JP3739392B2 - カルシウムおよびフッ素錯化合物を含有する口内洗浄剤、歯磨き剤および咀嚼錠剤 - Google Patents

カルシウムおよびフッ素錯化合物を含有する口内洗浄剤、歯磨き剤および咀嚼錠剤 Download PDF

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Description

発明の背景
本発明は、一部は、National Institute of Dental ResearchからAmerican Dental Association Health Foundationへの研究助成金DE05354によって支援を受けた。米国政府はこの発明についてある種の権利を有している。
口内洗浄剤および歯磨き剤の形での自己フッ素使用はこの国および海外で広く使用されている。これら製剤は虫歯の減少に有効であることが明らかにされた。日常的使用のために処方されたフッ素含有口内洗浄剤は、通常は、フッ化ナトリウムまたはフッ化第一スズとして250ppmのフッ素を含有している。フッ素含有歯磨き剤は通常はフッ化ナトリウムまたはモノフルオロリン酸ナトリウムとして1000ppmのフッ素を含有する。これらフッ素療法の虫歯抑制効果は歯の表面および口内の他の組織にフッ素を沈着する能力に由来すると考えられている。沈着したフッ素は本来不安定であり、容易に歯および口内組織から溶脱するが、口内洗浄剤または歯磨き剤を毎日使用すれば口内フッ素濃度を高められ、それを維持できる。
アメリカ特許No.4,556,561は、適当な条件でリン酸二カルシウム二水塩を形成する溶液、ゲルおよびほとんど非水性の分散剤ならびにその使用法を開示している。これらの組成物は、エナメル質、象牙質および露出した歯根表面を局所的にフッ素化および/または鉱質化するのに有用である。取り込まれるフッ素はCa5(PO4)3の形であり、CaF2や他のフッ素化物より恒久的に保持される。
アメリカ特許No.4,048,300はカルシウムおよびリンを含有する物質を含む一つの歯科用材を開示している。カルシウム/リンを含有する成分はフッ素も含有することができる。カルシウム/リン/フッ素成分の例には、フルオロアパタイト、フルオロヒドロキシアパタイト、アパタイト、カルシウム欠損アパタイトおよびフッ素アニオン置換ヒドロキシアパタイトなどがある。この成分は歯科用クリームに有用である。
アメリカ特許No.4,080,440は、2種類の溶液系を用いる歯のエナメル質再鉱質化の方法を開示している。第一液はカルシウム塩および任意に重金属カチオンを含有するカチオン溶液である。第二液はリン酸塩および任意にフッ素イオンなどのリン酸以外のアニオンを含有するアニオン溶液である。これら溶液のpHは2〜4であり、リンに対するカルシウムの比率は0.01〜100である。この二つの成分を混合して得られた溶液は“準安定”溶液と呼ばれ、溶液pHを上げて溶液の成分を歯のなかで析出させてエナメル質再鉱質化を生じるためには、口腔内に10秒から3分とどめておく必用がある。
アメリカ特許No.4,803,955は二段階法による歯のエナメル質再鉱質化について記述している。この方法では二つの溶液、一つはカルシウム塩を含み、もう一つはリン塩と任意にフッ素塩を含む液を歯のエナメル質に逐次接触させる。逐次的な溶液の接触によってエナメル質表面が再鉱質化する。
アメリカ特許No.4,108,980は、カルシウムおよびリン成分を含む物質を歯に用いる方法について記述している。この歯科用材はイオン化してフッ素イオンを生じる塩を含む。この発明で記述されている処方は歯表面に塗布する前に調製する。
アメリカ特許No.4,177,258および4,183,915は、歯の再鉱質化のための安定な溶液について記述している。この溶液は、カルシウムイオン源、リンイオン源およびフッ素源を含有する。この溶液は、特殊な処方を有するジアミンテトラメチレンホスホン酸で構成される抗核形成化剤も含有する。この抗核形成化剤はカルシウムイオンおよびリンイオンを安定化し、大きな不溶性アパタイト結晶を形成することを防ぐ。これは、これらのイオンが形成する球状の核形成された粒子を吸収し、結晶成長を遮断することによる。
アメリカ特許No.4,348,381は、上記の'258および'915特許で記述されているものに類似した溶液について記述している。しかし、'381溶液の抗核形成化剤はPBTAおよびその水溶性の塩である。
アメリカ特許No.4,397,837は、歯に用いる際に二相が合わせる二相性歯科組成物について記述している。この組成物の第一相はカルシウム成分を含有する。第二相は水溶性のリン酸成分および水溶性フッ素成分を含有する。
アメリカ特許No.4,460,565は再鉱質化を促進する歯磨き剤組成物について記述している。この組成物は、カルシウムを含む成分、二つのフッ素成分、即ちフッ化アルカリまたはフッ化アルカリ土類金属およびフルオロリン酸アルカリ金属で、二つのリン成分、即ち可溶性環状リン酸アルカリ金属塩および可溶性直鎖状リン酸アルカリ金属塩を含有する。
