JP3739580B2 - 電子写真感光体およびその製造方法 - Google Patents

電子写真感光体およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリなどに使用される電子写真感光体、詳細には感光層が酸化亜鉛微粒子からなる電子写真感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、酸化亜鉛微粉末を使用した感光体は、酸化亜鉛微粉末と樹脂結着剤との分散系の塗工法により、普通紙電子写真用感光体やエレクトロファックス紙等の安価で、かつ、無毒な電子写真用感光体として広く用いられてきた(特開平6−75438、特開平6−175380、特開平6−186788、特開平7−20661号公報等参照)。しかし、上述のように、樹脂結着剤との混合系で構成されるため、樹脂、すなわち結着剤中への粉体の分散という構造から繰り返し耐久性に問題があった。
【0003】
一方、酸化亜鉛(ZnO)単体により薄膜を形成し、電子写真感光体とする場合、スパッタリングによる形成法では、酸化亜鉛は成長速度がきわめて遅く、また支持体(ドラム)を一定温度に精度良く保持することが難しいためコストの上昇を招いた(特開昭58−156533、特開昭60−111253、特開昭60−118845号公報等参照)。また著しい抵抗分布を有し、均一、かつ、高抵抗で大面積の薄膜を形成することが極めて難しかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし酸化亜鉛(ZnO)自体は優れた光導電体であり、その粉末状態においても光感度特性が確認されている。さらに酸化亜鉛(ZnO)微粉末は前述のように結着剤との分散系の感光体に使用されているため一定の品質のものを安価に入手することができる。
【0005】
本発明はこのような背景に鑑みてなされたもので、酸化亜鉛微粉末を用い、高感度で、かつ、高帯電性で、光感度の低下がほとんど起こらず、しかも機械的強度に優れ、さらに安価な電子写真感光体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、第一に、導電性支持体上に感光層を設けた電子写真感光体において、上記感光層が焼結された酸化亜鉛微粒子単体からなることを特徴とする電子写真感光体が提供される。
【0007】
第二に、上記第一に記載した電子写真感光体において、上記焼結された酸化亜鉛微粒子に感光波長域を広げる元素または電気抵抗を高くする元素を含む不純物がドーピングされていることを特徴とする電子写真感光体が提供される。
【0008】
第三に、上記第一または第二に記載した電子写真感光体において、上記焼結された酸化亜鉛微粒子間に空隙を有することを特徴とする電子写真感光体が提供される。
【0010】
第四に、上記第三に記載した電子写真感光体において、上記焼結された酸化亜鉛微粒子間の空隙に、光エネルギーを吸収して励起子を発生し、酸化亜鉛表面のトラップ準位に捕獲されている電子にエネルギーを供給するエネルギー供給物質が吸着または充填されていることを特徴とする電子写真感光体が提供される。
【0012】
第五に、上記第四に記載した電子写真感光体において、上記焼結された酸化亜鉛微粒子間の空隙に吸着または充填されている物質が色素増感剤であることを特徴とする電子写真感光体が提供される。
【0013】
第六に、上記第五に記載した色素増感剤を、焼結された酸化亜鉛微粒子間の空隙に吸着または充填させる方法として、該色素増感剤を溶解した溶液に、焼結された酸化亜鉛微粒子を一定時間浸漬させた後、引き上げて溶媒を蒸発除去することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
【0014】
