JP3738099B2 - 無人ガソリンスタンドシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アイリス(虹彩)を利用して利用客を識別することにより、無人ガソリンスタンドにて給油を可能にするためのシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ガソリンスタンドでは、扱う製品であるガソリンが発火や爆発を生じ易いという危険な性質を有するため、給油を行う係員を常駐させ、利用者が自動車をガソリンスタンドに乗り付けると、係員が利用者の要求を受けて自動車にガソリンを給油するという方法を採用している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のガソリンスタンドにおいては、給油を行う係員を常駐させなければならないため、利用者の少ないスタンドを長時間営業することは、人件費が高くつき、経営を難しくするため、交通量の少ない地方では必然的にガソリンスタンドの数が少なくなり、その地域に済む人はわざわざ遠くまで自動車を運転して給油しに行かなければならないという問題がある。
【0004】
また、前記のように、ガソリンスタンドには給油を行う係員を常駐させなければならないことから、都市部においても交通量の減る夜間においては、営業時間に見合う利用者の数を確保することが難しく、そのため夜間営業するガソリンスタンドが少なくなって、給油を必要とする利用者にとっては不便になるという問題がある。
【0005】
ところで、交通量の少ない地方や夜間において、高い人件費をかけずに利用者にガソリンを提供する方法として、例えばアメリカ等に見られるような無人化ガソリンスタンド、つまり利用者が自ら自動車に給油を行うガソリンスタンドの存在が考えられるが、前記のようにガソリンは発火や爆発の危険性が高いので、給油の際には充分な安全性が確保されなければならず、また無闇にガソリンを提供すると、ガソリンが悪用される恐れもあるので、その面からの保安性も考慮する必要があり、更に無人化の場合、現金による決済も、例えば金庫のようなものに現金を投入するようにすると、その金庫ごと盗難に逢う恐れも考えられるので、その対策が必要である。
【0006】
本発明は、これらの諸問題を解決するものであり、人間の眼球の一部であるアイリスが個人の識別に非常に有効である点に着目し、このアイリスにより利用者を高い精度で識別できることを利用して、利用者が特定できた場合のみ、カードによる決済でガソリンを提供するようにした無人ガソリンスタンドシステムを実現することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そのため、本発明の無人ガソリンスタンドシステムは、利用者が操作して給油を行う給油ノズル、及びこの給油ノズルにガソリンを供給するパイプに設けられたバルブを備えた給油器と、この給油器に接近した利用者を検出する接近検出センサと、この接近検出センサが利用者を検出したとき、その利用者を赤外線で照明する照明器と、この照明器により照明された利用者を撮影する赤外線カメラと、この赤外線カメラが撮影した利用者の画像から利用者のアイリスデータを取得するアイリスデータ取得手段と、利用者が挿入したアイリスカードから、その利用者のアイリスデータと個人データを読み取るカードリーダと、 このカードリーダが読み取ったアイリスデータと前記アイリスデータ取得手段が取得したアイリスデータとを照合して、両アイリスデータが同一人物のものであると確認できたとき、前記給油器のバルブを開いて前記給油ノズルによる給油を可能にし、かつ給油後前記アイリスカードの個人データを給油に対して課金を行うセンタに通知する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。
図1は本発明による無人ガソリンスタンドシステムの第1の実施の形態を示す概略的な構成図である。
にアイリスを用いた個人識別装置を組み込んだ場合の構成を示した図である。
【0009】
図において1は利用者のアイリス(虹彩)を撮影するための赤外線カメラ(ビデオカメラ)で、カメラ制御部2と接続されており、このカメラ制御部2は、画像処理部(アイリス取得手段)3と接続されていて、更にこの画像処理部3は主制御部4に接続されている。
