JP3738173B2 - ポリマー基板マイクロ電極と電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップの製造方法 - Google Patents

ポリマー基板マイクロ電極と電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、ポリマー基板電極と電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップおよびそれらの製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、安価に、かつ簡便に製造することが可能な高性能のポリマー基板電極と電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップ、およびそれらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
半導体産業における微細加工技術の発展により、シリコンやガラス基板上に作製されたマイクロ電極が分析機器等において広く用いられるようになった。具体的には、液体クロマトグラフィーの電気化学検出器や医療現場における小型の電気化学センサーなどにマイクロ電極が利用されている。
【0003】
一方、ゲノム分析の分野においては、DNA塩基配列を決定するために、ガラス基板上に作製した微小な溝(マイクロチャンネル)中での電気泳動分析が一般的に行われている。このような応用のためにも、基板上へのマイクロ電極の作製が極めて重要となる。
【0004】
また、近年、小型分析機器の開発を念頭においたmicro-total-analysis system(μ−TAS)やマイクロリアクターの作製・開発などが注目を浴びており、世界的に活発な研究が進められている。
【0005】
これらのμ−TASは、少量の試料で測定、分析が可能なこと、持ち運びが可能となること、低コストが実現されること、使い捨てが可能なこと、など、従来のデバイスに比べて、優れている面が多々ある。そこで、このような応用のためにも基板上への様々な構造体の導入や電極の作製が重要と考えられている。
【0006】
これまで報告されているマイクロデバイスは、従来のフォトリソグラフィーやエッチング技術に基づいているため、シリコンやガラス製の基板を有するものが多かった。しかし、このような基板を用いた従来のマイクロデバイスは、分析や化学リアクターとして利用する場合、様々な問題を抱えていた。
【0007】
例えば、シリコンウェファーは不透明であるため、化学の分野で頻繁に行われる透過光による検出ができない、割れやすいなどの欠点があった。また、マイクロデバイスの製造においては、クリーンルーム内での作業等、特異な装置や設備を要し、得られる製品は、例えば、ガラス基板上のマイクロ電極では1枚数万円と、極めて高価になってしまう。したがって、低コスト、使い捨て用途などが期待されていたものの、実際には一般的な化学実験においての使用は現実的ではなかったのが実情である。
【0008】
さらに、シリコンやガラス製の基板を用いたマイクロデバイスでは、エッチング技術により、チャンネルを形成するため、チャンネル構造にある程度の制限があり、送液抵抗や流れプロファイルの検討という用途で用いることは困難であった。また、シリコンやガラス基板を用いたマイクロデバイスでは、チャンネル構造を形成した後、蓋をするために、高温、高圧等の厳しい条件が必要となるという問題もあった。
【0009】
また、さらには、上述のように、シリコンやガラス基板を用いたマイクロデバイスでは、デバイスを材料ごとに分別回収し、リサイクルすることがほとんど不可能であった。したがって、少量のサンプルや溶剤を用いることにより、環境への配慮もなされるという利点があるものの、結果的には、すべてを廃棄せざるをえないという点で、課題が残されていたのが実情である。
【0010】
そこで、より簡易的に微細デバイスを製造する方法として、シリコンやガラス基板の代わりに有機高分子を用いる方法(A.Manz and H.Becker, Eds., "Microsystem Technology in Chemistry and Life Science", 1999, Springer Verlag, Berlin; D.J.Harrison and A.Van Den Berg, Eds., "Micro Total Analysis Systems '98", 1998, Kluwer, Dordrecht)が報告された。
【0011】
しかし、これらの方法においても、得られるマイクロデバイスの性能は実用に程遠いものであり、マイクロ電極を内蔵したマイクロチャンネルの製造方法は知られていなかったのが実情である。
【0012】
そこでこの出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、安価、かつ簡便にマイクロ電極およびマイクロ電極を内蔵するマイクロチャンネルチップを製造する方法と、これらの方法によって得られる高性能のマイクロ電極および、電極を内蔵する高性能のマイクロチャンネルチップを提供することを課題としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、まず第1には、ポリマー基板に金属を蒸着し、熱処理することにより得られる金属層上にフォトレジストを塗布した後、リソグラフィーを行い、金属をエッチングすることを特徴とするポリマー基板マイクロ電極の製造方法を提供する。
【0014】
