JP3738064B2 - 燃料噴射ポンプ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料噴射ポンプであって、該燃料噴射ポンプの駆動軸によって回転駆動される分配装置を有しており、該分配装置内には、ほぼ分配装置の軸線方向で延びる長手方向孔が配置されていて、該長手方向孔が高圧室を制御個所に接続していて、前記長手方向孔は、分配装置の端面から分配装置内に延びていて、その後で閉鎖部材によって外側に対して閉鎖される形式のものに関する。
【０００２】
【従来の技術】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第３６１５２８６号明細書から公知のこのような噴射ポンプでは、分配装置の端面に同軸的に設けられた長手方向孔の閉鎖部材として、長手方向孔の端部でねじ込み可能なねじが設けられている。このことは著しく手間がかかる。何故ならば長手方向孔の端部には、ねじをねじ込むためのねじ山が付加的に設けられなければならないからである。さらに、ねじが燃料噴射ポンプの運転中にゆるみ、ひいては長手方向孔が外側に対して不密にならないように付加的な固定手段が設けられなければならない。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、簡単で確実に長手方向孔が閉鎖されるような燃料噴射ポンプを提供することである。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明の構成では、閉鎖部材として円筒形のピンが設けられていて、該ピンが、分配装置の軸線に対して横方向に延びる、長手方向孔と交差する孔内に摺動に抗して固定されるように嵌め込まれていて、該孔の直径が少なくとも長手方向孔の直径と同じ大きさであるようにした。
【０００５】
【発明の効果】
このように構成された本発明による燃料噴射ポンプには以下のような利点がある。すなわち本発明による燃料噴射ポンプでは、軸線に対して横方向に嵌め込まれた円筒形のピンは、このピンに働く圧力によって嵌め込み方向に負荷されず、従って圧力作用に基づき分配装置における固定装置からピンがゆるむことはない。この場合ピンは、請求項２によれば、孔内に通常のように圧力嵌めによってプレス嵌めされているか、若しくは圧力嵌めの代わりに又は圧力嵌めの補足的に接着結合されてよい。今日では、平滑な銀面結合部（Ｎａｒｂｅｎｖｅｒｂｉｎｄｕｎｇｅｎ）でさえも互いに極めて強固に結合し、部分の互いに確実な接着を、増大する著しい負荷下においても保証するようなプラスチック接着剤がある。場合によっては揺動応力によって生じる恐れのあるピンの脱落（特に燃料噴射ポンプが運転中に著しい振動負荷にさらされるのでなおさらである）を防止するための手間を省略したい場合には、ピンは簡単に嵌め込まれ、例えばプレス嵌めによって付加的には請求項４に記載した、分配装置を取り囲む部分によって固定される。さらに有利な構成では、分配装置を取り囲む部分が同時に、請求項５で述べたように燃料噴射ポンプの駆動装置によって駆動される連結部分であるならば、ピン自体も分配装置の回転駆動部材のための連結装置の部分として働く。この場合二重の利点が得られる。すなわち、ピンが脱落に抗して最良に固定されていると同時に分配装置の所要の駆動のためにも働く。特に有利には請求項７に記載したようにこの手段は、いわゆるラジアルピストン分配噴射ポンプにおいて使用でき、このラジアルピストン分配噴射ポンプでは長手方向孔が直接に、分配装置の脚部におけるポンプ作業室に開口していて、その直後で分配装置の端面で開口し、この場所で、横方向に嵌め込まれたピンによって閉鎖される。この場合、請求項４及び請求項５に記載の構成は、請求項８及び請求項９によっても実現される。
【０００６】
【発明の実施の形態】
以下に図面につき本発明の実施の形態を説明する。
【０００７】
本発明が、特に有利に使用されるラジアルピストン燃料分配形噴射ポンプの例で示されている。そのために図１では、このような燃料噴射ポンプの、本発明の使用のための主な部分を部分断面図で示している。この部分は分配装置２から成っており、この分配装置２は、燃料噴射ポンプのケーシング１内に嵌め込まれたシリンダバレル４のシリンダ３で支承されていて、シリンダ３から外側に突出する脚部６で、燃料噴射ポンプの燃料充填された内室７において突出している。この脚部６内には複数の半径方向孔８が設けられていて、これらの半径方向孔８内には複数のポンププランジャ９が嵌め込まれている。これらのポンププランジャ９の内側に位置する端面１０は共通のポンプ作業室１１を互いに取り囲んでいる。ポンンププランジャ９の、半径方向孔８からそれぞれ突出する端部では、各１つのローラシュー１２がポンププランジャ９に当接していて、これらのローラシュー１２は、分配装置２を有するカムリング１６のカム軌道１５上を運動する各１つのローラ１４を有している。