JP3742179B2 - プレス金型におけるパンチ保持装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パンチを保持したリテーナに対してパンチの周方向の位置決めを行うようにしたプレス金型におけるパンチ保持装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プレス金型におけるパンチ保持装置の中には、パンチを打抜可能位置と打抜不能位置とに切換えることのできるようにしたものがある。すなわち、パンチが、プレス金型に取付けられるリテーナにその軸心方向に摺動自在に保持されると共に、スプリングによって該リテーナからの突出長さが短くされた打抜不能位置に向けて付勢されて、パンチの基端面側に配置されたセレクトバーによってパンチのリテーナからの突出長さを変更することにより、パンチの打抜可能位置と打抜不能位置とを切換えるようにしたものがある(例えば実公平3−4412号公報、実公平4−21609号公報、実開昭55−23283号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、パンチの先端部形状つまりワークに対する打抜加工部となる部分の形状が、例えば長方形等の断面異形状とされることがあり、この場合、ワークとの位置関係において、パンチが周方向に勝手に動かないようにリテーナに対して周方向の位置決めを行うことが必要となる。
【0004】
パンチのリテーナに対する周方向の位置決めのために、従来は、パンチの中間軸部側面に平坦面部を形成する一方、リテーナに、該平坦面部に作用するカム部材と該カム部材をロックするロックねじを設けたものがあるが、これは部品点数が多くなると共に加工部分が多くなり、構造複雑化やコストアップの大きな原因となる。また、パンチの中間軸部を断面異形状とする一方、リテーナに形成されるパンチガイド孔をパンチの異形状に対応した断面異形状とすることも考えられているが、この場合は、加工が極めて複雑かつ高精度のものが要求され、大幅なコストアップとなる。特に、リテーナのガイド孔を断面異形状に内面加工することは、相当な困難を伴うことになる。
【0005】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、部品点数も少なくてすみ、かつコスト的にも有利なプレス金型におけるパンチ保持装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明はその第1の解決手法として次のようにしてある。すなわち、
0007
パンチが、プレス金型に取付けられるリテーナにその軸心方向に摺動自在に保持されると共に、スプリングによって該リテーナからの突出長さが短くされた打抜不能位置に向けて付勢され、
パンチの基端面側に配置されたセレクトバーによってパンチのリテーナからの突出長さを変更することにより、パンチの打抜可能位置と打抜不能位置とを切換えるようにしたプレス金型におけるパンチ保持装置において、
パンチの中間軸部に対して嵌合されると共にパンチの基端部に形成されている大径頭部によって抜け止めされて、前記スプリングの一端部が着座されるばね座部材が設けられ、
前記大径頭部の側面に、部分的に面取りされることにより位置決め用の第1平坦面部が形成され、
前記ばね座部材には、前記第1平坦面部に当接して、該ばね座部材とパンチとの相対回転を規制して該パンチとばね座部材との周方向の位置決めを行う第2平坦面部が形成され、
前記リテーナとばね座部材との一方に位置決め用凸部が形成されると共に、他方に位置決め用凹部が形成され、
前記位置決め用凸部と位置決め用凹部とがパンチの軸心方向から互いに嵌合されて、前記リテーナに対する該ばね座部材の周方向の位置決めが行われ
前記位置決め用凸部が、パンチの軸心と平行に伸びるように前記リテーナに固定された位置決め用ピンによって構成され、
前記位置決め用凹部が、前記ばね座部材の側面に形成された切欠によって構成され、
前記セレクトバーが前記リテーナに対してパンチのほぼ直径方向に往復変位するように保持されて、該セレクトバーがパンチの基端面側に進出したときに前記打抜可能位置とされると共に、該セレクトバーがパンチの基端面側より退出したときに前記打抜不能位置とされるように設定され、
前記位置決め用凸部および位置決め用凹部が、パンチの軸心を挟んで、前記セレクトバーの退出方向とは反対側に位置するように設定されている、
