JP3738428B2 - チューブ連続曲げ装置及び該装置を用いた曲げ方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボイラ等の煙道部に設置される熱交換器であるホリゾンタルコイル(以下、コイルと称す)に係り、長尺チューブを連続的に曲げ加工したのち各コイルを組立てるチューブ連続曲げ装置及び該装置を用いた曲げ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ボイラのチューブ等は、図14に示すようなコイル構造が多く、特に煙道部に設置されたコイルは、三次元の立体曲げが殆どなく、二次元の一平面で曲げ成形されている。このコイルは3000t/h級のボイラでは炉幅方向に250セット前後の同一形状のものが取付けられる。そしてこのコイルは平面曲げにより製作されるため、単品で曲げ加工後に突合せ溶接を行うよりも、特公昭62−49130号公報に開示されているように、直管状態で所定長さに突合せ溶接を完了した後、曲げ→押出し→反転という手順を繰り返すことにより、連続曲げを実現してコイルを製作する方法や、特公平2−42013号公報に開示されているように、曲げ平面内から下降動作をすることのできる右曲げ用及び左曲げ用の2つ(この公知例では4つの曲げヘッドを採用しているが実質2つの曲げヘッドで曲げ作業は可能)の曲げヘッドを有し、順次、右曲げ(左曲げ)→押出し→左曲げ(右曲げ)と連続して曲げる方法等が合理的な方法として提案されている。しかし通常、製作される各コイルは特開平5−270661号公報に開示されているように、同一形状の曲げ管を連続して製作し、その後、曲げ管を組み立てる作業を行い、固定定盤上に設置されて付着金物を取付ける手法で製作している。しかし曲げ加工したコイルは重量が数百Kgに及ぶものがあり、組立てに人手を要すると同時にクレーンを必要とする。また同一形状のコイルを連続して曲げるため、曲げ加工が完了したコイルの置場も他ループの製作を待たねばならないので広い面積が必要になってくる。
【0003】
またコイルは、図14に示すようにコイル端部2と最初の曲げ位置3までの距離L1及び最終曲げ位置5と終端部4との距離L2が、図2に示すように通常、右曲げ用曲型25及び左曲げ用曲型26と軸方向の圧縮力を付与可能なブースタユニット29との距離L3より小さい。このため、コレットチャック(送り機構)27で右曲げ用曲型25又は左曲げ用曲型26の位置にコイルの連続最終曲げ位置をもってくることや、反力を受ける右曲げ用圧力台21又は左曲げ用圧力台22にコイルの終端部4がかかるように、通常、終端部4にコイルと同一外径で内径に密着するダミー管(ジョイント)を接続し、最終曲げ位置5を右曲げ用曲型25又は左曲げ用曲型26の位置に移動する方法をとっている。特に油圧等の自動クランプ方式のジョイントを使用することにより、コイルへの着脱が制御装置内でシーケンスを組むことで電気的に連続して作業を可能とする。すなわち連続曲げプログラムの最終にジョイントを着脱できる部分を設けることで可能になる。
【0004】
連続曲げ装置には通常、素材の搬送方向と同一方向に搬出用のローラコンベア(搬送ローラ)が設置されており、連続曲げを行った後にこのローラコンベアに乗せて次の製品が干渉しない位置まで搬出する。しかし、3000t/h級のボイラではコイルの幅が10m近くにもなり、重量も500Kgを越す場合も多々ある。この場合、ローラコンベアが大きな抵抗となり、曲げクランプ部にかかる搬送方向の回転力によってチューブの直管部が塑性変形し、手直しに多大の手間を要する。
【0005】
2曲げヘッドタイプの曲げ装置では、図3及び図4に示すように、右曲げ用曲型25で先端の袖部を曲げた後に、次の曲げ位置までコイルを押出すと、右曲げ用曲型25が例えば下降して退避し、左曲げ用曲型26が設定されて次の曲げが実施され、図5〜図8に示すこの動作を繰り返し、終端部4まで曲げを行う。図8に示すように、終端部4がコイルの搬送方向と直角に曲がっているため、搬送ローラ12で運べないことや前記のようにダミー管30を着脱する必要があるため、通常の連続曲げは、例えば図14に示した溶接位置a,bまで直管で実施することになる。この場合、最終溶接線以後は予め単品で曲げ加工を実施しておき、図13に示すように各ループが組合されていると、全姿勢溶接で溶接が困難なため、各ループごとに溶接を実施した後に組立作業を行う必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のチューブ連続曲げ装置にあっては、終端部まで曲げ作業を完了させると、ハンドリングに搬送ローラが使えず、クレーンを使用した装置になることやジョイントの着脱を必要とすることで繁雑な作業となる等の問題があり、また、最終溶接線の作業を完了させるまで組立てを実施することができない等の問題があった。さらに大型コイルでは自重により搬送ローラとの間に抵抗が発生し、直管部が塑性変形を受けるという問題が発生していた。
