中に出湯口94t側に負圧が発生した場合、空気流入口97dが開放されることがある。こうした場合、空気流入口97dから水が吐出される。この実施例では、こうして吐出された水が飛び散らないように、その吐出先に跳ね返り板96rが形成されている。バキュームブレーカ97からの吐水は、跳ね返り板96rに当たった後、排出トイ96hを伝って便器内へ排出される。この構成によれば、バキュームブレーカ97から吐出された水が不測な部分に飛び散るのを防止することができる。
【0099】
よって、水圧変化により開閉を行うバキュームブレーカー97が洗浄水の圧力を変動する脈動サブユニット94の近傍に設けられているに関わらず、洗浄水として湯が供給されている間はバキュームブレーカー弁体97aが開閉動作を行うことはなく、異音等の発生は生じない。
【0100】
(ノズルユニット110の説明)
図37はノズルユニット110の分解斜視図、図38は流路切換ユニット100の分解斜視図、図39は流路切換ユニット100の断面図、図40はノズル本体111の断面図、図41はノズルヘッド113の断面図、図42はノズルユニットの取付説明図である。
【0101】
ノズルユニット110は流路切換ユニット100、ノズル本体111、ノズル駆動ユニット120から構成し、流路切換ユニット100はノズル本体111後端に一体化され、ノズル本体111はノズル駆動ユニット120に摺動自在に取り付けられる。
【0102】
(流路切換ユニット100の説明)
流路切換ユニット100は、切換モータ101、モータ取付板102、伝達軸103、シール材104、流入孔105aを有する流路切換ボディ105、切欠溝106aを有する切換ロータ106、お尻1流出ポート107a、お尻2流出ポート107b、ビデ流出ポート107cを有する切換ステータ107にて構成する。
【0103】
(ノズル本体111の説明)
ノズル本体111は、ノズル胴体112、ノズルヘッド113、パッキン114、流入エルボ115からなり、ノズル胴体112後端には、流路切換ユニット100を収納する収納部112aを設け、該収納部112aの一側壁には流入孔112bを設け、該流入孔112bには流入エルボ115を接着または溶着等で一体化する。収納部112aの他側壁には、ノズル駆動ユニットへの連結部112cを設ける。ノズル胴体112の内部には、上方にお尻1流路112d、下方にお尻2流路112eおよびビデ流路112fを形成し、先端にはお尻1連結用突起112g、お尻2連結用突起112h、ビデ連結用突起112iを設ける。
【0104】
ノズルヘッド113の後端には、お尻1連絡流路113a、お尻2連絡流路113b、ビデ連絡流路113cを設け、突起112g、h、iと流路113a、b、cとの間にパッキン114を介装する。ノズルヘッド113先端には、奥から順にお尻1噴出孔113d、お尻2噴出孔113e、ビデ噴出孔113fを設ける。お尻1噴出孔113dと流路113aとは直線流路にて形成されるが、流出ポート107b、107c、流路112e、112f、連絡流路113b、113cは中心からずれて配置されるので、お尻2噴出孔113e、ビデ噴出孔113fとお尻2連絡流路113b、ビデ連絡流路113cとは図41(c)に示すように偏芯して形成する。お尻1噴出孔113dは、お尻洗浄に際して常用されるものである(お尻洗浄)。お尻2噴出孔113eは、お尻に洗浄水を吐水するに際して柔らか感を与えるものである(柔らか洗浄)。ビデ噴出孔113fは、女性局部に向けて洗浄水を吐水する(ビデ洗浄)。
【0105】
なお、ノズル胴体112の流入エルボ115付近には、流路切換ユニット100の配線を束ね固定するための断面コ字状配線収納リブ112jを設ける。
【0106】
(ノズル駆動ユニット120の説明)
ノズル駆動ユニット120は、ノズル本体111を摺動自在に支持するノズル支持台123、ノズル支持台123の右側後方に取り付けられるノズル駆動用モータ124、ノズル支持台123の左側後方に取り付けられ、ノズル駆動用モータ124に回動不能に固定される大プーリー125、ノズル支持台123の後端の取り付けられノズル本体111の移動を拘束するストッパ126、ノズル支持台123の前端及びストッパ126に取り付けられる2個の小プーリー127、大プーリー125及び小プーリー127及びノズル本体111の連結部112cに取り付け、ノズル本体111へモータの駆動を伝達するタイミングベルト128、ノズル支持台123に上下動自在に取り付けられタイミングベルトの弛みを調整する為のテンショナ129にて構成する。
【0107】
ノズル支持台123の先端にはノズル洗浄室121を設け、その側方には流調サブユニット92のバイパスポート92hに樹脂製チューブで接続される洗浄ポート122を形成する。
【0108】
(ノズルユニット110の取付)
ノズルユニット110の取付は、ノズルユニット110を下ケース35の左右動拘束壁36kに沿って前後方向にスライドさせ、ノズル駆動ユニット120に設けた取付フランジ123aを下ケース35に設けた上下動拘束リブ36i内に嵌め込み、取付フランジ123bを下ケース35に設けたボス36iにネジ固定することで行われる。
【0109】
上記構成により、ノズル駆動用モータ124の正転逆転がタイミングベルト128によりノズル本体111に伝達されノズル支持台123の傾斜に沿って2個の小プーリー127間を往復動可能とされる。また、ノズル本体111収納時、ノズルヘッド113はノズル洗浄室121内に有り、洗浄ポート122から供給される水によりノズルヘッド113が洗浄される。
【0110】
ノズル本体111の伸縮方向の角度は、前述したとおり上ケース31の傾斜部31aと略同一であるが、この傾斜角(水平面から30乃至40度)は、本出願人の長年の研究により得られたものであり、単一のノズル本体111からおしり及びビデを狙うのに最適な角度であり、また、座る位置、体格等のばらつきを吸収できる最適な角度でもある。
【0111】
また、本実施例においては、ノズルユニット110の嵩は110mm程度で、上ケースの略フラット面31pの嵩は120mmとして、10mm程度の余裕を持った高さを有しているのは、ノズル本体111へ水を供給するチューブがノズル本体111と共に可動する必要があるため、この可動スペースを確保するためである。この余裕代は最低限必要なもので、もし、この余裕が無い場合には、チューブが上ケース31とノズルユニット110とで圧迫され、何れチューブは破損する。また、ノズルユニット110の奥行きは160mm程度であり、これも上ケースの奥行きと略等しい。
【0112】
(乾燥、脱臭ユニット130)
図43は乾燥、脱臭ユニット130の分解斜視図、図44は乾燥流路形成上体131の斜視図、図45は乾燥流路形成下体132の斜視図、図46は脱臭流路形成下体142の斜視図、図47は組立状態での斜視図、図48は(a)背面図、(b)正面図、(c)平面図、図49は一部を切り欠いた平面図、図50は乾燥ヒータの側面図及び斜視図である。
【0113】
乾燥、脱臭ユニット130は、乾燥流路形成上体131、乾燥流路形成下体132、汚水侵入防止壁133、乾燥ヒータ134、乾燥ヒータ収納箱135、乾燥用サーミスタ136、乾燥用ファン137からなる乾燥装置139と、目詰まり防止フィルタ141、脱臭流路形成下体142、脱臭流路形成上体143、脱臭触媒144、脱臭用ファン145からなる脱臭装置140とからなる。
【0114】
(乾燥装置139(温風発生機構)の説明)
乾燥流路形成上体131は、外壁面131a、上壁面131b、内壁面131c、脱臭流路形成面131dから構成され、乾燥流路形成上体131の外壁面131a、内壁面131cには下方に突出する乾燥ヒータ134の収納用突起(図示せず)を3個所、側方に突出する乾燥用サーミスタ136の収納用突起(図示せず)を1個所、側方に突出するヒータ線取出用突起131vを1個所設ける。更に、外壁面131aには下ケース35への取付部131tを設ける。また、乾燥流路形成上体131の後端部131vよりも端は薄肉とし、乾燥用ファン挿入代を形成する。
【0115】
上壁面131bは、傾斜面131hと乾燥ヒータ収納面131iからなり、傾斜面131gには上側に突出する突出壁131jを設ける。この突出壁131jは、流調サブユニット92のバイパスポート92hとノズルユニット110の洗浄ポート122とを連結する樹脂製チューブの案内ガイドとして機能する。また、傾斜面131gと上ケース31の傾斜部31aとで樹脂製チューブを挟み、この樹脂製チューブにて脱臭用ファン145側への汚水浸入を防止する。
【0116】
内壁面131cの側方には脱臭流路形成部131dを形成する。この脱臭流路形成部131dは奥壁面131l、上壁面131bと連続形成される脱臭流路形成上面131m、脱臭吸込口132kを囲み脱臭流路形成上面131mから前部及び側部に垂下連設される周囲壁131pからなり、この周囲壁131pには乾燥流路形成下体132との係合凹部及び下ケース35への取付部131qを設ける。また、奥壁面131l後部には乾燥用モータ取付部131w及び脱臭流路形成下体取付部131zを設ける。
【0117】
なお、乾燥流路形成上体131の前面部には、汚水浸入防止壁133用ヒンジ受け131yを設け、汚水浸入防止壁133の両側にはヒンジ部133aを設ける。
【0118】
乾燥流路形成下体132は、外壁面132a、底面132b、内壁面132c、脱臭流路形成面132dから構成され、乾燥流路形成下体132の外壁面132a、内壁面132cには乾燥ヒータ134の収納用切欠132eを3個所、乾燥用サーミスタ136の収納用切欠132fを1個所、ヒータ線取出用切欠132vを1個所設け、後端には乾燥用ファン137の取付用切欠132gを設ける。なお、この取付用切欠132g付近の底面132bを先に行くに連れ薄くし、この付近の外壁面132aが弾性変形可能に形成する。更に、外壁面132aには下ケース35への取付部132tを設ける。また、乾燥流路形成下体132後端にストッパリブ132vを設け、乾燥用ファン挿入代を形成する。
【0119】
底面132bは、傾斜面132hと乾燥ヒータ設置面132iからなり、傾斜面132g裏側には下方に垂下する垂下壁132jを設け、下ケース35の開口36lとで脱臭吸込口132kを形成する。なお、垂下壁132jの側面壁には目詰まり防止フィルタ141の係止用開口132uを設ける。
【0120】
内壁面132cの側方には脱臭流路形成面132dを形成する。この脱臭流路形成面132dは奥壁面132l、底面132m、前壁132nからなり、前壁132nには、脱臭吸込口132kを囲む周囲壁132pが連設され、この周囲壁132pには乾燥流路上体131との係合爪及び下ケース35への取付部132qを設ける。また、前壁132nと周囲壁132pとの間には目詰まり防止フィルタ141の取付用開口132r、脱臭流路形成下体142を仮固定するためのフック132sを設ける。目詰まり防止フィルタ141には係止突起141aと、弾性係止片141bを設け、前記開口132uに係止突起141aを挿入し、取付用開口132rに弾性係止片141bを弾性係合させることで目詰まり防止フィルタ141を開口132kに取付ける。
【0121】
乾燥ヒータ134は、マイカ等の耐熱性を有する2個の支持板134a、134bを対称線部分に形成したスリットを相互に噛み合わせて接合し、それらの長手方向一端を固定金具134cを用いて挟持一体化して横断面X字形状となる主体134dを構成し、この主体134dの周部となる各支持板134a、134bの稜線部分に等間隔で複数の凹部134e、凹部134fを形成する。なお、凹部134eは傾斜を付けて形成する。また、この傾斜は上下の稜線で逆とする。以上のように構成してなる主体134dの外周、即ち、各支持板134a、134bの稜線部分において、該稜線上に形成した凹部134eに嵌合させて数本のコイル状電熱線134gを交互に、且つ各支持板134a,134bの一側から他側に向かって螺旋状となるように捲回する。なお、支持体134bは2枚のマイカ板からなり、温度ヒューズ134hは2枚のマイカ板に収納用切込を設けその部分に挟み込み、2枚のマイカ板間で、リード線取出部134iと電熱線134g、電熱線134gと温度ヒューズ134h、温度ヒューズ134hとリード線取出部134jとを夫々結線接続し、このように結線された乾燥ヒータ134を乾燥ヒータ収納箱135内に収納しユニット化する。なお、支持板134aに設けた3個所の取付部134kは収納箱に設けたスリット135aから外側へ突出させる。ところで、従来は支持板134b上に温度ヒューズ134hが設置され、また、結線も支持板134b上で行われていたのだが、2枚のマイカ板の間で結線を行うようにしたので、乾燥用ヒータ134を従来よりも薄くすることが可能である。また、凹部134eを傾斜して設けたので、コイル場電熱線134g捲回時、外れにくくすることができ、作業性が向上する。
【0122】
乾燥用ファン137は中央にモータ(図示無)を一体化しており、その下部を吸込口(図示無)とし、周囲の一端を吐出口137aとする。また、乾燥用ファン137の周囲に2個所の取付部137b、137cを設ける。なお、この乾燥用ファン137は脱臭用ファン145と兼用する。
【0123】
上記構成により乾燥装置139は次のように組立てられる。乾燥流路形成下体132の乾燥用サーミスタ収納用切欠132fにサーミスタ136を挿入し、乾燥ヒータ134が収容された乾燥ヒータ収納箱135の取付部134kをヒータ収納用切欠132eに嵌め込み、ヒータ線取出用切欠132vからヒータ用のリード線を取出した後、乾燥流路形成上体131の外壁面131aと乾燥流路形成下体132の外壁面132aとに設けた数箇所のスナップフィット構造(図示無)と、乾燥流路形成上体131の周囲壁131pと乾燥流路形成下体132の周囲壁132pとに設けたスナップフィット構造(図示無)とで一体化する。この際、乾燥ヒータ収納用突起(図示無)にてヒータ取付部134kが、乾燥用サーミスタ収納用突起(図示無)にてサーミスタ136が、ヒータ線取出用突起131vにてヒータ用リード線が夫々の切欠内へ拘束される。また、乾燥流路形成上体131の内壁面131cと乾燥流路形成下体132の内壁面132cとは係合し、各々の外壁面131a、132a及び内壁面131c、132cと上壁面131b、底面132bとで乾燥用送風路を形成する。その乾燥用送風路の終端開口139aに汚水浸入防止壁133をヒンジ部133a、ヒンジ受け131yによって取付け、送風が無い時には汚水侵入防止壁133で開口139aを閉塞し、送風されると風の力で汚水侵入防止壁133を押し開き開口139aを開放する。乾燥用送風路の始端139bには、乾燥流路形成上体131の後端部131vの乾燥用ファン挿入代及び乾燥流路形成下体132後端のストッパリブ132vによる乾燥用ファン挿入代を形成しており、この挿入代に乾燥用ファン137の吹出口137aを挿入する。この挿入は、乾燥用モータ取付部131w、乾燥用モータ取付部132wの間に取付部137cを嵌め込み、そこを中心に乾燥用ファン137を回して吹出口137aを開口139bに挿入する。この時、乾燥用ファン137の突部(組立ての為のスナップフィット部を兼用する)が取付用切欠132g内に弾性係合して仮固定される。その後、モータ取付部131w、取付部137c、モータ取付部132wとをネジにより固定一体化することで乾燥装置139は組立てられる。
【0124】
(脱臭装置140)
脱臭流路形成下体142は、中央に吸込開口142bを有するモータ載置面142a、開口142bから窪んで設けられる吸込ダクト形成壁142c、載置面142aから延出された脱臭流路形成上面142d、上面142d縁に突出して設けられるモータ拘束壁142e、脱臭触媒144を収納する触媒収納下部142f、触媒収納下部142fと載置面142aとを連絡する連絡流路を形成する為の側壁142gとで構成する。なお、触媒収納下部142f側壁にはスナップフィット用の拘束爪142hを左右夫々2個所設ける。また、載置面142aと上面142dの境部分裏面に垂下する垂下壁142iを、載置面142aには脱臭用モータ145固定用のボス142j、142kを、上面142dには乾燥装置139との一体化する為の取付部142lが夫々設けられる。
【0125】
脱臭流路形成下体142は、傾斜面143aと触媒収納上部143bにて構成し、傾斜面143a前端には、脱臭用モータ145の吹出口145aを挿入する為の挿入口143cを形成する。また、触媒収納上部143bの側壁にはスナップフィット用の拘束片143dを左右夫々2個所設ける。
脱臭触媒144は、従来から使用されているものと同様で、活性炭等をハニカム形状に形成したものである。
【0126】
上記構成により、脱臭装置140は次のように組立てられる。脱臭流路形成下体142の触媒収納下部142fに脱臭触媒144を挿入し、脱臭流路形成上体143をスナップフィット構造(拘束爪142hと拘束片143dの弾性係合)で脱臭流路形成下体142に一体化する。
