JP3739497B2 - 出力回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は出力回路に係り、詳しくは伝送系における反射波等によるノイズを低減することができる出力回路に関する。
【0002】
近年、半導体装置の処理の高速化に従って、高調波成分のノイズが問題になってきている。特に、半導体装置間の伝送系におけるインピーダンスの不整合による反射波ノイズが問題となっている。このインピーダンスの不整合は、伝送経路にデバイスが何個も接続され、しかも、高密度化における配線の微細化が進められることにより配線のL成分が増大して伝送線路のインピーダンスが高くなることに起因する。この反射波ノイズは、動作不良の原因となることから、反射波を低減することが要求されている。
【0003】
【従来の技術】
図7(a)は、従来の半導体装置の出力回路1を示す。出力回路1は、一対のPMOSトランジスタ2とNMOSトランジスタ3とから構成され、両MOSトランジスタ2,3は電源VDD,VSS間に直列に接続されている。両MOSトランジスタ2,3ゲートには入力信号INが入力されている。そして、入力信号INがLレベルになると、PMOSトランジスタ2がオンし、NMOSトランジスタ3がオフし、Hレベルの出力信号OUTが出力される。又、逆に入力信号INがHレベルになると、PMOSトランジスタ2がオフし、NMOSトランジスタ3がオンして、Lレベルの出力信号OUTが出力される。
【0004】
また、図7(b)に示される出力回路5は、一対のNMOSトランジスタ6,7と、インバータ8とを備える。NMOSトランジスタ6,7は電源VDD,VSS間に直列に接続されている。NMOSトランジスタ6のゲートにはインバータ8を介して入力信号INを反転した信号が入力され、NMOSトランジスタ7のゲートには入力信号INが入力されている。そして、入力信号INがLレベルになると、インバータ8の出力はHレベルとなってNMOSトランジスタ6がオンし、NMOSトランジスタ7がオフし、Hレベルの出力信号OUTが出力される。又、逆に入力信号INがHレベルになると、インバータ8の出力はLレベルとなってNMOSトランジスタ6がオフし、NMOSトランジスタ7がオンして、Lレベルの出力信号OUTが出力される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、出力回路1,5と、他の回路や半導体装置等のデバイスとの間の伝送経路のインピーダンスは、その伝送経路に接続されたデバイスの数や、高密度化による配線の微細化に伴ってインピーダンスが高くなってきている。しかしながら、出力回路1,5の出力インピーダンスは低いため、インピーダンスのミスマッチングによって、図8に示すように、出力信号OUTの反射波やインダクタンスによる逆起電力等によって出力信号OUTにリンギングが起きたりする。
【0006】
例えば、、図8(a)に示すように、送端側、即ち、出力端子4,9において、LレベルからHレベルへと出力信号OUTが変化した場合、受端側では、出力信号OUTから遅れてLレベルからHレベルへ変化する。この時、先ず伝送系のインピーダンスと出力インピーダンスとで分圧された電位に一旦安定する。この安定する電位は、伝送系のインピーダンスに比べて出力インピーダンスは低いので、高電位側電源VDD側に低い出力インピーダンスを接続し、低電位側電源Vss側に高い伝送系のインピーダンスを接続した等価回路による分圧電圧となる。
【0007】
一方、受端側では、通常では入力インピーダンスが高いので、妨げとなる負荷がない。そのため、出力信号OUTは、そのまま順方向、即ち、低電位側電源Vssから高電位側電源VDD側に向かう反射となり、その反射は送端側へ返ってくる。
【0008】
この受端側の波形は、図8(b)に示すように、目標電圧(この場合はHレベルであって高電位側電源VDD)を超えるオーバーシュートを引き起こし、反射波として送端側、即ち、出力回路1,5に向かって送出される。送端側では、目標電圧(この場合はHレベルであって高電位側電源VDD)を超えるオーバーシュートを引き起こす。
【0009】
この時、出力回路1,5では、出力トランジスタ2,6によって高電位側電源VDDに安定させようとする、即ち、オーバーシュートした電位を高電位側電源VDDに下げようとする働きが生じて負荷となる。この負荷分が送端側からの反射波となって受端側に伝達され、また、電位を引き上げようとする反射となって再び送端側に送出される。この繰り返しによって出力電圧OUTのリンギングノイズが発生する。そして、このリンギングノイズは、伝送系の抵抗成分と送端側及び受端側でのインピーダンスによる抵抗成分によってエネルギーを消費して小さくなっていき、最終的には目標電圧(高電位側電源VDD)に安定する。
【0010】
出力信号OUTのリンギングが大きくなると、その出力信号OUTの受端側、即ち、出力信号OUTを入力するデバイス側では、誤動作を起こす場合がある。例えば、図8(a)に示すように、出力信号OUTがLレベル(低電位側電源電圧Vss)からHレベル(高電位側電源電圧VDD)に変化する場合、図8(b)に示すように、受端側では、点Aにおいて入力する出力信号OUTがデバイスのしきい値電圧よりも低くなり、その出力信号OUTがHレベルであるにも関わらずLレベルと判定されてしまう場合がある。その結果、受端側のデバイスでは、誤動作を起こすという問題がある。
【0011】
上記の誤動作を防止する方法として、出力トランジスタのスタガ動作による出力インピーダンスの急激な変化を抑制して、徐々に出力インピーダンスを変化させることで、高調波ノイズを抑制して反射波ノイズを低減する方法がある。しかしながら、この方法では、半導体装置の回路規模が大きくなり、消費電流も増大することになる。また、他の方法として、出力トランジスタの出力インピーダンスを高くして伝送系のインピーダンスに近づける方法もあるが、出力波形がなまり、他のデバイスへの駆動能力が低下する。
【0012】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は反射波によるノイズを低減することのできる出力回路を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
図1は本発明の原理説明図である。出力回路には、高電位側電源又は低電位側電源を駆動電源とする出力トランジスタ11が備えられ、その出力トランジスタ11から駆動電源電圧が出力信号OUTとして出力される。その出力トランジスタ11のゲートは制御回路12に接続されている。制御回路12には入力信号INが入力される。制御回路12は、入力信号INに基づいて出力トランジスタ11をオンに制御した後、その出力トランジスタ11のゲートをハイインピーダンス状態に制御する。そして、出力信号OUTの変動に従って、出力トランジスタ11のハイインピーダンス状態のゲートに対して電荷の充放電が行われ、その充放電された電荷により変動するゲート電位によって出力インピーダンスが変動する出力電圧OUTの変動に対応して変更される。
