JP2001324471A - ポリマー基板マイクロ電極と電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップの製造方法 - Google Patents

ポリマー基板マイクロ電極と電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップの製造方法

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JP2001324471A JP2000142434A JP2000142434A JP2001324471A JP 2001324471 A JP2001324471 A JP 2001324471A JP 2000142434 A JP2000142434 A JP 2000142434A JP 2000142434 A JP2000142434 A JP 2000142434A JP 2001324471 A JP2001324471 A JP 2001324471A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価、かつ簡便に、マイクロ電極およびマ
イクロ電極を内蔵するマイクロチャンネルチップを製造
する方法と、これらの方法によって得られる高性能のマ
イクロ電極および電極内蔵マイクロチャンネルチップを
提供する。 【解決手段】 ポリマー基板に金属を蒸着し、熱処理
することにより得られる金属層上にフォトレジストを塗
布した後、リソグラフィーを行い、金属をエッチングす
ることを特徴とするポリマー基板マイクロ電極とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、ポリマー
基板電極と電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチ
ップおよびそれらの製造方法に関するものである。さら
に詳しくは、この出願の発明は、安価に、かつ簡便に製
造することが可能な高性能のポリマー基板電極と電極内
蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップ、およびそれ
らの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】半導体産業における微細加工
技術の発展により、シリコンやガラス基板上に作製され
たマイクロ電極が分析機器等において広く用いられるよ
うになった。具体的には、液体クロマトグラフィーの電
気化学検出器や医療現場における小型の電気化学センサ
ーなどにマイクロ電極が利用されている。
【0003】一方、ゲノム分析の分野においては、DN
A塩基配列を決定するために、ガラス基板上に作製した
微小な溝(マイクロチャンネル)中での電気泳動分析が
一般的に行われている。このような応用のためにも、基
板上へのマイクロ電極の作製が極めて重要となる。
【0004】また、近年、小型分析機器の開発を念頭に
おいたmicro-total-analysis system(μ−TAS)や
マイクロリアクターの作製・開発などが注目を浴びてお
り、世界的に活発な研究が進められている。
【0005】これらのμ−TASは、少量の試料で測
定、分析が可能なこと、持ち運びが可能となること、低
コストが実現されること、使い捨てが可能なこと、な
ど、従来のデバイスに比べて、優れている面が多々あ
る。そこで、このような応用のためにも基板上への様々
な構造体の導入や電極の作製が重要と考えられている。
【0006】これまで報告されているマイクロデバイス
は、従来のフォトリソグラフィーやエッチング技術に基
づいているため、シリコンやガラス製の基板を有するも
のが多かった。しかし、このような基板を用いた従来の
マイクロデバイスは、分析や化学リアクターとして利用
する場合、様々な問題を抱えていた。
【0007】例えば、シリコンウェファーは不透明であ
るため、化学の分野で頻繁に行われる透過光による検出
ができない、割れやすいなどの欠点があった。また、マ
イクロデバイスの製造においては、クリーンルーム内で
の作業等、特異な装置や設備を要し、得られる製品は、
例えば、ガラス基板上のマイクロ電極では1枚数万円
と、極めて高価になってしまう。したがって、低コス
ト、使い捨て用途などが期待されていたものの、実際に
は一般的な化学実験においての使用は現実的ではなかっ
たのが実情である。
【0008】さらに、シリコンやガラス製の基板を用い
たマイクロデバイスでは、エッチング技術により、チャ
ンネルを形成するため、チャンネル構造にある程度の制
限があり、送液抵抗や流れプロファイルの検討という用
途で用いることは困難であった。また、シリコンやガラ
ス基板を用いたマイクロデバイスでは、チャンネル構造
を形成した後、蓋をするために、高温、高圧等の厳しい
条件が必要となるという問題もあった。
【0009】また、さらには、上述のように、シリコン
やガラス基板を用いたマイクロデバイスでは、デバイス