カムリング１６は、ポンププランジャ９の軸線によって規定された半径方向平面に対して対称的に位置していて、ほぼ位置固定であって、ポンププランジャストロークの開始を変化させるために噴射調節装置１８によって周方向で調節される。このカムリング１６の周面はポンプケーシングにおいて半径方向に支承されている。これに対して分配装置２はローラシュー１２と共に燃料噴射ポンプのカム駆動装置の運動部分を形成している。この場合分配装置２は燃料噴射ポンプの駆動軸１９によって駆動されていて、この駆動軸１９は内燃機関と同期的に駆動される（図示しない）。この駆動軸１９の、内室７内に突入する端部はフォーク頭部状に構成されていて、この構成は図４で詳しく示されている。この構成は頭部２０から成っていて、この頭部２０は端面２１をを起点とする軸方向の長手方向スリット２２を有していて、この長手方向スリット２２にはローラシュー１２が端面２１の方から嵌め込み可能であってスリット内で半径方向可動に案内されている。頭部２０の拡径部に、端面２１に向かって減径部２３が続いている。この減径部２３は、図１からわかるように球軸受け２５を受容するために働く。この球軸受け２５は、頭部２０の拡径部に向かって固定リング２６によって固定されている。これによって、駆動軸１９は一方の側では滑り軸受け２７において、他方の側では球軸受け２５において案内されている。
【０００８】
駆動軸１９の回転運動を分配装置２に伝達するために、さらに連結ディスク２９（可動部分）が設けられていて、この連結ディスク２９は図３に示したように、星形に形成されていて、長手方向スリット２２の数若しくは、ローラシュー１２を有するポンププランジャ９の数に相応して設けられた半径方向に突出するウエブ３０を有してる。これらのウエブ３０は互いに平行な側縁部３１を有していて、これらの側縁部３１を介してスリット２２内で案内されている。この連結ディスク２９の中央には円形の貫通孔３３が設けられていて、この貫通孔３３を起点として互いに向かい合って切欠き３４が位置している。駆動軸１９に対して同軸的に位置するこの貫通孔３３は、分配装置２の脚部６の軸ジャーナル３５を受容するために働く。この脚部６を起点として、脚部６の端面３６には分配装置２内で長手方向孔３７が設けられていて、この長手方向孔３７は半径方向孔８とポンプ作業室１１の領域で交差していて、分配装置２の制御位置に向かって、分配装置２の外周面では分配溝３９の形で案内されている。この分配溝３９はポンププランジャ９の圧送行程ごとに交互に、所属の内燃機関の噴射弁に通じる噴射導管４０に接続される。ポンププランジャ９によって、ポンププランジャ９の内向き行程時にカム軌道のカム４１によって強制的に圧送される燃料は、高圧下でそれぞれこれらの噴射導管４０の１つに供給されると望ましい。このために長手方向孔３７は軸ジャーナル３５の領域で閉じられていて、高圧圧送行程を生ぜしめるために、分配溝３９を起点とする充填および放圧導管４２が、電磁弁（図示しない）の弁部材４３によって閉鎖される。高圧噴射を終了させるためにこの弁部材４３は開放される。
【０００９】
軸ジャーナル３５の領域における長手方向孔３７の閉鎖はピン４５によって行われる。このピン４５は図２で詳しく示されているように、分配装置２の長手方向軸線に対して横方向で延びる孔４６内に嵌め込まれている。この孔４６は長手方向孔３７の横断面全体と交差していて、少なくとも長手方向孔３７の直径と等しい、有利には比較的大きい直径を有している。従ってこの孔４６に嵌め込まれたピン４５は長手方向孔３７を完全にシールして閉鎖する。この場合、ピン４５は、長手方向孔３７内に形成された高圧によって半径方向でしか負荷されず、ピン４５を駆出するおそれのある軸方向の力成分はピン４５に加えられない。従ってピン４５を孔４６内で保持する力は小さくてよい。この場合ピン４５は公知の方法で圧力嵌めによって嵌め込まれてよいが、安全のために接着固定されてもよい。この場合、より大きな嵌合誤差が許容される。ピン４５が分配装置ポンプの運転中に生じる揺動応力によっても孔４６から脱落しないために有利には付加的に連結ディスク２９が配置されていて、この連結ディスク２９はピン４５の長手方向軸線平面で位置し、貫通孔３３で直接的に軸ジャーナル３５にひいてはピン４５の端面にも接触する。この貫通孔３３はまず第一に軸ジャーナル３５の横断面に適合する貫通孔として形成されてよい。軸ジャーナル３５に、例えば、この軸ジャーナル３５を連結ディスク２９に連結するための成形面が設けられているならば、連結ディスク２９は同一の成形面を貫通孔３３の領域で保持する。しかしながら、記述された構成の別の構成において、ピン４５は、長手方向軸線の閉鎖機能に加えて付加的に分配装置と駆動装置との間の連結装置の部分としても働く。この場合、軸ジャーナル３５の横断面は例えば円形で、ピン４５は図３で示したように、軸ジャーナル直径よりも長く形成されている。ピン４５の、軸ジャーナル３５を越えて突出する部分４７は連結ディスク２９の切欠き３４に係合して、この場合、駆動軸１９のスリット２２によって連行される連結ディスク２９の運動はピン４５によって分配装置２に伝達される。このようにして、分配装置と、分配装置の駆動装置との間の最も経済的な接続が得られると同時に、長手方向孔３７を外側に対して確実に閉鎖する非常に効果的かつ経済的な手段が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】ラジアルピストン分配形ポンプの構成の燃料噴射ポンプの部分縦断面図である。