【0127】
脱臭流路形成下体142の側壁142gと脱臭流路形成上体143の挿入口143cとで形成される脱臭用ファン挿入口に脱臭用ファン145の吹出口145aを挿入し、脱臭用モータ145を載置面142aに載置する。その際、脱臭用モータ145の取付部145b、145cは夫々固定用ボス142j、142kに、脱臭用モータ145外周はモータ拘束壁142eに、脱臭用モータ145の吸込口(図示無)は開口142bに夫々セットする。その後、取付部145b、145cを固定用ボス142j、142kにネジ固定することで一体化する。
【0128】
(乾燥装置139と脱臭装置140との組立ての説明)
上記のように組立てられた乾燥装置139と脱臭装置140は以下のように組立てられる。乾燥装置139の脱臭流路形成上面131m、脱臭流路形成面132dの夫々の縁部131m1、132d1、に脱臭装置140の吸込ダクト形成壁142c、モータ拘束壁142eの夫々の縁部142c1、142e1を挿入する。その際、乾燥装置139のフック132sに脱臭装置の垂下壁142iが弾性係合し仮固定される。その後、取付部142lを取付部131zにネジ固定することで一体化する。
【0129】
上記構成により、乾燥用送風路の下部に設けられた脱臭吸込口132kから吸込まれた悪臭は、脱臭流路形成上面131m、周囲壁131p、周囲壁132pで形成した導入ダクト140aから、脱臭流路形成面の底面132m、脱臭流路形成上面142dで形成した案内ダクト140b、吸込ダクト形成壁142c、開口142bを介して脱臭用ファン吸込口(図示無)へ吸引され、吹出口145aから脱臭触媒144へと送出され、触媒144の吸着脱臭により無臭化されて上ケース31背面に形成された吹出口32xよりトイレ室内へ排出される。
【0130】
また、下ケース35と乾燥、脱臭ユニット13との下部吸込空間140Sから乾燥用ファン137内に空気を吸引し、吸引された空気は乾燥ヒータ134で温められ終端開口139aから温風を吹出す。なお、乾燥用サーミスタ136で温風温度を検出し、所定の温度となるよう乾燥ヒータ134の通電を制御する。
【0131】
この乾燥、脱臭ユニット130の下ケース35への取付は、取付部131t、132tを下ケース35に設けた取付ボス36jに、取付部131q、132を取付ボス36kに、取付部137bを取付ボス36lにネジ固定することで行われる。
【0132】
(補助操作ユニット150)
図51には補助操作ユニット150の拡大斜視図を示す。補助操作ユニット150は、スイッチが配置されるスイッチ基板151、スイッチ基板151及びホールICからなる便蓋の倒伏状態を検知するスイッチ基板(図示無)を一体化しケースに取り付ける取付基板152及び便蓋倒伏検知スイッチ基板(図示無)にて構成する。取付基板152には、下ケース35に設けた挿入ガイド36q、36qに差し込まれる下側拘束部152a、上ケース31に設けた係止溝32aで挟み込まれる上側拘束部152b、上ケース31に設けたリブ32bにより押圧される押圧部152c、便蓋倒伏検知スイッチ基板(図示無)を挿入する挿入ガイド152d、便蓋倒伏検知スイッチ基板(図示無)を固定する固定爪152e、スイッチ基板151を固定する固定爪152f、スイッチ基板151に設けらるガイド孔151aを挿入するガイド用突起152gを設ける。また、スイッチ基板151の配線をまとめて保持する為の保持片152hを取付基板152の側周部に設ける。なお、便蓋倒伏検知スイッチ基板(図示無)は便蓋10のヒンジ部に収納された磁石10xの磁力を感知することで、便蓋の倒伏状態を検知する。
【0133】
(第1制御ユニット160)
第1制御ユニット160は、図15乃至図17に示されるように、ポッティングケース160aと制御基板(図示無)により構成され、ポッティングケース160aには、下端に下ケース35に設けたヒンジ受け36rに回動自在に支持されるヒンジ軸161、側壁に下ケース35の被水防止壁36tにネジ固定される固定孔162を有する。ポッティングケース160aの表面には主にAC負荷を制御する為の素子が配置される制御基板が配され、裏側には人体検知センサ165及び異常状態報知或いはリモコン信号受信確認音を発生するブザー167が取付けられる。また、下ケース35の中央付近に設けられた被水防止壁36tとポッティングケース160aの側壁とで制御基板への被水を防止する。ポッティングケース160aの右側壁には便座20が倒伏状態にあることを検知する為のホールIC等からなる便座倒伏検知スイッチ基板(図示無)を取付ける為の取付部168が一体に形成される。この便座倒伏検知スイッチ基板により便座20のヒンジ部内に設けた磁石20xの磁力を感知することで、倒伏状態を検知する。
【0134】
図63に人体検知センサ165の取付構造を示す。160bは内部にスプリング160fを収納する位置決めボス、160cは小径部160d及び大径部160eを有し、内部にネジ溝を形成した取付用ボスであり、ポッティングケース160aの裏面に一体に形成される。人体検知センサ165は、センサ取付台165aと、発光素子及び受光素子を搭載したセンサ基板165fからなる。センサ取付台165a下面には位置拘束杆165b、環状ボス165cを設け、環状ボス165cには、取付用孔165gを設けるが、この取付用孔165gは、ポッティングケース160aの小径部160dよりも大きく、大径部160eよりも小さい径とする。人体検知センサ165の取付は位置拘束杆165bを位置決めボス160b内に嵌挿し、環状ボス165cを取付用ボス160cに係合載置した状態で、ネジ165dをワッシャ165eを介して取付用ボス160c内に螺合固定することで行われる。従って、上方への抜けは、位置拘束杆165bと位置決めボス160bとのラップ代及びワッシャ165eとで防止されるが、取付孔165gと小径部165d、環状ボス165cと大径部165eとは余裕があるため、その分左右及び上下に移動自在に固定されている。上ケース31には補整部材としての位置拘束用リブ32dが設けられているが、この位置拘束用リブ32dは下方では人体検知センサ165の幅よりも大きな間隔を有し、上方になるに連れ人体検知センサ165の幅と略同一の間隔としている。従って、上ケース31を下ケース35に取付ける際に、上ケース31に設けた位置拘束用リブ32dで人体検知センサ165の両側部を挟み込みながらスプリング160fに抗して下向きに付勢することで人体検知センサ165の取付位置が微調整され、最終的な位置に拘束固定される。
【0135】
(第2制御ユニット170)
図64には第2制御ユニット170の概略上面図を示す。第2制御ユニット170は、クランク形状のポッティングケース170aと主にDC負荷を制御する為の素子が配置される2枚の制御基板171,172により構成され、ポッティングケース170aには、下方に延びる4本の取付脚170b、制御基板と各内装機器の配線をまとめて保持する配線保持部170c、ポッティングケース170a裏面に一体に形成するチューブ保持部170d、ポッティングケース170a側壁に一体に形成する配線受けリブ170eを設ける。また、制御基板の部品の一つであるトランス170fには表示基板175を取り付ける。ポッティングケース170aをクランク形状とし、ノズルユニット110後端部のスペースを開放する開放部170gを設けることにより、ノズルユニットに接続される樹脂製チューブの移動スペースを確保する。また、前方にはヒンジ用スペース170hを設けることで、上ケース31の左右に傾斜凹部31cを形成することができる。制御基板171と制御基板172とは、コネクタ171aとコネクタ172aとで結線され、制御基板171の外周側171bにモータ等の負荷の接続配線を接続するためのコネクタを配置することで、制御基板171のパターン形成を容易にする。また、上ケース31とのクリアランスに最も余裕がある便座・便蓋支持部31bの中央隆起部の下方に位置する基板172には、放熱部品を集中的に配置する。これにより、基板の発熱による上ケース31の変形などを防止する。
【0136】
(リモコン180)
図52にはリモコン180の正面図を示す。リモコン180には、お尻1洗浄スイッチ181、お尻2洗浄スイッチ182、ビデ洗浄スイッチ183、止スイッチ184が設けられ、投光LED185により、装置本体30の受光器169へと信号が送信される。リモコン180の表面には蓋186が設けられ、隠蔽部に設けられる脱臭入切スイッチ、ノズル洗浄用スイッチ、節電スイッチ等の比較的使用頻度の少ないスイッチ群189、液晶表示部188を隠蔽する。比較的使用頻度の少ないスイッチ群189の中でもムーブ入切スイッチ、マッサージ入切スイッチ、温度調節スイッチ、流量調節スイッチ等使用頻度が中程度のスイッチ189を蓋186隠蔽時にも操作できるように開口群187を設け、液晶表示部188のうち使用頻度が中程度のスイッチに関する表示部が露出するよう開口部188bを設ける。スモーク190の内部には発光LEDが配され、赤外線信号を装置本体30の受光器169に送信する。
【0137】
次いで、リモコンのより具体的な実施例を図53、図54により説明する。図53(c)の正面図における最上面に、便器洗浄スイッチ「流す大」と「流す小」が設けられている。このスイッチは、左側の「流す大」は大便時の便器洗浄スイッチであり、「流す小」は小用時の便器洗浄スイッチである。スイッチの前面寄りには、横長な突起が設けられていて、そこが操作スイッチであることが意匠的にわかるように配慮されている。また、この突起により、このリモコンの上面にちょっとした小物(ヘアピンなど軽いもの)を仮置きした場合には、その小物の落下防止の役目も果たす。なお、この便器洗浄スイッチを設けず、局部洗浄装置の動作のみを遠隔操作するスイッチのみを設けるようにしてもよい。
【0138】
また、同図の便器洗浄スイッチの直下に、図面左側から順に、「止スイッチ」、「おしり洗浄スイッチ(お尻1洗浄スイッチ)」、「やわらか洗浄スイッチ(お尻2洗浄スイッチ)」、「ビデ洗浄スイッチ」、「乾燥スイッチ」が並設されている。この部分は、局部洗浄装置の最もよく使用されるスイッチであるので、スイッチ釦の大きさを大きくし、わかりやすい絵文字表示としている。また、個々のスイッチ自体は四角形であり、リモコンの前面と略面一となる形態なので、操作スイッチであることが意匠的にわかるよう、各スイッチの表面に小突起(止スイッチ)やエンボス加工(その他のスイッチの丸部分)を設けている。また、これらのスイッチは、従来のリモコンのスイッチと異なり、互いに四角形の辺同士を隣接させてリモコンの端から端までを操作スイッチが連続した形態となっている。このことにより、スイッチ個々の大きさを大きくすることができるので、操作時の的が大きくなり操作がし易くなった。また、弱視者にとっても主要操作スイッチが横一列に並んだ形態であるので、意匠的なまとまりがあるうえ、指先でのタッチによりスイッチ群の個々のスイッチの識別が可能となるので、弱視者にとっても操作のしやすいものとなる。
【0139】
なお、図52の実施例の投光LEDの位置に乾燥スイッチを配置している関係上、図53の実施例では、便器洗浄スイッチの裏側に投光LEDを内蔵させて、便器洗浄スイッチの側壁投光部からLEDの投光を行っている。
【0140】
さらに、上記主要操作スイッチの直下には、蓋により隠蔽された操作面に、洗浄や乾燥の諸設定値の変更を行う設定変更スイッチ部が設けられている。多数設けられた設定変更スイッチのうち、蓋閉止時には、ムーブ洗浄の入切り、マッサージ洗浄の入切り、水勢の強弱調節、ノズルの洗浄位置の前後調節のスイッチと水勢及び洗浄位置が表示された液晶表示部が、蓋に開けられた開口群から表面側に露出して、各スイッチが操作可能になっている。また、蓋開放時には、加えて、節電機能の設定スイッチ、ノズルそうじ用スイッチ(ノズル洗浄用スイッチ)、温水温度設定スイッチ、便座温度設定スイッチ、乾燥温度設定スイッチ、脱臭入切りスイッチが設けられている。さらに中央の液晶表示部は、前述の水勢及び洗浄位置の表示に加えて、節電機構の設定条件、温水温度の数値表示、便座暖房温度の数値表示、乾燥温度(高、中、低)、脱臭の有無を表示可能としている。
【0141】
液晶表示部の表示内容を詳述する。表示部左上の「タイマー節電」の表示は節電タイマーのスイッチ入り時にのみ文字表示を行う。その下の「節電時間」では3時間、6時間、9時間の複数の設定時間から選択された時間を選択表示する。その下の「おまかせ節電」は、おまかせ節電の入り時にのみ文字表示を行う。なお、おまかせ節電とは、局部洗浄装置の使用履歴を記憶して装置自体で使用状態を推測し、その推測値により装置が自動的に人の使用状態には通電、非使用時には非通電もしくは小量通電とするものである。その下の水勢表示は、強弱スイッチの操作により使用者が選択した水勢までの棒線表示を行う。さらに、その下の洗浄位置表示は、前後調節スイッチにより選択された洗浄位置をノズル噴出絵の選択表示で示すものである。なお、水勢表示と洗浄位置表示の間に示される黒丸に4重円弧を施したマークは、各操作スイッチの操作時にのみ数秒間点滅表示するものである。スイッチ操作でこの表示が点滅すれば、リモコン側の回路は正常で、局部洗浄装置本体側の異常であることと推測でき、スイッチ操作してもこの表示が点滅しなければリモコンの回路あるいは構造面で異常があると推測でき、異常個所の特定がしやすいという利点がある。続けて、液晶表示部の右上部の温水温度表示は、設定された温水温度をデジタル表示する。その下の便座暖房温度表示は、設定された便座暖房温度をデジタル表示する。その下の乾燥温度表示は、高中低から選択された乾燥温度を選択表示する。その下の脱臭表示は、脱臭スイッチ入り時に脱臭の文字表示を行う。
【0142】
以上説明したように、洗浄や乾燥の諸設定値のうち、使用者の好みによって変更することが多い設定値のみ、蓋を開かずに変更でき、且つその変更部分のみ表示が外から見えるようになっているのである。これにより、多数の設定スイッチの多くを蓋の下部に覆っておきながら、使用者が日常使用する設定スイッチのみを外部に露出させて使い勝手を向上させている。
【0143】
また、ムーブ洗浄の入切り、マッサージ洗浄の入切り、水勢の強弱調節、ノズルの洗浄位置の前後調節のスイッチは、蓋の表面側の縦一列に並んで配設されているうえ、2つのスイッチが対になって1つの機能の切換えを行うスイッチ(水勢の強弱調節、洗浄位置調節のスイッチ)では、対になるスイッチの間をスイッチより背の低い突リブにより結んでいる。このため、意匠的なまとまりがあるうえ、指先でのタッチによりスイッチ群の個々のスイッチの識別が可能となるので、弱視者にとっても操作のしやすいものとなる。
【0144】
また、水勢調節や洗浄位置調節では、スイッチは指先で押せる程度の小さな円形スイッチの表面に「強」、「弱」の表示を施し、水勢調節スイッチあるいは洗浄位置調節スイッチであることは、液晶表示部の文字表示にて識別するようにしている。したがって、スイッチが設けられた蓋あるいは操作面自体に文字が書かれていないので、長期間使用する間に文字が擦れて消えてしまうこともないうえ、スッキリとした外観が得られている。
【0145】
なお、各設定変更スイッチのうち、蓋閉止時に蓋で隠蔽されるスイッチについては、蓋閉止時にそのスイッチの動作を禁止する機構とはなっていないため、閉じている蓋を強く押してしまうと蓋が撓んで知らぬうちにスイッチを押してしまい、使用者の意図に関わらず設定が変わってしまう可能性がある。この誤動作を防ぐために、断面図に示すごとく、蓋の裏面にスイッチ誤動作防止部を設けている。このスイッチ吸収部は、蓋をスイッチ側に押し込んだときに、スイッチが設けられた操作面に当接してそれ以上の押し込みがないようにする当接壁と該当接壁の内側を凹設させて当接壁が操作面に当接した時にスイッチの押し込みがないようにスイッチ頭部を収めるスイッチ収容部とで構成される。このスイッチ誤動作防止部を蓋閉止時に蓋で隠蔽されるスイッチに対応させて設けることにより、例えば使用者が知らぬうちに洗浄温度や便座温度が高くあるいは低くなることがなくなる等、スイッチの誤動作を防止できる。
【0146】
(オプション機器用コンセント195)
図65(a)には、オプション機器用コンセント195の概略背面図、図65(b)にはオプション機器用コンセント195の概略分解斜視図を示す。
【0147】
脱臭装置140の下部吸込空間140Sで、下ケース35の左背面コーナー部にはオプション機器用コンセント195を設ける。
【0148】