また、照明制御部5は主制御部(制御手段)4に接続され、照明器6は照明制御部5に接続されており、この他主制御部4には、バルブ開閉部7、ガソリン測量部8、接近検出センサ9、回線接続部10、及びカードリーダ16がそれぞれ接続されている。
【0010】
17は給油器で、ガソリンを自動車のタンク内に注入する給油ノズル18を有しており、この給油器17内には地下のガソリン貯留部から汲み上げられるガソリンを給油ノズル17に供給するパイプに設けられ、このパイプにバルブ11が設けてあって、前記バルブ開閉部7はバルブ11を開閉を制御するものとなっている。
【0011】
ガソリン測量部8はバルブ11と給油ノズル17の間に設けられたガソリン測量センサ12を制御しており、このガソリン測量センサ12は給油ノズル18に供給されるガソリンの流量を検知し、その検知結果に基づいてガソリン測量部8はガソリンの供給量の計算と、その価格計算を行い、計算結果をそれぞれ表示部15と主制御部4に通知する。
【0012】
カードリーダ16は、予めユーザに発行したアイリスデータを記憶しているICメモリを有する電子カード(以下アイリスカード)のアイリスデータを読み取って主制御部4へ伝えるもので、また、回線制御部10は回線網13を介してセンタ14とオンラインで結ぶための制御を行う。
このセンタ14には、本システムを利用する利用者の氏名や利用銀行及び口座番号等の個人データが登録されており、給油を行った場合、前記アイリスカードからアイリスデータと共に読み取った個人データと照合して利用者へ課金する処理等を行う。
【0013】
ここで、カメラ制御部2、画像処理部3、主制御部4、照明制御部5、及び回線接続部10は、図1では給油機器17の外側に示しているが、実際にはいたずら等から保護するためにバルブ開閉部7やガソリン測量部8と共に給油機器17の内側に配置するか、または給油機器17とは別の外力に対して強固な筐体等を設置してその中に設けるようにする。
【0014】
一方、表示部15は給油器17の表面に設けられ、また接近検出センサ9及びカードリーダ16も給油器17表面の所定の位置にそれぞれ固定されている。
この接近検出センサ9は給油器17への人の接近を検知するもので、光や熱等を利用して検知するものが用いられる。
更に、照明器6は赤外線カメラ1により利用者のアイリス(虹彩)を撮影する際、利用者を照らすもので、利用者をまぶしくさせないことと、夜間の使用に対する配慮から、この実施の形態では不可視の近赤外線等照射するものを用いる。
【0015】
この赤外線カメラ1と照明器6は1台の給油器16に対して少なくとも1組設けられる。
つまり、給油器16のどの方向から利用者が近づいても赤外線カメラ1と照明器6はその利用者の方へ向くことができるように水平垂直の方向に向きを変えるための回転機構を持たせれば、赤外線カメラ1と照明器6は1組で済ませることができるが、回転機構を持たせない場合は、複数組設置することで撮影、照射範囲カバーする。
【0016】
ところで、アイリスは、眼球の表面に見えるため、カメラを用いて遠方からアイリスを捉えることが可能であり、利用者が読み取り部を覗き込む必要がなく、わずらわしさがないという長所を持っている。
赤外線カメラ1を用いてアイリスを遠方から捉える手順としては、赤外線カメラ1に写された画像の中から人間の頭部を識別し、次に眼の位置を特定し、その後ズームアップによりアイリスを捉える方法が一般的である。
【0017】
このような手順をふまえて次に本システムの作用を説明する。
まず、利用者が自動車等でスタンドに乗りつけ、車から降りて給油するために給油器17に近づくと、接近センサ9が利用者の接近を検出して主制御部4に伝え、そして利用者が自分のアイリスカードをカードリーダ16に挿入すると、カードリーダ16はこのアイリスカードを取り込んで、アイリスデータ及び個人データを読み取り、そのデータを主制御部4に送る。
【0018】
この利用者接近の検出をトリガとして主制御部4が画像処理部3、照明制御部5にそれぞれ画像取得を指示すると、照明制御部5は利用者に向けて照明器6を点灯させ、画像処理部3はカメラ制御部2に撮像を命じて、これにより赤外線カメラ1が利用者を撮影する。