ようにしてある。
0008
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。
【0009】
【発明の効果】
請求項1によれば、パンチを打抜可能位置と打抜不能位置とに切換えるようにしたものにおいて、ばね座部材とパンチとの周方向位置決めが、第1第2の2つの平坦面部同士を当接することにより行われ、ばね座部材とリテーナとの位置決めが位置決め用凹部と凸部との嵌合によって行われ、最終的に、パンチのリテーナに対する周方向の位置決めが行われることになり、全体として部品点数を大幅に増加させることなく、また大幅なコストアップを伴うことなく、パンチのリテーナに対する周方向の位置決めを行うことができる。また、ばね座部材をパンチに嵌合した状態で、パンチとばね座部材との組立て体をリテーナに組み付けるだけで、パンチのリテーナに対する周方向の位置決めが自動的つまり簡単に行えることになる。
【0010】
また、請求項1によれば、位置決め用凸部と凹部とのより具体的なものが提供されるが、位置決め用凹部がばね座部材の側面に形成された切欠とされるので、その形成が極めた簡単であり、また、位置決め用凸部として位置決め用ピンは、パンチの軸心と平行に伸びているので、パンチを打抜可能位置と打抜不能位置とに切換えることに伴うパンチの大きな軸心方向変位量にも十分に対応して、パンチのリテーナに対する周方向の位置決めを常に確実に行う上で好ましいものとなる。
さらに、請求項1によれば、セレクトバーと位置決め用凸部、凹部部分との干渉を防止する上で好ましいものとなる。
【0011】
請求項によれば、パンチとばね座部材との組立て体をリテーナに対して組み付けるとき、ばね座部材がパンチ軸心に対して若干傾いた状態で位置決め用ピンに接近させても、この傾きを補償して、ばね座部材に形成された位置決め用凹部を位置決めピンに確実かつ容易に嵌合させることができる。
【0012】
請求項によれば、パンチをばね座部材と共にリテーナに取付けるとき、あるいはパンチをばね座部材と共にリテーナから取り外すときに、パンチとばね座部材との一体化を常に確保して、その取付、取り外し作業が容易となる。
【0013】
請求項4によれば、2つの平坦面部同士を確実かつ容易に当接させる上で、また各平坦面部同士の当接面積を極力大きいものに確保する上で好ましいものとなる。
【0014】
請求項5によれば、第2平坦面部を有するばね座部材のより具体的なものが提供される。
0015
請求項によれば、第2部分に相当する厚さを有する金属板を削り加工するだけで、第1部分に相当する板状部分と、第2平坦面部とを一挙に得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1において、1はプレス金型の上金型であり、この上金型1には、リテーナ2を介してパンチ3が保持されている。リテーナ2は、リテーナ本体4とバッキングプレ−ト5とサイドプレ−ト6との分割構成とされ、これ等4〜6は、ボルトによって互いに一体化されている。
【0017】
リテーナ本体4には、上下方向に伸びるガイド孔7が形成されて、ガイド孔7の上方部分は、当該ガイド孔7が連通されると共にリテーナ本体4上面に開口された収納空間8とされ、この収納空間8はバッキングプレ−ト5によって施蓋されている。パンチ3は、ガイド孔7に摺動される部分が中間軸部3aとされ、中間軸部3aより先端側が打抜加工部3bとされ、中間軸部3aよりも上部が当該中間軸部3aよりも若干大径とされた大径頭部3cとされている。そして、ガイド孔7、中間軸部3aおよび大径頭部3cはそれぞれ断面円形とされているが、打抜加工部3bの断面形状は例えば略長方形等の異形状(図4〜図6参照)とされている。
【0018】
パンチ3の中間軸部3aには、収納空間8内に位置させてばね座部材9ががたつきなく嵌合されて(中間嵌めで、小さい外力では相対変位不能)、大径頭部3cによってその抜け止めがなされている。リテーナ本体4には、収納空間8の底壁に開口するように、上下方向に伸びるばね収納凹部10が、パンチ3の周方向略等間隔に複数(実施形態で3個)形成されている。各ばね収納凹部10内に配置されたリタ−ンスプリング11の上端部が、ばね座部材9の下面に当接され、これによりパンチ3は常時上方へ向けて付勢されている。
【0019】