アメリカ特許No.4,532,124は口内洗浄剤について記述している。この口内洗浄剤にはフッ素、カルシウムおよびリンの水溶性塩を含有する。さらに、この組成物は尿素のように代謝されてアルカリになって溶液のpHを上げてカルシウムを沈着させる物質を含有する。
アメリカ特許No.4,606,912および4,610,873は、リン酸カルシウム結晶を含まない透明で安定な水性口内洗浄剤について記述している。この口内洗浄剤はキレート剤をカルシウムイオン源およびリン酸イオン源と組み合わせたものである。カルシウムイオン源はフッ素イオンを供給できる成分で構成されている。この水性組成物はカルシウムイオン、リン酸イオンおよびフッ素イオンを含有する。
アメリカ特許No.4,714,608は水性歯科用材について記述している。この歯科用材は、pH2未満の溶液中にフッ素成分を含有する。この化合物はカルシウムによる歯の処置の前後いずれでも歯に塗布できる。これによって、歯のエナメル質上にCaF2が薄い均一な層として析出する。
アメリカ特許No.4,861,590はカルシウム組成物中の徐放性フッ素について記述している。この組成物はMFP(モノフルオロリン酸塩)およびイオン化可能なカルシウム源を含有する。必用な場合にはフッ化ナトリウムをこの組成物に加えることができる。
アメリカ特許No.4,283,385は不溶性カルシウム化合物を含有する歯磨き剤について記述しており、これは、微量のEDTAおよびそのナトリウム塩による研磨性歯磨き剤として使用される。さらに、この単一成分の歯磨き剤にはフッ素化合物、主にモノフルオロリン酸ナトリウムが含まれる。
250ppmのフッ素を含有するフッ化ナトリウム口内洗浄剤を用いて1分間の口内洗浄を行うと0.34μg/cm2のフッ素が沈着すること、および1000ppmのフッ素を含有するNaF歯磨き剤で1分間ブラッシングを行うと、0.25μg/cm2のフッ素が歯の表面に沈着することが証明されている。Chow,L.C.and Takagi,S.(1991):Deposition of Fluoride on Tooth Surfaces by a Two-solution Mouth Rinse in vitro.Caries Res.25:397-401.1回あたりの口内洗浄剤(10ml)および歯磨き剤(1グラム)の推奨量ならびに口内の歯の表面積に基づいて、口内洗浄液または歯磨き剤中のフッ素の0.5%未満しか歯に沈着しないと推定された。一部のフッ素は歯垢および軟組織表面に沈着する。しかし口内洗浄液または歯磨き剤に含まれるフッ素の大半が恐らく吐き出される(少量のフッ素は嚥下される)。このようにフッ素取込み量が非常に低いことの主な理由は、口内洗浄剤または歯磨き剤中のフッ素が短い使用時間中に析出する反応機序が欠如しているからである。
アメリカ特許No.5,145,668(Chow and Takagi)は二つの成分(溶液またはペースト)で構成されるシステムを開示している。この二つの成分が接触すると速やかだが制御された反応を生じ、この反応によって1分以内にフッ化カルシウムが連続的に析出する。成分Aは可溶性のカルシウム塩(例えば、CaCl2)およびpH緩衝剤(酢酸ナトリウム)を含み、成分Bはフッ素の錯化合物(例えば、Na2SiF6)を含む。各成分は、他方が存在しない場合には、無期限に安定である。この二つの成分を併せると、フッ素錯化合物の加水分解が起こり、十分な量の遊離のフッ素を生じ、フッ化カルシウムの沈殿を生じる。この析出によって、混合物中の遊離フッ素濃度が低く維持され、それによってフッ素錯化合物の加水分解とフッ化カルシウムの沈着が持続される。フッ素錯化合物の加水分解の副産物であるH+イオンはpH緩衝液によって消費されるため洗浄液のpHは中性近くに維持される。この二つの溶液中のカルシウムおよびフッ素錯化合物の濃度を適当にすれば、使用時間1分以内にかなりの量のフッ化カルシウムが歯の表面に沈着する。二つの成分システムで起こる化学反応は下記の式で記述できる:
SiF6 2-+2H2O→SiO2+6F-+4H+ (1)
3Ca2++6F-→3CaF2 (2)
この二成分システムの有効性は、学術文献に公表された試験によって証明されている。Chow,L.C.and Takagi,S.(1991):Deposition of Fluoride on Tooth Surfaces by a Two-solution Mouth Rinse in vitro.Caries Res.25:397-401;Chow,L.C.,Takagi,S.,and Shih,S.(1992):Effect of a Two-solution Fluoride Mouthrinse on Remineralization of Enamel Lesions in vitro.J.Dent.Res.,77:443-447;Vogel,G.L.,Mao,Y.,Carey,C.M.,Chow,L.C.and Takagi,S.(1992):In vivo Fluoride Concentration Measured for Two Hours After a NaF or a New Two-solutio Rinse,J.Dent.Res.71:448-452.