そして主制御部4が画像処理部3に動的物体の検出を命じると、画像処理部3は周期的に取り込んでいる画像の差分をとることにより動的物体の検出を行い、動的物体の検出により画像中の利用者を検出する。
【0019】
こうして利用者が検出された後、画像処理部3で利用者の輪郭データ等により利用者の頭部を識別し、次に眼の位置を特定して、その切り出しが行われる。
目の位置が切り出され、赤外線カメラ1により目の画像の大きさが所定の大きさに捉えられると、画像処理部3は主制御部4にアイリス取得が可能であることを伝える。
【0020】
ここで主制御部4はアイリスの画像を取得するよう画像処理部3に指示し、画像処理部3はカメラ制御部2に指示して、赤外線カメラ1がアイリスを撮影し、その画像が画像処理部3に送られると、画像の取得を主制御部4に通知する。
主制御部104は、アイリスの画像取得が完了すると、照明制御部5に照明器6の消灯を指示すると共に画像処理部3に撮影の終了を指示し、これにより照明器6は消灯し、赤外線カメラ1も撮影を中止する。
【0021】
その後、画像制御部3は、取得したアイリスの画像から特徴抽出を行い、アイリスデータとして主制御部4に送る。
主制御部4は、この画像制御部3からのアイリスデータと、すでにカードリーダ部6から送られてきているアイリスデータと照合し、その類似度から両アイリスデータが同一人物のものであると確認できたとき、本人として判定してバルブ開閉部7に指示してバルブ11を開き、給油を可能にする。
【0022】
このとき、表示部15にアイリス照合の結果や、給油の操作方法の表示を行ってもよい。
これにより利用者が給油ノズル17の先端を給油器17から外して自動車に給油を行うと、そのときの給油ノズル18に供給されるガソリンの流量がガソリン測量センサ12によって検知され、その検知結果に基づいてガソリン測量部8がガソリンの供給量と、その供給量に対する価格の計算を行う。
【0023】
そして給油が終了し、給油ノズル17の先端を給油器17に戻すと、ガソリン測量部8から計算結果がそれぞれ表示部15と主制御部4に通知され、これによりガソリンの供給量と価格が表示部15に表示されると共に、主制御部4はガソリン測量部8の値をゼロクリアすると共に、バルブ開閉部7に指示してバルブ11を閉じ、利用者の個人データに給油量、価格等を付加して回線制御部10により回線網を介してセンタ14に通知して、次の給油に備えて待機する。
【0024】
センタ14では、主制御部4から通知されてきた個人データに基づいて登録されている個人データを検索し、ガソリン供給の価格を課金して、例えば月末等に本人の銀行口座から引き落とす等の処理を行う。
以上、説明した第1の実施の形態によれば、給油器17に接近した利用者のアイリスを赤外線カメラで撮影して識別し、そのアイリスデータをカードリーダが利用者のアイリスカードから読み取ったアイリースデータと照合して、その照合結果により正規の利用者のみに給油器17のバルブ11を開けて、利用者による給油を可能にし、不審者への給油を行わないようにしているため、給油の際の充分な安全性を確保することができる共に、ガソリンが悪用される恐れも殆どなくなり、しかも供給したガソリンの代価はカードによる決済として、スタンドでは現金を保有しないため、現金盗難の心配もなくなる。
【0025】
図2は本発明による無人ガソリンスタンドシステムの第2の実施の形態を示す概略的な構成図である。
この実施の形態は上述した第1の実施の形態の構成要素に加えて、図示したようにナンバープレート照明用の照明器19とナンバープレート撮影用の赤外線カメラ(ビデオカメラ)20を付加したもので、アイリス撮影用の赤外線カメラ1を第1のカメラ、赤外線カメラ20を第2のカメラとして、この第2のカメラ20を第1のカメラ1と同様にカメラ制御部2に接続し、また照明器19は照明器6と同様に照明制御部3に接続すると共に、画像処理部3には文字認識機能を持たせ、更に利用者のアイリスカードには保有する自動車等のナンバープレートのデータを保有させておく。
【0026】
この構成において、第2のカメラ20は1台に限らず、必要に応じて複数台使用し、スタンドに自動車や、オートバイが入ってきたとき、その後部のナンバープレートを撮像できるように設置しておく。