第七に、上記第五に記載した色素増感剤を、焼結された酸化亜鉛微粒子間の空隙に吸着または充填させる方法として、焼結された酸化亜鉛微粒子上に色素増感剤を直接昇華させることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
【0015】
第八に、上記第四に記載した電子写真感光体において、上記焼結された酸化亜鉛微粒子間の空隙に吸着または充填されている物質が化学増感剤であることを特徴とする電子写真感光体が提供される。
【0016】
第九に、上記第一、第二または第三に記載した電子写真感光体において、上記酸化亜鉛微粒子が粒径の異なる酸化亜鉛微粒子が混合されていることを特徴とする電子写真感光体が提供される。
【0017】
第十に、上記第三に記載した電子写真感光体において、上記焼結された酸化亜鉛微粒子間の空隙に、バインダー樹脂が充填されていることを特徴とする電子写真感光体が提供される。
【0018】
第十一に、上記第四に記載した電子写真感光体において、前記焼結された酸化亜鉛微粒子間の空隙に、さらにバインダー樹脂が充填されていることを特徴とする電子写真感光体が提供される。
【0019】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0020】
上述のように本発明は、導電性支持体上に感光層を設けた電子写真感光体において、感光層が焼結された酸化亜鉛微粒子からなることを特徴とする。この電子写真感光体によれば感光層が焼結された酸化亜鉛微粒子により形成されているため、従来の酸化亜鉛微粒子の樹脂分散系の場合と異なり、プロセス中の変化が小さく、また環境雰囲気に余り影響されず、さらに耐摩耗性も高いため、高帯電性で、かつ、高感度、さらに高耐久性の電子写真感光体を得ることができる。
【0021】
また、本発明の電子写真感光体は、上記酸化亜鉛微粒子として、感光波長域を広げる元素または電気抵抗を高くする元素を含む不純物をドーピングした酸化亜鉛微粒子を用いてもよく、これによれば広い波長領域で高帯電性で、かつ、高感度の電子写真感光体を得ることができる。
【0022】
また、本発明の電子写真感光体は、上記焼結された酸化亜鉛微粒子の間に空隙、すなわち気孔を有するものであり、これによれば該空隙に酸素が吸着することにより、さらに高帯電性で、かつ、高感度の電子写真感光体を得ることができる。
【0023】
また、本発明の電子写真感光体は、上記焼結された酸化亜鉛微粒子間の空隙に増感剤を吸着または充填してもよく、これによれば広い波長領域で高帯電性で、かつ、高感度の電子写真感光体を得ることができる。上記増感剤としては光エネルギーを吸収して自由な荷電キャリアを発生する電荷発生物質および光エネルギーを吸収して励起子を発生し、酸化亜鉛表面のトラップ準位に捕獲されている電子にエネルギーを供給するエネルギー供給物質、すなわち色素増感剤や化学増感剤、あるいは自由キャリアを輸送する電荷輸送物質がある。
【0024】
また、本発明の電子写真感光体は。該酸化亜鉛微粒子が粒径の異なる酸化亜鉛微粒子が混合されていてもよく、すなわち帯電電位が高く、光減衰カーブが遅い粒径の小さい酸化亜鉛微粒子と、帯電電位が低く、光減衰カーブが速い粒径の大きい酸化亜鉛微粒子を混合することにより、高帯電性で、かつ、高感度の電子写真感光体を得ることができる。
【0025】
また、本発明の電子写真感光体は、該焼結された酸化亜鉛微粒子間の空隙にバインダー樹脂を充填してもよく、これによれば、例えばエポキシ樹脂を充填することにより耐環境性が向上し、さらに高帯電性で、かつ、高感度の電子写真感光体を得ることができる。
【0026】
【実施例】
以下本発明の電子写真感光体の構成を実施例により具体的に説明する。
【0027】
実施例1
図1は本発明の電子写真感光体の一例を示す模式的断面図である。導電性基板1上に焼結された酸化亜鉛微粒子2からなる感光層5が設けられており、3は該酸化亜鉛微粒子の間に形成された空隙である。
【0028】