第2には、この出願の発明は、上記ポリマー基板マイクロ電極の製造方法において、ポリマー基板が、熱可塑性樹脂からなること、第3には、ポリマー基板が、スチロール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート、および熱可塑性弗素系樹脂からなる群より選択されること、第4には、ポリマー基板に金属を蒸着する前に弗素系樹脂を成膜することを態様として提供する。
【0015】
また、この出願の発明は、第5には、上記のいずれかの製造方法により得られるポリマー基板マイクロ電極をも提供する。
【0016】
この出願の発明は、さらに、第6の発明として、上記のいずれかの方法により得られるポリマー基板マイクロ電極を、2枚のガラス板に挟み、加熱圧縮して電極をポリマー基板中に埋め込んだ電極内蔵ポリマー基板と、リソグラフィーおよびエッチングにより凹凸を施されたガラス基板を、ポリマー基板に高温で押し付けることにより、該ポリマー基板上に溝を転写、形成し、得られるマイクロチャンネルを、電極面とマイクロチャンネル面が接触するように高温圧着することを特徴とする電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップの製造方法を提供する。
【0017】
そして、第7には、この出願の発明は、上記第6の発明の方法で製造される電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップを提供する。
【0018】
さらに、第8には、上記の電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップを検出器として用いる電気化学測定方法を、第9には、上記の電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップを検出器として用いる分光学的測定方法をも提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】
この出願の発明のポリマー基板マイクロ電極、および電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップは、発明者らが、鋭意研究の成果として、簡便かつ効果的にポリマー基板上に電極を形成する方法、および電極をポリマー基板中に埋め込み、該電極をマイクロチャンネルとの接触面に設置する簡便な方法を解明したことによりなされたものである。
【0020】
この出願の発明のポリマー基板マイクロ電極および、電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップの製造方法では、シリコンやガラス基板上に形成されたマイクロ構造を有する型を用いて、ポリマー基板上に特定の条件下でマイクロチャンネルを転写する。したがって、これらの方法では、型が出来上がれば、複雑なマイクロ製造技術を用いずにポリマー基板マイクロ構造体を大量生産することが可能となる。これにより、安価、かつ簡便に、マイクロ電極やマイクロチャンネルチップを製造することが可能となるのである。さらに、このような利点の他に、さまざまなポリマーやポリマーの混合物から材料を選択することにより、種々の化学的、物理的、表面化学的特性を有するデバイスを作成することが可能になるという点も重要である。したがって、この出願の発明のポリマー基板マイクロ電極およびマイクロチャンネルチップは、あらゆる化学の研究において用いることができることになる。
【0021】
まず、ポリマー基板マイクロ電極の製造方法について詳しく説明する。
【0022】
ポリマー基板に公知の方法により、金属を蒸着し、加熱処理することにより、金属層を作製する。このとき、ポリマー基板は、用途に応じて選択することができる。例えば、合成したポリマーを通常の成形加工方法により板状にし、用いてもよいし、市販品を用いてもよい。材料は、熱可塑性樹脂であればどのようなものであってもよいが、好ましくは、スチロール系樹脂、ポリ塩化ビニル、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、および熱可塑性弗素系樹脂から選択する。とくに、分光学的測定における検出器として用いる場合には、透明性が重要となるので、透明なポリマー基板が得られるような成形条件を選択したり、市販品では、透明度の高いポリマー基板を選択することが好ましい。さらには、測定波長範囲において吸収を持たない材料を選択することが好ましい。もちろん、使用温度、溶剤、試料等の条件に応じて、これら以外のポリマー材料から選択されてもよい。例えば、ポリマー基板マイクロ電極を強酸、強塩基などの腐食性薬品や有機溶媒下で用いる場合には、耐薬品性を有する弗素系樹脂を用いるとよい。また、ポリマー基板の形状や大きさ、厚さ等は、とくに限定されず、用途に応じて選択される。
【0023】
さらに、蒸着される金属は、電極材料として相応しいものであれば、どのようなものであってもよく、例えば、アルミニウム、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、タングステン、銀、錫、金などが例示される。好ましくは通常の方法で蒸着が可能で、電気抵抗の小さな金である。
【0024】
また、加熱処理の温度は、樹脂材料、金属材料によって異なり、特に限定されないが、用いるポリマー基板のポリマー材料の軟化点付近とすることが好ましい。加熱処理を行うことにより、蒸着された金属が、ポリマー基板とより強固に密着し、得られる金属層の耐久性が向上するのである。
【0025】
このような方法で得られた金属層の厚さは、とくに限定されないが、エッチング時や使用時の耐久性等を考慮して、10〜100nmが好ましい。もちろん、使用に耐えられるものであれば、10nmより薄くても、100nmよりも厚くてもよい。
【0026】