【0014】
また、前記制御回路は、前記出力トランジスタのゲートと前記高電位側電源との間に接続されている第1のパストランジスタと、前記出力トランジスタのゲートと前記低電位側電源との間に接続されている第2のパストランジスタとを備え、前記入力信号に基づいて前記第1又は第2のパストランジスタの一方をオンに制御して前記出力トランジスタをオンに制御した後、前記一方のパストランジスタをオフに制御して前記出力トランジスタのゲートをハイインピーダンス状態に制御するようにしたことを要旨とする。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の出力回路において、前記出力トランジスタのドレインとゲートとの間にコンデンサを接続し、該コンデンサと前記出力トランジスタの寄生容量とにより、前記出力信号の変動に従ってゲートに対して電荷の充放電を行うようにしたことを要旨とする。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の出力回路において、前記制御回路には、前記出力トランジスタのゲート電位を検出する検出回路が更に備えられており、前記制御回路は、前記検出回路の検出結果に基づいて、ハイインピーダンス状態にある前記出力トランジスタのゲート電位が変動した場合に、該前記一方のパストランジスタをオンに制御してゲート電位を安定させた後、再びハイインピーダンス状態に制御するようにしたことを要旨とする。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のうち何れか一項に記載の出力回路において、前記出力トランジスタのゲートは、高抵抗素子を介して前記駆動電源とは逆の電源に接続されたことを要旨とする。
【0018】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の出力回路において、前記出力トランジスタのゲートと前記高抵抗素子との間にはMOSトランジスタが接続され、前記制御回路は、そのMOSトランジスタを、前記出力トランジスタがオンに制御されたときにオンに制御するようにしたことを要旨とする。
【0019】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のうち何れか一項に記載の出力回路において、前記出力トランジスタのバックゲートは抵抗を介して駆動電源に接続されたことを要旨とする。
【0020】
また、請求項7に記載の発明は、高電位側電源を駆動電源とする請求項1乃至6のうち何れか一項に記載された出力回路よりなる高電位側出力回路部と、低電位側電源を駆動電源とする請求項1乃至6のうち何れか一項に記載された出力回路よりなる低電位側出力回路部とから構成されたことを要旨とする。
【0021】
(作用)
従って、請求項1に記載の発明によれば、出力電圧が目標とする電位よりも高い場合には出力インピーダンスを高く、出力電圧が目標とする電位よりも低い場合には出力インピーダンスを低くなるようにが変更されることにより、反射波が低減される。
【0022】
また、制御回路には、出力トランジスタのゲートと高電位側電源との間に接続された第1のパストランジスタと、出力トランジスタのゲートと低電位側電源との間に接続された第2のパストランジスタとが備えられる。そして、入力信号に基づいて第1又は第2のパストランジスタの一方がオンに制御されて出力トランジスタがオンに制御された後、一方のパストランジスタがオフに制御されて出力トランジスタのゲートがハイインピーダンス状態に制御される。
【0023】
また、請求項2に記載の発明によれば、出力トランジスタのドレインとゲートとの間にはコンデンサが接続され、そのコンデンサと出力トランジスタの寄生容量とにより、出力信号の変動に従ってゲートに対して電荷の充放電が行われる。
【0024】
また、請求項3に記載の発明によれば、制御回路には、出力トランジスタのゲート電位を検出する検出回路が更に備えられ、その検出回路の検出結果に基づいて、ハイインピーダンス状態にある出力トランジスタのゲート電位が変動した場合に、一方のパストランジスタがオンに制御されてゲート電位が安定した後、再びハイインピーダンス状態に制御される。
【0025】
また、請求項4に記載の発明によれば、出力トランジスタのゲートは、高抵抗素子を介して駆動電源とは逆の電源に接続される。
また、請求項5に記載の発明によれば、出力トランジスタのゲートと高抵抗素子との間にはMOSトランジスタが接続され、そのMOSトランジスタは、出力トランジスタがオンに制御されたときにオンに制御される。
【0026】
また、請求項6に記載の発明によれば、出力トランジスタのバックゲートは抵抗を介して駆動電源に接続される。
また、請求項7に記載の発明によれば、出力回路は、高電位側電源を駆動電源とする出力トランジスタと、その出力トランジスタのゲートをハイインピーダンス状態に制御する制御回路とを備えた高電位側出力回路部と、低電位側電源を駆動電源とする出力トランジスタと、その出力トランジスタのゲートをハイインピーダンス状態に制御する制御回路とを備えた低電位側出力回路部とから構成される。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図2〜図6に従って説明する。
図2に示すように、出力回路21は、高電位側出力回路部22、低電位側出力回路部23、ノア回路24、ナンド回路25、及び、インバータ回路26とを備えている。出力回路21には、図示しない内部回路から入力信号IN及びイネーブル信号バーOEが入力される。
【0028】
ナンド回路25の一方の入力端子には入力信号INが入力され、他方の入力端子にはイネーブル信号バーOEがインバータ回路26により反転されて入力される。ナンド回路25は、インバータ回路26から入力される信号がHレベル、即ち、イネーブル信号バーOEがLレベルの場合、入力信号INを反転させた信号S1を高電位側出力回路部22に出力する。一方、ナンド回路25は、インバータ回路26から入力される信号がLレベル、即ち、イネーブル信号バーOEがHレベルの場合、常にHレベルの信号S1を高電位側出力回路部22に出力する。
【0029】
高電位側出力回路部22は、入力される信号S1がHレベルの場合、出力をハイインピーダンス状態に設定する。一方、高電位側出力回路部22は、入力される信号S1がLレベルの場合、Hレベルの出力信号OUTを出力する。
【0030】