該導電性基板1として、長さ300mm、直径180mmのアルミニウム円筒形基板を用い、有機溶剤による脱脂洗浄を行った後、成膜に供した。酸化亜鉛微粒子としては酸化亜鉛感光体に一般に用いられている、フランス法によって形成されたものを使用した。フランス法によって形成された微粒子とは、電気精錬などで高純度化したZnを加熱蒸発させ、空気中の酸素と反応させ形成したものである。フランス法によって形成された微粒子の場合、通常、立方状の粒であり、実施例で使用したものは平均粒径1μm程度の微粒子である。
【0029】
前記酸化亜鉛微粒子を無機成分とし、有機バインダーとしてメタクリル酸エステル重合体、溶剤としてトルエンとイソプロピルアルコールの混合液(40:60(重量%))を用いて攪拌混合した後、適度の粘度となるまで溶剤を蒸発させスラリーとした。このスラリーを真空脱泡機で脱泡した後、アルミニウム製円筒形基板に塗布し、ドクターブレード法により膜厚50μmの膜を形成した。次に、この膜を大気中で200℃、1時間加熱してバインダーを飛散除去し乾燥した膜を形成した。次に、この乾燥した膜を大気中で400℃、3時間加熱して不完全に加熱焼結し、酸化亜鉛微粒子の間に空隙3、すなわち気孔を有する焼結体を形成し、電子写真感光体とした。
【0030】
ここで、前記スラリーからバインダーを飛散除去し乾燥した膜の加熱焼結は、得られる焼結体が粒成長せず、緻密化しないように、低温、短時間の条件で施す。この加熱焼結条件は予備実験により求めておくのが望ましい。また、空隙、すなわち気孔は焼結体が酸化亜鉛微粒子の一部が焼結する、いわゆる多孔質の構造をとる。
【0031】
次に、上記により得られた電子写真感光体を複写機に装填し、画像評価試験を行った。複写機は光源部分を改造し、波長380nm、光量は30μW/cm2、20μW/cm2、光ビーム径を60μmとした。帯電方式はスコロトロン方式で、印加電圧を−6KVとした。現像は二成分現像剤を用いて、磁気ブラシ現像法を使用した。また、感光体の回転速度(線速度)は150mm/sとした。得られた画像はオリジナル原稿のパターンを忠実に再現していた。
【0032】
このように本実施例による電子写真感光体においては、焼結された酸化亜鉛微粒子のみで形成することにより、これまで広く用いられてきた樹脂分散系の場合と異なり、プロセス中の変化が小さく、また環境雰囲気に余り影響されず、また耐摩耗性も高いため、高帯電、高感度、高耐久性の電子写真感光体を得ることができる。また焼結された酸化亜鉛微粒子間に空隙を有することにより、微粒子表面に酸素が吸着し、さらに高帯電、かつ高感度の電子写真感光体を得ることができる。
【0033】
本実施例ではフランス法によるZnO微粒子を用いたが、これに限定するものではなく、塩化亜鉛、硫化亜鉛などから溶液反応によって作製される湿式法によるZnO微粒子や、亜鉛鉱を直接加熱して作製されるアメリカ法によるZnO微粒子でもよい。
【0034】
本実施例では溶剤としてトルエンとイソプロピルアルコールの混合液を用いたが、アルコール、トルエン、アセトン、イソプロピルアルコールまたはこれらの混合物をなどの有機溶剤や水などでもよい。
【0035】
本実施例では有機バインダーとして、メタクリル酸エステル重合体を用いたが、α−メチルスチレン重合体、テトラフルオロエチレン重合体等の易熱分解性の有機バインダーなどでもよい。
【0036】
本実施例では分散剤および可塑剤を用いていない例を示したが、分散剤としてはオクタデシルアミン、グリセリルモノオレート、ソルビタンモノオレート等を用いてもよい。また可塑剤としてはポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート等を用いてもよい。
【0037】
本実施例では塗布手段としてドクターブレード法を用いたが、バーコート法、ロールコート法、浸漬法等でもよい。
【0038】
実施例2
