JP3739269B2 - 車両運転支援装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両後部に配置されたカメラで取得した車両後部近傍の広角画像を基にして通常走行時の車線逸脱監視と後退時の後退支援とを行う車両運転支援装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両後部にカメラを配置して、車両後部近傍の画像を取得し、運転席付近に設置したモニター上にその画像を表示することで後退時に直接目視確認ができない車両後方の死角内の情報を運転者に視認させて、後退操作を容易にするバックモニター装置が知られている。さらに、特開2000−134608号公報には、このカメラをバックモニター専用ではなく、通常走行時の車線逸脱監視に共用する技術が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
後退支援時と車線逸脱監視時とでは撮像対象あるいは画像領域が異なるため、この技術においては、カメラの視野を変更することでそれぞれに最適な画像領域を切り替えている。しかしながら、このような構成を採用すると、視野切替手段の設置によるコスト増加がおこるだけでなく、設置時にはそれぞれの視野調整を行う必要があり、また、視野切替に伴う故障が発生する可能性もある。
【0004】
そこで本発明は簡単な構成で異なる機能へとカメラの切り替えを行うとともに各機能に応じて適切な画像を取得可能な車両運転支援装置を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る車両運転支援装置は、(1)車両近傍の画像を取得するカメラと、(2)このカメラで取得した画像を運転者に対して表示する表示装置と、を備えている車両運転支援装置において、(1) のカメラは、視野が固定されたカメラであって、(3)車両が後退状態に設定されているか否かを判定する判定手段と、(4)カメラの撮像領域中の指定された領域について測光を行う測光手段と、(5)判定手段の判定結果に応じて測光手段の測光領域を切り替えてその測光結果に応じてカメラの露出調整を行う制御部と、をさらに備えていることを特徴とする。
【0006】
例えば、後退時の後退支援を行うカメラを通常走行時の車線監視カメラとして共用する場合、従来技術のようにカメラの撮像領域を変更せず、撮像領域を固定したまま共用しようとすると、両方の撮像領域を包括する画像領域を常に撮像しておく必要がある。しかし、この画像領域に合わせて測光を行うと、撮像した画像領域全体では適正な明るさ、コントラストが得られても、所望の画像領域内の画像は暗すぎたり、明るすぎたり、コントラストが不十分であったりして視認や画像認識に支障が起こる。本発明では、車両が後退状態に設定されているときには、後退支援用の画像領域に合わせて測光を行い、それ以外のときには車線監視用の画像領域に合わせて測光を行い、カメラの露出調整を行うのでそれぞれの場合に適した画像が得られる。例えば、この制御部は、車両が後退状態にあるときは、測光手段における測光領域を画面全体とし、それ以外の場合には測光領域を路面撮像部分を含む下側の撮像領域とすればよい。
【0007】
このカメラで取得した画像から画像中の車線位置を認識する車線位置認識部をさらに備えていてもよい。これにより、認識した車線位置情報は、表示装置による表示や、車線逸脱の監視、逸脱防止制御等に有効に用いることができる。上述したように本発明によれば特に通常走行時には車線監視用に適正な画像を取得できるので車線認識を精度良く行うことができる。
【0008】
また、車線位置認識部は、カメラの取得画像のうち路面撮像部分領域を含む下側の撮像領域の画像を利用して認識を行うことが好ましい。認識に不要な画像領域を予め除去し、必要な画像領域中のみについて認識を行うことで誤認識のおそれが減少し、演算コストも低減できる。
【0009】
さらに、車線位置認識部で認識した車線位置と車両挙動を基にして車両の車線逸脱可能性を判定し、所定の場合に運転者に対して警報を発する警報部をさらに備えていてもよい。認識した車線情報をもとにして車線の逸脱可能性を判定することで運転者に対して適正な運転操作を促すことが可能である。
【0010】
ここで、制御部は、判定手段の判定結果に応じて車線位置認識部や警報部の動作状態の切り替えを行うことが好ましい。本発明では後退時と通常走行時で測光を切り替えるため、それぞれの画像に適した処理を行うことが好ましいからである。この切り替えには、後退時には車線位置認識動作や警報動作を行わない場合も含む。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。図1に本発明に係る車両運転支援装置のブロック構成図を示す。本装置は車両後部に設置されたCCDカメラ2で取得した画像を用いて運転者の運転操作に必要な情報を提供する車両運転支援装置であり、CCDカメラ2には、測光、露出調整を行うとともに、画像処理を行うカメラコントローラ1が接続されている。このカメラコントローラ1には、シフトポジションを検出するシフト位置センサの出力信号が入力されるとともに車室内の運転者が視認しやすい位置に配置された表示装置4および後述する車線逸脱警報システム5へと所定の映像信号を出力する。