ノア回路24の一方の入力端子には入力信号INが入力され、他方の入力端子にはイネーブル信号バーOEが入力される。ノア回路24は、イネーブル信号バーOEがLレベルの場合に入力信号INを反転させた信号S2を低電位側出力回路部23に出力する。一方、ノア回路24は、イネーブル信号バーOEがHレベルの場合に常にLレベルの信号S2を低電位側出力回路部23に出力する。
【0031】
低電位側出力回路部23は、入力される信号S2がHレベルの場合、Lレベルの出力信号OUTを出力する。一方、低電位側出力回路部23は、入力される信号S2がLレベルの場合、出力をハイインピーダンス状態に設定する。
【0032】
従って、イネーブル信号バーOEがHレベルの場合、両出力回路部22,23は、出力をハイインピーダンス状態に設定する。一方、イネーブル信号バーOEがLレベルの場合、両出力回路部22,23は、入力信号INに基づいて、その入力信号INがLレベルの場合、高電位側出力回路部22はLレベルの出力信号OUTを出力し、低電位側出力回路部23は出力をハイインピーダンスに設定する。また、入力信号INがHレベルの場合、高電位側出力回路部22は出力をハイインピーダンスに設定し、低電位側出力回路部23はLレベルの出力信号OUTを出力する。
【0033】
即ち、出力回路21は、イネーブル信号バーOEがHレベルの場合、出力をハイインピーダンスに設定する。一方、イネーブル信号バーOEがLレベルの場合、出力回路21は、入力信号INのレベルを反転させたレベルの出力信号OUTを出力する。
【0034】
次に、高電位側出力回路部22の回路構成について詳述する。
図3に示すように、高電位側出力回路部22は、PチャネルMOSトランジスタ(以下、PMOSトランジスタという)TP1〜TP6、NチャネルMOSトランジスタ(以下、NMOSトランジスタという)TN1〜TN6、抵抗R1,R2、及び、コンデンサC1,C2とから構成されている。
【0035】
信号S1は、PMOSトランジスタTP1とNMOSトランジスタTN1のゲートに入力される。PMOSトランジスタTP1のソースは高電位側電源VDDに接続され、ドレインはNMOSトランジスタTN1のドレインに接続され、そのNMOSトランジスタTN1のソースは低電位側電源Vssに接続されている。そして、両MOSトランジスタTP1,TN1のドレインの接続点のノードNaは、PMOSトランジスタTP5のゲートに接続されている。
【0036】
また、信号S1は、PMOSトランジスタTP2とNMOSトランジスタTN2のゲートに入力される。PMOSトランジスタTP2のソースはPMOSトランジスタTP3のドレインに接続され、PMOSトランジスタTP3のソースは高電位側電源VDDに接続されている。PMOSトランジスタTP2のドレインはNMOSトランジスタTN2のドレインに接続され、そのNMOSトランジスタTN2のソースは低電位側電源Vssに接続されている。
【0037】
また、NMOSトランジスタTN3のドレインはNMOSトランジスタTN3のドレインに接続され、そのNMOSトランジスタTN3のソースは低電位側電源Vssに接続されている。そのNMOSトランジスタTN3のゲートはPMOSトランジスタTP3のゲートに接続されている。そして、PMOSトランジスタTP2のドレインとNMOSトランジスタTN2,TN3のドレインの接続点のノードNbは、NMOSトランジスタTN5のゲートに接続されている。
【0038】
NMOSトランジスタTN5のドレインは上記PMOSトランジスタTP5のドレインに接続され、そのPMOSトランジスタTP5のソースは高電位側電源VDDに接続されている。NMOSトランジスタN5のソースは低電位側電源Vssに接続されている。両MOSトランジスタTP5,TN5のドレインの接続点のノードNdは、出力トランジスタとしてのPMOSトランジスタTP6のゲートに接続されている。
【0039】
PMOSトランジスタTP6のソースは高電位側電源VDDに接続され、ドレインは出力端子27に接続されている。そのPMOSトランジスタTP6のゲート電位は、PMOSトランジスタTP5とNMOSトランジスタTN5によって設定される。
【0040】
PMOSトランジスタTP5がオンし、NMOSトランジスタTN5がオフすると、両MOSトランジスタTP5,TN5間のノードNdはHレベルになる。このノードNdの電位はPMOSトランジスタTP6のゲートに出力されてPMOSトランジスタTP6はオフし、出力端子27をハイインピーダンス状態にする。
【0041】
一方、PMOSトランジスタTP5がオフし、NMOSトランジスタTN5がオンすると、両MOSトランジスタTP5,TN5間のノードNdはLレベルになる。このノードNdの電位はPMOSトランジスタTP6のゲートに出力され、PMOSトランジスタTP6はオンし、高電位側電源VDDを出力端子27に出力する。その結果、出力端子27は、Hレベルの出力信号OUTを出力する。
【0042】
即ち、PMOSトランジスタTP6は、Hレベルの出力信号OUTを出力する出力トランジスタとなる。そして、PMOSトランジスタTP5は、PMOSトランジスタTP6のゲートに対してHレベル、即ち、高電位側電源VDDを供給するパストランジスタとして動作する。また、NMOSトランジスタTN5は、出力トランジスタであるPMOSトランジスタTP6のゲートに対してLレベル、即ち、低電位側電源Vssを供給するパストランジスタとして動作する。
【0043】
PMOSトランジスタTP6のバックゲートは抵抗R2を介して高電位側電源VDDに接続されている。また、PMOSトランジスタTP6のソースとゲート間には、コンデンサC2が接続されている。
【0044】
抵抗R2は、PMOSトランジスタTP6のインピーダンスを所定の値に設定するために設けられている。即ち、PMOSトランジスタTP6のドレイン電位がバックゲート電位よりも上昇した場合、ドレインとバックゲート間が順方向のダイオード接続となり、出力インピーダンスが非常に低くなる。すると、PMOSトランジスタTP6のドレインの電位、即ち、出力端子27の電位を下降させようとする働きが生じて負荷となり、その負荷によって反射波が生成されてグリッチ等のノイズが発生する原因となる。そのため、抵抗R2を接続して出力インピーダンスが低くなりすぎるのを抑えることで、出力端子27の電位を下降させようとする働きを低減して負荷を少なくし、反射波を抑えるわけである。
【0045】
尚、後述する出力トランジスタとなるNMOSトランジスタTN12は、そのバックゲートと低電位側電源Vssとの間に抵抗R4が接続されている。この抵抗R4は、上記の抵抗R2と同じ働きをする。この抵抗R4によって、次の低電位側出力回路部23においても、NMOSトランジスタTN12のドレイン電位がバックゲート電位よりも低下した場合における反射波を抑えている。
【0046】