リテーナ本体4およびサイドプレ−ト6の上面には、パンチの略直径方向に伸ばしてかつ収納空間8に連通するように細長くガイド溝12が形成され、このガイド溝12もバッキングプレ−ト5によって施蓋されている。ガイド溝12内には、セレクトバー(移動バッキングプレ−トとも称される)13が摺動自在に嵌合されている。セレクトバー13の先端部下面は、パンチ3の軸心方向において、上方に向うにつれたパンチ3の大径頭部3cから離れるように傾斜されたテーパ状の傾斜面13aが形成されている。
【0020】
セレクトバー13の基端部は、後述する連結機構14を介して、アクチュエ−タとしてのシリンダ装置(例えばエア式あるいは油圧式)15の駆動軸15aに連結されている。シリンダ装置15は、サイドプレ−ト6に対してボルト16によって固定されている。
【0021】
前記ばね座部材9は、図7、図8に示すような形状とされている。すなわち、ばね座部材9は、薄い板状の第1部分9aと、第1部分9aの一側方上面よりも上方へ隆起された厚肉の第2部分9bとを有し、第1部分9aに、パンチ3の中間軸部3aが挿入される貫通孔9cが形成されている。そして、第2部分9bにおける貫通孔9c側の側面には、パンチ3の軸心と平行に伸びる第2平坦面部9dが形成されている。なお、このような第1部分9aと第2部分9bとを有するばね座部材9は、第2部分9bに相当する厚さを有する金属板、例えば鉄板の上面を、第1部分9aに相当する部分のみ機械加工によって削り加工することにより得られ、このとき、第2平坦面部9dを同時に形成することができる。なお、貫通孔9cの形成は、第1部分9aと第2部分9bとを形成する前あるいは後に形成することが できる。
【0022】
上記第2平坦面部9dに対応して、パンチ3の大径頭部3cの側面には、部分的に面取りすることにより、パンチ3の軸心と平行に伸びる第1平坦面部3dが形成されている。上記各平坦面部3dと9dとが整合するように、ばね座部材9を、その第1部分9aが大径頭部3c下面に当接するまで嵌合させると、各平坦面部dと9dとの当接関係によって、ばね座部材9のパンチ3に対する周方向の位置決めが行われることになる。
【0023】
ばね座部材9のうち、第2部分9bには、その一部を切り欠くことにより、パンチ3の軸心と平行に伸びる位置決め用凹部(切欠部)9eが形成されている。一方、リテーナ本体4には、位置決め用凹部9eに対応して、位置決め用凸部としての位置決め用ピン17が固定されている。この位置決め用ピン17は、パンチ3の軸心と平行ののびており、収納空間8の底壁に開口するようにリテーナ本体4に形成された取付孔18に圧入されている。
【0024】
位置決め用ピン17の直径は、位置決め用凹部9eに対してパンチ3周方向にがたつきなく嵌合する大きさとされている。図9に示すように、位置決め用凹部9eは、図1、図2、図16に示すような所定の組付状態において、位置決め用ピン17に対して、パンチ3の軸心側において隙間Lを有するようにされている。より具体的には、位置決め用凹部9eの奥部内面は、中心O1を中心とする円弧状に形成されているが、所定の組付状態において、位置決め用ピン17の中心O2よりもO1の方がパンチ3の軸心側に若干オフセットされた位置となるように設定されている。
【0025】
前記連結機構14について、図10〜図16R>6を参照しつつ説明する。まず、セレクトバー13の基端部には、その上部部分から後方つまりシリンダ装置15側へ向けて突出する突起部13bが形成されて、この突起部13bに、パンチ軸心方向に伸びる連結孔21が形成されている。一方、シリンダ装置15の駆動軸15a先端面には、連結部材22のねじ部22aが螺合されている。この連結部材22の先端部分には、パンチ軸心方向に伸びる取付孔23が形成され、取付孔23に、連結ピン24の下端部が圧入等により固定されている。この連結ピン24の上端部は、セレクトバー13に形成された前記連結孔21内に緩く嵌合されている(図15参照)。これにより、セレクトバー13は、バッキングプレ−ト5がリテーナ本体4から取り外された状態において、連結ピン24から引き抜くように上方へ変位させることによって、リテーナ本体4から取り外すことが可能となっている(図16一点鎖線参照)。
【0026】
