JP3739160B2 - フッ素系光硬化性樹脂組成物による表面改質方法 - Google Patents

フッ素系光硬化性樹脂組成物による表面改質方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、親水・撥油性により優れた防汚性及び/又は抗菌性をもつフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物を光硬化性組成物に含有させ、基材となるプラスチック・木材・繊維・金属等の表面にコーティングし、紫外線や電子線などの活性エネルギーにより硬化させることにより、長期間持続効果をもたせた改質層を基材表面に供することを特徴とする表面改質方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フルオロアルキル基を有する化合物で処理された固体表面は、表面エネルギーが低くなり、撥水性・撥油性・耐候性を示し、このフッ素化合物は、プラスチック・木材・繊維等の表面を改質する材料として用いられている(特開平5−117546等)。
【0003】
しかしながら、撥水・撥油性であるために表面が一旦汚染されると汚れが落ちないという欠点をもっている。
更には、表面エネルギーが低いためにコーティングする基材との密着性が悪く、焼付け等の高温下での処理が必要であるために、樹脂や木材等の耐熱性が低い材料を基材として用いることは非常に困難であり、密着性についても未だ十分とはいえず、使用が限定されていた。
【0004】
これらを解決するために、親水・撥油性のあるフッ素系化合物の合成が開発されている(「表面」Vol 33 No.4(1995))。しかしながら、樹脂や木材・繊維等の基材との密着性に優れた処理方法及び長期間効果を持続させる処理方法については未だ十分検討されていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、親水・撥油性により優れた防汚性及び/又は抗菌性をもつフッ素系化合物を光硬化性樹脂組成物に含有させ、基材の表面にコーティングし、紫外線や電子線などの活性エネルギーにより硬化させることにより、基材の種類の制限を受けず、しかも密着性が良好で長期間持続効果をもたせることが可能な表面の改質方法を安価で簡単に提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記一般式(1)
−(CH−CR−(CH−CR−R … (1)
式中、Rはフルオロアルキル基であり、Rは、水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、アミド基、シリル基、オルガノシロキサン単位、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、1級、2級、3級アミノ基、4級アンモニウム基、含窒素脂環族基から選ばれた1種の親水性、抗菌性もしくは基材乃至樹脂と結合性官能基であり、R、Rは水素原子またはアルキル基であり、Rは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子または基Rであり、x及びyは、x+y=100としたときのモル%であって、x=0〜100、y=0〜100を満足する数であり、基RとRとは互いに同一であっても、異なっていてもよく、xがゼロである場合、基Rの少なくとも一部は基Rと同一であるものとする、
で表されるフッ素系化合物(A)を、モルホリン(メタ)アクリレート乃至その誘導体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート乃至その誘導体、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート乃至その誘導体及びカルビトール(メタ)アクリレート乃至その誘導体から選ばれた少なくとも一種からなる光重合性モノマー(B)に均一に溶解させた後、その他の光重合性モノマー(C)及び光重合性プレポリマー(D)から選ばれた少なくとも一種を混合して得られるフッ素系光硬化性樹脂組成物であって、前記フッ素系化合物(A)が光硬化性樹脂成分100重量部当たり0.05〜20重量部、前記光重合性モノマー(B)が光硬化性樹脂成分100重量部中3〜50重量部存在するものを、基材表面に塗布し、光或いは放射線照射により硬化させることを特徴とする表面改質方法が提供される。
【0007】
本発明においては、
1.光重合性プレポリマー(D)がエポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂又は熱硬化型ポリエステル樹脂から選ばれた少なくとも一種であること、
2.光重合性プレポリマー(D)が光硬化性樹脂100重量部中に0乃至97重量部存在すること、
3.フッ素系光硬化性樹脂組成物が光硬化性樹脂100重量部当たり0.05乃至10重量部の光重合開始剤を更に含有する組成物であること、
4.フッ素系光硬化性樹脂組成物から得られる表面改質層の厚みが1乃至300μmであること、
が好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
[作用]
本発明によれば、フルオロアルキル基と官能基とを有するフッ素系化合物(A)を、フッ素系化合物が溶解可能である光重合性モノマー(B)に均一に溶解させた後、その他の光重合性モノマー(C)及び光重合性プレポリマー(D)から選ばれた少なくとも1種を混合して得られるフッ素系光硬化性樹脂組成物を基材表面に塗布し、光或いは放射線照射により硬化させることにより、親水・撥油性とその持続性とに優れた表面改質層を任意の基材に対して形成させることができる。
【0009】