コンデンサC2は、PMOSトランジスタTP6のドレインとゲート間の寄生容量を補い、ドレイン電位からゲート電位へのフィードバックをより強調するために設けられている。即ち、PMOSトランジスタTP6の寄生容量にコンデンサC2を並列接続することで容量を大きくしている。
【0047】
また、PMOSトランジスタTP6のゲートには、NMOSトランジスタTN6のドレインが接続されている。そのNMOSトランジスタTN6のゲートはノードNaに接続され、ソースは抵抗R1を介して低電位側電源Vssに接続されている。その抵抗R1には並列にコンデンサC1が接続されている。
また、ノードNdは、PMOSトランジスタTP4とNMOSトランジスタTN4のゲートに接続されている。PMOSトランジスタTP4のソースは高電位側電源VDDに接続され、ドレインはNMOSトランジスタTN4のドレインに接続され、そのNMOSトランジスタTN4のソースは低電位側電源Vssに接続されている。そして、両MOSトランジスタTP4,TN4のドレインの接続点のノードNcは、前記PMOSトランジスタTP3とNMOSトランジスタTN3のゲートに接続されている。
【0048】
次に、上記のように構成された高電位側出力回路部22の動作を説明する。
イネーブル信号バーOEがHレベル、又はイネーブル信号バーOEと入力信号INが共にLレベルの場合、高電位側出力回路部22にはHレベルの信号S1が入力される。
【0049】
そのHレベルの信号S1はPMOSトランジスタTP1及びNMOSトランジスタTN1のゲートに入力され、PMOSトランジスタTP1はオフし、NMOSトランジスタTN1はオンし、両MOSトランジスタTP1,TN1間のノードNaの電位はLレベルとなる。そのノードNaの電位はPMOSトランジスタTP5のゲートに出力され、そのPMOSトランジスタTP5はオンする。また、ノードNaの電位はNMOSトランジスタTN6のゲートに出力され、そのNMOSトランジスタTN6はオフする。
【0050】
また、Hレベルの信号S1は、PMOSトランジスタTP2及びNMOSトランジスタTN2のゲートに入力され、PMOSトランジスタTP2はオフし、NMOSトランジスタTN2はオンし、両MOSトランジスタTP2,TN2間のノードNbの電位はLレベルとなる。そのノードNbの電位はNMOSトランジスタTN5のゲートに出力され、そのNMOSトランジスタTN5はオフする。
【0051】
すると、オンしたPMOSトランジスタTP5を介してノードNdの電位は高電位側電源VDD、即ち、Hレベルとなり、そのノードNdの電位によってPMOSトランジスタTP6はオフする。その結果、出力端子27はハイインピーダンス状態に設定される。尚、出力端子27がハイインピーダンス状態に設定された時、後述する低電位側出力回路部23によってLレベルの出力信号OUTが出力されており、出力端子27はLレベルとなっている。
【0052】
また、この時、ノードNdはHレベルなので、PMOSトランジスタTP4はオフし、NMOSトランジスタTN4はオンし、両MOSトランジスタTP4,TN4間のノードNcの電位はLレベルとなる。従って、PMOSトランジスタTP3はオンし、NMOSトランジスタTN3はオフしている。
【0053】
次に、イネーブル信号バーOEがLレベルの状態で入力信号INがLレベルからHレベルに変化すると、その入力信号INの変化に従って信号S1はHレベルからLレベルに変化する。
【0054】
Lレベルの信号S1は、PMOSトランジスタTP1とNMOSトランジスタTN1のゲートに入力され、PMOSトランジスタTP1はオンし、NMOSトランジスタTN1はオフし、両MOSトランジスタTP1,TN1間のノードNaの電位はHレベルになる。このノードNaの電位はPMOSトランジスタTP5ゲートに出力され、PMOSトランジスタTP5はオフする。
【0055】
また、Lレベルの信号S1は、PMOSトランジスタTP2とNMOSトランジスタTN2のゲートに入力され、PMOSトランジスタTP2はオンし、NMOSトランジスタTN3はオフする。この時、PMOSトランジスタTP3はオンし、NMOSトランジスタTN3はオフしているので、ノードNbの電位はHレベルになる。このノードNbの電位はNMOSトランジスタTN5のゲートに出力され、NMOSトランジスタTN5はオンする。
【0056】
すると、オンしたNMOSトランジスタTN5を介してノードNdの電位は下降して低電位側電源Vss、即ち、Lレベルになり、そのノードNdの電位によってPMOSトランジスタTP6はオンする。そのオンしたPMOSトランジスタTP6によって、出力端子27と高電位側電源VDDとの間のインピーダンスが低下し、出力端子27の電位、即ち、出力信号OUTの電位が上昇する。
【0057】
また、ノードNdの電位が下降することにより、PMOSトランジスタTP4がオンし、NMOSトランジスタTN4がオフし、両MOSトランジスタTP4,TN4間のノードNcの電位はHレベルになる。すると、そのレベルのノードNcの電位によって、PMOSトランジスタTP3はオフし、NMOSトランジスタTN3はオンする。そして、そのオンしたNMOSトランジスタTN3によって、ノードNbの電位は、HレベルからLレベルに変化し、そのLレベルのノードNbの電位によって、NMOSトランジスタTN5はオフする。
【0058】
従って、信号S1、即ち、入力信号INの変化によってPMOSトランジスタTP5がオフし、NMOSトランジスタTN5がオンしてPMOSトランジスタTP6がオンした後、NMOSトランジスタTN5はオフする。その結果、PMOSトランジスタTP6のゲートは、高電位側電源VDDと低電位側電源Vssの何れにも接続されない状態となる。
【0059】
PMOSトランジスタTP6がオンした後、NMOSトランジスタTN5がオフするタイミングは、そのPMOSトランジスタTP6のゲート、即ち、ノードNdに接続されたPMOSトランジスタTP4とNMOSトランジスタTN4のβ比を調整することによって設定される。即ち、ノードNdの電位がPMOSトランジスタTP4とNMOSトランジスタTN4のしきい値電圧よりも上昇又は下降すると、両MOSトランジスタTP4,TN4の状態がオンからオフに、オフからオンに変化する。従って、両MOSトランジスタTP4,TN4のβ比を調整してしきい値電圧を変更することにより、NMOSトランジスタTN5をPMOSトランジスタTP6がオンした後にオフさせている。
【0060】
また、NMOSトランジスタTN5がオフした後、PMOSトランジスタTP6のゲートは、オンしたNMOSトランジスタTN6と抵抗R1とによって設定される電位に保持される。更に、PMOSトランジスタTP6のゲート電位は、高抵抗である抵抗R1の値によって設定されている。また、抵抗R1が高抵抗であるため、NMOSトランジスタTN6に流れる電流が少なくなり、外部から加わる要因でゲート電位が変化し易い状態としている。
【0061】