発明の要約
前記の2成分F系の1つの重大な欠点は、特異な加水分解特性を有する錯体F化合物の使用を必要とすることである。この目的に適していることが知られている化合物は、フルオロケイ酸(H2SiF6)およびフルオロスズ酸(H2SnF6)の塩を含む。適している錯体F塩のいずれもが、洗浄剤、歯磨き剤、およびその他の口腔健康ケア製品に使用することが、U.S.Food and Drug Administrationによって現在のところ認可されていないので、これらのF化合物を臨床的に使用する前に、それらの安全性および有効性を示すために多大な費用および努力が必要とされる。NaF-CaCl2から成る2成分系を調査すると、それらがフッ化カルシウムを容易に沈殿させるにもかかわらず、高いF沈着を生じることにおいては効果的でないことを示す。
前記のChowおよびTakagiの2成分系によって達成されるF沈着の増加が、異なる新規2成分系を使用することによっても得られることが、本願発明者らによって発見された。この系の成分Aは、可溶性カルシウム源、およびエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)のような可溶性Ca錯体形成陰イオンを含有する。この相のカルシウムは、部分的にCa錯体形成剤と結合する。成分Bは、フッ化ナトリウムまたはフッ化第一スズのような、FDAによって認可されているF化合物を含有する。この2つの成分が組み合わされると、フッ化カルシウム(CaF2)の沈殿によって、溶液から遊離Ca2+が除去される。これによって、カルシウム結合剤からさらに遊離Ca2+が放出され、これが次に、さらにCaF2の沈殿を可能にする。EDTA-Ca錯体からのCa2+の放出は、低いpHにおける主要なEDTA種が、元のpHにおけるEDTAよりも弱いCa錯体形成剤になるように、溶液のpHを下げることによってさらに増加させることができる(下記化学反応式5を参照)。
従って、この2成分間に起こる化学反応は、下記の化学反応式によって表すことができる:
Figure 0003739392
本発明の目的および利点は、口内洗浄剤、歯磨き剤、ゲル、または咀嚼錠剤の形態で使用したときに、匹敵する量のフッ化物を含有する現在商品化されている製剤よりも有意に多いフッ化物を口の中に沈着させることができるということである。従って、2成分系に基づくこの新規製剤は、現在使用されているものよりも、有意に高い効能を有する。
さらに本発明の目的および利点は、比較的容易に入手でき、かつ、好ましくは認可を得やすい歯科用フッ素添加のためのカルシウム源およびフッ化物源を使用することである。
またさらに本発明の目的および利点は、歯の上部および内部に、迅速でしかも制御された活性フッ化物の沈殿を生じさせる系を提供することである。Ca錯体形成陰イオンを組み込んでいる本発明を用いることによって、いずれの所定時においても、フッ素との反応に利用されるカルシウムの量が制御される。その結果、制御された連続的沈殿が起こり、歯にフッ化物の有効な沈着を提供する。
また、現在使用されているフッ化物剤のいずれもが、製剤の中に可溶性カルシウムを含有していないので、歯の表面に形成されるCaF2中のカルシウムが、歯ミネラルから引き出される、即ち、少量の歯ミネラルが適用毎に溶解し、溶解したカルシウムのいくらかが、CaF2の形で再沈殿する。これと対照的に、常に適切量のカルシウムを含有している本発明の組成物は、CaF2を形成するのに必要なカルシウムを供給することができる。従って、処理反応が歯ミネラルの溶解を必要とせず、頻繁かつ長期の適用によってさえも歯ミネラルの損失が予想されない。
さらに具体的には、本発明によれば、洗浄剤または歯磨き剤が、一般に2つの分離した相の形態(液体、ゲル、またはペースト)で製剤にされ、適用の直前に組み合わされる。各相は、もう一方の相が在下しないと、無期限に安定である。錠剤型製品の保存性は、使用前に湿気と接触させないようにすることによって高めることができる。2つの相が組み合わされたとき、フッ化カルシウムの沈殿が起こる。これによって溶液から遊離カルシウムが除去され、次に、カルシウム錯体形成剤から多くのカルシウムイオンが放出される。2つの溶液における錯化したカルシウムおよびフッ化物の適切な濃度によって、有意量のフッ化カルシウムが、一般的な適用時間内に、制御された方法で、歯の表面に沈着する。
従って、本発明は、歯をフッ素添加する方法を含み、(1)水性環境下において、安定、非毒性の可溶性カルシウム塩および可溶性カルシウム錯体形成剤から成る第一成分を、安定、非毒性の可溶性フッ素化合物から成る第二成分と混合して、フッ化カルシウムを沈殿させ、続いて(2)この混合物を即座に歯の表面に適用する、ことから成る方法である。本発明はまた、前記組成物を適用するための、口内洗浄剤、歯磨き剤、ゲル、および咀嚼錠剤をも意図している。
1つの具体例において、本発明は、反応性多成分組成物を用いて、歯をフッ素処理するための方法である。この方法は、水性環境下において、非干渉性のキャリヤー中の安定、非毒性の可溶性カルシウム塩および可溶性カルシウム錯体形成剤から成る第一成分を、非干渉性のキャリヤー中の安定、非毒性の可溶性フッ素化合物から成る第二成分と混合することから成る。第一成分、第二成分、または両成分がさらに緩衝剤を含む。この混合物は、混合時に反応性多成分組成物からフッ化カルシウムが沈殿する反応性多成分組成物であると定義される。次に、反応性多成分組成物が歯の表面に適用される。一旦混合したら、約10秒から約4分の間に、この反応性多成分組成物が歯の表面に適用するのが好ましい。