図1の組付完了状態において、シリンダ装置15の駆動軸15aを前進させて、セレクトバー13をパンチ3の大径頭部3b背面に進出させることによって、パンチ3のリテーナ2からの突出長さが長くされた打抜可能位置とされる。図1の状態から、シリンダ装置15を縮長させてセレクトバー13をパンチ3の大径頭部3b背面から退出させると(セレクトバー13の退出位置は図16参照)、パンチ3は、スプリング11によって上方へ変位、つまりリテーナ2からの突出長さが短くされて、打抜不能位置とされる。
【0027】
図16に示すような打抜不能位置とするとき、セレクトバー13は、パンチ3の大径頭部3cの延長軌跡よりも退出されるが、ばね座部材10の延長軌跡内に位置するようにされる。すなわち、リテーナ2を上金型1から取り外すと共にバッキングプレ−ト5をリテーナ本体4から取り外して、パンチ3とばね座部材9とをリテーナ本体4から上方へ向けて引き抜くとき、このままではセレクトバー13に対してばね座部材9が干渉してしまう関係となっている。しかしながら、セレクトバー13を、図16一点鎖線で示すように上方へ取り外すことにより、パンチ3はばね座部材9と共に、セレクトバー13に邪魔されることなくリテーナ本体4から上方へ引き抜くことが可能となる。なお、セレクトバー13の退出位置を、ばね座部材9と干渉しない位置にまで十分後方へ後退させるようにすることもできるが、この場合は、セレクトバー13の必要な変位量が大きくなって、つまりシリンダ装置15がその軸線方向に長い大型となって、図1左右方向での長さが大きくなってしまうことになる。
【0028】
パンチ3をリテーナ2に組み付けて上金型1に取付けるには、まず、ばね座部材9をパンチ3に対して、各平坦面部3dと9dとが整合(当接)された状態で嵌合させたものを用意する。図1の状態からバッキングプレ−ト5やセレクトバー13が取り外されたリテーナ本体4に対して、ばね座部材9が嵌合されたパンチ3を、その打抜加工部3b側からガイド孔7へ挿入していく。パンチ3のガイド孔7への嵌合が進行すると、やがてばね座部材9がスプリング11からの付勢力を受ける状態になると共に、位置決め用凹部9eが位置決め用ピン17に嵌合された状態となる。このとき、図9に示す隙間Lの設定により、位置決め用凹部9eと位置決め用ピン17との嵌合がスム−ズに行われる。
【0029】
この後、連結孔21を連結ピン24に嵌合させつつ、セレクトバー13をガイド溝12内に位置させる。この後は、バッキングプレ−ト5をリテーナ本体4に固定し、その後リテーナ本体4を上金型1に固定すればよい。パンチ3のリテーナ2からの取り外しは、前述したのと逆の手順で行えばよい。
【0030】
ここで、シリンダ装置15によってセレクトバー13を打抜可能位置へ向けて押圧するときは、打抜不能位置へ向けてセレクトバー13を退出させるときよりも大きな力を要することになる。連結ピン24に対して、打抜可能位置選択のときの大きな力が作用しないようにするため、例えばセレクトバー13に形成された連結孔21を、連結ピン24の直径よりもセレクトバー13の長手方向に若干大きく設定して(大きな寸法分が、図15において符合L2で示される)、セレクトバー13を打抜可能位置へ向けて押圧するときは、連結部材22によって直接セレクトバー13を押圧するようにするのが好ましい(連結ピン24には、打抜可能位置へ向けての押圧力が作用しない)。このため、連結部材22の先端部が、連結孔21の下方に進出できるように、当該連結孔21が形成された突起部13bの下方には、連結部材22の先端部が位置される逃げ空間25が形成されれている。
【0031】
図17〜図19は、セレクトバー13とシリンダ装置15との別の連結手法を示すものであり、図1R>1〜図16で示されるものと同一構成要素には同一符合を付してある。すなわち、連結機構14が、シリンダ装置15の駆動軸15aに固定される連結部材32を有するが、この連結部材32とセレクトバー13の後端部とが、略水平方向に伸びる連結ピン34を介して連結、つまりセレクトバー13が上下方向に揺動可能に連結されている。これにより、セレクトバー13を、その退出ストロ−ク端において、連結ピン34を中心としてその先端部が上方へ向うように揺動させることによって、セレクトバー13に邪魔されることなく、パンチ3をばね座部材9と共にリテーナ本体4から取り外すことができる。
【0032】