このように自動車やオートバイの後部のナンバープレートを撮影するのは、自動車の後部のナンバープレートは封印されてはずせなくなっていること、オートバイには前部にナンバープレートがないことによるもので、この後部のナンバープレートを撮影する第2のカメラ20を複数台使用するのは、給油器17に対して自動車の近づく方向が複数の方向になることが考えられるからである。
【0027】
この第2の実施例の作用は次の通りである。
利用者が自動車等でスタンドに乗りつけ、車から降りて給油するために給油器17に近づくと、接近センサ9が利用者の接近を感知して主制御部4に伝え、そして利用者が自分のアイリスカードをカードリーダ16に挿入すると、カードリーダ16はこのアイリスカードを取り込んで、アイリスデータや個人データと共に、ナンバープレートデータを読み取り、それらのデータを主制御部4に送る。
【0028】
これを利用者接近の検出をトリガとして主制御部4が画像処理部3、照明制御部5にそれぞれ画像取得を指示し、それに基づいて照明制御部5は利用者に向けて照明器6を点灯させると共に照明器10を自動車等の後部のナンバープレートに向けて点灯させ、そして画像処理部3はカメラ制御部2に撮像を命じて、これにより第1のカメラ1及び第2のカメラ20が利用者の像を及び後部の後部のナンバープレートを捉えて撮影する。
【0029】
その後、画像処理部3がアイリスデータを主制御部4に送るまでの処理が第1の実施の形態と同様に行われると共に、第2のカメラ20が撮影したナンバープレートの画像から周知の文字認識技術を用いて画像処理部3が内容を読み取り、そのナンバープレートデータが前記アイリスデータと一緒に主制御部4に送られる。
【0030】
主制御部4は、この画像制御部3からのアイリスデータ及びナンバープレートデータと、すでにカードリーダ16から送られてきているアイリスデータ及びナンバープレートデータと照合し、両アイリスデータが同一人物のものであると確認でき、かつ両ナンバープレートデータが一致すれば本人と認証してバルブ開閉部7に指示してバルブ11を開き給油を可能にする。
【0031】
以後、給油終了まで第1の実施の形態と同様に処理が行われ、更に主制御部4からセンタ14に利用者の個人データと給油量、価格を通知して、第1の実施例と同様にセンタ14で課金等の処理が行われる。
以上説明した第2の実施例によれば、第1の実施例と同様の効果が得られると共に、利用者の識別をアイリスのみでなく自動車等のナンバープレートからも行っているので、より厳密な給油の管理を行うことが可能となる。
【0032】
また、上述した第2の実施例によれば、ナンバープレートデータを用いるために、例えば、アイリスカードにナンバープレートのデータとして利用者本人の自動車等のナンバープレートではなく、法人や家族の自動車等のナンバープレートのデータを登録することで、法人や家族の代表者に課金することもでき、課金処理の多様化による利便性の向上が期待できる。
【0033】
更に、この無人化スタンドに進入した自動車等のナンバープレートを、接近検出センサ9が進入した自動車等を検出したときに第2のカメラ20で撮影してセンタ14に通知すると共に、予めセンタ14に盗難自動車のナンバープレートデータを登録して、第2のカメラ20で撮影したナンバープレートのデータと盗難登録したナンバープレートデータを照合するようにすれば、盗難車の確認を行う事ができ、社会的なセキュリティの向上の効果も期待できる。
【0034】
尚、上述した第1、第2の実施の形態では、スタンド利用者にアイリスデータを記憶させたアイリスカードを保有させ、このアイリスカードのアイリスデータと給油時に利用者本人から撮影,取得したアイリスデータを照合して、給油を行うものとしたが、主制御部4に記憶手段を接続するか、センタ1に記憶手段を設けて、これらの記憶手段に本システムのガソリンスタンドを利用する者のアイリスデータを記憶させ、給油の際にこれらの記憶データと利用者本人から撮影,取得したアイリスデータを照合して、同一人物のものであるアイリスデータが確認できたとき、給油を行うようにシステムを構築してもよい。
【0035】
この場合、アイリスカードの代わりにクレジットカードやプリペイドカードを用いることも可能であり、給油の代金決済については、カードに対応したカードリーダまたはカードリーダライタを用い、クレジットカードならば、そのデータをセンタ14に通知することで、クレジットカードの登録者に課金され、また、プリペイカードならば、その場でカード残料がリアルタイムでガソリンへ交換してセンタでの課金は行わないようにする。