オプション機器用コンセント195は、ゴム等の弾性部材からなる防水ブッシュ196及びコンセント受体197からなる。防水ブッシュ196は、4つに分割される閉塞片196aとコンセント受体197が嵌合される嵌合部196bからなり、コンセント受体197は、電力供給の為のマイナス極197a、プラス極197b、下ケース35に取付ける為の取付部197c、第2制御ユニット170に接続するための接続線197dから構成される。このように構成されたオプション機器用コンセント195にオプション機器のコンセント198を差し込むことで、弾性部材からなる閉塞片196aが押し広げられ、コンセント198とコンセント受体197とが電気的に接続されることで、オプション機器に局部洗浄装置から電力が供給される。オプション機器を接続しない場合には、閉塞片196aにより、ケース内のゴミ等の侵入が防止される。なお、オプション機器としては、リモコン便器洗浄ユニット等(図示無)がある。
【0149】
(本体着脱検知機構、水抜機構の説明)
本実施例においても、特開平8−326130号等で提案した局部洗浄装置本体の着脱機構を備える。鉤状突起と鉤状凹部との係合による着脱機構については、特開平8−326130号の内容とまったく同様なので、本願では説明しないが、本体着脱検知機構、水抜機構においては異なるので、その点について、図66を用いて説明を行う。図において、1は便器(図示無)に固定される係合部材、2は水抜き用レバー、3は着脱検知バー、4は着脱検知スイッチである。1には突出部1aが設けてある。水抜きレバー2は、水抜栓74を付勢する水抜栓付勢部2aと下ケース35内壁面に沿って動作させる為のガイド部2bとでL字状に形成し、ガイド部2b中途には下ケース35に設けた水抜レバー用開口38から外部に突出する水抜き操作用取手2c、ガイド部2b終端裏面にはスライド溝2dを設ける。着脱検知バー3の回動軸3aにはバネ(図示無)を配置し、このバネのトーション力により常時は着脱検知バー3を着脱検知スイッチ4側に付勢する。なお、着脱検知バー3の終端上面には突起3bを設け、この突起3bは水抜きレバー2のスライド溝下端に干渉するよう配置される。着脱検知スイッチ4はマイクロスイッチなどから構成され、スイッチ杆4aが回動することでスイッチのオンオフが行われる。
【0150】
次に動作を説明する。図66(a)に示すように下ケース35を含む装置本体30を係合部材1に取付けた状態では、この突出部1aにより着脱検知バー3をバネのトーション力に抗して外側に開いた状態で保持する。この時、突起3bとスライド溝2dとは当接しているので、水抜きレバー2は動かすことができない。図66(b)に示すように装置本体30を係合部材1から取り外すと着脱検知バー3はバネのトーション力により、着脱検知スイッチ4のスイッチ杆4aを押し、スイッチオン状態とする。この時、突起3bはスライド溝2dの中程まで図上右方向に移動しているので、突起3bとスライド溝2dとには移動代が確保され、水抜きレバー2を操作することができる。この状態で図66(c)に示すように、水抜き操作用取手2cを図上右側に操作すると、水抜栓付勢部2aにより、水抜き栓74の水抜き弁体74cは押込まれ、ゴム製弁座74dから離座し、下ケース35下面に設けた水抜き孔39(図17参照)から水が排出される。水抜き操作用取手2cを戻し忘れた状態で図66(d)に示すように装置本体30を係合部材1に再度取付けると、突出部1aにより着脱検知バー3をバネのトーション力に抗して外側に開き、着脱検知スイッチ4をオフ状態にすると共に、突起3bとスライド溝2dにより、水抜きレバー2を元の位置へ押し戻す。従って、水抜き操作後水抜きレバー2を元に戻し忘れても、装置本体30を取付けることで水抜き操作は解除され、通常使用状態へと戻すことができる。
【0151】
(動作の説明)
図55には水路系ブロック図、図56にはお尻1洗浄スイッチを操作した時のタイムチャート、図57には前洗浄モードのフローチャート、図58にはノズル胴部洗浄モード1のフローチャートを示す。また、図67に、タイムチャートの変形例を示す。
【0152】
使用者が便座20へ着座すると人体検知センサ165により着座が検出される。この検出信号により、待機モードから捨水モードへと移行する。捨水モードでは、電磁弁66および円筒状セラミックヒータ71への通電が開始されると共に、流調サブユニット92をバイパスポート92hおよび流出ポート92iの双方ともに開状態の位置へ移行し、お尻1噴出孔113d、お尻2噴出孔113e、ビデ噴出孔113fおよび洗浄ポート122の全てのポートから水を吐水し、ノズルヘッド113の洗浄を行う。着座から所定時間(本実施例では15秒)経過若しくは所定温度(本実施例では40℃)をリミットサーミスタ82で検知すると、電磁弁66および円筒状セラミックヒータ71への通電を停止し、捨水モードを終了し保温モードへと移行する。なお、以下に説明する各モードでのヒータ通電制御の様子については、後述する。
【0153】
この保温モードでは、円筒状セラミックヒータ71のワット容量1200Wのうち20ないし100W程度もしくは10ないし100W程度しか利用しない。よって、次のような利点がある。
熱交換ユニットが貯湯式であれば、自然対流し易い構造を採っているのだが、本発明の瞬間式熱交換ユニット70は瞬間式であるので、自然対流が起こりにくい構造である。よって、上記のように低いワット数しか通水の無い状態では通電をしないので、通水の無い状態で1200Wのフル通電を行った場合に起き得る核沸騰(特定箇所のみ加熱される)を起こすことがない。また、核沸騰が起きないので、熱溜りが発生し難くなり、おしり洗浄の際にハンチング(熱湯と冷水とが不定の周期で不安定に吐水される状態)を起こすようなこともない。なお、貯湯量はわずか(本実施例では10〜20cc程度)なために、低ワットであっても瞬間式熱交換ユニット70内の湯は冷めることはない。
【0154】
お尻1洗浄スイッチ181を押すと、保温モードから前洗浄モードへと移行する。前洗浄モードは、流路切換ユニット100の流路をお尻1流路107aに切換え、この切換動作が完了すると流調サブユニット92をバイパス孔92n側へと移行すると同時に、電磁弁66および円筒状セラミックヒータ71への通電を開始し、洗浄ポート122からノズルヘッド113の洗浄を行う。リミットサーミスタ82で検知する出湯温度が所定温度(本実施例では40℃〜設定温度+2.5℃)範囲内で所定時間(本実施例では1.5秒)継続するか、若しくはリミットサーミスタ82で検知する出湯温度を問わず所定時間(本実施例では5秒)経過すると、前洗浄モードからノズル胴部洗浄モード1へと移行する。ノズル胴部洗浄モード1では、ノズル駆動用モータ124へ通電を開始し、ノズル本体111を所定の位置(お尻洗浄位置)へ移動する。その際、バイパスポート92hから湯は出たままなので、ノズル本体111の胴部分を洗浄することができる。
【0155】
ノズル本体111の所定位置(お尻洗浄位置)への移動が完了すると、ノズル胴部洗浄モード1からソフトスタートモードへ移行する。ソフトスタートモードでは、流調サブユニット92をバイパス孔92nから流調溝92pへとを切り替える。流調サブユニット92のロータ92dが設定流量よりも3ステップ低い位置へ移動するタイミングに合わせて、脈動サブユニット94を駆動し、お尻の洗浄を開始する。ロータ92dが設定流量の位置に移動完了するとソフトスタートモードから本洗浄モードへと移行する。このように設定流量よりも数ステップ前の段階で脈動サブユニット94を動作させたので、次の利点がある。洗浄開始時点では洗浄水流路内に空気が入っていることがある。この状態のまま脈動サブユニット94を動作させると大きな音を発生させてしまうことがあるが、上記のように設定流量よりも小流量の段階で脈動を発生させるので、この音の発生を抑制することができる。なお、設定流量が小さく、3ステップ前から脈動サブユニット94を動作できない場合は、例えば設定流量ステップ数が2であれば、この設定流量(ステップ2)に達してから脈動サブユニット94を動作させる。本洗浄モードでは設定流量の洗浄を行う。
【0156】
止スイッチ184を押すと、本洗浄モードからノズル胴部洗浄モード2へ移行する。ノズル胴部洗浄モード2では流調サブユニット92を流調溝92pからバイパス孔92nへ切換え、バイパス孔92nへの移行が完了すると、ノズル駆動用モータ124へ通電し、ノズル本体111を装置本体30内に収納すると同時に、流路切換ユニット100を流路117a、117b、117c全て開放する位置へと移行しておく。この時も、バイパス孔92nから湯が出たままなので、ノズル本体111の胴部分は洗浄される。ノズル本体111の収納を完了するとノズル胴部洗浄モードから後洗浄モードへと移行する。
【0157】
後洗浄モードでは、流調サブユニット92をバイパス孔92nから流調溝92pへと流路を切り替え、更に脈動サブユニット94を駆動して、噴出孔113d,113e、113fから湯を噴出し、ノズルヘッド113の洗浄を行う。所定時間(本実施例では3秒)経過後、電磁弁66および円筒状セラミックヒータ71への通電を停止して後洗浄モードから水抜/保温モードへ移行する。水抜/保温モードではまずバキュームブレーカー83が作動して、バキュームブレーカー83から流調サブユニット92までの流路内の滞留水を排出する。そして、バキュームブレーカー97付近の滞留水温度が下がって感温バネ97bの付勢力が弱まり、バキュームブレーカー97が動作し、流調サブユニット92からノズルユニット110までの滞留水が抜ける。なお本発明の局部洗浄装置においては、脈動サブユニット94などは冷めやすい樹脂材料で作製されているので、洗浄後間もなく水抜きが行われる。使用者が用を足し終え、離座すると、流調サブユニット92は初期位置であるバイパス流路のみを開放する位置へ移行する。この間、瞬間式熱交換ユニット70の制御は前述した保温モードの制御を行う。
【0158】
なお、滞留水の排出は、水圧有り(動圧時)の時に空気流入路97dを塞いでいたバキュームブレーカー弁体97aが、洗浄が終了して静圧となったときに開いて大気を配管内に導入することにより行われる、いわゆる配管内の水圧差を利用した動作である。これに代えて、洗浄水の温度により感温バネを動作させて、洗浄水が所定温度以上のときに弁体97aを閉じて洗浄水の排出を行わないようにして、洗浄水が低温となった時に弁体97aを開き、空気流入路97dから大気を導入して滞留水を排出してという水温のみによる水抜き機構とすることも可能である。しかし、洗浄水の圧力変化によるよりも温度変化による方が応答速度が遅いので得策ではなく、バキュームブレーカー97と水温による動作制限手段とを組合せる方が効果的なのである。
【0159】
お尻2洗浄スイッチ182、ビデス洗浄スイッチ183を操作した際には、上記説明のお尻1流路107aをお尻2流出ポート107b、ビデ流出ポート107cに読替えた制御が行われる。
【0160】
図59は着座中の各モードでの瞬間式熱交換ユニット70の制御概念図を示す。捨水モードでは、入水温サーミスタ68によるフィードフォワード制御(以下FF1という)を行う。このFF1はできるだけ短時間のうちに洗浄水を昇温させるべく、目標温度を60℃とした過剰通電を行う。この時の通電量は、下記演算式▲1▼から算出するようにした。
W(FF1)=α1×(60−Thc) …▲1▼
ここで、Wは投入ワット数(通電量)、α1はゲイン、Thcは入水温サーミスタ68の検出温度(入水温)である。
このように、捨水モードにおいて上記演算式▲1▼で求まる通電量の過剰通電を行うので、瞬間式熱交換ユニット70にて早期のうちに洗浄水を温水化できる。
【0161】
こうして温水化された洗浄水は、ノズル本体111が装置本体30内の待機位置にある時に、ノズルヘッドの各噴出孔113d〜113fと洗浄ポート122から吐水される。よって、この捨水モードにおいて、通常の局部洗浄時の設定温度より高い温度に洗浄水が温水化されたとしても、このような高い温度の洗浄水を局部に吐水することがなく、好ましい。また、この温水化済み洗浄水を、ノズルヘッドの各噴出孔に至るまでの管路に流すと共に、ノズルヘッドにその外表面側からかけることができる。よって、管路自体とノズルヘッドを前洗浄・本洗浄に先立ってある程度暖めることができるので、着座の後に素早く洗浄スイッチが押されて洗浄水を局部に吐水するような場合には、洗浄水が接触する部材であるノズルヘッドによる冷却をある程度抑制でき、洗浄水の温度維持の点から有益である。
【0162】
この場合、ゲインα1を可変とすることもできる。例えば、入水温Thcが低いほどゲインα1を大きくすることもできる。また、ある温度(例えば、18℃)を境界にしてそれより低い入水温であればゲインα1を大きく、境界温度以上の入水温であればゲインα1を小さくするようにすることもできる。こうすれば、より短時間で洗浄水の温水化を図ることができる。
【0163】
この実施例では、ヒータの通電制御による温水制御をオン・オフ設定できるようにされているが、この捨水モードに限っては、温水制御のオン・オフに拘わらず、上記演算式▲1▼によるヒータ通電制御(FF1)を、目標温度を30度程度にして実行するよう構成されている。温水制御オフの場合、こうして温水化された洗浄水はノズルヘッドにかけられる。なお、このように温水制御オフの際にも捨水モードでヒータ通電制御を行うのは、保温モード(待機状態)中に温水制御オンとされた時にでも、吐水開始初期から設定温度の湯を供給するためである。
【0164】
上記した捨水モードでのヒータ通電制御に続いては、既述したように捨水モード移行後15秒経過した時点、或いは、リミットサーモスタ82が所定温度(本実施例では40℃)を検出した時点で、保温モードにおけるヒータ通電制御を実施する。なお、捨水モード中に洗浄スイッチを押された場合には、直ちに前洗浄モード〜本洗浄モード〜後洗浄モードへ移行する。
保温モードでのヒータ通電制御では、湯温検知サーミスタ77によるフィードバック制御(以下FB1という)を行う。このFB1ではヒータ通電量のマックス値を20Wもしくは10Wとし、更に目標温度を60℃と洗浄時の設定温度より高くしたフィードバック制御を行う。
【0165】
よって、この保温モードでのヒータ通電制御(FB1)によれば、次の利点がある。まず、この保温モードでの温水化対象洗浄水は、保温モードに先立つ捨水モードでのヒータ過剰通電制御(FF1)により、上記の目標温度に達するようある程度高温とされた洗浄水である。よって、保温モードおけるヒータ通電制御では、このような高温洗浄水に対してフィードバック制御を行い、その際の目標温度も60℃と高くしているので、また、上記のようにヒータ通電量も小さく制限していることから、洗浄水温度を漸増もしくは漸減できる。なお、この保温モードでは、既述したように洗浄水は通水されていないので、20Wもしくは10Wという低通電量であっても、熱交換ユニット内の洗浄水を支障なく温水保温することができる。
【0166】
この保温モードにおける低通電量でのヒータ通電制御(FB1)は、温水制御オフの場合では行わない。つまり、温水制御オンの際には、着座後の上記捨水モードにあっては低い目標温度でヒータ通電制御(FF1)を一旦実行し、その後、保温モードに移行すると、ヒータ通電制御を中断する。このため、温水制御オフで局部洗浄を行う場合には、この保温モードの間に、詳しくは洗浄スイッチが操作されるまでの間に、洗浄水は冷却される。よって、温水制御をオフにして冷水の洗浄水による局部洗浄を望む使用者に違和感を与えることがない。この場合、温水制御オフの設定がこの保温モードの間に温水制御オンの設定に変更されれば、変更時点から、上記した温水制御オンの場合の保温モード時ヒータ通電制御が、60℃という高い目標温度で開始される。よって、温水制御設定の切替後に、速やかに洗浄水を昇温できるので、冷たい洗浄水を局部にかけてしまうようなことが無い。なお、温水制御オフの場合でも、上記の保温モードでのヒータ通電を行うようにしてもよい。こうすれば、設定温度が変更されたり、着座後に温水制御オンに切り換えられても、その後の洗浄水昇温に即座に対応できる。
【0167】
この保温モード中にお尻1洗浄スイッチ181(若しくはお尻2洗浄スイッチ182、ビデ洗浄スイッチ183)の操作が行われると、保温モードから前洗浄モード〜本洗浄モード〜後洗浄モードへ移行する。
前洗浄モード〜本洗浄モード〜後洗浄モードでは、当初、即ち前洗浄モード移行直後におけるヒータ通電制御は、フィードフォワード制御(以下FF2という)を行う。このFF2では、目標温度を(設定温度+20℃)とした過剰通電を行う。この時の通電量は、下記演算式▲2▼から算出するようにした。
W(FF2)=α2×(Tt+20−Thc) …▲2▼
ここで、Wは投入ワット数(通電量)、α2はゲイン、Ttは設定温度、Thcは入水温サーミスタ68の検出温度(入水温)である。
このように、前洗浄モード移行直後において上記演算式▲2▼で求まる通電量の過剰通電を行うので、それ以前の保温モードでの温水化と相まって、洗浄水を、(設定温度+20℃)の温度に近づくよう瞬間式熱交換ユニット70にてより短時間のうちに温水化できる。