実施例1と同様にして、焼結された酸化亜鉛微粒子2の間に空隙3を有する焼結体を形成した。次に、エチルアルコールとトルエンの混合液(10:30(重量%))にヘプタメチンシアニン色素を溶解したものに該焼結体を一定時間浸漬させた後、引き上げて溶液を自然乾燥し、80〜100℃で蒸発除去し、色素増感剤を空隙に吸着させ感光体を作製した。
【0039】
次に、上記により得られた電子写真感光体を複写機に装填し、実施例1と同様にして画像評価試験を行った。得られた画像はオリジナル原稿のパターンを忠実に再現していた。また、感光波長を450nmにし、同様の評価を行ったところ、ヘプタメチンシアニンの増感作用により良好な画像が得られた。このようにヘプタメチンシアニンの増感作用により実施例1の感光体に比べさらに広い波長域で、高帯電、かつ、高感度の電子写真感光体を得ることができた。
【0040】
本実施例では色素増感剤としてローズベンガルを用いたが、キサンテン系色素、フェノールスルホフタレイン系色素、チアジン系色素、トリフェニルメタン系色素、アクリジン系色素等でもよい。
【0041】
実施例3
実施例1と同様にして、焼結された酸化亜鉛微粒子2の間に空隙3を有する焼結体を形成した。次に、実施例2のヘプタメチンシアニン色素に代えてローズベンガルを色素増感剤とした以外は実施例2と同様にして上記焼結体に色素増感剤をを吸着させた。
【0042】
次に、得られた電子写真感光体を複写機に装填し、実施例1と同様にして画像評価試験を行った。得られた画像はオリジナル原稿のパターンを忠実に再現していた。また、感光波長を550nmにし、同様の評価を行ったところ、ローズベンガルの増感作用により良好な画像が得られた。このようにローズベンガルの増感作用により実施例1の感光体と比べさらに広い波長域で、高帯電、かつ、高感度の電子写真感光体を得ることができた。
【0043】
実施例4
実施例1と同様にして、酸化亜鉛微粒子の間に空隙3を有する焼結体を形成した。次に、増感色素をローズベンガルとし、上記焼結された酸化亜鉛微粒子上に直接増感色素を昇華させた以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0044】
次に、上記により得られた電子写真感光体を複写機に装填し、実施例1と同様にして画像評価試験を行った。得られた画像はオリジナル原稿のパターンを忠実に再現していた。また、感光波長を550nmにし、同様の評価を行ったところ、ローズベンガルの増感作用により良好な画像が得られた。このようにローズベンガルの増感作用により実施例1の感光体に比べさらに広い波長域で、高帯電、かつ、高感度の電子写真感光体を得ることができた。
【0045】
実施例5
酸化亜鉛微粒子としてLiをドープした酸化亜鉛微粒子を用いた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0046】
次に、上記により得られた電子写真感光体を複写機に装填し、実施例1と同様にして画像評価試験を行った。Liのドープにより高抵抗化され、帯電電位が向上した。得られた画像はオリジナル原稿のパターンを忠実に再現していた。また、感光波長を480nmにし、同様の評価を行ったところ、Liドープの増感作用により良好な画像が得られた。このように本実施例の電子写真感光体では、Liドープにより高抵抗化され、実施例1の感光体に比べ、さらに高帯電、高感度の電子写真感光体を得ることができた。また、Liドープの増感作用により実施例1の感光体に比べさらに広い波長域で、高帯電、高感度の電子写真感光体を得ることができた。
【0047】
実施例6
酸化亜鉛微粒子として平均粒径が0.5μmの微粒子と、平均粒径5μmの微粒子を9:1の質量比に混合したものを用いた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
【0048】