得られた金属層に、フォトレジストを塗布し、公知の手法により、リソグラフィーを行い、金属層をエッチングすることにより、ポリマー基板マイクロ電極とすることができる。このとき、用いられるフォトレジストは、特に限定されず、金属材料、金属層の厚さ等の条件に応じて、従来より半導体分野等で用いられる種々のものから選択される。また、エッチングの条件等は、とくに限定されず、使用されるフォトレジスト、金属材料種、金属層の厚さ、電極幅等に応じて選択することができる。例えば、OHPシート上に、一般的なコンピューターソフトで任意の構造を描画し、これをフォトマスクとして、OHPプロジェクターのランプで露光するという簡易的な方法であってもよい。もちろん、高精度なリソグラフィーを行うことにより、サブミクロンからミクロンオーダーの電極を作製することも可能である。
【0027】
以上のようにして得られたポリマー基板マイクロ電極は、種々の超小型測定装置において、電極として用いることができる。この電極は、安価に、かつ簡便に製造されるものであり、大量生産が可能であるため、使い捨てできる。また、ポリマー材料を溶融分離すれば、容易に金属と基板材料を分別できるため、回収、リサイクルが可能であるという利点もある。
【0028】
さらに、上述のとおり、この出願の発明のポリマー基板マイクロ電極においては、ポリマー基板の材料として弗素系樹脂を選択することによって耐薬品性の高いポリマー基板マイクロ電極を得ることができるが、耐薬品性の高い弗素系樹脂は、高価なものが多いため、コストが高くなることが考えられる。このような場合は、基板全体に弗素系樹脂を用いずに、汎用のポリマーからなるポリマー基板の表面に、弗素系樹脂を成膜し、有機溶剤等の薬品から基板を保護してもよい。このとき、弗素系樹脂の成膜方法は、一般的に知られる、塗布、焼き付け、高温圧着等の種々の方法から選択できる。このようにして弗素系樹脂を成膜した後、上記のとおりに金属を蒸着すればよい。その後、加熱処理、エッチング等を行えば、耐薬品性ポリマー基板マイクロ電極を得ることができる。また、弗素系樹脂の膜厚は、耐薬品性を確保でき、特別コストが上がらなければとくに限定されない。好ましくは、50〜150nmである。もちろん、これより薄くても、厚くてもよい。
【0029】
このようにして得られた耐薬品性ポリマー基板マイクロ電極は、さらに、マイクロチャンネルと組み合わせることにより、μ−TASやマイクロリアクターなどに応用することができる。
【0030】
次に、この出願の発明の電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップの製造方法について説明する。図1は、この出願の発明の電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップの製造方法を説明する概略摸式図である。図1にしたがって、この出願の発明の方法を具体的に説明する。
【0031】
(A)まず、上述の方法で作製したポリマー基板マイクロ電極(1)を、2枚のガラス板(2)で挟み、ホットプレス(3)等により加熱圧縮する。このとき、加熱温度および加熱時間は、特に限定されないが、好ましくは温度をポリマー基板(11)の材料ポリマーの軟化点付近とする。加熱時間は、あまり短時間では電極の埋め込みが十分に行われず、あまり長時間ではポリマー基板(11)の変形や着色が起こる可能性があるので、例えば、100℃、30分とすることが好ましい。もちろん、加熱温度、加熱時間は、使用されるポリマー基板(11)によるため、これらに限られない。また、電極材料や電極形状等は、最終的に電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップ(6)となったときに、用いられる測定の条件に応じて決定されるものである。
【0032】
加熱圧縮により、ポリマー基板マイクロ電極(1)の電極部(12)がポリマー基板(11)内に埋め込まれ、電極内蔵ポリマー基板(13)となる。
【0033】
(B)次に、ガラス基板(4)に従来のリソグラフィー、およびエッチング技術を用いて凹凸構造(41)を作製し、平滑なポリマー基板(5)にホットプレス(3)等によりこれを高温で押し付けて、ガラス基板(4)上の凹凸構造(41)をポリマー基板(5)に転写し、ポリマー基板(5)上に凹構造を形成し、ポリマー基板マイクロチャンネル(51)とする。このとき、鋳型となるガラス基板(4)の代わりに、シリコンウェファー等の基板を用いてもよい。コスト、扱いやすさ、汎用性を考慮すれば、ガラスの平板を用いることが好ましい。また、ガラス基板(4)上の凹凸構造(41)は、得られるマイクロチャンネル(51)の大きさ、形状に合わせて作製する必要がある。このような大きさや形状は、最終的に電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップ(6)を用いる測定の条件に合わせて決定されるものであり、目的に応じて設計できる。
【0034】
(C)このようにして得られたポリマー基板マイクロチャンネル(51)の凹構造面に、先程作製した電極内蔵ポリマー基板(13)を接触させ、ガラス板(2)の間に挟み、ホットプレス(3)で加熱圧縮することにより、蓋をすることができる。
【0035】
このとき、鋳型である凹凸のあるガラス基板(4)の圧着条件は、とくに限定されない。具体的には、ポリマー基板(11、5)の軟化点付近の温度で、圧着時間を、10〜30分とすることが好ましいが、これらに限定されない。
【0036】
以上より、電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップ(6)が得られる。
【0037】