【0012】
カメラコントローラ1には、制御部10と測光部11、画像処理部12が設けられており、このうち測光部11は、入力された画像信号をエリアによって区分けする分割部13と、分割部13によって区分された映像信号をそれぞれ加算処理する加算部A14aと加算部B14bとがそれぞれ設けられている。
【0013】
車線逸脱警報システム5は、映像信号をA/D変換するA/Dコンバータ50と、取得した画像中から車両の走行する車線両側の区画線を画像認識により認識する白線認識ECU51と、センサ群53から取得した車両挙動情報と組み合わせることで車両の車線逸脱可能性を推定して必要な場合に警報を許可する逸脱警報ECU52と、運転者に対して警報を発する警報器54とからなる。
【0014】
図2は、本発明に係る車両運転支援装置の設置状態を説明する図である。CCDカメラ2は車両本体6の後部、例えばナンバープレートの上方に配置される。そして、車両が走行している車線7の左右の白線7R、7Lを含む後方画像を撮像する。表示装置4は、運転席6aの横の車室前方中央部に配置されており、例えばカーナビゲーションシステムやオーディオシステムなど他のシステムの表示系と共用させてもよい。
【0015】
以下、本発明に係る車両運転支援装置の動作を図3、図4を参照して詳細に説明する。図3(a)は取得画像の例を、図3(b)は測光エリアの例をそれぞれ説明する図であり、図4は、主要な動作を示すフローチャートである。図4に示される動作フローは、主としてカメラコントローラ1の制御部10によって行われるものであり、車両のイグニッションキーがオンになってからオフにされるまでの間、所定のタイミングで繰り返し実行されるものである。
【0016】
本装置においては、後退時にはCCDカメラ2で取得した画像(実際にはその鏡像画像)を表示装置2に表示することでバックミラーで視認できない死角部分の情報を運転者に認知させて後退動作、例えば駐車時の安全を確保する。そして、前進時には、取得した画像中から画像認識によって車線7を区画する白線7L、7Rを認識して車両挙動と比較することで車両の逸脱が予想されるときは運転者に警報を発してその注意を促すものである。
【0017】
先にCCDカメラ2で取得する画像について説明する。取得画像中には図3(a)に示されるように、下部にバンパー6Xが映されており、上部には空8が、中央部分に車線7とその両脇の区画線7R、7Lが映されている。駐車アシスト時には、路面より上部に存在する人や障害物の有無を確認する必要があるので、空8側の情報も取得する必要がある。車線7Rや7Lの情報については必ずしも正確に取得できなくともよい。一方、車線逸脱警報時には、車線7、具体的には白線7Rと7Lの情報が取得する必要があるが、空8側の情報は必ずしも必要ではない。そこで、それぞれの場合に最適な測光処理を行うものである。
【0018】
まず、図4のステップS1において、シフト位置センサ3からシフト位置情報を読み込む。次にステップS2では、このシフト位置がリバース位置か否か、つまり後退状態に設定されているか否かを判定する。リバース位置であった場合はステップS3へと移行し、測光エリアを画面全体に設定する。具体的には、分割部13は、取得した画像を図3(b)に示されるように空部分に相当する領域A、路面部分に相当する領域B、バンパー部分に相当する領域Cの3つの領域に区分し、このうち領域Aの画像信号を加算部A14aに領域Bの画像信号を加算部B14bに出力する。加算部A、B14a、bではそれぞれ画像信号を加算することで領域全体の輝度を演算して制御部10へと通知する。実際には、領域C部分を測光エリアから除外して有効な画面エリア(領域Aと領域B)全体を測光エリアとして設定することになる。ステップS3における処理の場合は、加算部A、Bの加算結果をさらに加算することで領域A、B全体の輝度を求める。続く、ステップS4ではこうして求めた輝度が目標輝度に一致するようCCDカメラ2の露出調整を行う。そしてステップS5では、調整された露出の画像を画像処理部12で画像処理して鏡像化し、表示装置4のディスプレイ上に表示する(駐車アシスト処理)。このとき、後述する白線認識ECU51で取得した白線情報(例えば、駐車スペースの区画線)を重ね合わせて画面上に強調表示してもよい。
【0019】
一方、ステップS2でリバース状態になかった場合には、ステップS6へと移行して測光エリアを路面部分に設定する。具体的には、加算部Bの加算結果、つまり、図3(b)に示される領域B(路面部分を含む下側部分に相当)の輝度のみを用いて、制御部10はCCDカメラ2の露出調整を行う(ステップS7)。その後、ステップS8では、画像中から白線認識ECU51が画像認識により白線7R、7Lを認識し、逸脱警報ECU52がこの白線情報とセンサ群53から得た車両挙動情報を基にして車両が車線を逸脱するまでの予想時間を推定し、この予想時間が閾値以下となる場合には警報器54によって運転者に警報を発する車線逸脱警報処理を行う。ここで、カメラコントローラ1は、車線逸脱警報システム5には、領域B部分の画像信号のみを送る構成としてもよい。白線認識に不要な領域の情報をカットすることで誤認識を抑制し、認識精度を向上させることが可能となる。