そして、図4(a)に示すように、送端側、即ち、出力端子27において、LレベルからHレベルへと出力信号OUTが変化した場合、受端側では、出力信号OUTから遅れてLレベルからHレベルへ変化する。この時、先ず伝送系のインピーダンスと出力インピーダンスとで分圧された電位に一旦安定する。この安定する電位は、伝送系のインピーダンスに比べて出力インピーダンスは低いので、高電位側電源VDD側に低い出力インピーダンスを接続し、低電位側電源Vss側に高い伝送系のインピーダンスを接続した等価回路による分圧電圧となる。
【0062】
一方、受端側では、通常では入力インピーダンスが高いので、妨げとなる負荷がない。そのため、出力信号OUTは、そのまま順方向、即ち、低電位側電源Vssから高電位側電源VDD側に向かう反射となり、その反射は送端側へ返ってくる。
【0063】
この受端側の波形は、図4(b)の一点鎖線で示すように、目標電圧(この場合はHレベルであって高電位側電源VDD)を超えるオーバーシュートを引き起こし、反射波として送端側、即ち、出力回路21に向かって送出される。すると、図4(a)の一点鎖線で示すように、送端側では、出力信号OUTが目標電圧(この場合はHレベルであって高電位側電源VDD)を超えるオーバーシュートを引き起こす。また、発生したオーバーシュートは、逆に、出力信号OUTが再び目標電圧を越えるアンダーシュートを引き起こす。
【0064】
この時、出力トランジスタであるPMOSトランジスタTP6のゲートは、わずかにNMOSトランジスタTN6と抵抗R1によって低電位側電源Vss側に引かれるハイインピーダンス状態となっている。そのため、PMOSトランジスタTP6のゲート電位は、出力信号OUTの影響を受ける。
【0065】
図4(a)に示すように、例えば、出力信号OUTがオーバーシュートした場合、そのオーバーシュートした出力信号OUTは、PMOSトランジスタTP6のドレインとゲート間の寄生容量とコンデンサC2を介して、そのゲートに電荷を充電する。従って、PMOSトランジスタTP6のゲート電位は、その充電された電荷によって低下し、ゲート−ソース間の電位差が大きくなるので、出力インピーダンスが高くなる。
【0066】
すると、PMOSトランジスタTP6によって出力端子27の電位を引き下げようとする働きが小さくなって上昇しようとする出力電圧OUTの妨げとなる負荷成分が軽減される。即ち、送端側から受端側に反射波として伝達される負荷分が少なくなる。受端側に伝達される負荷が少なくなると、その受端側にて反射されて再び送端側に反射される分が少なくなる。
【0067】
逆に、図4(a)に示すように出力信号OUTがアンダーシュートした場合、そのアンダーシュートした出力信号OUTは、PMOSトランジスタTP6のドレインとゲート間の寄生容量とコンデンサC2を介して、そのゲートの電荷を放電させる。従って、PMOSトランジスタTP6のゲート電位は、電荷の放電によって上昇し、ゲート−ソース間の電位差が小さくなるので、出力インピーダンスが低くなる。
【0068】
すると、PMOSトランジスタTP6によって出力端子27の電位を引き上げようとする働き、即ち、目標電圧に近づけようとする働きが強くなり、出力電圧OUTを上昇させる。その結果、アンダーシュートは、図4(a)(b)の一点鎖線で示す場合に比べて、実線で示すように小さくなる。従って、図4(b)に示すように、点Aに示す従来の出力回路1,5によるグリッチノイズは、点Bに示すレベルまで高電位側電源VDD側に引き上げられる。そのため、出力信号OUTが受端側においてしきい値電圧よりも低くなることがなく、受端側のデバイスが誤動作することがない。
【0069】
即ち、出力信号OUTがオーバーシュートした場合には、そのオーバーシュートを低減しようとする働きを抑えることで、反射波となる負荷を低減する。また、出力信号OUTがアンダーシュートした場合には、そのアンダーシュートをより目標電圧に近づけようとする働きを強くすることで、そのアンダーシュートを小さくして誤動作を防止する。
【0070】
尚、出力端子27から大きなノイズを受けてノードNdの電位が大きく上昇した場合、そのノードNdの電位によって、PMOSトランジスタTP4がオフし、NMOSトランジスタTN4がオンし、ノードNcの電位をLレベルに下降させる。そのLレベルに下降したノードNcの電位によって、PMOSトランジスタTP3がオンし、NMOSトランジスタTN3がオンする。
【0071】
この時、入力信号INに基づいて信号S1はLレベルであるので、PMOSトランジスタTP2はオンし、NMOSトランジスタTN2はオフしている。従って、ノードNbの電位がHレベルに上昇し、そのHレベルに上昇したノードNbの電位によってNMOSトランジスタTN5がオンし、ノードNdの電位をLレベル、即ち、低電位側電源Vssに低下させて安定させる。
【0072】
従って、ノードNdの電位、即ち、PMOSトランジスタTP6のゲート電位がノイズ等によって変化した場合、そのゲートに入力される電位が補正されるので、PMOSトランジスタTP6が安定して動作する。
【0073】
そして、ノードNdの電位がLレベルとなるため、PMSトランジスタTP4たオンし、NMOSトランジスタTN4がオフし、ノードNcの電位をHレベルに上昇させる。そして、そのノードNcの電位によって、PMOSトランジスタTP3がオフし、NMOSトランジスタTN3がオンし、ノードNbの電位がLレベルになり、NMOSトランジスタTN5が再びオフする。
【0074】
即ち、PMOSトランジスタTP4及びNMOSトランジスタTN4によって、出力トランジスタとしてのPMOSトランジスタTP6のゲート電位であるノードNdの電位をモニタするモニタ回路が構成されている。そして、そのモニタ回路によって検出したPMOSトランジスタTP6のゲート電位の変化をフィードバックして、PMOSトランジスタTP6のゲートに入力する電位を補正することで、PMOSトランジスタTP6を安定して動作させている。
【0075】
次に、低電位側出力回路部23の回路構成について詳述する。
図5に示すように、低電位側出力回路部23は、NMOSトランジスタTN7〜TN12、PMOSトランジスタTP7〜TP12、抵抗R3,R4、及び、コンデンサC3,C4とから構成されている。低電位側出力回路部23は、図3に示す高電位側出力回路部22の高電位側電源VDDと低電位側電源Vss、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタとを入れ替えた形に構成される。
【0076】
即ち、PMOSトランジスタTP1〜TP6をNMOSトランジスタTN7〜TN12に、NMOSトランジスタTN1〜TN6をPMOSトランジスタTP7〜TP12に、コンデンサC1,C2をコンデンサC3,C4に、抵抗R1,R2を抵抗R3,R4に置き換える。そして、高電位側電源VDDと低電位側電源Vssとを入れ替えた回路構成となっている。従って、低電位側出力回路部23の構成についての詳細な説明を省略し、次にその動作について説明する。