【0168】
こうして温水化された洗浄水は、ノズル本体111が装置本体30内の待機位置にある時に、洗浄ポート122から吐水される。よって、前洗浄モード移行直後において、通常の局部洗浄時の設定温度より高い温度に洗浄水が温水化されても、このような高い温度の洗浄水を局部に吐水することがなく、好ましい。また、この温水化済み洗浄水をノズルヘッドにその外表面側からかけて、ノズルヘッドをその後の本洗浄に先立ってある程度暖めることができる。よって、洗浄水が接触する部材であるノズルヘッドによる冷却をある程度抑制でき、やはり、洗浄水の温度維持の点から有益である。
【0169】
この場合、ゲインα1と同様に、ゲインα2を可変とすることもできる。例えば、設定温度Ttと入水温Thcの温度差が大きいほどゲインα2を大きくしたり、ある値の温度差を境界にしてそれより小さい温度差であればゲインα2を小さく、境界温度差以上であればゲインα2を大きくするようにすることもできる。こうすれば、本洗浄に先立つ前洗浄モードにて、より短時間のうちに洗浄水の温水化を図ることができる。
【0170】
上記したFF2による前洗浄モード移行直後のヒータ通電制御を継続中に、リミットサーミスタ82で(設定温度−5℃)を検知すると、それまでのヒータ通電制御(FF2)を、フィードバック制御(以下FB2という)とフィードフォワード制御(以下FF3という)を併用した洗浄時のヒータ第1通電制御へ移行する。このFB2は目標温度を設定温度Ttとした湯温検知サーミスタ77によるフォードバック制御であり、FF3は目標温度を設定温度Ttとした入水温サーミスタ68によるフィードフォワード制御である。この時の通電量は、下記演算式▲3▼から算出するようにした。
W(FB2+FF3)=α3×(Tt−Thc)+GP(Tt−Thh)+GI(Tt−Thh)+WI’+GD(Thh’−Thh) …▲3▼
ここで、Wは投入ワット数(通電量)、α3はゲイン、Ttは設定温度、Thcは入水温サーミスタ68の検出温度(入水温)、Thhは湯温検知サーミスタ77の検出温度(出湯温)、GPは比例ゲイン、GIは積分ゲイン、GDは微分ゲイン、WI’とThh’は前回のヒータ第1通電制御における積分投入ワット数と湯温検知サーミスタ77の検出値である。
【0171】
このように、洗浄時のヒータ第1通電制御において、上記演算式▲3▼で求まる通電量をヒータに通電し、その際にはFB2とFF3を併用しつつヒータ通電を行うので、次の利点がある。まず、FF3に基づくフィードフォワード制御成分により、それ以前の各モードでのヒータ制御による温水化と相まって、洗浄水を、設定温度Ttに近づくよう瞬間式熱交換ユニット70にてより短時間のうちに温水化できる。また、FB2に基づくフィードバック制御成分により、設定温度Ttに近づくよう、かつ、大きなオーバーシュートを起こすことなく洗浄水を温水化できる。
【0172】
こうしてヒータ第1通電制御により温水化された洗浄水は、ノズル本体111が洗浄位置への移動前に待機位置にある間と、既述した条件を経てノズル本体111が洗浄位置に向けて前進移動する間において、洗浄ポート122から吐水される。よって、このヒータ第1通電制御によれば、温水化済み洗浄水をノズルヘッドとノズル本体111にその外表面側からかけて、ノズルヘッドとノズル本体111を直後の本洗浄に先立って暖めることができる。このため、本洗浄時に洗浄水がノズル本体内の流路を通過する間における洗浄水冷却を効果的に抑制でき、洗浄水の温度維持の点からより有益である。
【0173】
この場合、ゲインα1、α2と同様に、ゲインα3や比例ゲインGPを可変とすることもできる。例えば、入水温Thcが低いほどゲインα3を大きくしたり、設定温度Ttと出湯温Thhの温度差が大きいほど比例ゲインGPを大きくしたり、ある値の温度差を境界にしてそれより小さい温度差であれば比例ゲインGPを小さく、境界温度差以上であれば比例ゲインGPを大きくするようにすることもできる。こうすれば、フィードフォワード制御成分による短時間のうちの温水化と、フィードバック制御成分によるオーバーシュート回避とを、より効果的に実現することができる。そして、このヒータ第1通電制御の実行の間にノズル本体111が洗浄位置に達すれば、既述した流路切換ユニット100による流路切換を経て、設定温度の洗浄水を局部に向けて吐水することができる。
【0174】
リミットサーミスタ82で(設定温−2.5℃)を検知すると、洗浄時のヒータ第2通電制御へ移行する。このヒータ第2通電制御と上記したヒータ第1通電制御の制御開始条件は、リミットサーミスタ82の検出温度が(設定温−2.5℃)であるか(設定温−5℃)であるかで相違するだけである。よって、局部洗浄時には、まず、前洗浄モード移行直後のヒータ通電制御が実行され、その後、この通電制御によって得られる洗浄水温度、詳しくはリミットサーミスタ82の検出温度に応じて、ヒータ第1通電制御とヒータ第2通電制御のいずれかが開始される。例えば、冬季などでは、前洗浄モード移行直後のリミットサーミスタ82の検出温度は設定温度より5℃以上低いことが多いので、この場合は、ヒータ第1通電制御、ヒータ第2通電制御の順に実行される。
【0175】
この洗浄時のヒータ第2通電制御では、上記のヒータ第1通電制御におけるFB2とは積分、微分の各ゲインを変更(低減変更)したフォードバック制御(以下FB3)を併用する。この時の通電量は、下記演算式▲4▼から算出するようにした。
W(FB3+FF3)=α3×(Tt−Thc)+GP’(Tt−Thh)+(GI’(Tt−Thh)+WI’)+GD’(Thh’−Thh) …▲4▼
ここで、Wは投入ワット数(通電量)、α3はゲイン、Ttは設定温度、Thcは入水温サーミスタ68の検出温度(入水温)、Thhは湯温検知サーミスタ77の検出温度(出湯温)、GP(GP=GP)は比例ゲイン、GI’は積分ゲイン(GI’>GI)、GD’は微分ゲイン(GD’<GD)、WI’とThh’は前回のヒータ第2通電制御における積分投入ワット数と湯温検知サーミスタ77の検出値である。
【0176】
このように、洗浄時のヒータ第2通電制御においては、上記演算式▲4▼で求まる通電量をFB3とFF3を併用しつつヒータ通電を行うので、次の利点がある。まず、このヒータ第2通電制御では、リミットサーミスタ温度がヒータ第1通電制御時よりも設定温度Ttに近似している時のものであり、制御に際しては、ヒータ第1通電制御に比べて低減変更した微分ゲイン、増加した積分ゲインの各ゲインを用いた。よって、設定温度Ttに対して温度を近似させる際の新たな投入通電量を小さくできるので、よりオーバーシュートが少なくきめ細かな温度制御を実行できる。この結果、設定温度からの温度ムラが低減した状態の洗浄水を、ヒータ第1通電制御の場合と同様に、ノズル本体或いは局部に吐水することができる。
【0177】
このヒータ第2通電制御の場合であっても、ヒータ第1通電制御の場合と同様に、各ゲインを可変とすることもできる。また、ヒータ第1、第2通電制御では、共に本洗浄時のヒータ制御を行うことから、上記したような温度に応じたゲイン調整に加え、設定流量に応じてゲイン調整を行うようにすることもできる。
【0178】
図67は、洗浄時のヒータ第1、第2通電制御におけるゲイン調整の一例を説明するための説明図である。図示するように、設定流量ステップが大きくなるほど比例ゲイン、積分ゲイン、微分ゲインが大きくなるように調整するようにした。よって、設定流量が多くて熱交換ユニットを多流量の洗浄水が流通しているときには、洗浄水の流通に送れないようにヒータを熱量増大制御できるので、多流量の洗浄水であっても安定した温度で局部に洗浄水を吐水できる。
【0179】
また、お尻洗浄時とビデ洗浄時では、設定流量ステップ数に応じたゲイン増大の程度を、ビデ洗浄で小さくした。よって、女性局部という極めてデリケートな洗浄対象にあっては、洗浄水温度をよりきめ細かく調整できるので、温度変化による違和感を与えないようにできる。なお、上記のゲインについて説明したが、その他のゲインについても設定流量ステップに応じて調整するようにすることもできる。更には、特定のゲイン、例えば、積分ゲインや微分ゲインにあっては、演算負荷軽減等のため、一定値とすることもできる。或いは、上記の温度に応じたゲイン調整と設定流量ステップに応じたゲイン調整を併用したりすることもできる。
【0180】
上記した制御に加え、リミットサーミスタ82で設定温度〜(設定温度+1.5℃)の検知であれば、前回までの通電量を維持するよう構成した。更に、リミットサーミスタ82で(設定温度+1.5℃)以上を検知すると、既述したヒータ第1通電制御(FB2+FF3)を再開するように構成した。
【0181】
上記した前洗浄モード以降の一連のヒータ通電制御を整理すると、次のようになる。図68は、前洗浄モード以降の一連のヒータ通電制御を説明するための説明図である。この図68に示すように、リミットサーミスタ82の検知温度(リミット温度THI)が(設定温度−5℃)までは、FF2のヒータ通電制御が実行される。このような温度領域Aにリミット温度THIがある場合は、洗浄水温度が十分上昇していない状況であるので、保温モード後の前洗浄モード移行直後におけるヒータ通電制御である。この(設定温度−5℃)から(設定温度−2.5℃)までの温度領域Bは、FF3+FB2のヒータ通電制御が実行される。この場合は、前洗浄モード移行直後におけるヒータ通電制御(FF2)で設定温度に近づきつつある状況であるので、洗浄水温度をこの設定温度により近づかせようと増大させている局面のヒータ第1通電制御である。
【0182】
(設定温度−2.5℃)から設定温度までの温度領域Cは、FF3+FB3のヒータ通電制御が実行される。この場合は、ヒータ第1通電制御(FF3+FB2)で設定温度に近づいているが、さらなる近似を図るために、洗浄水温度を増大させている局面のヒータ第2通電制御である。設定温度から(設定温度+1.5℃)までの温度領域Dは、洗浄水温度は設定温度より僅かに高いに過ぎない状況なので、この状態を維持すべく、前回の通電量を維持する制御を実行する。(設定温度+1.5℃)から(設定温度+2.5℃)までの温度領域Eは、FF3+FB3のヒータ通電制御が実行される。この場合は、洗浄水温度が設定温度より高い状況にあるので、洗浄水温度を設定温度に近づけるべく洗浄水温度を降下させている局面のヒータ第2通電制御である。(設定温度+2.5℃)以上の温度領域Fは、FF3+FB2のヒータ通電制御が実行される。この場合は、洗浄水温度が設定温度より大きく高い状況にあるので、洗浄水温度を設定温度に近づけるべく洗浄水温度をより降下させている局面のヒータ第1通電制御である。
【0183】
そして、上記各温度領域での制御ゲインについては、次のようにした。まず、温度領域Aでは、洗浄水温度を早期のうちに設定温度に近づくよう大きな通電量を投入すべく、演算式▲2▼におけるゲインα2を大きな値に設定した。なお、着座後の既述した捨水モードでのヒータ通電制御におけるゲインα1(演算式▲1▼)では、この温度領域Aでのゲインα2より大きな値とされている。
温度領域Bでは、洗浄水温度の昇温が足りないものの、温度領域Aに比べれば設定温度までの温度差は小さい。よって、この温度領域Bでは、演算式▲3▼におけるゲインα3を、温度領域Aでのゲインα2より小さくした。
温度領域でCは、洗浄水温度の昇温がまだ足りないものの、温度領域Bに比べれば設定温度までの温度差はより小さい。よって、この温度領域Cでは、演算式▲4▼におけるフィードフォワード制御についてのゲインはα3のままとし、積分、微分のフィードバック制御についての各ゲインを、温度領域Bでの積分ゲインよりも大きく、微分ゲインよりも小さくした。なお、演算式▲4▼におけるフィードフォワード制御についてのゲインも演算式▲3▼のものより小さくすることもできる。
温度領域Dは前回通電量が維持されるので、ゲインはそのままである。
【0184】
温度領域Eでは、洗浄水温度を設定温度に近づくよう温度を降下させるが、設定温度より僅かに高いだけなので、投入通電量の低減程度は小さくて済む。よって、演算式▲4▼のゲインを温度領域Cと同じゲインとした。
温度領域Fでは、設定温度より明らかに温度が高い状況なので投入通電量を大きく低減して洗浄水温度を設定温度に早期のうちに近づくよう降下させる必要がある。よって、演算式▲3▼におけるフィードフォワード制御についてのゲインは温度領域Eと同じα3のままとし、積分、微分のフィードバック制御についての各ゲインを、温度領域Eでの積分ゲインよりも小さく、微分ゲインよりも大きくした。なお、この温度領域Eの演算式▲3▼における各ゲインは、上記の温度領域Bのものと同じである。また、温度領域Eの演算式▲3▼におけるフィードフォワード制御についてのゲインを温度領域Eでの演算式▲4▼のものより大きくすることもできる。
【0185】
このように、本実施例は、上記した各ヒータ通電制御を、リミットサーミスタ82の検出温度によって移行させるようにしたので、具体的には、この検出温度によりヒータ通電量の算出演算式を変更するようにしたので、以下の利点がある。まず第1に、本洗浄時にヒータ通電制御を行うヒータ第1、第2通電制御にあっては、フィードバック制御を併用することで、設定温度からのオーバーシュートを抑制した。よって、非常に敏感な部分であるためにオーバーシュートには敏感に反応する局部への温水洗浄水の吐水に当たっては、オーバーシュート抑制により違和感を与えないようにできる。第2に、リミットサーミスタ82を瞬間式熱交換ユニット70において湯水の撹拌室として機能する接続開放室72の下流に設け、このリミットサーミスタ82では撹拌後の安定した温度を検出するようにした。よって、各ヒータ通電制御を吐水洗浄水の実際の温度に反映させて精度よく移行させることができ、高い精度で洗浄水を設定温度に温水化できる。
【0186】
しかも、各温度領域A〜Fでのヒータ通電制御におけるゲインを定めるに当たり、洗浄水温度、この場合はリミット温度THIが設定温度から離れているほど、ヒータへの通電量の増大程度と低減程度を調整することにした。つまり、図68に示したように、各ヒータ通電制御の際の通電量を定める上記演算式▲1▼〜▲4▼におけるゲイン(例えば、ゲインα1〜α3,比例ゲインGP等)は、設定温度から低温側に離れるほど通電量増大をもたらす大きなゲインとされ、高温側に離れるほど通電量低減をもたらす大きなゲインとされている。よって、このようなゲイン調整を行う本実施例によれば、過度のオーバーシュートを起こすことなく短時間のうちに洗浄水温度を設定温度に近づけることができる。また、流量調整弁の弁開度に応じたゲインとしているので、流量検出手段を必要としないし、流量調節操作に即座に対応できるので、流量変更時の温度制御の応答性が向上する。
【0187】
このようなゲイン調整は、次のようにすることもできる。例えば、通電量維持の温度領域Dを、設定温度を挟んだ温度領域としたり(例えば、設定温度±0.75℃の範囲)、各ヒータ通電制御の温度領域幅をより細かくしたりすることもできる。或いは、高温側において、強制的にヒータオフとするような温度領域を設けたりすることができる。更には、設定温度を挟んだ高温側のヒータ第2通電制御(領域E)と低温側のヒータ第2通電制御(領域C)は、共に、演算式▲4▼で通電量を演算するが、次のようにしてもよい。図68では、高温側のヒータ第2通電制御(領域E)のゲインα3e,比例ゲインGPeと、低温側のヒータ第2通電制御(領域C)のゲインα3c,比例ゲインGPcとを、α3e=α3c、GPe=GPcとしたが、α3e<α3c、GPe<GPcのように高温側のゲインを小さくすることもできる。こうすれば、低温側から速やかに設定温度に近づけ、高温側からは徐々に近づけるようにすることができる。この場合、高温側および低温側のヒータ第2通電制御とも、設定温度に近い温度領域である。よって、上記のように設定温度の上下でゲインを異なるものとして設定温度への近似の様子を異なるものとしても、この温度の洗浄水を浴びる使用者に違和感を与えることはない。
【0188】
上記した本洗浄モードにおけるヒータ通電制御(FF3+FB2又はFF3+FB3)は、止スイッチ184が操作された後の既述したノズル胴部洗浄モード2、並びにノズル退避後の後洗浄モードでも実行される。つまり、温水制御オンであれば、本洗浄モードに続いて、このヒータ通電制御(FF3+FB2又はFF3+FB3)が継続され、温水制御オフの場合は、ノズル胴部洗浄モード2の移行時点から、このヒータ通電制御(FF3+FB2又はFF3+FB3)が開始される。なお、この温水制御オフの際のヒータ通電制御では、制御の目標温度は温水洗浄オンの場合より低く、洗浄水の設定温度程度とされている。
【0189】
ここで、断水が起きた場合について説明する。図60には上記制御を行った本発明の局部洗浄装置を用いて使用中に断水が起こった時の実験データを示す。