を材料ごとに分別回収し、リサイクルすることがほとん
ど不可能であった。したがって、少量のサンプルや溶剤
を用いることにより、環境への配慮もなされるという利
点があるものの、結果的には、すべてを廃棄せざるをえ
ないという点で、課題が残されていたのが実情である。
【0010】そこで、より簡易的に微細デバイスを製造
する方法として、シリコンやガラス基板の代わりに有機
高分子を用いる方法(A.Manz and H.Becker, Eds., "Mi
crosystem Technology in Chemistry and Life Scienc
e", 1999, Springer Verlag,Berlin; D.J.Harrison and
A.Van Den Berg, Eds., "Micro Total Analysis Syste
ms '98", 1998, Kluwer, Dordrecht)が報告された。
【0011】しかし、これらの方法においても、得られ
るマイクロデバイスの性能は実用に程遠いものであり、
マイクロ電極を内蔵したマイクロチャンネルの製造方法
は知られていなかったのが実情である。
【0012】そこでこの出願の発明は、以上のとおりの
事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を
解消し、安価、かつ簡便にマイクロ電極およびマイクロ
電極を内蔵するマイクロチャンネルチップを製造する方
法と、これらの方法によって得られる高性能のマイクロ
電極および、電極を内蔵する高性能のマイクロチャンネ
ルチップを提供することを課題としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】この出願の発明は、上記
の課題を解決するものとして、まず第1には、ポリマー
基板に金属を蒸着し、熱処理することにより得られる金
属層上にフォトレジストを塗布した後、リソグラフィー
を行い、金属をエッチングすることを特徴とするポリマ
ー基板マイクロ電極の製造方法を提供する。
【0014】第2には、この出願の発明は、上記ポリマ
ー基板マイクロ電極の製造方法において、ポリマー基板
が、熱可塑性樹脂からなること、第3には、ポリマー基
板が、スチロール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル
樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタ
レート、および熱可塑性弗素系樹脂からなる群より選択
されること、第4には、ポリマー基板に金属を蒸着する
前に弗素系樹脂を成膜することを態様として提供する。
【0015】また、この出願の発明は、第5には、上記
のいずれかの製造方法により得られるポリマー基板マイ
クロ電極をも提供する。
【0016】この出願の発明は、さらに、第6の発明と
して、上記のいずれかの方法により得られるポリマー基
板マイクロ電極を、2枚のガラス板に挟み、加熱圧縮し
て電極をポリマー基板中に埋め込んだ電極内蔵ポリマー
基板と、リソグラフィーおよびエッチングにより凹凸を
施されたガラス基板を、ポリマー基板に高温で押し付け
ることにより、該ポリマー基板上に溝を転写、形成し、
得られるマイクロチャンネルを、電極面とマイクロチャ
ンネル面が接触するように高温圧着することを特徴とす
る電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップの製
造方法を提供する。
【0017】そして、第7には、この出願の発明は、上
記第6の発明の方法で製造される電極内蔵ポリマー基板
マイクロチャンネルチップを提供する。
【0018】さらに、第8には、上記の電極内蔵ポリマ
ー基板マイクロチャンネルチップを検出器として用いる
電気化学測定方法を、第9には、上記の電極内蔵ポリマ
ー基板マイクロチャンネルチップを検出器として用いる
分光学的測定方法をも提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】この出願の発明のポリマー基板マ
イクロ電極、および電極内蔵ポリマー基板マイクロチャ
ンネルチップは、発明者らが、鋭意研究の成果として、
簡便かつ効果的にポリマー基板上に電極を形成する方
法、および電極をポリマー基板中に埋め込み、該電極を
マイクロチャンネルとの接触面に設置する簡便な方法を
解明したことによりなされたものである。
【0020】この出願の発明のポリマー基板マイクロ電
極および、電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチ
ップの製造方法では、シリコンやガラス基板上に形成さ
れたマイクロ構造を有する型を用いて、ポリマー基板上
に特定の条件下でマイクロチャンネルを転写する。した
がって、これらの方法では、型が出来上がれば、複雑な
マイクロ製造技術を用いずにポリマー基板マイクロ構造
体を大量生産することが可能となる。これにより、安
価、かつ簡便に、マイクロ電極やマイクロチャンネルチ
ップを製造することが可能となるのである。さらに、こ