【0077】
イネーブル信号バーOEがHレベル、又はイネーブル信号バーOEがLレベルであって入力信号INがHレベルの場合、低電位側出力回路部23にはLレベルの信号S2が入力される。
【0078】
そのLレベルの信号S2はNMOSトランジスタTN7及びPMOSトランジスタTP7のゲートに入力され、NMOSトランジスタTN7はオフし、PMOSトランジスタTP7はオンし、両MOSトランジスタTN7,TP7間のノードNeの電位はHレベルとなる。そのノードNeの電位はNMOSトランジスタTN11のゲートに出力され、そのNMOSトランジスタTN11はオンする。また、ノードNeの電位はPMOSトランジスタTP12のゲートに出力され、そのPMOSトランジスタTP12はオフする。
【0079】
また、Lレベルの信号S2は、NMOSトランジスタTN8及びPMOSトランジスタTP8のゲートに入力され、NMOSトランジスタTN8はオフし、PMOSトランジスタTP8はオンし、両MOSトランジスタTN8,TP8間のノードNfの電位はHレベルとなる。そのノードNfの電位はPMOSトランジスタTP11のゲートに出力され、そのPMOSトランジスタTP11はオフする。
【0080】
すると、オンしたNMOSトランジスタTN11を介してノードNhの電位は低電位側電源Vss、即ち、Lレベルとなり、そのノードNhの電位によってNMOSトランジスタTN12はオフする。その結果、出力端子28はハイインピーダンス状態に設定される。尚、出力端子28がハイインピーダンス状態に設定された時、前記した高電位側出力回路部22によってHレベルの出力信号OUTが出力されており、出力端子28はHレベルとなっている。
また、この時、ノードNhはLレベルなので、NMOSトランジスタTN10はオフし、PMOSトランジスタTP10はオンし、両MOSトランジスタTN10,TP10間のノードNgの電位はHレベルとなる。従って、NMOSトランジスタTN9はオンし、PMOSトランジスタTP9はオフしている。
【0081】
次に、イネーブル信号バーOEがLレベルの状態で入力信号INがHレベルからLレベルに変化すると、その入力信号INの変化に従って信号S2はLレベルからHレベルに変化する。
【0082】
Hレベルの信号S2は、NMOSトランジスタTN7とPMOSトランジスタTP7のゲートに入力され、NMOSトランジスタTN7はオンし、PMOSトランジスタTP7はオフし、両MOSトランジスタTN7,TP7間のノードNeの電位はLレベルになる。このノードNeの電位はNMOSトランジスタTN11ゲートに出力され、NMOSトランジスタTN11はオフする。
【0083】
また、Hレベルの信号S2は、NMOSトランジスタTN8とPMOSトランジスタTP8のゲートに入力され、NMOSトランジスタTN8はオンし、PMOSトランジスタTP9はオフする。この時、NMOSトランジスタTN9はオンし、PMOSトランジスタTP9はオフしているので、ノードNfの電位はLレベルになる。このノードNfの電位はPMOSトランジスタTP11のゲートに出力され、PMOSトランジスタTP11はオンする。
【0084】
すると、オンしたPMOSトランジスタTP11を介してノードNhの電位は上昇して高電位側電源VDD、即ち、Hレベルになり、そのノードNhの電位によってNMOSトランジスタTN12はオンする。そのオンしたNMOSトランジスタTN12によって、出力端子28と低電位側電源Vssとの間のインピーダンスが低下し、出力端子28の電位、即ち、出力信号OUTの電位が下降する。
【0085】
また、ノードNhの電位が上昇することにより、NMOSトランジスタTN10がオンし、PMOSトランジスタTP10がオフし、両MOSトランジスタTN10,TP10間のノードNgの電位はLレベルになる。すると、そのレベルのノードNgの電位によって、NMOSトランジスタTN9はオフし、PMOSトランジスタTP9はオンする。そして、そのオンしたPMOSトランジスタTP9によって、ノードNfの電位は、LレベルからHレベルに変化し、そのHレベルのノードNfの電位によって、PMOSトランジスタTP11はオフする。
【0086】
従って、信号S2、即ち、入力信号INの変化によってNMOSトランジスタTN11がオフし、PMOSトランジスタTP11がオンしてNMOSトランジスタTN12がオンした後、PMOSトランジスタTP11はオフする。その結果、NMOSトランジスタTN12のゲートは、低電位側電源Vssと高電位側電源VDDの何れにも接続されない状態となる。
【0087】
NMOSトランジスタTN12がオンした後、PMOSトランジスタTP11がオフするタイミングは、そのNMOSトランジスタTN12のゲート、即ち、ノードNhに接続されたNMOSトランジスタTN10とPMOSトランジスタTP10のβ比を調整することによって設定される。即ち、ノードNhの電位がNMOSトランジスタTN10とPMOSトランジスタTP10のしきい値電圧よりも下降又は上昇すると、両MOSトランジスタTN10,TP10の状態がオンからオフに、オフからオンに変化する。従って、両MOSトランジスタTN10,TP10のβ比を調整してしきい値電圧を変更することにより、PMOSトランジスタTP11をNMOSトランジスタTN12がオンした後にオフさせている。
【0088】
また、PMOSトランジスタTP11がオフした後、NMOSトランジスタTN12のゲートは、オンしたPMOSトランジスタTP12と抵抗R3とによって設定される電位に保持される。更に、NMOSトランジスタTN12のゲート電位は、抵抗R3の値を適宜設定し、PMOSトランジスタTP12に流れる電流を少なくすることにより、外部から加わる要因でゲート電位が変化し易い状態としている。
【0089】
そして、図6(a)に示すように、送端側、即ち、出力端子28において、HレベルからLレベルへと出力信号OUTが変化した場合、受端側では、出力信号OUTから遅れてHレベルからLレベルへ変化する。この時、先ず伝送系のインピーダンスと出力インピーダンスとで分圧された電位に一旦安定する。この安定する電位は、伝送系のインピーダンスに比べて出力インピーダンスは低いので、低電位側電源Vss側に低い出力インピーダンスを接続し、高電位側電源VDD側に高い伝送系のインピーダンスを接続した等価回路による分圧電圧となる。
【0090】
一方、受端側では、通常では入力インピーダンスが高いので、妨げとなる負荷がない。そのため、出力信号OUTは、そのまま順方向、即ち、高電位側電源VDDから低電位側電源Vss側に向かう反射となり、その反射は送端側へ返ってくる。