【0190】
本データから、本装置使用中に断水が起きると、上記演算式で算出した投入熱量の1/3程度で洗浄水温度が設定温度以上となり得る。よって、実際の算出投入熱量が断水のない状態(即ち、正常運転時)の1/3程度で済む状態が5秒以上続いたときには、断水が起きたと判断して、全てのヒータ通電制御を停止するようにした。このため、断水により洗浄水流通が無い状態で不用意にヒータ通電を継続してしまうようなことがないので、瞬間式熱交換ユニット70の焼損といった事態を招くことが無い。なお、断水発生有無の判断に際しては、断水のない状態(正常運転時)で算出設定可能な投入熱量を予め制御ユニットのメモリに記憶しておき、この記憶投入熱量と算出演算投入熱量を対比するようにすればよい。
【0191】
次に、上記した捨水モード等の各モード移行と、ヒータ通電制御推移の変形例について説明する。図69は、この変形例のモード移行の様子を水路系を中心に表すタイムチャート、図70ないし図75は、各洗浄モードでの処理の内容を表すフローチャートである。図69に示すように、この変形例では、図56のタイムチャートと比べると、以下の点で相違する。この変形例において、まず、捨水モードについて説明する。捨水モードでは、入水温サーミスタ68によるフィードフォワード制御(以下FF1aという)を行う。このFF1aは設定温度を目標温度とし、ゲインを過剰ゲインとした過剰通電を行う。この時の通電量は、下記演算式▲1▼’から算出するようにした。
W(FF1a)=α1×(Tt+20℃−Thc) …▲1▼’
ここで、Wは投入ワット数(通電量)、α1はゲイン、Thcは入水温サーミスタ68の検出温度(入水温)、Ttはリモコンで設定される設定温度である。
前記実施例と同様に、捨水モードにおいて上記演算式▲1▼’で求まる通電量の過剰通電を行うので、瞬間式熱交換ユニット70にて早期のうちに洗浄水を温水化できる。
【0192】
こうして温水化された洗浄水は、ノズル本体111が装置本体30内の待機位置にある時に、ノズルヘッドの噴出孔113d(お尻洗浄)から吐水される。本変形例において、単一の噴出孔からのみとするのは流量を減らすことで熱交ユニットの能力を小さくすると共に、局部洗浄時との流量差を抑制し、熱交ユニット内を通過する流量の変動を抑制することで制御を簡単にするためである。
【0193】
この変形例でも、前記実施例と同様の理由で捨水モードに限って温水制御のオン・オフに拘わらず、上記演算式▲1▼’によるヒータ通電制御(FF1a)を、目標温度を30度程度にして実行するよう構成されている。
【0194】
図70は、捨水モードにおける処理内容を表すフローチャートであり、この捨水モードから保温モードに移行するタイミングを経過時間、リミットサーミスタ82の検知温度(リミット温度THI)等により定める点に特徴がある。図70に示すように、この変形例の捨水モードでは、着座検知スイッチ4のオンを受けて捨水モードに入り、経過時間計時のための第1、第2のタイマをセットする(ステップS110,120)。次いで、リミット温度THIが設定温度Ttに対しステップS130で示す条件式を満足するかを判断し、この条件を満足しないまま12秒を経過すると(ステップS140)、保温モードに移行する。つまり、リミット温度THIが低すぎたり高すぎたりしていても、捨水モード移行後に12秒を経過すると強制的に保温モードに移行する。なお、上記のタイマセットに同期して、既述した捨水モード時のヒータ通電制御(演算式▲1▼参照)が実行される。
【0195】
リミット温度THIが上記条件を満たすと、第3のタイマをセットし(ステップS150)、再度、リミット温度THIが上記条件を満たしている状況かを調べる(ステップS160)。ここで、条件範囲外であれば、ステップS140と同様にして捨水モード移行後の経過時間を調べ、12秒が経過していれば強制的に保温モードに移行する(ステップS170)。一方、リミット温度THIが条件範囲にある場合は、第3タイマのオン時点(即ち、一旦リミット温度THIが条件範囲に入った時点)から2秒が経過したかを調べる(ステップS180)。そして、リミット温度THIが条件範囲に2秒以上ない場合は、ステップS140,170と同様にして捨水モード移行後の経過時間を調べ、12秒が経過していれば強制的に保温モードに移行する(ステップS190)。これにより、リミット温度THIが条件範囲に一旦入っても、温度が不安定なまま12秒経過していると言えるので、捨水モードから保温モードに移行することができる。
【0196】
その一方、リミット温度THIが条件範囲に入ったまま2秒を経過し、かつ、捨水モード移行後6秒を経過していれば、捨水モードから保温モードに移行する(ステップS200)。これにより、最短でも6秒で保温モードに移行でき、その際には、リミット温度THIはある程度安定した状態にあることになる。捨水モード移行後6秒を経過していなければ、リミット温度THIが条件範囲に入ったまま安定するまで待機し(ステップS210)、温度安定後に保温モードに移行する。以上説明したように、保温モードへの移行は、捨水モードの経過時間或いはリミット温度THI、又は経過時間とリミット温度THIの推移状態によって決定される。なお、この捨水モードにおけるヒータ通電停止は、既述したヒータ通電制御で実行される。
【0197】
保温モードでのヒータ通電制御では、湯温検知サーミスタ77によるフィードバック制御(以下FB1aという)を行う。このFB1aでは捨水モードから1分間放置後の湯温検知サーミスタ77の検知温度を設定温度として所定温度幅内に保つ温度制御を行なう。
【0198】
図71は、捨水モードから移行した保温モードにおける処理内容を表すフローチャートであり、この保温モードにおけるヒータ通電制御を強制的にオン・オフするタイミングを経過時間、湯温検知サーミスタ77の検知温度(出湯温THh)等により定める点に特徴がある。図示するように、保温モードが開始されると、タイマをセットして1分が経過するまで待機する(ステップS220,225)。この間は、ヒータをオンしないようにして、ヒータの余熱による後炊きを回避する。
【0199】
保温モード移行後1分を経過すると、出湯温THhがある程度まで上昇していることを確認し(ステップS230)、その時の出湯温THhをヒータオン温度Thtにセットする(ステップS235)。次いで、10Wの投入通電量での既述した保温モードでのヒータ通電制御の実行を許可する(ステップS240)。その後、このときの出湯温THhと上記の設定ヒータオン温度Thtを比較し(ステップS245)、出湯温THhが設定ヒータオン温度Thtより3℃以上上回るまで10Wでのヒータ通電制御の継続を許可する(ステップS245)。この際のヒータ通電制御では、既述したとおりフィードバック制御(FF1)が実行される。
【0200】
そして、ステップS245の条件が満たされると、保温時モードでのヒータ通電制御を強制的に中断させ(ステップS250)、その後の出湯温THhと設定ヒータ温度Thtとの比較結果に応じて、10Wでのヒータ通電制御の再開或いはヒータ通電制御の中断継続を指令する(ステップS255)。こうして、保温モード移行直後の出湯温THhが低温(27℃以下)である場合は、そのときの温度より3℃高い温度が維持されるように、ヒータは10Wの投入通電量でオン・オフ制御される。
【0201】
一方、保温モード移行直後の出湯温THhが比較的高い温度である場合は(ステップS260)、ステップS235〜255と同様に、出湯温THhに応じて、10Wでのヒータ通電制御の継続・中断・再開等を指示する(ステップS270〜285)。この場合は、そのときの出湯温THhより1.5℃高い温度が維持されるように、ヒータは10Wの投入通電量でオン・オフ制御される。よって、この保温モードでは、10Wという少ない投入電力量で洗浄水をある程度の温度に保温できる。なお、保温モード移行直後の出湯温THhが33℃を越える高い温度の場合は、出湯温THhが低下するまで待機する。また、この保温モードから次のモード(前洗浄モード)へは、お尻1洗浄スイッチ181(若しくはお尻2洗浄スイッチ182、ビデ洗浄スイッチ183)の操作により移行する。
【0202】
前洗浄モード〜本洗浄モード〜後洗浄モードでは、当初、即ち前洗浄モード移行直後におけるヒータ通電制御は、フィードフォワード制御(以下FF2aという)を行う。このFF2aでは、目標温度を設定温度とした通電を行う。この時の通電量は、下記演算式▲2▼’から算出するようにした。
W(FF2)=α2a×(Tt−Thc) …▲2▼’
ここで、Wは投入ワット数(通電量)、α2aはゲイン(捨水モード時のゲインα1aとは通過流量が異なるためその流量差だけ大きなゲイン)Ttは設定温度、Thcは入水温サーミスタ68の検出温度(入水温)である。
このように、前洗浄モード移行直後において上記演算式▲2▼’で求まる通電量の通電を行うので、それ以前の保温モードでの温水化と相まって、洗浄水を、設定温度に近づくよう瞬間式熱交換ユニット70にてより短時間のうちに温水化できる。
【0203】
こうして温水化された洗浄水は、前記実施例と同様ノズル本体111が装置本体30内の待機位置にある時に、洗浄ポート122から吐水される。
【0204】
上記したFF2による前洗浄モード移行直後のヒータ通電制御を継続中に、湯温検知サーミスタ77で(設定温度−5℃)を検知すると、それまでのヒータ通電制御(FF2a)を、前記実施例にて説明したフィードバック制御FB2とフィードフォワード制御FF3を併用した洗浄時のヒータ第1通電制御へ移行する。
【0205】
湯温検知サーミスタ77で(設定温−2.5℃)を検知すると、洗浄時のヒータ第2’通電制御へ移行する。このヒータ第2’通電制御と上記したヒータ第1通電制御の制御開始条件は、湯温検知サーミスタ77の検出温度が(設定温−2.5℃)であるか(設定温−5℃)であるかで相違するだけである。よって、局部洗浄時には、まず、前洗浄モード移行直後のヒータ通電制御が実行され、その後、この通電制御によって得られる洗浄水温度、詳しくは湯温検知サーミスタ77の検出温度に応じて、ヒータ第1通電制御とヒータ第2’通電制御のいずれかが開始される。例えば、冬季などでは、前洗浄モード移行直後の湯温検知サーミスタ77の検出温度は設定温度より5℃以上低いことが多いので、この場合は、ヒータ第1通電制御、ヒータ第2通電制御の順に実行される。
【0206】
この洗浄時のヒータ第2’通電制御では、上記のヒータ第1通電制御におけるFB2とは比例、積分、微分の各ゲインを変更(低減変更)したフォードバック制御(以下FB3a)を併用する。この時の通電量は、下記演算式▲4▼’から算出するようにした。
W(FB3a+FF3)=α3×(Tt−Thc)+GP’(Tt−Thh)+(GI’’(Tt−Thh)+WI’)+GD’’(Thh’−Thh) …▲4▼’
ここで、Wは投入ワット数(通電量)、α3はゲイン、Ttは設定温度、Thcは入水温サーミスタ68の検出温度(入水温)、Thhは湯温検知サーミスタ77の検出温度(出湯温)、GP’(GP’<GP)は比例ゲイン、GI’’は積分ゲイン(GI’’<GI)、GD’は微分ゲイン(GD’’<GD)、WI’とThh’は前回のヒータ第2’通電制御における積分投入ワット数と湯温検知サーミスタ77の検出値である。
【0207】
このように、洗浄時のヒータ第2’通電制御においては、上記演算式▲4▼’で求まる通電量をFB3aとFF3を併用しつつヒータ通電を行うので、次の利点がある。まず、このヒータ第2’通電制御では、湯温検知サーミスタ77の検知温度がヒータ第1通電制御時よりも設定温度Ttに近似している時のものであり、制御に際しては、ヒータ第1通電制御に比べて低減変更した各ゲインを用いた。よって、設定温度Ttに対して温度を近似させる際の新たな投入通電量を小さくできるので、よりオーバーシュートが少なくきめ細かな温度制御を実行できる。この結果、設定温度からの温度ムラが低減した状態の洗浄水を、ヒータ第1通電制御の場合と同様に、ノズル本体或いは局部に吐水することができる。
本変形例においても、本実施例と同様の変更を施すことが可能である。
【0208】
上記した制御に加え、湯温検知サーミスタ77で(設定温度―0.5℃)〜(設定温度+0.5℃)の検知であれば、前記▲4▼’から積分ゲインのみを残した制御を行なう。更に、湯温検知サーミスタ77で(設定温度+0.5℃)以上を検知すると、既述したヒータ第1通電制御(FB2+FF3)を再開するように構成した。
【0209】
上記した前洗浄モード以降の一連のヒータ通電制御を整理すると、図68のリミットサーミスタを湯温検知サーミスタに読み替え、各閾値を変更したものとなる。即ち、湯温検知サーミスタ77の検知温度が(設定温度−5℃)までは、FF2aのヒータ通電制御が実行される。このような温度領域Aに湯温検知サーミスタ温度THhがある場合は、洗浄水温度が十分上昇していない状況であるので、保温モード後の前洗浄モード移行直後におけるヒータ通電制御である。この(設定温度−5℃)から(設定温度−2.5℃)までの温度領域Bは、FF3+FB2のヒータ通電制御が実行される。この場合は、前洗浄モード移行直後におけるヒータ通電制御(FF2)で設定温度に近づきつつある状況であるので、洗浄水温度をこの設定温度により近づかせようと増大させている局面のヒータ第1通電制御である。
【0210】
(設定温度−2.5℃)から(設定温度―0.5℃)までの温度領域Cは、FF3+FB3aのヒータ通電制御が実行される。この場合は、ヒータ第1通電制御(FF3+FB2)で設定温度に近づいているが、さらなる近似を図るために、洗浄水温度を増大させている局面のヒータ第2’通電制御である。(設定温度−0.5℃)から(設定温度+0.5℃)までの温度領域Dは、洗浄水温度は設定温度より僅かに高いに過ぎない状況なので、この状態を維持すべく、前回の通電量を維持する制御(積分ゲインのみによる制御)を実行する。(設定温度+0.5℃)から(設定温度+2.5℃)までの温度領域Eは、FF3+FB3のヒータ通電制御が実行される。この場合は、洗浄水温度が設定温度より高い状況にあるので、洗浄水温度を設定温度に近づけるべく洗浄水温度を降下させている局面のヒータ第2’通電制御である。(設定温度+2.5℃)以上の温度領域Fは、FF3+FB2のヒータ通電制御が実行される。この場合は、洗浄水温度が設定温度より大きく高い状況にあるので、洗浄水温度を設定温度に近づけるべく洗浄水温度をより降下させている局面のヒータ第1通電制御である。
【0211】
このように、本実施例は、上記した各ヒータ通電制御を、湯温検知サーミスタ77の検出温度によって移行させるようにしたので、具体的には、この検出温度によりヒータ通電量の算出演算式を変更するようにしたので、以下の利点がある。まず第1に、本洗浄時にヒータ通電制御を行うヒータ第1、第2’通電制御にあっては、フィードバック制御を併用することで、設定温度からのオーバーシュートを抑制した。よって、非常に敏感な部分であるためにオーバーシュートには敏感に反応する局部への温水洗浄水の吐水に当たっては、オーバーシュート抑制により違和感を与えないようにできる。第2に、瞬間式熱交換ユニット70の熱交換部近傍にある湯温検知サーミスタ77をよって、各ヒータ通電制御をヒータ通電結果による洗浄温度上昇に即座に反映させて精度よく移行させることができ、応答性よく洗浄水を設定温度に温水化できる。
【0212】
しかも、各温度領域A〜Fでのヒータ通電制御におけるゲインを定めるに当たり、洗浄水温度、この場合は湯温検知サーミスタ77の検出温度THhが設定温度から離れているほど、ヒータへの通電量の増大程度と低減程度を調整することにした。つまり、設定温度から低温側に離れるほど通電量増大をもたらす大きなゲインとされ、高温側に離れるほど通電量低減をもたらす大きなゲインとされている。よって、このようなゲイン調整を行う本実施例によれば、過度のオーバーシュートを起こすことなく短時間のうちに洗浄水温度を設定温度に近づけることができる。また、流量調整弁の弁開度に応じたゲインとしているので、流量検出手段を必要としないし、流量調節操作に即座に対応できるので、流量変更時の温度制御の応答性が向上する。
【0213】
図72は、前洗浄モードにおける処理内容を表すフローチャートであり、この前洗浄モードから胴体洗浄モードに移行するタイミングを経過時間、リミット温度THI、出湯温THh、入水温サーミスタ68の検知温度(入水温THc)等により定める点に特徴がある。図72に示すように、変形例の前洗浄モードでは、前洗浄モードでのヒータ通電制御時間の最短時間、最長時間を定める第1、第2のタイマをセットする(ステップS300,305)。この場合、既述したヒータ通電制御においては、洗浄スイッチのオンと同期して、演算式▲2▼の電力量でのヒータ通電制御が開始される。その後、設定温度TtがステップS310に示す適正条件を満たすか調べる。この変形例では、瞬間式熱交換ユニット70を用いた温水制御をオン・オフできるようにされており、温水制御オフであれば、ステップS310では否定判定されるように構成されている。つまり、温水制御オフである場合には、設定温度Ttは29℃といったステップS310で否定判定される値に固定される。