次に、上記により得られた電子写真感光体を複写機に装填し、実施例1と同様にして画像評価試験を行った。平均粒径の異なる微粒子を混合したことにより、単一の粒径の微粒子を用いたものに比べ光減衰スピードが改善された。
【0049】
実施例7
実施例1において、トルエンとイソプロピルアルコールの混合液の量を実施例1に比べ500倍とし酸化亜鉛微粒子の混合溶液を調製した。次に、洗浄したアルミニウム製円筒形基板をスプレー熱分解法の成膜装置の基板ホルダーに支持し、酸素雰囲気中で基板加熱を行ない、基板温度の設定を200℃とし、基板温度が安定した状態で、前記混合溶液を用いてスプレー熱分解法により膜を形成した。この場合、スプレーによる基板温度の低下を防止するためにスプレーは間欠的に行った。膜厚は50μmとした。次に、この乾燥した膜を大気中で400℃、3時間加熱して不完全に加熱焼結し、酸化亜鉛微粒子の間に空隙、すなわち気孔を有する焼結体からなる感光体を形成した。ここで、空隙、すなわち気孔は焼結体が酸化亜鉛微粒子の一部が焼結する、いわゆる多孔質の構造をとる。
【0050】
次に、上記により得られた電子写真感光体を複写機に装填し、実施例1と同様にして画像評価試験を行ったところ、得られた画像はオリジナル原稿のパターンを忠実に再現していた。
【0051】
実施例8
色素増感剤の代わりに化学増感剤として無水フタル酸を用いた以外は実施例2と同様にして感光体を作製した。次に、得られた電子写真感光体を複写機に装填し、実施例1と同様にして画像評価試験を行ったところ、得られた画像はオリジナル原稿のパターンを忠実に再現していた。
【0052】
実施例9
実施例3と同様にして感光層を作製した。次に該感光層表面にエポキシ樹脂を滴下した。これにより焼結された酸化亜鉛微粒子間の空隙にエポキシ樹脂が充填された感光体が形成された。図2は本例による電子写真感光体を示す。図3はその感光層5の一部を拡大したものである。
【0053】
次に、得られた電子写真感光体を複写機に装填し、実施例1と同様にして画像評価試験を行ったところ、得られた画像はオリジナル原稿のパターンを忠実に再現していた。さらに耐久性の評価を行うために、10万枚の連続印刷を行ない、10万枚目の画像を詳細に観察した。その結果、エポキシ樹脂の充填により膜強度が向上し、それにより耐環境性が向上し初期画像と何ら遜色のない高精細な画像が得られた。
【0054】
このように本例によれば、焼結された酸化亜鉛微粒子間の空隙にエポキシ樹脂を充填することにより耐環境性が向上し、実施例1の感光体と比べて高耐久性の感光体を得ることができた。本例ではバインダー樹脂としてエポキシ樹脂を用いたが、ポリアセテート樹脂、シリコン樹脂、アルキッド樹脂またはこれらの混合物などを用いてもよい。さらにポリビニルアルコール等の酸化亜鉛微粒子を分散し難い樹脂を用いてもよい。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の電子写真感光体は、感光層が焼結された酸化亜鉛微粒子からなるものであり、これによれば従来使用されてきた酸化亜鉛微粒子の樹脂分散系の場合と異なり、プロセス中の変化が小さく、また環境雰囲気に余り影響されず、さらに耐摩耗性も高いため、高帯電性で、かつ、高感度、さらに高耐久性の電子写真感光体を得ることができる。
【0056】
請求項2の電子写真感光体は、上記焼結された酸化亜鉛微粒子に感光波長域を広げる元素または電気抵抗を高くする元素を含む不純物がドーピングされているものであり、これによれば広い波長域で高帯電性、かつ、高感度の電子写真感光体を得ることができる。
【0057】
請求項3の電子写真感光体は、上記焼結された酸化亜鉛微粒子の間に空隙を有するものであり、これによれば該空隙に酸素が吸着され、さらに高帯電性で、かつ、高感度の電子写真感光体を得ることができる。
【0058】
請求項4〜10の電子写真感光体は、上記焼結された酸化亜鉛微粒子の間の空隙に増感剤を吸着または充填するものであり、これによれば広い波長域で高帯電性、かつ、高感度の電子写真感光体を得ることができる。