【0091】
この受端側の波形は、図6(b)の一点鎖線で示すように、目標電圧(この場合はLレベルであって低電位側電源Vss)を超えるオーバーシュートを引き起こし、反射波として送端側、即ち、出力回路21に向かって送出される。すると、図6(a)の一点鎖線で示すように、送端側では、出力信号OUTが目標電圧(この場合はLレベルであって低電位側電源Vss)を超えるオーバーシュートを引き起こす。また、発生したオーバーシュートは、逆に、出力信号OUTが再び目標電圧を越えるアンダーシュートを引き起こす。
【0092】
この時、出力トランジスタであるNMOSトランジスタTN12のゲートは、わずかにPMOSトランジスタTP12と抵抗R3によって高電位側電源VDD側に引かれるハイインピーダンス状態となっている。そのため、NMOSトランジスタTN12のゲート電位は、出力信号OUTの影響を受ける。
【0093】
図6(a)に示すように、例えば、出力信号OUTがオーバーシュートした場合、そのオーバーシュートした出力信号OUTは、NMOSトランジスタTN12のドレインとゲート間の寄生容量とコンデンサC4を介して、そのゲートに電荷を充電する。従って、NMOSトランジスタTN12のゲート電位は、その充電された電荷によって低下し、ゲート−ソース間の電位差が大きくなるので、出力インピーダンスが高くなる。
【0094】
すると、NMOSトランジスタTN12によって出力端子28の電位を引き下げようとする働きが小さくなって下降しようとする出力電圧OUTの妨げとなる負荷成分が軽減される。即ち、送端側から受端側に反射波として伝達される負荷分が少なくなる。受端側に伝達される負荷が少なくなると、その受端側にて反射されて再び送端側に反射される分が少なくなる。
【0095】
逆に、図6(a)に示すように出力信号OUTがアンダーシュートした場合、そのアンダーシュートした出力信号OUTは、NMOSトランジスタTN12のドレインとゲート間の寄生容量とコンデンサC4を介して、そのゲートの電荷を放電させる。従って、NMOSトランジスタTN12のゲート電位は、電荷の放電によって下降し、ゲート−ソース間の電位差が小さくなるので、出力インピーダンスが低くなる。
【0096】
すると、NMOSトランジスタTN12によって出力端子28の電位を引き上げようとする働き、即ち、目標電圧に近づけようとする働きが強くなり、出力電圧OUTを下降させる。その結果、アンダーシュートは、図6(a)(b)の一点鎖線で示す場合に比べて、実線で示すように小さくなる。従って、図6(b)に示すように、点Aに示す従来の出力回路1,5によるグリッチノイズは、点Bに示すレベルまで低電位側電源Vss側に引き上げられる。そのため、出力信号OUTが受端側においてしきい値電圧よりも低くなることがなく、受端側のデバイスが誤動作することがない。
【0097】
即ち、出力信号OUTがオーバーシュートした場合には、そのオーバーシュートを低減しようとする働きを抑えることで、反射波となる負荷を低減する。また、出力信号OUTがアンダーシュートした場合には、そのアンダーシュートをより目標電圧に近づけようとする働きを強くすることで、そのアンダーシュートを小さくして誤動作を防止する。
【0098】
尚、出力端子28から大きなノイズを受けてノードNhの電位が大きく下降した場合、そのノードNhの電位によって、NMOSトランジスタTN10がオフし、PMOSトランジスタTP10がオンし、ノードNgの電位をHレベルに上昇させる。そのHレベルに上昇したノードNgの電位によって、NMOSトランジスタTN9がオンし、PMOSトランジスタTP9がオンする。
【0099】
この時、入力信号INに基づいて信号S2はHレベルであるので、NMOSトランジスタTN8はオンし、PMOSトランジスタTP8はオフしている。従って、ノードNfの電位がLレベルに下降し、そのLレベルに下降したノードNfの電位によってPMOSトランジスタTP11がオンし、ノードNhの電位をHレベル、即ち、高電位側電源VDDに上昇させて安定させる。
【0100】
従って、ノードNhの電位、即ち、NMOSトランジスタTN12のゲート電位がノイズ等によって変化した場合、そのゲートに入力される電位が補正されるので、NMOSトランジスタTN12が安定して動作する。
【0101】
そして、ノードNhの電位がHレベルとなるため、PMSトランジスタTN10たオンし、PMOSトランジスタTP10がオフし、ノードNgの電位をLレベルに下降させる。そして、そのノードNgの電位によって、NMOSトランジスタTN9がオフし、PMOSトランジスタTP9がオンし、ノードNfの電位がHレベルになり、PMOSトランジスタTP11が再びオフする。
【0102】
即ち、NMOSトランジスタTN10及びPMOSトランジスタTP10によって、出力トランジスタとしてのNMOSトランジスタTN12のゲート電位であるノードNhの電位をモニタするモニタ回路が構成されている。そして、そのモニタ回路によって検出したNMOSトランジスタTN12のゲート電位の変化をフィードバックして、NMOSトランジスタTN12のゲートに入力する電位を補正することで、NMOSトランジスタTN12を安定して動作させている。
【0103】
以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)出力回路21の高電位側出力回路部22には出力トランジスタとなるPMOSトランジスタTP6が備えられる。高電位側出力回路部22は、入力信号INに基づいて、PMOSトランジスタTP6オンしてHレベルの出力信号OUTを出力した後、PMOSトランジスタTP6のゲートをハイインピーダンス状態に設定する。そして、出力電圧OUTが目標とする高電位側電源VDDよりも高い場合にはPMOSトランジスタTP6のゲートに電荷を充電してそのゲート電位を低下させ、出力インピーダンスを高する。また、出力電圧OUTが目標とする高電位側電源VDDよりも低い場合にはPMOSトランジスタTP6のゲートから電荷を放電させてそのゲート電位を上昇させ、出力インピーダンスを低くするようにした。
【0104】
その結果、出力信号OUTがオーバーシュートした場合には、そのオーバーシュートを低減しようとする働きを抑えることで、反射波となる負荷を低減する。また、出力信号OUTがアンダーシュートした場合には、そのアンダーシュートをより目標電圧に近づけようとする働きを強くすることで、そのアンダーシュートを小さくして誤動作を防止することができる。
【0105】