本発明に用いるフッ素系化合物(A)は、フルオロアルキル基と官能基とを有することが特徴であり、フルオロアルキル基の存在により、表面改質層の表面エネルギーを低下させると共に、表面の摩擦係数を下げることが可能となり、更に、官能基の存在により、親水性の付与、樹脂或いは基材との結合乃至密着性、親水性及び撥油性の持続性、並びに抗菌性の付与等が可能となる。フルオロアルキル基を有するフッ素系化合物が、撥水性、撥油性に優れていることは既に指摘したとおりであるが、一旦汚れが付着すると、この汚れの除去が必ずしも容易でないという問題がある。これに対して、撥油性と同時に親水性を同時に付与すると、汚れの付着が抑制されると同時に、一旦付着した汚れもその除去が容易となり、耐汚染性が向上するという利点が得られる。
【0010】
一般に、コーテイング層中に、フルオロアルキル基含有フッ素系化合物を配合することにより、表面エネルギーを低下させ、摩擦係数を減少させることは、勿論公知に属するが、この場合にはフッ素系化合物による作用がコーテイングからのブリードにより行われるため、その効果が比較的短い期間の内に低下するという欠点がある。本発明では、フルオロアルキル基と官能基とを有するフッ素系化合物(A)を選択すると共に、このフッ素系化合物(A)を光硬化性樹脂と以下に述べる仕組みで組み合わせることにより、これらの作用の持続性にも優れた表面改質層を形成することが可能となる。
【0011】
本発明では、上記フッ素系化合物(A)を、フッ素系化合物が溶解可能である光重合性モノマー(B)に溶解させ、その後他の光重合性モノマー(C)及び/または光重合性プレポリマー(D)を混合して、フッ素系光硬化性樹脂組成物としたことも特徴であり、これにより上記の諸作用の持続性、基材に対する密着性、耐久性に優れた表面改質層の形成が可能となる。
【0012】
光硬化性樹脂組成物は、種々の基材に対するコーテイング層の形成が可能で、硬化操作も容易であるという利点を有するものではあるが、前述したフッ素系化合物(A)を、光重合性モノマー(C)や光重合性プレポリマー(D)中に単に添加して、基材に対する塗布と光硬化とを行った場合には、前述した諸作用の持続性や、基材に対する密着性、耐久性の点でも、未だ不満足な結果しか与えないことが分かった。この理由は、前記のフッ素系化合物(A)を、光重合性モノマー(C)や光重合性プレポリマー(D)から成る光硬化性樹脂組成物中に均一に溶解させることが困難であること、及びフッ素系化合物(A)を硬化樹脂に有効に固定乃至結合させることが困難であることに関連していると思われる。
【0013】
本発明者らは、光重合性モノマーの中でもフッ素系化合物(A)が溶解可能なものがあることを見いだし、この溶解可能な光重合性モノマー(B)を選択して、これにフッ素系化合物(A)を溶解させ、しかる後これに光重合性モノマー(C)及び光重合性プレポリマー(D)を混合することにより、光硬化性樹脂組成物中へのフッ素系化合物(A)の溶解乃至分散が均一に行われ、フッ素系化合物(A)を光硬化樹脂中に有効に固定乃至結合させることが可能となったものである。
【0014】
一般に、光硬化樹脂塗膜は、硬化に際して基材の耐熱性が問題とならないという利点を有する反面、熱硬化塗膜等に比して、機械的な接触或いは衝撃等により塗膜に擦り傷や割れが発生しやすいという傾向があるが、本発明の表面改質層では、このような耐傷性にも優れているという顕著な利点がある。
【0015】
本発明においては、フッ素系化合物(A)の官能基としては、2種以上の機能を備えた官能基を有するものを使用することも、またそれぞれ機能を異にする官能基の複数種を用いることができ、これにより、表面改質層に抗菌性等の機能を持たせることも可能である。
【0016】
本発明で用いるフッ素系化合物(A)は、両末端にフルオロアルキル基を有し、且つ分子中に親水性官能基、抗菌性官能基及び基材乃至樹脂との結合性の官能基の少なくとも1種を含有する化合物で、具体的には、下記一般式(1)
−(CH−CR−(CH−CR−R … (1)
式中、Rはフルオロアルキル基であり、Rは、水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、アミド基、シリル基、オルガノシロキサン単位、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、1級、2級、3級アミノ基、4級アンモニウム基、含窒素脂環族基から選ばれた1種の親水性、抗菌性もしくは基材乃至樹脂と結合性官能基であり、R、Rは水素原子またはアルキル基であり、Rは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子または基Rであり、
x及びyは、x+y=100としたときのモル%であって、
x=0〜100
y=0〜100
を満足する数であり、
基RとRとは互いに同一であっても、異なっていてもよく、
xがゼロである場合、基Rの少なくとも一部は基Rと同一であるものとする、
で表されるフッ素系化合物である。
【0018】
一方、官能基としては、ノニオン性の基、アニオン性の基、カチオン性の基等が挙げられ、ノニオン性の基としては、水酸基(OH)、エーテル基(−O−)、カルボニル基(C=O)、カルボニルオキシ基(−COO−)、アミド基、シリル基、オルガノシロキサン単位等が挙げられ、また、アニオン性の基としては、カルボキシル基(−COOH)、スルホン酸基(−SO3 H)、ホスホン酸基(−PO3 H)等が挙げられる。更に、カチオン性基としては、1級、2級或いは3級のアミノ基、或いは4級アンモニウム基等が挙げられる。これらの官能基は、フッ素系化合物(A)の主鎖中に存在しても或いは側鎖中に存在してもよい。
【0020】
上記式(1)の化合物についてより詳細に説明すると、基Rのフルオロアルキル基としては、炭素数1乃至18のフルオロアルキル基やオキサフルオロアルキル基が挙げられる。
オキサフルオロアルキル基とは、フルオロアルキル基の中間にある炭素原子の一部が酸素原子に置き換わった基として定義される。
このオキサフルオロアルキル基に於いて、介在酸素原子は1個でもあるいは2個以上でもよく、酸素原子の両側には2個以上の炭素原子が存在するのがよい。