もう1つの具体例において、本発明は、安定、非毒性の可溶性カルシウム塩および可溶性カルシウム錯体形成剤(キレート化剤)と、安定、非毒性の可溶性フッ素化合物、緩衝剤および1つまたはそれ以上の非干渉性のキャリヤーとの混合物から成る、反応性多成分組成物である。この反応性多成分組成物は、好ましくは、約4分から約4時間もしくはそれ以上の有効寿命を有する。
さらにもう1つの具体例において、本発明は、安定、非毒性の可溶性カルシウム塩および可溶性カルシウム錯体形成剤(キレート化剤)と、安定、非毒性の可溶性フッ素化合物、緩衝剤、1つまたはそれ以上の非干渉性のキャリヤーとの混合物から成り、リン酸カルシウムを沈殿させる傾向がある干渉性リン酸塩化合物を含まない反応性多成分組成物である。
従って、本発明の目的は、(1)本発明に使用される物質が、安全かつ安価であること、(2)その適用方法が、現在使用されている洗浄剤、歯磨き剤および咀嚼錠剤の適用法と同じであることを含むが、新規製剤は、う蝕歯の防止および逆転を非常に有効的に行うと考えられる。
さらに、本発明は、一連の家庭内口腔衛生の慣習の一部を構成するのに十分簡便で安全な方法で、その場で歯をフッ素処理するための方法および物質を含む。本発明によって行われる微細フッ化カルシウム粒子の歯の表面への直接的な沈着は、非常に有益である。
【図面の簡単な説明】
以下に続く好ましい実施例を説明する場合に、参照としては以下に示す図面を用いる。
図1は、本発明の系およびNaF-CaCl2系で経時的にフッ化物濃度の減少を追跡したグラフである。
図2は、本発明の系およびNaF-CaCl2系で経時的に濁度(フッ化カルシウム形成の程度)の増加を追跡したグラフである。
望ましい実施例の説明
本発明では、カルシウム源として溶解しうるカルシウム塩を部分的に含有する第一成分の使用を熟慮する。塩および全ての成分は、通常の基剤において目的とする水準で経口用途に十分に非毒性であり、所望の有効期間中安定であるべきである。好適なカルシウム塩の例としては、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、酪酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、および水溶液として好ましくは、少なくとも2×10-3モル/L(水100グラム中に約0.008グラムのCa)程度溶解する無機または有機酸とカルシウムとの全ての無害のカルシウム塩が挙げられる。
本発明は、第一成分中でのカルシウム錯体形成剤またはキレート化剤、最も望ましくはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはその塩の1つの存在を考慮する。
エチレンジアミン四酢酸には、4つの解離しうるプロトンがあり、その4つのpK値は1.99、2.67、6.16および10.26である。したがって、溶液中の主要なEDTA種は、以下のとおり溶液のpHに依存する。
Figure 0003739392
EDTA-H4およびEDTA-H3 1-はCa2+とは顕著には錯化せず、EDTA-H2 2-はCa2+と弱く錯化し、さらにEDTA-H3-およびEDTA4-はCa2+と強力に錯化することが知られている。溶液中でのCaCl2およびEDTAの濃度を適切に選択することにより(成分A)、および例えば、pK3およびpK4の中点値である8.5に(NaOHで)pHを調整することにより、ほとんどのCaは、錯体の形態となる。この溶液を、酢酸のpKよりも1/2pH単位下がったpH4.2を有するNaFおよび酢酸ナトリウム(NaAc)含有溶液(成分B)と組み合わせると、混合溶液のpHは、EDTAのpK3の下で約1pH単位下がった5.5まで低減するようになり、したがって主要なEDTA種は、EDTA-H2 2-であり、錯化カルシウムのほとんどは放出される。その後、遊離したCa2+は、Fと反応して、その溶液からCa2+イオンを除いたCaF2を沈殿し、さらに引き続きこのことが錯体形態から続いてCa2+を放出させうる。
可溶性Ca錯体(錯体安定定数1またはそれ以上)をより高いpH(5〜14)で形成し、そして錯化Caの内のいくらかをより低いpH(3〜10)で放出する他のpH依存Ca錯体形成剤も本発明で使用することが考慮される。EDTAおよびその塩類のような適切な錯体形成剤として、(トランス−1,2−シクロヘキシレンジニトリロ)四酢酸(CDTA)、N−メチルイミノ二酢酸(MLDA)、および1−ヒドロキシエタン−1,1−二ホスホン酸が挙げられる。
2成分系のカルシウム成分は約5〜約14の範囲のpHを示すのが好ましく、さらに酸または酸の塩であり、その酸は不溶性カルシウム塩類またはフッ化物塩類を形成しない緩衝液を包含しうる。そのような緩衝液の例としては、アスパラギン酸塩類(pK=9.8)、グリシン塩類(pK=9.8)、コハク酸塩類(pK=5.6)、チロシン塩類(pK=8.4)、シスチン塩類(pK=10.3)、リシン塩類(pK=10.5)、グリセロール(pK=14.15)およびHEPES(pK=7.4)が挙げられる。EDTA系として、望ましい緩衝液はチロシン塩である。緩衝液の濃度は、特定の溶液により変化するが、約0.0005〜2モル/Lの範囲であるのが好ましい。