【0214】
こうして温水制御オフの際にステップS310で否定判定した場合は、或いは、温水制御オンでも設定温度Ttが上記条件範囲外である場合は、リミット温度THIと入水温THcを比較する(ステップS315)。ここで、ステップS315に示す条件を満たさなければ、前洗浄モード移行後の経過時間を調べ、最長時間の8秒を経過していれば強制的に次の胴体洗浄モードに移行する(ステップS320)。また、ステップS315に示す条件を満たしても、この温度条件が最短時間の2秒間に亘って継続する場合に限り、強制的に次の胴体洗浄モードに移行する(ステップS325)。
【0215】
温水制御オフの際には、この前洗浄モードとその後の本洗浄モードの間において、既述したように、ヒータ通電制御を行わない。よって、温水制御オフ時には、ステップS315を経てステップS320又はステップS325のいずれに移行するとしても、上記の最短・最長の経過時間のみで胴体洗浄モードに移行する。
【0216】
その一方、温水制御オンで設定温度TtがステップS310に示した条件範囲外である場合は、湯温検知サーミスタ77によっては、上記の演算式▲2▼’で示した電力量でのヒータ通電制御(FF2)が行われる。しかし、リミット温度THIが入水温THcを大きく越える場合(ステップS315の否定判定)は、リミット温度THIの低下を最大で8秒待ってから胴体洗浄モードに移行することになる。また、温水制御オンでリミット温度THIがステップS315の条件を満たす場合は、2秒という短い時間だけ待機して胴体洗浄モードに移行することになる。なお、温水制御オンの場合の上記各待機期間において、湯温検知サーミスタ77の状況によって、ヒータ通電制御(FF2)が演算式▲3▼で示した通電制御(FB2+FF3)に切り換わることもある。
【0217】
設定温度TtがステップS310に示す適正条件を満たしていれば、その設定温度Ttの高低に応じて、リミット温度THIがステップS330の出湯条件を満たすかを調べる。この出湯条件が満たされなければ、最長8秒だけ待機して強制的に次の胴体洗浄モードに移行する(ステップS335)。また、出湯条件を満たしても、この出温条件が1秒間に亘って継続することと(ステップS340〜350)、前洗浄モードの最短時間(2秒間)を経過したこと(ステップS355)を移行条件に、次の胴体洗浄モードに移行する。そして、この移行条件の1つでも満たされない場合は、ステップS340,345,350を経て、最長時間の8秒の経過を待って胴体洗浄モードに移行する。このステップS330からステップS350までの一連の処理の最中においては、演算式▲2▼’で示した電力量でのヒータ通電制御が実施され、洗浄水温度は設定温度に近づき、湯温検知サーミスタ77温度も昇温推移する。よって、この処理の間に、通常は、ヒータ通電制御(FF2)は演算式▲3▼で示した通電制御(FB2+FF3)に切り換わる。
【0218】
図73は、前洗浄モードから移行した胴体洗浄モードにおける処理内容を表すフローチャートであり、このソフトスタートから始まる本洗浄モードへの移行タイミングを定める。図示するように、胴体洗浄モードが開始されると、ノズル駆動用モータ124に所定パルス数のパルスを出力して(ステップS360,365)、ノズル本体111を洗浄位置に進出させる。そして、パルス出力完了を受けて、ソフトスタートに移行する(ステップS370)。この胴体洗浄モードでは、前洗浄モードを経ていることから、湯温検知サーミスタ77温度も上昇推移し、通常、演算式▲3▼で示したヒータ通電制御が実行されている。そして、この通電制御により温水化された洗浄水が、洗浄位置のノズル本体111から吐水されることになる。なお、湯温検知サーミスタ77温度によっては、演算式▲2▼’で示したヒータ通電制御が実行されることもある。
【0219】
図74は、ソフトスタートとこれに続く本洗浄モードの処理内容を表すフローチャートであり、ヒータの制御異常が生じたときの強制的なヒータオフのタイミング、その後の復帰タイミング並びにヒータ制御の自己判定モードに移行するタイミングを、経過時間、リミット温度THI、出湯温THh、入水温THc等により定める点に特徴がある。図74に示すように、このモード処理では、出湯温THhとリミット温度THIについてステップS400に示す高温過剰推移条件が成立するまで待機する。この待機期間は何の処理も行わないので、この待機期間にあっては、リミット温度THIに応じて、既述したヒータ第1通電制御或いはヒータ第2’通電制御もしくは通電量維持制御が実行され、各制御で温水化された洗浄水が局部に吐水される。
【0220】
高温過剰推移条件が成立すると、それまで実行されていた上記の通電制御を強制的に中断させる(ステップS405)。この際、ノズル本体111の進退といった他のユニット機器の動作は、継続される。また、新たな洗浄スイッチ操作も受け付ける。例えば、現在はお尻洗浄であれば、ビデ洗浄スイッチの操作を受け付ける。その後、高温過剰推移条件が成立してからの経過時間を計時すべくタイマをセットし(ステップS410)、出湯温THhが40℃以下に低下するまで待機する(ステップS415)。この際、出湯温THhが40℃以下であれば、一旦中断したヒータの通電制御の再開指示を出し、上記のヒータ通電制御に復帰させる。
【0221】
一方、上記の待機期間の間に、出湯温THhとリミット温度THIについてステップS420に示す自己判定条件が成立したかを調べる。そして、不成立ならば、高温過剰推移条件正立から5秒経過した時点で自己判定モードに移行する。また、自己判定条件が成立すれば、洗浄水が設定温度を超えて上昇し続けることが無いよう、自己判定モードに移行する。従って、ステップS400の高温過剰推移条件が成立しても、当該条件成立から5秒前に出湯温THhが低下すれば、高温洗浄水の吐水といった事態を招かないので、通常のヒータ通電制御に復帰して、支障無く洗浄水を局部に吐水できる。しかし、高温過剰推移条件の成立から5秒以上経過した場合や、洗浄水の高温推移が予想される場合は、自己判定モードに移行する。
【0222】
図75は、自己判定モードの処理内容を表すフローチャートであり、ヒータの制御異常が生じたときの強制的な吐水禁止のタイミング、ヒータ通電制御の復帰タイミングを経過時間、リミット温度THI、出湯温THh、入水温THc等により定める点に特徴がある。図75に示すように、この自己判定モードは、ステップS430に示す判定条件の成立・非成立を、電磁弁66を開弁して洗浄水流通を伴う総ての各洗浄モードの実行中に繰り返し調べ、この条件の成立を持って以下の各処理を実行する。なお、既述した図74の本洗浄モードにて自己判定モードに移行するとされた場合も、ステップS430以降の処理が実行される。
【0223】
ステップS430での判定条件成立判断に続いては、自己判定モードに移行してからの経過時間を計時すべくタイマをセットする(ステップS435)。このステップS435は、上記した本洗浄モードの自己判定モードに移行するとされた場合にも、実行される。次いで、出湯温THhとリミット温度THIが共にステップS440の条件を満たすかを改めて判定する。ここで、この両検知温度が高温のままであれば、自己判定移行後15秒経過するまで待機し(ステップS445)、洗浄水温度の降下を待つ。そして、この15秒が経過する前に上記両検知温度が40℃以下の温度に低下していれば、そのときのヒータ通電制御を、既述した保温モードでのヒータ通電制御(10W通電制御)に設定する(ステップS450)。これにより、既述した一連の本洗浄モードを経て或いは本ルーチンのステップS430で設定温度Ttやリミット温度THIが高温であるとされ、その後の処理によってもこれら温度が降下しないような状況とされた場合には、10Wという低通電量でのヒータ制御が実行される。具体的には、上記した演算式▲2▼’ないし▲4▼’で行っていたヒータ通電制御が、このステップS450で、10Wという低通電量でのヒータ通電制御に切り換えられる。よって、洗浄水を不用意に昇温させないようにすることができる。
【0224】
一方、上記の両検知温度が十分降下しないうちに自己判定移行後15秒を経過した場合は、上記両検知温度についてのステップS455に示す停止条件が成立するかを調べる。ここで、この停止条件が成立していなければ、15秒間という短時間のうちの待機期間で両検知温度が降下傾向にある、或いは十分降下したと言えるので、上記の保温モードに移行する。
【0225】
しかし、停止条件が成立していれば、検知温度が高すぎる、即ち洗浄水温度が高すぎて局部洗浄には不向きであるとして、洗浄水吐水を禁止する(ステップS460)。この吐水禁止を受けて、各機器は次のように駆動制御され、お尻・ビデの洗浄スイッチを含む各スイッチの操作は受付不可となる。
【0226】
洗浄水系では、電磁弁66は開弁状態のままとしておき、洗浄水の給水は継続する。この状態(通水状態)で、瞬間式熱交換ユニット70のヒータを強制的にオフとする。これにより、その後の洗浄水昇温を起きないようにできると共に、洗浄水通水および自然放熱による速やかにヒータの冷却を図ることができる。
【0227】
また、脈動ユニット90では、ソレノイド94bへの通電を停止して、プランジャー94を停止させる。流調サブユニット92にあっては流調用のロータ92dを初期位置(本実施例ではバイパス位置)に駆動させる。これにより、ノズル本体の噴出孔からの洗浄水吐水は停止すると共に、洗浄水の供給先が洗浄ポート122側となるので、この洗浄ポート122からノズルヘッド或いはノズル胴体部に洗浄水が吐水される。よって、洗浄水を高温のまま局部に吐水するようなことがなく好ましい。そして、洗浄ポート122に向けて通水されているので、この通水の間に、湯温検知サーミスタ77やリミットサーミスタ82の検知温度をスキャンしてその適否を調べるように構成することもできる。こうすれば、温度異常の原因究明のためのデータが増え、有益である。
流路切換ユニット100にあっては切換ロータ106を初期位置(各ポート全開位置)に駆動させる。
ノズル本体111にあっては、待機位置に後退復帰させる。
【0228】
このように各機器を駆動する際は、まず最初にヒータをオフとし、次いで、上記各機器をそれぞれ既述したように駆動する。
【0229】
次に、上記したヒータ通電制御の切換による洗浄水等の温度変化と、上記各洗浄モード移行の様子について説明する。図76は、ヒータ通電制御の切換による洗浄水等の温度変化と、上記各洗浄モード移行の様子を説明する説明図である。図示するように、使用者の着座を契機として、洗浄モードは、捨水モードとなる。この捨水モードにおいては、瞬間式熱交換ユニット70のヒータは演算式▲1▼’を用いたヒータ通電制御(FF1)を受ける。この際の投入通電量は、目標温度が高いことおよび高ゲインであることから、大きくなるので、洗浄水は瞬間式熱交換ユニット70で急加熱される。よって、湯温検知サーミスタ77とリミットサーミスタ82の両検知温度は、図中に実線と点線で示すように急勾配で上昇する。
【0230】
こうした温度推移を起こしている間に、リミットサーミスタ82のリミット温度THIが40℃となると、ヒータ通電制御は、10Wの低通電制御とされる。その一方、洗浄モードは、図70に示した処理を経て保温モードに移行する。そして、この10Wの低通電制御は、図70の処理にて定まるオンタイミング・オフタイミングで実行される。よって、リミット温度THIが40℃となった以降は、図71の処理(ステップS230,260)により、その当初においてヒータに通電されないので、図76に示すように、リミット温度THIと出湯温THhの両検知温度は降下する。このように降下を続け出湯温THhが所定温度まで低下すると(ステップS230,260での肯定判断)、10Wの低通電制御がオン・オフ繰り返されるので、図76に示すように、この保温モードにおいて、両検知温度は安定する。なお、このように温度が安定するまでに要する時間は、着座した使用者が用便を済ませて洗浄スイッチを操作するまでの平均的な時間に比べれば、十分短い。
【0231】
こうして保温状態とされている間に洗浄スイッチが操作されると、その操作を契機に、洗浄モードは、前洗浄モードとなる。この前洗浄モードにおいては、瞬間式熱交換ユニット70のヒータは演算式▲2▼’を用いたヒータ通電制御(FF2a)を受ける。この際の投入通電量は、目標温度が設定温度より高いことおよび比較的大きなゲインであることから、大きくなり、この通電量でのヒータ発熱により、洗浄水は加熱される。よって、両検知温度は、保温モードの温度から比較的急な勾配で設定温度に向けて上昇する。
【0232】
こうした温度推移を起こしている間に、図72の処理により経過時間条件と温度条件が成立すると、洗浄モードは胴体洗浄モードに移行し、その後は図73,図74の処理を経て順次ソフトスタート・本洗浄へと移行する。その一方、湯温検知サーミスタ77温度THh条件、即ち湯温検知サーミスタ77温度THhが図68に示す温度領域Bに推移したことを条件に、ヒータ通電制御は、演算式▲3▼を用いたヒータ通電制御(FB2+FF3)に切り換わる。この際の投入通電量は、目標温度が設定温度でゲインもやや低減設定されているものの、前洗浄モードにて既に洗浄水は温度上昇状況にあることから、湯温検知サーミスタ77とリミットサーミスタ82の両検知温度は、目標温度に近づくようにほぼそれ以前と同程度の勾配で上昇する。そして、湯温検知サーミスタ77温度THhが図68に示す温度領域D、E、Fに推移すれば、それぞれの温度領域に応じたヒータ通電制御が切換実行されるので、両検知温度は、設定温度に近似したまま推移し、その際には、既述したように不用意なオーバーシュートを起こしたりしない。よって、こうして設定温度とされた洗浄水が局部に向けて吐水される。
【0233】
この図76に示すように、ノズル本体111のノズル先端温度は、図中に一点鎖線で示すように、推移する。つまり、前洗浄モードにおいて、待機位置にあるノズル本体111のノズルヘッドには、洗浄ポート122から温水洗浄水(FF2aの通電制御を受けた洗浄水)がかけられているので、前洗浄モードの途中からノズル先端温度は上昇する。そして、ソフトスタートの間において、(FF3+FB2)又は(FF3+FB3a)の通電制御を受けた洗浄水がノズル内流路の通水を開始するので、ソフトスタート途中から、ノズル先端温度は再度上昇し、本洗浄モードにあってはほぼ設定温度に一致する。
【0234】
次に、お尻洗浄・柔らか洗浄・ビデ洗浄が使用者の着座の間に切り換えられた場合の洗浄モード移行について説明する。図77は、洗浄切換がなされた場合のモード移行の様子を水路系を中心に表すタイムチャートである。図77に示すように、お尻洗浄の実行中に柔らか洗浄スイッチが操作されると、これを契機に、柔らか洗浄移行のための切替動作モードとなる。このモードでは、まず、流調サブユニット92にて、洗浄水の供給先を一旦バイパスポートに切り替えて、洗浄水が洗浄ポート122から吐水されるようにする。これにより、切替動作モード間において、ノズルヘッドの噴出孔から洗浄水が吐水しないようにする。次いで、お尻1噴出孔113dに替わるお尻2噴出孔113eから洗浄水を吐水すべく、流路切換ユニット100を柔らか洗浄用の流路に切り替えると共に、お尻2噴出孔からの吐水洗浄水がお尻にかかるようノズル本体111を柔らか洗浄位置に移動させる。このノズル移動が完了すると、柔らか洗浄におけるソフトスタートモードに移行し、柔らか洗浄のための本洗浄モードに移行する。
【0235】
この柔らか洗浄の間にビデ洗浄スイッチが操作されると、これを契機に、まず、流調サブユニット92にて、洗浄水の供給先を一旦バイパスポートに切り替えて、洗浄水が洗浄ポート122から吐水されるようにする。これにより、ビデ洗浄切り替え当初において、ノズルヘッドの噴出孔から洗浄水が吐水しないようにする。次いで、ノズル本体111を一旦待機位置に後退復帰させ、この間に、洗浄ポート122からの吐水洗浄水により、ノズル胴体部並びにノズルヘッドを洗浄する。よって、洗浄対象をお尻から女性局部に変更した際には、このノズル洗浄により使用者に清潔感を与えることができる。そして、ノズル本体111を待機位置からビデ洗浄位置まで前進させる。この間にも、電磁弁66は開弁したままであるので、洗浄ポートからの吐水洗浄水により、再度、ノズル洗浄が行われる。よって、より清潔感を与えることができる。ノズル本体111のビデ洗浄位置までの前進が完了すると、の間に、ビデ洗浄におけるソフトスタートモード、本洗浄モードに順次移行する。このビデ洗浄からお尻洗浄或いは柔らか洗浄に切り替わる場合も、同様である。