【0036】
また、クレジットカードの場合、そのデータをアイリスデータと共に登録しておけば、クレジットカードのデータを読み取った後、そのデータに基づいて登録してあるアイリスデータを検索できるので、検索が容易になる。
また、この無人ガソリンスタンドシステムは回線網13を介してセンタ14に接続していることから、このシステムをセンタ14からリモートで管理することができる他、赤外線カメラ1及び20を常時撮影モードにしておくことで、本ガソリンスタンドにアクセスした者の画像の保管や、センタ14で撮影ビデオをモニタすることも可能となり、より高いセキュリティ性の向上が期待できる。
【0037】
更にまた、上述した第1,第2の実施の形態とも、赤外線カメラ1及び照明器6を具備していることから、以下のような利用も可能である。
すなわち、アイリス取得のためのに照明器6により赤外線照明のあてられた利用者を撮影したとき、熱源が発する赤外線を利用して画像処理部3によりガソリンが引火する恐れのある危険な熱源、例えば利用者がくわえている煙草や、煙草に火を付けようとして着火したライター等を検出し、これを主制御部4に通知することで、主制御部4によりバルブ開閉部7を介してバルブ11を閉じさせると共に、利用者に対して表示部15に「危険な熱源があります。引火の恐れがあるため、給油を停止しました。熱源を処理してください。」等の警告文言を表示するか、図示しない赤色回転灯やブザーを用いてアラームを流し、これらの警告を与えて、安全を確保した後、給油を開始させる制御を行う。
【0038】
このような制御を加えることにより、利用者の不注意等のよる発火、爆発事故等を未然に防ぐことができ、無人ガソリンスタンドの安全性向上の効果が期待できる。
また、第1または第2の実施の形態の構成に加えて、熱を検知する熱検知センサを設け、この熱検知センサにより前記のガソリンが引火するに充分な熱源を検知することで同様の制御を行えば、前記と同様に利用者の不注意等のよる発火、爆発事故を未然に防ぐことができ、無人ガソリンスタンドの安全性向上の効果が期待できるという効果が期待できる。
【0039】
また、これに加えて給油の対象を自動車,オートバイ等の発動機をもった車に限定することで、より安全性を高めることも可能とある。
つまり、ガソリンスタンドに給油に来る車は、発動機を動かして走ってくるため、当然、その発動機は暖まっており、従ってこの発動機の熱を熱検出センサ、または赤外線カメラ1で撮影した画像から画像処理部3で検出し、これを条件にして給油を行えるように制御すれば、自動車やオートバイ等の車以外への給油を防ぐことができ、より爆発、発火に対する安全性向上の効果が期待できる。
【0040】
また、第1,第2の実施の形態のおいて赤外線カメラ1,20がアイリスの撮影、ナンバープレートの撮影、熱の検出という用途であったのに対し、これに加えて、赤外線カメラ1また20で給油先の形状を捉え、車の給油口以外への給油を行わないように制御することも可能である。
この場合、給油対象は車の給油口であるため、熱源を有する発動機と一体の中に収まっている事と、給油口は人の腰の高さ位にあるものということと、給油器の挿入部の先端は給油口に隠れるという事と、給油口は車の車体から大きく飛び出す形状ではなく、ボディの流れに添う形であること等を条件にして、給油ノズル18の先端が車の給油口差し込まれたことを赤外線カメラ1または20の画像から画像処理部3が認定した場合のみ、主制御部4がバルブ11を開放するように制御させる。
【0041】
これは、車以外への給油、例えばポリ容器への給油や、地面への散布を防ぐための対策で、容器を地面に置いたときは、給油口が低すぎ、かつ車と一体でないことにより拒否できるし、車の上に容器を置いたときも、給油口が高すぎ、かつ給油口が車体に対し飛び出しているため拒否できることになり、更に地面への散布は、給油器の先端が隠れていないことで拒否することができる。
【0042】
車以外への給油は、容器が多種多様であるためその構造に安全性の不安が残るが、少なくとも安全性が確認されている車の給油タンクであるか否かの判定により給油の許可/不許可を制御することで、安全性の向上が期待できる上、その場への散布という凶悪な犯罪を未然に防止する犯罪抑制効果も期待できる。