この出願の発明の方法によって得られる電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップ(6)は、以上のとおり、鋳型を用いる方法であるため、一度エッチングによりガラス基板(4)の鋳型を作製すれば、同一のマイクロチャンネルチップを容易に大量生産することができる。したがって、安価な使い捨てタイプの電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップ(6)が得られるのである。また、電極がポリマー基板中に埋め込まれているため、電極がマイクロチャンネル面に接触しながらも、マイクロチャンネルを塞いだり、マイクロチャンネル中の流れを妨げたりすることのないマイクロチャンネルチップを得ることができる。さらに、ポリマー基板(11、5)がスチロール樹脂やポリメタクリル酸メチル等の透明材料からなる場合、このような電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップ(6)は、電気化学測定だけでなく、分光測定においても使用することが可能となり、多機能型の検出器を得ることができる。
【0038】
したがって、この出願の発明は、以上のとおりの電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップ(6)を用いた電気化学測定法および分光学的測定法をも提供するものである。このとき、ポリマー基板材料、電極用金属材料、チャンネル構造等は、測定に大きく影響するので、条件に応じて適宜選択することが好ましい。
【0039】
以下、添付した図面に沿って実施例を示し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、この発明は以下の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
【0040】
【実施例】
実施例1 ポリマー基板マイクロ電極の作製
市販のスチロール基板に金を蒸着し、加熱処理して金層(50nm)を作製した。ポリマー基板/金にフォトレジストを塗布した。
【0041】
市販のコンピューターソフトで任意の構造を描画し、OHPシートに印刷した。このOHPシートをフォトマスクとし、OHPプロジェクターのランプを光源として上記のフォトレジストを塗布したポリマー基板/金をエッチングした。
【0042】
得られたポリマー基板マイクロ電極の写真を図2に示した。写真より、電極幅は30μm程度と分かった。なお、写真において先端の細い部分(2本)が電極であり、太い部分(2本)が外部機器との接続部となっている。
【0043】
このポリマー基板マイクロ電極の先端部を用いて1−ヒドロキシフェロセンのサイクリックボルタモグラム(電流−電位曲線)を求めた。図3に電流−電位曲線を示した。
【0044】
電極面積が狭いため、マイクロ電極に特徴的なS字型の電流−電位曲線が得られている。このことから、電極は正常に動作することが確認された。
【0045】
このポリマー基板マイクロ電極は、微細構造の精度は高くないものの、化学実験において、十分使用可能なものであることが分かった。
実施例2 電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップの作製
実施例1で作製したポリマー基板マイクロ電極をガラス板で挟み、ホットプレスで100℃×30分間加熱し、マイクロ電極をポリマー基板中に埋め込んだ。この電極内蔵ポリマー基板とチャンネルを形成したもう一枚のポリマー基板を加熱圧着し、電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップを作製した。(電極幅40μm、電極長さ100μm)
チャンネル内に1−ヒドロキシフェロセンを流し、そのサイクリックボルタモグラム(電流−電位曲線)を測定した。得られた電流−電位曲線を図4に示した。
【0046】
電流−電位曲線では、掃引速度に比例して電流値が増大した。また、電流値と掃引速度は、図5に示したように、直線関係となった。このプロットの傾きから電極面積を求めたところ、4.2×10-5cm2となり、構造からの計算値(4.0×10-5cm2)とよく一致した。
【0047】
したがって、この電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップは、十分に高い性能を示すことが確認された。
実施例3 電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップにおける Generation-Collection 実験
実施例2の方法で電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップを2種類作製し、図6に示したとおりの原理で、一方の電極(Generator電極)で還元反応を、他方(Collector電極)で酸化反応を行なわせた。
【0048】
このとき、Generator電極ではOの還元反応によりRが生成し、生成したRは、溶液中を拡散し、隣接するCollector電極付近で逆反応によりOにもどり、電流が流れる。Rが溶液中で副反応を起こさなければ、100%の効率でCollector電極に捕捉されるはずであり、この捕捉率は、電気化学生成物の寿命や電極間距離(d)に依存するため、電気化学反応中間体の捕捉実験、溶液内化学種の反応性などの基礎的な測定法として、重要である。
【0049】
1−ヒドロキシフェロセンを試料とし、2つの電極の幅を30μm、電極間距離を5μmとし、Generation-Collection実験を行なった。得られた電流−電位曲線を図7に示した。
【0050】
Generator電極の電流値に対して、Collector電極の電流値は逆に出ており、1−ヒドロキシフェロセンの酸化体がCollector電極で捕捉されていることが確認できた。また、Generator電極とCollector電極に流れた電流値の比から、捕捉率は約70%であることが分かった。この結果からも、作製した電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップが正常に作動し、様々な測定や検出器に応用可能であることが確認された。