フルオロアルキル基中に、フッ素原子と水素原子とが共存することは勿論差し支えないが、一般には水素原子の全てがフッ素原子で置換されていること、即ち、ペルフルオロアルキル基或いはペルフルオロオキサアルキル基であることが好ましい。
具体的には
(CFCF(n=0〜11)
[OCFCF(CF)]OC(m=0〜5)
等が挙げられる。
【0021】
一方、基Rの官能基、即ち、親水性官能基、抗菌性官能基及び基材乃至樹脂との結合性の官能基としては、ノニオン性の基、アニオン性の基、カチオン性の基等が挙げられ、ノニオン性の基としては、水酸基(OH)、エーテル基(−O−)、例えば、COCH等で表されるカルボニル基(C=O)、COOCH等で表されるカルボニルオキシ基(−COO−)、アミド基、更に、例えば、Si(CHやCO(CH[Si(CHO]Si(CH等で表されるシリル基、オルガノシロキサン単位等が挙げられ、又アニオン性の基としては、カルボキシル基(−COOH)、更に、例えば、COSOH、COCHSOH、CO(CHSOHで表されるスルホン酸基(−SOH)、ホスホン酸基(−POH)が挙げられる。
更に、カチオン性基としては、1級、2級或いは3級のアミノ基、或いは、抗菌性を有する、例えば、CHNH Cl等で表される4級アンモニウム基、含窒素脂環族基等が挙げられる。
【0022】
基R2 は水素原子またはアルキル基、特に炭素数4以下のアルキル基、最も好適には水素原子である。
基R3 は水素原子またはアルキル基、特に炭素数4以下のアルキル基、最も好適にはメチル基である。
【0023】
基R4 は、親水性官能基、アルキル基、ハロゲン原子等である。より具体的には
例えば COOH,OH,COCH3 ,COOCH3
H,CH3 ,CH2 (CH2 i CH3 i=0〜5
等である。
【0024】
上記のフッ素化合物、即ちオリゴマーは、式(2)
Figure 0003739160
で表される含フッ素過酸化物の存在下、式(3)
Figure 0003739160
で表される単量体と、式(4)
CH2 =CR2 3 ‥(4)
で表される単量体を重合させることにより得られる。
【0025】
[光重合性モノマー]
光重合性モノマーとしては、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基或いはアミド基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸あるいはその誘導体、ビニルエステル化合物、エーテル基含有エチレン性不飽和化合物、塩化ビニル、多官能性単量体などが挙げられる。
【0026】
水酸基含有エチレン性不飽和化合物としては、たとえばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシ−プロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、テトラメチロールエタンモノ(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−(6−ヒドロキシヘキサノイルオキシ)エチルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル、10−ウンデセン−1−オール、1−オクテン−3−オール、2−メタノールノルボルネン、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、α−メチロールアクリルアミド、2−(メタ)アクロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、グリセリンモノアリルエーテル、アリルアルコール、アリロキシエタノール、2−ブテン−1,4−ジオール、グリセリンモノアリルアルコールなとが挙げられる。
【0027】
アミノ基乃至アミド基含有エチレン性不飽和化合物としては、たとえば(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルアミノエチルなどのアクリル酸またはメタクリル酸のアルキルエステル系誘導体類、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミンなどのビニルアミン系誘導体類、アリルアミンなどのアリルアミン系誘導体、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、モルフォリン(メタ)アクリレートなどのアクリルアミド系誘導体、p−アミノスチレンなどのアミノスチレン類、6−アミノヘキシルマレイン酸イミド、2−アミノエチルマレイン酸イミドなどのマレイミド類が挙げられる。
【0028】
エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物としては、1分子中に重合可能な不飽和結合およびエポキシ基を少なくとも1個以上有するモノマーが用いられる。
このようなエポキシ基含有エチレン性不飽和化合物としては、たとえば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなど、マレイン酸のモノおよびジグリシジルエステル、フマル酸のモノおよびジグリシジルエステル、クロトン酸のモノおよびジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸のモノおよびジグリシジルエステル、イタコン酸のモノおよびグシジルエステル、ブテントリカルボン酸のモノおよびジグリシジルエステル、シトラコン酸のモノおよびジグリシジルエステル、エンド−シス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト5−エン−2,3−ジカルボン酸(ナジック酸TM)のモノおよびジグリシジルエステル、エンド−シス−ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