更に、第1,第2の実施の形態のおいて、給油を実施する上で必要となる接近検出センサ9や、赤外線カメラ1,20、更にはカードリーダ16や給油ノヅル18等が破壊される犯罪が発生したとき、バルブ11を閉じ、回線制御部10により回線網13を介して消防署等への緊急通報を行うよう主制御部4に制御させたり、あるいは地震などの天災や故障に伴う事故が発生したとき、火災が起こる危険性が有る事態が生じたものとして、主制御部4がバルブ11を閉じ、回線制御部10により回線網13を介して消防署等への緊急連絡を行うよう制御することで、消火活動等の対応策が早く打てるため、被害の拡大を防止する効果が期待できる。
【0043】
また、火災が起こる危険性がある事態が生じたことを主制御部4か判断した段階で、前記の消防署への緊急連絡だけでなく、警報を鳴らす事や、避難を呼び掛けるアナウンスを流すことにより、近隣の住民やスタンドにいる利用者、及び道路を通行中の車に対する二次災害を防止することも可能となる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、利用者のアイリスを利用して、給油の利用者を識別し、利用者の確認がとれてから、給油器のバルブを開いて利用者による給油ノズルでの給油を可能にする制御を行うと共に、カードを利用してガソリン供給に対する課金を行うようにしている。
【0045】
従ってこれによれば、発火や爆発の危険性が高い製品であるガソリン給油を利用者自身の操作で行わせても、充分な安全性を確保できると共に、決済も安全に行うことができるという効果が得られ、交通量の少ない地方や夜間において、高い人件費をかけずに利用者にガソリンを提供できるものとなり、利用者に対するサービス向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態の概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 赤外線カメラ
2 カメラ制御部
3 画像処理部
4 主制御部
6 照明器
7 バルブ開閉部
8 ガソリン測量部
9 接近検出センサ
11 バルブ
12 ガソリン量検出センサ
14 センタ
15 表示部
16 カードリーダ
17 給油器
18 給油ノズル
19 照明器
20 赤外線カメラ

Claims (13)

  1. 利用者が操作して給油を行う給油ノズル、及びこの給油ノズルにガソリンを供給するパイプに設けられたバルブを備えた給油器と、
    この給油器に接近した利用者を検出する接近検出センサと、
    この接近検出センサが利用者を検出したとき、その利用者を赤外線で照明する照明器と、
    この照明器により照明された利用者を撮影する赤外線カメラと、
    この赤外線カメラが撮影した利用者の画像から利用者のアイリスデータを取得するアイリスデータ取得手段と、
    利用者が挿入したアイリスカードから、その利用者のアイリスデータと個人データを読み取るカードリーダと、
    このカードリーダが読み取ったアイリスデータと前記アイリスデータ取得手段が取得したアイリスデータとを照合して、両アイリスデータが同一人物のものであると確認できたとき、前記給油器のバルブを開いて前記給油ノズルによる給油を可能にし、かつ給油後前記アイリスカードの個人データを給油に対して課金を行うセンタに通知する制御手段を備えたことを特徴とする無人ガソリンスタンドシステム。
  2. 利用者が操作して給油を行う給油ノズル、及びこの給油ノズルにガソリンを供給するパイプに設けられたバルブを備えた給油器と、
    この給油器に接近した利用者を検出する接近検出センサと、
    この接近検出センサが利用者を検出したとき、その利用者を赤外線で照明する照明器と、
    この照明器により照明された利用者を撮影する赤外線カメラと、
    この赤外線カメラが撮影した利用者の画像から利用者のアイリスデータを取得するアイリスデータ取得手段と、
    利用者のアイリスデータを予め記憶した記憶手段と、
    利用者が挿入したカードから、その利用者の個人データを読み取るカードリーダと、