のような利点の他に、さまざまなポリマーやポリマーの
混合物から材料を選択することにより、種々の化学的、
物理的、表面化学的特性を有するデバイスを作成するこ
とが可能になるという点も重要である。したがって、こ
の出願の発明のポリマー基板マイクロ電極およびマイク
ロチャンネルチップは、あらゆる化学の研究において用
いることができることになる。
【0021】まず、ポリマー基板マイクロ電極の製造方
法について詳しく説明する。
【0022】ポリマー基板に公知の方法により、金属を
蒸着し、加熱処理することにより、金属層を作製する。
このとき、ポリマー基板は、用途に応じて選択すること
ができる。例えば、合成したポリマーを通常の成形加工
方法により板状にし、用いてもよいし、市販品を用いて
もよい。材料は、熱可塑性樹脂であればどのようなもの
であってもよいが、好ましくは、スチロール系樹脂、ポ
リ塩化ビニル、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポ
リエチレンテレフタレート、および熱可塑性弗素系樹脂
から選択する。とくに、分光学的測定における検出器と
して用いる場合には、透明性が重要となるので、透明な
ポリマー基板が得られるような成形条件を選択したり、
市販品では、透明度の高いポリマー基板を選択すること
が好ましい。さらには、測定波長範囲において吸収を持
たない材料を選択することが好ましい。もちろん、使用
温度、溶剤、試料等の条件に応じて、これら以外のポリ
マー材料から選択されてもよい。例えば、ポリマー基板
マイクロ電極を強酸、強塩基などの腐食性薬品や有機溶
媒下で用いる場合には、耐薬品性を有する弗素系樹脂を
用いるとよい。また、ポリマー基板の形状や大きさ、厚
さ等は、とくに限定されず、用途に応じて選択される。
【0023】さらに、蒸着される金属は、電極材料とし
て相応しいものであれば、どのようなものであってもよ
く、例えば、アルミニウム、バナジウム、鉄、コバル
ト、ニッケル、銅、亜鉛、タングステン、銀、錫、金な
どが例示される。好ましくは通常の方法で蒸着が可能
で、電気抵抗の小さな金である。
【0024】また、加熱処理の温度は、樹脂材料、金属
材料によって異なり、特に限定されないが、用いるポリ
マー基板のポリマー材料の軟化点付近とすることが好ま
しい。加熱処理を行うことにより、蒸着された金属が、
ポリマー基板とより強固に密着し、得られる金属層の耐
久性が向上するのである。
【0025】このような方法で得られた金属層の厚さ
は、とくに限定されないが、エッチング時や使用時の耐
久性等を考慮して、10〜100nmが好ましい。もち
ろん、使用に耐えられるものであれば、10nmより薄
くても、100nmよりも厚くてもよい。
【0026】得られた金属層に、フォトレジストを塗布
し、公知の手法により、リソグラフィーを行い、金属層
をエッチングすることにより、ポリマー基板マイクロ電
極とすることができる。このとき、用いられるフォトレ
ジストは、特に限定されず、金属材料、金属層の厚さ等
の条件に応じて、従来より半導体分野等で用いられる種
々のものから選択される。また、エッチングの条件等
は、とくに限定されず、使用されるフォトレジスト、金
属材料種、金属層の厚さ、電極幅等に応じて選択するこ
とができる。例えば、OHPシート上に、一般的なコン
ピューターソフトで任意の構造を描画し、これをフォト
マスクとして、OHPプロジェクターのランプで露光す
るという簡易的な方法であってもよい。もちろん、高精
度なリソグラフィーを行うことにより、サブミクロンか
らミクロンオーダーの電極を作製することも可能であ
る。
【0027】以上のようにして得られたポリマー基板マ
イクロ電極は、種々の超小型測定装置において、電極と
して用いることができる。この電極は、安価に、かつ簡
便に製造されるものであり、大量生産が可能であるた
め、使い捨てできる。また、ポリマー材料を溶融分離す
れば、容易に金属と基板材料を分別できるため、回収、
リサイクルが可能であるという利点もある。
【0028】さらに、上述のとおり、この出願の発明の
ポリマー基板マイクロ電極においては、ポリマー基板の
材料として弗素系樹脂を選択することによって耐薬品性
の高いポリマー基板マイクロ電極を得ることができる
が、耐薬品性の高い弗素系樹脂は、高価なものが多いた
め、コストが高くなることが考えられる。このような場
合は、基板全体に弗素系樹脂を用いずに、汎用のポリマ
ーからなるポリマー基板の表面に、弗素系樹脂を成膜
し、有機溶剤等の薬品から基板を保護してもよい。この
とき、弗素系樹脂の成膜方法は、一般的に知られる、塗
布、焼き付け、高温圧着等の種々の方法から選択でき
る。このようにして弗素系樹脂を成膜した後、上記のと
おりに金属を蒸着すればよい。その後、加熱処理、エッ
チング等を行えば、耐薬品性ポリマー基板マイクロ電極
を得ることができる。また、弗素系樹脂の膜厚は、耐薬
品性を確保でき、特別コストが上がらなければとくに限
定されない。好ましくは、50〜150nmである。も