2−メチル−2,3−ジカルボン酸(メチルナジック酸TM)のモノおよびジグリシジルエステル、アリルコハク酸のモノおよびグリシジルエステルなどのジカルボン酸モノおよびアルキルグリシジルエステル(モノグリシジルエステルの場合のアルキル基の炭素数1〜12)、p−スチレンカルボン酸のアルキルグリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、3,4−エポキシ−1−ブテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブテン、3,4−エポキシ−1−ペンテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ペンテン、5,6−エポキシ−1−ヘキセン、ビニルシクロヘキセンモノオキシドなどが挙げられる。
【0029】
芳香族ビニル化合物としては、たとえばスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、2−イソプロペニルピリジン、2−ビニルキノリン、3−ビニルイソキノリン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドンなとが挙げられる。
【0030】
不飽和カルボン酸類としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸などの不飽和カルボン酸またはこれらの誘導体(たとえば酸無水物、酸ハライド、アミド、イミド、エステルなど)が挙げられる。
この誘導体としては、たとえば、塩化マレニル、マレニルイミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸無水物、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸エチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−5,6−ジカルボン酸ジメチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メタクリル酸アミノエチルおよびメタクリル酸アミノプロピルなどが挙げられる。
これらの中では、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸アミノプロピルが好ましい。
【0031】
ビニルエステル化合物としては、たとえば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、パーサティック酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロヘキサンカルボン酸ビニルなどが挙げられる。
【0032】
エーテル基含有エチレン性不飽和化合物の例として、4ーヒドロキシブチルエーテル、1,6 −ヘキサンジオールモノビニルエーテル、ネオペンチルグリコールモノビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル 、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノビニルエーテル、ジブチレングリコールモノビニルエーテル、トリブチレングリコールモノビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンモノビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、ペンタエリスリトールモノビニルエーテル、ジペンタエリスリトールジビニルエーテル、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、プロピルカルビトール(メタ)アクリレート、ブチルカルビトール(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0033】
多官能性単量体としては、多官能性アクリル単量体を挙げることができ、このようなアクリルモノマーとしては、1,6 −ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)、1,6 −ヘキサンジオールジメタクリレート(HDDMA) 、ネオペンチルグリコールジアクリレート (NPGDA)、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート(EGDA)、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA) 、ポリエチレングリコールジメタクリレート(PEGMA−4)、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA) 、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、1,4 −ブタンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA) 、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、N,N, N′,N′−テトラキス(β−ヒドロキシエチル)エチレンジアミンのアクリル酸エステル、2,2−ビス[4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル)プロパン等が使用される。
【0034】
更に、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート(DAP)、ジアリルイソフタレート、ジアリルアジペート、ジアリルグリコレート、ジアリルマレエート、ジアリルセバケート、トリアリルフオスフエート、トリアリルアコニテート、トリメリット酸アリルエステル、ピロメリット酸アリルエステル等の他の多官能性モノマーも使用しうる。
