JP3739731B2 - シート状パック化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はスキンケア分野において使用するシート状化粧料に関し、更に詳しくは保湿効果の高い乳化組成物を効率よく肌へ浸透させることができ、肘や膝、踝、踵等の部位の角化症、乾燥肌、肥厚性角質、荒れ肌、ひび割れ等の症状の改善に用いられる、保存安定性に優れたシート状パック化粧料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
肘や膝、踝、踵等の部位の角化症、乾燥肌、肥厚性角質、荒れ肌、ひび割れ等の症状の改善する為の製品としては、従来クリームや化粧水、乳液等が市販されている。更に近年では、高分子を架橋させた膏体に有効成分を保持させ、それを支持体上に塗工したゲル状シートパック等も市販されている。しかしながら、クリームや化粧水、乳液では流動性を有するために、使用時に垂れや流れ等が生じると共に、適用部位に塗布しても比較的早く乾燥してしまい、保湿成分の効果を持続させることができず、手指等の汚染や、時には衣服等の汚染を伴うこともあり、取り扱い性の点で満足できるものではない。またゲル状シートパックは、膏体自体に粘着力があり、皮膚への密着性を高くして持続的に患部を被覆することができるが、架橋された高分子によって保湿成分が強く保持されているため、皮膚への浸透性が悪くなり、保湿効果、改善効果に関して、不十分な点がある。また、支持体に塗工した膏体は水分が蒸散しやすく、使用感の悪化や、保湿効果の低下等、保存安定性の面での問題点もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、従来のクリームや乳液、ゲル状シートパックでは達し得なかった皮膚面上での保湿作用をできるだけ長く維持し、皮膚面の各症状を改善するための保湿効果を最大限に発揮できるシート状パック化粧料を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記事情に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、多価アルコール、高級アルコール、高級アルコール以外の油性成分、乳化剤、及び水を必須成分とする乳化組成物を、支持体上及び/又は支持体内部に保持させたシート状パック化粧料により、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成したものである。
【0005】
また本発明者は、支持体に保持させる乳化組成物中の多価アルコールと水との配合比又は配合量を限定することにより、保湿効果及び保存安定性が特に優れたシート状パック化粧料が得られることを見出した。
【0006】
すなわち本発明の請求項1は、乳化組成物の総量を基準として、40.0〜80.0質量%の多価アルコールと、高級アルコール、高級アルコール以外の油性成分、乳化剤、及び水を含有する乳化組成物を、支持体上及び/又は支持体内に保持させてなるシート状パック化粧料である。
【0007】
また本発明の請求項2は、支持体に保持させる乳化組成物中の多価アルコールと水との配合比が、質量比で2:1〜9:1であることを特徴とする請求項1記載のシート状パック化粧料である。
【0008】
また本発明の請求項3は、支持体に保持させる乳化組成物中の多価アルコール及び水の配合量が、乳化組成物の総量を基準として、50〜95質量%であることを特徴とする請求項1又は2記載のシート状パック化粧料である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
【0010】
本発明のシート状パック化粧料は、多価アルコール、高級アルコール、高級アルコール以外の油性成分、乳化剤、及び水を含有する乳化組成物を、支持体上及び/又は支持体内部に保持させてなるシート状パック化粧料であり、支持体に保持させている組成物が、安定な乳化粒子を形成することによって粘性を出した乳化組成物であるという点で、高分子等を架橋させたゲル状組成物を支持体に塗工した従来のシート状パック化粧料とは異なる。
【0011】
本発明のシート状パック化粧料は、乳化組成物を皮膚に密着させることによって、皮膚への保湿効果を長く維持でき、また支持体による閉塞効果で更に保湿効果を増すことができる。更に支持体に保持された乳化組成物の水分蒸散抑制効果が高いので、これを包装した容器中、及び支持体等にカビ等の微生物が繁殖するのを防ぎ、長期間高い保湿効果を維持した良好な状態を保つことができる。
【0012】
本発明に用いられる多価アルコールとしては、通常化粧料で使用されているものであれば特に制限されない。例えばグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、ソルビトール、マルチトール等が挙げられる。これらの内、グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ソルビトール、及びマルチトールは、保湿効果や水分蒸散抑制効果に優れる点から好ましい。
【0013】
本発明に用いられる多価アルコールの配合量としては、乳化組成物の総量を基準として、40.0〜80.0質量%(以下、%と略す)が好ましく、特に好ましくは、50.0〜70.0%である。配合量が40.0%未満であると、水分蒸散抑制効果が悪くなる場合があり、80.0%を超えて配合すると、使用時にべたつき感が増加する場合があり、好ましくない
【0014】
本発明に用いられる高級アルコールとしては、セチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、コレステロール、フィトステロール等が挙げられる。また高級アルコールの配合量としては、乳化組成物の総量を基準として、0.01〜10.0%が好ましく、特に好ましくは0.1〜5.0%である。配合量が0.01%未満、又は10.0%を超えて配合すると、乳化安定性が悪くなる場合があり、支持体に保持させるのに適した粘度を保つことが難しくなり好ましくない。