ちろん、これより薄くても、厚くてもよい。
【0029】このようにして得られた耐薬品性ポリマー
基板マイクロ電極は、さらに、マイクロチャンネルと組
み合わせることにより、μ−TASやマイクロリアクタ
ーなどに応用することができる。
【0030】次に、この出願の発明の電極内蔵ポリマー
基板マイクロチャンネルチップの製造方法について説明
する。図1は、この出願の発明の電極内蔵ポリマー基板
マイクロチャンネルチップの製造方法を説明する概略摸
式図である。図1にしたがって、この出願の発明の方法
を具体的に説明する。
【0031】(A)まず、上述の方法で作製したポリマ
ー基板マイクロ電極(1)を、2枚のガラス板(2)で
挟み、ホットプレス(3)等により加熱圧縮する。この
とき、加熱温度および加熱時間は、特に限定されない
が、好ましくは温度をポリマー基板(11)の材料ポリ
マーの軟化点付近とする。加熱時間は、あまり短時間で
は電極の埋め込みが十分に行われず、あまり長時間では
ポリマー基板(11)の変形や着色が起こる可能性があ
るので、例えば、100℃、30分とすることが好まし
い。もちろん、加熱温度、加熱時間は、使用されるポリ
マー基板(11)によるため、これらに限られない。ま
た、電極材料や電極形状等は、最終的に電極内蔵ポリマ
ー基板マイクロチャンネルチップ(6)となったとき
に、用いられる測定の条件に応じて決定されるものであ
る。
【0032】加熱圧縮により、ポリマー基板マイクロ電
極(1)の電極部(12)がポリマー基板(11)内に
埋め込まれ、電極内蔵ポリマー基板(13)となる。
【0033】(B)次に、ガラス基板(4)に従来のリ
ソグラフィー、およびエッチング技術を用いて凹凸構造
(41)を作製し、平滑なポリマー基板(5)にホット
プレス(3)等によりこれを高温で押し付けて、ガラス
基板(4)上の凹凸構造(41)をポリマー基板(5)
に転写し、ポリマー基板(5)上に凹構造を形成し、ポ
リマー基板マイクロチャンネル(51)とする。このと
き、鋳型となるガラス基板(4)の代わりに、シリコン
ウェファー等の基板を用いてもよい。コスト、扱いやす
さ、汎用性を考慮すれば、ガラスの平板を用いることが
好ましい。また、ガラス基板(4)上の凹凸構造(4
1)は、得られるマイクロチャンネル(51)の大き
さ、形状に合わせて作製する必要がある。このような大
きさや形状は、最終的に電極内蔵ポリマー基板マイクロ
チャンネルチップ(6)を用いる測定の条件に合わせて
決定されるものであり、目的に応じて設計できる。
【0034】(C)このようにして得られたポリマー基
板マイクロチャンネル(51)の凹構造面に、先程作製
した電極内蔵ポリマー基板(13)を接触させ、ガラス
板(2)の間に挟み、ホットプレス(3)で加熱圧縮す
ることにより、蓋をすることができる。
【0035】このとき、鋳型である凹凸のあるガラス基
板(4)の圧着条件は、とくに限定されない。具体的に
は、ポリマー基板(11、5)の軟化点付近の温度で、
圧着時間を、10〜30分とすることが好ましいが、こ
れらに限定されない。
【0036】以上より、電極内蔵ポリマー基板マイクロ
チャンネルチップ(6)が得られる。
【0037】この出願の発明の方法によって得られる電
極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップ(6)
は、以上のとおり、鋳型を用いる方法であるため、一度
エッチングによりガラス基板(4)の鋳型を作製すれ
ば、同一のマイクロチャンネルチップを容易に大量生産
することができる。したがって、安価な使い捨てタイプ
の電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップ
(6)が得られるのである。また、電極がポリマー基板
中に埋め込まれているため、電極がマイクロチャンネル
面に接触しながらも、マイクロチャンネルを塞いだり、
マイクロチャンネル中の流れを妨げたりすることのない
マイクロチャンネルチップを得ることができる。さら
に、ポリマー基板(11、5)がスチロール樹脂やポリ
メタクリル酸メチル等の透明材料からなる場合、このよ
うな電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップ
(6)は、電気化学測定だけでなく、分光測定において
も使用することが可能となり、多機能型の検出器を得る
ことができる。
【0038】したがって、この出願の発明は、以上のと
おりの電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップ
(6)を用いた電気化学測定法および分光学的測定法を
も提供するものである。このとき、ポリマー基板材料、
電極用金属材料、チャンネル構造等は、測定に大きく影
響するので、条件に応じて適宜選択することが好まし
い。
【0039】以下、添付した図面に沿って実施例を示
し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明す
る。もちろん、この発明は以下の例に限定されるもので