【0035】
[フッ素化合物に溶解可能なモノマー]
本発明に於いて、フッ素化合物に溶解可能なモノマーは、モルホリン(メタ)アクリレート乃至その誘導体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート乃至その誘導体、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート乃至その誘導体及びカルビトール(メタ)アクリレート乃至その誘導体の内から選ばれた少なくとも一種よりなる。
【0036】
[紫外線重合性プレポリマー]
紫外線重合性プレポリマーとしては、分子内に複数のエチレン系不飽和基を有するプレポリマー或いはそれらの混合物が使用される。その適当な例はエポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート、熱硬化型ポリエステル樹脂等である。
【0037】
エポキシアクリレート樹脂としては、前記式(1)のビスフェノール型エポキシ樹脂とエチレン系不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタアクリル酸との付加物、或いはこの付加物とエチレン系不飽和多価カルボン酸無水物、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸等との反応物等が使用される。
【0038】
ウレタンアクリレート樹脂としては、イソシアネート末端ポリエステル或いはイソシアネート末端ポリオールと官能基含有アクリル単量体、例えばアクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等とを反応させて得られたウレタンアクリレート樹脂が使用される。
【0039】
熱硬化型ポリエステル樹脂としては、分子中にエチレン系不飽和結合を含むポリエステル、例えば、エチレン系不飽和多価カルボン酸、例えばマレイン酸、フマール酸、イタコン酸、テトラヒドロフタール酸等と、イソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、アジピン酸、セバチン酸、重合脂肪酸等の他の酸成分との組み合わせと、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビスフエノール類等の多価アルコールとを縮合させて得られるポリエステル樹脂が使用される。
【0040】
[光硬化性樹脂組成物]
式1の親水・撥油性に優れたフルオロアルキル基を有するフッ素系化合物は、光硬化性樹脂100重量部に対して0.05〜20重量部、好ましくは、0.1〜5重量部を含むのがよい。
0.05重量部未満では、親水・撥油性の発現は認められず、20重量部を越える場合では、光硬化不良が生じ良好な硬化樹脂を形成しない。
【0041】
フッ素化合物が溶解可能な光重合性モノマーは、光硬化性樹脂100重量部中に3〜50重量部、好ましくは、5〜20重量部を含むのがよい。
3重量部未満では、フッ素系化合物の溶解不良が生じ、50重量部を越えると実用的な物性が得られない。
【0042】
一方、光重合性モノマーは、合計量で、光硬化性樹脂100重量部中に3〜100重量部、好ましくは、20〜80重量部を含むのがよい。
また、光重合性プレポリマーは、光硬化性樹脂100重量部中に0〜97重量部、好ましくは、20〜80重量部を含むのがよい。
【0043】
フッ素系化合物を溶解させる順序としては、前記の溶解可能な光重合性モノマーに化合物を予め溶解させた後に、その他の光重合性モノマーやプレポリマーを混合して完成組成物を得るようにする。
完成組成物である光硬化性樹脂100重量部に直接フッ素系化合物を溶解させる方法では、化合物の溶解が困難であり、特に光重合性プレポリマーを含む光硬化性樹脂については粘度が高いため作業性が悪く均一に溶解させることも困難である。
【0044】
本発明の光重合性組成物において、その他の添加剤として開始剤、レベリング剤、消泡剤、着色剤、増粘剤等は公知となっているものが使用できる。
【0045】
開始剤としては、ラジカル開始剤やカチオン開始剤が使用される。
【0046】
ラジカル開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン及びそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類またはキサントン類、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリ−メチルペンチルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類等がある。
【0047】
かかる光重合開始剤は、安息香酸系又は第三級アミン系など公知慣用の光重合促進剤の1種あるいは2種以上と組み合わせて用いることが出来る。
【0048】
ラジカル重合性樹脂組成物において、光重合開始剤は紫外線硬化性樹脂100 重量部に対して0.05〜10重量部、好ましくは1〜8重量部となる割合で用いるのが好ましい。
【0049】
紫外線カチオン重合型樹脂組成物としては、上記成分の他に、紫外線硬化型エポキシ樹脂と光カチオン重合触媒の組み合わせが使用される。
【0050】
紫外線硬化型エポキシ樹脂としては、分子内に脂環族基を有し且つ脂環基の隣接炭素原子がオキシラン環を形成しているエポキシ樹脂成分を含有するものであり、例えば分子内に少なくとも1個のエポキシシクロアルカン基、例えばエポキシシクロヘキサン環、エポキシシクロペンタン環等を有するエポキシ化合物等が単独或いは組み合わせで使用される。
【0051】