【0015】
本発明に用いられる高級アルコール以外の油性成分としては、流動パラフィン、パラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、スクワラン、植物性スクワラン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸等の脂肪酸、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、オレイン酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸オレイル、リシノール酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸2−エチルヘキシル、オレイン酸イソデシル、リシノール酸オクチルドデシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セトステアリル、2−エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、テトラミリスチン酸ペンタエリスリトール、オクタン酸イソステアリル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル、セバシン酸ジイソプロピル、ステアリン酸コレステリル、オレイン酸フィトステリル、12−ヒドロキシステアリン酸イソステアリル等のエステル油、アボガド油、アルモンド油、オリーブ油、ククイナッツ油、ゴマ油、小麦胚芽油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サザンカ油、サフラワー油、大豆油、月見草油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、パーム核油、パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ホホバ油、グレープシード油、マカデミアナッツ油、綿実油、メドウホーム油、ヤシ油、落花生油、ローズヒップ油等の植物性油脂、牛脂、豚脂、馬脂、タートル油、ミンク油、卵黄油、パーセリン油等の動物性油脂、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、ラノリン、ミツロウ等のロウ、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、シリコン樹脂、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、テトラメチルヘキサシロキサン、高重合メチルポリシロキサン等のシリコーン油、パーフルオロポリエーテル等のフッ素油等が挙げられる。また高級アルコール以外の油性成分の配合量としては、乳化組成物の総量を基準として、0.01〜20.0%が好ましく、特に好ましくは5.0〜15.0%である。配合量が0.01%未満であると保湿効果が不十分な場合があり、20.0%を超えて配合すると、乳化安定性が悪くなる場合があり好ましくない。
【0016】
本発明に用いられる乳化剤としては、ベタイン型、スルホベタイン型、スルホアミノ酸型等の両イオン性界面活性剤、脂肪酸セッケン、α−アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、セチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアミドエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム等のN−アシルアミノ酸塩、スルホコハク酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等の陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤、テトラアルキルアンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤、レシチン、リゾフォスファチジルコリン等の天然系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン等のシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。また乳化剤の配合量としては、乳化組成物の総量を基準として、0.01〜10.0%が好ましく、特に好ましくは0.1〜5.0%である。配合量が0.01%未満であると乳化安定性が悪くなる場合があり、10.0%を超えて配合すると、皮膚への刺激等の問題があり好ましくない。
【0017】
本発明の乳化組成物中の多価アルコールと水との配合比が、質量比で2:1〜9:1であるか、また乳化組成物中の多価アルコール及び水の配合量が、乳化組成物の総量を基準として、50.0〜95.0%であると、保湿効果と保存安定性が特に優れたシート状パック化粧料を得ることができる。
【0018】
本発明の乳化組成物にはこれらの他にも、例えば一般に化粧料で用いられている増粘剤、香料等をはじめ、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、並びに美容、美顔及び皮膚の治療等を目的とする薬効成分等の各種化粧料成分を適宜配合することができる。
【0019】
増粘剤としては、例えばカルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、トラガントガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、ジェランガム、寒天、ペクチン、ゼラチン、ポリアクリルアミド、ベントナイト、スメクタイト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0020】