はなく、細部については様々な態様が可能であることは
言うまでもない。
【0040】
【実施例】実施例1 ポリマー基板マイクロ電極の作製 市販のスチロール基板に金を蒸着し、加熱処理して金層
(50nm)を作製した。ポリマー基板/金にフォトレ
ジストを塗布した。
【0041】市販のコンピューターソフトで任意の構造
を描画し、OHPシートに印刷した。このOHPシート
をフォトマスクとし、OHPプロジェクターのランプを
光源として上記のフォトレジストを塗布したポリマー基
板/金をエッチングした。
【0042】得られたポリマー基板マイクロ電極の写真
を図2に示した。写真より、電極幅は30μm程度と分
かった。なお、写真において先端の細い部分(2本)が
電極であり、太い部分(2本)が外部機器との接続部と
なっている。
【0043】このポリマー基板マイクロ電極の先端部を
用いて1−ヒドロキシフェロセンのサイクリックボルタ
モグラム(電流−電位曲線)を求めた。図3に電流−電
位曲線を示した。
【0044】電極面積が狭いため、マイクロ電極に特徴
的なS字型の電流−電位曲線が得られている。このこと
から、電極は正常に動作することが確認された。
【0045】このポリマー基板マイクロ電極は、微細構
造の精度は高くないものの、化学実験において、十分使
用可能なものであることが分かった。実施例2 電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチ
ップの作製 実施例1で作製したポリマー基板マイクロ電極をガラス
板で挟み、ホットプレスで100℃×30分間加熱し、
マイクロ電極をポリマー基板中に埋め込んだ。この電極
内蔵ポリマー基板とチャンネルを形成したもう一枚のポ
リマー基板を加熱圧着し、電極内蔵ポリマー基板マイク
ロチャンネルチップを作製した。(電極幅40μm、電
極長さ100μm) チャンネル内に1−ヒドロキシフェロセンを流し、その
サイクリックボルタモグラム(電流−電位曲線)を測定
した。得られた電流−電位曲線を図4に示した。
【0046】電流−電位曲線では、掃引速度に比例して
電流値が増大した。また、電流値と掃引速度は、図5に
示したように、直線関係となった。このプロットの傾き
から電極面積を求めたところ、4.2×10-5cm2
なり、構造からの計算値(4.0×10-5cm2)とよ
く一致した。
【0047】したがって、この電極内蔵ポリマー基板マ
イクロチャンネルチップは、十分に高い性能を示すこと
が確認された。実施例3 電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチ
ップにおけるGeneration-Collection実験 実施例2の方法で電極内蔵ポリマー基板マイクロチャン
ネルチップを2種類作製し、図6に示したとおりの原理
で、一方の電極(Generator電極)で還元反応を、他方
(Collector電極)で酸化反応を行なわせた。
【0048】このとき、Generator電極ではOの還元反
応によりRが生成し、生成したRは、溶液中を拡散し、
隣接するCollector電極付近で逆反応によりOにもど
り、電流が流れる。Rが溶液中で副反応を起こさなけれ
ば、100%の効率でCollector電極に捕捉されるはず
であり、この捕捉率は、電気化学生成物の寿命や電極間
距離(d)に依存するため、電気化学反応中間体の捕捉
実験、溶液内化学種の反応性などの基礎的な測定法とし
て、重要である。
【0049】1−ヒドロキシフェロセンを試料とし、2
つの電極の幅を30μm、電極間距離を5μmとし、Ge
neration-Collection実験を行なった。得られた電流−
電位曲線を図7に示した。
【0050】Generator電極の電流値に対して、Collect
or電極の電流値は逆に出ており、1−ヒドロキシフェロ
センの酸化体がCollector電極で捕捉されていることが
確認できた。また、Generator電極とCollector電極に流
れた電流値の比から、捕捉率は約70%であることが分
かった。この結果からも、作製した電極内蔵ポリマー基
板マイクロチャンネルチップが正常に作動し、様々な測
定や検出器に応用可能であることが確認された。
【0051】また、通常のセルを用いた電気化学測定に
おける捕捉率は、70%よりかなり小さくなると予測さ
れる。それにも関わらず、この実施例において高い捕捉
率が得られたことは、蓋によりチャンネルチップでの上
方向へのRの拡散が防止されているためと考えられる。
したがって、この出願の発明の電極内蔵ポリマー基板マ
イクロチャンネルチップを用いることにより、極めて高
感度な電気化学センサーや検出器を得ることが可能で、
チャンネル形状や構造によって検出感度を制御すること
も可能となることが示唆された。
【0052】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明によ
って、安価に、かつ簡便にポリマー基板マイクロ電極を
製造する方法と、該方法により得られるポリマー基板マ