その適当な例は、これに限定されないが、ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ビニルシクロヘキセンモノエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサン・カーボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等である。
【0052】
上記エポキシ樹脂と組み合わせで用いるカチオン性紫外線重合開始剤とは、紫外線によって分解し、ルイス酸を放出し、このルイス酸がエポキシ基を重合する作用を有するものであり、その例として、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルフォニウム塩、芳香族セレニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩等が挙げられる。
【0053】
ジアリルヨードニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサオロホスフェート、4−クロルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジ(4−メトキシフェニル)ヨードニウムクロライド、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウム等が挙げられる。
【0054】
トリアリールスルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、p−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−クロルフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。
【0055】
トリアリールセレニウム塩としては、例えば、トリフェニルセレニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルセレニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。
【0056】
その他のカチオン重合開始剤として、(2,4−シクロペンタジェン−1−イル)[(1−メトキシチエチル)−ベンゼン]−アイロン−ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルスルホニウムヘキサフルロアンチモネート、ジアルキルフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジアルキルフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス[ジ(βヒドロキシエトキシ)フェニルスルフォニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモーネート、4,4-ビス[ジ(βヒドロキシエトキシ)フェニルスルフォニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェード等が挙げられる。
【0057】
このカチオン硬化開始剤は、樹脂組成物100重量部当たり0.05〜10重量部、特に1〜8重量部の量で用いるのがよく、また、カチオン硬化性のエポキシ樹脂は、樹脂組成物100重量部当たり0〜97重量部、特に20〜80重量部の量で用いるのがよい。
【0058】
レベリング剤としては、各種シリコン類、特にポリアルキレンオキシ基を有するオルガノポリシロキサンが使用される。このものは、樹脂組成物100重量部当たり0〜5重量部、特に0.05〜2重量部の量で用いるのがよい。
【0059】
消泡剤としては、上記オルガノポリシロキサンの他に、各種界面活性剤が使用される。このものは、樹脂組成物100重量部当たり0〜5重量部、特に0.05〜2重量部の量で用いるのがよい。
【0060】
上記着色剤としては、次のものを単独或いは組み合わせで使用できる。
黒色顔料
カーボンブラック、アセチレンブラック、ランブラック、アニリンブラック。
黄色顔料
黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマンネントイエローNCG、タートラジンレーキ。
橙色顔料
赤口黄鉛、モリブテンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK。
赤色顔料
ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B。
紫色顔料
マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ。
青色顔料
紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC。
緑色顔料
クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファナルイエローグリーンG。
白色顔料
亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛。
体質顔料
バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト。
これらの顔料は、樹脂組成物100重量部当たり0〜10重量部、特に0〜5重量部の量で用いるのがよい。
【0061】
増粘剤としては、それ自体公知の無機或いは有機の増粘剤がそれ自体公知の処方で使用される。
【0062】
これらのフッ素系化合物を有する光硬化性樹脂組成物は、通常に使用されている溶剤を含有することができ、特に限定はない。即ち、各種アルコール・ケトン・エーテル・アミド・芳香族ハイドロカーボン等が使用できる。
【0063】
[改質層の形成]
さらに、フッ素系光硬化性樹脂組成物による改質層の形成には、公知の塗装方法、例えば、スプレー塗り・ロールコート・フローコート・バーコート・ディプコート等を用いることができる。塗装後の組成物を、低圧・中圧または高圧水銀灯・紫外線蛍光灯・キセノンランプ・メタルハライドランプ等によって紫外線を照射するか、あるいは、電子線を照射することによって塗膜を硬化させ、改質層を得ることが出来る。