【0059】
請求項11の電子写真感光体は、上記酸化亜鉛微粒子が粒径の異なる酸化亜鉛微粒子が混合されているものであり、これによれば帯電電位が高く、かつ光減衰カーブが遅い粒径の小さい酸化亜鉛微粒子と帯電電位が低く、かつ光減衰カーブが速い粒径の大きい酸化亜鉛微粒子を混合することにより、高帯電性で、かつ高感度の電子写真感光体を得ることができる。
【0060】
請求項12の電子写真感光体は、上記焼結された酸化亜鉛微粒子間の空隙にバインダー樹脂を充填するものであり、これによれば感光体の耐環境性が向上し、さらに高帯電性で、かつ、高感度の電子写真感光体を得ることができる。
【0061】
請求項13の電子写真感光体は、上記焼結された酸化亜鉛微粒子間の空隙に増感剤に加え、さらにバインダー樹脂を充填するものであり、これによれば広い波長域で、高帯電性で、かつ、高感度を有し、しかも耐環境性に優れた電子写真感光体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体の一例を示す模式的断面図。
【図2】実施例によって得られた電子写真感光体の模式的断面図。
【図3】図2の一部拡大断面図。
【符号の説明】
1 導電性基板
2 焼結された酸化亜鉛微粒子
3 空隙
4 エポキシ樹脂
5 感光層

Claims (11)

  1. 導電性支持体上に感光層を設けた電子写真感光体において、前記感光層が焼結された酸化亜鉛微粒子単体からなることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 請求項1記載の電子写真感光体において、前記焼結された酸化亜鉛微粒子に感光波長域を広げる元素または電気抵抗を高くする元素を含む不純物がドーピングされていることを特徴とする電子写真感光体。
  3. 請求項1または2記載の電子写真感光体において、前記焼結された酸化亜鉛微粒子間に空隙を有することを特徴とする電子写真感光体。
  4. 請求項3記載の電子写真感光体において、前記焼結された酸化亜鉛微粒子間の空隙に、光エネルギーを吸収して励起子を発生し、酸化亜鉛表面のトラップ準位に捕獲されている電子にエネルギーを供給するエネルギー供給物質が吸着または充填されていることを特徴とする電子写真感光体
  5. 請求項4記載の電子写真感光体において、前記焼結された酸化亜鉛微粒子間の空隙に吸着または充填されている物質が色素増感剤であることを特徴とする電子写真感光体
  6. 請求項5記載の色素増感剤を焼結された酸化亜鉛微粒子間の空隙に吸着または充填させる方法として、該色素増感剤を溶解した溶液に、焼結された酸化亜鉛微粒子を一定時間浸漬させた後、引き上げて溶媒を蒸発除去することを特徴とする電子写真感光体の製造方法
  7. 請求項5記載の色素増感剤を焼結された酸化亜鉛微粒子間の空隙に吸着または充填させる方法として、焼結された酸化亜鉛微粒子上に色素増感剤を直接昇華させることを特徴とする電子写真感光体の製造方法
  8. 請求項4記載の電子写真感光体において、前記焼結された酸化亜鉛微粒子間の空隙に吸着または充填されている物質が化学増感剤であることを特徴とする電子写真感光体
  9. 請求項1、2または3記載の電子写真感光体において、前記酸化亜鉛微粒子が粒径の異なる酸化亜鉛微粒子が混合されていることを特徴とする電子写真感光体
  10. 請求項3記載の電子写真感光体において、前記焼結された酸化亜鉛微粒子間の空隙に、バインダー樹脂が充填されていることを特徴とする電子写真感光体
  11. 請求項4記載の電子写真感光体において、前記焼結された酸化亜鉛微粒子間の空隙に、さらにバインダー樹脂が充填されていることを特徴とする電子写真感光体
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