イクロ電極が提供される。さらに、安価かつ簡便に、電
極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップを大量生
産する方法と、該方法によって得られる高性能な電極内
蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップが提供され
る。
【0053】また、これらのマイクロ構造体を用いるこ
とにより、従来よりも高感度なセンサーや検出器が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の電極内蔵ポリマー基板マイクロチャ
ンネルチップを製造する方法を例示した概略摸式図であ
る。
【図2】この発明のポリマー基板マイクロ電極を例示し
た写真に代わる図である。
【図3】この発明の実施例において、ポリマー基板マイ
クロ電極を用いて測定された1−ヒドロキシフェロセン
のサイクリックボルタモグラム(電流−電位曲線)を示
した図である。
【図4】この発明の実施例において、電極内蔵ポリマー
基板マイクロチャンネルチップに、1−ヒドロキシフェ
ロセンを流し、測定されたサイクリックボルタモグラム
(電流−電位曲線)を示した図である。
【図5】この発明の実施例において、電極内蔵ポリマー
基板マイクロチャンネルチップに1−ヒドロキシフェロ
センを流し、測定されたサイクリックボルタモグラム
(電流−電位曲線)における電流値と掃引速度の関係を
示した図である。
【図6】この発明の実施例におけるGeneration-Collect
ion実験の概念を説明する概略摸式図である。
【図7】この発明の実施例において、電極内蔵ポリマー
基板マイクロチャンネルチップに1−ヒドロキシフェロ
センを流し、Generation-Collection実験を行なった際
に測定されたサイクリックボルタモグラム(電流−電位
曲線)を示す図である。(実線:Generator電極の電流
値、破線:Collector電極の電流値)
【符号の説明】
1 ポリマー基板マイクロ電極 11 ポリマー基板 12 電極 13 電極内蔵ポリマー基板 2 ガラス板 3 ホットプレス 4 ガラス基板 41 凹凸構造 5 ポリマー基板 51 ポリマー基板マイクロチャンネル 6 電極内蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリマー基板に金属を蒸着し、熱処理す
    ることにより得られる金属層上にフォトレジストを塗布
    した後、リソグラフィーを行い、金属をエッチングする
    ことを特徴とするポリマー基板マイクロ電極の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 ポリマー基板が、熱可塑性樹脂からなる
    請求項1のポリマー基板マイクロ電極の製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリマー基板が、スチロール樹脂、ポリ
    塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリメタクリル酸メチ
    ル、ポリエチレンテレフタレートおよび熱可塑性弗素系
    樹脂からなる群より選択される請求項1または2のポリ
    マー基板マイクロ電極の製造方法。
  4. 【請求項4】 ポリマー基板に金属を蒸着する前に、弗
    素系樹脂を成膜し、ポリマー基板に耐薬品性を付与する
    請求項1ないし3のいずれかのポリマー基板マイクロ電
    極の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4いずれかの方法により
    得られるポリマー基板マイクロ電極。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のポリマー基板マイクロ電
    極を、2枚のガラス板に挟み、加熱圧縮して電極をポリ
    マー基板中に埋め込んだ電極内蔵ポリマー基板と、リソ
    グラフィーおよびエッチングにより凹凸を施されたガラ
    ス基板を、ポリマー基板に高温で押し付けることによ
    り、該ポリマー基板上に溝を転写、形成して、得られる
    マイクロチャンネルを、電極面とマイクロチャンネル面
    が接触するように高温圧着することを特徴とする電極内
    蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6の方法により製造される電極内
    蔵ポリマー基板マイクロチャンネルチップ。
  8. 【請求項8】 請求項7の電極内蔵ポリマー基板マイク
    ロチャンネルチップを検出器として用いることを特徴と
    する電気化学測定方法。
  9. 【請求項9】 請求項7の電極内蔵ポリマー基板マイク
    ロチャンネルチップを検出器として用いることを特徴と
    する分光学的測定方法。
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