【0064】
その際の表面改質層の厚みは、1〜300μm、好ましくは、5〜80μmであるのがよい。
【0065】
本発明のフッ素系光硬化性樹脂組成物による表面改質が適用できる基材としては、種々のプラスチック・木材・繊維・金属等があるが、中でも、これまで使用が限定されてきた耐熱温度が比較的低いプラスチック・木材・繊維への応用が有効である。
【0066】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。尚、例中の各成分の数値は重量部を示す。
【0067】
(実施例1〜6)
下記表1の処方で、まず、フッ素系化合物を溶解用光重合性モノマーに均一に溶解させた後に、その他の光重合性モノマー・光重合性プレポリマーを混合し、紫外線硬化性樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を塩化ビニル樹脂上に20μmバーコートした後、照射距離10cmで80Wの高圧水銀灯を2秒間照射して試料を得た。その結果を表2に示す。
【0068】
(比較例1〜5)
上記実施例と同様に比較例を実施した(表1)。
その結果を表2に示す。
【0069】
【表1】
Figure 0003739160
【0070】
前記表中の各成分の説明
Figure 0003739160
【0071】
Figure 0003739160
【0072】
【表2】
Figure 0003739160
【0073】
(評価項目)
形成された改質層については、硬化直後(初期)と40℃×95%相対湿度下に3ケ月間放置した後(処理後)のそれぞれについて、下記の試験方法により評価した。
Figure 0003739160
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、フルオロアルキル基と官能基とを有するフッ素系化合物(A)を、フッ素系化合物が溶解可能である光重合性モノマー(B)に均一に溶解させた後、その他の光重合性モノマー(C)及び光重合性プレポリマー(D)から選ばれた少なくとも1種を混合して得られるフッ素系光硬化性樹脂組成物を基材表面に塗布し、光或いは放射線照射により硬化させることにより、親水・撥油性により優れ、防汚性及び/又は抗菌性をもつ表面改質層を形成することができ、この改質層を、プラスチック・木材・繊維・金属等の任意の基材の表面にコーティングと紫外線や電子線などの活性エネルギーによる硬化とに形成することができ、基材表面に上記の機能性を長期間持続させることができる。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)
    −(CH−CR−(CH−CR−R … (1)
    式中、Rはフルオロアルキル基であり、Rは、水酸基、エーテル基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、アミド基、シリル基、オルガノシロキサン単位、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、1級、2級、3級アミノ基、4級アンモニウム基、含窒素脂環族基から選ばれた1種の親水性、抗菌性もしくは基材乃至樹脂と結合性官能基であり、R、Rは水素原子またはアルキル基であり、Rは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子または基Rであり、
    x及びyは、x+y=100としたときのモル%であって、
    x=0〜100
    y=0〜100
    を満足する数であり、
    基RとRとは互いに同一であっても、異なっていてもよく、
    xがゼロである場合、基Rの少なくとも一部は基Rと同一で
    あるものとする、
    で表されるフッ素系化合物(A)を、モルホリン(メタ)アクリレート乃至その誘導体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート乃至その誘導体、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート乃至その誘導体及びカルビトール(メタ)アクリレート乃至その誘導体から選ばれた少なくとも一種からなる光重合性モノマー(B)に均一に溶解させた後、その他の光重合性モノマー(C)及び光重合性プレポリマー(D)から選ばれた少なくとも一種を混合して得られるフッ素系光硬化性樹脂組成物であって、前記フッ素系化合物(A)が光硬化性樹脂成分100重量部当たり0.05〜20重量部、前記光重合性モノマー(B)が光硬化性樹脂成分100重量部中3〜50重量部存在するものを、基材表面に塗布し、光或いは放射線照射により硬化させることを特徴とする表面改質方法。
  2. 前記光重合性プレポリマー(D)がエポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂又は熱硬化型ポリエステル樹脂から選ばれた少なくとも一種である請求項1記載の表面改質方法。
  3. 前記光重合性プレポリマー(D)が前記光硬化性樹脂100重量部中に0乃至97重量部存在する請求項1又は2に記載の表面改質方法。
  4. 前記フッ素系光硬化性樹脂組成物が光硬化性樹脂100重量部当たり0.05乃至10重量部の光重合開始剤を更に含有する組成物である請求項1乃至3の何れかに記載の表面改質方法。
  5. 前記フッ素系光硬化性樹脂組成物から得られる表面改質層の厚みが1乃至300μmであることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の表面改質方法。
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