【0051】
また、通常のセルを用いた電気化学測定における捕捉率は、70%よりかなり小さくなると予測される。それにも関わらず、この実施例において高い捕捉率が得られたことは、蓋によりチャンネルチップでの上方向へのRの拡散が防止されているためと考えられる。したがって、この出願の発明の電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップを用いることにより、極めて高感度な電気化学センサーや検出器を得ることが可能で、チャンネル形状や構造によって検出感度を制御することも可能となることが示唆された。
【0052】
【発明の効果】
以上詳しく説明した通り、この発明によって、安価に、かつ簡便にポリマー基板マイクロ電極を製造する方法と、該方法により得られるポリマー基板マイクロ電極が提供される。さらに、安価かつ簡便に、電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップを大量生産する方法と、該方法によって得られる高性能な電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップが提供される。
【0053】
また、これらのマイクロ構造体を用いることにより、従来よりも高感度なセンサーや検出器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップを製造する方法を例示した概略摸式図である。
【図2】この発明のポリマー基板マイクロ電極を例示した写真に代わる図である。
【図3】この発明の実施例において、ポリマー基板マイクロ電極を用いて測定された1−ヒドロキシフェロセンのサイクリックボルタモグラム(電流−電位曲線)を示した図である。
【図4】この発明の実施例において、電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップに、1−ヒドロキシフェロセンを流し、測定されたサイクリックボルタモグラム(電流−電位曲線)を示した図である。
【図5】この発明の実施例において、電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップに1−ヒドロキシフェロセンを流し、測定されたサイクリックボルタモグラム(電流−電位曲線)における電流値と掃引速度の関係を示した図である。
【図6】この発明の実施例におけるGeneration-Collection実験の概念を説明する概略摸式図である。
【図7】この発明の実施例において、電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップに1−ヒドロキシフェロセンを流し、Generation-Collection実験を行なった際に測定されたサイクリックボルタモグラム(電流−電位曲線)を示す図である。(実線:Generator電極の電流値、破線:Collector電極の電流値)
【符号の説明】
1 ポリマー基板マイクロ電極
11 ポリマー基板
12 電極
13 電極内蔵ポリマー基板
2 ガラス板
3 ホットプレス
4 ガラス基板
41 凹凸構造
5 ポリマー基板
51 ポリマー基板マイクロチャンネル
6 電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップ

Claims (9)

  1. ポリマー基板に金属を蒸着し、熱処理することにより得られる金属層上にフォトレジストを塗布した後、リソグラフィーを行い、金属をエッチングすることを特徴とするポリマー基板マイクロ電極の製造方法。
  2. ポリマー基板が、熱可塑性樹脂からなる請求項1のポリマー基板マイクロ電極の製造方法。
  3. ポリマー基板が、スチロール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートおよび熱可塑性弗素系樹脂からなる群より選択される請求項1または2のポリマー基板マイクロ電極の製造方法。
  4. ポリマー基板に金属を蒸着する前に、弗素系樹脂を成膜し、ポリマー基板に耐薬品性を付与する請求項1ないし3のいずれかのポリマー基板マイクロ電極の製造方法。
  5. 請求項1ないし4いずれかの方法により得られるポリマー基板マイクロ電極。
  6. 請求項5記載のポリマー基板マイクロ電極を、2枚のガラス板に挟み、加熱圧縮して電極をポリマー基板中に埋め込んだ電極内蔵ポリマー基板と、リソグラフィーおよびエッチングにより凹凸を施されたガラス基板を、ポリマー基板に高温で押し付けることにより、該ポリマー基板上に溝を転写、形成して、得られるマイクロチャンネルを、電極面とマイクロチャンネル面が接触するように高温圧着することを特徴とする電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップの製造方法。
  7. 請求項6の方法により製造される電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップ。
  8. 請求項7の電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップを検出器として用いることを特徴とする電気化学測定方法。
  9. 請求項7の電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップを検出器として用いることを特徴とする分光学的測定方法。
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