本発明はフッ化物の供給源として、可溶性フッ化物化合物を含有する第2成分をも考慮する。フッ化物化合物はNaFまたはSnF2のようにFDA(米国食品医薬品局)によってヒトの口腔保健に使用することが承認されたものの内の1つであることが望ましい。2成分系のフッ化物化合物は約2〜約11の範囲のpHであるのが望ましく、さらに2〜11のpK値を有する酸または酸の塩であり、その酸が不溶性カルシウムまたはフッ化物塩類を形成しない緩衝液を含有してもよい。このような緩衝液の例としては、上記列挙したものや、酢酸塩(pK=4.8)、アスコルビン酸塩(pK=4.1)、乳酸(pK=3.08)、コハク酸(pK=5.61)および酪酸塩類(pK=4.8)が挙げられる。緩衝液の濃度も、特定の溶液によって変化するであろうが、0.0005〜2モル/Lの範囲であるのが望ましい。さらにもう一度、フッ化物化合物および全ての第2成分は、通常の基剤において目的とする水準で経口用途に使用するのに十分に非毒性であり、所望の有効期間中安定であるべきである。第1および第2成分は接触していてよいことを言及する。咀嚼可能な錠剤においては、製品は、使用するまで乾燥させ、したがって水溶液の環境下で成分を混合してはならない。
数種の因子がこの反応系に、そして必然的に2成分洗浄剤によるフッ化物沈着の有効性に影響を及ぼすことが知られている。1つの因子は、加水分解時に水素イオンが消費されると経時的に増加する混合溶液のpHである。洗浄剤のpHは異なるpHの緩衝液類を使用することによって制御し得る。一方または両方の成分に存在する緩衝液によって、混合溶液のpHを制御し、それによって混合溶液のpHが成分A中での当初のpHより低く、さらにそのpHの落ち込みが錯体形成剤からカルシウムの放出を誘導することが予測される。反応率に影響を及ぼす別の因子は、CaF2沈殿反応の化学量論によれば、概念的に、総F濃度の2分の1であるべきカルシウム濃度である。カルシウム濃度がより高ければ、CaF2の駆動力および沈殿速度は増加する。したがって、フッ化物濃度に関係するカルシウム濃度がより高ければ、より低いフッ化物濃度での配合が特に有効になるであろう。この原理により、洗浄剤または歯磨きでフッ化物濃度を増加させずにF沈着を増加することが可能である。反応性多成分組成物のフッ化物濃度に対するカルシウムの比率は、約0.4〜約20の範囲にあるのが望ましい。
リン酸化物はCaF2沈殿に使用可能なカルシウムを少なくするリン酸カルシウムの沈殿を生じうるので本発明の組成物にはリン酸化物を加えない。さらに、リン酸化物は、フッ化カルシウムの形成を速度論的に遅延させることが知られている。
一般的に、錯化したカルシウムを含有する第1成分およびフッ化物化合物を含有する第2成分を、ヒトの口内かまたはヒトの口の外側に位置してもよいが、水溶性の環境下で混合する。ヒトの口の外側の位置を選んで第1および第2成分を混合する場合、約10秒〜約4分以内の混合で反応性多成分組成物を歯に使用すべきである。水溶性の環境では、約30秒以内の当初の混合で口および歯に反応性多成分組成物を用いるのが望ましい。
約10秒〜約4分またはそれ以上の範囲の時間、反応性多成分組成物を歯と接触してもよい。しかし、組成物は徐々に反応しにくくなり、さらに約4時間後に溶液のpH、およびカルシウムおよびフッ化物の濃度によって、組成物は歯の上およびプラーク中にフッ化物を沈殿する能力のほとんどを失っている。
混合系のpHは約3〜約10に変化してもよい。しかし、この系を、口の中の柔らかな組織と直接接触する洗浄剤または歯磨き剤を配合するために使用する場合には、2成分系のpHは、約5〜約9の範囲であるのが望ましい。
反応性多成分組成物の混合は、本発明の組成物が使用される形態により、種々の方法で行い得る。
反応性多成分組成物の第1および第2成分は、各々主に非干渉性のキャリヤー材料を含有する。「非干渉性のキャリヤー材料」の語は、フッ化物沈殿および析出の機構に関係しないかあるいは顕著に干渉したりしない組成物の任意の成分を包含することを意味する。このような非干渉性のキャリヤー材料の例としては、液状物、ペースト、固体、ゲルおよびそれらに類似する材料または混合物が挙げられる。非干渉性のキャリヤー材料は、本組成物の第1および第2成分と反応しない、歯または歯茎に有益な構成成分を含有していてもよい。有益な構成成分としては、歯の掃除に有用な研磨剤、防腐剤、脱感作剤、麻酔剤、本組成物を風味豊かにする甘味剤および/または香料類、および他の同様な有益な材料が挙げられる。
非干渉性のキャリヤー材料はフッ化カルシウム、または多成分組成物の第1および第2成分の緩衝液ではないことに特に言及すべきである。さらに、カルシウム含有研磨剤は本発明のフッ化物成分には避けるべきであり、シリカ研磨剤が望ましい。カルシウム研磨剤はフッ化物成分と反応して、フッ化物成分とカルシウム成分を混合する前に、CaF2結晶を無制御に沈殿させる。この無制御の沈殿により、本発明の多成分系の速度論の範囲内で歯およびプラーク上に沈着するのに使用可能なフッ化物は減少または削減する。
その上に、CaF2の無制御の瞬間的な沈殿は、歯の上に高水準のフッ化物沈着を生成する際には効果的でない。NaF-CaCl2系での沈殿は瞬間であると観察され、一方Na2SiF6-CaCl2系での沈殿はより徐々に起こることが知られていた。いったんフッ化カルシウムの結晶が先の溶液中で形成されると、歯の表面にそれ自身が付着してしまい、疾患に浸透させたり、プラーク上に拡散させたりすることは不可能である。したがって、CaF2沈殿の速度論は、F沈殿の収量を制御する重要な因子であると思われる。したがって、本発明の系における目的は、CaF2沈殿反応を制御することにあるが、それは瞬間的ではなく、2つの成分を混合した後数分間の期間徐々にそして連続して起こるようにすることである。