【0020】
このようにシフト位置がリバースであるかないかによって測光エリアを切り替えることで、後退時の駐車アシスト時には後方に存在する人や障害物を明確に視認できる適正な露出を得ることができる。一方、前進時の車線逸脱警報時には、白線認識ECU51が白線を正確に認識し得るように露出を調整する。特に、晴天時の空8が明るい場合や夜間に後続車の点灯中のライトが領域Aに映っている場合でも露出を絞りすぎることがなく、白線に合わせた適正な露出が得られる。したがって、それぞれの処理に適正な露出を得ることができ、CCDカメラ2の駆動機構などが不要でシステムを安価に構成できる利点がある。
【0021】
以上の説明では、測光エリアを2分割する例について説明してきたが、分割エリアをさらに細分割してもよい。白線認識ECU51が表示装置4で表示する画像より左右に広い画像を利用する場合には、図3に示される領域A、Bを中央と左右の3分割にして、駐車アシスト時には領域A、Bの中央部分を測光エリアとし、車線逸脱警報時には、領域Bの全体を測光エリアとすればよい。
【0022】
また、バンパー6Xに該当する領域Cについては測光エリアとして用いない実施形態について説明してきたが、この部分を含めて測光エリアとして利用しても構わない。
【0023】
以上説明した実施形態においては、カメラを後方に配置する形態について説明してきたが、カメラの配置位置はこの位置に限られるものではなく、車両の側方等に配置され、車両近傍の画像を撮像可能なカメラについても本発明は適用可能である。
【0024】
また、車線逸脱警報システム5は本発明に必須の構成ではない。例えば、カメラコントローラ1によって通常走行時と後退時とでそれぞれ適正な露出に設定された画像を表示装置4に表示させるのみの構成としてもよい。これにより、通常走行時には適切な後方車線監視を行うとともに、後退時には適切な後方監視を行うことができる。
【0025】
あるいは、白線認識ECU51を用いて、認識した白線を画像処理部12により撮像した画像に合成して表示装置4に表示させる構成としてもよい。また、車両の車線逸脱可能性を検出して逸脱を防止するよう車両を制御するような構成としてもよい。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、シフト状態に応じて測光エリアを切り替えることにより、視野が固定されているカメラにおいても後退時の例えば後退支援(駐車アシスト)と通常走行時の車線監視のそれぞれの目的に応じた適正な露出の画像を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両運転支援装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1の装置の車両への設置状態を説明する図である。
【図3】CCDカメラの取得画像例を説明する図(図3(a))と、測光エリアを説明する図(図3(b))である。
【図4】図1の装置の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…カメラコントローラ、2…CCDカメラ、3…シフト位置センサ、4…表示装置、5…車線逸脱警報システム、6…車両本体、7…車線、7R、7L…白線(区画線)、8…空、10…制御部、11…測光部、12…画像処理部、51…白線認識ECU、52…逸脱警報ECU、54…警報器。

Claims (7)

  1. 車両近傍の画像を取得するカメラと、前記カメラで取得した画像を運転者に対して表示する表示装置と、を備えている車両運転支援装置において、
    前記カメラは、視野が固定されたカメラであって、
    車両が後退状態に設定されているか否かを判定する判定手段と、
    前記カメラの撮像領域中の指定された領域について測光を行う測光手段と、
    前記判定手段の判定結果に応じて前記測光手段の測光領域を切り替えてその測光結果に応じて前記カメラの露出調整を行う制御部と、をさらに備えている車両運転支援装置。
  2. 前記制御部は、車両が後退状態にあるときは、前記測光手段における測光領域を撮像領域全体とし、それ以外の場合には測光領域を路面撮像部分を含む下側の撮像領域とする請求項1に記載の車両運転支援装置。
  3. 前記カメラで取得した画像から画像中の車線位置を認識する車線位置認識部をさらに備えている請求項1または2に記載の車両運転支援装置。
  4. 前記車線位置認識部は、前記カメラの取得画像のうち路面撮像部分領域を含む下側の撮像領域の画像を利用して画像認識を行う請求項3に記載の車両運転支援装置。
  5. 前記制御部は、前記判定手段の判定結果に応じて前記車線位置認識部の動作状態の切り替えを行う請求項3または4に記載の車両運転支援装置。
  6. 前記車線位置認識部で認識した車線位置と車両挙動を基にして車両の車線逸脱可能性を判定し、所定の場合に運転者に対して警報を発する警報部をさらに備えている請求項3〜5のいずれかに記載の車両運転支援装置。
  7. 前記制御部は、前記判定手段の判定結果に応じて前記警報部の動作状態の切り替えを行う請求項6に記載の車両運転支援装置。
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