連結部材32とセレクトバー13との連結部分についてより詳細に説明すると、セレクトバー13の後端部には、間に逃げ空間35を形成するようにして左右一対の2又状突起部36、37が形成されて、この突起部36と37との間つまり逃げ空間35に、連結部材32の先端部が位置されている。そして、連結部材32の先端部に形成された連結孔38を連結ピン34が貫通して、連結ピン34の各端部が、各突起部36、37に形成されて取付孔39に嵌合されている。好ましくは、連結ピン34は、連結部材32の連結孔38に対してセレクトバー13の長手方向に若干隙間を有するようにされて、シリンダ装置15からの打抜可能位置へ向けての押圧力が、連結ピン34を介することなく、連結部材32からセレクトバー13へと直接伝達されるようにされる(図19参照)。
【0033】
なお、リタ−ンスプリング11を、図1、図16では簡略的に示してあるが、その下端部のみを収納凹部10にきつく嵌合される大径部とする一方、その他の部分をばね収納凹部10よりも十分に径の小さい小径部としておくことにより、パンチ3の交換等のときにスプリング11が不用意にリテーナ2から脱落しないようにすることができる。また、図2において、41はリテーナ2(リテーナ本体4)の上金型1に対する位置決めを行う位置決めピン用の取付孔であり、42はリテーナ2(リテーナ本体4)を上金型1に固定するためのボルトの挿通孔であり、43はバッキングプレ−ト5をリテーナ本体4に固定するためのボルト孔である。
【0034】
以上実施の形態について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば次のような場合をも含むものである。セレクトバー13は、往復式でなく、回転式とすることもできる。パンチ3のリテーナ2に対する周方向の位置決めは、ばね座部材9に突起部を形成する一方(突起部をばね座部材9に一体成形するのが好ましい)、リテーナ2(リテーナ本体4)側に、当該突起部がパンチ軸心方向から嵌合される凹部を形成することにより行うようにしてもよい。リテーナ2に位置決め用凹部を直接形成する場合は、内面加工となって好ましくないので、別途位置決め用凹部が形成された位置決め部材を別途設けて、この位置決め部材をリテーナ2に固定するようにしてもよい。
【0035】
位置決め用凸部、凹部は、パンチ3の周方向において適宜の位置に設定することができるが、往復式のセレクトバー13の移動の邪魔とならないように、パンチ3の軸心を挟んで、セレクトバー13の退出方向とは反対側に位置設定するのが好ましいものである。同様に、ばね座部材9の上方へ突出した第2部分9b、つまり各平坦面部3d、9dを、パンチ3の軸心を挟んでセレクトバー13の退出方向とは反対側に位置設定しておくのが好ましいものとなる。
【0036】
セレクトバー13を、別途アクチュエ−タを用いて駆動することなく、手動によって駆動するようにしてもよい。パンチのリテーナに対する周方向の位置決めが要求される場合は、パンチの打抜加工部の断面形状は、異形状に限らず、円形であってもよい。本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として記載された内容のものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すもので、パンチが打抜可能位置にあるときの側面断面図。
【図2】図1の状態からバッキングプレ−トを取り外して見たときの上面図。
【図3】図2の状態からセレクトバー、パンチ、ばね座部材を取り外して見たときの要部上面図。
【図4】打抜加工部の断面形状が異形状とされたパンチの一例を示すもので、図5の右側面図。
【図5】図4の右側面図。
【図6】図4の上面図。
【図7】ばね座部材の平面図。
【図8】ばね座部材の側面図。
【図9】位置決め用ピンとばね座部材に形成された位置決め用凹部との嵌合状態を示す拡大平面図。
【図10】セレクトバーの一部断面側面図。
【図11】図10の底面図。
【図12】図10の右側面図。
【図13】連結部材の平面図。
【図14】連結部材と連結ピンとセレクトバーとの連結関係を示す一部断面分解図。
【図15】連結部材と連結ピンとセレクトバーとの連結関係を示す一部断面側面図。
【図16】セレクトバーが退出位置にあるときの状態およびセレクトバーのリテーナからの取り外しを示す側面断面図。
【図17】セレクトバーとシリンダ装置との別の連結関係を示す一部断面側面図。
【図18】図17の一部断面平面図。
【図19】図17、図18に示すものにおいて、連結部材によってセレクトバーを進出位置へ向けて押圧しているときの様子を詳細に示す一部断面拡大側面図。