反応性多成分組成物を形成する例は、
(1)フッ化物洗浄剤としては、2つの溶液を1つの受け器または容器中の隔たった区画に入れても、または別々の受け器または容器にいれてあってもよい。その後、2つの溶液の測定量を3番目の区画、特に好ましくは単独の多成分の受け器(ACTR銘柄のフッ化物洗浄剤に使用される容器と同様である)の開口部付近に配する。この区画中で混合すると、さらにその溶液を口のなかで転がすと混合攪拌が起こる。混合溶液は混合後、適切な時間の範囲内、例えば30秒使用するべきである。
(2)フッ化物歯磨き剤としては、2つの成分を含有する2つのペーストを1つのチューブの隔たった区画に保持しても、または歯磨き剤として使用されるものと同様のチューブ類に保持してもよい。その後、測定量の2つのペーストをチューブ(類)から歯ブラシに押し出す。ブラッシングし始めると、この2つの成分が混合される。
(3)専門的に使用される局所フッ化物ゲルとしては、最も望まれうると考えられるゲルのコンシステンシーにより、上述の2つの形態の包装または代替の形態の包装のいずれを使用してもよい。一般に、測定量の2種のゲルを容器(類)から分配し、攪拌するかまたはヘラねりすることで混合する。その後、混合ゲルを受け皿の上に乗せ、その受け皿を、所望の期間、例えば4分間上の歯または下の歯のアーチに対して密着させて保持する。
(4)咀嚼可能な錠剤としては、咀嚼で混合が起こり、口の中に成分が溶解する。
が挙げられる。
実施例I
適切な濃度のCaCl2およびEDTAは、成分Aの溶液を選択し、pHはNaOHで8.5に調整する。その後、この溶液をNaFおよびpH4.2を有する酢酸ナトリウム含有溶液Bと混ぜ合わせると、混合した溶液はpH5.5となる。
本発明の系中、Fは一般的に錯化されていないから、フッ化カルシウムの沈殿の速度はF電極を用い[F]の減少を測定することによって行いうる(図1)。その結果は、[F]が2分間の期間を通して継続して減少していることを示した。さらに、濁度測定(フッ化カルシウムの形成の測定)は図2に記載のとおり、NaF-(EDTA-Ca)系中で、フッ化カルシウム沈殿が2分間を通して継続的に生じることを示した。対照的に、NaF-CaCl2系では、[F]中に瞬時の1滴が示され(図1)、さらにNaF-CaCl2系でのフッ化カルシウム沈殿は基本的には10秒後に終了した(図2)。F吸収測定は、NaF-(EDTA-Ca)系でのF析出(2.77±0.66μg/cm2)がNaF-CaCl2系での析出(0.40±0.18μg/cm2)より極めて大きいことを示した。
実施例II
フッ化物洗浄剤:本発明によって製造され、さらに試験された典型的な洗浄剤組成は;
溶液A:CaCl2で20ミリモル/LおよびEDTAで10ミリモル/L。水酸化ナトリウムでpHを8.3に調整した。
溶液B:NaFで24ミリモル/Lおよび酢酸で20ミリモル/L。水酸化ナトリウムでpHを3.8に調整した。
よりなる。
同量のAおよびBを混合すると、混合溶液のpHは5.5となった。定容フッ化組成物滴定法(constant composition fluoride titration technique)(Sieck,B;Takagi,S;and Chow,L.C.(1990):Assessment of Loosely-bound and Firmly-bound Fluoride Uptake by Tooth Enamel from Topically Applied Fluoride Treatments,J Dent Res,69:1261-1265)を用いて、上述の2成分洗浄および250ppmのFを含有するNaF洗浄剤によって、歯の表面に沈着されたFを測定した。2成分洗浄剤で1分間処理すると、エナメル質表面のcm2当たり平均(n=5)2.77±0.66μgのFを沈着し、これは同じF濃度でNaF洗浄剤を1分間処理して得られるF沈着(0.24±0.09μg、n=3)よりおよそ10倍以上多い。
実施例III
溶液A:CaCl2で20ミリモル/LおよびCDTAで7.5ミリモル/L。水酸化ナトリウムでpHを11.2に調整した。
溶液B:NaFで24ミリモル/Lおよび酢酸で10ミリモル/L。水酸化ナトリウムでpHを4.3に調整した。
混合溶液のpHは6.0であった。平均F沈着量(n=3)は1.36±0.01μg/cm2であった。
実施例IV
溶液A:CaCl2で20ミリモル/LおよびMLDAで10ミリモル/L。水酸化ナトリウムでpHを10.7に調整した。
溶液B:NaFで24ミリモル/Lおよび酢酸で5ミリモル/L。水酸化ナトリウムでpHを4.3に調整した。
混合溶液のpHは8.1であった。平均F沈着量(n=3)は1.28±0.24μg/cm2であった。
実施例V
この実施例は、カルシウムもフッ化物もいずれも錯化しないと、F析出が低いことをしめす。
溶液A:CaCl2で20ミリモル/L。
溶液B:NaFで24ミリモル/L。
平均F沈着量(n=3)は0.40±0.18μg/cm2であった。
実施例VI
フッ素歯磨き剤:歯磨き剤は、他のものの内、研磨粒子、洗剤、および非水溶性溶液を含有しているので、上述の洗浄剤より化学的にさらに複雑である。しかし、洗浄剤のために上に記載した2成分系からフッ化カルシウムを沈降させる基本的概念は、歯磨きにも使用し得る。歯磨き剤組成としては、総F含量がより高い(1000ppm)が、1回当たりの推奨量は、比較的低い(1グラム)。研究された典型的な歯磨組成は;