【0007】
本発明の課題は、制御可能なジョイントを利用し、終端部まで搬送ローラを回転しながら曲げ加工し、その後にコイルを旋回し、さらに搬送ローラで搬出すると同時に組立てを完了するチューブ連続曲げ装置及び該装置を用いた曲げ方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を達成するため、本発明に係るチューブ連続曲げ装置は、チューブを右曲げ又は左曲げしてコイルに曲げ加工する少なくとも二つの曲げヘッドを備えたチューブ連続曲げ装置において、チューブ搬送中心の右側又は左側の少なくとも一方側に搬送ローラを設け、搬送ローラの搬送方向の延長上に、コイルを搭載しかつ搬送方向と交差方向に移動可能な移動搬送ローラを設置した構成とする。
【0009】
そして搬送ローラは、チューブ搬送中心のそれぞれの側に設けられ、曲げ加工の際に、チューブ曲げ方向側の搬送ローラは後退方向に回転され、かつ反曲げ方向側の搬送ローラは搬送方向に回転されるものである構成でもよい。
【0010】
また搬送ローラは、チューブ搬送中心より所定距離離れた少なくとも一つの水平高さが、少なくとも5mm上方に設定されている構成でもよい。
【0011】
さらに搬送ローラは、途中に測長器が設置されている構成でもよい。
【0012】
そしてチューブ連続曲げ方法にあっては、前記いずれか一つのチューブ連続曲げ装置を用いたチューブ連続曲げ方法において、搬送ローラの途中に設置された測長器の測定値に応じて移動搬送ローラの移動量が設定される構成とする。
【0013】
またチューブの曲げ反力を圧力台で受けながら曲げヘッドによりコイルに曲げ加工し、コイルの終端部にダミー管を挿着して終端部を圧力台より外れる位置に搬送し、終端部を曲げヘッドでクランプしたのちダミー管を取外し、曲げヘッドを所定角度旋回させてコイルを旋回する構成でもよい。
【0014】
さらにダミー管は、送り機構により終端部に挿着される構成でもよい。
【0015】
本発明によれば、大型コイルの連続曲げ加工では1本以上の搬送ローラの高さを変えることにより全体の摩擦係数が小さくなり、また、曲げ加工前より搬送ローラを搬送方向(前進方向)又は後退方向に回転させることにより、静摩擦係数が動摩擦係数に変えられる。そして搬送ローラの回転力が曲げ回転力を補助するため、直管部の塑性変形が防止される。またダミー管をジョイントとして利用しコイルを搬送することにより終端部が曲型の中まで供給され、直管部を塑性変形させることなく、コイルに曲げ加工される。さらに搬送方向に平行に設置された搬送ローラとその延長上に設置された交差方向の移動搬送ローラとによってコイルを搬出すると同時に組立てが完了される。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1及び図2を参照しながら説明する。図1及び図2に示すように、チューブを右曲げ又は左曲げしてコイルに曲げ加工する右曲げ用曲型25及び左曲げ用曲型26等を搭載した少なくとも二つの曲げヘッド11を備え、搬入コンベア19で搬送されたチューブをコイル(ホリゾンタルコイル)に曲げ加工して組み立てるチューブ連続曲げ装置であって、チューブ搬送中心の右側A及び左側Bの少なくとも一方側に、チューブの曲げ加工を補助しかつ搬送を行う複数の搬送ローラ12を搬送方向6に平行に設け、搬送ローラ12の搬送方向6の延長上に、コイルを搭載しかつ搬送方向6とほぼ直角な交差搬送方向7にレール17上を移動可能な移動搬送ローラ(コイルキャッチャー)15を設置した構成とする。
【0017】