【符合の説明】
1:上金型
2:リテーナ
3:パンチ
3a:中間軸部
3b:打抜加工部
3c:大径頭部
3d:第1平坦面部
4:リテーナ本体
5:バッキングプレ−ト
6:サイドプレ−ト
7:ガイド孔
8:収納空間
9:ばね座部材
9a:第1部分
9b:第2部分
9c:貫通孔
9d:第2平坦面部
9e:位置決め用凹部
11:リタ−ンスプリング
12:ガイド溝
13:セレクトバー
17:位置決め用ピン(位置決め用突起部)
18:取付孔

Claims (6)

  1. パンチが、プレス金型に取付けられるリテーナにその軸心方向に摺動自在に保持されると共に、スプリングによって該リテーナからの突出長さが短くされた打抜不能位置に向けて付勢され、
    パンチの基端面側に配置されたセレクトバーによってパンチのリテーナからの突出長さを変更することにより、パンチの打抜可能位置と打抜不能位置とを切換えるようにしたプレス金型におけるパンチ保持装置において、
    パンチの中間軸部に対して嵌合されると共にパンチの基端部に形成されている大径頭部によって抜け止めされて、前記スプリングの一端部が着座されるばね座部材が設けられ、
    前記大径頭部の側面に、部分的に面取りされることにより位置決め用の第1平坦面部が形成され、
    前記ばね座部材には、前記第1平坦面部に当接して、該ばね座部材とパンチとの相対回転を規制して該パンチとばね座部材との周方向の位置決めを行う第2平坦面部が形成され、
    前記リテーナとばね座部材との一方に位置決め用凸部が形成されると共に、他方に位置決め用凹部が形成され、
    前記位置決め用凸部と位置決め用凹部とがパンチの軸心方向から互いに嵌合されて、前記リテーナに対する該ばね座部材の周方向の位置決めが行われ
    前記位置決め用凸部が、パンチの軸心と平行に伸びるように前記リテーナに固定された位置決め用ピンによって構成され、
    前記位置決め用凹部が、前記ばね座部材の側面に形成された切欠によって構成され、
    前記セレクトバーが前記リテーナに対してパンチのほぼ直径方向に往復変位するように保持されて、該セレクトバーがパンチの基端面側に進出したときに前記打抜可能位置とされると共に、該セレクトバーがパンチの基端面側より退出したときに前記打抜不能位置とされるように設定され、
    前記位置決め用凸部および位置決め用凹部が、パンチの軸心を挟んで、前記セレクトバーの退出方向とは反対側に位置するように設定されている、
    ことを特徴とするプレス金型におけるパンチ保持装置。
  2. 請求項において、
    前記位置決め用凹部としての前記切欠が、前記位置決め用ピンに嵌合された所定組付状態において、該位置決め用ピンよりもパンチの軸心側において該位置決め用ピンとの間に隙間を有するように形成されている、ことを特徴とするプレス金型におけるパンチ保持装置。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記ばね座部材が、パンチの中間軸部のうち前記大径頭部付近に対して中間嵌めとされて、前記第1平坦面部と第2平坦面部とが係合されていない状態でも、小さな外力では該ばね座部材がパンチに対して周方向および軸心方向に変位しないようにされている、ことを特徴とするプレス金型におけるパンチ保持装置。
  4. 請求項1または請求項2において、
    前記各平坦面部がそれぞれ、パンチの軸心方向と平行になるように形成されている、ことを特徴とするプレス金型におけるパンチ保持装置。
  5. 請求項1、請求項2または請求項において、
    前記ばね座部材が、パンチが貫通する貫通孔を有すると共にパンチの大径頭部が着座される第1部分と、該第1部分の一側部上面よりパンチの大径頭部側に向けて隆起された第2部分とを有し、
    前記第2部分のうち前記貫通孔側の側面に、前記第2平坦面部が形成されている、ことを特徴とするプレス金型におけるパンチ保持装置。
  6. 請求項において、
    前記ばね座部材は、前記第2部分に相当する厚さの金属板の一方側板面を部分的に削り加工することにより、前記第1部分に相当する厚さ部分が形成されていると共に、該削り加工するときに前記第2平坦面部が同時に形成されている、ことを特徴とするプレス金型におけるパンチ保持装置。
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