ペーストA:100グラムのFを含まない歯磨き、0.96グラムのCaCl2および1.47グラムのエチレンジアミン四酢酸ナトリウム、および0.35グラムの水酸化ナトリウム
ペーストB:100グラムのFを含まない歯磨き、0.44グラムのNaF、0.53グラムの酢酸、および0.18グラムの水酸化ナトリウム。優れた有効期間を確実にするために、ペーストBは、可溶性カルシウム化合物またはカルシウム研磨粒子を含有するべきではない。
同量のペーストAおよびBを混合すると、総F含量は1000ppmである。ペーストAおよびBを各々0.5グラムずつ混合し、さらに1分間磨くことで上記歯磨きを使用した。
定容フッ化組成物滴定法を使用して、上述の新規組成物および商業的に得られたNaFを含有する歯磨き(1000ppm F)により歯の表面に沈着されたFを測定した。本発明の歯磨剤およびNaF歯磨き剤はそれぞれ、平均1.35±0.13(n=3)および0.25±μg/cm2のFが沈着した。本発明の歯磨き剤によるF沈着は、NaF歯磨剤によって得られるものの4倍以上であった。したがって、本発明の配合組成はより顕著に効果的であった。
実施例VII
咀嚼可能なフッ化物補充錠剤:実施例VIの歯磨剤と同様の方法で咀嚼可能な錠剤を配合しうる。錠剤は、水を含まない状態で包装されているので、上に記載された2つの成分は、同じ錠剤中に安全に含有しうる。咀嚼行為を通して唾液と接触した後に、カルシウムとフッ化物錯体との間の反応が始まる。
実施例VIII
フッ化物ゲル類:現在商業的に使用されている酸味を帯びたリン酸塩ゲル類のものと同様のフッ化物含量を有するフッ化物ゲル類を配合することができる。典型的なゲルは、
成分A:0.6モル/LのCaCl2、0.3モル/LのEDTA、およびゲルを形成するのに十分なゲル化剤、NaOHを用いてpHを8.5に調整した。
成分B:0.6モル/LのNaF、0.3モル/Lの酢酸、およびゲルを形成するのに十分なゲル化剤、NaOHを用いてpHを3.8に調整した。
よりなる。
いずれの成分においても適切なゲル化剤は、カルボキシメチルセルロースであろう。しかし、当業者に知られている他のゲル化剤も使用し得る。
上述の実施例を代替する具体例として、本発明のフッ化物含有成分はアメリカ特許No.5,145,668号に掲載されるようなフッ化物錯体でもよい。
本発明の望ましい具体例は、ここに十分に記載されている。しかし、上述の記載は、本発明を単に例示したものであって、意図または範囲の点で本発明を限定するものではない。以下に示す請求項およびそれらと同等のもののみが本発明の範囲を限定する。

Claims (30)

  1. 歯組織の表面および内部へのフッ化物の沈着を増加させるための実質的に燐酸塩を含まない2成分系であって、
    (a)可溶性カルシウム源および低いpHにおける主要な錯体種が高いpHにおける主要な錯体種よりも弱いカルシウム錯体形成剤である可溶性カルシウム錯体形成剤を含有する第一成分;および
    (b)フッ素化合物およびpK値が2〜11であり不溶性のカルシウム塩類またはフッ化物塩類を形成しない酸または酸の塩である緩衝液を含有する第二成分;
    から成り、
    2成分が組み合わされたときに、混合物中のカルシウム成分のpHは実質的に低下し、そのため最終的なpHにおけるカルシウム錯体形成剤の主要な錯体種は元のpHにおける主要な錯体種よりも弱いカルシウム錯体形成剤になり、その結果、フッ化カルシウムの沈殿によって溶液から遊離のカルシウムイオンが除去され、それによってカルシウム錯体形成剤からさらに遊離のカルシウムイオンが放出され、ついでこれがさらにフッ化カルシウムを約10秒〜約4分の間に徐々にかつ連続して沈殿させる2成分系。
  2. 該可溶性カルシウム錯体形成剤が、エチレンジアミン四酢酸である請求項1に記載の2成分系。
  3. 該フッ素化合物が、フッ化ナトリウムである請求項1に記載の2成分系。
  4. 該フッ素化合物が、フッ化第一スズである請求項1に記載の2成分系。
  5. 該第一成分の可溶性カルシウム源が、非毒性の可溶性カルシウム源である請求項1に記載の2成分系。
  6. 非毒性の可溶性カルシウム源が、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、酪酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、およびサリチル酸カルシウムから成る群から選択されるカルシウム塩である請求項5に記載の2成分系。
  7. 非毒性の可溶性カルシウム塩が、水溶液中において少なくとも約2×10-3モル/Lの濃度の溶解性を有することを特徴とする請求項5に記載の2成分系。
  8. 組み合わされた溶液のpHが、約3〜約10である請求項1に記載の2成分系。
  9. 組み合わされた溶液のpHが、約5〜9である請求項1に記載の2成分系。
  10. 歯をフッ素処理する方法であって、
    (1)水性環境下において、安定で非毒性の可溶性カルシウム塩および低いpHにおける主要な錯体種が高いpHにおける主要な錯体種よりも弱いカルシウム錯体形成剤である可溶性カルシウム錯体形成剤を含む第一成分を、安定で非毒性の可溶性フッ素化合物およびpK値が2〜11であり不溶性のカルシウム塩類またはフッ化物塩類を形成しない酸または酸の塩である緩衝液を含む第二成分と混合して、2成分が組み合わされたときに、混合物中のカルシウム成分のpHは実質的に低下し、そのため最終的なpHにおけるカルシウム錯体形成剤の主要な錯体種は元のpHにおける主要な錯体種よりも弱いカルシウム錯体形成剤になり、その結果、フッ化カルシウムの沈殿によって溶液から遊離のカルシウムイオンが除去され、それによってカルシウム錯体形成剤からさらに遊離のカルシウムイオンが放出され、ついでこれがさらにフッ化カルシウムを約10秒〜約4分の間に徐々にかつ連続して沈殿させること;と