【0236】
このように、お尻洗浄・柔らか洗浄・ビデ洗浄が切り換えられたために流路切換ユニット100や流調サブユニット92が流路切替や流調を行っている間にあっても、電磁弁66の開弁による通水状態のまま、瞬間式熱交換ユニット70のヒータは絶えず通電制御されて、洗浄水温度は設定温度に近似するようにされている。よって、お尻洗浄・柔らか洗浄・ビデ洗浄の切換がなされても、通水状態化でのヒータ通電制御により、切換後の洗浄において、設定温度の洗浄水を吐水できる。なお、この際にヒータ通電制御は、洗浄水温度が設定温度に既に近似していることから、既述した演算式▲3▼又は▲4▼’でのヒータ通電制御となる。
【0237】
次に、本洗浄装置が便器から着脱された際の処理について説明する。図78は、本洗浄装置が便器から着脱された際の処理の様子を表すタイムチャートである。図78に示すように、本洗浄装置に設けられた着脱検知スイッチ4(図66参照)により本装置の便器からの取り外しが検知されると、これを契機に、取り外しモードに移行する。この取り外しモードに移行すると、まず、電磁弁66の閉弁と、ヒータのオフを行う。これにより、本装置が便器から取り外される際の洗浄水給水並びにヒータでのエネルギ消費(ヒータオン)が停止される。これと同時に、脈動サブユニット94のソレノイド94bの励磁オフ(通電停止)と、流調サブユニット92におけるロータ92dの初期位置(バイパス位置)駆動を行う。これにより、局部洗浄に関与しない局面(装置着脱時)での不用意なプランジャー移動や局部に向けた洗浄水吐水を回避できる。
【0238】
こうして取り外しモードに移行してから所定時間経過すると、洗浄位置から待機位置へのノズル本体111の退避を行う。これにより、本洗浄装置からのノズル本体111の飛び出しが無くなるので、本洗浄装置の取り外しに支障を来さない。なお、本洗浄装置の便器への装着に備え、ノズル退避と同時に、流路切換ユニット100を初期位置(各ポート全開位置)に復帰させる。その後は、流路切換ユニット100および流調サブユニット92のモータ(パルスモータ)の原点合わせを経て、本洗浄装置の最終的な取り外しに備える。
【0239】
次いで、本洗浄装置が便器から取り外され、熱交換ユニット70の水抜き操作が行われると、熱交換ユニット70内の水がなくなるため、瞬間式熱交換ユニット70のフロートスイッチ78はオンからオフに切り替わる。よって、このフロートスイッチの信号切り替わりを契機として、取り外し時水抜きモードに移行する。
【0240】
この水抜きモードでは、流調サブユニット92から脈動サブユニット94までの経路の残存洗浄水を排出するために、流調サブユニット92を後洗浄時の流量とする位置に駆動し、その後、脈動サブユニット94のソレノイド94bを所定時間繰り返し励磁する。このソレノイド励磁により、プランジャー94fは往復動するので、このプランジャー往復動により、上記経路内の残存洗浄水を強制的に排出するようにした。よって、脈動サブユニット94下流では、この経路並びにノズル内流路の水抜きが完全に行われる。このため、残存水の凍結を確実に回避できる。このような水抜きのために脈動サブユニット94を駆動する際、ソレノイド94bの励磁デューティ比小さくし、脈動周波数を低周波数とすることができる。こうすれば、プランジャー94fを低速かつ弱い力で移動させるに過ぎず、このプランジャー出水ボディー94c端部に高速かつ強い力で衝突させない。このため、プランジャの打音を低減できる。
なお、本洗浄装置がこのように一旦便器から取り外されてその後この便器に装着されれば、着脱検知スイッチ4の信号切換を経て、本洗浄装置は、着座オン前の待機モードに移行する。
【0241】
次に、ノズル本体111を洗浄するノズル掃除モードについて説明する。図79は、ノズル本体111を強制的に前進させて使用者自らがこのノズル本体111を洗浄するノズル掃除の処理の様子を表すタイムチャートである。図79に示すように、リモコン180(図53参照)に設けられたノズルそうじスイッチが操作されると、これを契機に、ノズル掃除モードに移行する。このノズル掃除モードに移行すると、まず、ノズルの前洗浄を行う。この際の前洗浄は、洗浄スイッチ操作時の前洗浄モードにおける処理とほぼ同様であり、電磁弁66開弁による洗浄水給水とヒータ通電制御を行う。この場合のヒータ通電制御は、洗浄スイッチ操作時のものと同様、フィードフォワード制御(FF1又はFF2)とされる。しかしながら、このノズル掃除モードにおいては、その後に局部への洗浄水吐水を予定していないことから、FF制御の際の目標温度を洗浄水操作時のように高くする必要はなく、洗浄水の設定温度程度とされている。なお、ノズル掃除モードのこの前洗浄時のヒータ通電制御は、温水制御オンの場合のみ実行され、その際には着座検知スイッチのオン・オフを問わない。つまり、温水制御オフの場合には、後述するように実際にノズル掃除が行われるまでは、ヒータをオフとして無駄なヒータ通電を省いている。
【0242】
この前洗浄を所定時間、例えば2秒間行うと、ノズル本体111を掃除に適した位置、即ち局部洗浄時の洗浄位置(お尻洗浄位置)に前進させると共に、この間にも洗浄スイッチ給水を継続して、ノズル胴体部の洗浄を行う。この間に吐水される洗浄スイッチは、前洗浄によりある程度温水化された洗浄スイッチなので、ノズル胴体部は温水洗浄水により洗浄される。なお、このノズル前進時の胴体洗浄であっても、温水制御オフの場合には、ヒータはオフとされている。
【0243】
こうしてノズル本体111が掃除位置まで前進すると、電磁弁66を閉弁して給水を停止すると共に、ヒータ通電を停止する。これにより、洗浄水給水が停止の状態で使用者はブラシ等を用いてノズル本体111を自ら掃除でき、この間には、無駄なヒータ通電を行わない。
【0244】
使用者がノズル掃除を終了し、ノズルそうじスイッチを再度操作するか、止スイッチ184を操作すると、いずれかの操作を契機として、電磁弁66の開弁、ヒータ通電制御(FF1又はFF2)、並びにノズル後退を行う。この際のヒータ通電は、前洗浄時の場合と異なり、温水制御のオン・オフに拘わらず、また、着座検知スイッチのオン・オフに拘わらず実行される。これにより、ヒータにより暖められた温水洗浄水が、後退するノズル本体111の胴体部を洗浄する。ノズル本体111が待機位置に復帰すると、これを受けて、後洗浄を行う。この後洗浄では、流調サブユニット92を後洗浄用の位置に駆動制御するので、待機位置に復帰したノズル本体111は、各噴出孔から温水洗浄水を吐水する。こうして吐水された温水洗浄水は、ノズル洗浄室121の内壁で跳ね返るので、この跳ね返り洗浄水により、ノズルヘッドが洗浄される。また、温水洗浄水が噴出孔から噴出することで、この噴出孔をも洗浄できる。
【0245】
なお、この後洗浄に移行してから所定時間経過した時点で、脈動サブユニット94のソレノイド励磁を開始する。よって、噴出孔からの吐水は、プランジャーの往復動に伴う脈動流での吐水となるので、脈動流吐水により大きなエネルギで噴出孔を洗浄できる。次いで、更に所定時間経過すると、電磁弁66の閉弁、ヒータ通電の停止並びにソレノイド励磁の停止を実行し、モータの原点合わせを経て、ノズル掃除モードを終了し、次回からの本洗浄装置の使用に備える。つまり、着座検知状態であれば、ヒータにあっては保温のための10Wの通電制御を行い、脈動サブユニット94や流路切換ユニット100にあっては初期位置に復帰する。着座検知状態になければ、脈動サブユニット94や流路切換ユニット100にあっては初期位置に復帰する。
【0246】
次に、本洗浄装置の凍結防止に関する構成について説明する。図80は、凍結防止制御を示すフローチャートである。図80に示すように、この凍結防止制御では、出湯温THhとリミット温度THIについてステップS500に示す凍結条件が成立するまで待機する。管路や瞬間式熱交換ユニット70での洗浄水凍結は、冬季や寒冷地において、本洗浄装置が使用されていない期間(例えば、冬季の夜間等)に起きると予想されるので、本凍結防止制御の実行時間帯をタイマ等で規定したり、便座から使用者が離座してから所定時間経過すると実行されるようにすることもできる。そして、この凍結防止制御は、着座を契機にその処理が中断されるようにされており、着座後は既述した捨水モードに移行する。なお、この凍結モードでのヒータ通電処理は、温水制御オフの場合であっても実行されるようにされている。
【0247】
凍結条件が成立すると、当該条件成立時点の湯温検知サーミスタ77の検知温度(出湯温THh)を設定凍結温度Thtにセットし(ステップS510)、保温モードでのヒータ通電制御のように、10Wの低通電量制御を開始する(ステップS515)。これにより、ヒータはこの低通電量で発熱して洗浄水を暖める。そして、この10Wの低通電量制御は、出湯温THhが上記の設定凍結温度Thtを2.5℃以上上回るまで継続される(ステップS520)。本実施例では、既述したように瞬間式熱交換ユニット70において占める洗浄水容積が小さく、また、この凍結防止制御の際には通常は洗浄水の通水は起きていないので、10Wという低通電量であっても、熱交換ユニット内の洗浄水を支障なく温水保温することができる。このため、10Wの低通電量制御を継続することで、好適に洗浄水凍結を防止できる。
【0248】
また、本実施例の瞬間式熱交換ユニット70は、図27に示すように、ヒータを収納する円筒躯体72の上部にフロートスイッチの収納室76bを配置し、両者の間に熱伝達に優れる金属製の伝熱板72jを配置した。よって、この収納室76b内の洗浄水に対してこの伝熱板72jを介して熱を効率よく伝達できることから、上記した10Wの低通電量制御によって、好適に凍結防止を図ることができる。しかも、瞬間式熱交換ユニット70の下流へは、ヒータの内部流路71bにおける洗浄水を介して伝熱でき、ユニット上流へは、収納室76bにおける洗浄水を介して伝熱できる。このため、本洗浄装置内の洗浄水経路の管路各部や瞬間式熱交換ユニット70をはじめとする各機器内部において、洗浄水の凍結防止を図ることができる。
【0249】
こうした10Wの低通電量制御の継続中に、出湯温THhが設定凍結温度Thtを2.5℃以上上回ると、それまでのヒータ通電制御は、中断され(ステップS525)、出湯温THhがステップS530にしめす温度降下確認条件が成立するまで待機する。これにより、出湯温THhが設定凍結温度Tht以下となるまで、ヒータ通電制御は中断されたままとなる。そして、温度降下確認条件が成立すれば、一旦本ルーチンを抜けてステップS500に移行し、改めて凍結条件が成立するまで待機し、その後は、上記したように凍結防止を図る。このように、凍結条件の成立待機に移行するに当たり、温度降下確認条件の成立を待機するようにしたので、以下の利点がある。
【0250】
上記したように、10Wの低通電量制御により、円筒躯体72内部のみならず、伝熱板72jを介してフロートスイッチの収納室76b内の洗浄水も凍結防止のために加熱される。今、この停電両制御をオフしてから即座に凍結条件の成立待機(ステップS500)に移行したとすると、出湯温THhかリミット温度THIのいずれかが再度6℃以下となると凍結条件が成立し、改めて10Wの通電制御が開始されて、フロートスイッチの収納室76b内と円筒躯体72内部の洗浄水は共に加熱される。
【0251】
ところで、フロートスイッチの収納室76bは、円筒躯体72の上方に位置することから、熱対流により、収納室76b内の洗浄水の方が円筒躯体72内の洗浄水に比べて温度が高い状況が起き得る。よって、上記の凍結条件が円筒躯体側の湯温検知サーミスタ77の出湯温THhで成立したとすると、収納室76bでは洗浄水温度が低下していないにも拘わらずヒータの通電制御が再開されるので、収納室76bでは洗浄水の温度は再開前より高くなることがある。このことが繰り返されると、収納室76bの洗浄水が加熱され続けるような事態が起き得る。よって、ステップS530で温度効果確認条件の成立を待機することにより、収納室側の余分な加熱を回避でき、瞬間式熱交換ユニット70としての熱バランスの不均衡を抑制できる。
【0252】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記の実施例や実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0253】
例えば、局部洗浄装置に限らず、局部以外の人体表皮を洗浄するための水栓装置、シャワー装置等の人体洗浄装置の他、食器洗浄装置や吐水ノズルタイプの洗車装置等にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の便座20、便蓋10を取り外した状態での全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の便蓋10を開いた状態での全体構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の便蓋10、便座20の倒伏状態での全体構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の平面図である。
【図5】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の正面図である。
【図6】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の左側面図である。
【図7】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の右側面図である。
【図8】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の背面図である。
【図9】本発明の実施例に係る局部洗浄装置から便蓋、便座を外した装置本体の右側面図である。
【図10】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の装置本体30(内装機器省略)の分解斜視図である。
【図11】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の装置本体30(内装機器省略)の分解斜視図である。
【図12】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の装置本体30に対する便蓋10および便座20の連接構造を示す概略断面図である。
【図13】本発明の実施例に係る局部洗浄装置のヒンジブロック40,サポートカバー41と装置本体30に設けた係合突起32との連接構造を示す斜視図である。
【図14】本発明の実施例に係る局部洗浄装置のヒンジブロック40,サポートカバー41と装置本体30の係合突起32との連接状態を示す断面図である。
【図15】本発明の実施例に係る局部洗浄装置のヒンジブロック40,サポートカバー41と装置本体30との連接状態を示す断面図である。
【図16】装置本体30を説明するための斜視図であり、(a)は上ケース31を取り外した状態の装置本体30の斜視図、(b)は制御ユニット160、170を取り外した斜視図である。
【図17】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の各ユニットを取り外した分解斜視図である。
【図18】本発明の実施例に係る局部洗浄装置のバルブユニット60の分解斜視図である。
【図19】本発明の実施例に係る局部洗浄装置のバルブユニット60の一部断面図である。
【図20】本発明の実施例に係る局部洗浄装置のバルブユニット60を組立てた状態での斜視図である。
【図21】本発明の実施例に係る局部洗浄装置のバルブユニット60を組立てた状態での斜視図である。
【図22】本発明の実施例に係る局部洗浄装置のバルブユニット60を下ケース35に設置する前の状態の斜視図である。
【図23】本発明の実施例に係る局部洗浄装置のバルブユニット60を下ケース35に設置する前の状態の斜視図である。
【図24】本発明の実施例に係る局部洗浄装置のバルブユニット60を下ケース35に設置した状態での斜視図である。
【図25】本発明の実施例に係る局部洗浄装置のバルブユニット60を下ケース35に設置した状態での斜視図である。
【図26】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の瞬間式熱交換ユニット70の分解斜視図である。
【図27】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の瞬間式熱交換ユニット70の断面図である。
【図28】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の瞬間式熱交換ユニット70の下ケース35に設置した状態での斜視図である。