    前記アイリスデータ取得手段が取得したアイリスデータを前記記憶手段に記憶されたアイリスデータに照合して、取得したアイリスデータと同一人物のアイリスデータが確認されたとき、前記給油器のバルブを開いて前記給油ノズルによる給油を可能にし、かつ給油後前記カードの個人データを給油に対して課金を行うセンタに通知する制御手段を備えたことを特徴とする無人ガソリンスタンドシステム。
  3. 請求項1または請求項2記載の無人ガソリンスタンドシステムにおいて、
    利用者を撮影する赤外線カメラを第1のカメラとし、
    利用者の車のナンバープレートを照明する照明器と、
    この照明器により照明されたナンバープレートを撮影する第1のカメラと同様の第2のカメラを備え、
    かつアイリスデータ取得手段は、前記第1のカメラ及び前記第2のカメラが撮影した画像からアイリスデータとナンバープレートデータを取得するものとし、
    前記制御手段は 前記カードリーダが利用者のカードから読み取ったアイリスデータ及びナンバープレートデータと前記アイリスデータ取得手段が取得したアイリスデータ及びナンバープレートデータとを照合して、両アイリスデータが同一人物のものであると確認できかつ両ナンバープレートデータが一致したとき給油器のバルブを開いて前記給油ノズルによる給油を可能にするよう制御することを特徴とする無人ガソリンスタンドシステム。
  4. 請求項1または請求項2記載の無人ガソリンスタンドシステムにおいて、
    利用者撮影用の赤外線カメラで撮影した画像を熱源が発する赤外線の検出に用い、
    危険な熱源の検出時にバルブを閉じると共に、利用者に対して、表示,アラーム音、光等で、警告を行うことを特徴とする無人ガソリンスタンドシステム。
  5. 請求項1または請求項2記載の無人ガソリンスタンドシステムにおいて、
    熱検出センサを設けて、この熱検出センサにより危険な熱源の検出時にバルブを閉じると共に、利用者に対して、表示,アラーム音、光等で、警告を行うことを特徴とする無人ガソリンスタンドシステム。
  6. 請求項1または請求項2記載の無人ガソリンスタンドシステムにおいて、
    給油器に近づいた車の発動機の発する熱源を検出し、これを給油可能の条件とすることを特徴とする無人ガソリンスタンドシステム。
  7. 請求項1または請求項2記載の無人ガソリンスタンドシステムにおいて、
    利用者撮影用の赤外線カメラで撮影した画像により、給油ノズルの先端が車の給油口に差し込まれたことを給油可能の条件とすることを特徴とする無人ガソリンスタンドシステム。
  8. 請求項1または請求項2記載の無人ガソリンスタンドシステムにおいて、
    給油ノズル、接近検出センサ、照明器、赤外線カメラカードリーダ等の破壊や天災による火災の危険性が有るとき、制御が回線網を介して消防署に通報することを特徴とする無人ガソリンスタンドシステム。
  9. 請求項1または請求項2記載の無人ガソリンスタンドシステムにおいて、
    給油ノズル、接近検出センサ、照明器、赤外線カメラカードリーダ等の破壊や天災による火災の危険性が有るとき、制御が回線網を介して消防署に通報すると共に、表示,音,光を用いて、危険を近隣に流すことを特徴とする無人ガソリンスタンドシステム。
  10. 請求項2記載の無人ガソリンスタンドシステムにおいて、
    アイリスデータを記憶する記憶手段として制御手段に接続したメモリを用いることを特徴とする無人ガソリンスタンドシステム。
  11. 請求項2記載の無人ガソリンスタンドシステムにおいて、
    アイリスデータを記憶する記憶手段をセンタに設けたことを特徴とする無人ガソリンスタンドシステム。
  12. 請求項2記載の無人ガソリンスタンドシステムにおいて、
    給油に対する決済に用いるためカードを、クレジットカード,プリペイドカードとすることを特徴とした無人ガソリンスタンドシステム。
  13. 請求項2記載の無人ガソリンスタンドシステムにおいて、
    ナンバープレート毎に、課金対象をアイリスデータと共に記憶しておき、給油に対して登録された課金対象に課金することを特徴とした無人ガソリンスタンドシステム。
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