    (2)この混合物を歯の表面に即座に適用すること;
    とを備える方法。
  11. 歯組織の表面および内部へのフッ化物の沈着を増加させるための実質的に燐酸塩を含まない2成分系であって、
    (a)第一の非干渉性のキャリヤー中の可溶性カルシウム源および低いpHにおける主要な錯体種が高いpHにおける主要な錯体種よりも弱いカルシウム錯体形成剤である可溶性カルシウム錯体形成剤を含有する第一成分;および
    (b)第二の非干渉性キャリヤー中のフッ素化合物およびpK値が2〜11であり不溶性のカルシウム塩類またはフッ化物塩類を形成しない酸または酸の塩である緩衝液を含有する第二成分;から成り、
    2成分が組み合わされたときに、混合物中のカルシウム成分のpHは実質的に低下し、そのため最終的なpHにおけるカルシウム錯体形成剤の主要な錯体種は元のpHにおける主要な錯体種よりも弱いカルシウム錯体形成剤になり、その結果、フッ化カルシウムの沈殿によって溶液から遊離のカルシウムイオンが除去され、それによってカルシウム錯体形成剤からさらに遊離のカルシウムイオンが放出され、ついでこれがさらにフッ化カルシウムを約10秒〜約4分の間に徐々にかつ連続して沈殿させる2成分系。
  12. 組み合わされた溶液のpHが、約3〜約10である請求項11に記載の2成分系。
  13. 該可溶性カルシウム錯体形成剤が、エチレンジアミン四酢酸である請求項11に記載の2成分系。
  14. 該第一および第二の非干渉性のキャリヤーが同じものである請求項11に記載の2成分系。
  15. 該非干渉性のキャリヤーが、口内洗浄剤、歯磨き剤、ゲルおよび咀嚼錠剤から成る群から選択される請求項14に記載の2成分系。
  16. 該第一および第二の非干渉性のキャリヤーが、口内洗浄剤、歯磨き剤、ゲルおよび咀嚼錠剤から成る群から選択される非干渉性のキャリヤーである請求項11に記載の2成分系。
  17. 第一成分中に、さらにpK値が5〜14であり不溶性のカルシウム塩類またはフッ化物塩類を形成しない酸または酸の塩である第一緩衝剤を含有し、該第一緩衝剤の濃度が、0.0005〜2モル/Lである請求項11に記載の2成分系。
  18. 第一成分中に、さらにpK値が5〜14であり不溶性のカルシウム塩類またはフッ化物塩類を形成しない酸または酸の塩である第一緩衝剤を含有し、該第一緩衝剤が、HEPES、チロシン、グリシン、アスパラギン酸、シスチン、リシン、グリセロールまたはこれらの酸を形成する塩から成る群から選択される請求項11に記載の2成分系。
  19. 該第二成分中の第二緩衝剤の濃度が、0.0005〜2モル/Lである請求項11に記載の2成分系。
  20. 該第二成分中の第二緩衝剤が、乳酸、アスコルビン酸、酢酸、酪酸、琥珀酸、HEPES、グリシン、アスパラギン酸、シスチンまたはこれらの酸を形成する塩から成る群から選択される緩衝剤である請求項11に記載の2成分系。
  21. 組み合わされた溶液のpHが、約5〜約9である請求項11に記載の2成分系。
  22. 該フッ素化合物が、フッ化ナトリウムである請求項11に記載の2成分系。
  23. 該フッ素化合物が、フッ化第一スズである請求項11に記載の2成分系。
  24. 歯組織の表面および内部にフッ化物の沈着を増加させるための実質的に燐酸塩を含まない2成分系であって、
    (a)第一の非干渉性のキャリヤー中の非毒性の可溶性カルシウム塩およびエチレンジアミン四酢酸を含有する第一の非燐酸塩;および
    (b)第二の非干渉性キャリヤー中のフッ素化合物およびpK値が2〜11であり不溶性のカルシウム塩類またはフツ化物塩類を形成しない酸または酸の塩である緩衝液を含む第二の非燐酸塩;から成り、
    2成分が混合されたときに、フッ化カルシウムの沈殿によって溶液から遊離カルシウムイオンが除去され、それによってカルシウム錯体形成剤からさらに遊離のカルシウムイオンが放出され、ついでこれがさらにフッ化カルシウムを約10秒〜約4分の間に徐々にかつ連続して沈殿させる2成分系。
  25. 該フッ素化合物が、フッ化ナトリウムである請求項24に記載の2成分系。
  26. 該フッ素化合物が、フッ化第一スズである請求項24に記載の2成分系。
  27. 非毒性カルシウム塩が、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、酪酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、サリチル酸カルシウムから成る群から選択されるカルシウム塩である請求項24に記載の2成分系。
  28. 該第一成分のpHが約8.3〜約11.2であり、該第二成分のpHが約3.8〜約4.3である請求項24に記載の2成分系。
  29. 組み合わされた溶液のpHが、約3〜約10である請求項24に記載の2成分系。
  30. 組み合わされた溶液のpHが、約5〜約9である請求項24に記載の2成分系。
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