そして搬送ローラ12は、チューブ搬送中心のA側及びB側に設けられるとともに、曲げヘッド11による曲げ加工の際に、チューブの曲げ方向側、例えば右側のA側の搬送ローラ12は後退方向に回転され、かつ反曲げ方向側、例えば左側のB側の搬送ローラ12は搬送方向(前進方向)に回転されるものである。また搬送ローラ12は、チューブ搬送中心より所定距離、例えば3〜9m離れた搬送ローラ12のうちの少なくとも一つの水平高さが5mm以上上方に設定され、搬送ローラ12の途中に図示しない測長器が設置されているものとする。なお歩道18と、ジョイント着脱機構20とが図示されている。
【0018】
すなわち本発明の課題は以下の動作により達成される。
▲1▼搬送ローラ12の1〜2本の高さを他の搬送ローラ12より高くすること、またチューブ搬送中心線の右,左側(A,B側)にある搬送ローラ12を左右反対に回転させること、
▲2▼終端部を曲げ終えたのちにもう一度ジョイントとしてダミー管を利用し、コレットチャック(送り機構)27で終端部を右曲げ用圧力台21又は左曲げ用圧力台22に接触しない位置まで搬送し、曲げヘッド11で90°曲げ加工すること、
▲3▼この後、搬送ローラ12を回転させてコイルを搬出するが、このとき搬送ローラ12の後流で回転半径の外側に搬送ローラ12と同一高さで交差搬送方向7に移動可能なもう一つの移動搬送ローラ15を設置しておくこと、
▲4▼コイルが搬出される時、既に曲げが完了して移動搬送ローラ15上にあるコイルの所定の位置に、曲げが完了したループを突っ込むために予め移動搬送ローラ15を移動しておき、固定している搬送ローラ12及び移動搬送ローラ15の両方を回転させ、既に収納されているコイルをストッパによりスリップし、新たに搬送されるループのみが相対的に移動搬送ローラ15の方に移動して行くことを含むものとする。
【0019】
次に本発明の他の実施の形態として曲げ方法は、図1〜図13に示すように、前記いずれか一つのチューブ連続曲げ装置を用いたチューブ連続曲げ方法であって、搬送ローラ12の途中に設置された図示しない測長器の測定値に応じて移動搬送ローラ15の移動量が設定される構成とし、チューブの曲げ反力を圧力台(右,左曲げ用圧力台)21,22で受けながら曲げヘッド11によりコイルに曲げ加工する工程101と、コイルの終端部にダミー管30を挿着する工程102と、終端部4を圧力台21,22より外れる位置に搬送する工程103と、終端部4を曲げヘッド11でクランプしたのちダミー管30を取外す工程104と、曲げヘッド11を所定角度の90°旋回させてコイルを旋回する工程105と、搬送ローラ12を回転させてコイルを搬出し移動搬送ローラ15の所定位置に載置する工程106と、移動搬送ローラ15上にあるコイルに曲げが完了した次のループを突っ込むために予め移動搬送ローラ15を移動しておき、搬送ローラ12及び移動搬送ローラ15の両方を回転させ、既に収納されているコイルをストッパによりスリップし、新たに搬送されるループのみが相対的に移動搬送ローラ15の方に移動して行く工程107と、各ループを組み立て完了する工程108とを含むものとする。なおダミー管30は、コレットチャック27で終端部4に挿着されるものとする。
【0020】
すなわち左右の曲げヘッドを振替ながら曲げを行う。曲げ時のコイルと搬送ローラの摩擦抵抗により直管部に塑性変形が発生するのを防止するため、図1に示す固定テーブル14上のA〜A´の範囲の搬送ローラ12を右曲げ(左曲げ)時には、チューブ搬送中心より右側の搬送ローラ(左側の搬送ローラ)を後退方向に回転させる。またその中の少なくとも1本の搬送ローラの水平レベルを5mm以上上方に設定する。このようにしてホリゾンタルコイル形状に連続して曲げ加工を行う。図8に示すように終端部をダミー管30により曲げヘッド11まで搬送し、図10に示すように曲げヘッド11でクランプし旋回することによりコイルを旋回させて搬出する。搬出されたコイルは図11〜図13に示すような搬送方向に直角に移動可能な移動搬送ローラ15上で組み込まれる。
【0021】
以上のように、曲げ加工時に搬送ローラを補助として回転しまたその中の1本の水平レベルを上げることにより、コイルの直管部の塑性変形が防止されて連続曲げが可能となる。ダミー管によりコイルの終端部を搬送することになり、コイルの旋回が他の装置を用いることなく可能となる。この旋回により移動搬送ローラで搬出可能となり、またこれにより移動搬送ローラでのコイル組込みが可能となる。
【0022】