pH調整剤としては、例えばクエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、乳酸、酒石酸等の有機酸、無機酸及びその塩類等が挙げられる。
【0021】
防腐剤としては、例えばメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、エタノール、デヒドロ酢酸等が挙げられる。
【0022】
酸化防止剤としては、例えばブチルオキシトルエン(BHT)等が挙げられる。
【0023】
紫外線吸収剤としては、例えばパラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(別名;パラメトキシケイ皮酸オクチル)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−硫酸、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、p−メトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩、パラアミノ安息香酸等が挙げられる。
【0024】
顔料としては、例えばベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、ナイロンパウダー、酸化亜鉛、セリサイト、マイカ、タルク等が挙げられる。
【0025】
薬効成分としては、アシタバエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オオムギエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海藻エキス、海水乾燥物、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クマザサエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コンフリーエキス、コケモモエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、スイカズラエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、ゼニアオイエキス、センブリエキス、タイソウエキス、タイムエキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、蜂蜜、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、モモ葉エキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユズエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等が挙げられる。
【0026】
またデオキシリボ核酸、ムコ多糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜等の生体高分子、ε−アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、β−グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコルチゾン等の抗炎症剤、ビタミンA,B2,B6,C,D,E,パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド等のビタミン類、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン等の抗酸化剤、γ−オリザノール、ビタミンE誘導体等の血行促進剤、β−カロチン、タンパク質分解酵素等の創傷治癒剤、セファランチン、トウガラシチンキ、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、塩酸ピリドキシン、DL−α−トコフェロール、酢酸DL−α−トコフェロール、ニコチン酸、ニコチン酸誘導体、パントテン酸カルシウム、アセチルパントテニルエチルエーテル、ビオチン、アラントイン、イソプロピルメチルフェノール、エストラジオール、エチニルエステラジオール、塩化カプロニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、カンフル、サリチル酸、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、ピロクトンオラミン、ペンタデカン酸グリセリル、l−メントール、メントールのピロリドンカルボン酸塩、モノニトログアヤコール、尿素、レゾルシン、γ−アミノ酪酸、塩化ベンゼトニウム、塩酸メキシレチン、オーキシン、女性ホルモン、カンタリスチンキ、シクロスポリン、ヒドロコルチゾン、鎮痛剤、精神安定剤、抗高血圧剤、抗生物質、抗ヒスタミン剤、抗菌性物質等も任意に配合することができる。
【0027】
本発明に用いられる支持体としては、その材質に特に制限はなく、本発明の乳化組成物を良好に上面及び/又は内部に保持できるものであればよく、例えば織布、不織布等で乳化組成物との浸透相性の良好なものを選択できる。その材質としてはポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、レーヨン、キュプラ、麻、絹、パルプ等が挙げられる。また、肘や膝、踵等の屈曲部への適用においても十分に密着性を有するように柔軟性の高いものであることが好ましい。
【0028】
また支持体内部全体にこの乳化組成物を含浸させた場合には、乳化組成物が支持体の裏面(背面)から滲み出して、手指等を汚染する可能性があるので、このような場合には支持体の裏面にプラスチックフィルム等を積層して裏抜け防止を行うことが好ましい。