【図29】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の瞬間式熱交換ユニット70の平面図である。
【図30】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の流調、脈動ユニット90の分解斜視図である。
【図31】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の流調、脈動ユニット90の平面図である。
【図32】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の要部を説明するための説明図であり、(a)は流調、脈動ユニット90拡大断面図、(b)は流調、脈動ユニット90のステータ、ロータの平面図である。
【図33】本発明の実施例に係る流調、脈動ユニット90の流調サブユニット82の各回転位置での切欠溝92mと流調溝92pとの重合状態を説明するための説明図であり、(a)は重合状態が0度、(b)は60度、(c)は120度、(d)は180度、(e)は240度、(f)は300度の状態を説明する説明図である。
【図34】本発明の実施例に係る流調、脈動ユニット90の流調サブユニット82の回転角度での切欠溝92mと流調溝92pとの重合面積を説明する説明図である。
【図35】本発明の実施例に係る流調、脈動ユニット90の脈動サブユニット94の断面図である。
【図36】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の流調、脈動ユニット90の取付を説明する斜視図である。
【図37】本発明の実施例に係る局部洗浄装置のノズルユニット110の分解斜視図である。
【図38】本発明の実施例に係るノズルユニット110の流路切換ユニット100の分解斜視図である。
【図39】本発明の実施例に係るノズルユニット110の流路切換ユニット100の断面図である。
【図40】本発明の実施例に係るノズルユニット110のノズル本体111の断面図である。
【図41】本発明の実施例に係るノズルユニット110のノズルヘッド113の断面図である。
【図42】本発明の実施例に係るノズルユニット110のノズルユニットの取付説明図である。
【図43】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の乾燥、脱臭ユニット130の分解斜視図である。
【図44】図43の乾燥流路形成上体131の拡大図である。
【図45】図43の乾燥流路形成下体132の拡大図である。
【図46】図43の脱臭流路形成下体142の拡大図である。
【図47】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の乾燥、脱臭ユニット130の組立状態での斜視図である。
【図48】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の要部を説明するための説明図であり、(a)は乾燥、脱臭ユニット130の背面図、(b)は乾燥、脱臭ユニット130の正面図、(c)は乾燥、脱臭ユニット130の平面図である。
【図49】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の乾燥、脱臭ユニット130の一部を切り欠いた平面図である。
【図50】本発明の実施例に係る乾燥、脱臭ユニット130の乾燥ヒータの側面図および斜視図である。
【図51】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の補助操作ユニット150の拡大斜視図である。
【図52】本発明の実施例に係る局部洗浄装置のリモコン180の正面図である。
【図53】図52のリモコンの変形例を示す図で、(a)平面図、(b)蓋閉止状態の右側面図、(c)蓋閉止状態の正面図、(d)蓋開放状態の正面図である。
【図54】図53のリモコンのスイッチ誤動作防止部を示す断面図である。
【図55】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の水路系ブロック図である。
【図56】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の水路系タイムチャートである。
【図57】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の前洗浄モードのフローチャートである。
【図58】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の胴部洗浄モード1のフローチャートである。
【図59】本発明の実施例に係る瞬間式熱交換ユニット70の各モードでの制御概念図である。
【図60】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の断水時の実験データを説明する説明図である。
【図61】本発明に用いたバキュームブレーカー97を説明するための要部拡大図である。
【図62】本発明に用いた感温バネの特性図である。
【図63】本発明の実施例に係る人体検知センサ165と取付説明図である。
【図64】本発明の実施例に係る第2制御ユニット170の概略上面図である。
【図65】本発明の実施例に係る局部洗浄装置の要部を説明するための説明図であり、(a)はオプション機器用コンセント195の概略背面図、(b)はオプション機器用コンセント195の概略分解斜視図である。
【図66】本発明の実施例に係る本体着脱検知機構、水抜機構の説明図である。
【図67】洗浄時のヒータ第1、第2通電制御におけるゲイン調整の一例を説明するための説明図である。
【図68】前洗浄モード以降の一連のヒータ通電制御を説明するための説明図である。
【図69】変形例のモード移行の様子を水路系を中心に表すタイムチャートである。
【図70】変形例の捨水モードにおける処理内容を表すフローチャートである。
【図71】捨水モードから移行した保温モードにおける処理内容を表すフローチャートである。
【図72】前洗浄モードにおける処理内容を表すフローチャートである。
【図73】前洗浄モードから移行した胴体洗浄モードにおける処理内容を表すフローチャートである。
【図74】ソフトスタートとこれに続く本洗浄モードの処理内容を表すフローチャートである。
【図75】自己判定モードの処理内容を表すフローチャートである。
【図76】ヒータ通電制御の切換による洗浄水等の温度変化と、上記各洗浄モード移行の様子を説明する説明図である。
【図77】洗浄切換がなされた場合のモード移行の様子を水路系を中心に表すタイムチャートである。
【図78】本洗浄装置が便器から着脱された際の処理の様子を表すタイムチャートである。
【図79】ノズル本体111を強制的に前進させて使用者自らがこのノズル本体111を洗浄するノズル掃除の処理の様子を表すタイムチャートである。
【図80】凍結防止制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
4…着脱検知スイッチ
7A…熱交換部
7B…温度安定部
7C…出湯部
10…便蓋
20…便座
30…装置本体
60…バルブユニット
65…調圧弁
66…電磁弁
67…流出接続管
68…入水温サーミスタ
70…瞬間式熱交換ユニット
70a…連絡流路
71b…内部流路
71…円筒状セラミックヒータ
72p…円筒状流路
72h…連通孔
72b…接続開放室
72a…円筒躯体
72g…伝熱開孔
72j…伝熱板
72…熱交躯体
73…バイメタルスイッチ
74…水抜き栓
75…温度ヒューズ
76b…フロート収納室
76…流路形成体
77…湯温検知サーミスタ
78…フロートスイッチ
80…出湯形成体
81…安全弁ユニット
83…バキュームブレーカー
90…脈動ユニット
92…流調サブユニット
94b…ソレノイド
94n…アキュームレータ
94j…フランジ部
94f…プランジャー
94…脈動サブユニット
96…防振プレート
97…バキュームブレーカー
100…流路切換ユニット
101…切換モータ
110…ノズルユニット
111…ノズル本体
113…ノズルヘッド
120…ノズル駆動ユニット
121…ノズル洗浄室
122…洗浄ポート
124…ノズル駆動用モータ
130…脱臭ユニット
134…乾燥用ヒータ
137…乾燥用ファン
140…脱臭装置
150…補助操作ユニット
165…人体検知センサ
171…制御基板
172…制御基板

Claims (18)

  1. 局部洗浄に際して洗浄水を温水化し局部を洗浄する局部洗浄装置であって、
    局部洗浄に関与する機能部品の動作モードを順を追って実行する手段と、
    該動作モードに応じて洗浄水の温水制御手法を変更し、各動作モードごとの温水制御手法を実行して洗浄水を温水化する手段と、
    前記温水制御手法で温水化された洗浄水の温度条件と、該温水制御手法を実行してからの経過時間条件のいずれかが成立したときに、前記動作モードを次の動作モードに切り換える手段と、
    前記温度条件が成立すると、それまでの前記温水制御手法の実行を停止し、前記次動作モードに応じた温水制御手法に切り換える手段とを有し、
    前記温度条件が成立したときに温水制御手法の実行が停止される動作モードは、使用者が便座に着座した時点の着座時動作モードと、着座した使用者が局部洗浄の開始操作を実行した時点の洗浄開始時動作モードとされ、
    前記着座時動作モードと前記洗浄開始時動作モードでは前記温度条件が異なるものとされており、前記着座時動作モードの前記温度条件の方が、洗浄水温度が低い状況で成立する条件とされている
    ことを特徴とする局部洗浄装置。
  2. 洗浄水を温水化して局部に吐水する局部洗浄装置であって、
    待機位置から洗浄位置に移動して、局部に向けて洗浄水を吐水する吐水部と、
    給水源から前記吐水部への給水を制御する給水制御手段と、
    前記吐水部に至る給水経路中にヒータを備え、該ヒータにより洗浄水を瞬間加熱する熱交換装置と、
    前記吐水部から吐水される洗浄水の温度が設定温度に近似した温度となるように、前記ヒータへの通電を制御する通電制御手段と、
    前記ヒータの配設箇所より下流の洗浄水経路において洗浄水温度を検出する第1温度検出手段と、
    該第1温度検出手段の下流に設けられ、洗浄水の流入により洗浄水の撹拌を起こし得る撹拌経路部と、
    該撹拌経路部から流出した洗浄水温度を検出する第2温度検出手段と、
    局部洗浄を使用者が所望する際に操作され、その操作により、使用者の局部洗浄意図を検知する第1検知手段と、
    前記局部洗浄意図を、前記第1検知手段の操作に先立ち事前に検知する第2検知手段とを備え、
    前記通電制御手段は、
    前記第2検知手段が前記局部洗浄意図を事前に検知すると、洗浄水温度が前記設定温度を上回る第1目標温度になるように、前記ヒータへの通電を制御する第1制御手段と、
    前記第2温度検出手段の検出温度が前記設定温度近傍の温度に一致すると、前記第1制御手段によるヒータ制御を停止する停止手段と、
    前記第1制御手段のヒータ制御の停止時点から前記第1検知手段が前記洗浄意図を検知するまでの間に亘っては、前記ヒータの上限通電量を下回る通電量にヒータ通電量を制限して、前記ヒータの通電制御を実行する通電制限手段とを有し、
    前記給水手段は、
    前記第1制御手段によるヒータ制御開始に合わせて、洗浄水の給水を開始する給水開始手段と、
    前記通電制限手段による前記ヒータ制御の実行期間に亘っては、洗浄水の給水を中断する手段を有する
    ことを特徴とする局部洗浄装置。
  3. 請求項2記載の局部洗浄装置であって、
    前記第1制御手段は、前記第1目標温度と前記ヒータへの洗浄水入水温度とに基づいて、前記ヒータをフィードフォワード制御する、局部洗浄装置。
  4. 請求項2又は請求項3記載の局部洗浄装置であって、
    前記給水手段は、前記給水開始手段により給水された洗浄水を、前記待機位置にある前記吐水部に導く手段を有する、局部洗浄装置。
  5. 請求項2ないし請求項4いずれか記載の局部洗浄装置であって、
    局部に吐水する洗浄水の温水化を中断する手段を備え、
    前記第1制御手段と前記給水開始手段は、温水化が中断されている状況下であっても、それぞれ前記ヒータ制御と洗浄水給水開始を行う、局部洗浄装置。
  6. 請求項5記載の局部洗浄装置であって、
    前記第1制御手段は、前記温水化の中断状況下において、洗浄水温度が前記第1目標温度より低い第2目標温度になるように、前記ヒータへの通電を制御する、局部洗浄装置。
  7. 請求項6記載の局部洗浄装置であって、
    前記第2目標温度は前記設定温度近傍の温度とされている、局部洗浄装置。
  8. 請求項2ないし請求項7いずれか記載の局部洗浄装置であって、
    前記第2検知手段は、使用者の便座への着座を検知する手段である、局部洗浄装置。
  9. 請求項2ないし請求項8いずれか記載の局部洗浄装置であって、
    前記制限されるヒータ通電量は、前記上限通電量の1/10以下の通電量とされている、局部洗浄装置。
  10. 請求項2ないし請求項9いずれか記載の局部洗浄装置であって、
    前記通電制御手段は、
    前記第1検知手段が前記洗浄意図を検知すると、洗浄水温度が前記設定温度を上回る第3目標温度になるように、前記ヒータへの通電を制御する第2制御手段を備え、
    前記給水手段は、前記第2制御手段によるヒータ制御開始に合わせて、洗浄水の給水を実行する、局部洗浄装置。
  11. 請求項10記載の局部洗浄装置であって、
    前記第2制御手段は、前記第3目標温度と前記ヒータへの洗浄水入水温度とに基づいて、前記ヒータをフィードフォワード制御する、局部洗浄装置。
  12. 請求項11記載の局部洗浄装置であって、
    前記第2制御手段は、フィードフォワード制御の際に前記ヒータへの通電量を決定するための制御ゲインを、前記第1制御手段が前記ヒータへの通電量を決定する際の制御ゲインより小さい制御ゲインとする、局部洗浄装置。
  13. 請求項2ないし請求項12いずれか記載の局部洗浄装置であって、
    前記通電制御手段は、
    前記第1温度検出手段の検出温度についての温度条件と、前記第2温度検出手段の検出温度についての温度条件のいずれかが成立すると、前記第2制御手段によるヒータ制御を停止する停止手段と、
    前記第2制御手段のヒータ制御の停止以降は、洗浄水温度が前記設定温度になるように、前記ヒータの通電を制御する第3制御手段とを有し、
    前記給水手段は、前記第3制御手段による前記ヒータ制御の実行期間において、洗浄水を設定水量で給水する、局部洗浄装置。
  14. 請求項13記載の局部洗浄装置であって、
    前記第3制御手段は、前記設定温度と前記第1温度検出手段の検出温度とに基づいて、前記ヒータをフィードバック制御する、局部洗浄装置。
  15. 請求項14記載の局部洗浄装置であって、
    前記第3制御手段は、フィードバック制御の際に前記ヒータへの通電量を決定するための制御ゲインを、前記設定水量が多いほど大きくなるように増減補正する手段を有する、局部洗浄装置。
  16. 請求項14又は請求項15記載の局部洗浄装置であって、
    前記第3制御手段は、フィードバック制御の前記制御ゲインを、前記設定温度から前記第1温度検出手段の検出温度が離れるほど大きくなるように増減補正する手段を有する、局部洗浄装置。
  17. 請求項14又は請求項16記載の局部洗浄装置であって、
    前記第3制御手段は、前記設定温度と洗浄水入水温度とに基づいて前記ヒータを制御するフィードフォワード制御を、前記フィードバック制御と併用する、局部洗浄装置。
  18. 請求項2ないし請求項17いずれか記載の局部洗浄装置であって、
    前記第1温度検出手段の検出温度についての高温時温度条件と、前記第2温度検出手段の検出温度についての高温温度条件のいずれかが成立すると、前記通電制御手段によるヒータ制御を第1の所定時間に亘って禁止すると共に、前記給水手段の給水を継続したままその洗浄水を前記吐水部以外に導く手段と、
    前記ヒータ制御禁止後の前記両検出温度の推移を監視し、前記両検出温度の推移状況に応じて、前記ヒータ制御の禁止解除又は禁止継続を行う手段と、
    前記第1の所定時間を超える時間に亘って、前記両検出温度の降下推移が起きないときは、前記ヒータ制御を引き続き禁止すると共に、前記吐水部を前記待機位置に復帰させて吐水部からの洗浄水吐水をも禁止する手段とを有する、局部洗浄装置。
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