(2)出力回路21の低電位側出力回路部23には出力トランジスタとなるNMOSトランジスタTN12が備えられる。低電位側出力回路部22は、入力信号INに基づいて、NMOSトランジスタTN12オンしてLレベルの出力信号OUTを出力した後、NMOSトランジスタTN12のゲートをハイインピーダンス状態に設定する。そして、出力電圧OUTが目標とする低電位側電源Vssよりも低い場合にはNMOSトランジスタTN12のゲートに電荷を充電してそのゲート電位を低下させ、出力インピーダンスを高する。また、出力電圧OUTが目標とする低電位側電源Vssよりも高い場合にはNMOSトランジスタTN12のゲートから電荷を放電させてそのゲート電位を上昇させ、出力インピーダンスを低くするようにした。
【0106】
その結果、出力信号OUTがオーバーシュートした場合には、そのオーバーシュートを低減しようとする働きを抑えることで、反射波となる負荷を低減する。また、出力信号OUTがアンダーシュートした場合には、そのアンダーシュートをより目標電圧に近づけようとする働きを強くすることで、そのアンダーシュートを小さくして誤動作を防止することができる。
【0107】
尚、本発明は前記実施の形態の他、以下の態様で実施してもよい。
(1)上記実施形態において、高電位側出力回路部22、又は、低電位側出力回路部23の何れか一方を省略した所謂オープンドレイン型出力回路を構成として実施してもよい。高電位側出力回路部22のみの場合、出力回路21は、入力信号INに基づいて、その入力信号INがLレベルの場合にHレベルの出力信号OUTを出力し、入力信号INがHレベルの場合に出力端子をハイインピーダンス状態に設定する。また、低電位側出力回路部23のみの場合、出力回路21は、入力信号INに基づいて、その入力信号INがLレベルの場合に出力端子をハイインピーダンス状態に設定し、入力信号INがHレベルの場合にLレベルの出力信号OUTを出力する。
【0108】
(2)上記実施形態において、高電位側出力回路部22を、図7(a)(b)に示す従来のPMOSトランジスタ2又はNMOSトランジスタ6とインバータ回路8との構成に置き換えて実施してもよい。また、低電位側出力回路部23を、図7(a)(b)に示す従来のNMOSトランジスタ3,7に置き換えて実施してもよい。
【0109】
(3)上記実施形態の高電位側出力回路部22において、出力トランジスタとなるPMOSトランジスタTP6のゲートと高電位側電源VDDとの間に接続したNMOSトランジスタTN6、抵抗R1、及び、コンデンサC1を省略して実施してもよい。また、低電位側出力回路部23において、出力トランジスタとなるNMOSトランジスタTN12のゲートと低電位側電源Vssとの間に接続したPMOSトランジスタTP12、抵抗R3、及び、コンデンサC3を省略して実施してもよい。
【0110】
(4)上記実施形態において、出力トランジスタとなるPMOSトランジスタTP6のゲートとドレイン間に接続したコンデンサC2を省略して実施してもよい。また、出力トランジスタとなるPMOSトランジスタTN12のゲートとドレイン間に接続したコンデンサC4を省略して実施してもよい。
【0111】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、反射波によるノイズを低減することが可能な出力回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の原理説明図。
【図2】 1実施の形態の出力回路のブロック図。
【図3】 1実施の形態の高電位側出力回路部の回路図。
【図4】 高電位側出力回路部出力信号の波形図であって、(a)は送端側の波形図、(b)は受端側の波形図。
【図5】 1実施の形態の低電位側出力回路部の回路図。
【図6】 低電位側出力回路部の出力信号の波形図であって、(a)は送端側の波形図、(b)は受端側の波形図。
【図7】 (a),(b)は従来の出力回路の回路図。
【図8】 従来の出力回路による出力信号の波形図であって、(a)は送端側の波形図、(b)は受端側の波形図。
【符号の説明】
11 出力トランジスタ
12 制御回路
IN 入力信号
OUT 出力信号
Claims (7)
- 高電位側電源又は低電位側電源を駆動電源とし、該駆動電源を出力信号として出力する出力トランジスタと、
前記出力トランジスタのゲートに接続され、入力信号に基づいて前記出力トランジスタをオンに制御した後、前記出力トランジスタのゲートをハイインピーダンス状態に制御する制御回路と
を備え、前記制御回路は、前記出力トランジスタのゲートと前記高電位側電源との間に接続されている第1のパストランジスタと、前記出力トランジスタのゲートと前記低電位側電源との間に接続されている第2のパストランジスタとを備えており、前記入力信号に基づいて前記第1又は第2のパストランジスタの一方をオンに制御することにより前記出力トランジスタをオンに制御した後、前記一方のパストランジスタをオフに制御することにより前記出力トランジスタのゲートをハイインピーダンス状態に制御するようにし、かつ、前記出力信号の変動に従ってハイインピーダンス状態である前記出力トランジスタのゲートに対して電荷の充放電を行い、その充放電される電荷に基づいて前記ゲートのゲート電位を変化させることにより前記出力トランジスタの出力インピーダンスを前記出力信号の変動に対応させて変更するようにした出力回路。 - 請求項1に記載の出力回路において、
前記出力トランジスタのドレインとゲートとの間にコンデンサを接続し、該コンデンサと前記出力トランジスタの寄生容量とにより、前記出力信号の変動に従ってゲートに対して電荷の充放電を行うようにした出力回路。 - 請求項1又は2に記載の出力回路において、
前記制御回路には、前記出力トランジスタのゲート電位を検出する検出回路が更に備えられており、前記制御回路は、前記検出回路の検出結果に基づいて、ハイインピーダンス状態にある前記出力トランジスタのゲート電位が変動した場合に、該前記一方のパストランジスタをオンに制御してゲート電位を安定させた後、再びハイインピーダンス状態に制御するようにした出力回路。 - 請求項1乃至3のうち何れか一項に記載の出力回路において、
前記出力トランジスタのゲートは、高抵抗素子を介して前記駆動電源とは逆の電源に接続された出力回路。 - 請求項4に記載の出力回路において、
前記出力トランジスタのゲートと前記高抵抗素子との間にはMOSトランジスタが接続され、前記制御回路は、そのMOSトランジスタを、前記出力トランジスタがオンに制御されたときにオンに制御するようにした出力回路。 - 請求項1乃至5のうち何れか一項に記載の出力回路において、
前記出力トランジスタのバックゲートは抵抗を介して駆動電源に接続されている出力回路。 - 高電位側電源を駆動電源とする請求項1乃至6のうち何れか一項に記載された出力回路よりなる高電位側出力回路部と、
低電位側電源を駆動電源とする請求項1乃至6のうち何れか一項に記載された出力回路よりなる低電位側出力回路部と
から構成された出力回路。
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