【0029】
本発明のシート状パック化粧料は、皮膚に貼付して乳化組成物中に配合されている各成分を十分に皮膚に浸透させるために、乳化組成物を保持した支持体背面に、これよりも大きな粘着シートで、全面を覆うように粘着被覆して皮膚接着性を補強することが好ましい。
【0030】
【実施例】
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。尚、配合量は全て質量%である。
【0031】
実施例1〜4
下記表1中(1)〜(3)、(4)、及び(5)〜(8)を別々の容器で80℃に加熱し、完全に溶解した後、(5)〜(8)に(1)〜(3)を投入しながら攪拌し、次いで(4)を混ぜ合わせてホモミキサーで均一に分散し、35℃まで冷却して、乳化組成物を得た。得られた乳化組成物をPET100%の不織布(目付量100g/m2)に塗工し、不織布の上面、及び内部に乳化組成物が保持されたシート状パックとした。塗工量は300g/m2とし、肘や踵に使いやすい大きさにカットし、それよりも大きい粘着シートで覆い粘着力を補強した。
【0032】
【表1】
【0033】
比較例1
下記表2中(1)〜(3)を均一に溶解し、予め(4)に(5)を溶解させた溶液を更に加えて攪拌し、更に(6)を加えて均一な液状物を得る。得られた液状物をポリエステルフィルムに溶液としての塗布厚が1mmとなるようにして塗布し、実施例1と同様の不織布を貼り合せて、60℃で約10時間加熱放置し、ゲル状シートパックを得た。
【0034】
【表2】
【0035】
実施例1〜4、及び比較例1について、水分蒸散試験、及び使用試験を行って効果を比較した。水分蒸散試験は、それぞれのサンプルをアルミ積層フィルムの袋に包装し、45℃にて24時間放置し、各サンプルの質量変化(質量減少率)や容器内の様子を調べた。また使用試験は25〜40歳の女性パネラー10名ずつに上記実施例1〜4、及び比較例1のシート状パックを寝ている間、乾燥の気になる肘や踵に使用してもらい、使用時の使用感、及び翌日の肌状態を総合評価してもらった。結果を表3に併せて示す。
【0036】
【表3】
【0037】
表3より、実施例1〜4のシート状パックの水分蒸散抑制効果が高いことがわかる。特に、実施例1〜3のシート状パックの水分蒸散抑制効果は格別に優れていた。一方、比較例1のゲル状シートパックは包袋中に水分蒸散して結露しており、支持体の不織布がやや濡れていた。また使用感及び肌の乾燥状態の改善効果についても、実施例1〜4のシート状パックが良好であったが、特に実施例2〜4のシート状パックは、べたつき感が少なく、肌へのなじみ等の使用感、及び使用後の肌の改善効果に優れていた。
【0038】
実施例2
下記の組成の乳化組成物を常法により調製した後、PET100%の不織布(目付量100g/m2)に塗工し、不織布の上面、及び内部に乳化組成物が保持されたシート状パックとした。塗工量は300g/m2とし、肘や踵に使いやすい大きさにカットし、それよりも大きい粘着シートで覆い粘着力を補強した。
【0039】
配合成分 配合量(質量%)
・流動パラフィン 4.0
・スクワラン 4.0
・オリーブ油 2.0
・セチルアルコール 2.0
・自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 2.0
・グリセリン 45.0
・1,3−ブチレングリコール 10.0
・ポリエチレングリコール1500 10.0
・N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウム 0.7
・エデト酸二ナトリウム 0.1
・フェノキシエタノール 0.3
・尿素 3.0
・グリチルリチン酸二カリウム 1.0
・酢酸DL−α−トコフェロール 1.0
・モモ葉エキス 1.0
[商品名;桃葉エキス(3)、香栄興業社製]
・アロエエキス 1.0
[商品名;1:1アロエベラゲル、ALOECORP社製]
・ローヤルゼリーエキス(固形分1.0%) 1.0
[商品名;ローヤルゼリーエキス、アピ社製]
・カロットエキス 1.0
[商品名;ベジタブルコラーゲン、高研社製]
・香料 0.1
・精製水 10.8
【0040】
尚、上記実施例中で用いられた香料は、下記香料処方のものである。
【表4】
【0041】
実施例2のシート状パックを用いて、上記水分蒸散試験及び使用試験を行ったところ、水分蒸散抑制効果、使用感及び肌の乾燥状態の改善効果に優れることを確認した。
【0042】
【発明の効果】
以上のように本発明のシート状化粧料は、肘や膝、踝、踵等の部位に密着させ、各部位の角化症、乾燥肌、肥厚性角質、荒れ肌、ひび割れ等の症状の改善に用いられ、特定の乳化組成物を用いることにより、適用する皮膚面に対して長時間にわたって保湿効果を発揮し、皮膚面の各症状を改善するものである。また支持体に保持された乳化組成物中の水分の蒸散を抑えられるので、これを包装した容器中、及び支持体等にカビ等の微生物が繁殖するのを防ぎ、高い保湿効果を維持した良好な状態を保つことができる。
Claims (3)
- 乳化組成物の総量を基準として、40.0〜80.0質量%の多価アルコールと、高級アルコール、高級アルコール以外の油性成分、乳化剤、及び水を含有する乳化組成物を、支持体上及び/又は支持体内に保持させてなるシート状パック化粧料。
- 支持体に保持させる乳化組成物中の多価アルコールと水との配合比が、質量比で2:1〜9:1であることを特徴とする請求項1記載のシート状パック化粧料。
- 支持体に保持させる乳化組成物中の多価アルコール及び水の配合量が、乳化組成物の総量を基準として、50〜95質量%であることを特徴とする請求項1又は2記載のシート状パック化粧料。
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