【図２】図１に対して垂直に断面した部分図である。
【図３】図１のＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿った断面図である。
【図４】連結部分のための受容部を備えた駆動軸の側面図である。
【符号の説明】
１ ケーシング、 ２ 分配装置、 ３ シリンダ、 ４ シリンダバレル、６ 脚部、 ７ 内室、 ８ 半径方向孔、 ９ ポンププランジャ、 １０端面、 １１ ポンプ作業室、 １２ ローラシュー、 １４ ローラ、 １５ カム軌道、 １６ カムリング、 １８ 噴射調節装置、 １９ 駆動軸、２０ 頭部、 ２１ 端面、 ２２ 長手方向スリット、 ２３ 減径部、 ２５ 球軸受け、 ２６ 固定リング、 ２７ 滑り軸受け、 ２９ 連結ディスク、 ３０ ウエブ、 ３１ 側縁部、 ３３ 貫通孔、 ３４ 切欠き、 ３５ 軸ジャーナル、 ３６ 端面、 ３７ 長手方向孔、 ３９ 分配溝、 ４０ 噴射導管、 ４１ カム、 ４２ 充填及び放圧導管、 ４３ 弁部材、４５ ピン、 ４６ 孔、 ４７ 部分

Claims (9)

1. 燃料噴射ポンプであって、該燃料噴射ポンプの駆動軸（１９）によって回転駆動される分配装置（２）を有しており、該分配装置（２）内には、ほぼ分配装置（２）の軸線方向で延びる長手方向孔（３７）が配置されていて、該長手方向孔（３７）が高圧室（１１）を制御個所（３９）に接続していて、前記長手方向孔（３７）は、分配装置（２）の端面（３６）から分配装置（２）内に延びていて、その後で閉鎖部材（４５）によって外側に対して閉鎖される形式のものにおいて、
   閉鎖部材として円筒形のピン（４５）が設けられていて、該ピン（４５）が、分配装置（２）の軸線に対して横方向に延びる、長手方向孔（３７）と交差する孔（４６）内に摺動に抗して固定されるように嵌め込まれていて、該孔（４６）の直径が少なくとも長手方向孔（３７）の直径と同じ大きさであることを特徴とする燃料噴射ポンプ。
2. ピン（４５）が孔（４６）内にプレス嵌めされている、請求項１記載の燃料噴射ポンプ。
3. ピン（４５）が孔（４６）内で接着結合されている、請求項１又は２記載の燃料噴射ポンプ。
4. 分配装置軸線に対する半径方向平面において、分配装置（２）を取り囲む部分（２９）が設けられていて、該部分（２９）の、分配装置（２）に向けられた制限壁が、ピン（４５）の、孔（４６）からの摺動脱落を防止している、請求項１から３までのいずれか１項記載の燃料噴射ポンプ。
5. ピン（４５）が孔（４６）よりも長く構成されていて、連行体として孔（４６）から突出する少なくとも１つの部分（４７）で切欠き（３４）に係合していて、該切欠き（３４）は連結部分（２９）として形成された、分配装置の周面に隣接する部分に設けられていて、この部分によって分配装置（２）が少なくとも間接的に、燃料噴射ポンプの駆動軸（１９）に分配装置の回転のために連結されている、請求項４記載の燃料噴射ポンプ。
6. ピン（４５）が孔（４６）の端部の両側で該孔（４６）から等しい距離で突出していて、この突出した個所で、連結ディスク（２９）の、対応するそれぞれ１つの切欠き（３４）に係合する、請求項５記載の燃料噴射ポンプ。
7. 燃料噴射ポンプの複数のポンププランジャ（９）が、分配装置（２）の軸線に対して半径方向に向けられた複数の半径方向孔（８）内に配置されていて、前記ポンププランジャ（９）が、該ポンププランジャ（９）の互いに向き合う端面の間で分配装置（２）において共通のポンプ作業室（１１）を取り囲んでいて、該ポンプ作業室（１１）が圧力室として長手方向孔（３７）によって制御個所（３９）に接続されており、該長手方向孔（３７）が前記作業室（１１）に交差する孔として形成されていて、該孔の流出口を分配装置の軸ジャーナル（３５）における分配装置（２）の端面（３６）で有している、請求項１から６までのいずれか１項記載の燃料噴射ポンプ。
8. 軸ジャーナル(３５)が、分配装置（２）と一緒に運動する可動部分（２９）によって取り囲まれている、請求項７記載の燃料噴射ポンプ。
9. 可動部分（２９）が、軸ジャーナル（３５）に対して半径方向に向いた少なくとも１つの切欠き（３４）を備えた部分であって、該部分にはピン（４５）の、軸ジャーナル（３５）から突出する少なくとも１つの端部が係合しており、該端部を介して、分配装置（２）の、連結部分として働く可動部分（２９）が、分配装置（２）の駆動装置（１９）に接続されている、請求項８記載の燃料噴射ポンプ。

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