本実施の形態によれば、直管の状態ですべて下向きで突合せ溶接でき、品質の向上が図られる。また段取りも少なくなり工数が低減する。長尺化されたチューブを終端部まですべて自動曲げが可能となり、最終的にコイル形状に組立てて搬送するため、作業場所の省略されかつ製品の吊り作業が少なくなり、これまで数人の作業者によって纏められていたものが、1人作業又は無人化できる。また製作工程が明確に分離しライン化が可能となる。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、搬送ローラを補助として回転しまた1本の水平レベルを上げて曲げ加工するため、チューブの曲げ力が大きくなるとともに搬送ローラとの摩擦が低下してコイルの直管部の塑性変形が防止され、またダミー管によりコイルの終端部を搬送するので連続曲げが可能となる。そして曲げヘッドによりコイルが旋回されて移動搬送ローラで搬出されかつ移動搬送ローラ上でコイル組込てが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】図1の曲げヘッド機構を示す斜視図である。
【図3】曲げ加工の動作順序を示す図である。
【図4】曲げ加工の動作順序を示す図である。
【図5】曲げ加工の動作順序を示す図である。
【図6】曲げ加工の動作順序を示す図である。
【図7】曲げ加工の動作順序を示す図である。
【図8】曲げ加工の動作順序を示す図である。
【図9】コイルの旋旋回作を示す図である。
【図10】コイルの旋旋回作を示す図である。
【図11】コイルの組立て動作を示す図である。
【図12】コイルの組立て動作を示す図である。
【図13】コイルの組立て動作を示す図である。
【図14】従来のコイルの例を示す図である。
【符号の説明】
2 コイル端部
3 最初の曲げ位置
4 終端部
5 最終曲げ位置
6 搬送方向
7 交差搬送方向
11 曲げヘッド
12 搬送ローラ
15 移動搬送ローラ
17 レール
19 搬入コンベア
20 ジョイント着脱装置
21 右曲げ用圧力台
22 左曲げ用圧力台
25 右曲げ用曲型
26 左曲げ用曲型
27 送り機構
30 ダミー管
Claims (7)
- チューブを右曲げ又は左曲げしてコイルに曲げ加工する少なくとも二つの曲げヘッドを備えたチューブ連続曲げ装置において、チューブ搬送中心の右側又は左側の少なくとも一方側に搬送ローラを設け、該搬送ローラの搬送方向の延長上に、前記コイルを搭載しかつ該搬送方向と交差方向に移動可能な移動搬送ローラを設置したことを特徴とするチューブ連続曲げ装置。
- 請求項1記載のチューブ連続曲げ装置において、搬送ローラは、チューブ搬送中心のそれぞれの側に設けられ、曲げ加工の際に、チューブ曲げ方向側の搬送ローラは後退方向に回転され、かつ反曲げ方向側の搬送ローラは搬送方向に回転されるものであることを特徴とするチューブ連続曲げ装置。
- 請求項1又は2記載のチューブ連続曲げ装置において、搬送ローラは、チューブ搬送中心より所定距離離れた少なくとも一つの水平高さが、少なくとも5mm上方に設定されていることを特徴とするチューブ連続曲げ装置。
- 請求項1、2又は3記載のチューブ連続曲げ装置において、搬送ローラは、途中に測長器が設置されていることを特徴とするチューブ連続曲げ装置。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載のチューブ連続曲げ装置を用いたチューブ連続曲げ方法において、搬送ローラの途中に設置された測長器の測定値に応じて移動搬送ローラの移動量が設定されることを特徴とするチューブ連続曲げ方法。
- 請求項5記載のチューブ連続曲げ方法において、チューブの曲げ反力を圧力台で受けながら曲げヘッドによりコイルに曲げ加工し、該コイルの終端部にダミー管を挿着して該終端部を前記圧力台より外れる位置に搬送し、該終端部を前記曲げヘッドでクランプしたのち前記ダミー管を取外し、該曲げヘッドを所定角度旋回させて前記コイルを旋回することを特徴とするチューブ連続曲げ方法。
- 請求項6記載のチューブ連続曲げ方法において、ダミー管は、送り機構により終端部に挿着されることを特徴とするチューブ連続曲げ方法。
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- 1996-11-18 JP JP30607496A patent/JP3738428B2/ja not_active Expired - Fee Related
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